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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124709
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028647
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】山下 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 諒平
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA24
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB03
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB21
2H033BB22
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA04
2H033CA07
2H033CA17
2H033CA30
2H033CA44
(57)【要約】
【課題】通紙する記録材のサイズなどに応じて第1加熱源と第2加熱源への投入電力の配分を変更するときの定着画像の光沢ムラの発生を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録材に画像を形成する画像形成手段と、画像を記録材に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、定着装置は、定着部材と、互いに配熱特性の異なる定着部材加熱用の第1加熱源及び第2加熱源と、画像形成条件に応じ第1加熱源と第2加熱源への投入電力の配分を変更する配分変更手段とを有する。配分変更手段が、第1加熱源への配分電力を増加させると共に、第2加熱源へ配分電力を減少させる電力配分変更をおこなうとき、該電力配分変更の前の最終の記録材につき第1加熱源へ投入する電力に対する、電力配分変更の後の最初の記録材につき第1加熱源へ投入する電力の増加割合が0.5以下であり、最後の記録材と最初の記録材の間の定着部の通過時間が3秒以下である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、定着部で画像を記録材に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、
前記定着装置は、定着部材と、互いに配熱特性の異なる定着部材加熱用の第1加熱源及び第2加熱源と、画像形成条件に応じ前記第1加熱源と前記第2加熱源への投入電力の配分を変更する配分変更手段とを有し、
前記配分変更手段が、前記第1加熱源への配分電力を増加させると共に、前記第2加熱源へ配分電力を減少させる電力配分変更をおこなうとき、該電力配分変更の前の最後の記録材につき前記第1加熱源へ投入する電力に対する、前記電力配分変更の後の最初の記録材につき前記第1加熱源へ投入する電力の増加割合が0.5以下であり、前記最後の記録材と前記最初の記録材の間の前記定着部の通過時間が3秒以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1加熱源は、少なくとも、規定幅以下の小サイズ幅の記録材に対応する前記定着部材の幅方向領域を加熱する発熱分布の配熱特性であり、
前記第2加熱源は、通紙可能な最大サイズ幅の記録材に対応する前記定着部材の幅方向領域を加熱するとともに、前記最大サイズ幅の幅方向両側に対応する発熱量が中央の発熱量よりも高い配熱特性を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記第1加熱源は、前記最大サイズ幅の記録材に対応する前記定着部材の幅方向領域の全幅で幅方向に均等な発熱分布の配熱特性であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像形成装置において、
通紙可能な最小サイズ幅の記録材に対応する前記定着部材の幅方向領域内の温度を検出する温度検知手段を設け、少なくとも前記第1加熱源を前記温度検知手段の検知結果に基づいて制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一に記載の画像形成装置において、
定着対象が第1幅の記録材から該第1幅よりも狭い第2幅の記録材に切り替わるとき、前記第1加熱源へ配分する電力を増加させると共に、前記第2加熱源へ配分する電力を減少させる電力配分変更を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記定着装置は、
前記定着部材が、無端状の定着ベルトであり、
該定着ベルトとともに記録材を加圧する加圧部材と、前記定着ベルトの内側に設けられ前記定着部であるニップを形成する形成部材とを有し、
前記第2加熱源は、前記ニップに対し前記定着ベルトの移動方向で前記第1加熱源よりも上流側に位置することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録材に画像を形成する画像形成手段と、画像を記録材に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置が知られている。
特許文献1には、係る画像形成装置であって、次のような定着装置を備えたものが記載されている。大サイズの記録材の幅領域全体で発熱するメインヒータと、小サイズの記録材の幅領域のみで発熱するサブヒータとを有する定着装置である。この定着装置は、大サイズの記録材の定着をした後に、小サイズの記録材の定着を行うときに、メインヒータをオフし、サブヒータをオンする。サブヒータをオンするときには、その時点の小サイズの記録材の幅領域の検知温度と、小サイズの記録材を定着するときの目標温度との差に応じてPID温度制御を開始するとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このように互いに配熱特性が異なる第1加熱源及び第2加熱源の構成を、通紙する記録材のサイズなどに応じて第1加熱源と第2加熱源への投入電力の配分を変更するとき、第1加熱源と第2加熱源の構成よっては、オーバーシュートが発生して定着画像に光沢ムラが発生するおそれが残っていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、定着部で画像を記録材に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、前記定着装置は、定着部材と、互いに配熱特性の異なる定着部材加熱用の第1加熱源及び第2加熱源と、画像形成条件に応じ前記第1加熱源と前記第2加熱源への投入電力の配分を変更する配分変更手段とを有し、前記配分変更手段が、前記第1加熱源への配分電力を増加させると共に、前記第2加熱源へ配分電力を減少させる電力配分変更をおこなうとき、該電力配分変更の前の最後の記録材につき前記第1加熱源へ投入する電力に対する、前記電力配分変更の後の最初の記録材につき前記第1加熱源へ投入する電力の増加割合が0.5以下であり、前記最後の記録材と前記最初の記録材の間の前記定着部の通過時間が3秒以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、通紙する記録材のサイズなどに応じて第1加熱源と第2加熱源への投入電力の配分を変更するときの定着画像の光沢ムラの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図。
図2】定着装置の概略構成図。
図3】定着装置における各ヒータの点灯制御に関する制御ブロック図。
図4】本実施形態の定着装置におけるヒータ構成について説明する図。
図5】温度プロファイルの説明図。
図6】大サイズ点灯モードから小サイズ点灯モードに切り替わる場合の昇温の説明図。
図7】実施例1の制御のフローチャート。
図8】第1点灯モードと第2点灯モードの1枚目のベルト表面の幅方向の温度分布の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという。)の一実施形態について説明する。まず、プリンタの概略構成について説明する。図1は、本プリンタの構成を示す概略構成図である。プリンタ200は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式を用いるカラープリンタあるが、本発明はこの方式に限ることはなく、またプリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
【0008】
プリンタ200は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを備えた作像部としての4つの画像ステーションと、4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光書込装置8を有する。またプリンタ200は、4つの画像ステーションの上方に対向して配設された中間転写ベルトユニット10を有する。
【0009】
4つの画像ステーションは、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkが、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するものである。各感光体ドラムの周囲に、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラック画像形成を行う感光体ドラム20Bkを対象として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Bk,現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bkおよびクリーニング装置50Bkが配置されている。
【0010】
光書込装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏向手段としての回転多面鏡などを装備している。光書込装置8は、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lbを出射して感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに静電潜像を形成する。図1では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
【0011】
中間転写ベルトユニット10は、無端ベルトである中間転写体である中間転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、中間転写ベルト11が掛け回されている弾性ローラ72及び従動ローラ73を有している。従動ローラ73は、バネなどを用いた付勢手段を備え、中間転写ベルト11に対する張力付勢手段としても機能する。
【0012】
またプリンタ200は、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての転写ローラである二次転写ローラ5と、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11上をクリーニングする中間転写クリーニング装置13とを有する。
【0013】
中間転写クリーニング装置13は、中間転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有し、これらにより、中間転写ベルト11上の残留トナー等の異物を掻き取って除去し、中間転写ベルト11をクリーニングする。中間転写クリーニング装置13は中間転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有する。
【0014】
以上の中間転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、二次転写ローラ5と、中間転写クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
【0015】
プリンタ200は、用紙Sを積載したシート給送装置61を本体下部に備えている。シート給送装置61は、最上位の用紙Sの上面に当接する給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の用紙Sをレジストローラ対4に向けて給送する。
【0016】
レジストローラ対4は、シート給送装置61から搬送されてきた用紙Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkと中間転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出す。プリンタ200は、用紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知するセンサも備える。
【0017】
プリンタ200は、トナー像が転写された用紙S(定着対象)上にトナー像を定着させるための定着ユニットとしての接触加熱方式の定着装置100を有する。また、プリンタ200は、定着済みの用紙Sをプリンタ200の本体外部に排出する排紙ローラ7と、プリンタ200の本体上部に配設されて排紙ローラ7によりプリンタ200の本体外部に排出された用紙Sを積載する排紙トレイ17とを有する。また、プリンタ200は、排紙トレイ17の下側に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを収容したトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkを有する。
【0018】
プリンタ200の画像形成動作は次のとおりである。4つの画像形成ステーションで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動する中間転写ベルト11に対し1次転写行程を実行してそれぞれの画像が重畳転写される。中間転写ベルト11に重畳転写された可視像は、用紙Sに対して二次転写ローラ5で二次転写行程を実行することで一括転写される。トナー像が一括転写された用紙Sは定着装置100でトナー像が定着され、定着済みの用紙Sは排紙ローラ7によりプリンタ200の本体外部に排出される。
【0019】
図2は、定着装置100の概略構成図である。定着装置100は、回転可能な定着部材としての無端状の定着ベルト101と、これに対向配置されて回転可能な加圧部材としての加圧ローラ103とを有している。定着装置100は、定着ベルト101の内側に、第一加熱源たるメインヒータ102a、第二加熱源たるサブヒータ102b、ニップ形成部材としてのパッド106および支持部材107を有する。また、定着装置100は、定着ベルト101の内側に、反射板であるリフレクタ109と、摺動部材116を有する。これら、定着ベルト101の内側に配置されているメインヒータ102a、サブヒータ102b、パッド106、摺動部材116及び支持部材107は、いずれも定着ベルト101の幅方向長さ以上の長さを有している。図中、用紙Sは下方から上方に向けて搬送され、定着ベルト101の移動方向は図中反時計回りである。
【0020】
定着ベルト101は、ニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルトまたはフィルムで構成される。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成された弾性層があっても良い。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
【0021】
加圧ローラ103は芯金105に弾性ゴム層104があり、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)103aが設けてある。加圧ローラ103は、画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ103は、スプリングなどにより定着ベルト101側に押し付けられており、弾性ゴム層104が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ103は中空のローラであっても良く、加圧ローラ103にハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。
【0022】
定着ベルト101の内側に配置されたニップ形成部材としてのパッド106は、定着ベルト101を介して加圧ローラ103との間で定着部である定着ニップNを形成する。パッド106は、定着ベルト内面と摺動する摺動部材116が設けられている。このパッド106は、支持部材107に支持されている。支持部材107は、加圧ローラ103により圧力を受けるパッド106の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。
【0023】
メインヒータ102aおよびサブヒータ102bは、ハロゲンヒータであり、定着ベルト101は、内周側からこれらヒータ102a,102bの輻射熱で直接加熱される。ここで、各ヒータ102a,102bは、定着ベルト101を加熱できればよく、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。
【0024】
また、本実施形態では、各ヒータ102a,102bと支持部材107との間にリフレクタ109が設けられている。リフレクタ109を備える代わりに、支持部材107の表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。
【0025】
定着ベルト101の外部には、定着ベルト101の表面温度を検出する温度検知手段である温度検知センサ110が設けられている。温度検知センサ110としては、サーモパイルなど温度応答性の高い温度センサが用いられる。温度検知センサ110は、定着ベルト101の幅方向中央部の温度を検知する(図4参照)。
【0026】
定着ベルト101は加圧ローラ103により連れ回り回転する。図2の場合は加圧ローラ103が駆動源により回転し、定着ニップNでベルトに駆動力が伝達されることにより定着ベルト101が回転する。用紙上の画像たるトナー像は定着ニップNにおいて加熱・加圧により定着される。
【0027】
図3は、定着装置における各ヒータ102a,102bの点灯制御に関する制御ブロック図である。制御部150は、CPU(中央処理装置)、制御プログラムを記憶する読み出し専用のメモリ(ROM)、データを一時的に記憶する読み書き可能なメモリ(RAM)、不揮発性のフラッシュメモリ等を有している。制御部150には、メインヒータ102a、サブヒータ102b、温度検知センサ110、操作パネル80が接続されている。操作パネル80は、表示部と操作部とを備えており、ユーザーの入力操作を受け付ける。
【0028】
制御部150は、ユーザーが操作パネル80を操作して入力したシート給送装置61にセットした用紙のサイズ情報を不揮発性のフラッシュメモリに記憶している。制御部150は、この不揮発性フラッシュメモリに記憶されている用紙のサイズ情報、および、温度検知センサ110が検知した定着ベルト101の温度に基づいて、各ヒータ102a,102bの点灯制御を行う。
【0029】
図4は、本実施形態の定着装置におけるヒータ構成について説明する図である。図4(a)は、メインヒータ102aとサブヒータ102bの両方を点灯させたときの発熱量の幅方向の分布を示し、ハッチングを付した領域がサブヒータ102Bによる発熱量分布である。図4(b)は図4(a)でサブヒータ102bに供給していた分だけ供給電力を増加させてメインヒータ102aのみを点灯したときの同発熱量の分布である。本実施形態の定着装置は、幅方向で均一に発熱するような配熱特性を有するメインヒータ102aと、幅方向両端の発熱量が、中央の発熱量よりも多い配熱特性を有るサブヒータ102bとを有する構成としている。これらのヒータが、互いに配熱特性の異なる定着部材加熱用の第1加熱源及び第2加熱源に相当する。
【0030】
各ヒータ102a,102bの発熱領域Lは、本画像形成装置が通紙可能な最大幅サイズ以上であり、この最大幅サイズ以上の定着ベルト101の幅方向領域を加熱できるようになっている。サブヒータ102bの中央の発熱量は、メインヒータ102aの発熱量よりも少なくなっている。本画像形成装置が通紙可能な最大幅サイズは、図中「SRA3」と表示したサイズは規格外のものであり、幅(通紙方向に直交する方向の長さ)320mmで長さ(通紙方向の長さ)450mmの用紙サイズである。A3サイズの用紙の幅は297mmであり、これよりも「SRA3」の幅の方が大きい。
【0031】
そして、本実施形態では、図2に示すように、定着ベルト101の幅方向の中央に一つの温度検知センサ110を設けており、この温度検知センサ110のみを用いて、定着ベルト101の温度が規定温度(待機温度または定着温度)に維持するように、ヒータを制御している。本実施形態では、温度検知センサ110を定着ベルト101の幅方向中央に設けているが、本画像形成装置が通紙可能な最小幅サイズ(本実施形態では、A6縦サイズ:105mm)の範囲に配置すればよい。
【0032】
図4(a)に示すように、本実施形態では第一加熱源であるメインヒータ102aの配熱特性を幅方向で均一な発熱量を有する配熱特性にし、第二加熱源であるサブヒータ102bの配熱特性を最大サイズ幅の幅方向両側に対応する発熱量が中央の発熱量よりも高い配熱特性を有している。サブヒータ102bとメインヒータ102aとを両方点灯させた場合、端部のトータル発熱量が、中央のトータル発熱量よりも多くなっている。一方、サブヒータ102bを消灯して、メインヒータ102aのみを点灯させた場合、図4(b)に示すように、幅方向にほぼ均一な発熱量となる。この特性を生かし、次のような制御を行える。
【0033】
例えば、電源ON時などの定着部材の端部に接触するガイド部材などの端部接触部材の温度が低いときは、定着部材の端部から端部接触部材へ移動する熱量が多い。このようなときは、第一加熱源と第二加熱源とをONにし、幅方向端部の発熱量を中央部の発熱量よりも多くすることで、定着部材の温度を幅方向でほぼ均一にできる。
【0034】
所定時間、第一加熱源と第二加熱源とで定着部材を加熱すると、端部接触部材の温度がほぼ定着部材と同温度になる。このように、端部接触部材の温度がほぼ定着部材と同温度となると、定着部材の端部から端部接触部材へ移動する熱が減少する。そのため、端部の発熱量が中央部よりも多くなくても、定着部材の温度を幅方向でほぼ均一にできる。よって、所定時間、第一加熱源と第二加熱源とで加熱した後、第二加熱源はOFFとし、第一加熱源のみ温度検知センサの検知結果に基づいて、定着部材の温度を規定温度に維持する制御を行うことで、定着部材の温度を幅方向でほぼ規定温度に維持することができる。
【0035】
そして、温度検知センサの検知結果に基づく定着部材の温度維持を第一加熱源のみで行う期間は、生産性を確保する目的で、第1加熱源への投入電力の配分を高くする。具体的には、例えば、図4(a)から図4(b)に配分を切り替える。
【0036】
このように、第一加熱源と第二加熱源とで所定時間加熱した後は、第一加熱源のみで、定着部材の温度を幅方向でほぼ規定温度に維持することができるため、第二加熱源用の温度検知センサを無くすことができる。よって、幅方向の中央部に加え端部にも温度センサを設ける場合に比して温度センサの個数を減らして装置のコストダウンを図ることができる。
【0037】
そして、本実施形態では、画像形成条件に応じ第1加熱源と第2加熱源への投入電力の配分を変更する配分変更手段を有する。画像形成条件は通紙する用紙の幅や連続印刷の継続時間などである。例えば、通紙する用紙の幅がA3の幅Xを超えるか否かで、Xを超えるものを大サイズ、X以下のものを小サイズとして投入電力の配分を変更する。大サイズ用の配分から小サイズ用の配分への切替は、生産性を確保する目的で、図4で例示するように、第1加熱源への配分電力を増加させると共に、第2加熱源へ配分電力を減少させる(0にするものを含む)電力配分変更になる。
【0038】
ところが、第1加熱源への配分電力を増加させると共に、第2加熱源へ配分電力を減少させる電力配分変更をおこなった場合に、定着部材の温度のオーバーシュートが生じ、定着画像の光沢度ムラが生じるという問題が確認された。本実施形態の定着部材のように熱容量が比較的小さな薄肉の定着ベルトを用いる場合に顕著である。
【0039】
原因を鋭意研究したところ次のことが判明した。定着ベルト中央部で温度制御しているため、同じ坪量や、同じ印刷モードの連続通紙中において、用紙サイズに依らず切替前後で略同じ電力が必要となる。つまり、切替前後のどちらの電力配分であっても、定着ベルト中央で用紙に取られていく熱量を補える分の電力を供給する必要がある。よって、サイズ切替前に第2加熱源で供給していた電力と略同じ電力を、切替後の第1加熱源に配分し加算する事が必要となる。
【0040】
そして、切替前の第2加熱源の、第1加熱源に対する電力比率が所定値を上回ると、切替直後は切替前の第2加熱源の熱履歴の影響が大きく、ニップ上流の領域の温度が目標値に対して高くなってしまうことが判明した。第2加熱源の熱履歴の影響は以下の2種類がある。一つ目は、大サイズ点灯モード時の第2加熱源の電力投入によるベルト昇温そのものである。2つ目は、小サイズ点灯モードに切替後、第2加熱源の電力投入量が大サイズ点灯モードに対して減少、又は0になった場合でも、高温になったヒータのガラス管からの輻射熱の影響により一定期間持続する熱履歴である。
【0041】
図5は両加熱源を点灯する電力配分と第1加熱源のみを点灯する電力配分それぞれにつき、ニップNの前の位置と温度の関係(温度プロファイル)の説明図である。温度プロファイルは、定着ベルトの幅の中央部の、図2中に付したベルト周回の地点Pから地点Qへの向きに特定の領域の温度をベルトと同じ速度で回転しながら追跡した様子を模式的に示す。地点Pが図5の横軸の時刻t0、地点Qが図5の横軸の時刻t1に対応する。
【0042】
図5(a)は大サイズ連続通紙時の第1加熱源と第2加熱源を両方点灯している時の温度プロファイル、図5(b)は小サイズ連続通紙時の第1加熱源のみを点灯している時の温度プロファイルである。温度縦軸の0点は制御温度である130℃、ニップNより前の地点Qの温度は140℃である。図5(a),図5(b)は、坪量が同じ81.4g/m2で、立ち上げから同じ枚数(20枚)通紙した時の紙サイズ違いのスリーブの周回方向の温度を模式的に示す。図5(a)の大サイズ用の点灯モードでは第2加熱領域で緩やかに昇温し、第1加熱領域でやや急峻に昇温し、ニップNの前(ニップ上流)で適正な温度TQが得られる。図5(b)の小サイズ用の点灯モードでは第2加熱領域でほぼ昇温せず、第1加熱領域で急峻に昇温し、ニップNの前(ニップ上流)で適正な温度TQが得られる。
【0043】
図6は、大サイズ点灯モードから小サイズ点灯モードに切り替わる場合の昇温の様子を説明する図である。図6(a)の破線Aは大サイズ通紙時に第2加熱源の投入電力が第1加熱源の投入電力に対して所定値以下の配分の場合のベルトの昇温プロファイルの模式図を示す。破線Bは大サイズ通紙時に第2加熱源の投入電力が第1加熱源の投入電力に対して所定値を超える場合の昇温プロファイルの模式図を示す。図6(a)の実線Cは破線Aの配分の電力で大サイズ通紙後、図6(b)の小サイズ点灯モードに切り替わりニップNの前の地点Qの温度が許容値以下となる昇温プロファイルの模式図である。
【0044】
この大サイズ通紙時の電力配分(点灯モード)の最終ページの第1加熱源へ投入される電力に対する、小サイズ点灯モード切替後の第1ページの第1加熱源へ投入される電力の増加割合を0.5以下とすることにより大サイズ通紙時の第2加熱源の熱履歴の影響を小さくし、小サイズ点灯モードに切替直後のオーバーシュート量を小さくし、ニップ前温度を許容値以下にできることが判った。電力配分切替前の最後の記録材と電力配分切替後の最初の記録材の間のニップNの通過時間が3秒以下であれば実用的である。
【0045】
図6(a)の実線Dは破線Bの投入電力比で大サイズ通紙後、図6(b)の小サイズ点灯モードに切り替わりニップNの前の地点Qの温度が許容値を超えてしまう昇温プロファイルの模式図を示す。後述する比較例1や比較例2に対応する。大サイズ通紙時の電力配分(点灯モード)の最終ページの第1加熱源へ投入される電力に対する、小サイズ点灯モード切替後の第1ページの第1加熱源へ投入される電力の増加割合が0.5を超えると大サイズ通紙時の第2加熱源の熱履歴の影響が大きく、小サイズ点灯モードに切替直後のオーバーシュート量が大きくなり、ニップ前温度が許容値を超えてしまう。
【0046】
〔実施例1〕
表1は後述する実施例1に係る大サイズから小サイズの点灯モード切替時の実験結果を示す表である。
【表1】
【0047】
図7は実施例1の制御のフローチャートである。このフローチャートは大サイズから小サイズに切り替わる制御フローを示し、逆の小サイズから大サイズに切り替わる制御フロー部分は含まない。画像形成装置は印刷指示を受けると、S1において第1の加熱源と第2の加熱源の両方を点灯する。この時の最大の電力を図3(a)の立ち上げモードの電力に示す。
【0048】
次にS2において、1枚目の用紙先端がニップに突入すると目標温度と温度検知センサ110で検知した現在温度(以下、単に現在温度という。)の差に応じてS3で投入電力量を確定し、S4においてN=1枚目が規定幅である所定の幅Xよりも広いか否か判断する。S4で幅Xよりも広いとの判断の場合、S8に進み、大サイズ用の第1点灯モードでS3で確定した投入電力量を第1の加熱源にv[W]、第2の加熱源にw[W]配分し、S10で用紙を加熱定着させる。本実施例の幅Xは前述のようにA3幅の=297mmとした。
【0049】
次にN=20枚目の用紙幅がA3幅よりも広いSRA3サイズ(幅:320mm長さ:450mm)の用紙を通紙し、N=21枚目以降A4縦サイズを通紙した場合の制御の動きを説明する。SRA3サイズの用紙が第1幅の記録材に相当し、SRA3サイズより狭い幅の用紙が第2幅の記録材に相当する。S4でN=21枚目がA4サイズの場合、S5に進み、N=20枚目がSRA3サイズであった事から、S6でN=20枚目の用紙後端がニップNを抜けるまではS8の大サイズ用の第1の点灯モードで電力が点灯され、S6でN=20枚目の用紙後端がニップを抜けた後はS7の投入電力補正により、S3で確定した電力から電力が補正される。
【0050】
以下、S3で電力補正する理由を述べる。N=20枚目までは、SRA3サイズの為、大サイズ用のヒータ点灯モードで点灯するが、次のページのN=21枚目は小サイズであり、非通紙部が広がる為、端部高の第2の加熱源の点灯を少なくする第2の点灯モードへの切り替えが必要である。非通紙部の温度上昇を防ぐためである。一方、N=20枚目とN=21枚目の用紙中央の領域に必要とされる熱量はほぼ同じであるため、第1の点灯モードから第2の点灯モードに切り替えると、図4(b)の発熱分布の模式図に示すように点線枠のΔQの部分の熱量を削減することができる。S7では、このΔQの削減分に相当した電力を、S3で確定した電力に対して補正する。
【0051】
次に、補正した電力に対してS9で、小サイズ用の第2の点灯モードで第1加熱源にv'[W]、第2加熱源にw'[W]配分し、S10で用紙を加熱定着させる。ニップ前のベルト温度TQが140℃±8℃以内であれば、以下条件の全面Red画像の光沢度ムラが視認されなくなったため、この温度範囲の結果を表1に○と表記した。
【0052】
ここで、表1に記載のN枚目の電力は、N-1枚目の紙後端が定着ニップを抜けた直後を起点にN枚目の用紙後端までの間の平均の電力である。1枚目は1枚目の通紙時間で割った平均電力であり、立ち上げモードの電力は第1加熱源と第2加熱源がそれぞれ投入できる最大の電力を示している。
【0053】
本実施例の線速は150mm/sであり、20枚目と21枚目の紙間距離は134mmで、紙間距離に対応する時間は0.9sである。20枚目の第1の加熱源の平均電力は463W、21枚目の第1の加熱源の平均電力は687Wであり、その増加割合は(687-463)/463=0.48≦0.5である。
【0054】
各平均電力を図7のフローチャートに記載の記号を用いて式にすると、20枚目の第1の加熱源の平均電力はΣvi/N=463W、21枚目の第1の加熱源の平均電力はΣvi'/N=687Wである(Nは電力測定サンプル数)。ベルト温度TQ=140±8℃以内であり、中央温度は光沢度ムラOであった。
【0055】
<条件>
・電力配分は、SRA3サイズの用紙が定着ニップを通過した直後に切替。
・制御温度:130℃
・ベルト層構成:基層(Ni)30um、シリコーンゴム層120um、表層8umのPFAコート
・100V入力で印刷開始直後の第1加熱源の電力:770W
・100V入力で印刷開始直後の第2加熱源の電力:385W
・紙サイズ:SRA3を20枚通紙後、A4縦サイズ20枚(SRA3 3枚目~19枚目は不図示)
・SRA3:13CPM/A4縦:20CPM
・画像は付着量=0.84mg/cm2の全面Red画像で光沢ムラ確認
・線速150mm/s
・用紙坪量:81.4g/m2
・ベルト温度計測:熱電対を軸方向中央部のニップ前の地点Qに配置
・20枚目の用紙後端から21枚目の用紙先端の距離は134mm。線速で割った紙間の通過時間は0.9sec
・環境23℃/相対湿度50%
【0056】
表2は比較例1の大サイズから小サイズの点灯モード切替時の実験結果を示す表である。
【表2】
【0057】
第一熱源と第二熱源の最大電力投入時の配分が実施例1と異なる例である。
<条件>
・制御温度、ベルト層構成など、以下電力配分切替前の電力配分以外は実施例1と共通
・100V入力で印刷開始直後の第1加熱源の電力:700W
・100V入力で印刷開始直後の第2加熱源の電力:455W
【0058】
20枚目の第1の加熱源の平均電力は422W、21枚目の第1の加熱源の平均電力は685Wであり、その増加割合は(685-422)/422=0.62>0.5であり、このときベルト温度TQ=140±8℃の範囲を超え、中央温度は光沢度ムラ×であった。
【0059】
表3は実施例2の大サイズから小サイズの点灯モード切替時の実験結果を示す表である。
【表3】
【0060】
20枚目の第1の加熱源の平均電力は475W、21枚目の第1の加熱源の平均電力は707Wであり、その増加割合は(707-475)/475=0.49であり光沢度ムラも抑えられる。但し、実施例1に対して、ベルトの膜厚を厚くする事で、枚数に依らず合計電力が高くなり、省エネ性が実施例1に対して不利となった。
<条件>
・ベルトの層厚を厚くしたものである。
・ベルト層構成:基層(Ni)30um、シリコーンゴム層250um、表層15umのPFAコート
・その他条件は実施例1と同じ
【0061】
表4は実施例3のA3サイズからA4サイズに切り替わる場合の実験結果を示す表である。
【表4】
【0062】
<条件>
・制御温度、ベルト層構成、印刷開始直後の電力、線速などは実施例1と同じ
・紙サイズ:A3を20枚通紙/A4縦を20枚通紙
・A3:14CPM/A4縦:20CPM
・20枚目の用紙後端から21枚目の用紙先端の距離は134mm。線速で割った紙間の通過時間は0.9sec
【0063】
A3サイズ、A4サイズ共に、図7のフローチャートのS4のX=297の閾値を超えないサイズであり、SRA3サイズに対して端部だれの影響を受けにくい。図8は第1点灯モードと第2点灯モードの1枚目のベルト表面の幅方向の温度分布の模式図である。この模式図で実線が第1点灯モード、破線が第二点灯モードを示す。A3では、何れのモードでも端部だれの影響を受けにくいことがわかる。よって、図7のフローチャートのS4からS8へのフローや、S5からS6へのフローは無く、N=1枚目から、N=20枚目とN=21枚目の紙サイズの切り替えに依らず、S9において第2の点灯モードで電力が投入される。このため、N=20枚目とN=21枚目の各加熱源の平均電力の変動は小さく、紙サイズの切り替えに伴うオーバーシュートの問題は顕在化しない。なお、図8ではA4サイズまで示したが、より小さな用紙、例えばハガキが最小サイズ幅であり、この最小サイズ幅にも、幅方向で対向する箇所に温度検知センサ110を配置する。
【0064】
表5は実施例4のSRA3サイズからA4サイズに切り替わる場合の実験結果を示す表である。
【表5】
【0065】
<条件>
・20枚目の用紙後端から21枚目の用紙先端の距離は75mm。線速で割った紙間の通過時間は0.5sec
【0066】
実施例1に対して紙間が短くなる。20枚目の第1の加熱源の平均電力は463W、21枚目の第1の加熱源の平均電力は684Wであり、その増加割合は(684-463)/463=0.48≦0.5である。実施例1に対して熱履歴の影響を受けやすくオーバーシュート量は大きくなるが、中央温度は140±8℃内であり、光沢ムラを抑えることができる。
【0067】
表6は実施例5のSRA3サイズからA4サイズに切り替わる場合の実験結果を示す表である。
【表6】
【0068】
<条件>
・制御温度:145℃
・線速:250mm/s
・SRA3:30CPM、A4縦:45CPM
・40枚目の用紙後端から41枚目の用紙先端の距離は44mm。線速で割った紙間の通過時間は0.18sec
【0069】
実施例1に対して紙間が短くなる。20枚目の第1の加熱源の平均電力は484W、21枚目の第1の加熱源の平均電力は724Wであり、その増加割合は(724-484)/484=0.496≦0.5である。この条件を満たせば、実施例3に対して線速upした本実施例であっても、中央温度のオーバーシュート量を155±8℃以内に抑え、光沢ムラを抑えることができる。
【0070】
表7は比較例2のSRA3サイズからA4サイズに切り替わる場合の実験結果を示す表である。
【表7】
【0071】
<条件>
以下電力配分切替前の電力配分以外は実施例5と共通
・100V入力で印刷開始直後の第1加熱源の電力:700W
・100V入力で印刷開始直後の第2加熱源の電力:455W
【0072】
40枚目の第1の加熱源の平均電力は442W、41枚目の第1の加熱源の平均電力は700Wであり、その増加割合は(700-442)/442=0.58>0.5であり、このときベルト温度TQ=155±8℃の範囲を超え、中央温度は光沢度ムラ×であった。
また、従来例2と同じ実験で、N=40枚目とN=41枚目の紙間を750mm、紙間時間を3まで延長したところ、41枚目のニップ前温度の最大は157℃であり、光沢度ムラ○であった。しかしながら、紙間を拡げることによって、待ち時間が発生し、ユーザビリティが悪化してしまう課題がある。
【0073】
<変形例>
・樹脂パッドに摺動シートの摺動構成としたが、アルミニウムなどの熱伝導補助部材を用いた擦動構成でもよい。本実施例では、用紙幅の閾値X=297mmとして、印刷途中で点灯配分を切り替えたが、閾値はこれに限られない。本実施例では、実施例1~4では21枚目、実施例5では41枚目で点灯モードの切り替えて実施したが、この枚数に限らない。
【0074】
以上、配分変更手段が、第1加熱源への配分電力を増加させると共に、第2加熱源へ配分電力を減少させる電力配分変更をおこなうとき、該電力配分変更の前の最終の記録材につき第1加熱源へ投入する電力に対する、電力配分変更の後の最初の記録材につき第1加熱源へ投入する電力の増加割合が0.5以下にするには、たとえば、制御部150のROMなどの記憶部に記憶させておく、電力配分変更のデータテーブルに記憶させる情報を、上記増加割合が0.5以下になるように設定しておく。
【符号の説明】
【0075】
3 :給送ローラ
4 :レジストローラ対
5 :二次転写ローラ
7 :排紙ローラ
8 :光書込装置
8um :表層
9Bk :トナーボトル
9C :トナーボトル
9M :トナーボトル
9Y :トナーボトル
10 :中間転写ベルトユニット
11 :中間転写ベルト
12Bk :1次転写ローラ
12C :1次転写ローラ
12M :1次転写ローラ
12Y :1次転写ローラ
13 :中間転写クリーニング装置
15um :表層
17 :排紙トレイ
20Bk :感光体ドラム
20C :感光体ドラム
20M :感光体ドラム
20Y :感光体ドラム
30Bk :帯電装置
40Bk :現像装置
50Bk :クリーニング装置
61 :シート給送装置
71 :転写装置
72 :弾性ローラ
73 :従動ローラ
80 :操作パネル
100 :定着装置
101 :定着ベルト
102a :メインヒータ
102b :サブヒータ
103 :加圧ローラ
104 :弾性ゴム層
105 :芯金
106 :パッド
107 :支持部材
109 :リフレクタ
110 :温度検知センサ
116 :摺動部材
150 :制御部
200 :プリンタ
L :発熱領域
Lb :書き込み光
N :定着ニップ
S :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2013-148721号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8