(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125724
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20230831BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H05K3/34 501D
H01L23/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029986
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA08
5E319AB05
5E319AC02
5E319AC11
5E319AC20
5E319BB05
5E319CC33
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板の提供。
【解決手段】本配線基板は、外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられ、前記溝の底面は、前記パッドの下面と面一である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、
前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、
前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられ、
前記溝の底面は、前記パッドの下面と面一である、配線基板。
【請求項2】
前記パッドは、前記溝の底面と接するシード層と、前記シード層上に積層された電解めっき層と、を含む、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記電解めっき層は、積層構造であり、
前記電解めっき層は、前記シード層上に積層された銅層と、前記銅層上に積層された表面被覆層と、を含む、請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記表面被覆層の外周部は、前記銅層の側面よりも前記溝の内側面側に突出している、請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記表面被覆層の最上層は金層である、請求項3又は4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記表面被覆層の最上層は錫層である、請求項3又は4に記載の配線基板。
【請求項7】
前記錫層の上面は、凸状に湾曲している、請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記パッドの前記絶縁層から露出する面に有機被膜が形成されている、請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項9】
前記パッドの上面は、前記絶縁層の上面よりも低い位置にある、請求項1乃至8の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項10】
支持体の上面の所定位置に、犠牲層を形成する工程と、
前記支持体の上面に、前記犠牲層を被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に配線層を形成する工程と、
前記支持体及び前記犠牲層を除去し、前記絶縁層の前記犠牲層を除去した領域に凹部を形成する工程と、
前記凹部内に、前記配線層と接続するように、外部接続用のパッドを形成する工程と、を有し、
前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、
前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられ、
前記溝の底面は、前記パッドの下面と面一となる、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板は、例えば、最外層に配置された絶縁層から露出するパッドを有する。このパッドは、例えば、マザーボード等と電気的に接続するための外部接続用のパッドとなる。この配線基板の製造工程は、例えば、支持体の上面に外部接続用のパッドを形成する工程と、支持体の上面に外部接続用のパッドを被覆する絶縁層を形成する工程と、支持体を除去する工程とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パッドの上面の面積が大きいと、静電容量が大きくなって電気信号が劣化する場合がある。そこで、近年では、静電容量を低減するために、パッドの上面の面積を小さくしたいという要求がある。一方、配線基板との接続に用いるソケット等に関して従来の配線基板との互換性を確保する観点から、パッドは小型化しても、パッドの周囲の絶縁層の開口の大きさは変えたくないという要求がある。
【0005】
これらの要求に答えるためには、平面視で、パッドの周囲の絶縁層の開口部の外縁は移動させずに、パッドの外縁を絶縁層の開口部の外縁よりも内側に移動させる必要がある。しかし、上記の配線基板では、パッドの外縁のみを絶縁層の開口部の外縁よりも内側に移動させることは困難である。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本配線基板は、外部接続用のパッドと、絶縁層と、を有し、前記パッドの下面の一部は、前記絶縁層に被覆され、前記絶縁層には、平面視で前記パッドの周囲に位置し、前記絶縁層の上面側に開口する溝が設けられ、前記溝の底面は、前記パッドの下面と面一である。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、外部接続用のパッドの外縁が平面視で絶縁層の開口部の外縁よりも内側に位置する配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図6】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
【
図7】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その6)である。
【
図8】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その7)である。
【
図9】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その8)である。
【
図10】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その9)である。
【
図11】第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図である。
【
図12】第1実施形態の変形例2に係る配線基板を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する図であり、
図1(a)は部分平面図、
図1(b)は
図1(a)のA-A線に沿う部分断面図である。
【0012】
図1を参照すると、配線基板1は、パッド10と、絶縁層20と、配線層30と、絶縁層40と、配線層50と、ソルダーレジスト層60と、配線層70とを有している。配線基板1において、さらに多数の絶縁層及び配線層が積層されてもよい。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、
図1(b)における配線基板1の絶縁層20側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層60側を下側又は他方の側とする。また、各部位の絶縁層20側の面を上面又は一方の面、ソルダーレジスト層60側の面を下面又は他方の面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物を絶縁層20の上面20aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層20の上面20aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
パッド10は、外部接続用のパッドである。パッド10は、例えば、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するために使用できる。パッド10は、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20g内に設けられている。パッド10は積層構造である。パッド10は、例えば、溝20gの底面と接するシード層11と、シード層11上に積層された金属層12と、金属層12上に積層された表面被覆層13とを含む。金属層12及び表面被覆層13は、電解めっき層である。
【0015】
言い換えれば、シード層11上に形成されている電解めっき層は、積層構造である。金属層12は、例えば、銅層(Cu層)である。金属層12上に積層された表面被覆層13は、例えば、金層(Au層)である。表面被覆層13は、最上層をAu層とする積層構造であってもよい。表面被覆層13は、例えば、Ni/Au層(金属層12上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(金属層12上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等とすることができる。表面被覆層13がNi/Pd/Au層である場合、例えば、Ni層の厚さは5~10μm程度であり、Pd層の厚さは0.015~0.065μm程度であり、Au層の厚さは0.030~0.090μm程度である。
【0016】
シード層11及び金属層12の側面は、溝20gの底面に対して略垂直であることが好ましい。シード層11及び金属層12の側面が溝20gの底面に対して略垂直であると、溝20g内にはんだやアンダーフィル樹脂を設ける場合にボイドが生じにくくなる。
【0017】
表面被覆層13の外周部は、金属層12の側面よりも溝20gの内側面側に庇状に突出している。つまり、表面被覆層13の上面の面積は、金属層12の上面の面積よりも大きい。表面被覆層13の外周部の金属層12の側面からの突出量は、例えば、2μm~3μm程度である。シード層11の上面の面積は、金属層12の上面の面積と同一である。
【0018】
パッド10の平面形状は、例えば、直径が600μm~800μm程度の円形である。ただし、パッド10の平面形状は、楕円形や矩形、その他の任意の形状であってもよい。
【0019】
パッド10は、絶縁層20の上面20a側に露出している。絶縁層20の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層20は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層20の厚さは、例えば、10~70μm程度とすることができる。
【0020】
パッド10の下面の一部(ビア配線と接続される部分を除く部分)は、絶縁層20に被覆されている。また、パッド10の上面10aは、絶縁層20の上面20aよりも低い位置にあることが好ましい。パッド10の上面10aと絶縁層20の上面20aとの距離は、例えば、5~20μm程度である。
【0021】
絶縁層20には、平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが設けられている。パッド10の平面形状が円形である場合、溝20gは、例えば、平面視において、内縁及び外縁が径の異なる円形となるようにリング状に形成することができる。溝20gの幅は、例えば、80μm~100μm程度とすることができる。溝20gの底面は、パッド10の下面(シード層11の下面)と面一である。すなわち、溝20gの底面とパッド10の下面とは、同一平面上にある。
【0022】
配線層30は、絶縁層20の他方の側に形成されている。配線層30は、例えば、絶縁層20を貫通しパッド10の下面を露出するビアホール20x内に充填されたビア配線、絶縁層20の下面に形成されたビア受けパッド、及び配線パターンを含んで構成されている。ビア配線は、絶縁層20を貫通してパッド10の下面と接する。ビアホール20xは、絶縁層40側に開口されている開口部の径がパッド10の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層30の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。配線層30を構成するビア受けパッド、及び配線パターンの厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0023】
絶縁層40は、絶縁層20の下面に配線層30を覆うように形成されている。絶縁層40の材料や厚さは、例えば、絶縁層20と同様とすることができる。絶縁層40は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0024】
配線層50は、絶縁層40の他方の側に形成されている。配線層50は、例えば、絶縁層40を貫通し配線層30のビア受けパッドの下面を露出するビアホール40x内に充填されたビア配線、絶縁層40の下面に形成されたパッド、及び配線パターンを含んで構成されている。ビアホール40xは、絶縁層40の下面側に開口されている開口部の径が配線層30のビア受けパッドの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層50の材料や配線層50を構成する配線パターンの厚さは、例えば、配線層30と同様とすることができる。
【0025】
ソルダーレジスト層60は、絶縁層40の下面に配線層50を覆うように形成されている絶縁層である。ソルダーレジスト層60は、例えば、感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂等により形成できる。ソルダーレジスト層60厚さは、例えば、絶縁層20と同様とすることができる。
【0026】
配線層70は、ソルダーレジスト層60の他方の側に形成されている。配線層70は、例えば、ソルダーレジスト層60を貫通し配線層50のビア受けパッドの下面を露出するビアホール60x内に充填されたビア配線、ソルダーレジスト層60の下面に形成されたパッド、及び配線パターンを含んで構成されている。ビアホール60xは、ソルダーレジスト層60の下面側に開口されている開口部の径が配線層50のビア受けパッドの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層70の材料や配線層70を構成する配線パターンの厚さは、例えば、配線層30と同様とすることができる。
【0027】
配線層70は、ソルダーレジスト層60の下面、ビアホール60xの内壁面、及びビアホール60x内に露出する配線層50の下面と接するシード層71と、シード層71上に積層された金属層72と、金属層72上に積層された表面被覆層73とを含む。金属層72及び表面被覆層73は、電解めっき層である。シード層71、金属層72、及び表面被覆層73の材料は、例えば、シード層11、金属層12、及び表面被覆層13と同様とすることができる。シード層71、金属層72、及び表面被覆層73の厚さは、例えば、シード層11、金属層12、及び表面被覆層13より薄くてもよい。また、シード層71、金属層72、及び表面被覆層73の平面形状は、例えば、シード層11、金属層12、及び表面被覆層13より小さくてもよい。配線層70は、外部接続用のパッドを含む。配線層70のパッドは、例えば、半導体チップ等と電気的に接続するために使用できる。
【0028】
このように、配線基板1において、絶縁層20には、平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gが設けられている。これにより、パッド10の外縁が平面視で絶縁層20の開口部の外縁(溝20gの外縁)よりも内側に位置することが可能となるため、パッド10の上面10aの面積を小さくできる。パッド10の上面10aの面積を小さくすることで、パッド10の静電容量を低減することが可能となり、パッド10を通過する電気信号の劣化を抑制できる。
【0029】
また、仮に、溝20gを設けないとすると、パッド10の上面10aを露出する絶縁層20の開口部の外縁とパッド10の外縁とが同じ位置になる。この場合、パッド10の上面10aの面積を従来より小さくすると、開口部の大きさも小さくなってしまい、従来の配線基板との互換性を確保できなくなる。
【0030】
すなわち、パッド10をマザーボード等の実装基板に接続する際にソケットが使用されるが、パッド10の上面10aを露出する絶縁層20の開口部は、ソケットが絶縁層20に接触しない大きさとされている。したがって、従来の配線基板との互換性を確保しながらパッド10の静電容量を低減するためには、絶縁層20の開口部の大きさを変えることなく、パッド10の上面10aの面積を小さくする必要がある。平面視でパッド10の周囲に位置し、絶縁層20の上面20a側に開口する溝20gを設けることで、従来の配線基板との互換性を確保しつつ、パッド10の上面10aの面積を小さくすることが可能となる。
【0031】
また、パッド10とマザーボード等の実装基板とを、はんだを介して接続する場合には、余剰のはんだがパッド10の上面10aから溝20g内に流れ込むため、隣接するパッド同士の短絡を抑制できる。また、はんだが溝20g内に入り込むことで、パッド10の上面10a及び側面がはんだと3次元的に接合されるため、パッド10とはんだとの接合強度を向上できる。
【0032】
また、表面被覆層13の外周部が金属層12の側面よりも溝20gの内側面側に突出しているため、はんだが溝20g内に入り込んだときにアンカー効果が生じ、パッド10とはんだとの接合強度を向上できる。あるいは、アンダーフィル樹脂を溝20g内に充填する場合もあり、その場合も、アンカー効果が生じ、パッド10とアンダーフィル樹脂との接合強度を向上できる。
【0033】
また、配線基板1では、パッド10の上面10aが絶縁層20の上面20aよりも低い位置にある場合、はんだ全体の重心が配線基板1の中心側に位置するようになるため、パッド10とはんだとの接続の安定性を向上できる。特に、配線基板1の水平方向(上面10aと平行な方向)にかかる力に対するはんだの耐久性を大幅に向上できる。
【0034】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図10は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施形態では、単品の配線基板を形成する工程を示すが、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程としてもよい。また、
図2~
図6に示す工程では、支持体の両面に同じ構造を形成するため、一方側についてのみ説明する場合がある。
【0035】
まず、
図2に示す工程では、上面及び下面が平坦面である支持体300を準備する。支持体300としては、金属板や金属箔等を用いることができるが、本実施形態では、支持体300として銅箔を用いる例を示す。支持体300の厚さは、例えば18~100μm程度とすることができる。
【0036】
次に、支持体300の上面及び下面の所定位置に、形成を予定しているパッド10よりも大きな開口部400xを備えたレジスト層400(例えば、ドライフィルムレジスト等)を形成する。そして、支持体300をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、レジスト層400の開口部400x内に露出する支持体300の上面及び下面に、犠牲層310及び320を順次積層する。ここでは、一例として、犠牲層310は銅層、犠牲層320はニッケル層とする。犠牲層310及び320の厚さは、形成を予定しているパッド10の厚さを考慮して適宜決定できる。犠牲層310及び320を形成後、レジスト層400を除去する。
【0037】
次に、
図3(a)に示す工程では、支持体300の上面に、犠牲層310及び320の上面及び側面を被覆するように半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて絶縁層20を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて絶縁層20を形成してもよい。絶縁層20の厚さ等は、前述のとおりである。支持体300の下面側についても同様である。
【0038】
次に、絶縁層20に、絶縁層20を貫通し犠牲層320の上面を露出させるビアホール20xを形成する。ビアホール20xは、例えばCO2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。その後、デスミア処理を行い、ビアホール20xの底部に露出する犠牲層320の上面に付着した樹脂残渣を除去してもよい。支持体300の下面側についても同様である。
【0039】
次に、
図3(b)に示す工程では、絶縁層20上に配線層30を形成する。配線層30は、例えば、ビアホール20x内に充填されたビア配線、及び絶縁層20上に形成されたビア受けパッド、及び配線パターンを含んで構成される。配線層30は、ビアホール20xの底部に露出したパッド10と電気的に接続される。配線層30の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層30は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線層形成方法を用いて形成できる。支持体300の下面側についても同様である。
【0040】
次に、
図4に示す工程では、
図3(a)及び
図3(b)と同様の工程を繰り返し、配線層30上に絶縁層40を形成し、絶縁層40に配線層30のビア受けパッドの上面を露出するビアホール40xを形成し、さらに配線層50を形成する。絶縁層40の材料や厚さは、例えば、絶縁層20の材料や厚さと同様とすることができる。配線層50の材料や厚さは、例えば、配線層30の材料や厚さと同様とすることができる。支持体300の下面側についても同様である。
【0041】
次に、
図5に示す工程では、絶縁層40の上面に、配線層50を被覆するソルダーレジスト層60を形成し、ソルダーレジスト層60に配線層50のビア受けパッドの上面を露出するビアホール60xを形成する。ソルダーレジスト層60は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂を、配線層50を被覆するように絶縁層40の上面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。あるいは、例えば、フィルム状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂を、配線層50を被覆するように絶縁層40の上面にラミネートすることにより形成してもよい。ビアホール60xは、例えば、ソルダーレジスト層60を露光及び現像することで形成できる。なお、ソルダーレジスト層60を形成する前に、配線層50の表面に粗化処理を施すことが好ましい。
【0042】
次に、ソルダーレジスト層60の上面、ビアホール60xの内壁面、及びビアホール60x内に露出する配線層50の上面を連続的に被覆するように、無電解めっき法等によりシード層71を形成する。そして、シード層71から給電する電解めっき法により、シード層71上に選択的に金属層72及び表面被覆層73を形成する。具体的には、シード層71上に、ドライフィルムレジスト等を用いて、金属層72及び表面被覆層73を形成する部分に開口部を有するレジスト層を形成する。そして、シード層71を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するシード層71上に電解めっき層である金属層72及び表面被覆層73を順次積層する。シード層71、金属層72、及び表面被覆層73の材料や厚さは、前述の通りである。その後、レジスト層を剥離する。支持体300の下面側についても同様である。
【0043】
次に、
図6に示す工程では、シード層71、金属層72、及び表面被覆層73を被覆する保護フィルム410をソルダーレジスト層60上に配置する。支持体300の下面側についても同様である。
【0044】
次に、
図7(a)に示す工程では、支持体300の両側に形成された構造体を支持体300から剥離する。そして、
図7(b)に示す工程では、犠牲層310及び320をエッチングで除去し、絶縁層20の犠牲層310及び320を除去した領域に凹部20yを形成する。犠牲層310が銅層である場合は、例えば、過酸化水素/硫酸系水溶液や、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等のエッチング液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。犠牲層320がニッケル層である場合は、例えば、過酸化水素/硝酸系水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。なお、シード層71、金属層72、及び表面被覆層73は、保護フィルム410に被覆されているため、犠牲層310及び320のエッチングでは除去されない。
【0045】
次に、
図8~
図10に示す工程では、凹部20y内に、配線層30と接続するように、外部接続用のパッド10を形成する。具体的には、
図8(a)に示す工程では、
図7(b)に示す保護フィルム410を除去した後、絶縁層20の上面、凹部20yの内壁面、凹部20yの底面、及び凹部20y内に露出する配線層30の上面を連続的に被覆するように、無電解めっき法等によりシード層11を形成する。また、シード層71、金属層72、及び表面被覆層73を被覆するように、無電解めっき法等によりシード層74を形成する。シード層11の材料や厚さは、前述の通りである。シード層74の材料や厚さは、例えば、シード層11と同様とすることができる。
【0046】
次に、
図8(b)に示す工程では、シード層11上に、ドライフィルムレジスト等を配置し、露光及び現像して、開口部420xを有するレジスト層420を形成する。開口部420x内には、凹部20yの底面に形成したシード層11の上面の一部が露出する。また、シード層74上に、ドライフィルムレジスト等によりレジスト層430を形成する。
【0047】
次に、
図9(a)に示す工程では、開口部420x内に露出するシード層11を給電層とする電解めっき法により、開口部420x内に露出するシード層11上に電解めっき層である金属層12及び表面被覆層13を順次積層する。金属層12及び表面被覆層13の材料や厚さは、前述の通りである。
【0048】
次に、
図9(b)に示す工程では、
図9(a)に示すレジスト層420を剥離する。これにより、金属層12及び表面被覆層13の周囲に溝20gが形成される。
【0049】
次に、
図10に示す工程では、金属層12及び表面被覆層13をマスクとしてエッチングを行い、金属層12及び表面被覆層13から露出するシード層11を除去する。これにより、シード層11、金属層12、及び表面被覆層13を含むパッド10を得ることができる。シード層11及び金属層12がいずれも銅層である場合は、シード層11をエッチングする際に金属層12の側面がエッチングされる。そのため、表面被覆層13の外周部は、銅層である金属層12の側面よりも溝20gの内側面側に突出する。
【0050】
また、このエッチングにより、金属層72及び表面被覆層73から露出するシード層71も除去される。これにより、シード層71、金属層72、及び表面被覆層73を含む配線層70を得ることができる。シード層71及び金属層72がいずれも銅層である場合は、シード層71をエッチングする際に金属層72の側面がエッチングされる。そのため、表面被覆層73の外周部は、銅層である金属層72の側面よりも外側に突出する。以上により、配線基板1が完成する。
【0051】
なお、
図6に示す工程で設けた保護フィルム410を
図8に示す工程の前に除去せずに、
図10に示す工程の後に除去してもよい。この場合は、シード層74やレジスト層430の形成は不要となる。
【0052】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、表面被覆層の形状が第1実施形態とは異なる例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0053】
図11は、第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する部分断面図である。
図11を参照すると、配線基板1Aは、パッド10の表面被覆層13aの上面が平面ではなく、凸状に湾曲している点が、配線基板1(
図1等参照)と相違する。表面被覆層13aは、例えば、第1層131及び第2層132を含む2層構造である。第1層131は、例えば、ニッケル層であり、第2層132は錫層である。なお、錫層である第2層132の上面は、平面であってもよいが、ここでは、凸状に湾曲している。錫層である第2層132の上面は、リフローにより、凸状に湾曲させることができる。第2層132の形状は、例えば、ドーム状である。
【0054】
このように、表面被覆層の最上層は錫層であってもよい、その場合、錫層の上面は平面であってもよく、凸状に湾曲する面であってもよい。錫層の上面がドーム状等の凸状に湾曲する面であることで、被接続物との接続を容易にすることができる。また、表面被覆層の最上層を錫層とすることで、被接続物との接続する際に、配線基板1Aのパッド10側には、はんだボール等を形成しなくてよい点でも好適である。
【0055】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、表面被覆層の形状が第1実施形態とは異なる他の例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0056】
図12は、第1実施形態の変形例2に係る配線基板を例示する部分断面図である。
図12を参照すると、配線基板1Bは、シード層11の側面、及び金属層12の上面及び側面が表面被覆層13bで被覆されている点が、配線基板1(
図1等参照)と相違する。表面被覆層13bは、有機被膜である。有機被膜は、例えば、アゾール化合物やイミダゾール化合物等を含む。このように、パッド10の絶縁層20から露出する面に有機被膜が形成されていてもよい。
【0057】
なお、第1実施形態の変形例2は、第1実施形態、及び第1実施形態の変形例1と組み合わせることも可能である。例えば、
図1(b)において、パッド10のシード層11の側面、及び金属層12の側面が有機被膜で被覆されてもよい。また、シード層71の側面、及び金属層72の側面が有機被膜で被覆されてもよい。
【0058】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A,1B 配線基板
10 パッド
10a,20a 上面
11,71 シード層
12,72 金属層
13,13a,13b,73 表面被覆層
20,40 絶縁層
20g 溝
20x,40x,60x ビアホール
20y 凹部
30,50,70 配線層
60 ソルダーレジスト層
131 第1層
132 第2層
300 支持体
310,320 犠牲層
400,420,430 レジスト層
410 保護フィルム
400x,420x 開口部