(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124820
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】基板研磨装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230830BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20230830BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20230830BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20230830BHJP
B24B 19/08 20060101ALI20230830BHJP
B24B 21/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H01L21/304 621E
H01L21/304 621B
B24B49/10
B24B37/10
B24B9/00 601H
B24B19/08 Z
B24B21/00 Z
B24B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017612
(22)【出願日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2022027736
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 昭尋
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】大橋 弘尭
(72)【発明者】
【氏名】石川 翔
(72)【発明者】
【氏名】柏木 誠
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 康之
【テーマコード(参考)】
3C034
3C049
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA17
3C034AA19
3C034BB73
3C034CA30
3C034CB20
3C034DD10
3C034DD18
3C049AA05
3C049AA06
3C049AA18
3C049AC02
3C049BA09
3C049CB03
3C049CB06
3C158AA05
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3C158CB06
3C158EA26
3C158EA28
3C158EB01
5F057AA34
5F057BA15
5F057CA12
5F057CA22
5F057DA03
5F057DA06
5F057EB22
5F057FA02
(57)【要約】
【課題】複数のタイプの研磨を行う際に、全体の処理時間を短縮することができる基板研磨装置を提供する。
【解決手段】基板研磨装置は、第1研磨モジュール、第2研磨モジュール、および第3研磨モジュールを備え、第1研磨モジュール、第2研磨モジュール、および第3研磨モジュールは、それぞれ基板の異なる領域を研磨する研磨モジュールである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1研磨モジュール、第2研磨モジュール、および第3研磨モジュールを備え、
前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールは、それぞれ基板の異なる領域を研磨する研磨モジュールである、基板研磨装置。
【請求項2】
前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールは、前記基板研磨装置の上から見たときに、一直線上に並んで配置されている、請求項1に記載の基板研磨装置。
【請求項3】
前記第1研磨モジュールは、前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、および前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュールのうちの1つであり、
前記第2研磨モジュールは、前記ノッチ研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの他の1つであり、
前記第3研磨モジュールは、前記ノッチ研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの残りの1つである、請求項1または2に記載の基板研磨装置。
【請求項4】
前記第1研磨モジュールは、前記基板のデバイス面を研磨するデバイス面研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、および前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュールのうちの1つであり、
前記第2研磨モジュールは、前記デバイス面研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの他の1つであり、
前記第3研磨モジュールは、前記デバイス面研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの残りの1つである、請求項1または2に記載の基板研磨装置。
【請求項5】
前記基板研磨装置は、ハウジングをさらに備え、
前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールは、前記ハウジング内に配置されている、請求項1に記載の基板研磨装置。
【請求項6】
前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールの動作をそれぞれ制御する第1制御モジュール、第2制御モジュール、および第3制御モジュールをさらに備え、
前記第1乃至第3研磨モジュールおよび前記第1乃至第3制御モジュールは、前記ハウジング内に着脱可能に配置されている、請求項5に記載の基板研磨装置。
【請求項7】
前記第1乃至第3研磨モジュールは同じサイズを有し、前記第1乃至第3制御モジュールは同じサイズを有している、請求項6に記載の基板研磨装置。
【請求項8】
前記第1乃至第3研磨モジュールおよび前記第1乃至第3制御モジュールの動作を制御する統括制御部をさらに備え、
前記第1制御モジュールは、前記統括制御部および前記第1研磨モジュールに電気的に接続可能な第1配線コネクタを備え、
前記第2制御モジュールは、前記統括制御部および前記第2研磨モジュールに電気的に接続可能な第2配線コネクタを備え、
前記第3制御モジュールは、前記統括制御部および前記第3研磨モジュールに電気的に接続可能な第3配線コネクタを備えている、請求項6または7に記載の基板研磨装置。
【請求項9】
前記ハウジング内に配置された第4研磨モジュールと、
前記ハウジング内に着脱可能に配置され、前記第4研磨モジュールの動作を制御する第4制御モジュールと、
前記第1乃至第4研磨モジュールで発生した異常を検出する異常検出システムと、
前記第1乃至第4研磨モジュールおよび前記第1乃至第4制御モジュールの動作を制御する統括制御部をさらに備え、
前記第1研磨モジュールおよび前記第4研磨モジュールのそれぞれは、前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュール、および前記基板のデバイス面を研磨するデバイス面研磨モジュールのうちの1つであり、
前記統括制御部は、前記異常検出システムが前記第1研磨モジュールの異常を検出したときに、前記第4研磨モジュールを使用し、かつ前記第1研磨モジュールを使用しない処理フローを作成するように構成されている、請求項6または7に記載の基板研磨装置。
【請求項10】
前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールの動作をそれぞれ制御する第1制御モジュール、第2制御モジュール、および第3制御モジュールと、
前記第1乃至第3研磨モジュールおよび前記第1乃至第3制御モジュールの動作を制御する統括制御部をさらに備え、
前記第1制御モジュールは、前記統括制御部および前記第1研磨モジュールに電気的に接続可能な第1配線コネクタを備え、
前記第2制御モジュールは、前記統括制御部および前記第2研磨モジュールに電気的に接続可能な第2配線コネクタを備え、
前記第3制御モジュールは、前記統括制御部および前記第3研磨モジュールに電気的に接続可能な第3配線コネクタを備えている、請求項1または2に記載の基板研磨装置。
【請求項11】
第4研磨モジュールと、
前記第4研磨モジュールの動作を制御する第4制御モジュールと、
前記第1乃至第4研磨モジュールで発生した異常を検出する異常検出システムをさらに備え、
前記第1研磨モジュールおよび前記第4研磨モジュールのそれぞれは、前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュール、および前記基板のデバイス面を研磨するデバイス面研磨モジュールのうちの1つであり、
前記統括制御部は、前記第1乃至第4研磨モジュールおよび前記第1乃至第4制御モジュールの動作を制御するように構成され、前記異常検出システムが前記第1研磨モジュールの異常を検出したときに、前記第4研磨モジュールを使用し、かつ前記第1研磨モジュールを使用しない処理フローを作成するように構成されている、請求項10に記載の基板研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板を研磨する基板研磨装置に関し、特に基板のノッチ部、基板のベベル部、基板のデバイス面、および基板の裏面の研磨を行う基板研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造における歩留まり向上の観点から、基板の表面状態の管理が近年注目されている。半導体デバイスの製造工程では、種々の材料がシリコンウェーハ上に成膜される。このため、基板の周縁部には不要な膜や表面荒れが形成される。近年では、基板の周縁部のみをアームで保持して基板を搬送する方法が一般的になってきている。このような背景のもとでは、周縁部に残存した不要な膜が種々の工程を経ていく間に剥離して基板に形成されたデバイスに付着し、歩留まりを低下させてしまう。そこで、基板の周縁部に形成された不要な膜を除去するために、基板研磨装置による基板の周縁部の研磨が行われている。
【0003】
基板の周縁部には、一般に、ベベル部とノッチ部が形成される。ベベル部とは、基板の周縁部において角取りされた部分であり、基板の欠けやパーティクルの発生などを防止するために形成される。一方、ノッチ部とは、結晶方位を特定するために基板の周縁部に形成された切り欠きである。上述した基板の周縁部を研磨する基板研磨装置は、ベベル部を研磨するベベル研磨装置とノッチ部を研磨するノッチ研磨装置に大別することができる。
【0004】
また、近年、メモリー回路、ロジック回路、イメージセンサ(例えばCMOSセンサー)などのデバイスは、より高集積化されつつある。これらのデバイスを形成する工程においては、微粒子や塵埃などの異物がデバイスに付着することがある。デバイスに付着した異物は、配線間の短絡や回路の不具合を引き起こしてしまう。したがって、デバイスの信頼性を向上させるために、デバイスが形成された基板を洗浄して、基板上の異物を除去することが必要とされる。
【0005】
上述したような微粒子や粉塵などの異物は、基板の裏面(非デバイス面)にも付着することがある。このような異物が基板の裏面に付着すると、基板が露光装置のステージ基準面から離間し、または基板表面がステージ基準面に対して傾き、結果として、パターニングのずれや焦点距離のずれが生じることとなる。このような問題を防止するために、裏面研磨装置による基板の裏面の研磨が行われている。
【0006】
また、基板のデバイス面に付着した粘着性の異物を除去したり、基板のデバイス面のマイクロスクラッチを除去したりするために、基板のデバイス面をわずかに研磨することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した基板のベベル部の研磨、基板のノッチ部の研磨、基板の裏面の研磨、および基板のデバイス面の研磨を行う場合、ベベル研磨装置、ノッチ研磨装置、裏面研磨装置、およびデバイス面研磨装置の4つのタイプの装置を用いて行われる。異なるタイプの基板研磨装置に移行する際には、その都度基板を洗浄、乾燥させる必要があり、処理全体のスループット向上が課題となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、複数のタイプの研磨を行う際に、全体の処理時間を短縮することができる基板研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、第1研磨モジュール、第2研磨モジュール、および第3研磨モジュールを備え、前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールは、それぞれ基板の異なる領域を研磨する研磨モジュールである、基板研磨装置が提供される。
一態様では、前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールは、前記基板研磨装置の上から見たときに、一直線上に並んで配置されている。
一態様では、前記第1研磨モジュールは、前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、および前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュールのうちの1つであり、前記第2研磨モジュールは、前記ノッチ研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの他の1つであり、前記第3研磨モジュールは、前記ノッチ研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの残りの1つである。
一態様では、前記第1研磨モジュールは、前記基板のデバイス面を研磨するデバイス面研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、および前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュールのうちの1つであり、前記第2研磨モジュールは、前記デバイス面研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの他の1つであり、前記第3研磨モジュールは、前記デバイス面研磨モジュール、前記ベベル研磨モジュール、および前記裏面研磨モジュールのうちの残りの1つである。
一態様では、前記基板研磨装置は、ハウジングをさらに備え、前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールは、前記ハウジング内に配置されている。
【0011】
一態様では、前記基板研磨装置は、前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールの動作をそれぞれ制御する第1制御モジュール、第2制御モジュール、および第3制御モジュールをさらに備え、前記第1乃至第3研磨モジュールおよび前記第1乃至第3制御モジュールは、前記ハウジング内に着脱可能に配置されている。
一態様では、前記第1乃至第3研磨モジュールは同じサイズを有し、前記第1乃至第3制御モジュールは同じサイズを有している。
【0012】
一態様では、前記基板研磨装置は、前記第1乃至第3研磨モジュールおよび前記第1乃至第3制御モジュールの動作を制御する統括制御部をさらに備え、前記第1制御モジュールは、前記統括制御部および前記第1研磨モジュールに電気的に接続可能な第1配線コネクタを備え、前記第2制御モジュールは、前記統括制御部および前記第2研磨モジュールに電気的に接続可能な第2配線コネクタを備え、前記第3制御モジュールは、前記統括制御部および前記第3研磨モジュールに電気的に接続可能な第3配線コネクタを備えている。
一態様では、前記基板研磨装置は、前記ハウジング内に配置された第4研磨モジュールと、前記ハウジング内に着脱可能に配置され、前記第4研磨モジュールの動作を制御する第4制御モジュールと、前記第1乃至第4研磨モジュールで発生した異常を検出する異常検出システムと、前記第1乃至第4研磨モジュールおよび前記第1乃至第4制御モジュールの動作を制御する統括制御部をさらに備え、前記第1研磨モジュールおよび前記第4研磨モジュールのそれぞれは、前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュール、および前記基板のデバイス面を研磨するデバイス面研磨モジュールのうちの1つであり、前記統括制御部は、前記異常検出システムが前記第1研磨モジュールの異常を検出したときに、前記第4研磨モジュールを使用し、かつ前記第1研磨モジュールを使用しない処理フローを作成するように構成されている。
【0013】
一態様では、前記基板研磨装置は、前記第1研磨モジュール、前記第2研磨モジュール、および前記第3研磨モジュールの動作をそれぞれ制御する第1制御モジュール、第2制御モジュール、および第3制御モジュールと、前記第1乃至第3研磨モジュールおよび前記第1乃至第3制御モジュールの動作を制御する統括制御部をさらに備え、前記第1制御モジュールは、前記統括制御部および前記第1研磨モジュールに電気的に接続可能な第1配線コネクタを備え、前記第2制御モジュールは、前記統括制御部および前記第2研磨モジュールに電気的に接続可能な第2配線コネクタを備え、前記第3制御モジュールは、前記統括制御部および前記第3研磨モジュールに電気的に接続可能な第3配線コネクタを備えている。
一態様では、前記基板研磨装置は、第4研磨モジュールと、前記第4研磨モジュールの動作を制御する第4制御モジュールと、前記第1乃至第4研磨モジュールで発生した異常を検出する異常検出システムをさらに備え、前記第1研磨モジュールおよび前記第4研磨モジュールのそれぞれは、前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、前記基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、前記基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュール、および前記基板のデバイス面を研磨するデバイス面研磨モジュールのうちの1つであり、前記統括制御部は、前記第1乃至第4研磨モジュールおよび前記第1乃至第4制御モジュールの動作を制御するように構成され、前記異常検出システムが前記第1研磨モジュールの異常を検出したときに、前記第4研磨モジュールを使用し、かつ前記第1研磨モジュールを使用しない処理フローを作成するように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板研磨装置は、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、裏面研磨モジュール、およびデバイス面研磨モジュールのうちの少なくとも3つのタイプの研磨モジュールを備えているため、少なくとも3つのタイプの研磨モジュールによる研磨を連続的に行うことができる。これにより、各研磨モジュールによる研磨が終了する度に基板を洗浄、乾燥する必要がなく、全体の処理時間を短縮することができる。
【0015】
さらに本発明によれば、基板研磨装置は、処理フローや各研磨モジュールにおける研磨時間に応じて、研磨モジュールのタイプおよび配置を組み替えることができる。これにより、1つの基板研磨装置で様々な研磨工程に対応して、効率の良い処理フローを実現することができる。
【0016】
さらに本発明によれば、基板研磨装置は、同一のタイプの研磨モジュールが複数設けられており、異常検出システムにより当該複数設けられたタイプの研磨モジュールの異常が検出されたときに、異常が検出された研磨モジュールを使用しない処理フローに変更することができる。これにより、基板研磨装置の全体の動作を停止させることなく、基板の処理を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】基板研磨装置の一実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す基板研磨装置を矢印Aで示す方向から見た側面図である。
【
図3】ノッチ研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。
【
図4】
図3に示すノッチ研磨モジュールの平面図である。
【
図5】ベベル研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。
【
図6】裏面研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。
【
図7】本実施形態に係る基板研磨装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図8】基板研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。
【
図10】研磨モジュールの異常検出後に変更された処理フローを示す図である。
【
図11】基板研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
【
図12】デバイス面研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。
【
図13】本実施形態に係る基板研磨装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図14】
図11に示す基板研磨装置における異常検出前の処理フローを示す図である。
【
図15】
図11に示す基板研磨装置における研磨モジュール4Bの異常検出後に変更された処理フローを示す図である。
【
図16】基板研磨装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【
図17】
図16に示す基板研磨装置を矢印Bで示す方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、基板研磨装置の一実施形態を示す平面図である。
図1における矢印は、基板の搬送方向を示している。基板研磨装置は、ハウジング1、ロードポート2、研磨モジュール4A、研磨モジュール4B、研磨モジュール4C、研磨モジュール4D、第1仮置台6、第2仮置台7、第3仮置台8、洗浄乾燥部9、第1搬送ロボット11、第2搬送ロボット12、第3搬送ロボット13、第4搬送ロボット14、および第5搬送ロボット15を備えている。研磨モジュール4A、研磨モジュール4B、研磨モジュール4C、研磨モジュール4D、第1仮置台6、第2仮置台7、第3仮置台8、洗浄乾燥部9、第1搬送ロボット11、第2搬送ロボット12、第3搬送ロボット13、第4搬送ロボット14、および第5搬送ロボット15は、ハウジング1内に配置されている。
【0019】
ウェーハなどの研磨対象基板は、基板カセット16に収容され、基板カセット16はロードポート2に載置されている。第1搬送ロボット11は、ロードポート2に隣接して配置されている。第1搬送ロボット11は、研磨すべき基板をロードポート2上の基板カセット16から取り出して、第1仮置台6に載置する。
【0020】
4つの研磨モジュール4A~4Dは、ハウジング1の長手方向に沿って配列されている。4つの研磨モジュール4A~4Dは、基板研磨装置の上から見たときに、一直線上に並んで配置されている。研磨モジュール4Aは研磨モジュール4Bに隣接しており、研磨モジュール4Bは研磨モジュール4A,4Cに隣接しており、研磨モジュール4Cは研磨モジュール4B,4Dに隣接しており、研磨モジュール4Dは研磨モジュール4Cに隣接している。研磨モジュール4A~4Dは、基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、および基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュールの3つのタイプの研磨モジュールを含んでいる。研磨モジュール4A~4Dに含まれる3つのタイプの研磨モジュールは、それぞれ基板の異なる領域を研磨する研磨モジュールである。より具体的には、研磨モジュール4A、研磨モジュール4Bは、ノッチ研磨モジュールであり、研磨モジュール4Cは、ベベル研磨モジュールであり、研磨モジュール4Dは、裏面研磨モジュールである。
【0021】
本実施形態では、基板研磨装置は、4つの研磨モジュール4A~4Dを備えているが、基板研磨装置は、それぞれ基板の異なる領域を研磨するノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、裏面研磨モジュール、およびデバイス面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールのうちの少なくとも3つのタイプの研磨モジュールを含む、少なくとも3つの研磨モジュールを備えていれば、本実施形態に限定されない。例えば、基板研磨装置は、2つのノッチ研磨モジュール、2つのベベル研磨モジュール、および2つの裏面研磨モジュールの3つのタイプの研磨モジュールを含む、6つの研磨モジュールを備えていてもよい。
【0022】
研磨モジュール4A~4Dは、ハウジング1内に着脱可能に配置されている。さらに、研磨モジュール4A~4Dは、同じサイズを有している。したがって、研磨モジュール4A~4Dを構成するノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの配置を変えることができる。例えば、研磨モジュール4A、研磨モジュール4Bをベベル研磨モジュール、研磨モジュール4Cを裏面研磨モジュール、研磨モジュール4Dをノッチ研磨モジュールとしてもよい。
【0023】
本実施形態では、研磨モジュール4Aおよび研磨モジュール4Bの少なくとも一方により基板のノッチ部が研磨される。その後、研磨モジュール4Cにより基板のベベル部が研磨され、さらに研磨モジュール4Dにより基板の裏面が研磨される。この処理フロー、すなわち使用する研磨モジュールのタイプ、および研磨モジュールの動作順は、一例であり、処理フローは本実施形態に限られない。
【0024】
第1仮置台6は、基板が研磨モジュール4A~4Dにより研磨される前に、基板が一時的に載置される仮置き台である。一実施形態では、第1仮置台6は、ノッチアライナー(図示せず)を備えていてもよい。ノッチアライナーは、基板のノッチ(切り欠き)を検出するとともに、基板のノッチを所定の位置に合わせるための装置である。ノッチアライナーの具体的構成は、基板のノッチを検出し、基板のノッチを所定の位置に合わせることができるものであれば、特に限定されない。
【0025】
第2搬送ロボット12は、研磨モジュール4Aおよび研磨モジュール4Bに隣接して配置されている。第2搬送ロボット12は、第1仮置台6から基板を取り出して、研磨モジュール4Aおよび/または研磨モジュール4Bに基板を搬送し、研磨モジュール4Aおよび/または研磨モジュール4Bから基板を受け取る。さらに、第2搬送ロボット12は、研磨モジュール4Aおよび/または研磨モジュール4Bにより研磨された基板を、第2仮置台7に載置する。第2仮置台7は、基板が研磨モジュール4Cにより研磨される前に、基板が一時的に載置される仮置き台である。
【0026】
第3搬送ロボット13は、研磨モジュール4C,4Dに隣接して配置されている。第3搬送ロボット13は、第2仮置台7から基板を取り出して、研磨モジュール4Cおよび研磨モジュール4Dに基板を搬送し、研磨モジュール4Cおよび研磨モジュール4Dから基板を受け取る。さらに、第3搬送ロボット13は、研磨モジュール4C,4Dにより研磨された基板を、第3仮置台8に載置する。第3仮置台8は、基板が洗浄乾燥部9により洗浄、乾燥される前に、基板が一時的に載置される仮置き台である。
【0027】
研磨モジュール4A~4Dにより研磨された基板は、洗浄乾燥部9により洗浄、乾燥される。洗浄乾燥部9は、研磨モジュール4A~4Dにより研磨された基板を洗浄する第1洗浄モジュール17および第2洗浄モジュール18と、洗浄された基板を乾燥させる乾燥モジュール19を備えている。
【0028】
第1洗浄モジュール17、第2洗浄モジュール18、および乾燥モジュール19は、ハウジング1の長手方向に沿って配列されている。第1洗浄モジュール17は、ロール状のスポンジ部材によるスクラブ洗浄を行うように構成されている。第2洗浄モジュール18は、ペンシル状のスポンジ部材によるスクラブ洗浄を行うように構成されている。本実施形態では、洗浄乾燥部9は、第1洗浄モジュール17および第2洗浄モジュール18を備えているが、一実施形態では、洗浄乾燥部9は、第1洗浄モジュール17および第2洗浄モジュール18のうちのいずれか一方を備えていてもよい。
【0029】
第4搬送ロボット14は、第3仮置台8に隣接して、第1洗浄モジュール17と第2洗浄モジュール18との間に配置されている。第4搬送ロボット14は、第3仮置台8に載置から基板を取り出して、洗浄乾燥部9の第1洗浄モジュール17に搬送する。さらに、第4搬送ロボット14は、第1洗浄モジュール17と第2洗浄モジュール18との間で基板の搬送を行う。第5搬送ロボット15は、第2洗浄モジュール18と乾燥モジュール19との間に配置されている。第5搬送ロボット15は、第2洗浄モジュール18と乾燥モジュール19との間で基板の搬送を行う。洗浄乾燥部9により洗浄、乾燥された基板は、第1搬送ロボット11により再びロードポート2の基板カセット16に戻される。
【0030】
基板研磨装置は、研磨モジュール4A~4D(より具体的には、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュール)、洗浄乾燥部9、第1搬送ロボット11、第2搬送ロボット12、第3搬送ロボット13、第4搬送ロボット14、および第5搬送ロボット15に電気的に接続された統括制御部20をさらに備えている。統括制御部20は、研磨モジュール4A~4D(より具体的には、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュール)、洗浄乾燥部9、第1搬送ロボット11、第2搬送ロボット12、第3搬送ロボット13、第4搬送ロボット14、および第5搬送ロボット15の動作を制御するように構成されている。
【0031】
統括制御部20は、使用する研磨モジュールのタイプなどの情報、および研磨モジュールの動作順である処理フローを作成するためのプログラムが格納された記憶装置20aと、プログラムに従って演算を実行する演算装置20bを備えている。記憶装置20aは、演算装置20bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、プログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。演算装置20bは、記憶装置20aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングモジュール)などを含む。
【0032】
統括制御部20は、少なくとも1台のコンピュータを備えている。例えば、統括制御部20は、基板研磨装置に通信線で接続されたエッジサーバであってもよいし、インターネットなどのネットワークによって基板研磨装置に接続されたクラウドサーバであってもよい。統括制御部20は、複数のサーバの組み合わせであってもよい。例えば、統括制御部20は、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークにより互いに接続されたエッジサーバとクラウドサーバとの組み合わせ、あるいは通信ネットワークで接続されていない複数のサーバの組み合わせであってもよい。ただし、統括制御部20の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0033】
図2は、
図1に示す基板研磨装置を矢印Aで示す方向から見た側面図である。基板研磨装置は、研磨モジュール4A~4Dの動作をそれぞれ制御する4つの制御モジュール30A~30Dをさらに備えている。制御モジュール30Aは、研磨モジュール4Aの動作を制御するように構成されている。制御モジュール30Bは、研磨モジュール4Bの動作を制御するように構成されている。制御モジュール30Cは、研磨モジュール4Cの動作を制御するように構成されている。制御モジュール30Dは、研磨モジュール4Dの動作を制御するように構成されている。制御モジュール30A~30Dは、統括制御部20に電気的に接続されており、制御モジュール30A~30Dの全体は、統括制御部20によって制御される。制御モジュール30A~30Dは、同じサイズを有している。
【0034】
制御モジュール30A~30Dは、ハウジング1内に配置されており、ハウジング1の長手方向に沿って配列されている。4つの制御モジュール30A~30Dは、基板研磨装置の上から見たときに、一直線上に並んで配置されている。制御モジュール30A~30Dは、研磨モジュール4A~4Dの上方にそれぞれ配置されている。具体的には、制御モジュール30Aは、研磨モジュール4Aの上方に配置されており、制御モジュール30Bは、研磨モジュール4Bの上方に配置されており、制御モジュール30Cは、研磨モジュール4Cの上方に配置されており、制御モジュール30Dは、研磨モジュール4Dの上方に配置されている。
【0035】
本実施形態では、制御モジュール30A、制御モジュール30Bは、ノッチ研磨モジュールの動作を制御するノッチ研磨制御モジュールであり、制御モジュール30Cは、ベベル研磨モジュールの動作を制御するベベル研磨制御モジュールであり、制御モジュール30Dは、裏面研磨モジュールの動作を制御する裏面研磨制御モジュールである。
【0036】
制御モジュール30A~30Dは、ハウジング1内に着脱可能に配置されている。制御モジュール30A~30Dは、それぞれ配線コネクタ35A~35Dを備えている。具体的には、制御モジュール30Aは、配線コネクタ35Aを備えており、制御モジュール30Bは、配線コネクタ35Bを備えており、制御モジュール30Cは、配線コネクタ35Cを備えており、制御モジュール30Dは、配線コネクタ35Dを備えている。
【0037】
配線コネクタ35A~35Dは、制御モジュール30A~30Dと研磨モジュール4A~4Dとをそれぞれ連結するための研磨モジュール配線41A~41Dに接続されている。配線コネクタ35A~35Dは、さらに制御モジュール30A~30Dと統括制御部20とをそれぞれ連結するための本体配線42A~42Dに接続されている。配線コネクタ35Aは、研磨モジュール配線41Aを介して研磨モジュール4Aに電気的に接続されており、さらに本体配線42Aを介して統括制御部20に電気的に接続されている。配線コネクタ35Bは、研磨モジュール配線41Bを介して研磨モジュール4Bに電気的に接続されており、さらに本体配線42Bを介して統括制御部20に電気的に接続されている。配線コネクタ35Cは、研磨モジュール配線41Cを介して研磨モジュール4Cに電気的に接続されており、さらに本体配線42Cを介して統括制御部20に電気的に接続されている。配線コネクタ35Dは、研磨モジュール配線41Dを介して研磨モジュール4Dに電気的に接続されており、さらに本体配線42Dを介して統括制御部20に電気的に接続されている。
【0038】
研磨モジュール配線41A~41Dは、後述する研磨モジュール4A~4D(ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、裏面研磨モジュール)の各構成要素に電気的に接続されている。したがって、研磨モジュール配線41A~41Dを配線コネクタ35A~35Dに接続することにより、一括して研磨モジュール4A~4Dと制御モジュール30A~30Dを電気的に接続することができる。
【0039】
本体配線42A~42Dは、統括制御部20に電気的に接続されている。したがって、本体配線42A~42Dを配線コネクタ35A~35Dに接続することにより、一括して統括制御部20と制御モジュール30A~30Dを電気的に接続することができる。
【0040】
このような構成により、制御モジュール30A~30Dは、研磨モジュール4A~4Dの配置を組み替える際に、対応する研磨モジュール4A~4Dとともに制御モジュール30A~30Dの配置を容易に組み替えることができる。
【0041】
図3は、ノッチ研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。
図4は、
図3に示すノッチ研磨モジュールの平面図である。
図4では、ノッチ研磨モジュールの一部の図示は省略されている。ノッチ研磨モジュールは、基板Wの周縁部に形成されたノッチ部Nを研磨するための装置である。
図3に示すように、ノッチ研磨モジュールは、研磨ヘッド103、基板保持部105、基板スイング部110、研磨テープ供給機構120、液体供給ノズル130、ノッチ検出機構140、研磨ヘッド移動機構150、およびチルト機構170を備えている。
【0042】
基板保持部105は、研磨対象の基板Wを保持し、回転させる。基板保持部105は、基板Wを真空吸着により保持する保持ステージ107と、保持ステージ107の中央部に連結された第1シャフト108と、保持ステージ107を回転させ、かつ上下動させる保持ステージ駆動機構109を備えている。保持ステージ駆動機構109は、保持ステージ107を、その軸心Crを中心に回転させ、軸心Crに沿って上下方向に移動可能に構成されている。
【0043】
基板Wは、第2搬送ロボット12(
図1参照)により、基板Wの中心O1が保持ステージ107の軸心Cr上に位置するように保持ステージ107の基板保持面に載置される。基板保持部105は、基板Wを保持ステージ107の軸心Cr(すなわち基板Wの軸心)を中心に回転させ、かつ基板Wを保持ステージ107の軸心Crに沿って上昇下降させることができる。
【0044】
基板スイング部110は、基板Wのノッチ部Nを中心に、基板Wを時計周りおよび反時計周りに所定の角度だけ水平面内で回転させる(すなわちスイングさせる)。基板スイング部110は、保持ステージ駆動機構109に連結されたスイングアーム112と、スイングアーム112に連結された第2シャフト113と、スイングアーム112をスイングさせるスイング機構114を備えている。
【0045】
第2シャフト113は、ベースプレート160を貫通して延びている。基板保持部105と第2シャフト113とは、スイングアーム112を介して連結されている。スイング機構114は、第2シャフト113を時計周りおよび反時計周りに所定の角度だけ回転させる。スイング機構114により第2シャフト113を時計回りおよび反時計周りに回転させると、基板保持部105も時計回りおよび反時計周りに回転する。第1シャフト108の軸心と第2シャフト113の軸心とはずれており、第2シャフト113の軸心の延長線上には、保持ステージ107に保持された基板Wのノッチ部Nが位置している。したがって、
図4の矢印で示すように、保持ステージ107上の基板Wは、スイング機構114によりノッチ部Nを中心に時計周りおよび反時計周りに所定の角度だけ水平面内で回転される(すなわちスイングされる)。
【0046】
研磨テープ供給機構120は、研磨テープ102を研磨ヘッド103に供給し、かつ研磨ヘッド103から回収する。研磨テープ供給機構120は、研磨テープ102を研磨ヘッド103に供給するテープ巻き出しリール121と、基板Wの研磨に使用された研磨テープ102を回収するテープ巻き取りリール122を備えている。テープ巻き出しリール121およびテープ巻き取りリール122には図示しないテンションモータがそれぞれ連結されている。テープ巻き出しリール121およびテープ巻き取りリール122は、テンションモータを介してリールベース128に固定されている。それぞれのテンションモータは、テープ巻き出しリール121およびテープ巻き取りリール122に所定のトルクを与え、研磨テープ102に所定のテンションをかけることができるようになっている。
【0047】
研磨テープ供給機構120は、研磨テープ102を支持するための複数のガイドローラー124,125,126,127をさらに備えている。ガイドローラー124,125,126,127は、リールベース128に固定されている。研磨テープ102は、研磨テープ102の研磨面が基板Wのノッチ部Nを向くように研磨ヘッド103に供給される。研磨テープ102の進行方向は、ガイドローラー124,125,126,127によってガイドされる。
【0048】
液体供給ノズル130は、基板Wのノッチ部Nに向かって液体を供給するように構成されている。基板Wに供給される液体の一例として、純水が挙げられる。基板Wの研磨中、液体供給ノズル130から基板Wのノッチ部Nに向かって液体が供給される。液体供給ノズル130は、スイング機構114のスイングアーム112に連結されている。したがって、液体供給ノズル130は、スイング機構114により基板保持部105と一体に基板Wのノッチ部Nを中心に時計周りおよび反時計周りに所定の角度だけ水平面内で回転される(すなわちスイングされる)。
【0049】
ノッチ検出機構140は、基板Wに形成されているノッチ部Nを検出するように構成されている。ノッチ検出機構140によりノッチ部Nが検出されると、ノッチ部Nが研磨ヘッド103の方を向くように保持ステージ107が回転する。ノッチ検出機構140は、第2搬送ロボット12(
図1参照)により、基板Wが保持ステージ107の基板保持面に載置された後、研磨前にノッチ部Nを検出し、位置合わせを行う。
【0050】
研磨ヘッド移動機構150は、保持ステージ107上の基板Wの中心とノッチ部Nとを結ぶ線と同じ方向に延びるガイドレール154を備えている。ガイドレール154は、ベースプレート160に固定されている。研磨ヘッド103および研磨テープ供給機構120のリールベース128は、可動プレート152を介して研磨ヘッド移動機構150に連結されている。研磨ヘッド103および研磨テープ供給機構120の全体は可動プレート152と一体に移動可能となっている。
【0051】
研磨ヘッド移動機構150は、連結シャフト156を介して可動プレート152に連結されたエアシリンダ155を備えている。エアシリンダ155は、ベースプレート160に固定されている。研磨ヘッド移動機構150は、エアシリンダ155を駆動させてガイドレール154に沿って可動プレート152を移動させることにより、研磨ヘッド103および研磨テープ供給機構120を基板Wのノッチ部Nに対して近接および離間させる。
【0052】
チルト機構170は、研磨ヘッド103を保持ステージ107の基板保持面に対して傾動させるように構成されている。より具体的には、チルト機構170は、研磨ヘッド103に連結されたクランクアーム172と、クランクアーム172を回転させるアーム回転装置173を備えている。クランクアーム172の一端は、保持ステージ107の基板保持面と実質的に同じ高さに位置しており、アーム回転装置173に連結されている。クランクアーム172の他端は研磨ヘッド103に連結されている。
【0053】
アーム回転装置173がクランクアーム172を回転させると、研磨ヘッド103の全体を保持ステージ107の基板保持面上の基板Wのノッチ部Nを中心として傾動させることができる。さらに、チルト機構170は、研磨ヘッド103を所定の傾斜角度に維持することができるように構成されている。なお、研磨ヘッド103を保持ステージ107の基板保持面および基板Wに対して傾動させることができるのであれば、チルト機構170の具体的構成は
図4に示す実施形態に限られない。
【0054】
ノッチ研磨モジュールは、ノッチ研磨モジュールの各構成要素の動作を制御するノッチ研磨制御モジュールに電気的に接続されている。このノッチ研磨制御モジュールは、
図2に示す制御モジュール30A,30Bに相当するので、以下の説明では、ノッチ研磨制御モジュールに符号30Aを付す。基板保持部105、基板スイング部110、研磨テープ供給機構120、液体供給ノズル130、ノッチ検出機構140、研磨ヘッド移動機構150、およびチルト機構170は、ノッチ研磨制御モジュール30Aに電気的に接続されている。基板保持部105、基板スイング部110、研磨テープ供給機構120、液体供給ノズル130、ノッチ検出機構140、研磨ヘッド移動機構150、およびチルト機構170の動作は、ノッチ研磨制御モジュール30Aによって制御される。
【0055】
ノッチ研磨制御モジュール30Aは、少なくとも1台のコンピュータを備えている。ノッチ研磨制御モジュール30Aは、プログラムが格納された記憶装置180aと、プログラムに従って演算を実行する演算装置180bを備えている。記憶装置180aは、演算装置180bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、プログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。演算装置180bは、記憶装置180aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングモジュール)などを含む。ただし、ノッチ研磨制御モジュール30Aの具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0056】
基板Wのノッチ部Nの研磨は、次のように行われる。基板Wがノッチ研磨モジュールに搬送されると、保持ステージ107が上昇し、基板Wは保持ステージ107の基板保持面に載置され、真空吸着により保持される。この状態で、ノッチ検出機構140は、基板Wのノッチ部Nの位置を検出し、基板保持部105は、基板Wを研磨位置まで下降させつつ、ノッチ部Nが研磨ヘッド103の方を向くように保持ステージ107を回転させる。さらに、液体供給ノズル130から液体の供給が開始される。
【0057】
次に、研磨ヘッド移動機構150により研磨ヘッド103を基板Wのノッチ部Nに近接させて、研磨ヘッド103により研磨テープ102の研磨面をノッチ部Nに摺接させて研磨する。研磨中は、基板スイング部110により基板Wをノッチ部Nを中心としてスイングさせ、さらにチルト機構170により研磨ヘッド103をノッチ部Nを中心として傾動させる。
【0058】
ノッチ研磨制御モジュール30Aは、所定の研磨レシピに従って基板Wが研磨された後、ノッチ研磨モジュールに指令を発して基板Wの研磨を終了させる。具体的には、ノッチ研磨制御モジュール30Aは、基板スイング部110およびチルト機構170の動作を停止させ、研磨ヘッド移動機構150により研磨ヘッド103を基板Wから離間させる。その後、ノッチ研磨制御モジュール30Aは、基板保持部105、研磨テープ供給機構120、および液体供給ノズル130の動作を停止させて、基板Wの研磨を終了させる。
【0059】
ノッチ研磨モジュールの具体的構成は、基板Wのノッチ部Nを研磨できるものであれば、上述した実施形態に限られない。
【0060】
図5は、ベベル研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。ベベル研磨モジュールは、基板Wのベベル部Bを含む周縁部を研磨するための装置である。
図5に示すように、ベベル研磨モジュールは、研磨ヘッド203、基板保持部205、研磨テープ供給機構220、下側供給ノズル231、上側供給ノズル232、およびチルト機構(図示せず)を備えている。
【0061】
基板保持部205は、基板Wを保持し、回転させる。基板保持部205は、保持ステージ207、シャフト208、および保持ステージ駆動機構209を備えている。保持ステージ207、シャフト208、および保持ステージ駆動機構209の構成は、
図3を参照して説明したノッチ研磨モジュールの保持ステージ107、第1シャフト108、および保持ステージ駆動機構109と同様の構成を有しているため、その重複する説明を省略する。
【0062】
研磨テープ供給機構220は、研磨テープ202を研磨ヘッド203に供給し、かつ研磨ヘッド203から回収する。研磨テープ供給機構220は、テープ巻き出しリール221、テープ巻き取りリール222、および複数のガイドローラー224,225,226,227を備えている。テープ巻き出しリール221、テープ巻き取りリール222および複数のガイドローラー224,225,226,227は、リールベース228に固定されている。研磨テープ202は、研磨テープ202の研磨面が基板Wのベベル部Bを向くように研磨ヘッド203に供給される。
【0063】
テープ巻き出しリール221、テープ巻き取りリール222、および複数のガイドローラー224,225,226,227の構成は、
図3を参照して説明したノッチ研磨モジュールのテープ巻き出しリール121、テープ巻き取りリール122、および複数のガイドローラー124,125,126,127と同様の構成を有しているため、その重複する説明を省略する。
【0064】
下側供給ノズル231は、基板Wの下面に液体を供給するように構成されている。上側供給ノズル232は、基板Wの上面に液体を供給するように構成されている。基板Wに供給される液体の一例として、純水が挙げられる。基板Wの研磨中、下側供給ノズル231から基板Wの下面に液体が供給され、上側供給ノズル232から基板Wの上面に液体が供給される。
【0065】
研磨ヘッド203は、研磨テープ202の研磨面を基板Wのベベル部Bに対して押し付ける押圧部材242と、この押圧部材242を基板Wのベベル部Bに向かって移動させるエアシリンダ(駆動機構)245とを備えている。エアシリンダ245へ供給する空気圧を制御することによって、研磨テープ202の基板Wに対する押付力が調整される。押圧部材242は、研磨テープ202の裏面側(砥粒を有する研磨面の裏側)に配置されている。
【0066】
チルト機構(図示せず)は、
図4を参照して説明したノッチ研磨モジュールのチルト機構170と同様の構成を有しているため、その重複する説明を省略する。ベベル研磨モジュールのチルト機構は、研磨ヘッド203を保持ステージ207の基板保持面に対して傾動させるように構成されている。
【0067】
ベベル研磨モジュールは、ベベル研磨モジュールの各構成要素の動作を制御するベベル研磨制御モジュールに電気的に接続されている。このベベル研磨制御モジュールは、
図2に示す制御モジュール30Cに相当するので、以下の説明では、ベベル研磨制御モジュールに符号30Cを付す。基板保持部205、研磨テープ供給機構220、下側供給ノズル231、上側供給ノズル232、エアシリンダ245およびチルト機構は、ベベル研磨制御モジュール30Cに電気的に接続されている。基板保持部205、研磨テープ供給機構220、下側供給ノズル231、上側供給ノズル232、エアシリンダ245およびチルト機構の動作は、ベベル研磨制御モジュール30Cによって制御される。ベベル研磨制御モジュール30Cは、記憶装置280aと演算装置280bを備えている。記憶装置280aおよび演算装置280bは、上述したノッチ研磨制御モジュール30Aの記憶装置180aおよび演算装置180bと同様の基本構成を有しているため、その重複する説明を省略する。
【0068】
基板Wのベベル部Bの研磨は、次のように行われる。基板Wがベベル研磨モジュールに搬送されると、保持ステージ207が上昇し、基板Wは保持ステージ207の基板保持面に載置され、真空吸着により保持される。基板保持部205は、基板Wを研磨位置まで下降させて、保持ステージ207を回転させる。さらに、下側供給ノズル231および上側供給ノズル232から液体の供給が開始される。
【0069】
次に、エアシリンダ245を駆動させて研磨ヘッド203の押圧部材242を基板Wのベベル部Bに対して押し付けて、基板Wのベベル部Bが研磨される。研磨中は、チルト機構により研磨ヘッド203を保持ステージ207の基板保持面に対して傾動させる。
【0070】
ベベル研磨制御モジュール30Cは、所定の研磨レシピに従って基板Wが研磨された後、ベベル研磨モジュールに指令を発して基板Wの研磨を終了させる。具体的には、ベベル研磨制御モジュール30Cは、チルト機構の動作を停止させ、研磨ヘッド203のエアシリンダ245の駆動を停止させて押圧部材242を基板Wから離間させる。その後、ベベル研磨制御モジュール30Cは、基板保持部205、研磨テープ供給機構220、下側供給ノズル231、および上側供給ノズル232の動作を停止させて、基板Wの研磨を終了させる。
【0071】
ベベル研磨モジュールの具体的構成は、基板Wのベベル部Bを研磨できるものであれば、上述した実施形態に限られない。
【0072】
図6は、裏面研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。裏面研磨モジュールは、基板Wの裏面を研磨するための装置である。
図6に示すように、裏面研磨モジュールは、研磨ヘッド303、基板保持部305、研磨テープ供給機構320、リンス液供給ノズル331、保護液供給ノズル332、および研磨ヘッド移動機構350を備えている。
【0073】
基板保持部305は、基板Wの周縁部に接触可能な複数のローラー308と、複数のローラー308をそれぞれの軸心を中心に回転させるローラー回転機構(図示せず)を備えている。研磨ヘッド303は、基板保持部305に保持されている基板Wの下側に配置されている。
図6では、基板保持部305の一部の図示は省略されている。本実施形態の基板保持部305は、4つのローラー308を備えている(うち2つは図示せず)。
【0074】
本実施形態では、基板Wの第1の面S1は、デバイスが形成されていない、またはデバイスが形成される予定がない基板Wの裏面、すなわち非デバイス面である。第1の面S1とは反対側の基板Wの第2の面S2は、デバイスが形成されている、またはデバイスが形成される予定である面、すなわちデバイス面である。本実施形態では、基板Wは、その第1の面S1が下向きの状態で、基板保持部305に水平に保持される。
【0075】
ローラー回転機構は、4つのローラー308を同じ方向に同じ速度で回転させるように構成されている。基板Wの第1の面S1の研磨中、基板Wの周縁部は、ローラー308によって把持される。基板Wは水平に保持され、ローラー308の回転によって基板Wはその軸心を中心に回転される。基板Wの第1の面S1の研磨中、4つのローラー308はそれぞれの軸心を中心に回転するが、ローラー308自体の位置は静止している。
【0076】
研磨テープ供給機構320は、研磨テープ302を研磨ヘッド303に供給し、かつ研磨ヘッド303から回収する。研磨テープ供給機構320は、研磨テープ302を研磨ヘッド303に供給するテープ巻き出しリール321と、基板Wの研磨に使用された研磨テープ302を回収するテープ巻き取りリール322を備えている。テープ巻き出しリール321およびテープ巻き取りリール322には図示しないテンションモータがそれぞれ連結されている。テープ巻き出しリール321およびテープ巻き取りリール322は、テンションモータを介してリールベース328に固定されており、リールベース328は可動プレート340に固定されている。それぞれのテンションモータは、テープ巻き出しリール321およびテープ巻き取りリール322に所定のトルクを与え、研磨テープ302に所定のテンションをかけることができるようになっている。
【0077】
研磨テープ供給機構320は、研磨テープ302を支持するための複数のガイドローラー324,325,326,327をさらに備えている。研磨テープ302は、研磨テープ302の研磨面が基板Wの第1の面S1を向くように研磨ヘッド303に供給される。ガイドローラー324,325,326,327は、図示しない保持部材に固定されており、この保持部材は可動プレート340に固定されている。研磨テープ302の進行方向は、ガイドローラー324,325,326,327によって研磨ヘッド303を囲むようにガイドされる。より具体的には、研磨ヘッド303の上部に配置されたガイドローラー325,326は、基板Wの第1の面S1と平行な方向に研磨テープ302が進行するように研磨テープ302をガイドする。
【0078】
リンス液供給ノズル331は、基板保持部305に保持された基板Wの下方に配置されており、基板Wの第1の面S1の加工点に向かってリンス液を供給するように構成されている。基板Wの第1の面S1に供給されるリンス液の一例として、例えば純水、またはアルカリ性の薬液が挙げられる。保護液供給ノズル332は、基板保持部305に保持された基板Wの上方に配置されており、基板Wの第2の面S2に保護液を供給するように構成されている。基板Wの第2の面S2に供給される保護液の一例として、純水が挙げられる。
【0079】
研磨ヘッド移動機構350は、研磨ヘッド303を基板Wの第1の面S1の中心O1と第1の面S1の最外部との間で移動させるように構成されている。研磨ヘッド移動機構350は、可動プレート340の下面に複数の直動ガイド355を備えており、可動プレート340は複数の直動ガイド355に支持されている。複数の直動ガイド355はベースプレート360上に配置されている。直動ガイド355は、可動プレート340の動きを基板Wの半径方向への直線運動に制限する。
【0080】
研磨ヘッド303、研磨テープ供給機構320のリールベース328、およびガイドローラー324,325,326,327が固定された保持部材は、可動プレート340を介して研磨ヘッド移動機構350に連結されている。研磨ヘッド303および研磨テープ供給機構320の全体は可動プレート340と一体に移動可能となっている。
【0081】
研磨ヘッド移動機構350は、可動プレート340に連結されたボールねじ機構352を備えている。ボールねじ機構352は、ベースプレート360に固定されている。研磨ヘッド移動機構350は、ボールねじ機構352を駆動させることにより、研磨ヘッド303および研磨テープ供給機構320を基板保持部305に対して相対的に基板Wの半径方向に移動させる。基板Wの研磨中、研磨ヘッド移動機構350は研磨ヘッド303を基板Wの第1の面S1の中心O1と第1の面S1の最外部との間で移動させる。
【0082】
研磨ヘッド303は、支持部材343に支持されており、支持部材343は可動プレート340に固定されている。したがって、研磨ヘッド303の全体は可動プレート340と一体に移動可能となっている。支持部材343は図示しない通孔を有しており、研磨テープ302はこの通孔を通って延びている。研磨ヘッド303は、研磨テープ302の研磨面を基板Wの第1の面S1に対して押し付ける押圧部材342と、この押圧部材342を基板Wの第1の面S1に向かって移動させるエアシリンダ(駆動機構)345を備えている。エアシリンダ345へ供給する空気圧を制御することによって、研磨テープ302の基板Wに対する押付力が調整される。押圧部材342は、研磨テープ302の裏面側(砥粒を有する研磨面の裏側)に配置されている。
【0083】
裏面研磨モジュールは、裏面研磨モジュールの各構成要素の動作を制御する裏面研磨制御モジュールに電気的に接続されている。この裏面研磨制御モジュールは、
図2に示す制御モジュール30Dに相当するので、以下の説明では、裏面研磨制御モジュールに符号30Dを付す。基板保持部305、研磨テープ供給機構320、リンス液供給ノズル331、保護液供給ノズル332、研磨ヘッド移動機構350、および研磨ヘッド303のエアシリンダ345は、裏面研磨制御モジュール30Dに電気的に接続されている。基板保持部305、研磨テープ供給機構320、リンス液供給ノズル331、保護液供給ノズル332、研磨ヘッド移動機構350、および研磨ヘッド303のエアシリンダ345の動作は、裏面研磨制御モジュール30Dによって制御される。裏面研磨制御モジュール30Dは、記憶装置380aと演算装置380bを備えている。記憶装置380aおよび演算装置380bは、上述したノッチ研磨制御モジュール30Aの記憶装置180aおよび演算装置180bと同様の基本構成を有しているため、その重複する説明を省略する。
【0084】
基板Wの第1の面S1の研磨は、次のように行われる。基板Wが第3搬送ロボット13(
図1参照)により裏面研磨モジュールに搬送されると、基板保持部305は、基板Wを第1の面S1が下向きの状態でローラー308により保持し、さらに基板Wの軸心を中心に回転させる。さらに、リンス液供給ノズル331から基板Wの第1の面S1にリンス液の供給が開始され、保護液供給ノズル332から基板Wの第2の面S2に保護液の供給が開始される。
【0085】
次に、研磨ヘッド移動機構350は、研磨ヘッド303を基板Wの第1の面S1の中心O1の下方に移動させる。研磨ヘッド移動機構350により研磨ヘッド303および研磨テープ供給機構320を基板Wの半径方向外側に移動させながら、エアシリンダ345を駆動させて研磨ヘッド303の押圧部材342を基板Wの第1の面S1に対して押し付けて、基板Wの第1の面S1が研磨される。
【0086】
研磨ヘッド303が基板Wの第1の面S1の最外部に到達したとき、裏面研磨制御モジュール30Dは裏面研磨モジュールに指令を発して基板Wの研磨を終了させる。具体的には、裏面研磨制御モジュール30Dは、研磨ヘッド移動機構350の動作を停止させ、研磨ヘッド303のエアシリンダ345の駆動を停止させて押圧部材342を下降させ、研磨テープ302を基板Wの第1の面S1から離間させる。その後、裏面研磨制御モジュール30Dは、基板保持部305、研磨テープ供給機構320、リンス液供給ノズル331、および保護液供給ノズル332の動作を停止させて、基板Wの研磨を終了させる。一実施形態では、研磨ヘッド移動機構350は、研磨ヘッド303を基板Wの第1の面S1の最外部と中心O1との間で往復させてもよい。
【0087】
裏面研磨モジュールの具体的構成は、基板Wの裏面(第1の面S1)を研磨できるものであれば、上述した実施形態に限られない。
【0088】
図7は、本実施形態に係る基板研磨装置の処理フローの一例を示す図である。本実施形態では、ノッチ研磨モジュールである研磨モジュール4Aまたは研磨モジュール4Bにより基板Wのノッチ部Nが研磨され、ベベル研磨モジュールである研磨モジュール4Cにより基板Wのベベル部Bが研磨され、裏面研磨モジュールである研磨モジュール4Dにより基板Wの裏面(第1の面S1)が研磨される。研磨された基板Wは、第1洗浄モジュール17により洗浄され、さらに第2洗浄モジュール18により洗浄された後、乾燥モジュール19により乾燥される。
【0089】
各研磨モジュールによる研磨時間を時間単位Tで表すと、ノッチ研磨モジュールによるノッチ部Nの研磨時間は2T(時間単位Tの2倍)、ベベル研磨モジュールによるベベル部Bの研磨時間は1T、裏面研磨モジュールによる裏面の研磨時間は1Tである。また、第1洗浄モジュール17、第2洗浄モジュール18による洗浄時間、および乾燥モジュール19による乾燥時間は、それぞれ1Tである。
【0090】
図7は、初めに処理する第1基板W1と、次に処理する第2基板W2の処理フローを示している。時間は、第1基板W1の研磨開始から経過した時間を表している。
ステップS101では、時間0から時間2Tまで、第1基板W1のノッチ部Nを研磨モジュール4A(すなわち、ノッチ研磨モジュール)で研磨する。
ステップS102では、時間2Tから時間3Tまで、第1基板W1のベベル部Bを研磨モジュール4C(すなわち、ベベル研磨モジュール)で研磨する。
ステップS103では、時間3Tから時間4Tまで、第1基板W1の裏面(第1の面S1)を研磨モジュール4D(すなわち、裏面研磨モジュール)で研磨する。
ステップS104では、時間4Tから時間5Tまで、研磨された第1基板W1を第1洗浄モジュール17で洗浄する。
ステップS105では、時間5Tから時間6Tまで、第1洗浄モジュール17により洗浄された第1基板W1を第2洗浄モジュール18で洗浄する。
ステップS106では、時間6Tから時間7Tまで、第2洗浄モジュール18により洗浄された第1基板W1を乾燥モジュール19で乾燥する。
【0091】
ステップS107では、時間1Tから時間3Tまで、第2基板W2のノッチ部Nを研磨モジュール4B(すなわち、ノッチ研磨モジュール)で研磨する。
ステップS108では、時間3Tから時間4Tまで、第2基板W2のベベル部Bを研磨モジュール4C(すなわち、ベベル研磨モジュール)で研磨する。
ステップS109では、時間4Tから時間5Tまで、第2基板W2の裏面(第1の面S1)を研磨モジュール4D(すなわち、裏面研磨モジュール)で研磨する。
ステップS110では、時間5Tから時間6Tまで、研磨された第2基板W2を第1洗浄モジュール17で洗浄する。
ステップS111では、時間6Tから時間7Tまで、第1洗浄モジュール17により洗浄された第2基板W2を第2洗浄モジュール18で洗浄する。
ステップS112では、時間7Tから時間8Tまで、第2洗浄モジュール18により洗浄された第2基板W2を乾燥モジュール19で乾燥する。
【0092】
本実施形態によれば、基板研磨装置は、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールを同一ハウジング1内に備えているため、異なるタイプの研磨モジュールによる研磨を連続的に行うことができる。したがって、各研磨モジュールによる研磨が終了する度に基板Wを洗浄、乾燥する必要がなく、全体の処理時間を短縮することができる。
【0093】
基板研磨装置は、他の工程と比較して研磨時間の長いノッチ研磨モジュールである研磨モジュール4Aと研磨モジュール4Bを備えている。このため、研磨モジュール4Aと研磨モジュール4Bで並行して、第1基板W1と第2基板W2のノッチ部Nの研磨を行うことができる。そのため、次のベベル研磨モジュールでは、空き時間が発生することなく、第1基板W1を研磨した後すぐに第2基板W2の研磨を行うことができる。これにより、複数の基板を処理する際の全体の処理時間を短縮することができる。
【0094】
上述した処理フローは一例であって、一実施形態では、処理フローは、ベベル研磨モジュールである研磨モジュール4Cによるベベル部Bの研磨の後、裏面研磨モジュールである研磨モジュール4Dによる裏面(第1の面S1)の研磨が行われ、その後、ノッチ研磨モジュールである研磨モジュール4Aまたは研磨モジュール4Bにより基板Wのノッチ部Nの研磨が行われてもよい。
【0095】
基板研磨装置は、処理フローや各研磨モジュールにおける研磨時間に応じて、研磨モジュール4A~4Dの研磨モジュールのタイプおよび配置を組み替えることができる。したがって、1つの基板研磨装置で様々な研磨工程に対応して、効率の良い処理フローを実現することができる。また、一実施形態では、基板研磨装置は、2つの第1洗浄モジュール17、2つの第2洗浄モジュール18、および2つの乾燥モジュール19を備えていてもよい。例えば、基板研磨装置は、研磨モジュール4A~4Dにより研磨された複数の基板を2つの第1洗浄モジュール17、2つの第2洗浄モジュール18、および2つの乾燥モジュール19により並行して洗浄、乾燥を行ってもよい。
【0096】
図8は、基板研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、
図1乃至
図7を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図8に示す基板研磨装置の制御モジュール30A~30Dは、対応する研磨モジュール4A~4Dで発生した異常を検出する異常検出システム50A~50Dを備えている。
【0097】
これら異常検出システム50A~50Dは、研磨モジュール4A~4Dから取得した各種信号などに基づいて、異常を検出することができる。このような異常検出システム50A~50Dとしては、公知の異常検出手段を備えた異常検出システムを使用することができる。本実施形態の異常検出システム50A~50Dは、研磨モジュール4A~4Dに対して1つずつ設けられているが、一実施形態では、異常検出システムは統括制御部20に1つ設けられており、研磨モジュール4A~4Dの異常を検出するように構成されてもよい。
【0098】
異常検出システム50Aは、制御モジュール30Aが動作を制御する研磨モジュール4Aで発生した異常を検出するように構成されている。異常検出システム50Bは、制御モジュール30Bが動作を制御する研磨モジュール4Bで発生した異常を検出するように構成されている。異常検出システム50Cは、制御モジュール30Cが動作を制御する研磨モジュール4Cで発生した異常を検出するように構成されている。異常検出システム50Dは、制御モジュール30Dが動作を制御する研磨モジュール4Dで発生した異常を検出するように構成されている。
【0099】
異常検出システム50A~50Dにより研磨モジュール4A~4Dの異常が検出されると、制御モジュール30A~30Dは、統括制御部20に異常検出信号を送る。統括制御部20は、異常が検出された研磨モジュールが複数設けられたタイプの研磨モジュールである場合、異常が検出された研磨モジュールを使用しない処理フローを作成するように構成されている。
【0100】
図9は、異常検出前の処理フローを示す図である。
図7を参照して説明した実施形態と同様に、複数の基板のノッチ部Nの研磨は、研磨モジュール4Aおよび研磨モジュール4Bの2つのノッチ研磨モジュールにより並行して行われる。
図10は、研磨モジュール4Bの異常検出後に変更された処理フローを示す図である。異常検出システム50Bにより研磨モジュール4Bの異常が検出された場合、制御モジュール30Bは、統括制御部20に異常検出信号を送る。統括制御部20は、異常検出信号に基づいて、研磨モジュール4Bを使用しない処理フローを作成し、研磨モジュール4A,4Bの両方を使用する
図9の処理フローから、研磨モジュール4Aを使用し、かつ研磨モジュール4Bを使用しない
図10の処理フローに変更する。
【0101】
本実施形態によれば、異常が検出された研磨モジュール4Bのタイプは、複数設けられたノッチ研磨モジュールである。したがって、研磨モジュール4Bに異常が発生した際に、研磨モジュール4Aのみを使用してノッチ部Nを研磨する処理フローに変更することにより、基板研磨装置の全体の動作を停止させることなく、基板の処理を継続することができる。
【0102】
本実施形態の基板研磨装置は、2つのノッチ研磨モジュールが設けられていたが、一実施形態では3つ以上のノッチ研磨モジュールが設けられており、異常検出システムにより3つ以上のノッチ研磨モジュールのうちの少なくとも1つのノッチ研磨モジュールの異常が検出されたときに、統括制御部20は、異常が検出された少なくとも1つのノッチ研磨モジュールを使用しない処理フローに変更してもよい。また、一実施形態では、基板研磨装置は、複数のベベル研磨モジュールまたは裏面研磨モジュールが設けられており、異常検出システムにより複数設けられたベベル研磨モジュールまたは裏面研磨モジュールの異常が検出されたときに、統括制御部20は、異常が検出されたベベル研磨モジュールまたは裏面研磨モジュールを使用しない処理フローに変更してもよい。
【0103】
上述した基板研磨装置は、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの3つのタイプの研磨モジュールを含んでいるが、基板研磨装置の構成は、これらのタイプの研磨モジュールに限られない。例えば、研磨モジュールは、研磨具として研磨テープに代えて砥石を使用する研磨モジュール、または研磨液(スラリー)の存在下で研磨具として研磨パッド(例えば、不織布など)を使用する研磨モジュール(CMPモジュール)などであってもよい。
【0104】
図11は、基板研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。本実施形態では、研磨モジュール4A,4Bは、ノッチ研磨モジュールに代えて、基板のデバイス面を研磨するデバイス面研磨モジュールである。本実施形態では、制御モジュール30A,30Bは、デバイス面研磨モジュールの動作を制御するデバイス面研磨制御モジュールである。
【0105】
研磨モジュール4A~4Dは、ハウジング1内に着脱可能に配置されている。さらに、研磨モジュール4A~4Dは、同じサイズを有している。したがって、研磨モジュール4A~4Dを構成するデバイス面研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの配置を変えることができる。例えば、研磨モジュール4A、研磨モジュール4Bをベベル研磨モジュール、研磨モジュール4Cを裏面研磨モジュール、研磨モジュール4Dをデバイス面研磨モジュールとしてもよい。
【0106】
本実施形態では、研磨モジュール4Aおよび研磨モジュール4Bの少なくとも一方により基板のデバイス面が研磨される。その後、研磨モジュール4Cにより基板のベベル部が研磨され、さらに研磨モジュール4Dにより基板の裏面が研磨される。この処理フロー、すなわち使用する研磨モジュールのタイプ、および研磨モジュールの動作順は、一例であり、処理フローは本実施形態に限られない。
【0107】
図12は、デバイス面研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。デバイス面研磨モジュールは、基板Wのデバイス面を研磨するための装置である。
図12に示すように、デバイス面研磨モジュールは、バフテーブル403、バフヘッド405、液体供給ノズル410、テーブルモータ415、バフヘッドシャフト418、支軸420、およびバフアーム421を備えている。
【0108】
バフテーブル403は、基板Wのデバイス面を上向きにして保持するように構成されている。本実施形態では、基板Wの第1の面S1は、デバイスが形成されていない、またはデバイスが形成される予定がない基板Wの裏面、すなわち非デバイス面である。第1の面S1とは反対側の基板Wの第2の面S2は、デバイスが形成されている、またはデバイスが形成される予定である面、すなわちデバイス面である。本実施形態では、基板Wは、その第2の面S2が上向きの状態で、バフテーブル403に水平に保持される。
【0109】
バフテーブル403は、テーブル軸403aを介してその下方に配置されたテーブルモータ415に連結されている。テーブルモータ415は、テーブル軸403aを中心として、バフテーブル403および基板Wを
図12の矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
【0110】
バフヘッド405は、その下面にバフパッド401を保持するように構成されている。
図12に示すように、バフパッド401の直径は基板Wの直径よりも小さい。バフパッド401の下面は基板Wを研磨する研磨面401aを構成している。バフヘッド405は、バフヘッドシャフト418の下端に固定されており、バフヘッドシャフト418とともに回転可能である。バフヘッドシャフト418は、バフアーム421に連結されており、バフアーム421内に配置された図示しないヘッド回転機構に連結されている。ヘッド回転機構は、バフヘッドシャフト418およびバフヘッド405を
図12の矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
【0111】
バフヘッドシャフト418は、バフアーム421内に配置された図示しないヘッド上下動機構に連結されている。ヘッド上下動機構は、バフヘッドシャフト418およびバフヘッド405をバフアーム421に対して相対的に上下動させるように構成されている。バフアーム421は、支軸420の上端に連結されており、支軸420内に配置された図示しないアーム旋回機構に連結されている。アーム旋回機構は、バフアーム421を支軸420を中心として旋回させるように構成されている。このバフアーム421の旋回により、バフヘッドシャフト418およびバフヘッド405をバフテーブル403の上方とバフテーブル403の外側との間で移動させることができる。
【0112】
液体供給ノズル410は、バフテーブル403の上方に配置されている。液体供給ノズル410は、バフテーブル403に保持された基板Wの第2の面S2に向かって液体を供給するように構成されている。基板Wの第2の面S2に供給される液体の一例として、純水、薬液(例えば、スラリー)が挙げられる。
【0113】
デバイス面研磨モジュールは、デバイス面研磨モジュールの各構成要素の動作を制御するデバイス面研磨制御モジュールに電気的に接続されている。このデバイス面研磨制御モジュールは、
図11に示す制御モジュール30A,30Bに相当するので、以下の説明では、デバイス面研磨制御モジュールに符号30Aを付す。テーブルモータ415、ヘッド回転機構、ヘッド上下動機構、アーム旋回機構、および液体供給ノズル410は、デバイス面研磨制御モジュール30Aに電気的に接続されている。テーブルモータ415、ヘッド回転機構、ヘッド上下動機構、アーム旋回機構、および液体供給ノズル410の動作は、デバイス面研磨制御モジュール30Aによって制御される。デバイス面研磨制御モジュール30Aは、記憶装置480aと演算装置480bを備えている。記憶装置480aおよび演算装置480bは、上述したノッチ研磨制御モジュール30Aの記憶装置180aおよび演算装置180bと同様の基本構成を有しているため、その重複する説明を省略する。
【0114】
基板Wの第2の面S2の研磨は、次のように行われる。基板Wがデバイス面研磨モジュールに搬送されると、バフテーブル403は、基板Wをその第2の面S2が上向きの状態で保持する。テーブルモータ415は、バフテーブル403に保持された基板Wをテーブル軸403aを中心として回転させる。さらに、液体供給ノズル410から基板Wの第2の面S2に向かって液体(例えば、スラリー)の供給が開始される。この状態で、バフヘッド405に保持されたバフパッド401は、ヘッド上下動機構によりその研磨面401aが基板Wの第2の面S2に押し付けられ、これにより、基板Wの第2の面S2が研磨される。
【0115】
デバイス面研磨制御モジュール30Aは、所定の研磨レシピに従って基板Wの第2の面S2が研磨された後、デバイス面研磨モジュールに指令を発して基板Wの研磨を終了させる。具体的には、デバイス面研磨制御モジュール30Aは、ヘッド上下動機構に指令を発してバフヘッド405を基板Wから離間させる。その後、デバイス面研磨制御モジュール30Aは、テーブルモータ415、および液体供給ノズル410の動作を停止させて、基板Wの研磨を終了させる。
【0116】
デバイス面研磨モジュールの具体的構成は、基板Wのデバイス面(第2の面S2)を研磨できるものであれば、上述した実施形態に限られない。
【0117】
図13は、本実施形態に係る基板研磨装置の処理フローの一例を示す図である。本実施形態では、デバイス面研磨モジュールである研磨モジュール4Aまたは研磨モジュール4Bにより基板Wのデバイス面(第2の面S2)が研磨され、ベベル研磨モジュールである研磨モジュール4Cにより基板Wのベベル部Bが研磨され、裏面研磨モジュールである研磨モジュール4Dにより基板Wの裏面(第1の面S1)が研磨される。研磨された基板Wは、第1洗浄モジュール17により洗浄され、さらに第2洗浄モジュール18により洗浄された後、乾燥モジュール19により乾燥される。
【0118】
各研磨モジュールによる研磨時間を時間単位Tで表すと、デバイス面研磨モジュールによるデバイス面の研磨時間は2T(時間単位Tの2倍)、ベベル研磨モジュールによるベベル部Bの研磨時間は1T、裏面研磨モジュールによる裏面の研磨時間は1Tである。また、第1洗浄モジュール17、第2洗浄モジュール18による洗浄時間、および乾燥モジュール19による乾燥時間は、それぞれ1Tである。
【0119】
図13は、初めに処理する第1基板W1と、次に処理する第2基板W2の処理フローを示している。時間は、第1基板W1の研磨開始から経過した時間を表している。
ステップS201では、時間0から時間2Tまで、第1基板W1のデバイス面(第2の面S2)を研磨モジュール4A(すなわち、デバイス面研磨モジュール)で研磨する。
ステップS202では、時間2Tから時間3Tまで、第1基板W1のベベル部Bを研磨モジュール4C(すなわち、ベベル研磨モジュール)で研磨する。
ステップS203では、時間3Tから時間4Tまで、第1基板W1の裏面(第1の面S1)を研磨モジュール4D(すなわち、裏面研磨モジュール)で研磨する。
ステップS204では、時間4Tから時間5Tまで、研磨された第1基板W1を第1洗浄モジュール17で洗浄する。
ステップS205では、時間5Tから時間6Tまで、第1洗浄モジュール17により洗浄された第1基板W1を第2洗浄モジュール18で洗浄する。
ステップS206では、時間6Tから時間7Tまで、第2洗浄モジュール18により洗浄された第1基板W1を乾燥モジュール19で乾燥する。
【0120】
ステップS207では、時間1Tから時間3Tまで、第2基板W2のデバイス面(第2の面S2)を研磨モジュール4B(すなわち、デバイス面研磨モジュール)で研磨する。
ステップS208では、時間3Tから時間4Tまで、第2基板W2のベベル部Bを研磨モジュール4C(すなわち、ベベル研磨モジュール)で研磨する。
ステップS209では、時間4Tから時間5Tまで、第2基板W2の裏面(第1の面S1)を研磨モジュール4D(すなわち、裏面研磨モジュール)で研磨する。
ステップS210では、時間5Tから時間6Tまで、研磨された第2基板W2を第1洗浄モジュール17で洗浄する。
ステップS211では、時間6Tから時間7Tまで、第1洗浄モジュール17により洗浄された第2基板W2を第2洗浄モジュール18で洗浄する。
ステップS212では、時間7Tから時間8Tまで、第2洗浄モジュール18により洗浄された第2基板W2を乾燥モジュール19で乾燥する。
【0121】
本実施形態によれば、基板研磨装置は、デバイス面研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールを備えているため、異なるタイプの研磨モジュールによる研磨を連続的に行うことができる。したがって、各研磨モジュールによる研磨が終了する度に基板Wを洗浄、乾燥する必要がなく、全体の処理時間を短縮することができる。
【0122】
基板研磨装置は、他の工程と比較して研磨時間の長いデバイス面研磨モジュールである研磨モジュール4Aと研磨モジュール4Bを備えている。このため、研磨モジュール4Aと研磨モジュール4Bで並行して、第1基板W1と第2基板W2のデバイス面(第2の面S2)の研磨を行うことができる。そのため、次のベベル研磨モジュールでは、空き時間が発生することなく、第1基板W1を研磨した後すぐに第2基板W2の研磨を行うことができる。これにより、複数の基板を処理する際の全体の処理時間を短縮することができる。
【0123】
上述した処理フローは一例であって、一実施形態では、処理フローは、ベベル研磨モジュールである研磨モジュール4Cによるベベル部Bの研磨の後、裏面研磨モジュールである研磨モジュール4Dによる裏面(第1の面S1)の研磨が行われ、その後、デバイス面研磨モジュールである研磨モジュール4Aまたは研磨モジュール4Bにより基板Wのデバイス面(第2の面S2)の研磨が行われてもよい。
【0124】
本実施形態の制御モジュール30A~30Dは、
図11に示すように、対応する研磨モジュール4A~4Dで発生した異常を検出する異常検出システム50A~50Dを備えている。異常検出システム50A~50Dの構成は、
図8を参照して説明した異常検出システム50A~50Dの構成と基本的に同様であるため、その重複する説明を省略する。一実施形態では、制御モジュール30A~30Dは、異常検出システム50A~50Dを備えていなくてもよい。
【0125】
図14は、
図11に示す基板研磨装置における異常検出前の処理フローを示す図である。
図13を参照して説明した実施形態と同様に、複数の基板のデバイス面の研磨は、研磨モジュール4Aおよび研磨モジュール4Bの2つのデバイス面研磨モジュールにより並行して行われる。
図15は、
図11に示す基板研磨装置における研磨モジュール4Bの異常検出後に変更された処理フローを示す図である。異常検出システム50Bにより研磨モジュール4Bの異常が検出された場合、制御モジュール30Bは、統括制御部20に異常検出信号を送る。統括制御部20は、異常検出信号に基づいて、研磨モジュール4Bを使用しない処理フローを作成し、研磨モジュール4A,4Bの両方を使用する
図14の処理フローから、研磨モジュール4Aを使用し、かつ研磨モジュール4Bを使用しない
図15の処理フローに変更する。
【0126】
本実施形態によれば、異常が検出された研磨モジュール4Bのタイプは、複数設けられたデバイス面研磨モジュールである。したがって、研磨モジュール4Bに異常が発生した際に、研磨モジュール4Aのみを使用して基板のデバイス面を研磨する処理フローに変更することにより、基板研磨装置の全体の動作を停止させることなく、基板の処理を継続することができる。
【0127】
本実施形態の基板研磨装置は、2つのデバイス面研磨モジュールが設けられていたが、一実施形態では3つ以上のデバイス面研磨モジュールが設けられており、異常検出システムにより3つ以上のデバイス面研磨モジュールのうちの少なくとも1つのデバイス面研磨モジュールの異常が検出されたときに、統括制御部20は、異常が検出された少なくとも1つのデバイス面研磨モジュールを使用しない処理フローに変更してもよい。また、一実施形態では、基板研磨装置は、複数のベベル研磨モジュールまたは裏面研磨モジュールが設けられており、異常検出システムにより複数設けられたベベル研磨モジュールまたは裏面研磨モジュールの異常が検出されたときに、統括制御部20は、異常が検出されたベベル研磨モジュールまたは裏面研磨モジュールを使用しない処理フローに変更してもよい。
【0128】
図11乃至
図15を参照して説明した実施形態では、基板研磨装置は、デバイス面研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの3つのタイプの研磨モジュールを含んでいるが、基板研磨装置は、デバイス面研磨モジュール、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールのうち、少なくとも3つのタイプの研磨モジュールを含んでいれば、本実施形態に限定されない。例えば、基板研磨装置は、デバイス面研磨モジュール、ノッチ研磨モジュール、およびベベル研磨モジュールの3つのタイプの研磨モジュールを含んでもよいし、他の例では、基板研磨装置は、デバイス面研磨モジュール、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールを含んでもよい。
【0129】
また、本実施形態では、基板研磨装置は、4つの研磨モジュール4A~4Dを備えているが、基板研磨装置は、デバイス面研磨モジュール、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールのうちの少なくとも3つのタイプの研磨モジュールを含む、少なくとも3つの研磨モジュールを備えていれば、本実施形態に限定されない。例えば、基板研磨装置は、2つのデバイス面研磨モジュール、2つのノッチ研磨モジュール、1つのベベル研磨モジュール、および1つの裏面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールを含む、6つの研磨モジュールを備えてもよい。
【0130】
一実施形態では、基板研磨装置は、デバイス面研磨モジュール、ノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールのうちの2つ以上のタイプの研磨モジュールが複数設けられており、この複数設けられた2つ以上のタイプの研磨モジュールのの異常が検出されたときに、統括制御部20は、異常が検出されたタイプの研磨モジュールを使用しない処理フローに変更してもよい。例えば、基板研磨装置は、2つのデバイス面研磨モジュール、2つのノッチ研磨モジュール、1つのベベル研磨モジュール、および1つの裏面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールを含む、6つの研磨モジュールを備え、デバイス面研磨モジュール、またはノッチ研磨モジュールの異常が検出されたときに、統括制御部20は、異常が検出されたデバイス面研磨モジュールまたはノッチ研磨モジュールを使用しない処理フローに変更してもよい。
【0131】
図16は、基板研磨装置のさらに他の実施形態を示す平面図であり、
図17は、
図16に示す基板研磨装置を矢印Bで示す方向から見た側面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1および
図2を参照して説明した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。本実施形態の基板研磨装置は、上述したハウジング1を備えていない。4つの研磨モジュール4A~4Dのそれぞれの少なくとも一部は、基板研磨装置の外部に露出している。4つの研磨モジュール4A~4Dは、基板研磨装置の上から見たときに、一直線上に並んで配置されている。研磨モジュール4Aは研磨モジュール4Bに隣接しており、研磨モジュール4Bは研磨モジュール4A,4Cに隣接しており、研磨モジュール4Cは研磨モジュール4B,4Dに隣接しており、研磨モジュール4Dは研磨モジュール4Cに隣接している。
【0132】
本実施形態の研磨モジュール4A~4Dは、基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨モジュール、基板のベベル部を研磨するベベル研磨モジュール、および基板の裏面を研磨する裏面研磨モジュールの3つのタイプの研磨モジュールを含んでいる。研磨モジュール4A~4Dに含まれる3つのタイプの研磨モジュールは、それぞれ基板の異なる領域を研磨する研磨モジュールである。より具体的には、研磨モジュール4A、研磨モジュール4Bは、ノッチ研磨モジュールであり、研磨モジュール4Cは、ベベル研磨モジュールであり、研磨モジュール4Dは、裏面研磨モジュールである。
【0133】
本実施形態では、基板研磨装置は、4つの研磨モジュール4A~4Dを備えているが、基板研磨装置は、それぞれ基板の異なる領域を研磨するノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、裏面研磨モジュール、およびデバイス面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールのうちの少なくとも3つのタイプの研磨モジュールを含む、少なくとも3つの研磨モジュールを備えていれば、本実施形態に限定されない。例えば、基板研磨装置は、2つのノッチ研磨モジュール、2つのデバイス面研磨モジュール、1つのベベル研磨モジュール、および1つの裏面研磨モジュールの4つのタイプの研磨モジュールを含む、6つの研磨モジュールを備えていてもよい。
【0134】
研磨モジュール4A~4Dは、同じサイズを有している。したがって、研磨モジュール4A~4Dを構成するノッチ研磨モジュール、ベベル研磨モジュール、および裏面研磨モジュールの配置を変えることができる。例えば、研磨モジュール4A、研磨モジュール4Bをベベル研磨モジュール、研磨モジュール4Cを裏面研磨モジュール、研磨モジュール4Dをノッチ研磨モジュールとしてもよい。
【0135】
本実施形態では、研磨モジュール4Aおよび研磨モジュール4Bの少なくとも一方により基板のノッチ部が研磨される。その後、研磨モジュール4Cにより基板のベベル部が研磨され、さらに研磨モジュール4Dにより基板の裏面が研磨される。この処理フロー、すなわち使用する研磨モジュールのタイプ、および研磨モジュールの動作順は、一例であり、処理フローは本実施形態に限られない。
【0136】
基板研磨装置は、研磨モジュール4A~4Dの動作をそれぞれ制御する4つの制御モジュール30A~30Dを備えている。4つの制御モジュール30A~30Dは、基板研磨装置の上から見たときに、一直線上に並んで配置されている。制御モジュール30A~30Dは、研磨モジュール4A~4Dの上方にそれぞれ配置されている。具体的には、制御モジュール30Aは、研磨モジュール4Aの上方に配置されており、制御モジュール30Bは、研磨モジュール4Bの上方に配置されており、制御モジュール30Cは、研磨モジュール4Cの上方に配置されており、制御モジュール30Dは、研磨モジュール4Dの上方に配置されている。
【0137】
本実施形態では、制御モジュール30A、制御モジュール30Bは、ノッチ研磨モジュールの動作を制御するノッチ研磨制御モジュールであり、制御モジュール30Cは、ベベル研磨モジュールの動作を制御するベベル研磨制御モジュールであり、制御モジュール30Dは、裏面研磨モジュールの動作を制御する裏面研磨制御モジュールである。
【0138】
制御モジュール30A~30Dは、それぞれ配線コネクタ35A~35Dを備えている。具体的には、制御モジュール30Aは、統括制御部20および研磨モジュール4Aに電気的に接続可能な配線コネクタ35Aを備えており、制御モジュール30Bは、統括制御部20および研磨モジュール4Bに電気的に接続可能な配線コネクタ35Bを備えており、制御モジュール30Cは、統括制御部20および研磨モジュール4Cに電気的に接続可能な配線コネクタ35Cを備えており、制御モジュール30Dは、統括制御部20および研磨モジュール4Dに電気的に接続可能な配線コネクタ35Dを備えている。
【0139】
図16および
図17に示す実施形態においても、制御モジュール30A~30Dは、研磨モジュール4A~4Dの配置を組み替える際に、対応する研磨モジュール4A~4Dとともに制御モジュール30A~30Dの配置を容易に組み替えることができる。
【0140】
本実施形態の制御モジュール30A~30Dは、
図17に示すように、対応する研磨モジュール4A~4Dで発生した異常を検出する異常検出システム50A~50Dを備えている。異常検出システム50A~50Dの構成および動作は、
図8乃至
図10を参照して説明した異常検出システム50A~50Dの構成および動作と同様であるため、その重複する説明を省略する。一実施形態では、制御モジュール30A~30Dは、異常検出システム50A~50Dを備えていなくてもよい。
【0141】
図16および
図17に示す基板研磨装置においても、研磨モジュール4A,4Bのいずれか一方に異常が発生した際に、研磨モジュール4A,4Bのうち異常が発生していない他方の研磨モジュールのみを使用する処理フローに変更することにより、基板研磨装置の全体の動作を停止させることなく、基板の処理を継続することができる。
【0142】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0143】
1 ハウジング
2 ロードポート
4A,4B,4C,4D 研磨モジュール
6 第1仮置台
7 第2仮置台
8 第3仮置台
9 洗浄乾燥部
11 第1搬送ロボット
12 第2搬送ロボット
13 第3搬送ロボット
14 第4搬送ロボット
15 第5搬送ロボット
16 基板カセット
17 第1洗浄モジュール
18 第2洗浄モジュール
19 乾燥モジュール
20 統括制御部
20a 記憶装置
20b 演算装置
30A,30B,30C,30D 制御モジュール
35A 配線コネクタ
35B 配線コネクタ
35C 配線コネクタ
35D 配線コネクタ
41A,41B,41C,41D 研磨モジュール配線
42A,42B,42C,42D 本体配線
50A,50B,50C,50D 異常検出システム
102 研磨テープ
103 研磨ヘッド
105 基板保持部
107 保持ステージ
108 第1シャフト
109 保持ステージ駆動機構
110 基板スイング部
112 スイングアーム
113 第2シャフト
114 スイング機構
120 研磨テープ供給機構
121 テープ巻き出しリール
122 テープ巻き取りリール
124,125,126,127 ガイドローラー
128 リールベース
130 液体供給ノズル
140 ノッチ検出機構
150 研磨ヘッド移動機構
152 可動プレート
154 ガイドレール
155 エアシリンダ
156 連結シャフト
160 ベースプレート
170 チルト機構
172 クランクアーム
173 アーム回転装置
202 研磨テープ
203 研磨ヘッド
205 基板保持部
207 保持ステージ
208 シャフト
209 保持ステージ駆動機構
220 研磨テープ供給機構
221 テープ巻き出しリール
222 テープ巻き取りリール
224,225,226,227 ガイドローラー
228 リールベース
231 下側供給ノズル
232 上側供給ノズル
242 押圧部材
245 エアシリンダ(駆動機構)
302 研磨テープ
303 研磨ヘッド
305 基板保持部
308 ローラー
320 研磨テープ供給機構
321 テープ巻き出しリール
322 テープ巻き取りリール
324,325,326,327 ガイドローラー
331 リンス液供給ノズル
332 保護液供給ノズル
340 可動プレート
342 押圧部材
343 支持部材
345 エアシリンダ(駆動機構)
350 研磨ヘッド移動機構
352 ボールねじ機構
355 直動ガイド
360 ベースプレート
401 バフパッド
403 バフテーブル
403a テーブル軸
405 バフヘッド
410 液体供給ノズル
415 テーブルモータ
418 バフヘッドシャフト
420 支軸
421 バフアーム