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特開2023-125751液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125751
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20230831BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230831BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20230831BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
B05D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030020
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀郎
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC01
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC94
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA23
4D075EA05
4D075EA33
4F041AA07
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA09
4F042AB00
4F042BA04
4F042BA08
4F042BA12
(57)【要約】
【課題】生産性に優れた液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置であって、前記液体を吐出するヘッドと、指令に応じて前記対象物と前記ヘッドとの相対位置を変更可能な可変機構と、前記ヘッドが、前記指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、前記ヘッドから前記液体を吐出する際の前記ヘッドの位置である複数の吐出位置において前記液体を吐出するように制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記対象物表面の法線方向における前記対象物表面と前記ヘッドとの間の距離である吐出距離が、前記複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、前記可変機構による前記相対位置の変更を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置であって、
前記液体を吐出するヘッドと、
指令に応じて前記対象物と前記ヘッドとの相対位置を変更可能な可変機構と、
前記ヘッドが、前記指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、前記ヘッドから前記液体を吐出する際の前記ヘッドの位置である複数の吐出位置において前記液体を吐出するように制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記対象物表面の法線方向における前記対象物表面と前記ヘッドとの間の距離である吐出距離が、前記複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、前記可変機構による前記相対位置の変更を制御する、液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定間隔で得られる前記複数の指令位置のうちの一部を、前記吐出距離に基づいて間引く、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の吐出位置それぞれにおける前記吐出距離が所定の最小距離以上で最大距離以下である場合に、前記複数の指令位置のうちの一部を間引く、請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ヘッドは、前記液体を吐出する複数のノズルを有し、
前記制御部は、所定間隔で得られる前記複数の指令位置のうちの一部を、前記複数のノズルそれぞれにおける前記吐出距離に基づいて間引く、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記可変機構は、前記対象物と前記ヘッドとの相対角度をさらに変更可能であり、
前記制御部は、前記複数の指令位置の少なくとも一部において前記吐出距離が不均一となるように、前記相対位置および前記相対角度の少なくとも一方を変更する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、所定間隔で得られる前記複数の指令位置のうちの一部を、前記相対角度に基づいて間引く、請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の吐出位置それぞれにおける前記相対角度が所定の最小角度以上で最大角度以下である場合に、前記複数の指令位置のうちの一部を間引く、請求項5または請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記ヘッドは、前記液体を吐出する複数のノズルを有し、
前記制御部は、所定間隔で得られる前記複数の指令位置のうちの一部を、前記複数のノズルそれぞれにおける前記相対角度に基づいて間引く、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、
ヘッドにより、前記液体を吐出し、
可変機構により、指令に応じて前記対象物と前記ヘッドとの相対位置を変更し、
制御部により、前記ヘッドが、前記指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、前記ヘッドから前記液体を吐出する際の前記ヘッドの位置である複数の吐出位置において前記液体を吐出するように制御し、
前記制御部は、前記対象物表面の法線方向における前記対象物表面と前記ヘッドとの間の距離である吐出距離が、前記複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、前記可変機構による前記相対位置の変更を制御する、液体吐出方法。
【請求項10】
液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置に実行させるプログラムであって、
ヘッドにより、ノズルから前記液体を吐出し、
可変機構により、指令に応じて前記対象物と前記ヘッドとの相対位置を変更し、
制御部により、前記ヘッドが、前記指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、前記ヘッドから前記液体を吐出する際の前記ヘッドの位置である複数の吐出位置において、前記液体を吐出するように制御し、
前記制御部は、前記対象物表面の法線方向における前記対象物表面と前記ヘッドとの間の距離である吐出距離が、前記複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、前記可変機構による前記相対位置の変更を制御する、
処理を前記液体吐出装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置が知られている。このような液体吐出装置は、液体により対象物表面を塗装する用途等において使用される。
【0003】
上記液体吐出装置として、三次元形状を有する対象物表面に塗布剤等の液体を均一に塗布するために、液体を吐出するノズルを有するヘッドを対象物の三次元形状に沿って移動させる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の液体吐出装置では、対象物表面の法線方向における対象物表面とヘッドとの間の距離を一定に保つようにヘッドを移動させるため、ヘッドの移動速度が低下し、液体吐出装置の生産性が低下する点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、生産性に優れた液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置であって、前記液体を吐出するヘッドと、指令に応じて前記対象物と前記ヘッドとの相対位置を変更可能な可変機構と、前記ヘッドが、前記指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、前記ヘッドから前記液体を吐出する際の前記ヘッドの位置である複数の吐出位置において前記液体を吐出するように制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記対象物表面の法線方向における前記対象物表面と前記ヘッドとの間の距離である吐出距離が、前記複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、前記可変機構による前記相対位置の変更を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生産性に優れた液体吐出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の全体構成例の図である。
図2】第1実施形態に係る液体吐出装置の全体構成例のブロック図である。
図3】第1実施形態に係る指令位置と吐出位置の関係の第1例の図である。
図4】第1実施形態に係る指令位置と吐出位置の関係の第2例の図である。
図5】ヘッドによる吐出距離を説明する図である。
図6】ヘッドの相対角度を説明する図である。
図7】第1実施形態に係る制御部のハードウェア構成例のブロック図である。
図8】第1実施形態に係る制御部の機能構成例のブロック図である。
図9】指令位置の情報を例示する図である。
図10】第1実施形態に係る制御部による指令生成処理例のフロー図である。
図11】第1実施形態に係る制御部による検証処理例のフロー図である。
図12】第1実施形態に係る液体吐出装置の動作例のタイミング図である。
図13】第2実施形態に係るヘッドの構成を例示する斜視図である。
図14図13の平面S1により切断したヘッドの断面図である。
図15】第2実施形態に係る液体吐出装置の動作例のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る液体吐出装置について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための液体吐出装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。
【0010】
[第1実施形態]
<液体吐出装置10の全体構成例>
図1および図2を参照して、第1実施形態に係る液体吐出装置10の全体構成を説明する。図1および図2は、液体吐出装置10の全体構成を例示する図であり、図1は概略図、図2はブロック図である。
【0011】
図1および図2に示すように、液体吐出装置10は、ヘッド1と、可変機構2と、制御部3と、を有する。液体吐出装置10は、インクジェット方式によりヘッド1から液体Qを吐出して対象物200に付与することにより、対象物200の表面を塗装する塗装装置である。液体Qは、塗料またはインク等である。
【0012】
対象物200は、例えば車やトラック、航空機のボディ等の非浸透性の面を有する物体である。非浸透性とは、表面に付与された液体が内部に浸透していかない性質をいう。但し、対象物200の面は、非浸透性を有する面に限らず、浸透性を有する面であってもよい。また対象物200の面は、曲率を有する曲面であるが、平面状の面であってもよい。
【0013】
ヘッド1は液体Qを吐出する。ヘッド1は、例えば、自身が有するノズルを開閉することによりノズルから対象物200に液体Qを吐出するバルブジェット方式のヘッドである。但し、バルブジェット方式に限定はされず、圧電駆動や静電駆動等の他の駆動方式であってもよい。ヘッド1は特に、バルブジェット方式のヘッドであって、1つのノズルを有する単ノズルヘッドである。
【0014】
可変機構2は、指令に応じて対象物200とヘッド1との相対位置および相対角度を変更可能である。可変機構2は、例えば多軸駆動可能なロボットアームである。可変機構2は、ロボットアームの端部等に保持したヘッド1を指令に応じて移動させるとともに、ヘッド1の角度(姿勢)を変更できる。但し、可変機構2はロボットアームに限定されず、3軸方向に直動可能なステージ等により構成してもよい。また可変機構2はヘッド1を移動させず、対象物200を移動させてもよいし、ヘッド1と対象物200の両方を移動させてもよい。
【0015】
制御部3は、ヘッド1が、可変機構2への指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、ヘッド1から液体Qを吐出する際のヘッド1の位置である複数の吐出位置において液体Qを吐出するように制御する。本実施形態では特に、制御部3は、対象物200表面の法線方向200aにおける対象物200表面とヘッド1との間の距離である吐出距離dが複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、可変機構2による相対位置の変更を制御する。
【0016】
制御部3は、例えばPC(Personal Computer)等により構築される。制御部3は、可変機構2およびヘッド1と有線または無線を介して相互に通信可能に接続している。制御部3は、形状情報Odに基づき、可変機構2に駆動指令Rcを出力して可変機構2を駆動させるとともに、ヘッド1に駆動信号Hcを出力してヘッド1から液体Qを吐出させる。
【0017】
形状情報Odは、外部PC等の外部装置から送信される対象物200の形状情報である。形状情報Odは、対象物200の設計時に生成された形状情報、または対象物200を三次元測定器で測定することにより得られた形状情報である。
【0018】
<可変機構2への指令位置とヘッド1による吐出位置との関係>
図3および図4は、液体吐出装置10における指令位置Tdと吐出位置Pの関係を示す図であり、図3は第1例の図、図4は第2例の図である。図3および図4は、対象物200と、複数の指令位置Tdと、複数の吐出位置Pと、吐出距離dと、吐出間隔eと、を示している。
【0019】
複数の指令位置Tdは、ヘッド1と対象物200との相対位置を変更するための元となる情報であり、本実施形態ではヘッド1の位置を表す指令である。本実施形態では、指令位置Tdには、ヘッド1の相対角度の情報がさらに含まれており、可変機構2はヘッド1の相対位置および相対角度の両方を変更可能である。
【0020】
吐出位置Pは、ヘッド1から液体Qが吐出される際のヘッド1の位置を表す。吐出間隔eは、複数の吐出位置Pのうちの隣り合う吐出位置同士の間隔である。吐出間隔eは、例えば、ヘッド1による液体Q付与の最小間隔に対応する。
【0021】
図3に示す第1例では、吐出位置Pの数は指令位置Tdの数は等しい。制御部3は、複数の吐出位置Pごとに指令位置Tdを可変機構2に出力する。ヘッド1は、複数の吐出位置Pごとでノズルから液体Qを吐出する。なお、図3では、吐出位置Pと指令位置Tdとが重なっている例を示すが、吐出位置Pと指令位置Tdは必ずしも一致しなくてもよい。
【0022】
吐出距離dは、複数の指令位置Tdごとに指示されるため、複数の吐出位置Pそれぞれにおける吐出距離dは、いずれも略等しい吐出距離d0となる。つまり、複数の吐出位置Pにおいて吐出距離dは均一となる。
【0023】
第1例のように、吐出位置Pの数と指令位置Tdの数が一致する場合には、吐出距離dが均一となり、且つ対象物200表面の法線方向に沿って液体Qを吐出できる。これらにより、対象物200表面に付与される液体Qの量を略均一にできる。但し、その反面で、吐出距離dが一定になるように、複数の吐出位置Pごとにおいてヘッド1の相対位置および相対角度を変更するため、ヘッド1の移動速度が低下する。これにより、液体吐出装置10の生産性が低下する。
【0024】
一方、図4に示す第2例では、図3と比較して、複数の指令位置Tdのうちの多くが間引かれており、3つの指令位置Td1、Td2およびTd3のみが残っている。間引くとは削除することをいう。
【0025】
図4において、指令位置Td1と指令位置Td2との間の白丸は、吐出位置Pを表している。吐出位置Pは、指令位置Td1と指令位置Td2との間の白丸の位置と、指令位置Td2と指令位置Td3との間の白丸の位置と、指令位置Td1、Td2およびTd3の位置と、を含む。制御部3は、複数の指令位置Tdと、形状情報Odと、に基づいて、複数の吐出位置Pの情報を演算により取得できる。ヘッド1は、可変機構2によって指令位置Td1から指令位置Td2に移動されながら、複数の吐出位置Pのそれぞれにおいて液体Qを吐出する。
【0026】
指令位置Td1、Td2およびTd3の各位置では、可変機構2は、吐出距離dが吐出距離d0となるようにヘッド1の相対位置を変更する。また可変機構2は、ヘッド1からの液体Qの吐出方向が対象物200表面の法線方向と略平行になるように、ヘッド1の相対角度を変更する。
【0027】
一方、指令位置Td1と指令位置Td2との間では、可変機構2は、相対位置および相対角度の変更を行わない。ヘッド1は、指令位置Td1と指令位置Td2との間を直線的に移動し、指令位置Td1と指令位置Td2とを通る直線上における複数の吐出位置Pにおいて液体Qを吐出する。
【0028】
ヘッド1は、指令位置Td1と指令位置Td2との間では直線的に移動するため、対象物200が曲面を有すると、曲面と直線との間のずれに応じて吐出距離dは吐出位置Pごとで異なるものとなる。例えば吐出位置P1における吐出距離d1と、吐出位置P2における吐出距離d2と、吐出距離d0とは相互に異なる。つまり、図4に示す第2例では、複数の吐出位置Pにおいて吐出距離dは不均一となる。
【0029】
本実施形態では、第2例のように、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引き、複数の吐出位置Pごとにおいて吐出距離dおよび相対角度を変更しないことにより、液体吐出装置10の生産性低下を抑制する。一方、複数の指令位置Tdの一部を間引くと、吐出距離dが不均一になり、対象物200表面に付与される液体Qの量が不均一になる結果、液体吐出装置10による液体付与品質が低下する場合がある。これに対し、本実施形態では、液体付与品質を確保するための閾値条件を吐出距離dおよび相対角度それぞれに設ける。そして、吐出距離dおよび相対角度が塗装品質を確保可能な条件下で、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引くことにより、液体付与品質を確保しつつ生産性の低下を抑制可能とする。
【0030】
図5は、ヘッド1による吐出距離を説明する図である。最大距離dxは、液体付与品質を確保するために許容される吐出距離dの最大である。最小距離dnは、液体付与品質を確保するために許容される吐出距離dの最小である。複数の吐出位置Pごとでの吐出距離dが最小距離dn以上で最大距離dx以下となるように、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引けば、液体付与品質を確保できる。
【0031】
図6は、ヘッド1と対象物200との相対角度を説明する図である。最大角度Axは、液体付与品質を確保するために許容される相対角度Aの最大値である。最小角度Anは、液体付与品質を確保するために許容される相対角度Aの最小値である。複数の吐出位置Pごとでの相対角度Aが最小角度An以上で最大角度Ax以下となるように、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引けば、液体付与品質を確保できる。
【0032】
<制御部3の構成例>
(ハードウェア構成例)
図7は、制御部3のハードウェア構成を例示するブロック図である。制御部3は、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)34と、接続I/F(Interface)35と、通信I/F36と、を有する。これらは、システムバスBを介して相互に電気的に接続している。
【0033】
CPU31は、RAM33を作業領域として使用し、ROM32に格納されているプログラムを実行することにより、制御部3全体の動作を制御する。
【0034】
ROM32は、CPU31への記録動作等の制御を実行するためのプログラムおよびその他の固定データを格納する不揮発性のメモリである。RAM33は、各種のデータを一時格納する揮発性のメモリである。
【0035】
HDD/SSD34は、塗装領域情報Pdや対象物200のボディの形状情報Od等を格納可能な不揮発性のメモリである。HDD/SSD34に格納されている情報は、CPU31により読み出され、プログラム実行時に使用されることもある。
【0036】
接続I/F35は、外部機器に接続するためのインターフェースである。ここでの外部機器には、可変機構2やヘッド1等が挙げられる。通信I/F36は、外部PC等の外部装置と通信可能に接続するためのインターフェースである。
【0037】
(制御部3の機能構成例)
図8は、第1実施形態に係る制御部3の機能構成を例示するブロック図である。制御部3は、通信部301と、入出力部302と、指令情報生成部303と、間引部304と、検証部305と、指令部306と、吐出制御部307と、を有する。
【0038】
制御部3は、通信部301の機能を通信I/F36等により、入出力部302の機能を接続I/F35等により、それぞれ実現できる。また制御部3は、指令情報生成部303、間引部304、検証部305、指令部306および吐出制御部307の各機能を、CPU31がROM32に格納されたプログラムを実行すること等により実現できる。
【0039】
なお、制御部3は、上記以外の機能構成部を有してもよい。また制御部3以外の構成部が上記各機能のうちの一部を有してもよい。制御部3以外の構成部には、可変機構2やヘッド1、外部PC等が挙げられる。制御部3および制御部3以外の構成部の分散処理により、上記各機能のうちの一部を実現してもよい。また制御部3は、CPU31により実現される機能の少なくとも一部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の電気回路により実現することもできる。
【0040】
通信部301は、制御部3と、外部PC等の外部装置と、の間における信号およびデータの通信を制御する。入出力部302は、制御部3と、可変機構2およびヘッド1と、の間における信号およびデータの入出力を制御する。
【0041】
指令情報生成部303は、複数の指令位置Tdの情報を生成する処理を行う。指令情報生成部303は、例えば、通信部301を介して入力した形状情報Odに基づいて複数の指令位置Tdを生成できる。
【0042】
間引部304は、所定間隔で得られる複数の指令位置Tdのうちの一部を、間引く処理を行う。間引部304は、間引かれた結果の複数の指令位置Teの情報を検証部305に出力する。
【0043】
検証部305は、複数の指令位置Tdに基づいて取得される複数の吐出位置Pにおいて対象物200に液体Qを吐出した場合に、所望の液体付与品質が得られるか否かを検証する処理を行う。検証部305は、所望の液体付与品質が得られることが検証された場合には、指令部306に複数の指令位置Tdに対応する情報を、吐出制御部307に複数の吐出位置Pに対応する情報を、それぞれ出力する。
【0044】
制御部3は、吐出距離dまたは相対角度Aに基づいて検証部305により検証する。制御部3は、所定間隔で得られる複数の指令位置Tdのうちの一部を、検証部305による検証結果に応じ、間引部304により間引くことができる。
【0045】
指令部306は、検証部305から入力した複数の指令位置Tdに基づいて、可変機構2に駆動指令Rcを出力し、対象物200とヘッド1との相対位置および相対角度を変更させる。
【0046】
吐出制御部307は、複数の吐出位置Pにおいて、ヘッド1からの液体Qの吐出を制御する。
【0047】
<指令位置Tdの一例>
図9は、指令情報生成部303により生成される指令位置Tdの一例を示す図である。図9において、「MOVJ」はリンク補間命令を意味する。リンク補間はNC工作機械における早送り指令に対応する補間命令である。ロボットアームの各関節のサーボモータは、それぞれ動きやすいように動作するため、リンク補間命令により、現在座標から指令地点まで移動するまでの経路はロボット側の処理に従うことになる。「X=100 Y=50 Z=0」は、三次元的なヘッド1の相対位置に対応するXYZ座標値を意味する。「A=0 B=45 C=0」は、三次元的なヘッド1の相対角度を意味する。
【0048】
「MOVL」は直線補間命令を意味する。「X=200 Y=80 Z=11」は、三次元的なヘッド1の相対位置に対応するXYZ座標値を意味し、「A=0 B=30 C=0」は、三次元的なヘッド1の相対角度を意味する。直線補間はNC工作機械における直線補間指令に対応する補間命令である。直線補間命令により、現在の座標から指定したポイントまで直線軌跡で移動する。本実施形態では、精密に可変機構2のロボットアームを駆動させる必要があるため、「MOVL」を用いることが好ましい。
【0049】
<制御部3による処理例>
(指令位置Tdの生成処理)
図10は、制御部3による指令位置Tdの生成処理の一例を示すフローチャートである。制御部3は、指令位置Tdの生成処理開始を指示するユーザの操作入力等に応じて図10の処理を開始する。ユーザは、液体吐出装置10の操作部等を用いて操作入力を行える。
【0050】
まず、ステップS101において、制御部3は、通信部301を介して、外部PC等から対象物200の形状情報Odを入力する。
【0051】
続いて、ステップS102において、制御部3は、指令情報生成部303により、複数の指令位置Tdの情報を生成する。
【0052】
続いて、ステップS103において、制御部3は、指令情報生成部303により生成された複数の指令位置Tdそれぞれに従って対象物200に液体Qを吐出した場合に、所望の液体付与品質が得られるか否かを、検証部305により検証する。
【0053】
続いて、ステップS104において、制御部3は、検証部305により、検証結果がOKであるか否かを判定する。
【0054】
ステップ104において、検証結果がOKであると判定された場合には(ステップS104、Yes)、制御部3は、ステップS105の処理を行う。一方、検証結果がOKでないと判定された場合には(ステップS104、No)、制御部3は、ステップS102の処理を再度行う。
【0055】
続いて、ステップS105において、制御部3は、間引部304により、所定間隔で得られる複数の指令位置Tdのうちの一部を間引く。
【0056】
続いて、ステップS106において、制御部3は、間引部304により間引かれた残りの複数の指令位置Tdそれぞれに従って対象物200に液体Qを吐出した場合に、所望の液体付与品質が得られるか否かを、検証部305により検証する。
【0057】
続いて、ステップS107において、制御部3は、検証部305により、検証結果がOKであるか否かを判定する。
【0058】
ステップ107において、検証結果がOKであると判定された場合には(ステップS107、Yes)、制御部3は、ステップS109の処理を行う。一方、検証結果がOKでないと判定された場合には(ステップS107、No)、制御部3は、ステップS108において、ステップS105で間引いた一部の指令位置Tdの間引きを取り消す。その後、ステップS105の処理を再度行う。この場合には、前回ステップS105で間引いた指令位置Tdとは異なる指令位置Tdを間引く。
【0059】
続いて、ステップS109において、制御部3は、処理を終了するか否かを判定する。この判定は、液体吐出装置10の操作部を用いたユーザの操作入力等に応じて行える。
【0060】
ステップS109において終了すると判定された場合には(ステップS109、Yes)、制御部3は処理を終了し、終了しないと判定された場合には(ステップS109、No)、制御部3は、ステップS105以降の処理を再度行う。
【0061】
以上のようにして、制御部3は、指令位置Tdの情報を生成することができる。
【0062】
(検証処理)
次に、図11は、制御部3による検証処理の一例を示すフローチャートである。制御部3は、図10のステップS103またはステップS106のタイミングに図11の処理を開始する。
【0063】
まず、ステップS111において、制御部3は、検証部305により、複数の吐出位置Pごとでの吐出距離dおよび相対角度Aの各情報を演算により取得する。
【0064】
続いて、ステップS112において、制御部3は、検証部305により、複数の吐出位置Pごとでの吐出距離dは、最小距離dn以上で最大距離dx以下であるか否かを判定する。
【0065】
ステップS112において、最小距離dn以上で最大距離dx以下であると判定された場合には(ステップS112、Yes)、制御部3はステップS113に処理を移行する。最小距離dn以上で最大距離dx以下ではないと判定された場合には(ステップS112、No)、制御部3はステップS115に処理を移行し、検証がNGであると判断する。
【0066】
続いて、ステップS113において、制御部3は、検証部305により、複数の吐出位置Pごとでの相対角度Aは、最小角度An以上で最大角度Ax以下であるか否かを判定する。
【0067】
ステップS113において、最小角度An以上で最大角度Ax以下であると判定された場合には(ステップS113、Yes)、制御部3はステップS114に処理を移行し、検証がOKであると判断する。一方、最小角度An以上で最大角度Ax以下ではないと判定された場合には(ステップS113、No)、制御部3はステップS115に処理を移行し、検証がNGであると判断する。
【0068】
以上のようにして、制御部3は、複数の指令位置Tdに基づいて取得される複数の吐出位置Pにおいて対象物200に液体Qを吐出した場合に、所望の液体付与品質が得られるか否かを検証する処理を行うことができる。
【0069】
<液体吐出装置10の動作例>
図12は、液体吐出装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0070】
図12において、位置信号Ecは、可変機構2に設けられたロータリエンコーダからの出力信号を示す。制御部3は、位置信号Ecに基づき、可変機構2により保持されたヘッド1の相対位置および相対角度を演算により取得できる。
【0071】
同期信号Snは、可変機構2による相対位置および相対角度の変更と、ヘッド1による液体Qの吐出と、を同期させるための信号である。同期信号Snは、可変機構2から出力され、制御部3に入力される。
【0072】
間隔信号Ckは、液体吐出装置10による液体付与の最小間隔を規定するための基準となる信号である。例えば、液体付与の最小間隔を100[dpi](=0.254[mm])とすると、ヘッド1が0.254[mm]移動するごと、1パルスの間隔信号Ckが制御部3からヘッド1に出力される。
【0073】
駆動信号Hcは、ヘッド1から液体Qを吐出させるための信号である。ディレイtdは、間隔信号Ckに対するディレイ時間を示し、吐出時間toは、ヘッド1におけるノズルを開放し、液体Qを吐出させる時間を示している。ディレイtdは、吐出距離dや吐出速度等に応じて可変である。吐出時間toは、吐出する液体量等に応じて可変である。
【0074】
<液体吐出装置10の作用効果>
以上説明したように、液体吐出装置10は、液体Qを吐出するヘッド1と、指令に応じて対象物200とヘッド1との相対位置を変更可能な可変機構2と、ヘッド1が複数の指令位置Tdを通りつつ、複数の吐出位置Pにおいて液体Qを吐出するように制御する制御部と、を有する。制御部3は、吐出距離dが複数の吐出位置Pにおいて不均一となるように、可変機構2による相対位置の変更を制御する。液体吐出装置10は、複数の吐出位置Pごとにおいて吐出距離dが均一になるようにヘッド1の相対位置を変更しないため、ヘッド1の移動速度の低下を抑えることができる。これにより、生産性に優れた液体吐出装置10を提供することができる。
【0075】
また本実施形態では、制御部3は、所定間隔で得られる複数の指令位置Tdのうちの一部を、吐出距離dに応じて間引く。指令位置Tを間引いた分、吐出距離dを変更する回数を減らすことができる。これにより、ヘッド1の移動速度の低下を抑えることができ、生産性に優れた液体吐出装置10を提供することができる。
【0076】
また本実施形態では、制御部3は、吐出距離dが所定の最小距離dn以上で最大距離dx以下である場合に、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引く。液体吐出装置10による液体付与品質を確保できる範囲内において複数の指令位置Tdのうちの一部を間引くことにより、液体吐出装置10の生産性を上げつつ、液体付与品質を確保できる。
【0077】
また本実施形態では、可変機構2は、対象物200とヘッド1との相対角度Aをさらに変更可能である。制御部3は、複数の指令位置Tdの少なくとも一部において吐出距離dが不均一となるように、相対位置および相対角度Aの少なくとも一方を変更する。複数の吐出位置Pにおいて吐出距離dが均一になるようにヘッド1の相対位置および相対角度Aを制御しないため、ヘッド1の移動速度の低下を抑えることができる。これにより、生産性に優れた液体吐出装置10を提供することができる。
【0078】
また本実施形態では、制御部3は、所定間隔で得られる複数の指令位置Tdのうちの一部を、相対角度Aに応じて間引く。指令位置Tを間引いた分、相対角度Aを変更する回数を減らすことができる。これにより、ヘッド1の移動速度の低下を抑えることができ、生産性に優れた液体吐出装置10を提供することができる。
【0079】
また本実施形態では、制御部3は、複数の指令位置Tdごとでの相対角度Aが所定の最小角度An以上で最大角度Ax以下である場合に、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引く。液体吐出装置10による液体付与品質を確保できる範囲内において、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引くことにより、液体吐出装置10の生産性を上げつつ、液体付与品質を確保できる。
【0080】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る液体吐出装置10aについて説明する。第1実施形態と同じ構成部には、同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0081】
本実施形態では、ヘッド1aは、複数のノズルを有する。制御部3は、複数のノズルそれぞれにおける吐出距離dまたは相対角度Aに基づいて、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引く。
【0082】
<ヘッド1aの構成例>
図13および図14は、液体吐出装置10aが有するヘッド1aの構成を例示する図である。図13は斜視図、図14図13の平面S1により切断したヘッド1aの断面図である。
【0083】
図13および図14に示すように、ヘッド1aは、ハウジング100と、供給ポート101と、回収ポート102と、コネクタ103と、複数の吐出モジュール110と、を有する。
【0084】
ヘッド1aは、外部から加圧した液体Qを吐出モジュール110に供給ポート101を介して供給する。ヘッド1aは、吐出しなかった液体Qを、回収ポート102を介して外部に排出する。
【0085】
コネクタ103は、ハウジング100に設けられており、制御部3からの駆動信号Hcを入力できる。
【0086】
複数の吐出モジュール110は、ハウジング100内に1列または複数列に並べて配置されている。吐出モジュール110は、ノズル板111と、流路122と、圧電部材124と、を有する。
【0087】
ノズル板111は、液体Qを吐出するノズル121を備えている。ノズル板111はハウジング100と接合している。流路122は、ノズル121が連通し加圧した液体Qを供給する。流路122はハウジング100に設けた複数の吐出モジュール110に共通の流路である。圧電部材124は、ノズル121を開閉するニードル状の弁体を駆動する。
【0088】
ヘッド1aは、複数のノズル121を個別に開閉することにより、複数のノズル121それぞれから対象物200に液体Qを吐出するバルブジェット方式のヘッドである。対象物200に対して液体Qを吐出している期間は、ノズル121からの液体Qの吐出効率を低下させないようにするため、回収ポート102からの液体Qの排出を一時的に行わなくてもよい。
【0089】
但し、液体吐出装置10aは、バルブジェット方式のヘッド1aに限定されるものではなく、圧電駆動、静電駆動等の他方式やのヘッドを用いてもよい。
【0090】
図15は、液体吐出装置10の動作の一例を示すタイミングチャートである。位置信号Ecは、同期信号Snおよび間隔信号Ckは、図12と同様である。
【0091】
駆動信号Hc_n1は、ヘッド1aが有する複数のノズル121のうちの第1ノズルから液体Qを吐出させるための信号である。駆動信号Hc_n2は、ヘッド1aが有する複数のノズル121のうちの第2ノズルから液体Qを吐出させるための信号である。駆動信号Hc_n3は、ヘッド1aが有する複数のノズル121のうちの第3ノズルから液体Qを吐出させるための信号である。ディレイtdおよび吐出時間toは、図12と同様である。なお、ここでは、3つの駆動信号Hcを例示したが、駆動信号Hcの数は、ヘッド1aが備えるノズル数に合わせて適宜変更できる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、ヘッド1aは、複数のノズル121を有する。制御部3は、複数のノズル121それぞれにおける吐出距離dまたは相対角度Aに基づいて、複数の指令位置Tdのうちの一部を間引く。これにより、複数のノズル121を有するヘッド1aを用いる場合にも、複数の吐出位置Pにおいて吐出距離dが均一になるようにヘッド1の相対位置を制御しないため、ヘッド1の移動速度の低下を抑えることができる。これにより、生産性に優れた液体吐出装置10を提供することができる。
【0093】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形および改良が可能である。
【0094】
実施形態において、ヘッド1から吐出される液体は、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどでもよい。これらは例えば、インクジェット用インク、塗装用塗料、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0095】
対象物200は、液体が付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては,車体、建材、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0096】
また実施形態は、液体吐出方法も含む。例えば液体吐出方法は、液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、ヘッドにより、前記液体を吐出し、可変機構により、指令に応じて前記対象物と前記ヘッドとの相対位置を変更し、制御部により、前記ヘッドが、前記指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、前記ヘッドから前記液体を吐出する際の前記ヘッドの位置である複数の吐出位置において前記液体を吐出するように制御し、前記制御部は、前記対象物表面の法線方向における前記対象物表面と前記ヘッドとの間の距離である吐出距離が、前記複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、前記可変機構による前記相対位置の変更を制御する。このような液体吐出方法により、上述した液体吐出装置と同様の効果を得ることができる。
【0097】
また実施形態は、プログラムも含む。例えばプログラムは、液体を吐出して対象物に付与する液体吐出装置に実行させるプログラムであって、ヘッドにより、ノズルから前記液体を吐出し、可変機構により、指令に応じて前記対象物と前記ヘッドとの相対位置を変更し、制御部により、前記ヘッドが、前記指令に対応する位置である複数の指令位置を通りつつ、前記ヘッドから前記液体を吐出する際の前記ヘッドの位置である複数の吐出位置において、前記液体を吐出するように制御し、前記制御部は、前記対象物表面の法線方向における前記対象物表面と前記ヘッドとの間の距離である吐出距離が、前記複数の吐出位置の少なくとも一部において不均一となるように、前記可変機構による前記相対位置の変更を制御する、処理を前記液体吐出装置に実行させる。このようなプログラムにより、上述した液体吐出装置と同様の効果を得ることができる。
【0098】
実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0099】
1a ヘッド
100 ハウジング
101 供給ポート
102 回収ポート
103 コネクタ
110 吐出モジュール
111 ノズル板
121 ノズル
2 可変機構
3 制御部
10 液体吐出装置
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 HDD/SSD
35 接続I/F
36 通信I/F
301 通信部
302 入出力部
303 指令情報生成部
304 間引部
305 検証部
306 指令部
307 吐出制御部
200 対象物
200a、200a1、200a2 法線方向
B システムバス
Ec 位置信号
Sn 同期信号
Ck 間隔信号
Hc、Hc_n1、Hc_n2、Hc_n3 駆動信号
Od 形状情報
P、P1、P2 吐出位置
Q 液体
Rc 駆動指令
d、d0、d1、d2 吐出距離
A 相対角度
An 最小角度
Ax 最大角度
dn 最小距離
dx 最大距離
e 吐出間隔
Td、Td1、Td2、Td3 指令位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】国際公開2015/025400号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15