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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125146
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G03G9/097 365
G03G9/097 351
G03G9/097 374
G03G9/097 375
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029106
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】山田 康平
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA07
2H500AA08
2H500AA09
2H500CA03
2H500CA12
2H500CA30
2H500CB12
2H500EA03A
2H500EA05C
2H500EA32C
2H500EA41C
2H500EA42C
2H500EA52A
(57)【要約】
【課題】ベタ追従性に優れ、高温高湿下でのカブリの発生を抑制することができ、保存性が良好なトナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、着色剤、軟化剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有するトナーであって、前記軟化剤として、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり、且つ水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満であるエステルワックスを含み、特定の帯電量測定法により測定される前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が、15μC/g以上60μC/g以下である、トナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、着色剤、軟化剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有するトナーであって、
前記軟化剤として、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり、且つ水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満であるエステルワックスを含み、
下記帯電量測定法により測定される前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が、15μC/g以上60μC/g以下である、トナー。
[帯電量測定方法]
着色樹脂粒子0.25gと、平均粒子径60μmの球状のコーティング処理の無いMn-Mg-Sr-Fe系フェライトキャリア9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行い、前記摩擦帯電処理後の前記着色樹脂粒子と前記フェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーケージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)を測定する。
【請求項2】
前記エステルワックスが、4価アルコールと直鎖モノカルボン酸との縮合体である、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記エステルワックスの酸価が、1.0mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記帯電制御剤として、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を含むスチレンアクリル系共重合体を含み、前記スチレンアクリル系共重合体における4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の共重合割合が0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記スチレンアクリル系共重合体の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対し、4.8質量部以上15.0質量部以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項5】
前記着色樹脂粒子の体積平均粒径が6.0μm以上8.0μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真法、静電記録法、及び静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置、静電記録装置、及び静電印刷装置等の画像形成装置においては、感光体上に形成される静電潜像をトナーで現像し、トナー像を紙等の転写材上に転写した後、加熱等により定着することで、定着画像が形成される。
このような画像形成装置においては、高画質化及び高速印刷化に対応するものが望まれており、トナーにおいても高画質な画像を形成できるものが求められている。
【0003】
トナーは、通常、定着ロールからの離型性を良好なものとするために、軟化剤又は離型剤としてトナー用ワックスを含有する。
例えば特許文献1には、特定の直鎖飽和モノカルボン酸と、特定の一価又は多価アルコールとの縮合反応により得られ、示差熱曲線において、極大ピークの温度が55℃~90℃の範囲にあり、酸価が3mgKOH/g以下、かつ水酸基価が5mgKOH/g以下である、エステルワックスを含有するトナーが開示されている。
【0004】
特許文献2には、ベヘン酸、アラキジン酸及びステアリン酸を各々特定の割合で含有するモノカルボン酸と、ペンタエリスリトールとのエステル化反応により得られるエステルワックスを含有するトナーが開示されている。
【0005】
一方、特許文献3には、結着樹脂、カーボンブラック、及び帯電制御樹脂である4級アンモニウム塩基含有共重合体を含む着色樹脂粒子を含有し、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が5~60μC/gの範囲である正帯電性ブラックトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-212142号公報
【特許文献2】特開2020-60681号公報
【特許文献3】国際公開第2017/170278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に開示されるトナーは、ベタ追従性が不十分であるという問題がある。ベタ追従性は、トナーの帯電量を低減させると向上するが、トナーの帯電量を低減させた場合、ベタ追従性は向上しても、高温高湿環境下でカブリが発生しやすくなるという別の問題が発生する。また、トナーの帯電量を低減させても、ベタ追従性が十分に向上しない場合もあった。
更に、高画質な画像を形成できるトナーにおいては、保存性に優れていることが求められる。
【0008】
本開示の目的は、ベタ追従性に優れ、高温高湿下でのカブリの発生を抑制することができ、保存性が良好なトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討を行った結果、軟化剤として、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり且つ水酸基価が特定の範囲内であるエステルワックスを用い、更に、特定の方法で測定される着色樹脂粒子のブローオフ帯電量を特定範囲内にすることで、上記の問題を解決できることを見出した。
【0010】
即ち、本開示のトナーは、結着樹脂、着色剤、軟化剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有するトナーであって、
前記軟化剤として、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり、且つ水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満であるエステルワックスを含み、
下記帯電量測定法により測定される前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が、15μC/g以上60μC/g以下であることを特徴とする。
【0011】
[帯電量測定方法]
着色樹脂粒子0.25gと、平均粒子径60μmの球状のコーティング処理の無いMn-Mg-Sr-Fe系フェライトキャリア9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行い、前記摩擦帯電処理後の前記着色樹脂粒子と前記フェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーケージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)を測定する。
【0012】
本開示のトナーにおいては、前記エステルワックスが、4価アルコールと直鎖モノカルボン酸との縮合体であってもよい。
【0013】
本開示のトナーにおいては、前記エステルワックスの酸価が、1.0mgKOH/g以下であってもよい。
【0014】
本開示のトナーにおいては、前記帯電制御剤として、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を含むスチレンアクリル系共重合体を含み、前記スチレンアクリル系共重合体における4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の共重合割合が0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記スチレンアクリル系共重合体の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対し、4.8質量部以上15.0質量部以下であってもよい。
【0015】
本開示のトナーにおいては、前記着色樹脂粒子の体積平均粒径が6.0μm以上8.0μm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記の如き本開示によれば、ベタ追従性に優れ、高温高湿下でのカブリの発生を抑制することができ、保存性が良好なトナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示のトナーは、結着樹脂、着色剤、軟化剤及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有するトナーであって、
前記軟化剤として、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり、且つ水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満であるエステルワックスを含み、
後述する特定の帯電量測定法により測定される前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が、15μC/g以上60μC/g以下であることを特徴とする。
【0018】
トナーが含有するエステルワックスの水酸基価が高いほど、トナーの耐熱温度が低下する傾向があり、それにより、トナー保管時のブロッキングが生じやすくなり、即ち保存性が悪化する。そのため、従来、エステルワックスの水酸基価は低い方が望ましいと考えられていた。特許文献1、2のトナーに用いられているエステルワックスは、原料のアルコールに対し、過剰量のカルボン酸を縮合反応させて得られるものである。多価アルコールは反応性が良好なため、多価アルコールと過剰量のカルボン酸との縮合反応により得られるエステルワックスは、通常、水酸基価が3.0mgKOH/g未満である。特許文献3の各実施例で使用されているエステルワックス(商品名:WE-6、日油社製)は、後述する比較例5、6で使用されているエステルワックスと同じものであり、水酸基価は1.6mgKOH/gである。しかし、本発明者は、トナーが含有するエステルワックスの水酸基価が3.0mgKOH/g以上であると、ベタ画像を形成した場合のベタ追従性を向上させることができることを見出した。また一方で、本発明者は、原料アルコールとして一価のアルコールを用いると、水酸基価が3.0mgKOH/g以上のエステルワックスが得られやすいものの、得られるエステルワックスは、酸価が高くなる傾向があることを知見した。酸価が高いエステルワックスを含むトナーは、粗大粒子が発生しやすい、保存性又は環境安定性等が劣るといった問題があり、更に、エステルワックスに起因して、超微小粒子(Ultra-Fine Particle、UFP)や揮発性有機化合物(Volatile organic compound、VOC)が発生する恐れがあるという問題もある。これに対し、本開示のトナーは、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり、且つ水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満であるエステルワックスを含有することにより、上述した問題を有することなく、ベタ追従性が向上されたトナーである。更に、本開示のトナーは、後述する特定の帯電量測定法により測定される着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が15μC/g以上60μC/g以下であり、適度な帯電量を有するため、優れたベタ追従性を有しながら、高温高湿下でのカブリの発生を抑制することができる。
【0019】
以下、本開示のトナーが含有する着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、及び本開示のトナーについて、順に説明する。
なお、本開示において、数値範囲における「~」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0020】
1.着色樹脂粒子の製造方法
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
【0021】
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子エマルションを得て、着色剤分散液等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
【0022】
本開示のトナーが含有する着色樹脂粒子は、湿式法、又は乾式法を採用して製造することができる。湿式法の中でも好ましい(A)懸濁重合法を採用し、または乾式法の中でも代表的な(B)粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
【0023】
(A)懸濁重合法
(A-1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、着色剤、軟化剤及び帯電制御剤、さらに必要に応じて添加される分子量調整剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
【0024】
本開示で重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα-メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
【0025】
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールに炭素-炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N-ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本開示では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1~5質量部、好ましくは0.3~2質量部の割合で用いることが望ましい。
【0026】
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。
マクロモノマーとしては、例えば、分子鎖の末端に重合可能な炭素-炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000~30,000の反応性の、オリゴマー及びポリマーを挙げることができる。前記マクロモノマーとしては、例えば、スチレンマクロモノマー、スチレン-アクリロニトリルマクロモノマー、ポリアクリル酸エステルマクロモノマー及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー等を挙げることができる。中でも、ポリアクリル酸エステルマクロモノマー及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマーから選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。ポリアクリル酸エステルマクロモノマーに用いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、前記モノビニル単量体として使用可能なアクリル酸エステルと同様のものを挙げることができ、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマーに用いられるメタクリル酸エステルとしては、例えば、前記モノビニル単量体として使用可能なメタクリル酸エステルと同様のものを挙げることができる。前記マクロモノマーとしては、中でも、前記重合性単量体に含有させることにより、含有させない場合よりも、得られる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が高くなるものを適宜選択して用いることが好ましい。
前記マクロモノマーとしては、市販品を用いてもよい。前記マクロモノマーの市販品としては、例えば、東亞合成(株)製のマクロモノマーシリーズAA-6、AS-6、AN-6S、AB-6、AW-6S等を挙げることができる。
前記マクロモノマーは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記重合性単量体が前記マクロモノマーを含有する場合、前記マクロモノマーの含有量は、特に限定はされないが、前記モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03~5質量部、より好ましくは0.05~1質量部である。
【0027】
前記重合性単量体の含有量は、特に限定はされないが、前記重合性単量体組成物に含まれる全固形分100質量部に対し、好ましくは60~95質量部、より好ましくは65~90質量部、更に好ましくは70~85質量部である。
なお、本開示において固形分とは、溶媒以外の全ての成分をいい、液状の単量体等も固形分に含まれる。
【0028】
着色剤としては、従来トナーに用いられている着色剤を適宜選択して用いることができ、特に限定はされない。カラートナーを作製する場合は、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料及びその誘導体等のフタロシアニン顔料、アントラキノン顔料等のシアン顔料、並びにシアン染料等を用いることができる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、60;C.I.ソルベントブルー70等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等のイエロー顔料、並びにイエロー染料等を用いることができる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、213、214;C.I.ソルベントイエロー98、162等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、キナクリドン顔料等の縮合多環系顔料等のマゼンタ顔料、並びにマゼンタ染料等を用いることができる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28等が挙げられる。
前記着色剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
本開示では、ベタ追従性の向上効果がより有効に発揮される点から、着色剤としてカーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、重合性単量体100質量部に対し、好ましくは10~15質量部であり、より好ましくは10~13質量部である。また、トナー中のカーボンブラックの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは10~15質量部であり、より好ましくは10~13質量部である。
また、着色剤の含有量は、特に限定はされないが、重合性単量体100質量部に対し、好ましくは10~15質量部であり、より好ましくは10~13質量部である。また、トナー中の着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは10~15質量部であり、より好ましくは10~13質量部である。
着色剤の含有量が上記範囲内であると、十分な画像濃度が得られ、本開示によるベタ追従性の向上効果が有効に発揮される。
【0030】
本開示では、軟化剤として、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり、且つ水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満であるエステルワックス(本開示において、単に「特定のエステルワックス」と称する場合がある。)が用いられる。
多価アルコールとしては、特に限定はされないが、2~6価の多価アルコールが好ましく用いられる。2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-フェニレングリコール、ビスフェノールA等が挙げられる。3価のアルコールとしては、例えば、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。4価のアルコールとしては、例えば、1,2,3,6-へキサンテトロール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。5価のアルコールとしては、例えば、グルコース等が挙げられる。6価のアルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
多価アルコールとしては、中でも、所望の水酸基価及び酸価を有するエステルワックスが得られやすい点から、3~5価の多価アルコールが好ましく、4価の多価アルコールがより好ましく、ペンタエリスリトールが特に好ましい。
【0031】
直鎖カルボン酸としては、直鎖飽和モノカルボン酸が好ましく用いられる。また、直鎖カルボン酸としては、炭素数16~24のものが好ましい。好適な直鎖カルボン酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、べへン酸、リグノセリン酸等が挙げられ、中でも、ステアリン酸が好ましい。
【0032】
上記特定のエステルワックスは、水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満である。エステルワックスの水酸基価が、3.0mgKOH/g以上であることにより、ベタ追従性を向上させることができ、7.0mgKOH/g未満であることにより、トナーの保存性を良好なものとすることができる。ベタ追従性と保存性のバランスの観点から、エステルワックスの水酸基価は、好ましくは6.0mgKOH/g以下、より好ましくは5.0mgKOH/g以下、更に好ましくは4.0mgKOH/g以下である。
【0033】
また、上記特定のエステルワックスは、酸価が1.0mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.7mgKOH/g以下、更に好ましくは0.5mgKOH/g以下である。エステルワックスの酸価が上記上限値以下であると、粗大粒子の発生を抑制することができるため、フィルミングや白抜けなどの画質欠陥を抑制することができる。また、エステルワックスの酸価が上記上限値以下であると、トナーの保存性及び環境安定性の悪化を抑制することができ、更に、UFP及びVOCの発生を抑制することができる。
なお、軟化剤の水酸基価及び酸価は、日本工業標準調査会(JICS)制定の規準油脂分析手法である、JIS K 0070に準拠して測定される値である。
【0034】
エステルワックスの水酸基価及び酸価は、例えば、原料として使用する多価アルコール及び直鎖カルボン酸の種類に応じて、縮合反応に用いる多価アルコールの水酸基量に対する直鎖カルボン酸のカルボキシ基量を調節すること、又は、縮合反応の反応温度及び反応時間等の反応条件を調節すること等により、所望の値とすることができる。
上記特定のエステルワックスを得るためには、2~6価の多価アルコールを用いる場合は、多価アルコールの水酸基1当量に対し、縮合反応に用いる直鎖カルボン酸のカルボキシ基量を0.94~1.04当量とすることが好ましい。特に好ましい4価のアルコールを用いる場合は、水酸基1当量に対し、縮合反応に用いる直鎖カルボン酸のカルボキシ基量を0.95~1.01当量とすることが好ましい。
また、上記特定のエステルワックスを得るためには、縮合反応の反応温度を200~240℃とし、反応時間を10~18時間とすることが好ましい。
【0035】
多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合反応は、公知の方法により行うことができる。例えば、多価アルコールと直鎖カルボン酸との混合物を、触媒の存在下又は不存在下で加熱することにより、多価アルコールと直鎖カルボン酸との脱水縮合反応を行うことができる。
上記触媒としては、例えば、エステル化反応に用いる一般の酸性又はアルカリ性触媒を挙げることができ、具体的には、酢酸亜鉛、チタン化合物等が挙げられる。
本開示で用いられる上記特定のエステルワックスは、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合反応により得られるエステル化粗生成物について、脱酸、水洗、再結晶、蒸留等を行うことにより精製されたものであってもよい。脱酸は、例えば、縮合反応後のエステル化粗生成物を、アルカリ水溶液及び必要に応じて有機溶剤等と混合して、エステル化粗生成物中に存在する酸をアルカリにより中和することで行われる。
【0036】
上記特定のエステルワックスの含有量は、特に限定はされないが、重合性単量体100質量部に対し、下限としては、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、上限としては、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。また、トナー中の上記特定のエステルワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、下限としては、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、上限としては、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。
上記特定のエステルワックスの含有量が上記下限値以上であると、トナーのベタ追従性を向上する効果が高い。また、上記特定のエステルワックスの含有量が上記下限値以上であると、低温定着性の悪化が抑制され、上記上限値以下であると、保存性の悪化が抑制される。
【0037】
軟化剤としては、本開示の効果を損なわない範囲において、上記特定のエステルワックスとは異なるその他の軟化剤を更に含有していてもよい。その他の軟化剤としては、例えば、トナーの軟化剤又は離型剤として従来用いられているものが挙げられ、具体的には、低分子量ポリオレフィンワックス及びその変性ワックス;パラフィン等の石油ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;水酸基価が3.0mgKOH/g未満のエステルワックス等が挙げられる。
上記その他の軟化剤の含有量は、上記特定のエステルワックス100質量部に対し、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
【0038】
重合性単量体組成物は、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を含有する。これにより、トナーの帯電性を向上することができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与することができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましい。
【0039】
正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂としては、官能基含有共重合体を用いることができる。正帯電性の帯電制御樹脂としては、例えば、アミノ基、4級アンモニウム基又は4級アンモニウム塩含有基等の官能基を含有する構成単位を含む官能基含有共重合体を用いることができ、例えば、ポリアミン樹脂、4級アンモニウム基含有共重合体及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。負帯電性の帯電制御樹脂としては、例えば、スルホン酸基、スルホン酸塩含有基、カルボン酸基又はカルボン酸塩含有基等の官能基を含有する構成単位を含む官能基含有共重合体を用いることができ、例えば、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
また、前記重合性単量体との相溶性が高い点から、帯電制御樹脂は、スチレンアクリル系樹脂であることが好ましい。なお、スチレンアクリル系共重合体は、ビニル芳香族炭化水素単量体と、(メタ)アクリレート単量体との共重合体であってよい。なお、本開示において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。(メタ)アクリレート単量体とは、重合性基として(メタ)アクリレートを有する単量体である。
【0040】
本開示においては、中でも、印字時の画像濃度向上の点から、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を含むスチレンアクリル系共重合体が好ましく用いられる。
4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を含むスチレンアクリル系共重合体は、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位、及びビニル芳香族炭化水素単量体単位を含み、更に、4級アンモニウム塩基を含有しないその他の(メタ)アクリレート単量体単位等を含んでいてもよい。
4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位としては、例えば、下記一般式(I)で表される単量体単位が挙げられる。
【0041】
【化1】
【0042】
上記一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~3のアルキレン基であり、R~Rは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基であり、Xは、ハロゲンイオン、有機スルホン酸イオン、又は有機ホスホン酸イオンである。
【0043】
なお、Rにおけるアルキレン基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、R~Rにおけるアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。
におけるハロゲンイオンとしては、例えば、Cl、Br、I等が挙げられ、中でもClが好ましい。有機スルホン酸イオンとしては、例えば、メチルスルホン酸イオン等のアルキルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン等が挙げられる。有機ホスホン酸イオンとしては、例えば、メチルホスホン酸イオン等のアルキルホスホン酸イオン、ベンゼンホスホン酸イオン、パラトルエンホスホン酸イオン等が挙げられる。
【0044】
4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を誘導する単量体の好ましい具体例としては、例えば、N,N,N-トリメチル-N-(2-メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DMC:メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド)、及びN-ベンジル-N,N-ジメチル-N-(2-メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DML;メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド)等を挙げることができる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
ビニル芳香族炭化水素単量体単位を誘導する単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-プロピルスチレン、3-プロピルスチレン、4-プロピルスチレン、2-イソプロピルスチレン、3-イソプロピルスチレン、4-イソプロピルスチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン、2-メチル-α-メチルスチレン、3-メチル-α-メチルスチレン、4-メチル-α-メチルスチレン、2-エチル-α-メチルスチレン、3-エチル-α-メチルスチレン、4-エチル-α-メチルスチレン、2-プロピル-α-メチルスチレン、3-プロピル-α-メチルスチレン、4-プロピル-α-メチルスチレン、2-イソプロピル-α-メチルスチレン、3-イソプロピル-α-メチルスチレン、4-イソプロピル-α-メチルスチレン、2-クロロ-α-メチルスチレン、3-クロロ-α-メチルスチレン、4-クロロ-α-メチルスチレン、2,3-ジメチルスチレン、3,4-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,6-ジメチルスチレン、2,3-ジエチルスチレン、3,4-ジエチルスチレン、2,4-ジエチルスチレン、2,6-ジエチルスチレン、2-メチル-3-エチルスチレン、2-メチル-4-エチルスチレン、2-クロロ-4-メチルスチレン、2,3-ジメチル-α-メチルスチレン、3,4-ジメチル-α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,6-ジメチル-α-メチルスチレン、2,3-ジエチル-α-メチルスチレン、3,4-ジエチル-α-メチルスチレン、2,4-ジエチル-α-メチルスチレン、2,6-ジエチル-α-メチルスチレン、2-エチル-3-メチル-α-メチルスチレン、2-メチル-4-プロピル-α-メチルスチレン、2-クロロ-4-エチル-α-メチルスチレン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
その他の(メタ)アクリレート単量体単位を誘導する単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0047】
4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を含むスチレンアクリル系共重合体において、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体の共重合割合は、下限としては、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、上限としては、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下である。上記共重合割合が上記範囲内であると、トナーの保存性を向上することができ、カブリの発生を抑制することができる。
【0048】
帯電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60~90℃が好ましく、より好適には65~85℃、さらに好適には70~80℃である。上記範囲であると、保存性と定着性のバランスが良好となる。
【0049】
帯電制御樹脂の重量平均分子量(Mw)は、8,000~28,000であることが好ましく、より好適には10,000~25,000であることが好ましく、さらに好適には15,000~23,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であると、保存性や印字耐久性の低下を抑制でき、上記上限値以下であると、定着性の低下を抑制できる。また、重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であると、帯電制御樹脂を重合性単量体組成物中に好適に分散させることができるため、経時的に安定した帯電量が付与されたトナーが得られやすい。
【0050】
4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を含むスチレンアクリル系共重合体としては、種々の市販品を使用できる。市販品としては、例えば、4級アンモニウム塩基含有アクリレート単量体の共重合割合が1質量%であるFCA-676P(:商品名、藤倉化成社製、Tg:73℃、重量平均分子量(Mw):19,500)、4級アンモニウム塩基含有アクリレート単量体の共重合割合が2質量%であるFCA-592P(:商品名、藤倉化成社製、Tg:82℃、重量平均分子量(Mw):12,000)等が挙げられる。
【0051】
帯電制御樹脂の含有量は、重合性単量体100質量部に対し、下限としては、好ましくは4.8質量部以上、より好ましくは5.0質量部以上であり、上限としては、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下である。また、トナー中の帯電制御樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、下限としては、好ましくは4.8質量部以上、より好ましくは5.0質量部以上であり、上限としては、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下である。
帯電制御樹脂の含有量が上記範囲内であると、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が所望の値になりやすく、また、印字性能が良好になりやすい。また、帯電制御樹脂の含有量が上記下限値以上であると、カブリの発生を抑制することができ、上記上限値以下であると、印字汚れを抑制することができる。
【0052】
帯電制御剤としては、帯電制御樹脂以外のものを含有していてもよい。
正帯電性の帯電制御樹脂以外の帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御樹脂以外の帯電制御剤としては、例えば、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物等が挙げられる。
これらの帯電制御剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
帯電制御樹脂以外の帯電制御剤の含有量は、帯電制御樹脂100質量部に対し、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
【0053】
重合性単量体組成物は、重合性単量体を重合する際に、その他の添加物として、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン-4-チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’-ジオクタデシル-N,N’-ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子量調整剤の含有量は、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01~10質量部、好ましくは0.1~5質量部である。
【0054】
(A-2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
次いで、前記重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
【0055】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ-t-ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルブタノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、及びt-ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いることが好ましい。有機過酸化物の中では、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部であり、さらに好ましくは0.3~15質量部であり、特に好ましくは1~10質量部である。
【0057】
本開示において、水系分散媒体は、水を主成分とする媒体のことを言う。
水系分散媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られるトナーが画像を鮮明に再現することができ、且つ環境安定性に優れたものとなる。
難水溶性の金属水酸化物のコロイドは、例えば、水酸化アルカリ金属塩及び水酸化アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種と、水溶性多価金属塩(水酸化アルカリ土類金属塩を除く。)を、水系媒体中で反応させることで調製することができる。
水酸化アルカリ金属塩としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。水酸化アルカリ土類金属塩としては、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
水溶性多価金属塩としては、上記水酸化アルカリ土類金属塩に該当する化合物以外の水溶性を示す多価金属塩であればよいが、例えば、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム金属塩;塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウムなどのカルシウム金属塩;塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム金属塩;塩化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウムなどのバリウム塩;塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩;などが挙げられる。これらの中でも、マグネシウム金属塩、カルシウム金属塩、およびアルミニウム金属塩が好ましく、マグネシウム金属塩がより好ましく、塩化マグネシウムが特に好ましい。
上記した水酸化アルカリ金属塩及び水酸化アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種と、上記した水溶性多価金属塩とを水系媒体中で反応させる方法としては、特に限定されないが、水酸化アルカリ金属塩及び水酸化アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の水溶液と、水溶性多価金属塩の水溶液とを混合する方法が挙げられる。
【0059】
分散安定剤の含有量は、所望の粒径のトナーが得られるように適宜調整され、特に限定はされないが、上記重合性単量体組成物中の重合性単量体100質量部に対し、好ましくは0.5~10質量部であり、より好ましくは1.0~8.0質量部である。分散安定剤の含有量が上記下限値以上であることにより、重合性単量体組成物の液滴が懸濁液中で合一しないように十分に分散させることができる。一方、分散安定剤の含有量が上記上限値以下であることにより、造粒時に懸濁液の粘度が上昇するのを防止し、懸濁液が造粒機で閉塞する不具合を回避することができる。
また、分散安定剤の含有量は、水系媒体100質量部に対し、通常1~15質量部であり、好ましくは1~8質量部である。
【0060】
(A-3)重合工程
上記(A-2)のようにして、重合性単量体組成物の液滴形成を行った後は、重合開始剤の存在下、当該重合性単量体組成物を重合反応に供することにより、着色樹脂粒子を形成する。即ち、重合性単量体組成物の液滴が分散した水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
前記加熱の条件は、特に限定はされないが、加熱温度は、50℃以上とすることが好ましく、更に60~95℃とすることが好ましい。また、加熱時間は、1時間~20時間とすることが好ましく、更に2時間~15時間とすることが好ましい。
【0061】
本開示では、上記重合工程により得られる着色樹脂粒子に外添剤を添加して、トナーとして用いてもよいが、上記重合工程により得られる着色樹脂粒子を、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子のコア層として用いることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、コア層の外側を、コア層とは異なる材料で形成されたシェル層で被覆した構造を有する。低軟化点を有する材料よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する材料で被覆することにより、トナーの低温定着性と保存性をバランス良く向上させることができる。
【0062】
上記重合工程により得られる着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
【0063】
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
【0064】
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
【0065】
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’-アゾビス-(2-メチル-N-(1,1-ビス(ヒドロキシメチル)2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。
【0066】
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60~95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1時間~20時間であり、更に好ましくは2時間~15時間である。
【0067】
(A-4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行われることが好ましい。
【0068】
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
【0069】
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
【0070】
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、例えば以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、着色剤、軟化剤、帯電制御剤、及び必要に応じて添加されるその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
【0071】
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、着色剤、軟化剤、及び帯電制御剤は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
【0072】
本開示において、着色樹脂粒子が含有する結着樹脂は、典型的には前記重合性単量体の重合体であるが従来からトナーの結着樹脂として広く用いられている、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等や、未反応の重合性単量体が少量含まれていてもよい。中でも、前記結着樹脂100質量部に含まれるポリエステル系樹脂の含有量は、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがより更に好ましく、ポリエステル系樹脂を含有しないことが特に好ましい。ポリエステル系樹脂の含有量が前記上限値以下であることにより、トナーの環境安定性を向上することができ、特に、湿度変化によるトナーの帯電の変化を抑制することができる。
また、前記結着樹脂が前記重合性単量体の重合体以外の樹脂を含む場合は、結着樹脂100質量部中の前記重合性単量体の重合体の含有量が、95質量部以上であることが好ましく、97質量部以上であることがより好ましく、99質量部以上であることがより更に好ましい。
【0073】
2.着色樹脂粒子
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーが含有する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
【0074】
本開示のトナーが含有する着色樹脂粒子は、下記帯電量測定方法で測定されるブローオフ帯電量が15μC/g以上60μC/g以下である。当該ブローオフ帯電量の下限としては、好ましくは20μC/g以上、より好ましくは30μC/g以上であり、上限としては、好ましくは58μC/g以下、より好ましくは56μC/g以下である。
[帯電量測定方法]
着色樹脂粒子0.25gと、平均粒子径60μmの球状のコーティング処理の無いMn-Mg-Sr-Fe系フェライトキャリア9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行い、前記摩擦帯電処理後の前記着色樹脂粒子と前記フェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーケージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)を測定する。
【0075】
なお、前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)は、以下の式(1)によって算出することができる。
式(1)
着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)=混合物のブローオフ帯電量(μC)/{混合物の重量(0.2g)×混合物中の着色樹脂粒子含有割合(2.5%)}
【0076】
前記帯電量測定方法で使用するフェライトキャリアとしては、例えば、標準キャリアであるEF-60(:商品名、パウダーテック社製、Mn-Mg-Sr-Fe系、球状、樹脂コートなし、平均粒子径60μm)を用いることができる。
また、前記帯電量測定方法で使用するブローオフ粉体帯電量測定装置としては、例えば、ブローオフ型Q/Mメーター MODEL 231 TO(:商品名、トレックジャパン社製)を用いることができる。
【0077】
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、下限としては、好ましくは4.0μm以上、より好ましくは5.0μm以上、更に好ましくは6.0μm以上であり、上限としては、好ましくは12.0μm以下、より好ましくは10.0μm以下、更に好ましくは8.0μm以下である。着色樹脂粒子のDvが上記下限値以上であることにより、トナーの流動性を向上することができ、トナー漏れを抑制し、転写性の悪化及び画像濃度の低下を抑制することができる。一方、着色樹脂粒子のDvが上記上限値以下であることにより、画像の解像度の低下を抑制することができる。特に、着色樹脂粒子のDvが6.0μm以上8.0μm以下であると、耐久時において、現像ローラの軸方向両端部と現像カートリッジの筐体との間のシール部分からのトナー漏れが抑制される。
【0078】
また、前記着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0~1.3であり、更に好ましくは1.0~1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(商品名:マルチサイザー、ベックマン・コールター製)等を用いて測定することができる。
【0079】
前記着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96~1.00であることが好ましく、0.97~1.00であることがより好ましく、0.98~1.00であることがさらに好ましい。着色樹脂粒子の平均円形度が0.96以上であることにより、印字の細線再現性を向上することができる。本開示の着色樹脂粒子の平均円形度は1以下であり、測定試料が完全な球形の場合、平均円形度は1となる。
本開示において、円形度とは、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値である。平均円形度は、測定試料表面の凹凸の度合いを示す指標となり、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いることができる。測定試料の表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
着色樹脂粒子の円形度は、例えば、着色樹脂粒子を分散させた水溶液を試料液とし、フロー式粒子像分析装置(例えば、シメックス社製、商品名:FPIA-2100等)を用いて試料液中の着色樹脂粒子の投影像を撮影し、当該投影像から、粒子の投影面積に等しい円の周囲長、及び粒子投影像の周囲長を測定し、計算式1:(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)により求めることができる。平均円形度は、試料液に含まれる各着色樹脂粒子の円形度の平均値である。
【0080】
3.本開示のトナー
本開示のトナーは、上記着色樹脂粒子、及び外添剤を含有する。上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とすることができる。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
【0081】
外添剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等の無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等の有機微粒子;等が挙げられる。中でも、無機微粒子が好ましく、シリカ及び酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含む無機微粒子がより好ましく、シリカ微粒子が更に好ましい。
これらの外添剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、粒径の異なる2種以上のシリカ微粒子を併用することが好ましく、例えば、個数平均一次粒径が5~25nmのシリカ微粒子と、個数平均一次粒径が30~90nmのシリカ微粒子とを併用することが好ましい。
また、上記無機微粒子は、疎水化処理されたものであってもよい。疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸及び脂肪酸金属塩等を使用することができる。これらの中でも、シランカップリング剤、及びシリコーンオイルが好ましい。
【0082】
外添剤の含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常0.05~6質量部、好ましくは0.2~5質量部、より好ましくは0.5~3質量部である。外添剤の含有量が上記下限値以上であると、転写残の発生を抑制することができ、上記上限値以下であると、カブリの発生を抑制することができる。
【0083】
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
【0084】
本開示のトナーは、ベタ追従性が良好であり、温度10℃、湿度20%RHの低温低湿(L/L)環境下で24時間放置した後、同環境下にて5%印字濃度で初期から連続印字を行い、10枚目印字時に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行った時のベタ画像の先端部と後端部の画像濃度の差(ΔD)が、0.30未満であることが好ましく、0.20未満であることがより好ましい。
なお、上記ΔDは、後述する実施例におけるベタ追従性評価と同様の方法により求められる。
【0085】
本開示のトナーは、高温高湿下でのカブリの発生が抑制されたものである。本開示のトナーは、温度35℃、湿度80%RHの高温高湿(H/H)環境下で24時間放置した後、同環境にて5%印字濃度で3枚連続印字を行い、その後更に10,000枚連続印字を行う印字耐久試験後のカブリ値が、1.0以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。
なお、印字耐久性試験は、後述する実施例におけるHHカブリ試験と同様の方法により行われる。カブリ値は、後述する実施例におけるカブリ値と同様にして求められる。
【0086】
本開示のトナーは、保存性が良好であり、ブロッキング発生温度(耐熱温度)の低下が抑制されたものである。本開示のトナーは、ブロッキング発生温度(耐熱温度)が55℃以上であることが好ましく、56℃以上であることがより好ましく、57℃以上であることが更に好ましい。なお、本開示において、トナーのブロッキング発生温度とは、トナーを一定の温度で8時間保管した時に、凝集するトナーの質量が、トナー総量の5質量%以下となる最高温度とする。トナーのブロッキング発生温度は、後述する実施例におけるトナーの耐熱温度の測定と同様の方法により測定することができる。
【実施例0087】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本開示を更に具体的に説明するが、本開示は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
【0088】
[製造例1:エステルワックス1の製造]
温度計、窒素導入管、攪拌機、ディーンスタークトラップ及びジムロート冷却管を備えた反応容器に、ペンタエリスリトール10部、及びステアリン酸80部を加えた。ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対するステアリン酸のカルボキシ基量(COOH/OH比)は0.96当量であった。次いで、窒素気流下220℃で、反応により生じる水を留去しつつ15時間常圧で反応を行って、エステル化粗生成物を得た。このエステル化粗生成物にトルエン10部及びイソプロパノール5部を添加し、エステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する量の10%水酸化カリウム水溶液15部を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水相部を除去して脱酸工程を終了した。次いで、得られた油相部にイオン交換水20部を加え、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水相部を除去した。除去した水相部のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。水洗後の油相部を180℃、1kPaの条件下で減圧して溶媒を留去し、ろ過を行い、最終目的物であるエステルワックス1を得た。
【0089】
[製造例2~5:エステルワックス2~5の製造]
製造例1において、ペンタエリスリトールとステアリン酸の添加量を下記表1に従って変更した以外は、製造例1と同様にして、エステルワックス2~5を得た。
【0090】
【表1】
【0091】
上記で得られたエステルワックス1~5について、JIS K 0070に準拠して水酸基価及び酸価を測定した。測定結果を表2に示す。
【0092】
[実施例1]
1.着色樹脂粒子の製造
1-1.コア用重合性単量体組成物の調製
スチレン(ST)74部、n-ブチルアクリレート(BA)26部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(商品名:AA-6、東亜合成化学工業社製、Tg=94℃)0.25部、ジビニルベンゼン(DVB)0.90部、及び着色剤としてカーボンブラック12部を、メディア型乳化分散機(商品名:ダイノミル、シンマルエンタープライゼス社製)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御樹脂として4級アンモニウム塩基含有アクリレート単量体単位の共重合割合が1質量%であるスチレンアクリル系ポリマー(商品名:アクリベース FCA-676P、藤倉化成社製)6.0部、製造例1で得たエステルワックス1を20部、及びテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、コア用重合性単量体組成物を調製した。
【0093】
1-2.水系分散媒体の調製
イオン交換水280部に塩化マグネシウム10.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム7.3部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
【0094】
1-3.シェル用重合性単量体の調製
一方、メチルメタクリレート2部と水130部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を調製した。
【0095】
1-4.液滴形成
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量5.3部)に、上記コア用重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート6部を添加した。重合開始剤を添加した分散液を、インライン型乳化分散機(商品名:マイルダー MDN303V、大平洋機工社製)により、回転数15,000rpmにて分散を行い、コア用重合性単量体組成物の液滴を形成した。
【0096】
1-5.懸濁重合
重合性単量体組成物の液滴を含有する分散液を、反応器に入れ、90℃に昇温して重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液にシェル用重合開始剤として2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ハイドロキシエチル)-プロピオンアミド〕(商品名:VA-086、和光純薬社製)0.1部を溶解したものを反応器に添加した。次いで、95℃で4時間維持して、重合を更に継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を得た。
【0097】
1-6.後処理工程
着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、pHが4.5以下となるまで硫酸を添加して酸洗浄を行った後(25℃、10分間)、濾別した着色樹脂粒子を、水で洗浄し、洗浄水をろ過した。この際の濾液の電気伝導度は、20μS/cmであった。さらに洗浄、ろ過工程後の着色樹脂粒子を脱水、乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
【0098】
2.トナーの製造
着色樹脂粒子100部に、疎水化処理した個数平均一次粒径7nmのシリカ微粒子0.6部と、疎水化処理した個数平均一次粒径35nmのシリカ微粒子1部とを添加し、高速攪拌機(商品名:FMミキサー、日本コークス社製)を用いて混合することによって、実施例1のトナーを得た。
【0099】
[実施例2~5、比較例1~6]
実施例1において、上記「1-1.コア用重合性単量体組成物の調製」の際に添加する各材料を表2に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5、及び比較例1~6のトナーを得た。
なお、比較例5、6で用いた軟化剤は、エステルワックス(商品名:WE-6、日油社製)であり、水酸基価は1.6mgKOH/g、酸価は0.1mgKOH/gである。
【0100】
3.着色樹脂粒子の評価
各実施例及び各比較例で使用した着色樹脂粒子について、下記の測定を行った。
【0101】
(1)体積平均粒径(Dv)
着色樹脂粒子を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤として界面活性剤水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mLを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10~30mL加え、20W(Watt)の超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)を測定した。
【0102】
(2)ブローオフ帯電量の測定
着色樹脂粒子0.25gと、標準キャリアであるフェライトキャリア(商品名:EF-60、パウダーテック社製、Mn-Mg-Sr-Fe系、球状、樹脂コートなし、平均粒子径60μm)9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行った。前記摩擦帯電処理後の着色樹脂粒子とフェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーケージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置(商品名:ブローオフ型Q/Mメーター MODEL 231 TO、トレックジャパン社製)を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記混合物のブローオフ帯電量(μC)を測定した。着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)は、以下の式(1)によって算出した。
式(1)
着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)=混合物のブローオフ帯電量(μC)/{混合物の重量(0.2g)×混合物中の着色樹脂粒子含有割合(2.5%)}
【0103】
4.トナーの評価
各実施例及び各比較例で得たトナーについて、下記評価を行った。
【0104】
(1)ベタ追従性評価
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:28枚/分)に印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、温度10℃、湿度20%RHの低温低湿(L/L)環境下で24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で初期から連続印字を行った。10枚目印字時に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行い、反射式画像濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を使用して、ベタ画像の先端から50mmの先端部の画像濃度と、後端から50mmの後端部の画像濃度を測定し、先端部と後端部の画像濃度の差(ΔD)を算出した。
【0105】
(2)HHカブリ試験
市販の非磁性一成分現像方式プリンター(印刷速度:28枚/分)に印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、温度35℃、湿度80%RHの高温高湿(H/H)環境下で24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で3枚連続印字を行った。その後、同環境下において、5%印字濃度で連続印字を行った。連続印字10,000枚目の後に白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、当該白ベタ印字を途中で停止し、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名:スコッチメンディングテープ810-3-18)に付着させた。それを新しい印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B-A)をカブリ値とした。カブリ値が小さい方が、カブリが少なく良好である。
【0106】
(3)耐熱温度
トナー10gを、100mLのポリエチレン製の容器に入れて密閉した後、50℃から1℃ずつ変化させ所定の温度に設定した恒温水槽の中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタ(登録商標)PT-R)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間、篩を振動させた後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とした。
この凝集したトナーの質量が0.5g以下になる最高温度を、トナーの耐熱温度とした。耐熱温度が高いほど、トナーは保管時のブロッキングが生じ難く、保存性に優れる。
【0107】
【表2】
【0108】
[考察]
比較例1、2のトナーは、軟化剤として含有するエステルワックスの水酸基価が7.0mgKOH/g以上であったため、耐熱温度が低く、即ちトナーの保管時におけるブロッキングが生じやすいことから、保存性に劣っていた。
比較例3のトナーは、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が60μC/g超過であったため、ベタ追従性に劣っていた。
比較例4のトナーは、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が15μC/g未満であったため、HHカブリ試験でのカブリ値が大きく、高温高湿環境下でカブリが発生しやすいものであった。
比較例5のトナーは、軟化剤として含有するエステルワックスの水酸基価が3.0mgKOH/g未満であったため、ベタ追従性に劣っていた。
比較例6のトナーは、軟化剤として含有するエステルワックスの水酸基価が3.0mgKOH/g未満であり、更に着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が60μC/g超過であったため、比較例3、5に比べて更にベタ追従性が劣っていた。
【0109】
これに対し、実施例1~5のトナーは、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が15μC/g以上60μC/g以下であり、軟化剤として、多価アルコールと直鎖カルボン酸との縮合体であり且つ水酸基価が3.0mgKOH/g以上7.0mgKOH/g未満であるエステルワックスを含有するものであったため、ベタ追従性に優れ、高温高湿環境下でのカブリの発生が抑制されたものであり、耐熱温度が高く、即ちトナーの保管時におけるブロッキングが生じにくいことから保存性に優れていた。中でも、実施例1~4のトナーは、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が比較的高かったため、高温高湿環境下でのカブリの発生がより抑制されたものであった。