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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125770
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】シート供給装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 26/00 20060101AFI20230831BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20230831BHJP
   B65H 16/06 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65H26/00
B41J15/04
B65H16/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030049
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】岡田 克巳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輝
【テーマコード(参考)】
2C060
3F052
3F105
【Fターム(参考)】
2C060BA04
3F052AA01
3F052AB05
3F052BA14
3F052CA01
3F105AA02
3F105AB04
3F105BA30
3F105BA33
3F105CA02
3F105CB01
3F105DA37
3F105DA61
3F105DB03
3F105DC01
(57)【要約】
【課題】シート先端の検知構成を用いて、シートのセット方向を判定するシート供給装置を提供する。
【解決手段】対面部からロールに向けて突出し且つ当該ロールの外周面に当接する方向に付勢され、突出量に応じた信号レベルの検知信号を出力するセンサと、検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量である信号変化率に基づいて、回転手段を制御するコントローラとを備え、コントローラは、回転手段によってスプールを巻取方向に回転させ、シートの先端がセンサの位置を通過しないときの外周面とセンサとの相対的な位置関係の変化に基づく信号変化率が既定の逆セット閾値を超えないとき、回転手段の動作を停止させる、シート供給装置による。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のシートをスプールに巻回してなるロールを支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記スプールを、前記シートを前記スプールから繰り出す繰出方向及び当該シートを当該スプールに巻き取る巻取方向に回転させる回転手段と、
前記ロールの外周面に対面する対面部、及び当該対面部から前記シートを前記繰出方向に向けて延設された案内部を有するガイド部材と、
前記ガイド部材における端部であって、前記繰出方向の下流側の端部を回動中心として、前記対面部を前記外周面に接近又は離間させる方向へと当該前記ガイド部材を回動可能に支持する支軸と、
前記対面部を前記ロールに接近させる方向へと、前記ガイド部材の回動を付勢する付勢部材と、
前記対面部から前記ロールに向けて突出し且つ当該ロールの外周面に当接する方向に付勢され、突出量に応じた信号レベルの検知信号を出力するセンサと、
前記対面部に支持され、前記ロールの周方向において前記センサと異なる位置で前記ロールの外周面に当接するコロと、
前記検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量である信号変化率に基づいて、前記回転手段を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記回転手段によって前記スプールを前記巻取方向に回転させ、前記シートの先端が前記センサの位置を通過しないときの外周面と前記センサとの相対的な位置関係の変化に基づく信号変化率が既定の逆セット閾値を超えないとき、前記回転手段の動作を停止させる、
ことを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記回転手段によって前記スプールを前記巻取方向に回転させたとき、前記信号変化率が前記逆セット閾値を超え、且つ、前記センサが前記ロールの回転軸から離間する方向への変位である没入による前記信号変化率である第一変化率が既定の閾値を超えたとき、
当該第一変化率と、当該センサが前記ロールの回転軸に接近する方向への変位である突出による前記信号変化率である第二変化率とに基づいて、前記シートの先端が前記センサの位置を通過した通過タイミングを判定し、
前記通過タイミングから予め定められた回転角だけ、前記回転手段によって前記スプールを前記巻取方向に回転させて、前記センサ及び前記コロより前記巻取方向の上流側で且つ前記案内部に対面する供給開始位置にシートの先端を位置させ、
前記回転手段によって前記スプールを前記繰出方向に回転させて、前記供給開始位置から前記案内部に沿ってシートを供給する、
請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記信号変化率が前記逆セット閾値を超えて、且つ、前記第一変化率が既定の閾値を超えないとき、前記回転手段の動作を停止させる、
請求項2に記載のシート供給装置。
【請求項4】
前記逆セット閾値の値を入力する操作を受け付ける入力部を備える、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート供給装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記信号変化率の判定に基づいて前記回転手段の動作を停止させたときに、警告情報を出力する報知部を備える、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート供給装置と、
前記シート供給装置によって供給されたシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート供給装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き筒(スプール)に巻回された長尺のシート(以下、「連帳シート」と表記する。)を供給するシート供給装置を備え、供給される連帳シート画像を形成する画像形成装置が知られている。シート供給装置では、ユーザーが連帳シートの先端(以下「シート先端」と表記する。)を手で供給部へと挿入した後、装置が先端を検知後にシート供給動作を行うシート供給機構が既に知られている。
【0003】
従来のシート供給機構において、連帳シートを巻き取る方向にスプールを回転させ、剥離したシート先端をセンサで検知し、先端を検知した後に、連帳シートを繰り出す方向にスプールを順回転させる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術において、連帳シートの巻き取る方向の回転を逆回転といい、連帳シートを繰り出す方向の回転を順回転とする。従来技術を適用したシート供給機構において、仮に、スプールのセット方向を間違えて逆にしたとき、逆回転によるシート先端の検知はできない。この場合、シート先端が検知されないことで逆回転が停止せずに続くになる。その結果、連帳シートの先端がスプールから、供給方向とは逆方向へと繰り出されてしまい、傷が付いくなどの課題が生ずる。
【0005】
本発明は、スプールに巻回された長尺のシートを供給するシート供給装置において、シート先端の検知構成を用いて、シートのセット方向を判定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、長尺のシートがスプールに巻回されたロールを着脱可能に支持する支持部と、前記支持部に支持された前記スプールを、シートを繰り出す繰出方向及びシートを巻き取る巻取方向に回転させる回転手段と、前記ロールの外周面に対面する対面部、及び前記対面部からシートの供給方向の下流側に向けて延設された案内部を有するガイド部材と、前記ガイド部材のシートの供給方向の下流側の端部を回動中心として、前記対面部を前記ロールに接離させる向きに、前記ガイド部材を回動可能に支持する支軸と、前記対面部を前記ロールに近接させる向きに、前記ガイド部材を付勢する付勢部材と、前記対面部から前記ロールに向けて突出し且つ前記ロールの外周面に当接する向きに付勢され、突出量に応じた信号レベルの検知信号を出力するセンサと、前記対面部に支持され、前記ロールの周方向において前記センサと異なる位置で前記ロールの外周面に当接するコロと、前記検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量である信号変化率に基づいて、前記回転手段を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記回転手段によって前記スプールを前記巻取方向に回転させ、前記センサが没入するときの前記信号変化率である第一変化率と、前記センサが突出するときの前記信号変化率である第二変化率とに基づいて、シートの先端が前記センサの位置を通過した通過タイミングを判定し、前記通過タイミングから予め定められた回転角だけ、前記回転手段によって前記スプールを前記巻取方向に回転させて、前記センサ及び前記コロより前記巻取方向の上流側で且つ前記案内部に対面する供給開始位置にシートの先端を位置させ、前記回転手段によって前記スプールを前記繰出方向に回転させて、前記供給開始位置から前記案内部に沿ってシートを供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スプールに巻回された長尺のシートを供給するシート供給装置において、シートの逆セットを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図。
図2】画像形成装置の内部構造を示す断面図。
図3】シート供給装置の概略構成図。
図4】ガイドアームの斜視図。
図5】対面部の周辺の拡大図。
図6】連帳シートの先端と、先端検知センサ及びコロとの位置関係を示す図。
図7】先端検知センサの検知信号の信号レベルの推移を示す図。
図8】連帳シートが逆セットされて先端検知処理が開始されたときの例を示す図。
図9】連帳シートが逆セットされたときの先端検知センサの検出信号の変位の例を示す図。
図10】連帳シートが逆セットを検知するときに用いる閾値を説明する図。
図11】連帳シートが逆セットされて先端検知処理が開始されたときの別例を示す図。
図12】連帳シートが逆セットされたときの先端検知センサの検知信号の信号レベルの推移を示す図。
図13】連帳シートが逆セットされたときの、シート先端と、先端検知センサ及びコロとの位置関係を示す図。
図14】画像形成装置のハードウェア構成図。
図15】シートセット処理のフローチャート。
図16】先端検知処理のフローチャート。
図17】先端検知処理における検知信号の信号レベルの推移を示す図。
図18】代替検知処理のフローチャート。
図19】第一逆セット検知処理のフローチャート。
図20】第二逆セット検知処理のフローチャート。
図21】第二逆セット検知処理における検知信号レベルの推移の別例を示す図。
図22】従来のロール紙のセット方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態]
以下、図1及び図2を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのプリンタ1について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ1の外観斜視図である。図2は、プリンタ1の内部構造を示す断面図である。
【0010】
図1に示すように、画像形成装置の実施形態としてのプリンタ1は、中央カバー2と、長尺の中央カバー2の両端に位置する右カバー3及び左カバー4と、右カバー3及び左カバー4の外側の端部に位置する側板5と、中央カバー2に対して開閉する操作用カバー6と、を備える。プリンタ1は、これら各カバー(右カバー3及び左カバー4、側板5、操作用カバー6)によって筐体の外形が形成されている。また、プリンタ1は、各カバーによって覆われる装置本体の長尺方向の両端付近に設けられている脚部7によって支持されている。脚部7には、移動を容易にするためのキャスタが設置されている。
【0011】
本実施形態に係るプリンタ1は、長尺のシートとしての連帳シートPに液体インクを吐出して、当該連帳シートPに画像を形成するインクジェット式の画像形成装置である。但し、プリンタ1の画像形成方式は、インクジェット方式に限定されず、電子写真方式などであってもよい。
【0012】
プリンタ1は、図2に示すように、本発明に係るシート供給装置の実施形態としてのシート供給部10と、搬送部20と、画像形成部30と、巻取り部40と、制御部としてコントローラ50と、を主に備える。コントローラ50の詳細な構成については、図8を用いて後述する。
【0013】
シート供給部10は、スプール8(巻き筒)に巻回された連帳シートPを、搬送路Lを通じて搬送部20に送り出して供給する。搬送路Lは、プリンタ1の内部において、連帳シートPが通過する空間である。より詳細には、搬送路Lは、シート供給部10から搬送部20及び画像形成部30を経て巻取り部40に至る経路である。シート供給部10の詳細は、図3図7を参照しつつ、後述する。
【0014】
搬送部20は、搬送路Lを通じてシート供給部10から供給された連帳シートPを、画像形成部30に対面する位置を通じて、巻取り部40まで搬送する。搬送部20は、搬送ローラ21と、加圧ローラ22と、搬送モータ23と、を主に備える。搬送ローラ21及び加圧ローラ22は、連帳シートPを厚み方向の両側から挟持して回転する。搬送ローラ21は、搬送モータ23の駆動力が伝達されることによって回転する。加圧ローラ22は、所定の圧力で搬送ローラ21に押圧されており、搬送ローラ21の回転に伴って従動する。
【0015】
画像形成部30は、搬送部20より連帳シートPの搬送方向の下流側に配置されている。画像形成部30は、搬送部20によって搬送された連帳シートPにインクを吐出することによって、当該連帳シートPに画像を形成する。画像形成部30は、記録ヘッド31と、キャリッジモータ32と、プラテン33と、主走査キャリッジ34と、を主に備える。
【0016】
主走査キャリッジ34は、キャリッジモータ32の駆動力が伝達されることによって、連帳シートPの搬送方向に直交する主走査方向に往復移動する。また、主走査キャリッジ34には、には、ブラック(k)、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)の各色の液体インクを吐出する記録ヘッド31が搭載されている。より詳細には、ブラックインクを吐出する記録ヘッド31k、シアンインクを吐出する記録ヘッド31c、マゼンタインクを吐出する記録ヘッド31m、イエローインクを吐出する記録ヘッド31yが搭載されている。
【0017】
記録ヘッド31のそれぞれは、コントローラ50の指示に従って、プラテン33に支持された連帳シートPに向けて各色の液体インクを吐出する。一般的に、記録ヘッド31は重力方向に向けて液体インクを吐出する。したがって、主走査キャリッジ34とプラテン33の位置関係は、重力方向において上下の関係である。すなわち、プラテン33は、対面する主走査キャリッジ34の下側に配置されている。そして、プラテン33は、搬送部20によって搬送された連帳シートPを支持する。
【0018】
巻取り部40は、搬送部20及び画像形成部30よりも、連帳シートPの搬送方向の下流側に配置されている。巻取り部40は、画像形成部30によって画像が形成された連帳シートPを巻き取る。巻取り部40は、巻取りローラ41と、巻取りモータ42と、を主に備える。巻取りローラ41は、巻取りモータ42の駆動力が伝達されることによって、画像が形成された後の連帳シートPを巻き取る向きに回転する。
【0019】
ここで、従来のロール紙のセット方法について、図22を参照しつつ説明する。ロール紙は、幅方向端部にフランジ(フランジ部材)が設けられ、スプールがセットされる。ユーザーは、スプールがセットされたロール紙を装置の給紙部受け部(スプール軸受台)にセットし(図22(A))、ロール紙の用紙先端を探し、先端を維持しながら、図22(B)のように両手で押さえ、用紙の先端が手前に来るようにロール紙を回転させる。次に、ユーザーは、用紙先端をロール紙の奥にあるガイド板の間に位置させてロール紙を回転させながら挿入する(図22(C))。ユーザーが紙をガイドの奥に挿入すると、用紙は、内部で固定され、装置内部に引き込まれるようになっている。
【0020】
図22(C)で示したように、用紙先端を挿入するガイド板はロール紙の奥にある為、ロール紙に隠れてしまい見えづらく、挿入できたのかの確認がしづらくなってしまう。
【0021】
また、図22(D)及び図22(E)で示すように、ロール紙セット部が二段で構成された装置において、上段にロール紙がセットされている場合に下段にロール紙をセットし、先端をガイド板間に挿入する場合には上段のロール紙が既にある為に、更にガイド板が見えづらくセットの困難や斜め挿入の恐れが大きくなってしまう。
【0022】
以上説明をした従来のロール紙のセット方法では、ロール紙の用紙先端を探して搬送方向に挿入するときに、挿入確認が困難、かつ、用紙先端を均等に挿入する必要があるなど、手間を要する作業となっていた。さらに、用紙先端が均等に挿入されなかった場合には、斜めに給紙されスキューの原因となってしまい、操作のやり直しやジャムの発生など、さらに手間を要することになっていた。
【0023】
本発明に係るシート供給装置は、上記のような課題を解決する。そして、ロール紙を装置の給紙部受け部(スプール軸受台)にセットするときの方向を逆方向にしてしまった場合の課題も解決する。以下、図面を参照しながら本発明に係るシート供給装置の実施形態としてのシート供給部10について詳細に説明する。
【0024】
図3は、シート供給部10の概略構成図である。図4は、シート供給部10が備えるガイドアーム13の斜視図である。図2図4に示すように、シート供給部10は、支持部11と、供給モータ12と、ガイドアーム13と、支軸14と、コイルバネ15と、先端検知センサ16と、複数のコロ17(右コロ17a、左コロ17b)と、カッタ18と、ガイド板19(上ガイド板19a、下ガイド板19b)と、を主に備える。
【0025】
支持部11は、連帳シートPを軸状のスプール8に巻回してなるロール9を支持する。支持部11は、ロール9を着脱自在に支持する。また、支持部11は、スプール8の両端を回転可能に支持する。
【0026】
回転手段としての供給モータ12は、支持部11に支持されたスプール8を所定の回転方向へと回転させる。供給モータ12によるスプール8の回転は、連帳シートPを繰り出す繰出方向R1の方向に回転させる「順回転」と、連帳シートPを巻き取る巻取方向R2の方向に回転させる「逆回転」に区別される。
【0027】
ガイド部材としてのガイドアーム13は、先端検知センサ16及びコロ17(右コロ17a、左コロ17b)をロール9に当接させると共に、ロール9から繰り出された連帳シートPをガイド板19の間に導く役割を担う。ガイドアーム13は、長尺板状の外形を有する。ガイドアーム13は、対面部13aと、案内部13bと、を有する。
【0028】
対面部13aは、ロール9の外周面に沿う円弧形状の外形を有する。対面部13aは、スプール8の回転中心を通る水平線より下方において、ロール9の外周面に対面している。また、案内部13bは、対面部13aから連帳シートPの供給方向の下流側に向けて延設されている。より詳細には、対面部13aは、ロール9の下端を含む領域(下部領域)に対面するように設けられており、案内部13bは、対面部13aからガイド板19の間の位置まで延設されている。
【0029】
支軸14は、支持部11に支持されたスプール8の延設方向と同じ方向に延設されている。支軸14は、各カバーの内部に固定されている。また、支軸14は、案内部13bの連帳シートPの供給方向の下流側の端部に取り付けられて、ガイドアーム13を回動可能に支持している。すなわち、ガイドアーム13は、支軸14を回動中心として、対面部13aをロール9に接触又は離間させる方向へ回動可能に構成されている。
【0030】
また、付勢部材としてのコイルバネ15は、対面部13aをロール9に近接させる向きにガイドアーム13を付勢する。
【0031】
先端検知センサ16は、対面部13aからロール9に接する方向へと突出している。また、先端検知センサ16は、対面部13aのロール9の対向面との相対的な位置関係が変化すると、対面部13aからの突出量が可変するように支持されている。さらに、先端検知センサ16は、ロール9の外周面に当接する(すなわち、対面部13aから突出する)向きに付勢されている。そして、先端検知センサ16は、対面部13aからの突出量に応じた信号レベルの検知信号を、コントローラ50に出力する。より詳細には、対面部13aに対しロール9に向けての先端検知センサ16の突出量が多いほど検知信号の信号レベルは大きくなる。逆に、対面部13aに対し先端検知センサ16の突出量が少なるなるほど(対面部13aへの没入量が大きくなるほど)検知信号の信号レベルは小さくなる。
【0032】
複数のコロ17は、対面部13aに回転可能に支持されている。コロ17の各々の回転軸は、スプール8及び支軸14の延設方向と同じ方向に延設されている。コロ17は、ロール9の周方向において、先端検知センサ16と異なる位置に配置されている。例えば、図3の例では、コロ17が先端検知センサ16より巻取方向R2の上流側に配置されている。さらに、コロ17は、ロール9の周方向に直交する幅方向に離間して配置されていて、右コロ17aと左コロ17bの間に先端検知センサ16が配置されている。
【0033】
なお、図3では省略しているが、カッタ18は、連帳シートPの先端を幅方向の全域に亘って切断する。カッタ18による切断線は、連帳シートPの供給方向に直交する方向に延びる。すなわち、連帳シートPの先端が供給方向に対して傾斜(スキュー)している場合において、この連帳シートPの先端をカッタ18で切断することによって、連帳シートPの先端を供給方向に対して直交させることができる。
【0034】
ガイド板19(上ガイド板19a、下ガイド板19b)は、ガイドアーム13より連帳シートPの供給方向の下流側に配置されている。上ガイド板19aと下ガイド板19bは、搬送路Lを挟んで対向配置されている。ガイドアーム13に沿って進む連帳シートPは、上ガイド板19aと下ガイド板19bの間を通過して、搬送部20に供給される。すなわち、ガイド板19は、ロール9から繰り出された連帳シートPが進入する給紙部としての役割を担う。
【0035】
[ロール9を正当な向きにセットした場合の説明]
まず、ロール9を正当な向きにセットして、その後、スプール8を巻取方向R2に回転させた場合における、連帳シートPの先端(以下「シート先端」と表記する。)の検知動作について説明をする。図5図7は、シート先端の位置と、先端検知センサ16が出力する検知信号の信号レベルとの関係を説明する一連の図である。図5は、対面部13aの周辺の拡大図である。図6は、シート先端と、先端検知センサ16及びコロ17との位置関係を示す図である。図7は、先端検知センサ16の検知信号の信号レベルの経時的な推移を示す図である。
【0036】
付勢部材としてのコイルバネ15によってガイドアーム13がロール9に近接する向きに付勢されているので、図5に示すように、先端検知センサ16とコロ17は、ロール9の外周面に当接している。また、スプール8を巻取方向R2に回転させると、ロール9の外周面に密着したシート先端は、コロ17を通過し、さらに巻取方向R2への回転によって、先端検知センサ16を通過する。以下の説明において、図5に示すように、シート先端がコロ17を通過する前を「領域α」とする。シート先端がコロ17を通過し、そして、先端検知センサ16を通過する前を「領域β」とする。そして、シート先端が先端検知センサ16を通過した後を「領域γ」とする。
【0037】
領域αにシート先端がある状態を図6(A)に示す。また、領域βにシート先端がある状態を図6(B)に示す。まず、図6(A)及び図6(B)に示すように、シート先端がコロ17を通過すると、コロ17がロール9の外周面に当接する方向に、連帳シートPの厚み分だけガイドアーム13が回動する。その結果、先端検知センサ16は、連帳シートPの厚み分だけ対面部13aに没入する。すなわち、シート先端がコロ17を通過したことによって、先端検知センサ16の突出量が減少する。
【0038】
領域γにシート先端が至った状態を図6(C)に示す。図6(B)及び図6(C)に示すように、シート先端が先端検知センサ16を通過すると、連帳シートPの外周面にコロ17が当接していることで、連帳シートPの厚みに相当する隙間が生ずる。その結果、連帳シートPの厚みに相当する量で先端検知センサ16が対面部13aから突出する。すなわち、シート先端が先端検知センサ16を通過したことによって、先端検知センサ16の突出量が増加する。
【0039】
図7(A)は、シート先端が図6(A)から図6(B)及び図6(C)に至るようにロール9が巻取方向R2に回転したときの先端検知センサ16の検知信号の変化を示している。すなわち、図7(A)に示すように、先端検知センサ16の検知信号は、シート先端がコロ17を通過する前(領域α)はHigh信号であり、シート先端がコロ17を通過した後(領域β)はLow信号となる。なお、High信号は、Low信号より信号レベルが高い。すなわち、先端検知センサ16の検知信号は、シート先端がコロ17(右コロ17a、左コロ17b)を通過したことによって、信号レベルが低下する。
【0040】
また、シート先端が先端検知センサ16を通過した後(領域γ)は、先端検知センサ16の検知信号がLOW信号からHigh信号になる。すなわち、先端検知センサ16の検知信号は、シート先端が先端検知センサ16を通過したことによって、信号レベルが増大する。
【0041】
ここで、図7(B)に示すように、検知信号の信号レベルの変化を微視的に観察すると、シート先端がコロ17を通過する過程において、先端検知センサ16の検知信号は、時間x1の間に信号レベルy1だけ低下する。また、シート先端が先端検知センサ16を通過する過程において、先端検知センサ16の検知信号は、時間x2の間に信号レベルy2だけ上昇する。
【0042】
以下、検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量を「信号変化率」と表記する。また、先端検知センサ16が没入するときの信号変化率を第一変化率と表記し、先端検知センサ16が突出するときの信号変化率を第二変化率と表記する。そして、詳細は後述するが、ロール9を誤ってセットした状態で巻取方向R2へ回転させたときに、発生する検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量を逆セット変化率と表記する。
【0043】
そして、シート先端がコロ17を通過する際の第一信号変化率K1=|y1/x1|は、ロール9が正当にセットされていれば、巻取方向R2への回転時において、予め定められた第一閾値を超える。また、シート先端が先端検知センサ16を通過する際の第二信号変化率K2=|y2/x2|は、ロール9が正当にセットされていれば、巻取方向R2への回転時において、予め定められた第二閾値を超える。第一閾値及び第二閾値は、同一の値でもよいし、異なる値でもよい。
【0044】
[ロール9を正当な向きの逆向きにセットした場合の説明]
上記のように、ロール9を正当な向きにセットした場合は、連帳シートPは、スプール8に、巻取方向R2の逆方向に巻き取られている状態になる。この場合、巻取方向R2の逆方向にシート先端が向いている状態であるから、図7のような検出信号の変化になる。
【0045】
これに対し、ロール9を正当な向きの逆向きにセットした場合、シート先端は、ロール9の巻取方向R2に向いている状態になる。この状態を「逆セット」と表記する。逆セットしたロール9を巻取方向R2に回転させた場合、先端検知センサ16の検知信号の変化は、すでに説明をした図7と同様には生じない。したがって、図7の信号変化の順を前提にした先端検知処理は、逆セットのままで行うことはできない。
【0046】
なお、ロール9を巻取方向R2へと回転させたときの先端検知センサ16の検知信号の変化を用いて、逆セットを検知することは可能である。そこで、ロール9の先端検知処理を行う際に、逆セットの検知も行うことで、先端検知処理を正常に実行可能な状態へと対処することができる。
【0047】
図8は、ロール9を逆セットした状態で巻取方向R2へと回転させたときの状態の一例を示している。逆セットをした状態のロール9を巻取方向R2へ回転させると、正当な向きにセットしたときとは異なり、図7に示した検知信号の変化のような第一信号変化率K1を検知してから第二信号変化率K2を検知する方法では先端検知センサ16をシート先端が通過したことを検知することはできない。その結果、ロール9の逆転(巻取方向R2の回転)が停止せずに継続してしまう。
【0048】
シート先端が先端検知センサ16を通過しても巻取方向R2への回転が継続すると、図8に例示するように、連帳シートPの先端がガイドアーム13の外側に飛び出してしまう。その結果、連帳シートPが折れたり、傷ついたりなど、廃棄せざる得ない状態になり、連帳シートPの浪費となる。このような浪費を避けるには、シート先端の検知を行うときに、逆セットの検知も行う必要がある。
【0049】
なお、ロール9が逆セットされていても、先端検知センサ16の検知信号はロール9の回転に応じて変化する。図9は、図8のような状態になっても巻取方向R2への回転が継続したときの、先端検知センサ16の検知信号の変化の一例を示している。逆セットされたロール9が巻取方向R2へ回転し続けると、シート先端がコロ17や先端検知センサ16を通過することがないので、正当なセット時のように第一信号変化率K1を検知することはない。
【0050】
代わりに、図9に示すように、連帳シートPの外周面の凹凸の幅に相当する範囲で変化する。そして、この変化の範囲は、第一信号変化率K1や第二信号変化率K2に相当するような変化率ではなく、これらよりも小さい変化率である。
【0051】
そこで、図10に示すように、正当な向きにセットされているときにシート先端がコロ17を通過するとき(領域αから領域βへとシート先端が移行したとき)の、先端検知センサ16の検出信号の変化率(第一信号変化率K1)と、図9に例示したシート外周面の凹凸幅に相当する先端検知センサ16の検出信号の変動幅との間に、逆セットを検知するための閾値(逆セット閾値KR)を設ける。
【0052】
例えば、巻取方向R2へ回転させたとき、先端検知センサ16の検知信号の変化率が、第一信号変化率K1や第二信号変化率K2に相当するレベルで検知されず、かつ、逆セット閾値KRも超えないとき、逆セットであると判定する。逆セット閾値KRを設けることで、シート先端を検知するための巻取方向R2への回転を繰り返すことなく、巻取方向R2への一回転で逆セットを検知することができる。
【0053】
また、図11に例示するように、ロール9を逆セットしたときに、連帳シートPの先端が外周面に密着した状態になっていることも想定される。この場合、巻取方向R2への回転において先端検知センサ16が出力する検知信号の変位を図12に例示する。
【0054】
図12に示すように、図7(A)に例示したものの逆になる。この場合、シート先端の検知はされないので、ロール9の巻取方向R2への回転は継続してしまう。
【0055】
図13は、ロール9を逆セットしたときの連帳シートPの先端と、先端検知センサ16及びコロ17との位置関係を示す図である。領域αにシート先端がある状態を図13(A)に示す。また、領域βにシート先端がある状態を図13(B)に示す。まず、シート先端がコロ17を通過する前の状態から(図13(A))、シート先端がコロ17を通過するとき(図13(B))、ロール9の外周面に対してコロ17の位置が連帳シートPの厚み分だけ、ロール9の外周面から離間する方向に変位する。その結果、ガイドアーム13が連帳シートPの厚み分だけ回動し、先端検知センサ16は、連帳シートPの厚み分だけ対面部13aから突出する。すなわち、シート先端がコロ17を通過したことによって、先端検知センサ16の突出量が増加する。
【0056】
なお、図13(B)に至るまでは、先端検知センサ16はロール9の外周面に当接した状態である。この状態でロール9が回転することで、先端検知センサ16は、外周面の微小な変位に応じた検出信号を出力することになる。
【0057】
続いて、領域γにシート先端が至った状態を図13(C)に示す。図13(B)の状態から図13(C)の状態に至るように、ロール9が巻取方向R2へ回転すると、シート先端が先端検知センサ16を通過する。その結果、連帳シートPの厚みに相当する分、先端検知センサ16が対面部13aに没入する。すなわち、シート先端が先端検知センサ16を通過したことによって、先端検知センサ16の突出量が減少する。
【0058】
したがって、ロール9を逆セットした状態で巻取方向R2に回転すると、先端検知センサ16の検知信号は、正当なセット状態のようには変化せずに、逆向きの変化になる。しかし、その変化率としての、第一信号変化率K1や第二信号変化率K2は絶対値で扱うので、これらの絶対値と逆セット閾値KRとの比較を行い、第一信号変化率K1や第二信号変化率K2に相当する変化率が逆セット閾値KRを超えるか否かを判定する。このように判定することで、連帳シートPの先端が外周面に密着した状態になっていても、逆セットの判定ができる。
【0059】
[プリンタ1のハードウェア構成]
次に、上記にて説明をしたシート先端検知及び逆セット検知を可能にする処理を実行するプリンタ1のハードウェア構成について図14を用いて説明する。図14に示すように、プリンタ1は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)51、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)52、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)53、記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)54、及びインタフェースとしてのI/F55が通信手段としての共通バス56を介して接続されている構成を備える。CPU51、RAM52、ROM53、HDD54は、コントローラ50の一例である。
【0060】
CPU51は演算手段であり、プリンタ1全体の動作を制御する。RAM52は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU51が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM53は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD54は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納される。
【0061】
プリンタ1は、ROM53やHDD54からRAM52にロードされた各種プログラムをCPU51が備える演算機能によって処理する。その処理によって、プリンタ1の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、プリンタ1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、プリンタ1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0062】
I/F55は、シート供給部10、搬送部20、画像形成部30、巻取り部40、及び操作パネル(入力部)57を、共通バス56に接続するインタフェースである。すなわち、コントローラ50は、I/F55を通じて、シート供給部10、搬送部20、画像形成部30、巻取り部40、及び操作パネル57を制御する。
【0063】
操作パネル57は、オペレータに報知すべき各種情報を表示するディスプレイ、及びオペレータによる操作を受け付けるボタン、スイッチ、ダイヤルなどを備えるユーザインタフェースである。また、操作パネル57は、ディスプレイに重畳されたタッチパネルを備えてもよい。オペレータの操作を受け付けて、受け付けた操作に対応する操作信号をコントローラ50に出力する。
【0064】
[プリンタ1におけるシートセット処理]
次に、図15を参照して、プリンタ1において実行可能なシートセット処理を説明する。図9は、シートセット処理のフローチャートである。シートセット処理は、支持部11に新たなロール9を装着したときに、ロール9に巻かれている連帳シートPをガイド板19の間を通じて搬送部20に供給可能な状態にする処理である。
【0065】
シートセット処理では、ロール9を巻取方向R2へ回転させる(ロール9を逆回転させる)。そして、すでに説明をしたように、ロール9が逆回転したときの先端検知センサ16の信号変化率に基づいて、コントローラ50は、供給モータ12の回転動作及び回転方向を制御する。シートセット処理は、例えば、ロール9の装着が検知されたタイミング、或いはロール9を交換したことを示す操作が操作パネル57を通じて受け付けられタイミングなどを契機として開始される。なお、ロール9の装着タイミングは、ロール9の装着を検知するセンサからの検知信号に基づく。
【0066】
シートセット処理が開始されると、先端検知処理を実行する(S1501)。先端検知処理の詳細は後述する。そして、コントローラ50は、先端検知処理でシート先端の検知に成功したか否かを判定する(S1502)。
【0067】
コントローラ50は、シート先端の検知に成功したと判定した場合に(S1502:YES)、供給モータ12を逆回転させることによって、先端検知処理で判定した通過タイミングから予め定められた回転角(例えば、355°程度)だけ、スプール8を巻取方向R2に回転させる(S1503)。これにより、シート先端が供給開始位置に到達する。
【0068】
通過タイミングとは、シート先端が先端検知センサ16を通過したタイミングを指す。供給開始位置とは、先端検知センサ16及びコロ17より巻取方向の上流側で且つ案内部13bに対面する位置である。換言すれば、供給開始位置とは、スプール8を繰出方向に回転させることによって、連帳シートPが案内部13bに沿ってガイド板19の方向に供給される位置である。
【0069】
次に、コントローラ50は、供給モータ12を順回転させることによって、供給開始位置から案内部13bに沿って連帳シートPを供給する(S1504)。これにより、連帳シートPは、ガイド板19の間を通過して、搬送ローラ21及び加圧ローラ22に挟持される。
【0070】
シートセット処理が正常終了したプリンタ1は、連帳シートPに画像を形成する画像形成処理を実行することができる。すなわち、コントローラ50は、搬送モータ23を駆動することによって、記録ヘッド31に対面する位置まで、連帳シートPを搬送する。次に、コントローラ50は、キャリッジモータ32を駆動して主走査キャリッジ34を主走査方向に移動させると共に、記録ヘッド31から各色の液体インクを吐出させる。この処理を繰り返すことによって、連帳シートPに画像が記録される。さらに、コントローラ50は、巻取りモータ42を駆動することによって、画像が記録された連帳シートPを巻取りローラ41に巻き取る。
【0071】
一方、コントローラ50は、シート先端の検知に失敗したと判定した場合に(S1502:NO)、供給モータ12を停止させると共に、報知部としての操作パネル57にエラーを表示する(S1505)。これにより、オペレータは、操作パネル57に表示されたエラーの内容に従って、適切な作業(例えば、ロール9の装着し直し等)を実行する。
【0072】
[プリンタ1における先端検知処理]
次に、シートセット処理に含まれる先端検知処理の詳細について、図16図21を参照して、図15のステップS1501において実行される、シート先端を検知する先端検知処理の詳細を説明する。図16は、先端検知処理のフローチャートである。図17は、ロール9が正しい向きにセットされているときの検知信号の信号レベルの推移を示す図である。図21は、ロール9が逆セットされているときの検知信号のレベルの推移を示す図である。図18は、代替検知処理のフローチャートである。図19は、先端検知処理の実行中に実行される逆セット検知処理の一例を示すフローチャートである。図20は、先端検知処理の実行中に実行される逆セット検知処理の別例を示すフローチャートである。なお、先端検知処理及び代替検知処理の実行中は、ロール9が巻取方向R2に回転している。
【0073】
図16に示す先端検知処理は、第一信号変化率K1及び第二信号変化率K2の両方に基づいて、通過タイミングを判定する処理である。また、ロール9が逆セットされている場合にはシート先端を検知する処理が繰り返し実行されて停止条件が成立しなくなる。そこで本実施形態に係る先端検知処理では、まず、ロール9が逆セットされているか否かを判定し、逆セットされていなければシート先端の検知を実行し、逆セットされているならばロール9の回転を停止する処理を実行する。
【0074】
なお、図18に示す代替検知処理は、第二信号変化率K2のみに基づいて通過タイミングを判定する処理である。本実施形態では、まず先端検知処理で通過タイミングを判定し、先端検知処理で通過タイミングが判定できなかった場合に代替検知処理を実行する。但し、先端検知処理及び代替検知処理は、単独で実行されてもよい。
【0075】
図16に戻る。先端検知処理において、まず、コントローラ50は、RAM52に記憶された変数R、Nを初期化(=1)する(S1601)。変数Rは、先端検知処理でスプール8を回転させた回数を指す。変数Nは、先端検知処理で通過タイミングを判定した回数を指す。
【0076】
次に、コントローラ50は、逆セット検知第一処理を実行する(S1602)。S1602において、ロール9が逆セットされていると判定されれば、先端検知処理を停止(終了)する。逆セット検知第一処理(S1602)において、ロール9が逆セット状態であると判定されないと判定されれば、ロール9は正当なセット状態であるので、処理は、S1602からS1603へと移行する。なお、S1602の処理の詳細は後述する。
【0077】
次に、コントローラは、検知信号の変化が第一信号変化率K1に相当するか否かを判定する(S1603)。コントローラ50は、第一信号変化率K1を検知するまで(S1603:NO)、かつ、第二時間t2が経過するまで(S1604:NO)、S1603を繰り返す。
【0078】
続いて、コントローラ50は、第一信号変化率K1を検知すると(S1603:Yes)、第二信号変化率K2を検知する処理を実行する(S1605)。このとき、第一信号変化率K1の検知によってシート先端がコロ17または先端検知センサ16を通過している状態になる。ただし、シート先端がロール9の外周面から剥離しない状態で逆セット状態である可能性がある。そこで、K1を検知後、K2を検知するまで(S1605:NO)、第二逆セット検知処理を実行する(S1606)。逆セット検知第二処理(S1606)において、ロール9が逆セット状態であるとして検知されなければ、第一時間t1が経過するまで(S1607:NO)、以降の処理の実行を待機する。なお、逆セット検知第二処理の詳細は後述する。
【0079】
コントローラ50は、第一時間t1が経過する前に(S1607:NO)、第二信号変化率K2が第二閾値を超えた場合に(S1605:YES)、シート先端が先端検知センサ16を通過したと判定する。
【0080】
ここで、第一時間t1と第二時間t2に監視、図17を用いて説明する。図17に示すように、第一時間t1は、コロ17及び先端検知センサ16の離間距離に相当する予め定められた時間である。より詳細には、第一時間t1は、ロール9が離間距離だけ回転するのに必要な時間に、マージンを加えた時間である。第二時間t2は、ロール9が1回転するのに必要な時間に、+のマージンを加えた時間である。第三時間範囲t3は、第二時間t2に含まれる予め定められた時間範囲である。より詳細には、第三時間範囲t3は、第二時間t2が経過するタイミング(第二時間t2の終期)から所定の時間だけ遡った時間範囲である。さらに詳細には、第三時間範囲t3は、第二時間t2内において、シート先端が先端検知センサ16を通過すると想定されるタイミングに、±のマージンを持たせた範囲時間である。
【0081】
図16に戻る。第二信号変化率K2が検知された場合に(S1605:YES)、コントローラ50は、変数Nと判定閾値Xthとを比較する(S1608)。
【0082】
次に、コントローラ50は、変数Nが判定閾値Xth未満の場合に(S1608:NO)、変数Nを1だけインクリメントして(S1609)、ステップS1603以降の処理を再び実行する。そして、コントローラ50は、変数Nが判定閾値Xthに達した場合に(S1608:YES)、シート先端の検知に成功したとして先端検知処理を終了する。
【0083】
すなわち、コントローラ50は、第二時間t2がXth回経過する間において(S1608:No)、Xth回の第二時間t2それぞれに含まれる第三時間範囲t3内に通過タイミングを判定した場合に(S1605:Yes)、Xth回目の通過タイミングでステップS1603の処理を実行する。判定閾値Xthは、シート先端を検知する回数が所定回数を超えたか否かを判定するための値である。判定閾値Xthは、予め定められた固定であってもよいし、操作パネル57を通じてNの値を入力する操作を受け付けてもよい。判定閾値Xthは、1でもよいし、2以上でもよい。
【0084】
一方、コントローラ50は、第一信号変化率K1が検知される前に、第二時間t2が経過した場合(S1603:NO&S1604:YES)、或いは第三時間範囲t3の外で第一信号変化率K1が検知されたときに、変数Rと回転閾値Rthとを比較する(S1610)。同様に、コントローラ50は、第二信号変化率K2が検知される前に(S1605:NO)、逆セットによって停止されることもなく第一時間t1が経過した場合に(S1607:YES)、変数Rと回転閾値Rthとを比較する(S1610)。
【0085】
そして、コントローラ50は、変数Rが回転閾値Rth未満の場合に(S1610:NO)、変数Rを1だけインクリメントして(S1611)、ステップS1603以降の処理を再び実行する。
【0086】
次に、コントローラ50は、変数Rが回転閾値Rthに達した場合に(S16010:YES)、先端検知処理によるシート先端の検知に失敗したとして、代替検知処理を実行する(S1612)。
【0087】
すなわち、コントローラ50は、ロール9が巻取方向にRth回転するまでに(S1610:NO)、第一変化率及び第二変化率を検知できずに(S1603:NO&S1605:NO)、逆セット状態と判定されることもなければ、代替検知処理を実行する(S1612)。回転閾値Rthは、先端検知処理の開始から代替検知処理(S1612)までに、シート先端検知の失敗回数が、所定回数を超えたか否かを判定するための値である。回転閾値Rthは、予め定められた固定であってもよいし、操作パネル57を通じてRの値を入力する操作を受け付けてもよい。回転閾値Rthは、1でもよいし、2以上でもよい。
【0088】
[プリンタ1における代替検知処理]
次に、代替検知処理(S1611)の詳細について説明する。図18に示すように、コントローラ50は、RAM52に記憶された変数R、Nを初期化(=1)する(S1801)。なお、変数R、N、判定閾値Xth、及び回転閾値Rthの定義は、先端検知処理と同様である。
【0089】
次に、コントローラ50は、検知信号の第二信号変化率K2が第二閾値を超えるか(S1802)、第二時間t2が経過するまで(S1803)、以降の処理の実行を待機する。そして、コントローラ50は、第二時間t2が経過するまでの間において(S1803:NO)、予め定められた第三時間範囲t3内に第二信号変化率K2が第二閾値を超えた場合に(S1802:YES)、シート先端が先端検知センサ16を通過した(すなわち、通過タイミング)と判定する。
【0090】
次に、コントローラ50は、通過タイミングを判定した場合に(S1802:YES)、変数Nと判定閾値Xthとを比較する(S1804)。次に、コントローラ50は、変数Nが判定閾値Xth未満の場合に(S1804:NO)、変数Nを1だけインクリメントして(S1805)、ステップS1802以降の処理を再び実行する。そして、コントローラ50は、変数Nが判定閾値Xthに達した場合に(S1804:YES)、シート先端の検知に成功したとして代替検知処理を終了する。すなわち、コントローラ50は、第二時間t2がXth回経過する間において(S1804:NO)、Xth回の第二時間t2それぞれに含まれる第三時間範囲t3内に第二変化率が第二閾値を超えた場合に、Xth回目に第二変化率が第二閾値を超えたタイミングを、通過タイミングとして判定する。
【0091】
一方、コントローラ50は、第二信号変化率K2が第二閾値を超える前に第二時間t2が経過した場合(S1802:NO&S1803:YES)、或いは第三時間範囲t3の外で第二信号変化率K2が第二閾値を超えた場合に、変数Rと回転閾値Rthとを比較する(S1806)。次に、コントローラ50は、変数Rが回転閾値Rth未満の場合に(S1806:NO)、変数Rを1だけインクリメントして(S1807)、ステップS1802以降の処理を再び実行する。そして、コントローラ50は、変数Rが回転閾値Rthに達した場合に(S1806:YES)、代替検知処理によるシート先端の検知に失敗したとして、代替検知処理を終了する。
【0092】
[プリンタ1における逆セット検知第一処理]
次に、逆セット検知第一処理(S1602)の詳細について図19を参照しながら説明する。まず、コントローラ50は、検知信号の変化率が逆セット閾値KR(図10参照)を超えるか否かを判定する(S1901)。検知信号の変化率が逆セット閾値KRを超えたときは(S1901:NO)、ロール9は正当にセットされているので、シート先端検知処理に戻すために、逆セット検知第一処理は終了する。
【0093】
検知信号の変化率が逆セット閾値KRを超えないとき(S1901:YES)、先端検知センサ16から検知信号の有無を判定する(S1902)。
【0094】
先端検知センサ16から検知信号が出力されていれば(S1902:YES)、ロール9が逆セット状態であるので、コントローラ50は供給モータ12を含む搬送駆動系の動作を停止する(S1903)。そして、コントローラ50は操作パネル57に“ロール逆セット”を報知するための警告情報を出力する(S1904)。
【0095】
先端検知センサ16から検知信号が出力されていないときは(S1902:NO)、先端検知センサ16が故障している可能性があるため、コントローラ50は供給モータ12を含む搬送駆動系の動作を停止する(S1905)。そして、コントローラ50は操作パネル57に“先端検知センサ異常”を報知するための警告情報を出力する(S1906)。
【0096】
[プリンタ1における逆セット検知第二処理]
次に、逆セット検知第二処理(S1606)の詳細について図20を参照しながら説明する。まず、コントローラ50は、第一信号変化率K1が検知されて(S1603:YES)、第三時間範囲t3が経過するまでにおいて、第二信号変化率K2が検知されたか否かを判定する(S2001)。
【0097】
ここで、逆セット検知第二処理における第三時間範囲t3に関して図21を用いて説明する。図21に示すように、第三時間範囲t3は、ロール9が回転して、第一信号変化率K1が検知されてから第二信号変化率K2が検知されるまでの時間に+のマージンを加えた時間である第二時間t2に含まれる予め定められた時間範囲である。より詳細には、第三時間範囲t3は、第二時間t2が経過するタイミング(第二時間t2の終期)から所定の時間だけ遡った時間範囲である。さらに詳細には、第三時間範囲t3は、第二時間t2内において、シート先端が先端検知センサ16を通過すると想定されるタイミングに、±のマージンを持たせた範囲時間でもある。
【0098】
したがって、シート先端がコロ17を通過したときに検知される第一信号変化率K1が検知されてから、第三時間範囲t3が経過するまでの間に、第二信号変化率K2が検知されたときは(S2001:YES)、ロール9が逆セット状態であると判定する。この場合、コントローラ50は供給モータ12を含む搬送駆動系の動作を停止する(S2002)。そして、コントローラ50は操作パネル57に“ロール逆セット”を報知するための警告情報を出力する(S2003)。
【0099】
第二信号変化率K2が検知されなければ(S2001:NO)、ロール9が逆セット状態ではなく、正当な状態である判定する。この場合、逆セット検知第二処理を終了し(S2004)、処理をS1607に移行する。
【0100】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0101】
上記の実施形態によれば、連帳シートPの先端を検知する処理において、ロール9のセット状態が、逆セットであると生ずる不具合を解消することができる。より詳細には、シート先端検知処理において、シート先端がロール9の外周面から剥離する状態であるか、密着した状態であるかを問わず、シート先端検知処理において複数回回転する前に、逆セット状態を判定すれば処理を停止する。
【0102】
これによって、シート先端が繰出方向とは逆方向に出てしまい、連帳シートが使用困難になることを防止できる。また、シート先端が外周面に密着している状態で繰り返し回転して傷が着くことも防止できる。
【0103】
本実施形態に係るプリンタ1は、シート先端をロール9の外周面に密着させた状態で検知することもできるので、連帳シートPの厚み、コシ、カール状況などに拘わらず、シート先端を安定して検知することができる。そして、支持部11にロール9を装着するだけで、自動的に先端が検知されてガイド板19の間に挿入されるので、オペレータの手作業で連帳シートPを挿入する場合と比較して、連帳シートPをガイド板19の間に安定して挿入することができる。
【0104】
また、上記の実施形態によれば、第一信号変化率K1が第一閾値を超えてから第一時間t1が経過する前に、第二信号変化率K2が第二閾値を超えたタイミングを、通過タイミングとして判定する。これにより、ロール9の凹凸をシート先端と誤検知するのを防止することができる。
【0105】
また、上記の実施形態によれば、シート先端をXth回繰り返して検知するので、検知精度が向上する。また、判定閾値Xthをオペレータに設定させることにより、例えば、連帳シートPが薄い場合は判定閾値Xthを大きくし、連帳シートPが厚い場合は判定閾値Xthを小さくすることができる。その結果、検知精度及びスループットを両立させることができる。
【0106】
なお、シート先端が供給方向に対して傾斜している場合、シート先端がコロ17を通過する際の第一信号変化率K1が小さくなる傾向がある。そこで、上記の実施形態のように、先端検知処理でシート先端を適切に検知できない場合に、代替検知処理を実行することによって、連帳シートPの傾斜の度合いに拘わらず、シート先端を適切に検知することができる。
【0107】
また、本実施形態に係るプリンタ1における逆セット検知処理は、連帳シートPの逆セットを検知するための逆セット検知用のセンサ信号の単位時間あたりのセンサ出力変化量の閾値を設けることでロール9の逆セットを自動的に検知できる。そして、逆セットを検知したときには、プリンタ1の動作を停止させて操作パネル57に警告を表示するので、オペレータは適時に対応ができ、連帳シートPの浪費を防止できる。また、ロール9において連帳シートPの先端が外周面に密着した状態で逆セットされたときでも、これを検知することができる。この場合、先端検知処理を無駄に継続することなく、オペレータの作業効率を向上できる。
【0108】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1 :プリンタ
8 :スプール
9 :ロール
10 :シート供給部
11 :支持部
12 :供給モータ
13 :ガイドアーム
13a :対面部
13b :案内部
14 :支軸
15 :コイルバネ
16 :先端検知センサ
17 :コロ
18 :カッタ
19 :ガイド板
20 :搬送部
21 :搬送ローラ
22 :加圧ローラ
23 :搬送モータ
30 :画像形成部
31 :記録ヘッド
32 :キャリッジモータ
33 :プラテン
34 :主走査キャリッジ
40 :巻取り部
41 :巻取りローラ
42 :巻取りモータ
50 :コントローラ
51 :CPU
52 :RAM
53 :ROM
54 :HDD
55 :I/F
56 :共通バス
57 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2018-150107号公報
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