(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124722
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】コンテンツ伝送信号生成装置、OFDMフレーム生成装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/236 20110101AFI20230830BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20230830BHJP
H04N 21/238 20110101ALI20230830BHJP
H04H 20/18 20080101ALI20230830BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20230830BHJP
H04H 20/95 20080101ALI20230830BHJP
【FI】
H04N21/236
H04N21/235
H04N21/238
H04H20/18
H04H20/28
H04H20/95
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028684
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】永田 裕靖
(72)【発明者】
【氏名】今村 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】大槻 一博
(72)【発明者】
【氏名】河村 侑輝
(72)【発明者】
【氏名】大西 正芳
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164MB13S
5C164SB07P
5C164SB11P
5C164SB21P
(57)【要約】
【課題】コンテンツデータの伝送効率を向上させる。
【解決手段】コンテンツ伝送信号生成装置100は、TLVパケットを生成するTLV化部106と、FECブロックバイトオフセット情報と、TLV格納バイトオフセット情報と、LLchオフセット情報と、を生成するOFDMフレーム構成情報生成部107と、FECブロックバイトオフセット情報を含む同期制御パケットを生成する同期制御パケット構成部103と、階層データTLVパケットにTLV格納バイトオフセット情報を付加して階層データパケットを生成するバイトオフセット付加部108と、LLchデータTLVパケットにLLchオフセット情報を付加してLLchデータパケットを生成するLLchオフセット付加部109と、同期制御パケット、階層データパケット、及びLLchデータパケットにシーケンス番号を挿入してコンテンツ伝送信号を生成する挿入部111と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ伝送信号をOFDMフレーム生成装置に送信するコンテンツ伝送信号生成装置であって、
階層別のコンテンツデータを含むパケットをTLVパケットにカプセル化した階層別の階層データTLVパケットと、前記コンテンツデータよりも低遅延で伝送されるLLchデータを含むパケットをTLVパケットにカプセル化したLLchデータTLVパケットと、を生成するTLV化部と、
前記OFDMフレーム生成装置で構成されるOFDMフレームにおけるFECブロックのOFDMフレーム先頭からのバイトオフセットを示すFECブロックバイトオフセット情報と、前記FECブロックにおけるTLVパケットの格納場所を示すTLV格納バイトオフセット情報と、前記OFDMフレームにおける前記LLchデータの割り当て位置を示すLLchオフセット情報と、を生成するOFDMフレーム構成情報生成部と、
前記FECブロックバイトオフセット情報を含む同期制御パケットを生成する同期制御パケット構成部と、
前記TLVパケットに対して前記TLV格納バイトオフセット情報を付加して階層データパケットを生成するバイトオフセット付加部と、
前記LLchデータTLVパケットに対して前記LLchオフセット情報を付加してLLchデータパケットを生成するLLchオフセット付加部と、
前記同期制御パケット、前記階層データパケット、及び前記LLchデータパケットに対してシーケンス番号を挿入してコンテンツ伝送信号を生成する挿入部と、
を備える、コンテンツ伝送信号生成装置。
【請求項2】
前記LLchオフセット情報は、前記OFDMフレームに前記LLchデータを割り当てる際の、先頭のシンボル位置及び先頭のキャリア位置を示す情報を含む、請求項1に記載のコンテンツ伝送信号生成装置。
【請求項3】
前記LLchオフセット情報は、前記LLchデータTLVパケットが分割された場合に、各分割後の前記LLchデータTLVパケットが、先頭部分であるか、最終部分であるか、先頭部分及び最終部分以外であるかを示す情報を含む、請求項1又は2に記載のコンテンツ伝送信号生成装置。
【請求項4】
前記挿入部は、前記同期制御パケット、前記階層データパケット、及び前記LLchデータパケットのいずれに該当するかを示すパケット種別情報を更に挿入する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンテンツ伝送信号生成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコンテンツ伝送信号生成装置から前記コンテンツ伝送信号を受信するOFDMフレーム生成装置であって、
FECブロック領域を用意し、前記TLV格納バイトオフセット情報に基づいて、該FECブロック領域に前記階層データTLVパケットをマッピングするTLVマッピング部と、
前記FECブロックバイトオフセット情報に基づいて、前記階層データTLVパケットを連結して主信号領域に格納したFECブロックを1OFDMフレーム分形成するFECブロック形成部と、
前記FECブロックに対して誤り訂正符号化処理及びインターリーブ処理を行うデータ処理部と、
前記LLchデータを直接所定の変調方式で変調してLLchキャリアシンボルを生成するLLch変調部と、
前記データ処理部により処理されたデータに前記LLchキャリアシンボルを多重してOFDMフレームを構成するOFDMフレーム構成部と、
を備える、OFDMフレーム生成装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンテンツ伝送信号生成装置として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、請求5に記載のOFDMフレーム生成装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ伝送信号生成装置、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレーム生成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の地上デジタルテレビジョン放送の高度化方式(以下、「高度化方式」と称する。)では、演奏所から放送所(送信所)までのプログラム伝送フォーマッタとしてIP(Internet Protocol)ベースのXMI(eXtensible Modulator Interface)パケットを用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、大地震や異常気象などにより、情報を早急に伝えるニーズが高まっている。そこで、緊急地震速報などの即時性が高い情報を低遅延で視聴者に届けるために、XMIではLLch(Low Latency channel)と呼ばれる、時間インターリーブなどの処理を行わない低遅延伝送チャンネルが検討されている。
【0004】
また、XMIでは、SFN(Single Frequency Network)を実現するために、現行の地上デジタル放送の放送TS(Transport Stream)と同様に、プログラム伝送信号を再多重化装置から固定長・一定レートで出力する。そのため、実データが無い部分においては、スタッフィングやヌルデータを伝送して固定長・一定レートを実現している他、LDPCのパリティ部分をヌルで埋めて送信している。LLchの送出に関しては、同期制御情報以外の1XMIパケットに対し、5バイトのLLch領域を常に確保している。そのため、LLchで伝送する内容が無い場合においても常に空のデータを伝送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
XMIパケットを用いた高度化方式の実験において、SISO(Single Input Single Output)で30Mbps程度の映像・音声データ(コンテンツデータ)を伝送する際のXMIの伝送レートは約50Mbps程度であり、MIMO(Multiple Input Multiple Output)で60Mbps程度のコンテンツデータを伝送する際には約100Mbpsの伝送帯域が必要である。すなわち、XMIパケットのレートの約40%が放送所で破棄されることになる。また、現行の地上デジタル放送のコンテンツ伝送信号を演奏所から放送所に伝送するためのSTL(Studio to Transmitter Link)/TTL(Transmitter to Transmitter Link)の最大伝送レートは現在のパラメータでは約40Mbpsであるため、高度化方式のコンテンツデータを既存のSTL送信機を用いてXMIパケットで伝送することは不可能である。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、コンテンツデータの伝送効率を向上させることが可能なコンテンツ伝送信号生成装置、OFDMフレーム生成装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係るコンテンツ伝送信号生成装置は、コンテンツ伝送信号をOFDMフレーム生成装置に送信するコンテンツ伝送信号生成装置であって、階層別のコンテンツデータを含むパケットをTLVパケットにカプセル化した階層別の階層データTLVパケットと、前記コンテンツデータよりも低遅延で伝送されるLLchデータを含むパケットをTLVパケットにカプセル化したLLchデータTLVパケットと、を生成するTLV化部と、前記OFDMフレーム生成装置で構成されるOFDMフレームにおけるFECブロックのOFDMフレーム先頭からのバイトオフセットを示すFECブロックバイトオフセット情報と、前記FECブロックにおけるTLVパケットの格納場所を示すTLV格納バイトオフセット情報と、前記OFDMフレームにおける前記LLchデータの割り当て位置を示すLLchオフセット情報と、を生成するOFDMフレーム構成情報生成部と、前記FECブロックバイトオフセット情報を含む同期制御パケットを生成する同期制御パケット構成部と、前記TLVパケットに対して前記TLV格納バイトオフセット情報を付加して階層データパケットを生成するバイトオフセット付加部と、前記LLchデータTLVパケットに対して前記LLchオフセット情報を付加してLLchデータパケットを生成するLLchオフセット付加部と、前記同期制御パケット、前記階層データパケット、及び前記LLchデータパケットに対してシーケンス番号を挿入してコンテンツ伝送信号を生成する挿入部と、を備える。
【0009】
さらに、一実施形態において、前記LLchオフセット情報は、前記OFDMフレームに前記LLchデータを割り当てる際の、先頭のシンボル位置及び先頭のキャリア位置を示す情報を含んでもよい。
【0010】
さらに、一実施形態において、前記LLchオフセット情報は、前記LLchデータTLVパケットが分割された場合に、各分割後の前記LLchデータTLVパケットが、先頭部分であるか、最終部分であるか、先頭部分及び最終部分以外であるかを示す情報を含んでもよい。
【0011】
さらに、一実施形態において、前記挿入部は、前記同期制御パケット、前記階層データパケット、及び前記LLchデータパケットのいずれに該当するかを示すパケット種別情報を更に挿入してもよい。
【0012】
また、一実施形態に係るOFDMフレーム生成装置は、上記コンテンツ伝送信号生成装置から前記コンテンツ伝送信号を受信するOFDMフレーム生成装置であって、FECブロック領域を用意し、前記TLV格納バイトオフセット情報に基づいて、該FECブロック領域に前記階層データTLVパケットをマッピングするTLVマッピング部と、前記FECブロックバイトオフセット情報に基づいて、前記階層データTLVパケットを連結して主信号領域に格納したFECブロックを1OFDMフレーム分形成するFECブロック形成部と、前記FECブロックに対して誤り訂正符号化処理及びインターリーブ処理を行うデータ処理部と、前記LLchデータを直接所定の変調方式で変調してLLchキャリアシンボルを生成するLLch変調部と、前記データ処理部により処理されたデータに前記LLchキャリアシンボルを多重してOFDMフレームを構成するOFDMフレーム構成部と、を備える。
【0013】
また、一実施形態係るプログラムは、コンピュータを、上記コンテンツ伝送信号生成装置として機能させる。
【0014】
また、一実施形態係るプログラムは、コンピュータを、上記OFDMフレーム生成装置として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンテンツデータの伝送効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンテンツ伝送信号生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコンテンツ伝送信号生成装置が生成するTLVパケットの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るコンテンツ伝送信号生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】従来のXMIパケットのパケット構成を示す図である。
【
図6】従来のFECブロックとOFDMフレームを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る伝送信号生成装置が生成するSTLPパケットの構成例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る伝送信号生成装置が生成するLLch開始フラグ及びLLch終了フラグの使用例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る伝送信号生成装置が生成するLLchシンボルオフセット及びLLchバイトオフセットの使用例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るOFDMフレーム生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るOFDMフレーム生成装置が生成するFECブロックの構成例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るOFDMフレーム生成装置のOFDMフレーム生成の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(配信システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る配信システム1の構成例を示す図である。
図1に示す配信システム1は、演奏所10と、放送所20と、を備える。演奏所10は、多重化装置11(11a~11c)と、再多重化装置12と、STL送信機13と、を備える。放送所20は、STL受信機21と、パケット監視装置22と、トラフィックスムーサー23と、変調装置24と、送信機25と、を備える。演奏所10と放送所20とは、ネットワークとしてのコンテンツ伝送回線30を介して接続される。
【0019】
多重化装置11aは、外部から入力したA階層用のコンテンツ信号(映像・音声信号及び字幕信号)を多重化し、所定の形式のパケットにパケット化して、A階層用パッケージとして再多重化装置12に出力する。本実施形態では、多重化装置11はMMT(MPEG Media Transport)形式のパケットであるMMTP(MMT Protocol)パケットを生成するものとする。
【0020】
同様に、多重化装置11bは、外部から入力したB階層用のコンテンツ信号を多重化し、所定の形式のパケットにパケット化して、B階層用パッケージとして再多重化装置12に出力する。多重化装置11cは、外部から入力したC階層用のコンテンツ信号を多重化し、所定の形式のパケットにパケット化して、C階層用パッケージとして再多重化装置12に出力する。
【0021】
多重化装置11と再多重化装置12との間の伝送路は、IP伝送路であり、例えば多重化装置11はMMTPパケットをIPパケットに格納してMMTP/IPパケットとして再多重化装置12に出力する。
【0022】
再多重化装置12は、多重化装置11a,11b,11c及びLLchデータにより多重化された複数の階層用パッケージデータを1系統に再多重化して、SLTP形式のコンテンツ伝送信号をSTL送信機13に出力する。
【0023】
STL送信機13は、コンテンツ伝送信号を、コンテンツ伝送回線30を介して放送所20に送信する。
【0024】
STL受信機21は、コンテンツ伝送信号を、コンテンツ伝送回線30を介して演奏所10から受信する。
【0025】
パケット監視装置22は、パケットの伝送遅延を監視し、放送の安定化を図る。例えば、パケット監視装置22は、パケットのタイムスタンプを監視する。このタイムスタンプは、トラフィックスムーサー23がパケットを送信すべき時刻の基準となる送信時刻を示すタイムスタンプとして機能する。なお、放送所20は、パケット監視装置22を必ずしも備える必要は無い。
【0026】
トラフィックスムーサー23は、正確なタイムスタンプで一定間隔にパケットを出力する。例えば、トラフィックスムーサー23は、外部のGPS(Global Positioning System)サーバ、PTP(Precision Time Protocol)サーバ、又はNTP(Network Time Protocol)サーバ等から取得される時刻情報を用いてパケットのタイムスタンプを補正する。そして、トラフィックスムーサー23は、タイムスタンプが補正されたパケットを、補正されたタイムスタンプが示す送信時刻に変調装置24へ出力する。トラフィックスムーサー23は、専用機器である必要はなく、コンピュータソフトウェアの形態でもよい。また、パケット監視装置22がトラフィックスムーサー23を内蔵していてもよい。なお、放送所20は、トラフィックスムーサー23を必ずしも備える必要は無い。
【0027】
変調装置24は、トラフィックスムーサー23から入力した、タイムスタンプが補正されたパケットを変調し、送信機25に出力する。
【0028】
送信機25は、変調装置24から入力したパケットに応じた放送波を生成し、アンテナを介して放送所20の外部に送信する。
【0029】
(コンテンツ伝送信号生成装置)
次に、本発明の一実施形態に係るコンテンツ伝送信号生成装置100について説明する。コンテンツ伝送信号生成装置100は、再多重化装置12、又は再多重化装置12の機能を付随する設備に組み込まれる。コンテンツ伝送信号生成装置100は専用のハードウェアである必要は無く、コンピュータソフトウェアの形態であってもよい。
【0030】
従来のコンテンツ伝送信号生成装置(再多重化装置)では、TLV(Type Length Value)パケットを生成し、TLVパケットからFECブロック及びOFDMフレームを構成し、OFDMフレームを分割してXMIパケットとしていた。一方、本発明に係るコンテンツ伝送信号生成装置100では、TLVパケットを生成し、その後FECブロックを生成せずに、コンテンツ伝送信号を生成する。そして、コンテンツ伝送信号生成装置100は、コンテンツ伝送信号を後述するOFDMフレーム生成装置に送信する。
【0031】
図2は、コンテンツ伝送信号生成装置100の構成例を示すブロック図である。
図2に示すコンテンツ伝送信号生成装置100は、フレーム時刻生成部101と、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)生成部102と、同期制御パケット構成部103と、階層分離部104と、IPヘッダ圧縮部105と、TLV(Type Length Value)化部106と、OFDMフレーム構成情報生成部107と、バイトオフセット付加部108と、LLchオフセット付加部109と、階層合成部110と、挿入部111と、を備える。
【0032】
フレーム時刻生成部101は、外部から入力したPTP(Precision Time Protocol)/NTP(Network Time Protocol)に基づいて、OFDMフレームの周期を示すフレーム周期情報、及び時刻を示す時刻情報を生成する。そして、フレーム時刻生成部101は、フレーム周期情報を同期制御パケット構成部103に出力し、時刻情報を挿入部111に出力する。時刻情報は、例えばNTP(Network Time Protocol)形式で示される。
【0033】
TMCC生成部102は、外部から入力した設定情報(変調装置24のパラメータ、中継局の遅延制御情報など)に基づいてTMCC情報を生成し、同期制御パケット構成部103に出力する。
【0034】
同期制御パケット構成部103は、TMCC生成部102により生成されたTMCC情報と、フレーム時刻生成部101から得られたフレーム周期情報とから、OFDMフレームの開始点を示す情報であるOFDMフレーム開始指示(例えば、1OFDMの周期のフラグ情報)を生成し、OFDMフレーム構成情報生成部107に出力する。
【0035】
また、同期制御パケット構成部103は、OFDMフレームの同期制御情報、及びOFDMフレーム構成情報生成部107から得られたFECブロックバイトオフセット情報を格納した同期制御パケットを生成し、挿入部111に出力する。同期制御パケットの詳細については後述する。
【0036】
階層分離部104は、演奏所10のマスターなどの送出設備から出力されたコンテンツ信号のMMTP/IPパケットを入力し、パケット種別により階層分離を行い、階層別のコンテンツデータを含むパケット(本実施形態では、A階層、B階層、及びC階層の階層データ)、及び該コンテンツデータよりも低遅延で伝送されるLLchデータ(例えば、緊急地震速報)を含むパケットに分離し、IPヘッダ圧縮部105に出力する。
【0037】
IPヘッダ圧縮部105は、階層分離部104により分離されたMMTP/IPパケットに対して、必要に応じて、IPヘッダの圧縮を行い、TLV化部106に出力する。
【0038】
TLV化部106は、IPヘッダ圧縮部105から入力した、A/B/C階層別のコンテンツデータを含むパケットを、可変長のTLVパケットにカプセル化して階層別の階層データTLVパケットを生成する。また、TLV化部106は、IPヘッダ圧縮部105から入力した、LLchデータを含むパケットを、可変長のTLVパケットにカプセル化したLLchデータTLVパケットを生成する。TLV化部106は、階層データTLVパケットをバイトオフセット付加部108に出力し、LLchデータTLVパケットをLLchオフセット付加部109に出力する。また、TLV化部106は、階層データTLVパケット及びLLchデータTLVパケットのパケット長の情報をOFDMフレーム構成情報生成部107に出力する。
【0039】
図3は、TLVパケットの構成例を示す図である。なお、以下では、各フィールドに付された数字は、各フィールドのビット数の一例を示す。
【0040】
図3に示すように、TLVパケットは、予約領域と、パケット種別と、データ長と、データ領域との情報を含む。パケット種別は、TLVパケットの種別を示す。パケット種別により、該TLVパケットがIPv4若しくはIPv6又は圧縮IPであるかを特定する。データ長は、データ領域に格納されるデータのサイズを示す。TLV化部106は、IPヘッダ圧縮部105から入力したIPパケットをデータ領域に格納する。なお、予約領域については、例えば全ビットを“1”としてもよい。
【0041】
OFDMフレーム構成情報生成部107は、設定情報から得られた伝送モード、GI(Guard interval)比、TMCC情報等と、同期制御パケット構成部103から入力したOFDMフレーム開始指示とに基づいて、放送所20で構成されるOFDMフレームにおけるFECブロックのOFDMフレーム先頭からのバイトオフセットを示すFECブロックバイトオフセット情報(例えば、3バイトの情報)を生成し、同期制御パケット構成部103に出力する。なお、FECブロックバイトオフセット情報は、OFDMフレームを跨がない場合のFECブロックのOFDMフレーム先頭からのバイトオフセットを示す情報としてもよい。
【0042】
また、OFDMフレーム構成情報生成部107は、設定情報から得られた符号長や符号化率(符号化の設定情報)、及びTLV化部106から得られたTLVパケットのパケット長の情報に基づいて、LDPCパリティ部の長さやFECブロック長の情報を得て、FECブロックにおけるA/B/C階層データのTLVパケットの格納場所を示すTLV格納バイトオフセット情報(例えば、3バイトの情報)と、放送所20で構成されるOFDMフレームにおけるLLchデータの割り当て位置を示すLLchオフセット情報(例えば、3バイトの情報)と、を生成する。そして、OFDMフレーム構成情報生成部107は、TLV格納バイトオフセット情報をバイトオフセット付加部108に出力し、LLchオフセット情報をLLchオフセット付加部109に出力する。LLchオフセット情報の具体例は後述する。
【0043】
バイトオフセット付加部108は、TLV化部106から入力した階層データTLVパケットに対して、OFDMフレーム構成情報生成部107から入力したTLV格納バイトオフセット情報を付加して階層データパケットを生成し、階層合成部110に出力する。
【0044】
LLchオフセット付加部109は、TLV化部106から入力したLLchデータTLVパケットに対して、OFDMフレーム構成情報生成部107から入力したLLchオフセット情報を付加してLLchデータパケットを生成し、階層合成部110に出力する。
【0045】
階層合成部110は、バイトオフセット付加部108から入力したA/B/C階層別の各階層データパケット、及びLLchオフセット付加部109から入力したLLchデータパケットを合成(統合)してデータパケットを生成し、挿入部111に出力する。
【0046】
挿入部111は、同期制御パケット構成部103から入力した同期制御パケットに対して、シーケンス番号を挿入してSTLP(Studio to Transmitter Link Protocol)パケット(以下、「同期制御STLPパケット」と称する。)を生成し、コンテンツ伝送信号としてコンテンツ伝送信号生成装置100の外部に出力する。挿入部111は、同期制御パケット構成部103から入力した同期制御パケットに対して更に、同期制御STLPパケットのコンテンツ伝送信号生成装置100からの送信時刻を示すタイムスタンプ(第1タイムスタンプ)を挿入してもよい。STLPパケットの詳細については後述する。
【0047】
また、挿入部111は、階層合成部110から入力した階層データパケットに対して、シーケンス番号を挿入してSTLPパケット(以下、「階層データSTLPパケット」と称する。)を生成し、コンテンツ伝送信号としてコンテンツ伝送信号生成装置100の外部に出力する。同様に、挿入部111は、階層合成部110から入力したLLchデータパケットに対して、シーケンス番号を挿入してSTLPパケット(以下、「LLchデータSTLPパケット」と称する。)を生成し、コンテンツ伝送信号としてコンテンツ伝送信号生成装置100の外部に出力する。以下、階層データSTLPパケット及びLLchデータSTLPパケットを総称して「データSTLPパケット」と称する。
【0048】
挿入部111は、同期制御パケット、階層データパケット、及びLLchデータパケットのいずれに該当するかを示すパケット種別情報を更に挿入してもよい。すなわち、パケット種別情報は、STLPパケットの種別を示す情報であり、具体例は後述する。
【0049】
挿入部111は、1OFDM時間ごとに、先頭に1個の同期制御STLPパケットを送信し、その後複数個のデータSTLPパケットを送信する。挿入部111は、階層合成部110から入力したデータパケットに対して更に、データSTLPパケットのコンテンツ伝送信号生成装置100からの送信時刻を示すタイムスタンプ(第1タイムスタンプ)を挿入してもよい。あるいは、挿入部111は、階層合成部110から入力したデータパケットに対して更に、同期制御STLPパケットのコンテンツ伝送信号生成装置100からの送信時刻とデータSTLPパケットのコンテンツ伝送信号生成装置100からの送信時刻との小数点以下の差分を示すタイムスタンプ(第2タイムスタンプ)を挿入してもよい。
【0050】
次に、
図4を参照してコンテンツ伝送信号生成装置100の動作を説明する。
図4は、コンテンツ伝送信号生成装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップS101において、PTP/NTPを入力し、フレーム周期情報及び時刻情報を生成する。
【0052】
ステップS102において、設定情報を入力し、TMCC情報を生成する。
【0053】
ステップS103において、コンテンツ信号のMMTP/IPパケットを入力し、階層分離を行う。
【0054】
ステップS104において、MMTP/IPパケットに対してIPヘッダの圧縮を行う。
【0055】
ステップS105において、階層データTLVパケット及びLLchデータTLVパケットを生成する。
【0056】
ステップS106において、OFDMフレーム構成情報を取得する。
【0057】
ステップS107において、ステップS106で取得したOFDMフレーム構成情報に基づいてFECブロックバイトオフセット情報を生成する。
【0058】
ステップS108において、ステップS106で取得したOFDMフレーム構成情報、及びステップS105で生成した階層データTLVパケットのパケット長に基づいて、階層データTLVパケットの格納場所を示すTLV格納バイトオフセット情報を生成する。
【0059】
ステップS109において、ステップS106で取得したOFDMフレーム構成情報、及びステップS105で生成したLLchデータTLVパケットのパケット長に基づいて、LLchデータのTLVパケットの格納場所を示すLLchオフセット情報を生成する。
【0060】
ステップS110において、ステップS107で生成したFECブロックバイトオフセット情報を含む同期制御パケットを生成する。
【0061】
ステップS111において、階層データTLVパケットに対してステップS108で生成したTLV格納バイトオフセット情報を付加し、階層データパケットを構成する。
【0062】
ステップS112において、LLchデータTLVパケットに対してステップS109で生成したLLchオフセット情報を付加し、LLchデータパケットを構成する。
【0063】
ステップS113において、ステップS110で生成した同期制御パケットにシーケンス番号及びタイムスタンプを挿入して同期制御STLPパケットを生成し、出力する。また、ステップS111で生成した階層データパケットにシーケンス番号及びタイムスタンプを挿入して階層データSTLPパケットを生成し、出力する。また、ステップS112で生成したLLchデータパケットにシーケンス番号及びタイムスタンプを挿入してLLchデータSTLPパケットを生成し、出力する。
【0064】
図5に、本発明との比較のために、従来のXMIパケットのパケット構成を示す。従来のXMIパケットは、ヘッダとして、IPv4ヘッダ、UDPヘッダ、MMTPパケットのヘッダ(MMTPヘッダ)、及びXMIヘッダを含む。従来のXMIパケットは、
図5(a)に示すデータ領域に同期制御情報が含まれたXMIパケットと、
図5(b)に示すデータ領域にデータのみが含まれているXMIパケットと、
図5(c)に示すデータ領域にデータ及びスタッフビットが含まれているXMIパケットと、
図5(d)に示すデータ領域がスタッフビットで構成されるXMIパケットとの4種類が存在する。
【0065】
図5に示すように、XMIパケットは固定長を保つために、同期制御情報やパケット長に満たないデータユニットに対してスタッフビットを付加してスタッフィングを行う。また、データが存在しない場合は、
図5(d)に示すようにスタッフビットを送ることで一定レートになるようにしている。しかしながら、この構成では、FECブロックのパリティ領域をヌルで埋めているため、無駄なパケットを回線に流すことになり、伝送レートの増加と回線におけるパケット損失などのリスクがある。
【0066】
図6は、従来のFECブロックとOFDMフレームを示す図である。ここでは、符号化率7/16、符号長Middleの例を示している。この場合、FECブロック8640バイトのうち、LDPCパリティが9/16(4860バイト)も占めることとなり、無駄が多い信号となっている。
【0067】
<STLPパケット>
次に、本発明の一実施形態に係るSTLPパケットについて説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係るSTLPパケット(コンテンツ伝送信号のパケット)の構成例を示す図である。
図7(a)は同期制御STLPパケットを示しており、
図7(b)は階層データSTLPパケットの例を示しており、
図7(c)は階層データがヌルの階層データSTLPパケット(以降では、「ヌルSTLPパケット」と称する。)を示しており、
図7(d)はLLchデータSTLPパケットを示している。なお、STLPパケットの構造はこの例に限定されるものではない。
【0068】
STLPパケットは、IPv4ヘッダと、UDPヘッダと、パケット種別情報と、シーケンス番号と、タイムスタンプと、を含む。パケット種別情報、シーケンス番号、及びタイムスタンプは、挿入部111により挿入される。なお、パケット種別情報及びシーケンス番号は、従来のXMIパケットではXMIヘッダに含まれている。STLPパケットには、挿入部111により、OFDMフレームのフレーム番号を示すフレーム番号、及びフレーム番号の有無を示すフレーム番号フラグが挿入されてもよい。
【0069】
図7(a)に示す同期制御STLPパケットは、同期制御情報を含む。同期制御情報は、OFDMフレーム構成情報生成部107により生成された、FECブロックのOFDMフレーム先頭からのバイトオフセットを示すFECブロックバイトオフセット情報を含む。これにより、コンテンツ伝送信号を受信した放送所20側で、FECブロックを構成することが可能となる。また、同期制御情報は、TMCC情報、次のOFDMフレームを送信すべき時刻を示す時刻情報などを含む。
【0070】
図7(b)に示す階層データSTLPパケット、及び
図7(c)に示すヌルSTLPパケットは、バイトオフセット付加部108により生成されたTLV格納バイトオフセット情報と、同期信号と、TLV化部106により生成された階層データTLVパケット又はヌルTLVパケットと、を含む。階層データTLVパケット及びヌルTLVパケットは、スタッフィングして固定長にすることなく、入力されたIPパケットをTLV形式で伝送することにより、パケットのスリム化を図ることが可能となる。TLVパケットの前にTLV格納バイトオフセット情報を載せ、OFDMフレームの先頭からのバイトオフセット情報を得ることにより、OFDMフレームの先頭を知ることが可能となる。
【0071】
図7(d)に示すLLchデータSTLPパケットは、OFDMフレーム構成情報生成部107により生成されたLLchオフセット情報と、同期信号と、TLV化部106により生成されたLLchデータTLVパケットと、を含む。LLchデータSTLPパケットには、部分受信に対応したL0chデータSTLPパケットと、固定受信に対応したL1chデータSTLPパケットの2種類があるが、これらを纏めてLLchデータSTLPパケットと称する。LLchデータTLVパケットはスタッフィングして固定長にすることなく、入力されたIPパケットをTLV形式で伝送することにより、パケットのスリム化を図ることが可能となる。
【0072】
同期制御STLPパケット、階層データSTLPパケット、ヌルSTLPパケット、及びLLchデータSTLPパケットの区別は、3bitのパケット種別情報にて行ってもよい。例えば、表1に示すように、パケット種別情報の値に対応するSTLPパケットをあらかじめ規定しておくことで、STLPパケットの種別を判断することができる。
【0073】
【0074】
図7(d)に示すLLchオフセット情報は、1bitのLLch開始フラグと、1bitのLLch終了フラグと、5bitの予約領域と、9bitのLLchシンボルオフセットと、8bitのLLchバイトオフセットと、を含む。
【0075】
<<LLch開始フラグ及びLLch終了フラグ>>
次に、LLchオフセット情報に含まれる、LLch開始フラグ及びLLch終了フラグについて説明する。LLch開始フラグ及びLLch終了フラグは、LLchデータTLVパケットが分割された場合に、各分割後のLLchデータTLVパケットが、先頭部分であるか、最終部分であるか、先頭部分及び最終部分以外であるかを示す情報を含む。表2に、LLch開始フラグ及びLLch終了フラグの具体例を示す。
【0076】
【0077】
図8は、表2に記載したLLch開始フラグ及びLLch終了フラグの使用例を示す図である。
図8に示すように、LLchデータTLVパケットのデータが長く、LLchデータSTLPパケットがMTU(Maximum Transmission Unit)サイズの1500バイトを超えてしまうような場合には、LLchデータTLVパケットを分割してMTUサイズを超えないようにする。この図では3つに分割し、分割したLLchデータTLVパケットを、LLchデータTLVパケット(1)~(3)とする。
【0078】
最初のLLchデータTLVパケット(1)が含まれる場合に、LLch開始フラグを1とする。LLchデータTLVパケット(2)及びLLchデータTLVパケット(3)が載っているLLchデータSTLPパケットでは、LLch開始フラグは0とする。一方、LLch終了フラグは、LLchデータTLVパケットの末尾のデータが含まれる、LLchデータTLVパケット(3)が載っているLLchデータSTLPパケットのみ1とする。このように設定することで、この緊急情報はLLchデータTLV(1)が最初の情報であること、さらにLLchデータTLVパケット(2)及びLLchデータTLVパケット(3)は前のLLchデータTLVパケットの残データであることが、すぐに分かるようになる。同時に、LLchデータTLVパケット(3)がLLchデータTLVパケットの最終部分であることが分かる。
【0079】
<<LLchシンボルオフセット及びLLchバイトオフセット>>
次に、LLchオフセット情報に含まれる、LLchシンボルオフセット及びLLchバイトオフセットについて説明する。
【0080】
図9は、LLchシンボルオフセット及びLLchバイトオフセットの使用例を示す図である。
図9(a)は、高度化方式におけるOFDM信号のスペクトルを示す模式図である。高度化方式におけるOFDM信号の周波数帯域幅は5.83MHz(約6MHz)であり、セグメント数は35とすることができる。16k-FFT(Fast Fourier Transform)モードの場合、1セグメント当たり8本のLLchデータ用のキャリア(LLchキャリア)が存在し、全体の35セグメントでは280本のLLchキャリアが存在する。なお、
図9(a)ではLLchキャリアを太線で示している。
【0081】
図9(b)は、LLchデータのキャリアシンボルへの割り当てを示す図であり、ここでは1OFDMフレーム内のLLchキャリア280本のみを抜き出して示している。複数の変調装置で同一のOFDMフレームを構成できるようにするために、LLchオフセット情報により、LLchデータをどのキャリアシンボルに割り当てるかを一意に定める。
図9(b)に示す例では、LLchシンボルオフセットはLLchデータを割り当てる先頭のシンボル位置を示し、LLchバイトオフセットはLLchデータを割り当てる先頭のキャリア位置を示す。すなわち、LLchシンボルオフセット及びLLchバイトオフセットにより、LLchデータをOFDMフレームに割り当てる際の、キャリアシンボルの先頭位置を特定することができる。
【0082】
LLchデータTLVパケットのビットストリームは、変調された後、OFDMフレームのLLchキャリアシンボルに割り当てられる。LLchデータTLVパケットのビットストリームがDBPSK(Differential Binary Phase-Shift Keying)変調された場合には、
図9(b)に示すように、各LLchキャリアシンボルは1ビットのデータとなる。
【0083】
コンテンツ伝送信号生成装置100は、このように、XMIパケットよりもスリム化したSTLPパケットを生成することにより、コンテンツデータの伝送効率を向上させることが可能となる。
【0084】
複数の放送所20は、同期制御STLPパケット及びデータSTLPパケットを受信することにより、FECブロック及びOFDMフレームを構成することが可能となる。また、複数の放送所20において、STLPパケットからXMIパケットに変換する際に、緊急情報が含まれた同一のXMIパケットを構成することができる。よって、同一のOFDMフレームを構成できるので、SFNの構築が可能となる。
【0085】
また、STLPパケットはヘッダ部にシーケンス番号を持つことから、Pro-MPEG(Moving Picture Experts Group)などの従来の誤り訂正技術を適用することも可能である。
【0086】
また、同期制御STLPパケットにタイムスタンプを載せ、全てのデータパケットに小数点以下の差分時刻を載せて伝送することにより、絶対時刻を参照したクロック生成・同期も可能となる。
【0087】
また、LLchデータSTLPパケットにLLch開始フラグ及びLLch終了フラグを載せることで、デバッグやSTLPの解析も容易に行うことが可能となる。
【0088】
さらに、LLchにおいては、FECブロックを構成せずシンボルに直接割り当てるため、A/B/C階層の映像・音声よりも短時間の処理で送出することが可能となり、緊急地震速報などの速報性が高い情報において有効である。
【0089】
(OFDMフレーム生成装置)
次に、本発明の一実施形態に係るOFDMフレーム生成装置200について説明する。OFDMフレーム生成装置200は、STL受信機21、パケット監視装置22、トラフィックスムーサー23、又は変調装置24に組み込まれる。OFDMフレーム生成装置200は専用のハードウェアである必要は無く、コンピュータソフトウェアの形態であってもよい。
【0090】
OFDMフレーム生成装置200は、コンテンツ伝送信号生成装置100からコンテンツ伝送信号を受信し、OFDMフレームを生成する。
【0091】
図10は、OFDMフレーム生成装置200の構成例を示すブロック図である。
図10に示すOFDMフレーム生成装置200は、パケットフィルタ部201と、階層分離部202と、TLVマッピング部203と、FECブロック形成部204と、エネルギー拡散部205と、誤り訂正符号化部206と、ビットインターリーブ部207と、マッピング部208と、階層合成部209と、フレームヘッダ付加部210と、時間・周波数インターリーブ部211と、TMCC解析部212と、LLch変調部213と、パイロット信号生成部214と、OFDMフレーム構成部215と、OFDM送信処理部216と、を備える。
【0092】
パケットフィルタ部201は、コンテンツ伝送信号生成装置100から受信したコンテンツ伝送信号(STLPパケット)について、IPv4ヘッダ及びUDPヘッダを除去し、階層分離部202に出力する。
【0093】
階層分離部202は、階層データSTLPパケットを各階層に分離し、各階層の処理系に振り分ける。また、LLchデータSTLPパケットを、LLch変調部213に出力する。また、階層分離部202は、同期制御STLPパケットに含まれる同期制御情報をTMCC解析部212に出力する。
【0094】
TLVマッピング部203は、FECブロック領域を用意し、階層データSTLPパケットに含まれるTLV格納バイトオフセット情報に基づいて、FECブロック領域に階層データTLVパケットをマッピングし、FECブロック形成部204に出力する。
【0095】
FECブロック形成部204は、同期制御STLPパケットに含まれるFECブロックバイトオフセット情報に基づいて、階層データTLVパケットを連結して主信号領域に格納したFECブロックを1OFDMフレーム分形成し、エネルギー拡散部205に出力する。
【0096】
図11は、FECブロックの構成例を示す図である。
図11に示すように、FECブロックは、FECブロックヘッダと、主信号領域と、BCHパリティ領域と、LDPCパリティ領域と、を含み、さらにスタッフビット領域を含んでもよい。
【0097】
FECブロックヘッダは、FECブロックの主信号領域に格納される最初のTLVパケットの先頭の位置を、FECブロックヘッダを除いたFECブロックの先頭からのバイト数で示す情報である。
【0098】
なお、FECブロックのサイズは、送信機25で行われるLDPC(Low Density Parity Check)符号化の符号長(Short, Middle, Long)に応じて、三種類のサイズが設定される。また、主信号領域、スタッフビット領域、及びLDPCパリティ領域のサイズは、符号化率に応じて定まる。BCHパリティ領域は、24バイトで固定としている。
【0099】
エネルギー拡散部205は、FECブロック形成部204から入力したFECブロックに対してエネルギー拡散処理を施し、誤り訂正符号化部206に出力する。
【0100】
誤り訂正符号化部206は、受信側で伝送誤りを訂正可能とするために、エネルギー拡散部205から入力した信号を誤り訂正符号化(本実施形態ではLDPC符号化)し、符号化信号を生成する。そして、誤り訂正符号化部206は、生成した符号化信号をビットインターリーブ部207に出力する。
【0101】
ビットインターリーブ部207は、誤り訂正符号の性能を高めるために、誤り訂正符号化部206から入力した符号化信号をビット単位でインターリーブ処理してビットデータを生成する。そして、ビットインターリーブ部207は、生成したビットデータをマッピング部208に出力する。
【0102】
マッピング部208は、ビットインターリーブ部207から入力したビットデータをIQ平面へマッピングし、変調方式に応じたキャリア変調が施されたキャリアシンボルを生成する。そして、マッピング部208は、生成したキャリアシンボルを階層合成部209に出力する。
【0103】
階層合成部209は、各階層のマッピング部208から入力したキャリアシンボルを合成し、フレームヘッダ付加部210に出力する。
【0104】
フレームヘッダ付加部210は、階層合成部209から入力したキャリアシンボルにフレームヘッダを付加し、時間・周波数インターリーブ部211に出力する。
【0105】
時間・周波数インターリーブ部211は、フレームヘッダ付加部210から入力したキャリアシンボルの順序を時間方向及び周波数方向に並べ替えてインターリーブ処理されたインターリーブ信号を生成する。そして、時間・周波数インターリーブ部211は、生成したインターリーブ信号をOFDMフレーム構成部215に出力する。
【0106】
TMCC解析部212は、階層分離部202から入力した同期制御情報からTMCC信号を生成し、OFDMフレーム構成部215に出力する。
【0107】
LLch変調部213は、階層分離部202から入力したLLchデータSTLPパケットに含まれるLLchデータを直接(すなわち、エネルギー拡散処理、誤り訂正符号化処理、インターリーブ処理などを行わないで)所定の変調方式(例えばDBPSK)で変調してLLchキャリアシンボルを生成し、OFDMフレーム構成部215に出力する。
【0108】
パイロット信号生成部214は、パイロット信号(SP信号及びCP信号)を生成して、OFDMフレーム構成部215に出力する。
【0109】
OFDMフレーム構成部215は、時間・周波数インターリーブ部211から入力したインターリーブ信号に、TMCC解析部212から入力したTMCC信号、及びパイロット信号生成部214から入力したパイロット信号を挿入するとともに、LLch変調部213から入力したLLchキャリアシンボルを多重してOFDMフレームを構成する。そして、OFDMフレーム構成部215は、生成したOFDMフレームをOFDM送信処理部216に出力する。
【0110】
OFDMフレーム構成部215は、上述したLLchシンボルオフセット及びLLchバイトオフセットが示す位置に基づいて、LLchキャリアシンボルを挿入する。
【0111】
OFDM送信処理部216は、OFDMフレーム構成部215から入力したOFDMフレームに対してOFDM変調処理を行ってOFDM信号を生成し、生成したOFDM信号を受信装置に送信する。より詳細には、OFDM送信処理部216は、OFDMフレーム構成部215から入力したOFDMフレームのOFDMシンボルに対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を行って時間領域の有効シンボル信号を生成する。そして、OFDM送信処理部216は、有効シンボル信号の先頭にガード区間を挿入した後、直交変調処理及びD/A変換処理を行ってOFDM信号を生成する。
【0112】
次に、
図12を参照してOFDMフレーム生成装置200のOFDMフレーム生成の動作を説明する。
図12は、OFDMフレーム生成装置200のOFDMフレーム生成の動作例を示すフローチャートである。
【0113】
ステップS201において、階層分離された階層データSTLPパケットを取得し、TMCC情報に基づいてn番目のOFDMフレームの生成を開始する。
【0114】
ステップS202において、FECブロックの生成を開始する。すなわち、FECブロック領域を用意する。
【0115】
ステップS203において、階層データSTLPパケットに含まれるTLV格納バイトオフセット情報に基づいて階層データTLVパケットのマッピングを行う。
【0116】
ステップS204において、FECブロック領域の構成が完了したか否かを判定する。FECブロック領域の構成が完了していない場合には処理をステップS203に戻し、FECブロック領域の構成が完了した場合には処理をステップS205に進める。
【0117】
ステップS205において、OFDMフレームの構成が完了したか否かを判定する。すなわち、1OFDMフレーム容量分のFECブロック領域が階層データTLVパケットで埋まったか否かを判定する。OFDMフレームの構成が完了していない場合には処理をステップS202に戻す。FECブロック領域の構成が完了した場合には、ステップS206においてnに1を加算した後、処理をステップS201に戻し、新たなOFDMフレームを構成する。
【0118】
ステップS301において、階層分離されたLLchデータSTLPパケットを取得し、LLchデータTLVパケットのビットストリームをDBPSK変調する。
【0119】
ステップS302において、LLchキャリアシンボルをn-k番目のOFDMフレームに多重する。ここで、kは1以上の整数であり、kの値は時間インターリーブのパラメータに応じて変化する。
【0120】
OFDMフレーム生成装置200は、階層データについては時間インターリーブ処理を行うが、時間インターリーブ処理では1以上のOFDMフレームをバッファに貯めて時間方向にインターリーブ処理を行うため、最低でも用いたOFDMフレーム分の時間長を要することになる。1OFDMフレームの時間長は約300msecである。一方、OFDMフレーム生成装置200は、LLchデータについては時間インターリーブ処理を行わないため、階層データSTLPパケットのOFDMフレーム割り当てよりも前のOFDMフレームにLLchデータSTLPパケットを割り当てることができ、緊急情報を最短時間で送出することが可能となる。
【0121】
そして、放送所20(OFDMフレーム生成装置200)においてSFNを構築可能な同一波形のOFDMフレームの構成も可能となる。
【0122】
上述したように、本発明ではスリム化したパケット構成でコンテンツ伝送を行い、放送所20(OFDMフレーム生成装置200)側でFECブロックの生成及びOFDMフレームの生成を行うことから、伝送レートを映像・音声のオリジナルデータのデータ容量に近いレートで伝送することが可能となる。そのため、既存のSTL送信機及びSTL受信機と同じ伝送パラメータを用いて、高度化方式のコンテンツデータを伝送することが可能である。
【0123】
(プログラム)
上記のコンテンツ伝送信号生成装置100又はOFDMフレーム生成装置200として機能させるために、プログラム命令を実行可能なコンピュータを用いることも可能である。コンピュータは、コンテンツ伝送信号生成装置100又はOFDMフレーム生成装置200の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのプロセッサによってこのプログラムを読み出して実行する。これらの処理内容の一部はハードウェアで実現されてもよい。ここで、コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)、電子ノートパッドなどであってもよい。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメントなどであってもよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。
【0124】
また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0125】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを統合したり、1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。また、実施形態のフローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 配信システム
10 演奏所
11 多重化装置
12 再多重化装置
13 STL送信機
20 放送所
21 STL受信機
22 パケット監視装置
23 トラフィックスムーサー
24 変調装置
25 送信機
30 コンテンツ伝送回線
100 コンテンツ伝送信号生成装置
101 フレーム時刻生成部
102 TMCC生成部
103 同期制御パケット構成部
104 階層分離部
105 IPヘッダ圧縮部
106 TLV化部
107 OFDMフレーム構成情報生成部
108 バイトオフセット付加部
109 LLchオフセット付加部
110 階層合成部
111 挿入部
200 OFDMフレーム生成装置
201 パケットフィルタ部
202 階層分離部
203 TLVマッピング部
204 FECブロック形成部
205 エネルギー拡散部
206 誤り訂正符号化部
207 ビットインターリーブ部
208 マッピング部
209 階層合成部
210 フレームヘッダ付加部
211 時間・周波数インターリーブ部
212 TMCC解析部
213 LLch変調部
214 パイロット信号生成部
215 OFDMフレーム構成部
216 OFDM送信処理部