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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125326
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】散布機
(51)【国際特許分類】
   A01B 49/06 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
A01B49/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029349
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】白土 宏之
(72)【発明者】
【氏名】今須 宏美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一秋
(72)【発明者】
【氏名】五月女 忠洋
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA09
2B034BA01
2B034BA06
2B034BB02
2B034BC03
2B034JA04
2B034JA14
2B034JA23
2B034JA24
2B034JB01
(57)【要約】
【課題】ハロー固定部に対してハロー可動部が折りたためるハロー装置に取り付けて用いる散布機において、全ての鎮圧部材を取り付ける鎮圧ローラ用取り付けアームを用いることなく、ハロー可動部の折りたたみ動作時に、鎮圧部材や散布対象物を誘導するホースの着脱を容易に行える散布機を提供すること。
【解決手段】本発明の散布機は、複数のホッパ20と、複数のホッパ20を併設して取り付けるホッパ取付部材30と、ホッパ20の底部に取り付けられてホッパ20内の散布対象物を誘導するホース40と、圃場の土を鎮圧する鎮圧部材50とを有し、それぞれのホッパ20に対応させた複数の保持アーム70を備え、それぞれの保持アーム70には、ホース40の下端を保持するホース保持部80と、鎮圧部材50を取り付ける鎮圧部材取付部90とを備え、保持アーム70を、ホッパ支持部材20a又はホッパ取付部材30に着脱可能に取り付けたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に位置するハロー固定部と、前記ハロー固定部の側方に位置するハロー可動部とを有し、前記ハロー固定部に対して前記ハロー可動部が折りたためるハロー装置に取り付けて用いる散布機であって、
散布対象物を充填する複数のホッパと、
前記ホッパに取り付けられるホッパ支持部材と、
複数の前記ホッパを併設して取り付けるホッパ取付部材と、
前記ホッパの底部に取り付けられて前記ホッパ内の前記散布対象物を誘導するホースと、
圃場の土を鎮圧する鎮圧部材と
を有し、
それぞれの前記ホッパに対応させた複数の保持アームを備え、
それぞれの前記保持アームには、前記ホースの下端を保持するホース保持部と、前記鎮圧部材を取り付ける鎮圧部材取付部とを備え、
前記保持アームを、前記ホッパ支持部材又は前記ホッパ取付部材に着脱可能に取り付けた
ことを特徴とする散布機。
【請求項2】
前記ハロー可動部として、前記ハロー固定部の一方に位置する一方側ハロー可動部と、前記ハロー固定部の他方に位置する他方側ハロー可動部とを有し、
前記ホッパとして、前記ハロー固定部に対応させて配置する第1ホッパと、前記一方側ハロー可動部に対応させて配置する第2ホッパと、前記他方側ハロー可動部に対応させて配置する第3ホッパとを有し、
前記保持アームとして、前記第1ホッパに取り付ける第1保持アームと、前記第2ホッパに取り付ける第2保持アームと、前記第3ホッパに取り付ける第3保持アームとを有し、
前記ホースとして、前記第1ホッパに取り付ける第1ホースと、前記第2ホッパに取り付ける第2ホースと、前記第3ホッパに取り付ける第3ホースとを有し、
前記鎮圧部材として、前記ハロー固定部に対応させて配置する第1鎮圧部材と、前記一方側ハロー可動部に対応させて配置する第2鎮圧部材と、前記他方側ハロー可動部に対応させて配置する第3鎮圧部材とを有し、
前記第1保持アームには、前記第1ホースの下端を保持する第1ホース保持部と、前記第1鎮圧部材を取り付ける第1鎮圧部材取付部とを備え、
前記第2保持アームには、前記第2ホースの下端を保持する第2ホース保持部と、前記第2鎮圧部材を取り付ける第2鎮圧部材取付部とを備え、
前記第3保持アームには、前記第3ホースの下端を保持する第3ホース保持部と、前記第3鎮圧部材を取り付ける第3鎮圧部材取付部とを備え、
前記第1保持アームを、前記第1ホッパの前記ホッパ支持部材又は前記ホッパ取付部材に着脱可能に取り付け、
前記第2保持アームを、前記第2ホッパの前記ホッパ支持部材又は前記ホッパ取付部材に着脱可能に取り付け、
前記第3保持アームを、前記第3ホッパの前記ホッパ支持部材又は前記ホッパ取付部材に着脱可能に取り付けた
ことを特徴とする請求項1に記載の散布機。
【請求項3】
前記保持アームが、一対の接続用アーム部材と、一対の前記接続用アーム部材の下端の間に配置するホース保持部用アーム部材とを有し、
前記接続用アーム部材の上端側端部を、前記ホッパ支持部材又は前記ホッパ取付部材に着脱可能に取り付け、
前記ホース保持部用アーム部材に前記ホース保持部を取り付けた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の散布機。
【請求項4】
一対の前記接続用アーム部材の下端側間隔を、一対の前記接続用アーム部材の上端側間隔よりも大きくし、
一対の前記接続用アーム部材の前記下端又は前記ホース保持部用アーム部材の両端に前記鎮圧部材取付部を取り付けた
ことを特徴とする請求項3に記載の散布機。
【請求項5】
前記保持アームが、一対の接続用アーム部材と、一対の前記接続用アーム部材の下端の間に配置するホース保持部用アーム部材とを有し、
前記ホース保持部用アーム部材に前記ホース保持部を取り付け、
一対の前記接続用アーム部材の前記下端又は前記ホース保持部用アーム部材の両端に前記鎮圧部材取付部を取り付け、
前記接続用アーム部材の上端側端部を、前記ホッパ支持部材又は前記ホッパ取付部材に取り付けた状態では、
前記第2保持アームを構成する前記ホース保持部用アーム部材と、前記第3保持アームを構成する前記ホース保持部用アーム部材とを同軸上に配置し、
前記第1保持アームを構成する前記ホース保持部用アーム部材を、前記第2保持アームを構成する前記ホース保持部用アーム部材、及び前記第3保持アームを構成する前記ホース保持部用アーム部材の軸からずらして配置した
ことを特徴とする請求項2に記載の散布機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロー固定部に対してハロー可動部が折りたためるハロー装置に取り付けて用いる散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
生産者の高齢化、大規模化にともない、水稲の省力・低コスト生産技術である湛水直播への関心が高まっている。湛水直播栽培の一層の省力化、低コスト化を進めるために、本発明者らは、幅2.0~2.6mの折りたためないハローに取り付けて使用する代かき同時浅層土中播種機を開発した。しかしながら、生産者からはより一般的で、大型化と公道走行を両立できる、折りたたみ式ハローへ取り付けられる播種機開発の要望が出されていた。
そこで、本発明者らは、折りたたみ式ハローに取り付けられ、警察署への申請なしに公道走行が可能な播種機(幅2.5m以下)の取り付け機構とハローの可動範囲制限機構を発明した(特許文献1)。
特許文献1の播種機では、鎮圧ローラ用取り付けアームを伸ばすとともに種子を誘導するホースを取り外すことにより、ハローの開閉が可能となる。
また、特許文献1の播種機では、播種作業時には鎮圧ローラ用取り付けアームを縮めることにより、ホースの傾斜角を確保して種子の滞留を回避しやすくすることができる。
また、特許文献1の播種機では、鎮圧ローラ用取り付けアームに直交する鎮圧ローラ用取り付けアームは横方向に伸縮可能としているので、公道走行時に全幅を狭くすることができる。
また、特許文献1の播種機では、鎮圧ローラ用取り付けアームにホース保持部を設置し、ホースとホース保持部を容易に着脱出来るようにして、ハロー開閉時にホースを外して干渉を避けることができる。
また、特許文献1の播種機では、鎮圧ローラを中央部ローラと端部ローラに3分割し、互いに干渉せず、かつローラ間にローラの作用しない部分が生じないように横方向に重なるように設置している。
特許文献1の播種機では、播種時の状態から公道走行状態には次のようにして変換する。
ホースをホース保持部から外す。ホッパ取り付けフレームを縮め、ホッパを中央に寄せる。鎮圧ローラ用取り付けアームを後方に伸ばす。ハロー可動部を途中まで折りたたむ。鎮圧ローラ用取り付けアームを縮める。鎮圧ローラ用取り付けアームを上方内側に折りたたむ。
なお、特許文献2には、トラクタ後部に装着するロータリ耕耘装置に付設され、ホッパ、繰出し装置、ガイド漏斗、導管、ガイドパイプ、及び鎮圧ローラが開示されている。特許文献2は、ロータリ耕耘装置の尾輪装着フレームの後端に、播種機の前端に設けたヒッチをピンで固定して接続している。また、播種機は取付ビームに播種フレームが着脱可能に固設され、播種フレームとブラケットは着脱ピンによって着脱可能になっている。ブラケットには、ローラフレームが取り付けられ、ローラフレームに鎮圧ローラを装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-180650号公報
【特許文献2】実願昭61-77830号(実開昭62-190411号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和62年12月3日特許庁発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の播種機では、播種時状態から走行時状態や運搬時状態への変換には二人必要で、鎮圧ローラ用取り付けアームと鎮圧ローラが重いため力が必要であり、手順が多く作業に長時間を要する。また、重い鎮圧ローラ用取り付けアームが後方に出っ張っているため重心が後に偏り、トラクタの前輪荷重が少なくなり安定した作業がしにくい。また、鎮圧ローラ用取り付けアームを取り付けるハロー側の形状や、ハロー可動部の長さ、ハロー可動部の軌跡が機種により異なるため、ハロー機種毎に鎮圧ローラ用取り付けアームを設計し直さなければならない可能性が高いという問題がある。
従って、鎮圧ローラ用取り付けアームを用いることなく、ハロー可動部の折りたたみ動作時に、鎮圧ローラや種子を誘導するホースの着脱を容易に行える播種機が求められている。
なお、特許文献2におけるロータリ耕耘装置は折りたたみ動作を行うものではなく、播種フレームとローラフレームとが着脱できるに過ぎない。
【0005】
本発明は、ハロー固定部に対してハロー可動部が折りたためるハロー装置に取り付けて用いる散布機において、全ての鎮圧部材を取り付ける鎮圧ローラ用取り付けアームを用いることなく、ハロー可動部の折りたたみ動作時に、鎮圧部材や散布対象物を誘導するホースの着脱を容易に行える散布機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の散布機は、中央部に位置するハロー固定部11と、前記ハロー固定部11の側方に位置するハロー可動部12、13とを有し、前記ハロー固定部11に対して前記ハロー可動部12、13が折りたためるハロー装置10に取り付けて用いる散布機であって、散布対象物を充填する複数のホッパ20と、前記ホッパに取り付けられるホッパ支持部材20aと、複数の前記ホッパ20を併設して取り付けるホッパ取付部材30と、前記ホッパ20の底部に取り付けられて前記ホッパ20内の前記散布対象物を誘導するホース40と、圃場の土を鎮圧する鎮圧部材50とを有し、それぞれの前記ホッパ20に対応させた複数の保持アーム70を備え、それぞれの前記保持アーム70には、前記ホース40の下端を保持するホース保持部80と、前記鎮圧部材50を取り付ける鎮圧部材取付部90とを備え、前記保持アーム70を、前記ホッパ支持部材20a又は前記ホッパ取付部材30に着脱可能に取り付けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の散布機において、前記ハロー可動部12、13として、前記ハロー固定部11の一方に位置する一方側ハロー可動部12と、前記ハロー固定部11の他方に位置する他方側ハロー可動部13とを有し、前記ホッパ20として、前記ハロー固定部11に対応させて配置する第1ホッパ21と、前記一方側ハロー可動部12に対応させて配置する第2ホッパ22と、前記他方側ハロー可動部13に対応させて配置する第3ホッパ23とを有し、前記保持アーム70として、前記第1ホッパ21に取り付ける第1保持アーム71と、前記第2ホッパ22に取り付ける第2保持アーム72と、前記第3ホッパ23に取り付ける第3保持アーム73とを有し、前記ホース40として、前記第1ホッパ21に取り付ける第1ホース41と、前記第2ホッパ22に取り付ける第2ホース42と、前記第3ホッパ23に取り付ける第3ホース43とを有し、前記鎮圧部材50として、前記ハロー固定部11に対応させて配置する第1鎮圧部材51と、前記一方側ハロー可動部12に対応させて配置する第2鎮圧部材52と、前記他方側ハロー可動部13に対応させて配置する第3鎮圧部材53とを有し、前記第1保持アーム71には、前記第1ホース41の下端を保持する第1ホース保持部81と、前記第1鎮圧部材51を取り付ける第1鎮圧部材取付部91とを備え、前記第2保持アーム72には、前記第2ホース42の下端を保持する第2ホース保持部82と、前記第2鎮圧部材52を取り付ける第2鎮圧部材取付部92とを備え、前記第3保持アーム73には、前記第3ホース43の下端を保持する第3ホース保持部83と、前記第3鎮圧部材53を取り付ける第3鎮圧部材取付部93とを備え、前記第1保持アーム71を、前記第1ホッパ21の前記ホッパ支持部材20a又は前記ホッパ取付部材30に着脱可能に取り付け、前記第2保持アーム72を、前記第2ホッパ22の前記ホッパ支持部材20a又は前記ホッパ取付部材30に着脱可能に取り付け、前記第3保持アーム73を、前記第3ホッパ23の前記ホッパ支持部材20a又は前記ホッパ取付部材30に着脱可能に取り付けたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の散布機において、前記保持アーム70が、一対の接続用アーム部材70aと、一対の前記接続用アーム部材70aの下端の間に配置するホース保持部用アーム部材70bとを有し、前記接続用アーム部材70aの上端側端部を、前記ホッパ支持部材20a又は前記ホッパ取付部材30に着脱可能に取り付け、前記ホース保持部用アーム部材70bに前記ホース保持部80を取り付けたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の散布機において、一対の前記接続用アーム部材70aの下端側間隔を、一対の前記接続用アーム部材70aの上端側間隔よりも大きくし、一対の前記接続用アーム部材70aの前記下端又は前記ホース保持部用アーム部材70bの両端に前記鎮圧部材取付部90を取り付けたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項2に記載の散布機において、前記保持アーム70が、一対の接続用アーム部材70aと、一対の前記接続用アーム部材70aの下端の間に配置するホース保持部用アーム部材70bとを有し、前記ホース保持部用アーム部材70bに前記ホース保持部80を取り付け、一対の前記接続用アーム部材70aの前記下端又は前記ホース保持部用アーム部材70bの両端に前記鎮圧部材取付部90を取り付け、前記接続用アーム部材70aの上端側端部を、前記ホッパ支持部材20a又は前記ホッパ取付部材30に取り付けた状態では、前記第2保持アーム72を構成する前記ホース保持部用アーム部材70bと、前記第3保持アーム73を構成する前記ホース保持部用アーム部材70bとを同軸上に配置し、前記第1保持アーム71を構成する前記ホース保持部用アーム部材70bを、前記第2保持アーム72を構成する前記ホース保持部用アーム部材70b、及び前記第3保持アーム73を構成する前記ホース保持部用アーム部材70bの軸からずらして配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ホースの下端を保持するホース保持部と、鎮圧部材を取り付ける鎮圧部材取付部とを備えた保持アームを、ホッパ支持部材又はホッパ取付部材に着脱可能に取り付けているので、保持アームをホッパ支持部材又はホッパ取付部材から取り外すだけでハロー可動部の折りたたみ動作を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による播種機を後方からみた写真
図2】本実施例による播種機の保持アーム及び鎮圧部材を示す写真
図3】本実施例による播種機の保持アームを説明するための要部を示す写真
図4】本実施例による播種機の播種作業を示す写真
図5図4と異なる方向からの写真
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による散布機は、それぞれのホッパに対応させた複数の保持アームを備え、それぞれの保持アームには、ホースの下端を保持するホース保持部と、鎮圧部材を取り付ける鎮圧部材取付部とを備え、保持アームを、ホッパ支持部材又はホッパ取付部材に着脱可能に取り付けたものである。
本実施の形態によれば、ホースの下端を保持するホース保持部と、鎮圧部材を取り付ける鎮圧部材取付部とを備えた保持アームを、ホッパ支持部材又はホッパ取付部材に着脱可能に取り付けているので、保持アームをホッパ支持部材又はホッパ取付部材から取り外すだけでハロー可動部の折りたたみ動作を行える。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による散布機において、ハロー可動部として、ハロー固定部の一方に位置する一方側ハロー可動部と、ハロー固定部の他方に位置する他方側ハロー可動部とを有し、ホッパとして、ハロー固定部に対応させて配置する第1ホッパと、一方側ハロー可動部に対応させて配置する第2ホッパと、他方側ハロー可動部に対応させて配置する第3ホッパとを有し、保持アームとして、第1ホッパに取り付ける第1保持アームと、第2ホッパに取り付ける第2保持アームと、第3ホッパに取り付ける第3保持アームとを有し、ホースとして、第1ホッパに取り付ける第1ホースと、第2ホッパに取り付ける第2ホースと、第3ホッパに取り付ける第3ホースとを有し、鎮圧部材として、ハロー固定部に対応させて配置する第1鎮圧部材と、一方側ハロー可動部に対応させて配置する第2鎮圧部材と、他方側ハロー可動部に対応させて配置する第3鎮圧部材とを有し、第1保持アームには、第1ホースの下端を保持する第1ホース保持部と、第1鎮圧部材を取り付ける第1鎮圧部材取付部とを備え、第2保持アームには、第2ホースの下端を保持する第2ホース保持部と、第2鎮圧部材を取り付ける第2鎮圧部材取付部とを備え、第3保持アームには、第3ホースの下端を保持する第3ホース保持部と、第3鎮圧部材を取り付ける第3鎮圧部材取付部とを備え、第1保持アームを、第1ホッパのホッパ支持部材又はホッパ取付部材に着脱可能に取り付け、第2保持アームを、第2ホッパのホッパ支持部材又はホッパ取付部材に着脱可能に取り付け、第3保持アームを、第3ホッパのホッパ支持部材又はホッパ取付部材に着脱可能に取り付けたものである。
本実施の形態によれば、ハロー固定部、一方側ハロー可動部、及び他方側ハロー可動部に対応させた、第1ホッパ、第2ホッパ、及び第3ホッパを有し、第1ホッパ、第2ホッパ、及び第3ホッパに対応させた、第1保持アーム、第2保持アーム、及び第3保持アームを有しているため、それぞれの保持アームを独立して着脱でき、ハロー可動部の折りたたみ動作時の作業性に優れている。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による散布機において、保持アームが、一対の接続用アーム部材と、一対の接続用アーム部材の下端の間に配置するホース保持部用アーム部材とを有し、接続用アーム部材の上端側端部を、ホッパ支持部材又はホッパ取付部材に着脱可能に取り付け、ホース保持部用アーム部材にホース保持部を取り付けたものである。
本実施の形態によれば、保持アームを、一対の接続用アーム部材とホース保持部用アーム部材とで構成し、接続用アーム部材の上端側端部を、ホッパ支持部材又はホッパ取付部材に取り付け、ホース保持部用アーム部材にホース保持部を取り付けているので、保持アームの着脱を一人で行うことができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による散布機において、一対の接続用アーム部材の下端側間隔を、一対の接続用アーム部材の上端側間隔よりも大きくし、一対の接続用アーム部材の下端又はホース保持部用アーム部材の両端に鎮圧部材取付部を取り付けたものである。
本実施の形態によれば、必要な鎮圧の幅を確保できる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第2の実施の形態による散布機において、保持アームが、一対の接続用アーム部材と、一対の接続用アーム部材の下端の間に配置するホース保持部用アーム部材とを有し、ホース保持部用アーム部材にホース保持部を取り付け、一対の接続用アーム部材の下端又はホース保持部用アーム部材の両端に鎮圧部材取付部を取り付け、接続用アーム部材の上端側端部を、ホッパ支持部材又はホッパ取付部材に取り付けた状態では、第2保持アームを構成するホース保持部用アーム部材と、第3保持アームを構成するホース保持部用アーム部材とを同軸上に配置し、第1保持アームを構成するホース保持部用アーム部材を、第2保持アームを構成するホース保持部用アーム部材、及び第3保持アームを構成するホース保持部用アーム部材の軸からずらして配置したものである。
本実施の形態によれば、それぞれの鎮圧部材の干渉を避けることができる。
【実施例0014】
以下本発明の一実施例による散布機を、播種機を用いて説明する。
図1は本実施例による播種機を後方からみた写真であり、図1(a)はハロー可動部を開き、ホッパの間隔を拡げた播種時状態を示し、図1(b)はハロー可動部を折りたたみ、ホッパの間隔を狭めた走行時状態や運搬時状態を示している。
【0015】
本実施例による播種機は、ハロー装置10に取り付けて用いる。ハロー装置10は、中央部に位置するハロー固定部11と、ハロー固定部11の側方に位置するハロー可動部12、13とを有し、ハロー固定部11に対してハロー可動部12、13が折りたためる機構となっている。
本実施例では、ハロー可動部12、13として、ハロー固定部11の一方に位置する一方側ハロー可動部12と、ハロー固定部11の他方に位置する他方側ハロー可動部13とを有している。
【0016】
本実施例による播種機は、種子を充填する複数のホッパ20と、複数のホッパ20を併設して取り付けるホッパ取付部材30と、ホッパ20の底部に取り付けられてホッパ20内の種子を誘導するホース40と、圃場の土を鎮圧する鎮圧部材50(図4及び図5を参照)とを有している。なお、本実施例では、散布対象物を種子として説明するが、種子以外に、肥料や農薬などを散布対象物とすることができる。また、鎮圧部材50には、例えば鎮圧ローラやゴム板を用いることができる。
ホッパ取付部材30は、伸縮可能なアームで構成されている。
ホッパ取付部材30は、一対の支持部材60によって支持されている。
一対の支持部材60の下端は、ハロー装置10に接続されている。一対の支持部材60は、ハロー装置10から後方の上方に向かって延出し、一対の支持部材60の上端にホッパ取付部材30を取り付けている。一対の支持部材60は、ハロー固定部11の上方に配置され、ハロー可動部12、13の折りたたみ動作範囲外に配置されている。
【0017】
本実施例では、ホッパ20として、ハロー固定部11に対応させて配置する第1ホッパ21と、一方側ハロー可動部12に対応させて配置する第2ホッパ22と、他方側ハロー可動部13に対応させて配置する第3ホッパ23とを有している。
図1(a)に示すように、ホッパ取付部材30を伸ばした状態では、第2ホッパ22及び第3ホッパ23は、第1ホッパ21から離間し、図1(b)に示すように、ホッパ取付部材30を縮めた状態では、第2ホッパ22及び第3ホッパ23は、第1ホッパ21に近接する。
また本実施例では、ホース40として、第1ホッパ21に取り付ける第1ホース41と、第2ホッパ22に取り付ける第2ホース42と、第3ホッパ23に取り付ける第3ホース43とを有している。
また本実施例では、図4及び図5に示すように、鎮圧部材50として、ハロー固定部11に対応させて配置する第1鎮圧部材51と、一方側ハロー可動部12に対応させて配置する第2鎮圧部材52と、他方側ハロー可動部13に対応させて配置する第3鎮圧部材53とを有している。
【0018】
本実施例による播種機は、それぞれのホッパ20に対応させた複数の保持アーム70を備えている。
それぞれの保持アーム70には、ホース40の下端を保持するホース保持部80と、鎮圧部材50を取り付ける鎮圧部材取付部90とを備えている。
本実施例では、保持アーム70として、第1ホッパ21に取り付ける第1保持アーム71と、第2ホッパ22に取り付ける第2保持アーム72と、第3ホッパ23に取り付ける第3保持アーム73とを有している。
第1保持アーム71には、第1ホース41の下端を保持する第1ホース保持部81と、第1鎮圧部材51を取り付ける第1鎮圧部材取付部91とを備えている。
第2保持アーム72には、第2ホース42の下端を保持する第2ホース保持部82と、第2鎮圧部材52を取り付ける第2鎮圧部材取付部92とを備えている。
第3保持アーム73には、第3ホース43の下端を保持する第3ホース保持部83と、第3鎮圧部材53を取り付ける第3鎮圧部材取付部93とを備えている。
【0019】
図2は本実施例による播種機の保持アーム及び鎮圧部材を示す写真である。
保持アーム70は、一対の接続用アーム部材70aと、一対の接続用アーム部材70aの下端の間に配置するホース保持部用アーム部材70bとを有している。
一対の接続用アーム部材70aの下端側間隔を、一対の接続用アーム部材70aの上端側間隔よりも大きくしている。
一対の接続用アーム部材70aの下端には鎮圧部材取付部90を取り付けている。鎮圧部材取付部90によって、鎮圧部材50を取り付けることができる。なお鎮圧部材50がゴム板の場合は鎮圧部材取付部90を介さずに直接ホース保持部用アーム部材70bに取り付けることもできる。
ホース保持部用アーム部材70bには、ホース保持部80を取り付けている。
【0020】
図3は本実施例による播種機の保持アームを説明するための要部を示す写真である。
保持アーム70は、一対のホッパ支持部材20aに着脱可能に取り付けられる。
ホッパ20の下部両側には、一対のホッパ支持部材20aを有している。ホッパ20は、一対のホッパ支持部材20aによってホッパ取付部材30に取り付けられている。
本実施例では、ホッパ支持部材20aは筒管によって構成され、接続用アーム部材70aの上端側端部を、ホッパ支持部材20aに挿入することで、保持アーム70を一対のホッパ支持部材20aに取り付ける。
なお、第1保持アーム71は、第1ホッパ21に着脱可能に取り付け、第2保持アーム72は、第2ホッパ22に着脱可能に取り付け、第3保持アーム73は、第3ホッパ23に着脱可能に取り付ける。
本実施例では、保持アーム70を一対のホッパ支持部材20aに取り付ける場合で説明したが、ホッパ取付部材30に着脱可能に取り付けることもできる。
このように、接続用アーム部材70aの上端側端部を、一対のホッパ支持部材20aに取り付けた状態では、第2保持アーム72を構成するホース保持部用アーム部材70bと、第3保持アーム73を構成するホース保持部用アーム部材70bとを同軸上に配置し、第1保持アーム71を構成するホース保持部用アーム部材70bを、第2保持アーム72を構成するホース保持部用アーム部材70b、及び第3保持アーム73を構成するホース保持部用アーム部材70bの軸からずらして配置している。従って、それぞれの鎮圧部材50の干渉を避けることができる。
【0021】
図4は本実施例による播種機の播種作業を示す写真、図5図4と異なる方向からの写真である。
なお、図4及び図5に示す保持アーム70は、接続用アーム部材70aが、ホッパ側接続用アーム部材70xとホース保持部側接続用アーム部材70yとで構成されている。ホッパ側接続用アーム部材70xとホース保持部側接続用アーム部材70yとは連結部材70zによって連結されている。また、一対の連結部材70zは、接続部材70cによって連結されている。
【0022】
以上のように、本実施例によれば、ホース40の下端を保持するホース保持部80と、鎮圧部材50を取り付ける鎮圧部材取付部90とを備えた保持アーム70を、ホッパ支持部材20a又はホッパ取付部材30に着脱可能に取り付けているので、保持アーム70をホッパ支持部材20a又はホッパ取付部材30から取り外すだけでハロー可動部12、13の折りたたみ動作を行える。
また、本実施例によれば、ハロー固定部11、一方側ハロー可動部12、及び他方側ハロー可動部13に対応させた、第1ホッパ21、第2ホッパ22、及び第3ホッパ23を有し、第1ホッパ21、第2ホッパ22、及び第3ホッパ23に対応させた、第1保持アーム71、第2保持アーム72、及び第3保持アーム73を有しているため、それぞれの保持アーム70を独立して着脱でき、ハロー可動部12、13の折りたたみ動作時の作業性に優れている。
また、本実施例によれば、保持アーム70を、一対の接続用アーム部材70aとホース保持部用アーム部材70bとで構成し、接続用アーム部材70aの上端側端部を、一対のホッパ支持部材20a又はホッパ取付部材30に取り付け、ホース保持部用アーム部材70bにホース保持部80を取り付けているので、保持アーム70の着脱を一人で行うことができる。
また、本実施例によれば、一対の接続用アーム部材70aの下端側間隔を、一対の接続用アーム部材70aの上端側間隔よりも大きくし、一対の接続用アーム部材70aの下端又はホース保持部用アーム部材70bの両端に鎮圧部材取付部90を取り付けているので、必要な鎮圧の幅を確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明による散布機は、水稲の湛水直播栽培の播種に利用でき、特に無コーティング種子用に適しているが、べんモリ等の土中播種対応のコーティング種子にも使用でき、更には肥料や農薬の散布を行うことにも適している。
【符号の説明】
【0024】
10 ハロー装置
11 ハロー固定部
12 一方側ハロー可動部
13 他方側ハロー可動部
20 ホッパ
20a ホッパ支持部材
21 第1ホッパ
22 第2ホッパ
23 第3ホッパ
30 ホッパ取付部材
40 ホース
41 第1ホース
42 第2ホース
43 第3ホース
50 鎮圧部材
51 第1鎮圧部材
52 第2鎮圧部材
53 第3鎮圧部材
60 支持部材
70 保持アーム
70a 接続用アーム部材
70b ホース保持部用アーム部材
70c 接続部材
70x ホッパ側接続用アーム部材
70y ホース保持部側接続用アーム部材
70z 連結部材
71 第1保持アーム
72 第2保持アーム
73 第3保持アーム
80 ホース保持部
81 第1ホース保持部
82 第2ホース保持部
83 第3ホース保持部
90 鎮圧部材取付部
91 第1鎮圧部材取付部
92 第2鎮圧部材取付部
93 第3鎮圧部材取付部
図1
図2
図3
図4
図5