(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125597
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20230831BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20230831BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230831BHJP
H04N 1/40 20060101ALI20230831BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230831BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230831BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230831BHJP
G03G 21/20 20060101ALN20230831BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/12 Z
G06T1/00 460D
H04N1/40 006
H04N1/00 002A
G03G15/00 303
G03G21/00 502
G03G21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029795
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
【テーマコード(参考)】
2H270
5B047
5C062
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
2H270KA28
2H270KA32
2H270KA44
2H270KA51
2H270KA68
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2H270ZC04
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5C077TT08
(57)【要約】
【課題】基準面部の読み取り動作の高速化が可能となる画像読取装置を提供する。
【解決手段】搬送される対象物をイメージセンサ51aで読み取る画像読取装置50において、対象物の画像読取部52とは別の箇所に設けた基準面部61cと、定位置における姿勢変更により、イメージセンサへの光路を前記画像読取部と前記基準面部とで切り替える光路切替手段60とを有する。光路切替手段60は、反射面を備えた多面柱状体であり、回転による姿勢変更で光路を切り替える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される対象物をイメージセンサで読み取る画像読取装置において、
対象物の画像読取部とは別の箇所に設けた基準面部と、
定位置における姿勢変更により、前記イメージセンサへの光路を前記画像読取部と前記基準面部とで切り替える光路切替手段とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記光路切替手段は、反射面を備えた多面柱状体であり、回転による姿勢変更で光路を切り替えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読取装置において、
前記基準面部に光を照射する照明手段を、前記画像読取部で対象物に光を照射する照明手段とは別に設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記画像読取部において光照射される対象物表面と前記基準面部とは、前記イメージセンサまでの光路長が等しいことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記画像読取部において光照射される対象物表面と前記基準面部とは、前記イメージセンサまでの光路長が互いに異なり、前記画像読取部の照明手段と前記基準面部の照明手段は、前記光路長の差を相殺し、前記対象物の表面と前記基準面部とで前記イメージセンサで検出する照度が互いに等しくなるように構成したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一に記載の画像読取装置において、
前記画像読取部に位置する読取位置と前記画像読取部から退避した退避位置との間で移動可能に設けたシェーディング補正のための移動基準面部を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置において、
前記読取位置における前記移動基準面部と、前記基準面部とは、前記イメージセンサまでの光路長が等しいことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一に記載の画像読取装置において、
前記画像読取部に位置する読取位置と前記画像読取部から退避した退避位置との間で移動可能に設けた、搬送経路を挟んで前記イメージセンサとは反対側から対象物に対向する対向部材を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項6または7を引用する態様の請求項8に記載の画像読取装置において、
前記移動基準面部と前記対向部材とは回動部材に設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
対象物に画像を形成する画像形成部と、
前記対象物を読み取る画像読取部と、
前記対象物を搬送する搬送部とを備えた画像形成装置において、
前記画像読取部として、請求項1乃至9いずれか一に記載の画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される対象物をイメージセンサで読み取る画像読取装置が知られている。
【0003】
特許文献1や特許文献2には、係る画像読取装置であって、シェーディング補正のための白色基準部(基準面部)を、原稿(搬送される対象物)の画像読取部に位置する読取位置と画像読取部から退避した退避位置との間で移動可能に設けものが記載されている。白色基準部を読み取らないときは白色基準部に退避位置を取らせて白色基準部の汚れを抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、所定の間隔を置いて連続して搬送される対象物の間隔が画像読取部に対向する期間(いわゆる紙間)のみ基準面部を読取位置に位置させて基準面部を読み取る場合、基準面部の読み取り動作の高速化が困難であった。退避位置と読取位置との間の基準面部の移動速度の制約からである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送される対象物をイメージセンサで読み取る画像読取装置において、対象物の画像読取部とは別の箇所に設けた基準面部と、定位置における姿勢変更により、前記イメージセンサへの光路を前記画像読取部と前記基準面部とで切り替える光路切替手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基準面部の読み取り動作の高速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を、カラー対応の電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について、図を用いて説明する。まず、本実施形態のプリンタ300の概略について説明する。
図1はプリンタ300の全体構成図である。プリンタ300は、装置本体100の上部に操作・表示部200を備える。プリンタ300の装置本体100は4つのプロセスユニット1Y,C,M,Bkを備えたタンデム型の画像形成手段としての画像形成部を備える。
【0009】
4つのプロセスユニット1Y,C,M,Bkは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成である。各プロセスユニット1は、電子写真方式で画像を形成するもので、感光体2、帯電装置3、現像装置4、クリーニングブレード5などを備えている。電子写真方式に代えインクジェット方式など他の方式のものを用いることもできる。
【0010】
各プロセスユニット1の下方に設けた転写装置7は、中間転写体として中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、第一張架ローラ21、第二張架ローラ22、及び第三張架ローラ23に張架され、テンションローラ24により内周側に押圧されている。
【0011】
中間転写ベルト10を介して4つの感光体2に対向した位置に、4つの1次転写ローラ11を配置している。各1次転写ローラ11は、電源に接続されている。中間転写ベルト10を張架する第三張架ローラ23に対向した位置には、二次転写手段としての2次転写ローラ12が設けられている。この2次転写ローラ12は中間転写ベルト10と接触する箇所に二次転写ニップを形成する。2次転写ローラ12は電源に接続され二次転写バイアスを供給可能になっている。なお、二次転写手段はローラに限られず、ベルトであってもよい。
【0012】
装置本体100の下部には、シート状の記録材としての用紙やOHP等の記録材Pを収容した複数の給紙カセット13が配置されている。給紙カセット13には、収容されている記録材Pを送り出す給紙ローラ14が設けられている。装置本体100の図の左側の外面には、排紙トレイ20が設けられている。
【0013】
装置本体100は、記録材Pを給紙カセット13から二次転写ニップを通って排紙トレイ20へ搬送するための搬送路25を備える。この搬送路25において、2次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向上流側にはレジストローラ対15が設けられている。また、2次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向下流側には、定着装置8、冷却装置9、画像読取装置50、排出ローラ対16が順次配置されている。
【0014】
定着装置8は、例えば、内部にヒータを有する定着部材としての定着ローラ17と、定着ローラ17を加圧する加圧部材としての加圧ローラ18を備える。定着ローラ17と加圧ローラ18とが接触した箇所には、定着ニップが形成される。
【0015】
また、画像読取装置50と、排出ローラ対16との間には、後述する切換え爪26が設けられている。この切換え爪26は、画像形成モードとしての印刷モードで、記録材Pの両面に画像形成を行う両面印刷が選択されたときに回動し、搬送路25から、定着装置8や冷却装置9等と給紙カセット13との間に設けられた反転路27に記録材Pを導く。反転路27に導かれた記録材Pは、反転路27内でスイッチバックして表裏の向きが反転され、裏面に画像形成を行うべくレジストローラ対15の上流側で搬送路25に進入する。
【0016】
冷却装置9は、無端状の表側ベルト97aと無端状の裏側ベルト97bを有している。表側ベルト97aの記録材Pを挟持する展張面の内周側には、表側冷却プレート91aが配置されており、裏側ベルト97bの記録材Pを挟持する展張面の内周側には、裏側冷却プレート91bが配置されている。
【0017】
また、冷却装置9は、ポンプ92、タンク93、ラジエータ94、冷却ファン95、配管96などを有している。冷却装置9は、表側冷却プレート91aと裏側冷却プレート91bとラジエータ94とタンク93とポンプ92との間で冷却液を循環する。矢印Aは冷却液の循環経路での液の流れを示す。冷却ファン95とラジエータ94は、ダクト28内に位置する。ダクト28は、下方に設けた吸気口28aと上方の排気口28bとを備える。
【0018】
プリンタ300の基本的動作は次のとおりである。印刷モードとして片面印刷が選択された場合について説明する。パソコン等の外部機器から画像データを受信して作像動作が開始されると、外部機器から画像データが画像処理部によって処理された画像情報に基づいて、露光装置6から帯電された各感光体2にレーザ光が照射され、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。感光体2上に形成された静電潜像は、各現像装置4によってトナー像とされる。このトナー像が中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写される。給紙カセット13から搬出された記録材Pに、中間転写ベルト10上に担持されたトナー像が一括して二次転写される。
【0019】
トナー像が二次転写された記録材Pは定着装置8に搬送され、定着ローラ17と加圧ローラ18によって記録材Pが加圧及び加熱されて、トナー像が記録材P上に定着される。そして、記録材Pは、冷却装置9によって冷却された後、排出ローラ対16によって排紙トレイ20に排出される。
【0020】
図2は、画像読取装置50の基本構成の説明図である。
図2(a)は画像読取装置50の概略構成を示す模式図、
図2(b)は一部の拡大図である。画像読取装置50は、読取デバイス51と、照明ユニット52と、対向ユニット53とから構成され、搬送中の記録材P上の画像を読み取る。図示の例は、一つの画像読取装置50で紙面に垂直な記録材Pの幅方向全域を読み取れるものであるが、複数の画像読取装置50を幅方向の異なる位置に配置して、各画像装置で読み取った読取画像を繋ぎ合わせる(合成する)ように画像処理することで、用紙に形成された出力画像を取得する(読み取る)ようにしてもよい。
【0021】
読取デバイス51は、イメージセンサ51a、レンズ51b、第三ミラー51c,第二ミラー51d,第一ミラー51e等を有し、照明ユニット52によって照明された記録材Pや記録材P上の画像を読み取る。イメージセンサ51aはインラインセンサである。読み取ったデータは、後述する各種補正に用いることができる。そして、本実施形態では、後述するように、図示の第一ミラー51eに代え、光路切替手段として多面柱状体である6面のポリゴンミラー60を採用する(
図3参照)。
【0022】
図2(b)に示すように、照明ユニット52は2つの照明光源52a、52bと、透明部材であるコンタクトガラス52cを備えている。
図2(a)に示すように、記録材P1、P2の搬送経路(用紙搬送パス)の真上の照明ユニット52により搬送中の記録材P1、P2を照らし、その記録材に反射した拡散光を読取光軸A21に通しイメージセンサ51aに集光することで画像を読み取る。
【0023】
画像読取装置50は、記録材Pの搬送経路を挟んでコンタクトガラス52cに対向する箇所に、対向ユニット53を備えている。対向ユニット53は、対向部材として4本の対向ローラ54と、これらの対向ローラを支持する回動部材としての回転支持体55とを備えている。これらの4本の対向ローラ54は、互いに径や周面の色が異なる。具体例については後述する。
【0024】
回転支持体55は、4つのローラそれぞれを回転可能に支持し、回転することで、いずれかのローラを画像読取位置に位置させることができる。対向ユニット53は、記録材Pの情報(用紙の厚みや用紙の色などを特定するための情報)や、画像形成システムの動作モード(搬送速度の違いなど)に応じて、対応するいずれかの対向ローラ54を画像読取位置に位置させる。用紙の位置検出では用紙エッジを検出するために用紙の色とは異なる色の背景であることが好ましい。この観点から対向部材を背景部材あるいは裏当て部材と呼ぶこともある。
【0025】
従来から、画像読取装置50の照明ユニット52の照明部分は、経時で光量の低下が発生し、読取レベルが変動してしまう。また、読取デバイス51のイメージセンサ51aの長手方向での主力特性のバラツキが読取データのバラツキにつながる。これらを防ぐために、基準白色板を定期的に読んで読取レベルを補正するシェーディング補正を行う。例えば、読取位置にある対向ローラの周面が黒色の場合、定期的なシェーディング補正のための基準白色板の読取時は、通紙中の紙間に基準白色板を、読取光軸A21上に瞬間的に挿入することが行われている。
【0026】
ところが従来技術では、次のような問題がある。特許文献1のように、シェーディング補正を行う際に白色板の取りついたDカットローラを回転させて白色板を原稿面に移動させて読み取る機構では、Dカットローラの黒色の裏当て部分を用いて白色の紙を検出するとともに、回転位相により白色板原稿面に位置させて紙間でのシェーディング補正のための読取を実施可能である。同文献の
図36のように円周上に複数の通紙面とシェーディング面を設置することでシェーディングに必要な時間を短縮している。しかし、同文献の、例えば
図36の3箇所の通紙面45bは、すべて同一形状にしなければ、シェーディング時に正転と逆転をする必要が生じてしまう。正転と逆転は、単に一方向に回転と停止を繰り返すのとは異なり、余分に時間がかかるという制約があり、連続通紙中の紙間でシェーディング補正のための白色板の読取を行うのが困難である。紙の検出はおこなわなければ、連続通紙の間中、白色板を原稿面に位置させておけばよいが、白色板が汚れてしまう。このような制約を回避しようとすると、上記3箇所の通紙面45bは、すべて同一形状にしなければならないというレイアウトの制約がある。
【0027】
本実施形態では、このような問題を解決するため、記録材P(搬送される対象物)の画像読取部とは別の箇所に設けた基準面部と、定位置における姿勢変更により、前記イメージセンサへの光路を画像読取部と基準面部とで切り替える光路切替手段とを有する。
図3は本実施形態に係る画像読取装置の説明図である。
図3(a)は読取光軸A21が照明ユニット52の画像読取部に向いている状態を示し、
図3(b)は読取光軸A22が基準面部に向いている状態を示す。
【0028】
図2の画像読取装置50の基本構成に次の変更を加えたものである。つまり、第一ミラー51eに代え、光路切替手段として多面柱状体である6面のポリゴンミラー60を採用する。加えて、記録材搬送路とは別の箇所に基準面ユニット61を設けた。基準面ユニット61は、基準面部としての白色基準板61dと、白色基準板61dに光を照射する照明手段としての照明光源61a、61bと、コンタクトガラス61cとを備えている。図示の例は照明ユニット52と同一構造のユニットのコンタクトガラス61cに白色基準板61dを密着して固定した構造になっている。コンタクトガラス61cは省略してもよいが、照明ユニット52と共通の構造の方が、後述するイメージセンサ51aまでの光路長の設定がし易い。
【0029】
図3(a)に示す状態で読取光軸A21が当たる60の反射面を介する、照明ユニット52の画像読取部での読み対象物の表面からイメージセンサ51aまでの光路長が次の光路長と等しくなるように60や基準面ユニット61を設ける。つまり、
図3(b)に示す状態で読取光軸A22が当たるポリゴンミラー60の反射面を介する、基準面ユニット61の白色基準板61dの照射される面からイメージセンサ51aまで光路長と等しくなるように設ける。これによれば、記録材を読み取るときと同一条件で白色基準板61dを読取り、シェーディング補正用のデータを取得可能となる。
【0030】
たとえば、読取光軸A21が当たるポリゴンミラー60の反射面と読取光軸A22が当たるポリゴンミラー60の反射面とで、イメージセンサ51aまでの光路長が互いに等しく、かつ、画像読取部での読み対象物の表面から読取光軸A21が当たるポリゴンミラー60の反射面までの光路長と、基準面ユニット61の白色基準板61dの照射される面から読取光軸A22が当たるポリゴンミラー60の反射面までの光路長とが等しくなるようにする。
【0031】
以上のように各箇所の光路長を等しくするのに加え、照明光源からイメージセンサ51aまでの光路長も等しくすることが好ましい。上記各箇所の光路長に差を付け、この差によるイメージセンサ51aでの光量の変化量を、照明光源の光量差で相殺させるようにしてもよい。たとえば、基準面ユニット61の白色基準板61dや照明光源61a,61bを照明ユニット52に比べてイメージセンサ51aに光学的に近づけた場合、白色基準板61dを読み取る際のイメージセンサ51aに到達する光量が原稿を読み取る際の光量よりも多くなってしまい、シェーディング不良となる。それを防止するために、複数の基準白板と照明部をよりイメージセンサ51aに光学的に近づけた場合はその照明光源61a,61bのみ少し暗くすると省スペース化になる。なお、図示の例では61に照明光源を設けたが、必要に応じて照明光源から光りの光路切替手段を用い、照明ユニット52の照明光源の光を61で兼用してもよい。
【0032】
図3(a)の読取光軸A21から
図3(b)の読取光軸A22に切り替えるには、
図3(b)に矢印A3で示すように反図中時計回りにポリゴンミラー60を回転させる。回転させる角度は、
図3(b)に示す読取光軸間の角度θの半分である。この
図3(b)の回転位置を維持しながら(回転を停止しながら)、白色基準板61dを読み取る。このように停止状態で白色基準板61dを読み取るのに代え、ポリゴンミラー60を回転させながら白色基準板61dのより広い範囲を読み取ってもよい。前者は光源の光量調整、後者はイメージセンサ51aの長手方向での出力偏差調整に適している。必要に応じて、読取方を切り替えることが好ましい。これらの白色基準板の読取方法の切り替えは従来の白色基準板の読取方法の切り替えと同様である。
【0033】
図4は、シェーディングを終えて、それまで読取光軸A22が当たってポリゴンミラー60の反面の回転方向(
図3(b)参照)上流側で一つとなりの面で停止し、読取光軸A21が記録材搬送路の照明に向いた状態を示す。ポリゴンミラー60は六面体なので、それまで
図3(a)の状態で使用していた反射面に対し60度の位相差になる。
【0034】
図3及び
図4の例では、光路切替手段が6角柱のミラーになっていて、1度の紙間シェーディングで移動する位相は60°である。よって、特許文献1のDカットローラの構成のように1方向に回動しながら紙間シェーディングを実施可能なため、紙間時間の短縮をすることが可能となる。特許文献2の読取装置と異なり、記録材読取り面の照明に関して離間動作をさせる必要がないためその分の時間短縮も可能となる。また、記録材読取り面の照明ユニと52とは別に61を設置することにより、記録材読取り面の照明にはレイアウト制約がない。よって、対向ユニット53の対向ローラ54を色違い・径違いにするなどの自由度を得ることが可能となる。
【0035】
図5は、対向ユニット53の構成例の説明図である。この対向ユニット53は、4本の対向ローラ54a,54b,54c,54dと、移動基準面部としての3つの基準面部材56a,56b,56cと、ガイド部材57とを備えている。4本の対向ローラ54a,54b,54c,54dは、記録材Pを画像読取装置50の適正な焦点距離の位置で画像読取ができるように搬送する際に、その記録材Pの搬送を妨げないように回転駆動することが好ましい。これに代え、記録材に従動回転するようにしてもよい。4本の対向ローラ54a,54b,54c,54dは、回転支持体55に回転可能に保持されており、3つの基準面部材56a,56b,56cとガイド部材57とは、回転支持体55に固定して保持されている。
【0036】
対向ユニット53の回転支持体55を回転させることで、4本の対向ローラ54a,54b,54c,54dと、3つの基準面部材56a,56b,56cと、ガイド部材57とが一体で回転する。これにより、対向ユニット53は、4本の対向ローラ54a,54b,54c,54d、基準面部材56a,56b,56c及びガイド部材57それぞれを、画像読取装置50が画像を読み取る所定の読取位置に選択的に切り替えて配置することが可能となっている。
【0037】
記録材Pのばたつきを抑え、画像読取装置50の光学系の焦点距離の合う適正焦点距離で画像の読み取りがなされるように、コンタクトガラス52cから適正焦点距離の位置(読取位置)までの距離を短くして、記録材Pが通る隙間(ギャップ)を狭くしている。このため、記録材Pの画像を読み取る画像読取時には、狭い隙間を記録材Pが確実に搬送されるように、4本の対向ローラ54a,54b,54c,54dのうち少なくとも読取位置に配置されているローラを回転駆動することが好ましい。
【0038】
図5に示す例では、画像読取装置50の適正焦点距離を、記録材Pが対向ローラ54cに当接したときの表面(外側の一点鎖線円参照)に設定し、コンタクトガラス52cと対向ローラ54cとの間の隙間(ギャップ)をできるだけ小さくしている。この隙間に記録材Pを通して搬送しながら画像を読み取る画像読取時には、対向ローラ54cが記録材Pの搬送方向と同じ方向に表面移動するように回転駆動される。これにより、コンタクトガラス52cと対向ローラ54cとの隙間(ギャップ)を小さくして搬送による記録材Pのばたつきを抑えつつ、対向ローラ54cが搬送中の記録材Pに接触して回転し、記録材Pの紙詰まりを起こすことなく確実に搬送することができる。
【0039】
一方、画像読取動作前などの記録材Pの搬送の合間には、回転支持体55を回転させて、3つの基準面部材56a,56b,56cのうちの1つを読取位置に配置し、その基準面部材を画像読取装置50が読み取ることで、各補正動作を行う。この際、基準面部材56a,56b,56cの外側表面の位置は、適正焦点距離の位置(読取位置)と一致するように配置した(外側の符号55aで示す一点鎖線円参照)。補正動作を行う期間は、記録材Pの搬送を行わず、読取位置に記録材Pを進入させないようにしている。
【0040】
また、基準面部材56a,56b,56cは、回転支持体55を回動させる回動切替機構の停止角度誤差が生じても、基準面の位置や傾きに変化が生じないように、回動切替機構の回動中心を中心とする曲面形状となっている。
【0041】
なお、記録材Pの画像読取を行わず、記録材Pを搬送するだけの非画像読取動作では、記録材Pを適正焦点位置に維持しながら搬送する必要がない。このため、読取位置においてローラの搬送力が無くても搬送可能な隙間量となるように、ガイド部として機能するガイド部材57が読取位置の対向側に配置した状態で記録材Pを搬送する。
【0042】
たとえば、基準面部材56aは、基準面としての白色均一面の白色基準面を有する基準面部材とする。画像読取装置50のシェーディング補正を行う際に、この基準面部材56aを読取位置に配置させて行う。基準面部材56aは、黒色均一面の黒色基準面を有する基準面部材であってもよい。画像読取装置50が記録材Pの画像読取を行う際に、この黒色基準面を有する基準面部材56aを読取位置に配置させてもよい。
【0043】
たとえば、基準面部材56bは、基準面としての基準色パッチを有する基準面部材とする。画像読取装置50のカラー出力補正を行う際に、基準面部材56bを読取位置に配置させて行う。
【0044】
たとえば、基準面部材56cは、基準面としての既知の間隔のライン画像を有する基準面部材である。画像読取装置50の倍率、レジストなどの位置補正を行う際に、基準面部材56cを読取位置に配置させて行う。
【0045】
以上、移動基準面部としての白色面の読取データはシェーディング補正に、また、移動基準面部として他の色の面の読取データは色補正にそれぞれ用いることができる。さらに、4本の対向ローラ54a,54b,54c,54dを用い、記録材Pや画像の位置あるいは姿勢の検出や画像そのものの検出に用いることができる。
【0046】
対向ユニット53の基準面部材56a,56b,56cを、連続通紙中の紙間のみ画像読取位置に位置させ、記録材が画像読取位置を通過中は退避位置をとるように回転支持体を必要に応じて正逆回転させながら移動させると、正逆回転の移動速度の制約で、連続通紙速度を遅くせざるをえない。よって、これらの基準面部材56a,56b,56cを読取位置に位置させて補正用のデータを取得するのは、連続通紙中ではなく、次のようなタイミングで行う。すなわち、プリンタ電源投入後、連続通紙などの印刷ジョブの最初の記録材が読取位置に到達する前、印刷ジョブの終了後、その他連続通紙中以外のタイミングである。そして、連続通紙中に、読取位置では記録材Pの位置や記録材P上の画像など読み取るとともに、シェーディング補正のための白色面の読取も行うモードでは、紙間が画像読取部を追加するタイミングで、
図3(b)に示すように読取光軸A22を基準面ユニット61に向ける。
【0047】
なお、基準面ユニット61は、連続通紙中の紙間での基準面部の読取の前後の画像読取部に紙が対向している時間帯に、対向ローラを用いて紙あるいは紙上画像の読取をおこなっているモードであれば、ポリゴン回転による光路の高速切り替えを有効に活用できる。このモードとは異なり、対向ローラを用いて紙あるいは紙上画像の読取をおこなうモードでも、連続通紙中に基準面ユニット61で基準面部の読取をおこなってもよい。この場合、最初に基準面ユニット61に読取光軸A22を向けるポリゴン回転(最初の紙到達タイミングにあわせた低速回転で足りる)をさせた後は、基準面ユニット61と画像読取部との間の光路切り替えが不要である。
【0048】
以上、本実施形態では、画像読取装置は、定着を通過した用紙を読み取るものだが、画像形成装置内の他の箇所で搬送される用紙を読み取るものでもよい。原稿を読み取る装置にも適用できる。原稿を読み取るスキャナ単体にも適用できる。紙幣読取などの画像形成装置以外の読取装置にも適用できる。対向ユニット53にも白色基準部を設けたが、対向ユニット53には白色基準部を設けないものにも適用できる。基準面ユニット61の基準面部としては白色にかぎらず、色補正のため他の色の基準面部にも適用できる。回転体が六角柱形状の回転体を用いたが、二面以上をもっている他の形状、例えば三角柱形状の回転体でもよい。一面のみ、または、二面以上を備えた、回転対称形状以外の形状のものを回転又は揺動で姿勢変更するものでもよい。何れの場合も、面が回転中心まわりの回転によって姿勢変化することが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 :プロセスユニット
2 :感光体
3 :帯電装置
4 :現像装置
5 :クリーニングブレード
6 :露光装置
7 :転写装置
8 :定着装置
9 :冷却装置
10 :中間転写ベルト
11 :1次転写ローラ
12 :2次転写ローラ
13 :給紙カセット
14 :給紙ローラ
15 :レジストローラ対
16 :排出ローラ対
17 :定着ローラ
18 :加圧ローラ
20 :排紙トレイ
21 :第一張架ローラ
22 :第二張架ローラ
23 :第三張架ローラ
24 :テンションローラ
25 :搬送路
26 :切換え爪
27 :反転路
28 :ダクト
28a :吸気口
28b :排気口
45b :通紙面
50 :画像読取装置
51 :読取デバイス
51a :イメージセンサ
51b :レンズ
51c :第三ミラー
51d :第二ミラー
51e :第一ミラー
52 :照明ユニット
52a :照明光源
52b :照明光源
52c :コンタクトガラス
53 :対向ユニット
54 :対向ローラ
55 :回転支持体
56a :基準面部材
56b :基準面部材
56c :基準面部材
57 :ガイド部材
60 :ポリゴンミラー
61 :基準面ユニット
61a :照明光源
61b :照明光源
61c :コンタクトガラス
61d :白色基準板
91a :表側冷却プレート
91b :裏側冷却プレート
92 :ポンプ
93 :タンク
94 :ラジエータ
95 :冷却ファン
96 :配管
97a :表側ベルト
97b :裏側ベルト
100 :装置本体
200 :表示部
300 :プリンタ
A21 :読取光軸
A22 :読取光軸
P :記録材
P1 :記録材
P2 :記録材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特許第550577号公報
【特許文献2】特開2005-328156号公報