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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125775
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】封筒処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/62 20060101AFI20230831BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20230831BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230831BHJP
   B65H 43/04 20060101ALI20230831BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20230831BHJP
   B43M 3/04 20060101ALI20230831BHJP
   B43M 5/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65H29/62 Z
B65H37/04 Z
G03G15/00 431
B65H43/04
B65H5/06 J
B43M3/04
B43M5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030062
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】松田 昂大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F049
3F053
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA02
2H072AA16
2H072CA01
2H072CB01
2H072CB03
2H072CB06
2H072EA14
2H072EA15
2H072FB01
2H072GA00
2H072HA01
2H072HA07
2H072JA02
2H072JA04
3F048AA01
3F048AB04
3F048BA14
3F048BB03
3F048BB04
3F048DA06
3F048EA11
3F048EB24
3F048EB28
3F049AA04
3F049DA12
3F049EA17
3F049LA01
3F049LB05
3F053EA01
3F053EB04
3F053EC02
3F053EC06
3F053ED19
3F053LA01
3F053LB05
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB03
3F108HA02
(57)【要約】
【課題】複数の排出先を備え、かつ、封入物と封筒の搬送不良発生時において、搬送状態
が正常の他の封入物や封筒を好適な排出先へと排出する技術を提供する。
【解決手段】封筒に封入物を挿入する封入部と、封入物を封入位置に搬送する第一搬送手段と、略垂直かつ上下方向に延設された封筒搬送路を介して、封筒を封入位置に
搬送し、封入後の封筒を排出するための第一排出手段へと搬送する第二搬送手段と、第一
排出手段とは別に、封入物を排出可能な第二排出手段と、第一搬送手段及び第二搬送手段
における搬送動作を制御する制御手段と、を有する封筒処理装置による。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒に封入物を挿入する封入装置であって、
前記封入物を封入位置に搬送する第一搬送手段と、
略垂直かつ上下方向に延設された封筒搬送路を介して、前記封筒を前記封入位置に搬送し、封入後の前記封筒を排出するための第一排出手段へと搬送する第二搬送手段と、
前記第一排出手段とは別に、前記封入物を排出可能な第二排出手段と、
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段における搬送動作を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする封入装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第一搬送手段若しくは前記第二搬送手段又は前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段において、前記封入物若しくは前記封筒又は前記封入物及び前記封筒が異常搬送状態になったとき、異常搬送状態の原因ではない前記封入物と前記封筒を第一排出手段又は第二排出手段へ排出させるように前記搬送動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の封入装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第二搬送手段において前記封入物若しくは前記封筒又は前記封入物及び前記封筒が異常搬送状態になったとき、前記第一搬送手段で搬送中の前記封入物を前記第二排出手段へ排出させるように前記搬送動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の封入装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第一搬送手段において前記封入物若しくは前記封筒又は前記封入物及び前記封筒が異常搬送状態になったとき、前記第二搬送手段で搬送中の前記封筒を前記第一排出手段へ排出させるように前記搬送動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の封入装置。
【請求項5】
前記第二排出手段は、一旦排出させた前記封入物を前記第一搬送手段に戻す逆搬送動作も行う、
請求項4に記載の封入装置。
【請求項6】
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段は、通常の搬送時における搬送方向と、異常搬送状態が発生したときに当該搬送方向の逆方向となる逆搬送方向へと前記封入物及び前記封筒を搬送可能であり、
前記制御手段は、異常搬送状態が生じた位置に応じて、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段による搬送動作を前記搬送方向へ向かう動作とするか前記逆搬送方向へ向かう動作とするかを切り替えて制御する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の封入装置。
【請求項7】
封入物が挿入された封筒を封緘する封緘装置と、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の封入装置と、
を備えることを特徴とする封入封緘装置。
【請求項8】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記媒体を封入物として封筒に挿入する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の封入装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入装置、封入封緘装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を挿入する封入装置、封入物が挿入された封筒を封緘する封入封緘装置が知られている。また、シートの画像を形成する画像形成装置を含み、画像が形成されたシートを封入物として封入し封緘する画像形成システムも知られている。
【0003】
封入装置において、封筒が搬送不良になったとき、これを除去する必要がある。この場合、封筒が搬送不良となった位置を検知して対処が可能であると望ましい。搬送不良となった封筒を検知した情報に応じて排出先を変更し排出をする目的で、封筒供給部、搬送手段、複数の排紙口を有する構成が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成は、封筒に封入するための封入物の搬送も考慮した上で、封入物の搬送不良と、封筒の搬送不良に対する対応において課題がある。すなわち、従来技術では、封筒の搬送不良と封入物の搬送不良を合わせて考慮した上で、適宜の排出処理を行うことが可能である構成は知られていない。
【0005】
本発明は、複数の排出先を備え、かつ、封入物と封筒の搬送不良発生時において、搬送状態が正常の他の封入物や封筒を好適な排出先へと排出する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、封筒に封入物を挿入する封入装置であって、前記封入物を封入位置に搬送する第一搬送手段と、略垂直かつ上下方向に延設された封筒搬送路を介して、前記封筒を前記封入位置に搬送し、封入後の前記封筒を排出するための第一排出手段へと搬送する第二搬送手段と、前記第一排出手段とは別に、前記封入物を排出可能な第二排出手段と、前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段における搬送動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の排出先を備え、かつ、封入物と封筒の搬送不良発生時において、搬送状態が正常の他の封入物や封筒を好適な排出先へと排出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る封入システムの実施形態を示す正面外観図。
図2】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
図3】本発明に係る封入装置の実施形態の内部構成図。
図4】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図5】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図6】上記封入装置の封入動作におけるフラップ開機構の動作を例示する図。
図7】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図8】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図9】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図10】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図11】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図12】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図13】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図14】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図15】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図16】上記封入装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の例を示す図。
図17】上記封入装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の別の例を示す図。
図18】上記封入装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図19】上記封入装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図20】上記封入装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図21】上記封入装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図22】上記封入装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図23】上記封入装置が備える封入物押込部の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[封入封緘システムの実施形態]
まず、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係る画像形成システムの一例としてのプリントシステム1の正面外観図である。プリントシステム1は、画像形成装置200と、折り処理を行うシート処理装置としての折り処理装置300と、封入物を封入して封緘する封入封緘装置の実施形態としての封筒処理装置100と、後処理装置400と、を有している。プリントシステム1は、本発明に係る画像形成システムの実施形態でもある。
【0010】
画像形成装置200は、所定の画像形成方式により、シート状の媒体に対して画像を形成して搬出する装置である。画像が形成されたシート状の媒体(以下、単に「シートS」とする)は、折り処理装置300に排出される。
【0011】
折り処理装置300は、設定に基づいて、画像形成装置200から排出されてきたシートSに対して、所定の折り種、折り寸法によって折り処理を行い、折りシートSfを形成して排出する。また、折り処理装置300は、設定に基づいて、シートSをそのまま、下流側へと排出することもある。折り処理の実施又は不実施に係る設定や、折り処理の実行に用いられる設定は、画像形成装置200側から通知される設定情報(各種調整値)に基づく。折り処理を実行する機構は、各種調整値に基づいて、シートSの送り量の調整を行い、調整に合わせた折り位置において折り目を形成し、折りシートSfを形成する。所定の折り処理が施された折りシートSfは、封筒処理装置100に搬出される。
【0012】
また、折り処理装置300は、封筒処理装置100において折りシートSfを封筒Eに挿入するときの挿入方向の最後端が、折りシートSfの「折り目」になるように、折り寸法を調整する処理を実行する。
【0013】
封筒処理装置100は、シートSの搬入方向の上流側に配置される装置(折り処理装置300)において折り処理を行ってから搬送されてきた折りシートSf又は折り処理が行われていないシートSを封筒Eに挿入して封入する封入処理を行う。また、封筒処理装置100は、折りシートSf若しくはシートS又はこれら両方が挿入された封筒Eを封緘する封緘処理も行なう。また、封筒処理装置100は、折りシートSfや、シートSを封筒Eに封入せずに下流側に搬出することも可能である。この場合、封筒処理装置100の下流側に配置される後処理装置400へと搬出される。後処理装置400は搬入されたシートSに対してステイプル処理などの後処理を施す装置である。
【0014】
封筒処理装置100は、折り処理を施された折りシートSfを、封筒Eに対して適切な向きで封入するための搬送処理を行う。そこで、封筒処理装置100は、封入された折りシートSfに形成された宛先などの情報が、封筒Eに予め形成されている透明窓ewを透過して視認が可能である位置にくるように、折りシートSfの封入時の向きを調整する処理も行う。この調整処理は、搬送処理に含まれる反転搬送処理によって実現される。したがって、封筒処理装置100は、搬入時の折りシートSfにおける画像位置及び封筒Eに形成されている透明窓ewの位置に基づいて、折りシートSfの封入時の向きを搬入時の向きから反転させるか否かを判断する。そして、判断結果に基づいて搬送処理及び反転搬送処理を実行する。
【0015】
ここで、図1を参照しながら、本発明に係る実施形態の説明に共通して用いる「方向」について説明する。図1に示すように、プリントシステム1の載置面と平行する軸をY軸とする。プリントシステム1を構成する各装置の並び方向はY軸に沿っており、図1に示すようにY軸の矢印方向をY方向と定義する。画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、Y方向に搬出されて、その後、Y方向の下流側に配置される各装置へと搬送される。
【0016】
同じく載置面と平行する軸であって、Y軸と直交する軸をX軸とする。プリントシステム1の奥行き方向は、X軸の矢印方向であって、これをX方向と定義する。そして、X軸とY軸に直交するZ軸の矢印方向であって、プリントシステム1の高さ方向に相当するものをZ方向と定義する。図1に示すように、封筒処理装置100では、封入物を封筒に挿入する位置への搬送する構成、封入するための構成、封緘を行うための構成がZ方向に並ぶように配置されているので、封筒処理装置100の平面寸法を小型にすることができ、狭い設置空間においても運用可能なものを実現が可能である。以降の図においても同様の軸を付記し、軸の説明を省略する。
【0017】
[プリントシステム1の機能ブロック]
プリントシステム1の全体の機能ブロックについて、図2を用いて説明する。以下の説明において、搬送されて封筒Eに挿入され封入される媒体としての封入対象物は、画像形成装置200において画像が形成され、折り処理装置300において所定の折り処理が行なわれた折りシートSfとする。なお、図2では、シートS及び折りシートSfの移動経路(搬送路)を破線で表示し、各機能ブロック間で信号の送受に用いられる通信路は実線で表示している。
【0018】
画像形成装置200は、例えば、既知の電子写真プロセスによりシートSに画像を形成する装置である。画像形成装置200は、表示部210と、操作部220と、給シート部230と、作像部240と、定着部250と、プリンタ制御部260と、を備える。なお、画像形成装置200における画像形成プロセスは、電子写真プロセスに限定するものではなく、液体インクを媒体に吐出して画像を形成するインクジェット方式のものでもよい。また、これら以外の画像形成プロセスであってもよい。
【0019】
表示部210は、ユーザに各種機能の状態や操作内容を知らせるための表示をする。操作部220は、ユーザが処理動作モードや処理部数の設定を行うための操作インターフェースに相当する。
【0020】
操作部220を介して行われる操作には、折り処理装置300において実行する折り動作の種類(折り種)や折り寸法の設定、封筒処理装置100において封入する際に反転搬送を必要とする設定等も含まれる。操作部220を介して行われた設定に関する情報は、プリンタ制御部260から、折り制御部320や、封入封緘制御部190へと伝達される。
【0021】
給シート部230は、シートSをストックして一枚毎に分離して給送するシート給送機構を備える。作像部240は、感光体に潜像を形成しシートSへと画像を転写させる。定着部250は、シートSに転写された画像を定着させる。プリンタ制御部260は、上記の各ブロック機能ブロックの動作を制御する。
【0022】
折り処理装置300は、シート折り部310、折り処理装置300全体を制御する折り制御部320を有する。折り制御部320は、画像形成装置200のプリンタ制御部260から通信ライン207を通じて指定された折り種(折り方)、折り寸法に基づいて、シートSに対する折り処理を制御する。折り制御部320は、プリンタ制御部260及び下流に接続された封入封緘制御部190と通信も制御する。シート折り部310は、画像形成装置200から搬送されたシートSに対して、折り制御部320の制御に基づいて、指定された折り種(折り方)、折り寸法でも折り処理を実行する。なお、シート折り部310において折り処理を行なわずに封筒処理装置100へと搬出してもよい。
【0023】
図2に戻る。封筒処理装置100は、第一搬送手段としてのシート搬送部110、第二搬送手段としての封入部120及び封緘部130と、これらの動作を制御する制御手段としての封入封緘制御部190を有する。
【0024】
シート搬送部110は、上流装置としての画像形成装置200、折り処理装置300から搬送されてくるシートS及び折りシートSfを下流装置としての後処理装置400へ搬送するか、または、封入部120へと搬送する搬送処理を行う。シート搬送部110の動作制御は、封入封緘制御部190に対して上流装置から伝えられた制御モード(搬送されてくる媒体の種類、折りシートSfの場合折り方の種類、折り寸法、画像形成面Psの位置などを含む)により所定の処理を行う。これら制御モードは、プリンタ制御部260及び折り制御部320から封入封緘制御部190に対して通信ライン105を通じて伝えられる。
【0025】
以下、上流装置から搬送されて封筒処理装置100において搬送されるシートS若しくは折りシートSf又はこれら両方を総称して、搬送対象物と表記することがある。
【0026】
封入部120は、封筒Eに対して搬送対象物を封入可能な位置に移動させる。そして、移動された封筒Eを、搬送対象物が封入(挿入)可能な状態になるようにフラップefを開放して保持する。フラップefが開放されている封筒Eに搬送対象物が挿入されたあと、これを押し込んで封入する封入処理を行なう。
【0027】
封緘部130は、搬送対象物が封入された封筒Eを排出トレイ137へと搬送する途中でフラップefを閉じる封緘処理をし、そして、封緘した封筒Eを排出トレイ137へ排出する処理を行う。すなわち、封緘部130は、開いているフラップを綴じるフラップ閉部を備え、排出トレイ137へ封筒Eを搬送する。
【0028】
封入封緘制御部190は、シート搬送部110、封入部120及び封緘部130を構成する複数の搬送ローラ及び複数の切替爪の動作を制御する。封入封緘制御部190は、プリンタ制御部260及び折り制御部320から、搬送対象物に関する情報(以下、「封入対象情報」とする。)を受け取り、受け取った情報に基づいて搬送対象物に対する制御処理を行う。
【0029】
また、封入封緘制御部190は、複数の搬送ローラの間に配置されている搬送センサ(図2においては図示を省略)の検出信号を取得して、各搬送路にある封筒Eや、封入物の位置を特定する処理を実行する。また、封入封緘制御部190は、搬送路上の封筒Eや搬送物の搬送が正常搬送状態であるか、または、異常搬送状態(搬送詰まりや、滑りによる滞留など、正常搬送状態とは異なる状態をいう。)であるかを、搬送センサの検出信号に基づいて判定する処理を実行する。また、異常搬送状態であると判定したときは、後述するパージ搬送動作の制御をする。
【0030】
後処理装置400は、後処理部410と、後処理制御部420と、を有する。後処理部410は、上流側から搬送されてきたシートSに対し、後処理制御部420の制御により、所定の後処理を実行する。後処理制御部420は、プリンタ制御部260、折り制御部320、及び封入封緘制御部190から通信ライン403を通じて伝えられた動作モードにより、後処理制御部420における後処理動作を制御する。
【0031】
プリンタ制御部260、折り制御部320、封入封緘制御部190及び後処理制御部420は、相互に連結されていて、各通信ライン(207、105、403)を介して制御に必要な情報のやり取りが行なわれるように構成されている。また、各制御部(260、320、150、420)の連携によって、搬送対象物に対してユーザが行うことを要求する処理モードに関する情報や、シートサイズが相互に共有される。これによって、各機構が所定のタイミングと所定の工程によって所定の処理を実行可能とする制御情報がプリントシステム1全体において共有される。したがって、後述する封入時状態を調整する手段としての封入時状態調整手段は、各制御部(260、320、150、420)の連携によって構成される。
【0032】
なお、図1及び図2においてプリントシステム1の構成例として、封筒処理装置100の下流に後処理装置400が接続された例を示した。代表的な後処理装置400としてはステイプル処理を行うフィニッシャや、スタッカ、製本機などがある。また、プリントシステム1のシステム構成としては封筒処理装置100が最下流となる構成でもよい。
【0033】
[封筒処理装置100における搬送動作に係る構成]
次に封筒処理装置100が有するシート搬送部110と、封入部120と、フラップ開機構128と、封緘部130と、を構成する搬送ローラや、搬送物の搬送方向を切り替える切替爪、及び、これらが配置される搬送路について、図3を用いて説明する。封筒処理装置100は、各搬送ローラによって搬送される搬送対象物を搬送する。そして各搬送ローラの配置に対して、その間の各所に搬送路上の搬送物対象物の位置を検知する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、図3において黒塗り三角形(▲)で示し、符号は付していない。また、図3以降において、各搬送路による搬送物対象物の搬送動作に関する説明をするが、各図におけるセンサの図示は省略している。
【0034】
[シート搬送部110の構成]
図3に示すようにシート搬送部110は、各々搬送方向などが区別される複数の搬送路を有する。例えば、搬入経路1100、第一搬送路1101、第二搬送路としてのパージ搬送路1113、第三搬送路としての封入搬送路1104、第四搬送路としてのシート搬出路1109、を有する。
【0035】
搬入経路1100には、入口ローラ101が配置されている。搬入経路1100は、上流側に位置する装置(例えば、折り処理装置300)から排出された搬送対象物を受け入れる経路である。封入封緘制御部190が、上流側の制御部(プリンタ制御部260、折り制御部320)から搬送対象物に関する情報としての封入対象情報を受け取り、入口ローラ101の回転開始及び停止を制御する。
【0036】
入口ローラ101の下流側に設けられる第一搬送路1101には、第一搬送手段としての第一搬送ローラ111及び第一中間搬送ローラ103が配置されている。
【0037】
また、第一搬送路1101に続く下流側の搬送路であって、シート搬送部110を通過した搬送対象物を下流側の後処理装置400へと搬出するシート搬出路1109が設けられている。そして、シート搬出路1109には、出口ローラ102が配置されている。
【0038】
上流装置から搬入された搬送対象物に対して、後述する封入処理を行なわないときは、搬送対象物は搬入経路1100から第一搬送路1101を通過し、シート搬出路1109を介して下流側の装置へと排出される。
【0039】
以下の説明において、入口ローラ101から搬入された搬送対象物が、第一搬送路1101を介して出口ローラ102まで搬送されて、さらに下流へと搬出される処理を「通常搬送処理」と表記することがある。シート搬送部110が通常搬送処理を実行するときは、搬送対象物を封筒Eに封入する「封筒ジョブ」が実行されるときではなく、そのまま後処理装置400へと搬送する「印刷ジョブ」が実行されるときである。
【0040】
また、シート搬送部110には、第一搬送ローラ111の下流において第一搬送路1101から分岐する搬送路であって、搬送対象物が封入される封筒Eを保持する封入ローラ121へと続く第四搬送路としての封入搬送路1104を有している。封入物搬送路としての封入搬送路1104は後述するとおり、封筒搬送路1105へと連続するように構成されている。
【0041】
また、第一搬送路1101には、第一中間搬送ローラ103と第一搬送ローラ111の間であって第一搬送ローラ111の上流において、搬送対象物の搬送方向を切り替えるパージ分岐手段としてのパージ分岐爪11が配置されている。パージ分岐爪11によって、搬送対象物の搬送方向は、下流である封入搬送路1104またはシート搬出路1109とするか、パージ搬送路1113とするか切り替えることが可能である。
【0042】
パージ搬送路1113には、パージ搬送手段としての第一パージローラ114と、第二パージローラ115が配置されている。またパージ搬送路1113には、第二排出手段としてのパージ排出トレイ50が備えられている。
【0043】
また、シート搬送部110は、第一搬送路1101から封入搬送路1104に分岐する分岐位置に封入排出切替爪13が配置されている。封入排出切替爪13は、封筒排出路1108によって搬送されてきた搬送対象物を封入搬送路1104へ搬送させる状態と、シート搬出路1109へと搬送する状態と、を切り替える。
【0044】
ここで、シート搬送部110における搬送対象物の搬送処理について概要を説明する。第一搬送路1101に搬送された搬送対象物は、第一中間搬送ローラ103によって第一搬送ローラ111へと搬送される。そして、第一搬送ローラ111は、搬送されてきた搬送対象物を下流へ搬送する。ここで、封入排出切替爪13が図3に示す状態のとき、すなわち、搬送対象物を搬送する方向として、封入搬送路1104側を開放し、出口ローラ102側を閉じている状態のときは、搬送対象物が封入搬送路1104へと搬送される。
【0045】
なお、第一中間搬送ローラ103から第一搬送ローラ111へ搬送されてくる搬送対象物の後端が搬送センサで検知された後、所定の距離を搬送されたときには、搬送対象物がすでに封入搬送路1104へと移動をしている状態になる。この状態に至っていることを封入封緘制御部190が判断したとき、シート搬送部110において回転している各搬送ローラの動作を停止する。これによって、搬送対象物を封筒Eに挿入して封緘処理に向かわせるまでの間、後続の搬送対象物が先行する搬送対象物に衝突しないように制御が可能である。
【0046】
また、第一中間搬送ローラ103から第一搬送ローラ111へ搬送され、さらに出口ローラ102へと搬送された搬送対象物の後端が搬送センサで検知されたときは、搬送対象物はすでに後処理装置400へと排出されている。この状態に至っていることを封入封緘制御部190が判断したとき、シート搬送部110において回転している各搬送ローラの動作を停止する。
【0047】
封筒処理装置100が備える各搬送ローラを動作させる駆動源は、各搬送ローラを構成するローラ対の一方のローラに対して個別に駆動力を供給し、他方は従動するように構成されている。例えば、各搬送ローラに対して対応する駆動源となるモータを個別に備え、各モータの回転制御は個別に行われる。これによって、特定の搬送ローラを回転させ、他の搬送ローラを停止させるなどの制御を行う。なお、一つのモータにより複数のローラを駆動するように構成してもよい。その場合でも、各ローラ(ローラ対)の回転・非回転の制御を個別に行えるように構成すればよい。
【0048】
[封入部120の構成]
図3に示すように封入装置としても機能する封入部120には、シート搬送部110が備える第四搬送路としての封入搬送路1104と連結する縦搬送路としての封筒搬送路1105が設けられている。封筒搬送路1105は、封筒処理装置100の載置面(X-Y平面)に対して、交差する方向、より詳しくは、X-Y平面に対する直交方向(Z方向)であって、いわゆる上下方向に延設されている。言い換えると、封筒搬送路1105は封入搬送路1104から略鉛直方向に延設されている搬送路である。したがって、封筒処理装置100において、封筒Eを封入位置に搬送するときの搬送方向は、封筒搬送路1105のように縦方向である。
【0049】
封入物が挿入される前の封筒Eは、封筒セットトレイ127に載置されている。封筒搬送路1105を介して、封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、後述する封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと運ばれて、封筒搬送路1105に沿って配置される封入位置へと搬送される。
【0050】
封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと運ばれるときに、封筒Eのフラップefは開けられる。そして、フラップefが開いた状態の封筒Eが封入位置へと搬送される。この一連の動作については、後述する。
【0051】
封入位置に搬送されて搬送対象物が挿入された後の封入後の封筒Eは、封筒排出トレイ134へと至る途中の封緘搬送路1106において封緘される。封緘された封筒Eは、封筒排出トレイ134へと搬送されて排出される。この排出時の搬送路としても封筒搬送路1105は利用される。
【0052】
この一連の封筒Eの搬送方向の切り替えは、搬送中の封筒Eの位置に応じて適宜動作する爪状部材によって実現される。また、封筒搬送路1105を構成するローラ対によって、封筒Eの位置に応じて搬送方向の切り替えが行われ、一旦搬送された方向とは逆の方向へと搬送されるスイッチバック搬送動作も実現される。また、封入物は、第一搬送路1101から分岐する封入搬送路1104と直結する封筒搬送路1105へと搬送される。したがって、封筒搬送路1105の一部は、封入物の搬送路も構成する。
【0053】
以上のように、封入動作と封緘動作のために封筒Eを搬送する構成と、封筒Eに対して封入物を搬送する構成を、封筒処理装置100の載置面に対する縦方向に配置しているので、封筒処理装置100は設置面積を省くことが可能である。そして、封筒処理装置100を含むプリントシステム1においても小型化を図ることも可能である。
【0054】
封筒搬送路1105は、封筒Eを所定の位置としての封入位置まで搬送して、封入物が封入されるように封筒Eを保持する封筒保持機構を備える。そして、封筒搬送路1105には、封入物が封入された封筒Eに対して封緘処理を行うための封緘搬送路1106へ連結している。
【0055】
封筒搬送路1105には、搬送対象物を受け入れる位置に封筒Eを搬送するための封筒搬送手段としての第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123が配置されている。封筒搬送路1105において、第一縦搬送ローラ122の上方(+Z方向)には、封筒Eに封入物を搬送して供給する封入物搬送手段としての封入ローラ121が配置されている。
【0056】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123によって封入位置に搬送されて保持された封筒Eに対して、封入ローラ121が封入物を封入方向(-Z方向)に搬送して封入動作が行われる。
【0057】
また、封入ローラ121と第一縦搬送ローラ122の間であって、封筒搬送路1105の側方には、封入物押込部160が配置されていて、封入動作時に封筒Eの開口に向けて封入物の後端を押す動作を行う。
【0058】
封入物押込部160は、図23に例示するように、押込爪161を備えている。押込爪161は、所定の位置から-Z方向へと移動する構成を備えている。そして、押込爪161の移動制御は、封入封緘制御部190による。したがって、封筒Eが封入位置に搬送され、フラップefを開放した状態で保持されているときに、上流側から挿入されたシートSの後端を押込爪161が押すように移動することで、封入処理を行うことが可能である。
【0059】
封筒搬送路1105から封緘搬送路1106へ続く搬送路の連結位置であって、封筒セットトレイ127から取り出した封筒Eを封筒搬送路1105へと搬送する封筒搬入路1107との連結位置には、フラップ開機構128が配置されている。フラップ開機構128は、封筒保持トレイとしての封筒セットトレイ127から取り出された封筒Eを封筒搬送路1105へと搬送するときに、フラップefを開くための構成を備えている。また、フラップ開機構128は、フラップefが開いた封筒を封入位置へと搬送するように搬送方向を切り替えるスイッチバック搬送のための構成も備えている。
【0060】
封筒搬送路1105と封筒搬入路1107が合流する合流点には、フラップ開機構128における搬送ガイド部材としての封筒スイッチバック切替爪21が配置されている。
【0061】
また、封筒スイッチバック切替爪21の下方(-Z方向)であって、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105が合流する位置を第一分岐位置として、この第一分岐位置の下方(-Z方向)に、フラップ開機構128を構成するフラップ開ローラ124が配置されている。
【0062】
フラップ開ローラ124は、駆動ローラと従動ローラが対になって構成されていて、駆動ローラと従動ローラの外周面によって封筒Eが挟持され、駆動ローラの回動によって封筒Eが搬送されるように構成されている。そして、駆動ローラ側の回転軸と同軸で回動するように、この駆動軸にラップ開手段としてフラップ開爪40が取り付けられている。
【0063】
第一分岐位置の下方に配置されているフラップ開ローラ124と、第一分岐位置の上方に配置されている第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123と、によって、第一縦搬送手段が構成される。
【0064】
封筒搬送路1105に合流する封筒搬入路1107には、分離ローラ125と封筒搬送ローラ126が配置されている。分離ローラ125によって、積載されている封筒Eが封筒セットトレイ127から一部が取り出される。そして、封筒供給手段としての分離ローラ125と封筒搬送ローラ126によって封筒Eは封筒搬送路1105へと供給される。
【0065】
封筒セットトレイ127には、複数の封筒Eが載置されている。封筒Eは、外形、寸法に関わらず、頭部と底部があり、頭部には開口部が形成されていて、さらに開口部を閉じるための蓋として機能するフラップefが備わっている。封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、フラップefの反対端となる底部を分離ローラ125側に向けた状態になっていて、フラップefは閉じた状態になっている。なお、フラップefが閉じた状態とは、フラップefの先端部が、封筒Eの本体側に接近する態様になるように、封筒Eの本体との境界位置で折り曲げられた状態をいう。
【0066】
封筒セットトレイ127から封筒Eが搬出されるときは、その搬送方向における先端は、封筒Eの底部である。また、搬送方向における後端が、折り曲げられた状態のフラップefとなる。
【0067】
したがって、本実施形態においては、封筒セットトレイ127に積載されている状態から分離されて封筒搬入路1107をフラップ開ローラ124に向けて搬送されるときの封筒Eの搬送方向下流側が封筒Eの底部であり、搬送方向上流側が封筒Eのフラップefである。言い換えると、封筒搬入路1107において搬送される封筒Eの底部が、封筒搬入路1107における「搬送方向先端」に相当し、またフラップefが封筒搬入路1107における「搬送方向後端」に相当する。
【0068】
封筒セットトレイ127から分離ローラ125によって搬出された封筒Eは、封筒搬送ローラ126によって封筒スイッチバック切替爪21を超える位置まで搬送される、封筒Eが越えた封筒スイッチバック切替爪21は、回動して搬送方向を切り替える位置になる。
【0069】
封筒スイッチバック切替爪21は、封筒セットトレイ127から封緘搬送路1106にまで封筒Eを一旦搬送させるための位置と、封筒搬送路1105においてシート搬送部110側に封筒Eを搬送するための位置のいずれかに保持される。すなわち、封筒スイッチバック切替爪21は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0070】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123は、封筒Eを封筒搬送路1105の所定の位置に搬送して保持する。ここでの所定の位置は、後述するように、封筒Eの開口の位置(フラップefの位置)が封入ローラ121よりも下方であり、第一縦搬送ローラ122よりも上方に相当する位置である。
【0071】
封入ローラ121は、シート搬送部110から搬送されてきた搬送対象物を封筒Eへと封入する方向に回転する搬送ローラの一種である。
【0072】
[封緘部130の構成]
図3に示すように封緘部130においては、封緘搬送路1106に、スイッチバック搬送手段としての第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が配置されている。また、封緘搬送路1106から分岐する第二分岐位置から分岐する封筒排出経路としての封筒排出路1108を有している。そして、第二分岐位置には、封筒排出切替爪31が配置されている。封筒排出路1108には、封筒排出ローラ133が配置されていて、端部には、封筒排出路1108は配置されている。
【0073】
第三縦搬送ローラ131及び第四縦搬送ローラ132は、第二縦搬送ローラ手段を構成し、封筒Eを封緘搬送路1106の所定の位置に搬送して保持する。
【0074】
封筒排出切替爪31は、封入搬送路1104においてフラップ開ローラ124側から第三縦搬送ローラ131へと封筒Eを搬送する位置と、封入搬送路1104から封筒排出路1108へ封筒Eを搬送する位置と、の間で回動する。封筒排出切替爪31は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0075】
封緘搬送路1106には、フラップefを閉じる「封緘処理」を行う封緘手段としての封緘機構135が配置されている。封緘機構135は、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によって搬送されてきた封筒Eのフラップefが開いている状態であれば、これを閉じる処理を行う。
【0076】
封筒排出ローラ133は、封筒排出トレイ134に向けて封筒Eを排出するローラである。
【0077】
封筒積載手段であって第一排出手段としての封筒排出トレイ134は、排出された封筒Eを載置するトレイである。
【0078】
以上説明したとおり、封筒処理装置100は、シート搬送部110から、封入部120と封緘部130へと搬送対象物を搬送する搬送路が、縦方向(Z方向)において連結されて配置されている。搬送対象物の搬送路でもあり封筒Eの搬送路でもあるこの搬送路は、封入部120の封筒搬送路1105と封緘部130の封緘搬送路1106を、縦方向(Z方向)において連結した縦搬送路に相当する。
【0079】
[封入処理及び封緘処理の流れ]
次に、封筒処理装置100における封入動作及び封緘動作の一連の流れの例について、図4から図15を用いて説明する。なお、各図において、各動作段階の説明に用いられる構成にのみ符号等を付している。また、説明のために、各処理の段階を区別しているが、同時並行により処理が進行してもよい。なお、図4から図15には、搬送ローラの間に配置され、搬送対象物や封筒Eの位置や搬送状況を検出するための搬送センサ(▲)の図示は省略してある。
【0080】
まず、図4に示すように、複数の封筒Eが積載されている封筒セットトレイ127から分離ローラ125によって封筒Eを一つずつ分離し、封筒搬送ローラ126によって、フラップ開ローラ124まで搬送する。このとき、封筒スイッチバック切替爪21と封筒排出切替爪31は、図3でも例示した方向に向いている。また、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒Eを下方に搬送する方向に回転し、封筒Eを封入搬送路1104における所定の位置にまで搬送する。
【0081】
続いて、図5に示すように、封筒Eがフラップ開ローラ124を通過しきるころには、フラップ開機構128によってフラップefが開いた状態になっている。この状態で封筒Eは、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の回転によって、続く図6の状態に至る。
【0082】
図6に示すように、封筒Eのフラップefが開いた状態になった後であってフラップefがフラップ開ローラ124を抜けた位置に至った後において、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する。この動作によって、封筒Eを、封入部120の所定の位置に向けたスイッチバック搬送が実行される。また、スイッチバック搬送が開始される前、または同時に、封筒スイッチバック切替爪21が図6で示す方向に回動する。これによって、封筒搬送路1105の上方に向けて封筒Eを搬送することが可能である状態になる。フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒スイッチバックローラを構成する。
【0083】
そして、図7に示すように、スイッチバック搬送手段を構成する第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122によって封筒Eが封入位置に搬送される。フラップefが第一縦搬送ローラ122を抜けた位置に至れば、第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122の回転を停止させて、封入待機動作に入る。
【0084】
なお、封筒Eを封入位置まで搬送する制御において、分離ローラ125が封筒Eを取り出した後、各搬送ローラの回転量から封筒Eの搬送量を算出する処理を実行する。合わせて、算出される封筒Eの長さ及びフラップefの長さと、封筒Eの搬送量と、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105を通過して搬送する搬送路長と、に基づけば、封入搬送路1104内での封筒Eの位置を判断することが可能である。
【0085】
封筒Eを図8に示すように、封筒Eを封入位置に保持した状態で、封筒処理装置100は、上流側装置(折り処理装置300)から搬送対象物を入口ローラ101で受け入れて第一搬送路1101へと搬送する。
【0086】
続いて、図9に示すように、搬送対象物を第一中間搬送ローラ103と第一搬送ローラ111によって下流に搬送する。このとき、パージ分岐爪11と封入排出切替爪13は、図7に示す状態になっているので、搬送対象物は、第一搬送路1101から封入搬送路1104へと搬送される。
【0087】
その後、図10に示すように、封入搬送路1104から封筒搬送路1105へと搬送された搬送対象物は、封入ローラ121によって、さらに下方へと搬送される。其の結果、搬送対象物は、第一縦搬送ローラ122などによって、封筒搬送路1105の所定の封入位置で保持され開口が開放された状態の封筒Eへと封入される。この封入動作において、封入手段を構成する押込機構としての封入物押込部160によって搬送対象物が封筒Eに押し込まれる。
【0088】
押し込み処理がされた搬送対象物と封筒Eは図11に示すように、第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123を回転させて、封筒Eを下方に搬送する。そして、図12に示すように、封筒Eを第四縦搬送ローラ132まで搬送されて、フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至る。
【0089】
フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至った後、図13に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132との間で、封緘機構135によってフラップefを閉じて、封筒Eを封緘する。
【0090】
封緘処理後、図14に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132を逆転して、封緘された封筒Eを第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によってスイッチバック搬送する。第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する以前に、封筒排出切替爪31を回動させて、図14に示す状態にする。これによって、封入された封筒Eは、封筒搬送路1105から封筒排出路1108へと搬送される。
【0091】
その結果、図15に示すように、封緘された封筒Eが封筒排出ローラ133により、封筒排出トレイ134に排出される。
【0092】
[パージ搬送動作の実施形態]
次に、図16を参照しながら、封筒処理装置100が行うことが可能であるパージ搬送動作について概要を説明する。図16は、図3に示した封筒処理装置100の内部構成において、パージ搬送動作を実施する前の搬送に異常をきたした状態(封筒EやシートSの異常搬送状態)を例示している。
【0093】
以下の説明において、封入部120へと縦搬送路において搬送されてくる封筒Eと封筒処理装置100の上流から搬送されてくる搬送対象物としてシートSのみを前提とする。なお、折りシートSfを搬送対象物としても同様である。
【0094】
次に、本発明に係る実施形態において、上記の構成を備える封筒処理装置100において実行される制御処理に関し、図16以降の図面を参照しながら説明する。以下の説明では、図16に示すように、封筒処理装置100が備える複数の搬送路において、搬送対象物や封筒Eが少なくとも一つ以上存在し、かつ、そのいずれかの搬送対象物や封筒Eが異常搬送状態になっているとする。この状態に至ると、封筒処理装置100が実行する搬送動作や封入動作は異常停止(搬送不良)になる。
【0095】
ここで「異常搬送状態」とは、搬送詰まりや、滑りによる滞留など、正常搬送状態とは異なる状態を指している。その中でも特に搬送に異常をきたし通常搬送処理、またはその他の動作や処理および機能に対して進行不可、故障や不全を引き起こす可能性を持った状態となるものを、本実施形態に係る「異常搬送状態」とする。このような異常搬送状態は適切な処理を実行しなければならいない。なお、本実施形態に係る異常搬送状態としては、様々な状況が想定される。搬送対象物であるシートSまたは封筒Eが搬送路の途中において引っ掛かるなどして滞留する「搬送詰まり(搬送ジャム)」がその一例である。また、搬送ローラに対して搬送対象物や封筒Eが滑ってしまい、搬送ローラの駆動量に対して搬送対象物などが所定の搬送状態にならない場合も異常搬送状態の一例にあたる。
【0096】
上記の異常搬送状態が、封筒処理装置100が備える複数の搬送路の内のいずれかで生じた場合、その異常原因を解消するためには原因となった箇所の処理と合わせて、異常搬送状態の原因になっていない搬送対象物も取り除く対象となる。その結果、異常搬送状態の原因箇所以外の搬送路内に存在するすべての搬送対象物などを除去処理しなければならない。また上記での除去処理を実行した場合に原因箇所以外の搬送対象物または封筒Eは問題の無いものだとしても、処理中に傷や損傷を受けることで再利用不可(廃棄対象物)となってしまうことある。
【0097】
すなわち、封筒処理装置100が備える複数の搬送路に同時期に存在する複数の搬送対象物のいずれかに異常搬送状態が発生すると、正常搬送状態へと回復させるには、異常搬送状態にはなっていない搬送対象物を搬送路から除去するための工数を要する。そして、除去処理をした搬送対象物の分だけ廃棄せざるを得ない廃棄対象物を増加させる可能性もある。
【0098】
したがって、異常搬送状態の原因ではない搬送対象物などは、廃棄対象物としない除去方法で処理することで再利用可能とし、処理工数削減の実現、より効率の良い封入処理を実現するが可能である。
【0099】
本実施形態に係る封筒処理装置100は、上流から搬送されるシートSに対して封入した封筒Eを排出する第一排出部としての封筒排出トレイ134とは別に、第二排出部としてのパージ排出トレイ50を備える。特に封入および封緘の各機能一連の搬送中にシートSや封筒Eが搬送詰まりなどの異常搬送状態と原因箇所に応じて、異常搬送状態となっていない搬送対象物(シートS、封筒E)をいずれかの排出トレイに自動で排出可能とする機能を備える。
【0100】
図17に例示するように、パージ排出トレイ50を封入部120よりも上流に設ける。そして、パージ排出トレイ50への搬送路として、シート搬送部110と封入部120を境にして封入動作をする搬送路(第一搬送路1101)から枝分かれをする搬送路であるパージ搬送路1113を設ける。パージ搬送路1113の上流にはパージ分岐爪11を備えており、シート搬送部110、および上流からの搬送対象物(シートS)、図17の図示では搬送対象物(第二シートS2)はパージ分岐爪11によって、封入方向またはパージ排出トレイ50による排出方向を選択可能な機能を備えている。このとき封入部120において異常搬送状態を生じた場合に、シート搬送部110に位置する上流から搬送される搬送対象物S2の搬送方向を、パージ分岐爪11によってパージ搬送路1113側へと切り替える。この切り替え動作による搬送経路の変更により、上流側の搬送対象物(第二シートS2)が、異常搬送状態となっている搬送対象物(第一シートS1)に追従して悪化することを防止し、パージ排出トレイ50から損傷等の無い状態で排出を可能にする。
【0101】
なお、パージ排出トレイ50は、封筒処理装置100が備える複数の搬送路のいずれかにおいて異常搬送状態が発生したときに、搬送状態が正常であるシートSの退避先の一つとして機能する。また、パージ排出トレイ50は、退避処理後のシートSを封入物として搬入させる機能も備える。この場合、第二パージローラ115と第一パージローラ114をパージ搬送処理のときの回転方向の逆方向に回転させる(逆転させる)。
【0102】
[第一実施形態]
次に、封筒処理装置100が備えるパージ搬送動作の第一実施形態について説明する。図17は、特にシートSが封入処理前に搬送経路内で搬送不良が発生した場合を例示している。すでに説明したとおり、封筒処理装置100は、搬送ローラの間に搬送センサを備えている(図示は省略)。各搬送センサの検出信号を封入封緘制御部190が監視することで搬送対象物が、どの搬送路にいくつ存在するかを判定することが可能である。
【0103】
例えばシートSが各搬送路センサの位置を通過しているときには検出信号が「オン」になり、非通過状態では検出信号が「オフ」になるように構成されているものとする。この場合に、ある搬送センサの検出信号が「オン」になっている時間を計測することで、当該搬送センサが設置されている位置に関する情報と合わせて、その搬送路における搬送対象物の速度(線速)と搬送対象物の搬送方向の長さや滞留時間を算出することが可能である。特に、これらの算出した情報に応じて当該搬送路において、搬送対象物が正常に通過(搬送)しているか、搬送の遅れの有無または滞留しているか(異常搬送状態であるか)を判定することが可能である。
【0104】
ここで、入口ローラ101から封筒排出ローラ133の間の搬送路を構成する搬送ローラの間に搬送センサを一つずつ配置している場合であって、先行する第一シートS1が封入ローラ121からフラップ開ローラ124の近傍にて、封入物押込部160や封筒スイッチバック切替爪21などに接触して封筒搬送路1105に滞留していると仮定する。このような場合、各位置に設置されている搬送センサの検出信号が常にオン状態になるので、その位置で滞留物があるということを判定している。
【0105】
なお、シートSの搬送方向の長さ寸法が長いものが存在した場合、また、搬送路上に複数のシートSが存在した場合でも、搬送路に設置されている複数の搬送センサの検出信号を取得しすることで、滞留している搬送対象物の位置を判定することが可能である。特に搬送方向の長さが長いものの場合、その範囲を判定することができる。そして、複数のシートSが存在する場合、それぞれの位置を判定することができる。そのため、通常搬送状態にある搬送対象物および封筒Eは(滞留となった搬送対象物以外の搬送対象)、オン状態よりその位置とオン状態になってからの検出時間から通常搬送状態と判定することも可能である。
【0106】
図17に例示するように、封入部120において第一シートS1が搬送詰まりを起こした場合、これよりも搬送方向上流(手前)に配置されているパージ分岐爪11より上流のシートS(第二シートS2)は、通常搬送状態であれば第一パージローラ114と第二パージローラ115を用いて、パージ排出トレイ50から排出するように搬送を制御すればよい。
【0107】
仮に、パージ分岐爪11よりも下流であって封入ローラ121よりも上流において、シートSが通常搬送状態で存在しているならば、封入排出切替爪13より出口ローラ102の方へと第二シートS2を搬送すれば、後処理装置400から第二シートS2を排出が可能である。
【0108】
例えば、図17に示すように、封入直前の位置で第一シートS1が搬送詰まり起こした場合を想定する。このような想定の状態が生ずる原因は、封筒スイッチバック切替爪21または封入物押込部160が予定する動作にそぐわず飛び出してしまい第一シートS1の先端が接触し、搬送が停止してしまうことが一例として挙げられる。
【0109】
この場合、第一縦搬送ローラ122から第二縦搬送ローラ123の間に第一シートS1が搬送詰まりを起こしている。このとき封筒セットトレイ127より供給された封筒Eはフラップefが開けられた状態で、第一シートS1の下流側で搬送を一時的に停止となる。
【0110】
このとき、停止した封筒Eは、フラップefが開状態になっている以外に損傷がなく搬送可能であるものと仮定し、かつ封筒セットトレイ127にセットされた封筒Eの積載状態は不明で、分離ローラ125を塞いでしまっている可能性も想定される。このような場合は、封筒排出トレイ134へと封筒Eを排出させる。その処理動作として、封入位置へ向かうのではなく、第四縦搬送ローラ132まで封筒Eを搬送させて、封入後の搬送と同じく封筒排出ローラ133に搬送させ排出する。以上の搬送動作(処理機能)を「パージ排出動作(パージ排出処理)」とする。
【0111】
また、搬送詰まりとなった第一シートS1の後端がある第一縦搬送ローラ122よりも上流に、第二シートS2が搬送されているときは、第二シートS2の位置が封入排出切替爪13よりも上流か、パージ分岐爪11よりも上流か否かで搬送方向の変更をする。封入排出切替爪13よりも上流であってパージ分岐爪11よりも下流に第二シートS2が存在するときは、出口ローラ102によって後処理装置400へと搬送させる。パージ分岐爪11よりも上流に第二シートS2が存在するときは、パージ分岐爪11を回動させて、パージ搬送路1113を介してパージ排出トレイ50から排出させる。
【0112】
図18より異常搬送状態箇所の違いによるパージ排出処理について例を用いて説明する。以下において説明では、封入処理を完了した封筒Eがフラップ開ローラ124よりも上流において搬送詰まりを発生した場合、またはシートSが封入排出切替爪13よりも上流においてパージ分岐爪11等に引っ掛かって詰まった場合を例示する。フラップ開ローラ124より上流でパージ分岐爪11より下流に異常搬送状態が発生し、フラップ開ローラ124より下流に押し込み処理がされた搬送対象物と封筒Eが通常搬送状態で存在していた場合に、フラップ開ローラ124より下流の通常搬送状態のものは、通常の動作と同じく封筒排出ローラ133によって搬送させて排出処理をさせる。同様にパージ分岐爪11より上流に異常搬送状態が発生し、押し込み処理の実行の有無に限らず封入排出切替爪13より下流に搬送対象物および封筒Eは下流の封筒排出ローラ133によって排出処理を実行する。ただし封入封緘処理等(押し込み処理または封緘処理)が未実施であり当該封入排出切替爪13より下流の搬送路が通常搬送状態であった場合は、封入処理(押し込み処理)および封緘処理後に封筒排出ローラ133によって排出処理をさせる。
【0113】
したがって、封入処理前後において、関係なく詰まったシートSより下流の封筒Eは、封筒排出ローラ133に近いものから上記動作をさせることで搬送路から排出処理(パージ排出処理)をすることが可能である。
【0114】
[第二実施形態]
次に、封筒処理装置100が備えるパージ搬送動作の第二実施形態について説明する。すでに説明をした第一実施形態によるパージ処理以外にも、排出するための搬送路(封筒排出路1108、封筒排出路1108、封筒排出路1108)以外の搬送路でも、搬送詰まりに対して、除去処理による廃棄となってしまうシートSを削減することが可能である。
【0115】
図19図20図21は、パージ搬送動作(パージ排出処理)の一例としての搬送を逆転させる逆搬送動作を説明するための図である。いずれも、封入部120よりも下流において、封入処理前後の封筒Eが搬送中に異常搬送状態となった場合のパージ動作の例を示している。本実施形態は、封筒Eが分離ローラ125によって封筒セットトレイ127から取り出されて封筒搬入路1107を介して搬送され、封入処理後に封筒排出ローラ133によって封筒排出トレイ134へと排出されるまでの間の異常状態(搬送不良)に対するパージ排出機能を提供する。
【0116】
例えば、封入後の封筒Eが、封筒排出切替爪31に引っ掛かってしまい、第三縦搬送ローラ131の近傍において滞留した場合に、第二シートS2の搬送位置によって、第二シートS2のパージ処理において、排出先を適宜選択することが可能である。
【0117】
図19に示すように、封入部120よりも上流にある第二シートS2が、パージ分岐爪11よりも上流にあると判定できた場合、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0118】
仮に、パージ排出トレイ50が設けられていない場合や、パージ排出トレイ50にすでに排出されている搬送対象物が満載されているときなどは、パージ分岐爪11を回動させずに出口ローラ102によって後処理装置400へと搬送(排出処理)すればよい。
【0119】
また、図20に示すように、封入部120よりも上流にある第二シートS2が、パージ分岐爪11近傍にあることが判定された場合、パージ排出トレイ50へと排出させるためにパージ分岐爪11を回動すると、第二シートS2を傷つける可能性がある。
【0120】
そこで、この場合は、搬送対象物を通常の搬送方向の逆方向(逆搬送方向)に搬送する「逆搬送動作(逆搬送処理)」を用いて、下流から上流に向けて搬送を逆転させる。例えば、入口ローラ101、第一中間搬送ローラ103、第一搬送ローラ111及び封入ローラ121を逆転させて、第一中間搬送ローラ103の上流にまで第二シートS2を逆搬送させる。この逆搬送制御は、各搬送ローラの間に設置されている搬送センサの検出信号に基づいて行う。これによって、パージ分岐爪11の上流に至るまで、一旦、第二シートS2を逆搬送し、その後、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0121】
また、図21に示すように、封入部120よりも上流にある第二シートS2が、封入排出切替爪13の近傍にあるか、または封入部120内の下流に滞留した封筒Eが存在することで逆搬送させなければパージ排出できない箇所に第二シートS2が位置することもある。封入排出切替爪13のように、搬送路を切り替える構成を先に動作させると、第二シートS2を傷つけてしまう場合、搬送対象物を下流へと搬送してもパージ排出できないときもまた、逆搬送させる。
【0122】
図21の例では、入口ローラ101、第一中間搬送ローラ103、第一搬送ローラ111及び封入ローラ121を逆転させて、第一中間搬送ローラ103の上流にまで第二シートS2を逆搬送させるこれによって、パージ分岐爪11の上流に至るまで、一旦、第二シートS2を逆搬送し、その後、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0123】
以上のように、本実施形態に係る封筒処理装置100では、封入部120よりも上流に第二シートS2を逆搬送させれば、パージ排出を行うことが可能である。また仮に、パージ排出トレイ50が設けられていない場合や、パージ排出トレイ50にすでに排出されている搬送対象物が満載されているときなどは、パージ分岐爪11を回動させずに出口ローラ102によって後処理装置400へと搬送すればよい。
【0124】
[第三実施形態]
次に、封筒処理装置100が備えるパージ搬送動作の第三実施形態について説明する。図22は、特に複数のシートSが封入処理前に搬送経路内のうち、封入部120よりも上流に存在し、封入部120よりも下流において、封入処理前後の封筒Eが搬送中に異常搬送状態となった場合のパージ動作の例を示している。図22に例示するような状況においても、搬送ローラを適宜逆転させて、シートSごとに逆搬送する位置を区別することで、パージ排出処理を実行することが可能である。
【0125】
図22に例示するように、入口ローラ101と第一中間搬送ローラ103の間に第二シートS2が存在し、第一搬送ローラ111と封入ローラ121、第一縦搬送ローラ122、第二縦搬送ローラ123の間に第一シートS1が存在する場合を想定する。この場合、パージ分岐爪11や封入排出切替爪13などのように、回動によってシートSを傷つける可能性がある構成の近傍にあるシートSのうち、上流側にあるものから、順次処理を行う。
【0126】
まず、第二シートS2に対するパージ排出処理を行う。第二シートS2は、パージ分岐爪11の上流に位置するので、パージ分岐爪11を回動させてパージ排出トレイ50へと排出する。この処理によって、入口ローラ101から第一搬送ローラ111までの第一搬送路1101が空く。そこで、第一シートS1を第二実施形態(図21にて説明)と同様に、上流へと逆搬送させてパージすることが可能である。
【0127】
仮に、第二シートS2が図22に示す位置にあり、第一シートS1の後端が第一中間搬送ローラ103と第一搬送ローラ111の間に位置するとしても、第一搬送ローラ111を通過してパージ分岐爪11が後端に接触しない位置に一旦搬送させる。その後、パージ分岐爪11を図20に示す位置に回動して、第一シートS1を第一中間搬送ローラ103の上流にまで逆搬送させる。その後、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0128】
なお、本実施形態に係るパージ排出処理は、搬送センサによって検出可能な搬送長さを有するシートSであって、位置を移動させることで後端が封入排出切替爪13近傍を通過可能な程度の長さのものに限定される。
【0129】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1 :プリントシステム
11 :パージ分岐爪
13 :封入排出切替爪
21 :封筒スイッチバック切替爪
31 :封筒排出切替爪
40 :フラップ開爪
50 :パージ排出トレイ
100 :封筒処理装置
101 :入口ローラ
102 :出口ローラ
103 :第一中間搬送ローラ
105 :通信ライン
110 :シート搬送部
111 :第一搬送ローラ
114 :第一パージローラ
115 :第二パージローラ
120 :封入部
121 :封入ローラ
122 :第一縦搬送ローラ
123 :第二縦搬送ローラ
124 :フラップ開ローラ
125 :分離ローラ
126 :封筒搬送ローラ
127 :封筒セットトレイ
128 :フラップ開機構
130 :封緘部
131 :第三縦搬送ローラ
132 :第四縦搬送ローラ
133 :封筒排出ローラ
134 :封筒排出トレイ
135 :封緘機構
137 :排出トレイ
160 :封入物押込部
161 :押込爪
190 :封入封緘制御部
200 :画像形成装置
207 :通信ライン
210 :表示部
220 :操作部
230 :給シート部
240 :作像部
250 :定着部
260 :プリンタ制御部
300 :折り処理装置
310 :シート折り部
320 :折り制御部
400 :後処理装置
403 :通信ライン
410 :後処理部
420 :後処理制御部
1100 :搬入経路
1101 :第一搬送路
1104 :封入搬送路
1105 :封筒搬送路
1106 :封緘搬送路
1107 :封筒搬入路
1108 :封筒排出路
1109 :シート搬出路
1113 :パージ搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開2012-232831号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒に封入物を挿入する封入部と、
前記封入物を封入位置に搬送する第一搬送手段と、
略垂直かつ上下方向に延設された封筒搬送路を介して、前記封筒を前記封入位置に搬送し、封入後の前記封筒を排出するための第一排出手段へと搬送する第二搬送手段と、
前記第一排出手段とは別に、前記封入物を排出可能な第二排出手段と、
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段における搬送動作を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする封筒処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第一搬送手段若しくは前記第二搬送手段又は前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段において、前記封入物若しくは前記封筒又は前記封入物及び前記封筒が異常搬送状態になったとき、異常搬送状態の原因ではない前記封入物と前記封筒を第一排出手段又は第二排出手段へ排出させるように前記搬送動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の封筒処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第二搬送手段において前記封入物若しくは前記封筒又は前記封入物及び前記封筒が異常搬送状態になったとき、前記第一搬送手段で搬送中の前記封入物を前記第二排出手段へ排出させるように前記搬送動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の封筒処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第一搬送手段において前記封入物若しくは前記封筒又は前記封入物及び前記封筒が異常搬送状態になったとき、前記第二搬送手段で搬送中の前記封筒を前記第一排出手段へ排出させるように前記搬送動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の封筒処理装置。
【請求項5】
前記第二排出手段は、一旦排出させた前記封入物を前記第一搬送手段に戻す逆搬送動作も行う、
請求項4に記載の封筒処理装置。
【請求項6】
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段は、通常の搬送時における搬送方向と、異常搬送状態が発生したときに当該搬送方向の逆方向となる逆搬送方向へと前記封入物及び前記封筒を搬送可能であり、
前記制御手段は、異常搬送状態が生じた位置に応じて、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段による搬送動作を前記搬送方向へ向かう動作とするか前記逆搬送方向へ向かう動作とするかを切り替えて制御する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の封筒処理装置。
【請求項7】
封入物が挿入された封筒を封緘する封緘部を備える請求項1乃至6のいずれか一項に記載の封筒処理置。
【請求項8】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記媒体を封入物として封筒に挿入する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の封筒処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を挿入する封入装置、封入物が挿入された封筒を封緘する封筒処理装置が知られている。また、シート画像を形成する画像形成装置を含み、画像が形成されたシートを封入物として封入し封緘する画像形成システムも知られている。
【0003】
封筒処理装置において、封筒が搬送不良になったとき、これを除去する必要がある。この場合、封筒が搬送不良となった位置を検知して対処が可能であると望ましい。搬送不良となった封筒を検知した情報に応じて排出先を変更し排出をする目的で、封筒供給部、搬送手段、複数の排紙口を有する構成が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成は、封筒に封入するための封入物の搬送も考慮した上で、封入物の搬送不良と、封筒の搬送不良に対する対応において課題がある。すなわち、従来技術では、封筒の搬送不良と封入物の搬送不良を合わせて考慮した上で、適宜の排出処理を行うことが可能である構成は知られていない。
【0005】
本発明は、複数の排出先を備え、かつ、封入物と封筒の搬送不良発生時において、搬送状態が正常の他の封入物や封筒を好適な排出先へと排出する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、封筒処理装置に関し、封筒に封入物を挿入する封入部と、前記封入物を封入位置に搬送する第一搬送手段と、略垂直かつ上下方向に延設された封筒搬送路を介して、前記封筒を前記封入位置に搬送し、封入後の前記封筒を排出するための第一排出手段へと搬送する第二搬送手段と、前記第一排出手段とは別に、前記封入物を排出可能な第二排出手段と、前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段における搬送動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の排出先を備え、かつ、封入物と封筒の搬送不良発生時において、搬送状態が正常の他の封入物や封筒を好適な排出先へと排出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る画像形成システムの実施形態を示す正面外観図。
図2】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
図3】本発明に係る封筒処理装置の実施形態の内部構成図。
図4】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図5】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図6】上記封筒処理装置の封入動作におけるフラップ開機構の動作を例示する図。
図7】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図8】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図9】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図10】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図11】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図12】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図13】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図14】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図15】上記封筒処理装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図16】上記封筒処理装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の例を示す図。
図17】上記封筒処理装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の別の例を示す図。
図18】上記封筒処理装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図19】上記封筒処理装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図20】上記封筒処理装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図21】上記封筒処理装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図22】上記封筒処理装置の一実施形態に係るパージ搬送動作の更に別の例を示す図。
図23】上記封筒処理装置が備える封入物押込部の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[封入封緘システムの実施形態]
まず、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係る画像形成システムの一例としてのプリントシステム1の正面外観図である。プリントシステム1は、画像形成装置200と、折り処理を行うシート処理装置としての折り処理装置300と、封入物を封入して封緘する封入封緘装置の実施形態としての封筒処理装置100と、後処理装置400と、を有している。プリントシステム1は、本発明に係る画像形成システムの実施形態でもある。
【0010】
画像形成装置200は、所定の画像形成方式により、シート状の媒体に対して画像を形成して搬出する装置である。画像が形成されたシート状の媒体(以下、単に「シートS」とする)は、折り処理装置300に排出される。
【0011】
折り処理装置300は、設定に基づいて、画像形成装置200から排出されてきたシートSに対して、所定の折り種、折り寸法によって折り処理を行い、折りシートSfを形成して排出する。また、折り処理装置300は、設定に基づいて、シートSをそのまま、下流側へと排出することもある。折り処理の実施又は不実施に係る設定や、折り処理の実行に用いられる設定は、画像形成装置200側から通知される設定情報(各種調整値)に基づく。折り処理を実行する機構は、各種調整値に基づいて、シートSの送り量の調整を行い、調整に合わせた折り位置において折り目を形成し、折りシートSfを形成する。所定の折り処理が施された折りシートSfは、封筒処理装置100に搬出される。
【0012】
また、折り処理装置300は、封筒処理装置100において折りシートSfを封筒Eに挿入するときの挿入方向の最後端が、折りシートSfの「折り目」になるように、折り寸法を調整する処理を実行する。
【0013】
封筒処理装置100は、シートSの搬入方向の上流側に配置される装置(折り処理装置300)において折り処理を行ってから搬送されてきた折りシートSf又は折り処理が行われていないシートSを封筒Eに挿入して封入する封入処理を行う。また、封筒処理装置100は、折りシートSf若しくはシートS又はこれら両方が挿入された封筒Eを封緘する封緘処理も行なう。また、封筒処理装置100は、折りシートSfや、シートSを封筒Eに封入せずに下流側に搬出することも可能である。この場合、封筒処理装置100の下流側に配置される後処理装置400へと搬出される。後処理装置400は搬入されたシートSに対してステイプル処理などの後処理を施す装置である。
【0014】
封筒処理装置100は、折り処理を施された折りシートSfを、封筒Eに対して適切な向きで封入するための搬送処理を行う。そこで、封筒処理装置100は、封入された折りシートSfに形成された宛先などの情報が、封筒Eに予め形成されている透明窓ewを透過して視認が可能である位置にくるように、折りシートSfの封入時の向きを調整する処理も行う。この調整処理は、搬送処理に含まれる反転搬送処理によって実現される。したがって、封筒処理装置100は、搬入時の折りシートSfにおける画像位置及び封筒Eに形成されている透明窓ewの位置に基づいて、折りシートSfの封入時の向きを搬入時の向きから反転させるか否かを判断する。そして、判断結果に基づいて搬送処理及び反転搬送処理を実行する。
【0015】
ここで、図1を参照しながら、本発明に係る実施形態の説明に共通して用いる「方向」について説明する。図1に示すように、プリントシステム1の載置面と平行する軸をY軸とする。プリントシステム1を構成する各装置の並び方向はY軸に沿っており、図1に示すようにY軸の矢印方向をY方向と定義する。画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、Y方向に搬出されて、その後、Y方向の下流側に配置される各装置へと搬送される。
【0016】
同じく載置面と平行する軸であって、Y軸と直交する軸をX軸とする。プリントシステム1の奥行き方向は、X軸の矢印方向であって、これをX方向と定義する。そして、X軸とY軸に直交するZ軸の矢印方向であって、プリントシステム1の高さ方向に相当するものをZ方向と定義する。図1に示すように、封筒処理装置100では、封入物を封筒に挿入する位置搬送する構成、封入するための構成、封緘を行うための構成がZ方向に並ぶように配置されているので、封筒処理装置100の平面寸法を小型にすることができ、狭い設置空間においても運用可能なものを実現が可能である。以降の図においても同様の軸を付記し、軸の説明を省略する。
【0017】
[プリントシステム1の機能ブロック] プリントシステム1の全体の機能ブロックについて、図2を用いて説明する。以下の説明において、搬送されて封筒Eに挿入され封入される媒体としての封入対象物は、画像形成装置200において画像が形成され、折り処理装置300において所定の折り処理が行なわれた折りシートSfとする。なお、図2では、シートS及び折りシートSfの移動経路(搬送路)を破線で表示し、各機能ブロック間で信号の送受に用いられる通信路は実線で表示している。
【0018】
画像形成装置200は、例えば、既知の電子写真プロセスによりシートSに画像を形成する装置である。画像形成装置200は、表示部210と、操作部220と、給シート部230と、作像部240と、定着部250と、プリンタ制御部260と、を備える。なお、画像形成装置200における画像形成プロセスは、電子写真プロセスに限定するものではなく、液体インクを媒体に吐出して画像を形成するインクジェット方式のものでもよい。また、これら以外の画像形成プロセスであってもよい。
【0019】
表示部210は、ユーザに各種機能の状態や操作内容を知らせるための表示をする。操作部220は、ユーザが処理動作モードや処理部数の設定を行うための操作インターフェースに相当する。
【0020】
操作部220を介して行われる操作には、折り処理装置300において実行する折り動作の種類(折り種)や折り寸法の設定、封筒処理装置100において封入する際に反転搬送を必要とする設定等も含まれる。操作部220を介して行われた設定に関する情報は、プリンタ制御部260から、折り制御部320や、封筒処理制御部190へと伝達される。
【0021】
給シート部230は、シートSをストックして一枚毎に分離して給送するシート給送機構を備える。作像部240は、感光体に潜像を形成しシートSへと画像を転写させる。定着部250は、シートSに転写された画像を定着させる。プリンタ制御部260は、上記の各ブロック機能ブロックの動作を制御する。
【0022】
折り処理装置300は、シート折り部310、折り処理装置300全体を制御する折り制御部320を有する。折り制御部320は、画像形成装置200のプリンタ制御部260から通信ライン207を通じて指定された折り種(折り方)、折り寸法に基づいて、シートSに対する折り処理を制御する。折り制御部320は、プリンタ制御部260及び下流に接続された封筒処理制御部190と通信も制御する。シート折り部310は、画像形成装置200から搬送されたシートSに対して、折り制御部320の制御に基づいて、指定された折り種(折り方)、折り寸法でも折り処理を実行する。なお、シート折り部310において折り処理を行なわずに封筒処理装置100へと搬出してもよい。
【0023】
図2に戻る。封筒処理装置100は、第一搬送手段としてのシート搬送部110、第二搬送手段としての封入部120及び封緘部130と、これらの動作を制御する制御手段としての封筒処理制御部190を有する。
【0024】
シート搬送部110は、上流装置としての画像形成装置200、折り処理装置300から搬送されてくるシートS及び折りシートSfを下流装置としての後処理装置400へ搬送するか、または、封入部120へと搬送する搬送処理を行う。シート搬送部110の動作制御は、封筒処理制御部190に対して上流装置から伝えられた制御モード(搬送されてくる媒体の種類、折りシートSfの場合折り方の種類、折り寸法、画像形成面Psの位置などを含む)により所定の処理を行う。これら制御モードは、プリンタ制御部260及び折り制御部320から封筒処理制御部190に対して通信ライン105を通じて伝えられる。
【0025】
以下、上流装置から搬送されて封筒処理装置100において搬送されるシートS若しくは折りシートSf又はこれら両方を総称して、搬送対象物と表記することがある。
【0026】
封入部120は、封筒Eに対して搬送対象物を封入可能な位置に移動させる。そして、移動された封筒Eを、搬送対象物が封入(挿入)可能な状態になるようにフラップefを開放して保持する。フラップefが開放されている封筒Eに搬送対象物が挿入されたあと、これを押し込んで封入する封入処理を行なう。
【0027】
封緘部130は、搬送対象物が封入された封筒Eを排出トレイ137へと搬送する途中でフラップefを閉じる封緘処理をし、そして、封緘した封筒Eを排出トレイ137へ排出する処理を行う。すなわち、封緘部130は、開いているフラップを綴じるフラップ閉部を備え、排出トレイ137へ封筒Eを搬送する。
【0028】
封筒処理制御部190は、シート搬送部110、封入部120及び封緘部130を構成する複数の搬送ローラ対及び複数の切替爪の動作を制御する。封筒処理制御部190は、プリンタ制御部260及び折り制御部320から、搬送対象物に関する情報(以下、「封入対象情報」とする。)を受け取り、受け取った情報に基づいて搬送対象物に対する制御処理を行う。
【0029】
また、封筒処理制御部190は、複数の搬送ローラの間に配置されている搬送センサ(図2においては図示を省略)の検出信号を取得して、各搬送路にある封筒Eや、封入物の位置を特定する処理を実行する。また、封筒処理制御部190は、搬送路上の封筒Eや搬送物の搬送が正常搬送状態であるか、または、異常搬送状態(搬送詰まりや、滑りによる滞留など、正常搬送状態とは異なる状態をいう。)であるかを、搬送センサの検出信号に基づいて判定する処理を実行する。また、異常搬送状態であると判定したときは、後述するパージ搬送動作の制御をする。
【0030】
後処理装置400は、後処理部410と、後処理制御部420と、を有する。後処理部410は、上流側から搬送されてきたシートSに対し、後処理制御部420の制御により、所定の後処理を実行する。後処理制御部420は、プリンタ制御部260、折り制御部320、及び封筒処理制御部190から通信ライン403を通じて伝えられた動作モードにより、後処理制御部420における後処理動作を制御する。
【0031】
プリンタ制御部260、折り制御部320、封筒処理制御部190及び後処理制御部420は、相互に連結されていて、各通信ライン(207、105、403)を介して制御に必要な情報のやり取りが行なわれるように構成されている。また、各制御部(260、320、190、420)の連携によって、搬送対象物に対してユーザが行うことを要求する処理モードに関する情報や、シートサイズが相互に共有される。これによって、各機構が所定のタイミングと所定の工程によって所定の処理を実行可能とする制御情報がプリントシステム1全体において共有される。したがって、後述する封入時状態を調整する手段としての封入時状態調整手段は、各制御部(260、320、190、420)の連携によって構成される。
【0032】
なお、図1及び図2においてプリントシステム1の構成例として、封筒処理装置100の下流に後処理装置400が接続された例を示した。代表的な後処理装置400としてはステイプル処理を行うフィニッシャや、スタッカ、製本機などがある。また、プリントシステム1のシステム構成としては封筒処理装置100が最下流となる構成でもよい。
【0033】
[封筒処理装置100における搬送動作に係る構成] 次に封筒処理装置100が有するシート搬送部110と、封入部120と、フラップ開機構128と、封緘部130と、を構成する搬送ローラや、搬送物の搬送方向を切り替える切替爪、及び、これらが配置される搬送路について、図3を用いて説明する。封筒処理装置100は、各搬送ローラによって搬送される搬送対象物を搬送する。そして各搬送ローラの配置に対して、その間の各所に搬送路上の搬送物対象物の位置を検知する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、図3において黒塗り三角形(▲)で示し、符号は付していない。また、図3以降において、各搬送路による搬送物対象物の搬送動作に関する説明をするが、各図におけるセンサの図示は省略している。
【0034】
[シート搬送部110の構成] 図3に示すようにシート搬送部110は、各々搬送方向などが区別される複数の搬送路を有する。例えば、搬入経路1100、第一搬送路1101、第二搬送路としてのパージ搬送路1113、第三搬送路としての封入搬送路1104、第四搬送路としてのシート搬出路1109、を有する。
【0035】
搬入経路1100には、入口ローラ101が配置されている。搬入経路1100は、上流側に位置する装置(例えば、折り処理装置300)から排出された搬送対象物を受け入れる経路である。封筒処理制御部190が、上流側の制御部(プリンタ制御部260、折り制御部320)から搬送対象物に関する情報としての封入対象情報を受け取り、入口ローラ101の回転開始及び停止を制御する。
【0036】
入口ローラ101の下流側に設けられる第一搬送路1101には、第一搬送手段としての第一搬送ローラ111及び第一中間搬送ローラ103が配置されている。
【0037】
また、第一搬送路1101に続く下流側の搬送路であって、シート搬送部110を通過した搬送対象物を下流側の後処理装置400へと搬出するシート搬出路1109が設けられている。そして、シート搬出路1109には、出口ローラ102が配置されている。
【0038】
上流装置から搬入された搬送対象物に対して、後述する封入処理を行なわないときは、搬送対象物は搬入経路1100から第一搬送路1101を通過し、シート搬出路1109を介して下流側の装置へと排出される。
【0039】
以下の説明において、入口ローラ101から搬入された搬送対象物が、第一搬送路1101を介して出口ローラ102まで搬送されて、さらに下流へと搬出される処理を「通常搬送処理」と表記することがある。シート搬送部110が通常搬送処理を実行するときは、搬送対象物を封筒Eに封入する「封筒ジョブ」が実行されるときではなく、そのまま後処理装置400へと搬送する「印刷ジョブ」が実行されるときである。
【0040】
また、シート搬送部110には、第一搬送ローラ111の下流において第一搬送路1101から分岐する搬送路であって、搬送対象物が封入される封筒Eを保持する封入ローラ121へと続く第四搬送路としての封入搬送路1104を有している。封入物搬送路としての封入搬送路1104は後述するとおり、封筒搬送路1105へと連続するように構成されている。
【0041】
また、第一搬送路1101には、第一中間搬送ローラ103と第一搬送ローラ111の間であって第一搬送ローラ111の上流において、搬送対象物の搬送方向を切り替えるパージ分岐手段としてのパージ分岐爪11が配置されている。パージ分岐爪11によって、搬送対象物の搬送方向は、下流である封入搬送路1104またはシート搬出路1109とするか、パージ搬送路1113とするか切り替えることが可能である。
【0042】
パージ搬送路1113には、パージ搬送手段としての第一パージローラ114と、第二パージローラ115が配置されている。またパージ搬送路1113には、第二排出手段としてのパージ排出トレイ50が備えられている。
【0043】
また、シート搬送部110は、第一搬送路1101から封入搬送路1104に分岐する分岐位置に封入排出切替爪13が配置されている。封入排出切替爪13は、封筒排出路1108によって搬送されてきた搬送対象物を封入搬送路1104へ搬送させる状態と、シート搬出路1109へと搬送する状態と、を切り替える。
【0044】
ここで、シート搬送部110における搬送対象物の搬送処理について概要を説明する。第一搬送路1101に搬送された搬送対象物は、第一中間搬送ローラ103によって第一搬送ローラ111へと搬送される。そして、第一搬送ローラ111は、搬送されてきた搬送対象物を下流へ搬送する。ここで、封入排出切替爪13が図3に示す状態のとき、すなわち、搬送対象物を搬送する方向として、封入搬送路1104側を開放し、出口ローラ102側を閉じている状態のときは、搬送対象物が封入搬送路1104へと搬送される。
【0045】
なお、第一中間搬送ローラ103から第一搬送ローラ111へ搬送されてくる搬送対象物の後端が搬送センサで検知された後、所定の距離を搬送されたときには、搬送対象物がすでに封入搬送路1104へと移動をしている状態になる。この状態に至っていることを封筒処理制御部190が判断したとき、シート搬送部110において回転している各搬送ローラの動作を停止する。これによって、搬送対象物を封筒Eに挿入して封緘処理に向かわせるまでの間、後続の搬送対象物が先行する搬送対象物に衝突しないように制御が可能である。
【0046】
また、第一中間搬送ローラ103から第一搬送ローラ111へ搬送され、さらに出口ローラ102へと搬送された搬送対象物の後端が搬送センサで検知されたときは、搬送対象物はすでに後処理装置400へと排出されている。この状態に至っていることを封筒処理制御部190が判断したとき、シート搬送部110において回転している各搬送ローラの動作を停止する。
【0047】
封筒処理装置100が備える各搬送ローラを動作させる駆動源は、各搬送ローラを構成する一方のローラに対して個別に駆動力を供給し、他方は従動するように構成されている。例えば、各搬送ローラに対して対応する駆動源となるモータを個別に備え、各モータの回転制御は個別に行われる。これによって、特定の搬送ローラを回転させ、他の搬送ローラを停止させるなどの制御を行う。なお、一つのモータにより複数のローラを駆動するように構成してもよい。その場合でも、各ローラの回転・非回転の制御を個別に行えるように構成すればよい。
【0048】
[封入部120の構成] 図3に示すように封筒処理装置としても機能する封入部120には、シート搬送部110が備える第四搬送路としての封入搬送路1104と連結する縦搬送路としての封筒搬送路1105が設けられている。封筒搬送路1105は、封筒処理装置100の載置面(X-Y平面)に対して、交差する方向、より詳しくは、X-Y平面に対する直交方向(Z方向)であって、いわゆる上下方向に延設されている。言い換えると、封筒搬送路1105は封入搬送路1104から略鉛直方向に延設されている搬送路である。したがって、封筒処理装置100において、封筒Eを封入位置に搬送するときの搬送方向は、封筒搬送路1105のように縦方向である。
【0049】
封入物が挿入される前の封筒Eは、封筒セットトレイ127に載置されている。封筒搬送路1105を介して、封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、後述する封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと運ばれて、封筒搬送路1105に沿って配置される封入位置へと搬送される。
【0050】
封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと運ばれるときに、封筒Eのフラップefは開けられる。そして、フラップefが開いた状態の封筒Eが封入位置へと搬送される。この一連の動作については、後述する。
【0051】
封入位置に搬送されて搬送対象物が挿入された後の封入後の封筒Eは、封筒排出トレイ134へと至る途中の封緘搬送路1106において封緘される。封緘された封筒Eは、封筒排出トレイ134へと搬送されて排出される。この排出時の搬送路としても封筒搬送路1105は利用される。
【0052】
この一連の封筒Eの搬送方向の切り替えは、搬送中の封筒Eの位置に応じて適宜動作する爪状部材によって実現される。また、封筒搬送路1105を構成するローラ対によって、封筒Eの位置に応じて搬送方向の切り替えが行われ、一旦搬送された方向とは逆の方向へと搬送されるスイッチバック搬送動作も実現される。また、封入物は、第一搬送路1101から分岐する封入搬送路1104と直結する封筒搬送路1105へと搬送される。したがって、封筒搬送路1105の一部は、封入物の搬送路も構成する。
【0053】
以上のように、封入動作と封緘動作のために封筒Eを搬送する構成と、封筒Eに対して封入物を搬送する構成を、封筒処理装置100の載置面に対する縦方向に配置しているので、封筒処理装置100は設置面積を省くことが可能である。そして、封筒処理装置100を含むプリントシステム1においても小型化を図ることも可能である。
【0054】
封筒搬送路1105は、封筒Eを所定の位置としての封入位置まで搬送して、封入物が封入されるように封筒Eを保持する封筒保持機構を備える。そして、封筒搬送路1105には、封入物が封入された封筒Eに対して封緘処理を行うための封緘搬送路1106へ連結している。
【0055】
封筒搬送路1105には、搬送対象物を受け入れる位置に封筒Eを搬送するための封筒搬送手段としての第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123が配置されている。封筒搬送路1105において、第一縦搬送ローラ122の上方(+Z方向)には、封筒Eに封入物を搬送して供給する封入物搬送手段としての封入ローラ121が配置されている。
【0056】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123によって封入位置に搬送されて保持された封筒Eに対して、封入ローラ121が封入物を封入方向(-Z方向)に搬送して封入動作が行われる。
【0057】
また、封入ローラ121と第一縦搬送ローラ122の間であって、封筒搬送路1105の側方には、封入物押込部160が配置されていて、封入動作時に封筒Eの開口に向けて封入物の後端を押す動作を行う。
【0058】
封入物押込部160は、図23に例示するように、押込爪161を備えている。押込爪161は、所定の位置から-Z方向へと移動する構成を備えている。そして、押込爪161の移動制御は、封筒処理制御部190による。したがって、封筒Eが封入位置に搬送され、フラップefを開放した状態で保持されているときに、上流側から挿入されたシートSの後端を押込爪161が押すように移動することで、封入処理を行うことが可能である。
【0059】
封筒搬送路1105から封緘搬送路1106へ続く搬送路の連結位置であって、封筒セットトレイ127から取り出した封筒Eを封筒搬送路1105へと搬送する封筒搬入路1107との連結位置には、フラップ開機構128が配置されている。フラップ開機構128は、封筒保持トレイとしての封筒セットトレイ127から取り出された封筒Eを封筒搬送路1105へと搬送するときに、フラップefを開くための構成を備えている。また、フラップ開機構128は、フラップefが開いた封筒を封入位置へと搬送するように搬送方向を切り替えるスイッチバック搬送のための構成も備えている。
【0060】
封筒搬送路1105と封筒搬入路1107が合流する合流点には、フラップ開機構128における搬送ガイド部材としての封筒スイッチバック切替爪21が配置されている。
【0061】
また、封筒スイッチバック切替爪21の下方(-Z方向)であって、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105が合流する位置を第一分岐位置として、この第一分岐位置の下方(-Z方向)に、フラップ開機構128を構成するフラップ開ローラ124が配置されている。
【0062】
フラップ開ローラ124は、駆動ローラと従動ローラが対になって構成されていて、駆動ローラと従動ローラの外周面によって封筒Eが挟持され、駆動ローラの回動によって封筒Eが搬送されるように構成されている。そして、駆動ローラ側の回転軸と同軸で回動するように、この駆動軸にラップ開手段としてフラップ開爪40が取り付けられている。
【0063】
第一分岐位置の下方に配置されているフラップ開ローラ124と、第一分岐位置の上方に配置されている第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123と、によって、第一縦搬送手段が構成される。
【0064】
封筒搬送路1105に合流する封筒搬入路1107には、分離ローラ125と封筒搬送ローラ126が配置されている。分離ローラ125によって、積載されている封筒Eが封筒セットトレイ127から一部が取り出される。そして、封筒供給手段としての分離ローラ125と封筒搬送ローラ126によって封筒Eは封筒搬送路1105へと供給される。
【0065】
封筒セットトレイ127には、複数の封筒Eが載置されている。封筒Eは、外形、寸法に関わらず、頭部と底部があり、頭部には開口部が形成されていて、さらに開口部を閉じるための蓋として機能するフラップefが備わっている。封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、フラップefの反対端となる底部を分離ローラ125側に向けた状態になっていて、フラップefは閉じた状態になっている。なお、フラップefが閉じた状態とは、フラップefの先端部が、封筒Eの本体側に接近する態様になるように、封筒Eの本体との境界位置で折り曲げられた状態をいう。
【0066】
封筒セットトレイ127から封筒Eが搬出されるときは、その搬送方向における先端は、封筒Eの底部である。また、搬送方向における後端が、折り曲げられた状態のフラップefとなる。
【0067】
したがって、本実施形態においては、封筒セットトレイ127に積載されている状態から分離されて封筒搬入路1107をフラップ開ローラ124に向けて搬送されるときの封筒Eの搬送方向下流側が封筒Eの底部であり、搬送方向上流側が封筒Eのフラップefである。言い換えると、封筒搬入路1107において搬送される封筒Eの底部が、封筒搬入路1107における「搬送方向先端」に相当し、またフラップefが封筒搬入路1107における「搬送方向後端」に相当する。
【0068】
封筒セットトレイ127から分離ローラ125によって搬出された封筒Eは、封筒搬送ローラ126によって封筒スイッチバック切替爪21を超える位置まで搬送される、封筒Eが越えた封筒スイッチバック切替爪21は、回動して搬送方向を切り替える位置になる。
【0069】
封筒スイッチバック切替爪21は、封筒セットトレイ127から封緘搬送路1106にまで封筒Eを一旦搬送させるための位置と、封筒搬送路1105においてシート搬送部110側に封筒Eを搬送するための位置のいずれかに保持される。すなわち、封筒スイッチバック切替爪21は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0070】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123は、封筒Eを封筒搬送路1105の所定の位置に搬送して保持する。ここでの所定の位置は、後述するように、封筒Eの開口の位置(フラップefの位置)が封入ローラ121よりも下方であり、第一縦搬送ローラ122よりも上方に相当する位置である。
【0071】
封入ローラ121は、シート搬送部110から搬送されてきた搬送対象物を封筒Eへと封入する方向に回転する搬送ローラの一種である。
【0072】
[封緘部130の構成] 図3に示すように封緘部130においては、封緘搬送路1106に、スイッチバック搬送手段としての第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が配置されている。また、封緘搬送路1106から分岐する第二分岐位置から分岐する封筒排出経路としての封筒排出路1108を有している。そして、第二分岐位置には、封筒排出切替爪31が配置されている。封筒排出路1108には、封筒排出ローラ133が配置されていて、端部には、封筒排出路1108は配置されている。
【0073】
第三縦搬送ローラ131及び第四縦搬送ローラ132は、第二縦搬送ローラ手段を構成し、封筒Eを封緘搬送路1106の所定の位置に搬送して保持する。
【0074】
封筒排出切替爪31は、封入搬送路1104においてフラップ開ローラ124側から第三縦搬送ローラ131へと封筒Eを搬送する位置と、封入搬送路1104から封筒排出路1108へ封筒Eを搬送する位置と、の間で回動する。封筒排出切替爪31は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0075】
封緘搬送路1106には、フラップefを閉じる「封緘処理」を行う封緘手段としての封緘機構135が配置されている。封緘機構135は、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によって搬送されてきた封筒Eのフラップefが開いている状態であれば、これを閉じる処理を行う。
【0076】
封筒排出ローラ133は、封筒排出トレイ134に向けて封筒Eを排出するローラである。
【0077】
封筒積載手段であって第一排出手段としての封筒排出トレイ134は、排出された封筒Eを載置するトレイである。
【0078】
以上説明したとおり、封筒処理装置100は、シート搬送部110から、封入部120と封緘部130へと搬送対象物を搬送する搬送路が、縦方向(Z方向)において連結されて配置されている。搬送対象物の搬送路でもあり封筒Eの搬送路でもあるこの搬送路は、封入部120の封筒搬送路1105と封緘部130の封緘搬送路1106を、縦方向(Z方向)において連結した縦搬送路に相当する。
【0079】
[封入処理及び封緘処理の流れ]
次に、封筒処理装置100における封入動作及び封緘動作の一連の流れの例について、図4から図15を用いて説明する。なお、各図において、各動作段階の説明に用いられる構成にのみ符号等を付している。また、説明のために、各処理の段階を区別しているが、同時並行により処理が進行してもよい。なお、図4から図15には、搬送ローラの間に配置され、搬送対象物や封筒Eの位置や搬送状況を検出するための搬送センサ(▲)の図示は省略してある。
【0080】
まず、図4に示すように、複数の封筒Eが積載されている封筒セットトレイ127から分離ローラ125によって封筒Eを一つずつ分離し、封筒搬送ローラ126によって、フラップ開ローラ124まで搬送する。このとき、封筒スイッチバック切替爪21と封筒排出切替爪31は、図3でも例示した方向に向いている。また、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒Eを下方に搬送する方向に回転し、封筒Eを封入搬送路1104における所定の位置にまで搬送する。
【0081】
続いて、図5に示すように、封筒Eがフラップ開ローラ124を通過しきるころには、フラップ開機構128によってフラップefが開いた状態になっている。この状態で封筒Eは、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の回転によって、続く図6の状態に至る。
【0082】
図6に示すように、封筒Eのフラップefが開いた状態になった後であってフラップefがフラップ開ローラ124を抜けた位置に至った後において、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する。この動作によって、封筒Eを、封入部120の所定の位置に向けたスイッチバック搬送が実行される。また、スイッチバック搬送が開始される前、または同時に、封筒スイッチバック切替爪21が図6で示す方向に回動する。これによって、封筒搬送路1105の上方に向けて封筒Eを搬送することが可能である状態になる。フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒スイッチバック搬送手段を構成する。
【0083】
そして、図7に示すように、スイッチバック搬送手段を構成する第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122によって封筒Eが封入位置に搬送される。フラップefが第一縦搬送ローラ122を抜けた位置に至れば、第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122の回転を停止させて、封入待機動作に入る。
【0084】
なお、封筒Eを封入位置まで搬送する制御において、分離ローラ125が封筒Eを取り出した後、各搬送ローラの回転量から封筒Eの搬送量を算出する処理を実行する。合わせて、算出される封筒Eの長さ及びフラップefの長さと、封筒Eの搬送量と、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105を通過して搬送する搬送路長と、に基づけば、封入搬送路1104内での封筒Eの位置を判断することが可能である。
【0085】
封筒Eを図8に示すように、封筒Eを封入位置に保持した状態で、封筒処理装置100は、上流側装置(折り処理装置300)から搬送対象物を入口ローラ101で受け入れて第一搬送路1101へと搬送する。
【0086】
続いて、図9に示すように、搬送対象物を第一中間搬送ローラ103と第一搬送ローラ111によって下流に搬送する。このとき、パージ分岐爪11と封入排出切替爪13は、図7に示す状態になっているので、搬送対象物は、第一搬送路1101から封入搬送路1104へと搬送される。
【0087】
その後、図10に示すように、封入搬送路1104から封筒搬送路1105へと搬送された搬送対象物は、封入ローラ121によって、さらに下方へと搬送される。其の結果、搬送対象物は、第一縦搬送ローラ122などによって、封筒搬送路1105の所定の封入位置で保持され開口が開放された状態の封筒Eへと封入される。この封入動作において、封入手段を構成する押込機構としての封入物押込部160によって搬送対象物が封筒Eに押し込まれる。
【0088】
押し込み処理がされた搬送対象物と封筒Eは図11に示すように、第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123を回転させて、封筒Eを下方に搬送する。そして、図12に示すように、封筒Eを第四縦搬送ローラ132まで搬送されて、フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至る。
【0089】
フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至った後、図13に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132との間で、封緘機構135によってフラップefを閉じて、封筒Eを封緘する。
【0090】
封緘処理後、図14に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132を逆転して、封緘された封筒Eを第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によってスイッチバック搬送する。第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する以前に、封筒排出切替爪31を回動させて、図14に示す状態にする。これによって、封入された封筒Eは、封筒搬送路1105から封筒排出路1108へと搬送される。
【0091】
その結果、図15に示すように、封緘された封筒Eが封筒排出ローラ133により、封筒排出トレイ134に排出される。
【0092】
[パージ搬送動作の実施形態]
次に、図16を参照しながら、封筒処理装置100が行うことが可能であるパージ搬送動作について概要を説明する。図16は、図3に示した封筒処理装置100の内部構成において、パージ搬送動作を実施する前の搬送に異常をきたした状態(封筒EやシートSの異常搬送状態)を例示している。
【0093】
以下の説明において、封入部120へと縦搬送路において搬送されてくる封筒Eと封筒処理装置100の上流から搬送されてくる搬送対象物としてシートSのみを前提とする。なお、折りシートSfを搬送対象物としても同様である。
【0094】
次に、本発明に係る実施形態において、上記の構成を備える封筒処理装置100において実行される制御処理に関し、図16以降の図面を参照しながら説明する。以下の説明では、図16に示すように、封筒処理装置100が備える複数の搬送路において、搬送対象物や封筒Eが少なくとも一つ以上存在し、かつ、そのいずれかの搬送対象物や封筒Eが異常搬送状態になっているとする。この状態に至ると、封筒処理装置100が実行する搬送動作や封入動作は異常停止(搬送不良)になる。
【0095】
ここで「異常搬送状態」とは、搬送詰まりや、滑りによる滞留など、正常搬送状態とは異なる状態を指している。その中でも特に搬送に異常をきたし通常搬送処理、またはその他の動作や処理および機能に対して進行不可、故障や不全を引き起こす可能性を持った状態となるものを、本実施形態に係る「異常搬送状態」とする。このような異常搬送状態は適切な処理を実行しなければならいない。なお、本実施形態に係る異常搬送状態としては、様々な状況が想定される。搬送対象物であるシートSまたは封筒Eが搬送路の途中において引っ掛かるなどして滞留する「搬送詰まり(搬送ジャム)」がその一例である。また、搬送ローラに対して搬送対象物や封筒Eが滑ってしまい、搬送ローラの駆動量に対して搬送対象物などが所定の搬送状態にならない場合も異常搬送状態の一例にあたる。
【0096】
上記の異常搬送状態が、封筒処理装置100が備える複数の搬送路の内のいずれかで生じた場合、その異常原因を解消するためには原因となった箇所の処理と合わせて、異常搬送状態の原因になっていない搬送対象物も取り除く対象となる。その結果、異常搬送状態の原因箇所以外の搬送路内に存在するすべての搬送対象物などを除去処理しなければならない。また上記での除去処理を実行した場合に原因箇所以外の搬送対象物または封筒Eは問題の無いものだとしても、処理中に傷や損傷を受けることで再利用不可(廃棄対象物)となってしまうことある。
【0097】
すなわち、封筒処理装置100が備える複数の搬送路に同時期に存在する複数の搬送対象物のいずれかに異常搬送状態が発生すると、正常搬送状態へと回復させるには、異常搬送状態にはなっていない搬送対象物を搬送路から除去するための工数を要する。そして、除去処理をした搬送対象物の分だけ廃棄せざるを得ない廃棄対象物を増加させる可能性もある。
【0098】
したがって、異常搬送状態の原因ではない搬送対象物などは、廃棄対象物としない除去方法で処理することで再利用可能とし、処理工数削減の実現、より効率の良い封入処理を実現するが可能である。
【0099】
本実施形態に係る封筒処理装置100は、上流から搬送されるシートSに対して封入した封筒Eを排出する第一排出部としての封筒排出トレイ134とは別に、第二排出部としてのパージ排出トレイ50を備える。特に封入および封緘の各機能一連の搬送中にシートSや封筒Eが搬送詰まりなどの異常搬送状態と原因箇所に応じて、異常搬送状態となっていない搬送対象物(シートS、封筒E)をいずれかの排出トレイに自動で排出可能とする機能を備える。
【0100】
図17に例示するように、パージ排出トレイ50を封入部120よりも上流に設ける。そして、パージ排出トレイ50への搬送路として、シート搬送部110と封入部120を境にして封入動作をする搬送路(第一搬送路1101)から枝分かれをする搬送路であるパージ搬送路1113を設ける。パージ搬送路1113の上流にはパージ分岐爪11を備えており、シート搬送部110、および上流からの搬送対象物(シートS)、図17の図示では搬送対象物(第二シートS2)はパージ分岐爪11によって、封入方向またはパージ排出トレイ50による排出方向を選択可能な機能を備えている。このとき封入部120において異常搬送状態を生じた場合に、シート搬送部110に位置する上流から搬送される搬送対象物S2の搬送方向を、パージ分岐爪11によってパージ搬送路1113側へと切り替える。この切り替え動作による搬送経路の変更により、上流側の搬送対象物(第二シートS2)が、異常搬送状態となっている搬送対象物(第一シートS1)に追従して悪化することを防止し、パージ排出トレイ50から損傷等の無い状態で排出を可能にする。
【0101】
なお、パージ排出トレイ50は、封筒処理装置100が備える複数の搬送路のいずれかにおいて異常搬送状態が発生したときに、搬送状態が正常であるシートSの退避先の一つとして機能する。また、パージ排出トレイ50は、退避処理後のシートSを封入物として搬入させる機能も備える。この場合、第二パージローラ115と第一パージローラ114をパージ搬送処理のときの回転方向の逆方向に回転させる(逆転させる)。
【0102】
[第一実施形態] 次に、封筒処理装置100が備えるパージ搬送動作の第一実施形態について説明する。図17は、特にシートSが封入処理前に搬送経路内で搬送不良が発生した場合を例示している。すでに説明したとおり、封筒処理装置100は、搬送ローラの間に搬送センサを備えている(図示は省略)。各搬送センサの検出信号を封筒処理制御部190が監視することで搬送対象物が、どの搬送路にいくつ存在するかを判定することが可能である。
【0103】
例えばシートSが各搬送路センサの位置を通過しているときには検出信号が「オン」になり、非通過状態では検出信号が「オフ」になるように構成されているものとする。この場合に、ある搬送センサの検出信号が「オン」になっている時間を計測することで、当該搬送センサが設置されている位置に関する情報と合わせて、その搬送路における搬送対象物の速度(線速)と搬送対象物の搬送方向の長さや滞留時間を算出することが可能である。特に、これらの算出した情報に応じて当該搬送路において、搬送対象物が正常に通過(搬送)しているか、搬送の遅れの有無または滞留しているか(異常搬送状態であるか)を判定することが可能である。
【0104】
ここで、入口ローラ101から封筒排出ローラ133の間の搬送路を構成する搬送ローラの間に搬送センサを一つずつ配置している場合であって、先行する第一シートS1が封入ローラ121からフラップ開ローラ124の近傍にて、封入物押込部160や封筒スイッチバック切替爪21などに接触して封筒搬送路1105に滞留していると仮定する。このような場合、各位置に設置されている搬送センサの検出信号が常にオン状態になるので、その位置で滞留物があるということを判定している。
【0105】
なお、シートSの搬送方向の長さ寸法が長いものが存在した場合、また、搬送路上に複数のシートSが存在した場合でも、搬送路に設置されている複数の搬送センサの検出信号を取得することで、滞留している搬送対象物の位置を判定することが可能である。特に搬送方向の長さが長いものの場合、その範囲を判定することができる。そして、複数のシートSが存在する場合、それぞれの位置を判定することができる。そのため、通常搬送状態にある搬送対象物および封筒Eは(滞留となった搬送対象物以外の搬送対象)、オン状態よりその位置とオン状態になってからの検出時間から通常搬送状態と判定することも可能である。
【0106】
図17に例示するように、封入部120において第一シートS1が搬送詰まりを起こした場合、これよりも搬送方向上流(手前)に配置されているパージ分岐爪11より上流のシートS(第二シートS2)は、通常搬送状態であれば第一パージローラ114と第二パージローラ115を用いて、パージ排出トレイ50から排出するように搬送を制御すればよい。
【0107】
仮に、パージ分岐爪11よりも下流であって封入ローラ121よりも上流において、シートSが通常搬送状態で存在しているならば、封入排出切替爪13より出口ローラ102の方へと第二シートS2を搬送すれば、後処理装置400から第二シートS2を排出が可能である。
【0108】
例えば、図17に示すように、封入直前の位置で第一シートS1が搬送詰まり起こした場合を想定する。このような想定の状態が生ずる原因は、封筒スイッチバック切替爪21または封入物押込部160が予定する動作にそぐわず飛び出してしまい第一シートS1の先端が接触し、搬送が停止してしまうことが一例として挙げられる。
【0109】
この場合、第一縦搬送ローラ122から第二縦搬送ローラ123の間に第一シートS1が搬送詰まりを起こしている。このとき封筒セットトレイ127より供給された封筒Eはフラップefが開けられた状態で、第一シートS1の下流側で搬送を一時的に停止となる。
【0110】
このとき、停止した封筒Eは、フラップefが開状態になっている以外に損傷がなく搬送可能であるものと仮定し、かつ封筒セットトレイ127にセットされた封筒Eの積載状態は不明で、分離ローラ125を塞いでしまっている可能性も想定される。このような場合は、封筒排出トレイ134へと封筒Eを排出させる。その処理動作として、封入位置へ向かうのではなく、第四縦搬送ローラ132まで封筒Eを搬送させて、封入後の搬送と同じく封筒排出ローラ133に搬送させ排出する。以上の搬送動作(処理機能)を「パージ排出動作(パージ排出処理)」とする。
【0111】
また、搬送詰まりとなった第一シートS1の後端がある第一縦搬送ローラ122よりも上流に、第二シートS2が搬送されているときは、第二シートS2の位置が封入排出切替爪13よりも上流か、パージ分岐爪11よりも上流か否かで搬送方向の変更をする。封入排出切替爪13よりも上流であってパージ分岐爪11よりも下流に第二シートS2が存在するときは、出口ローラ102によって後処理装置400へと搬送させる。パージ分岐爪11よりも上流に第二シートS2が存在するときは、パージ分岐爪11を回動させて、パージ搬送路1113を介してパージ排出トレイ50から排出させる。
【0112】
図18より異常搬送状態箇所の違いによるパージ排出処理について例を用いて説明する。以下において説明では、封入処理を完了した封筒Eがフラップ開ローラ124よりも上流において搬送詰まりを発生した場合、またはシートSが封入排出切替爪13よりも上流においてパージ分岐爪11等に引っ掛かって詰まった場合を例示する。フラップ開ローラ124より上流でパージ分岐爪11より下流に異常搬送状態が発生し、フラップ開ローラ124より下流に押し込み処理がされた搬送対象物と封筒Eが通常搬送状態で存在していた場合に、フラップ開ローラ124より下流の通常搬送状態のものは、通常の動作と同じく封筒排出ローラ133によって搬送させて排出処理をさせる。同様にパージ分岐爪11より上流に異常搬送状態が発生し、押し込み処理の実行の有無に限らず封入排出切替爪13より下流に搬送対象物および封筒Eは下流の封筒排出ローラ133によって排出処理を実行する。ただし封入封緘処理等(押し込み処理または封緘処理)が未実施であり当該封入排出切替爪13より下流の搬送路が通常搬送状態であった場合は、封入処理(押し込み処理)および封緘処理後に封筒排出ローラ133によって排出処理をさせる。
【0113】
したがって、封入処理前後において、関係なく詰まったシートSより下流の封筒Eは、封筒排出ローラ133に近いものから上記動作をさせることで搬送路から排出処理(パージ排出処理)をすることが可能である。
【0114】
[第二実施形態] 次に、封筒処理装置100が備えるパージ搬送動作の第二実施形態について説明する。すでに説明をした第一実施形態によるパージ処理以外にも、排出するための搬送路(封筒排出路1108、封筒排出路1108、封筒排出路1108)以外の搬送路でも、搬送詰まりに対して、除去処理による廃棄となってしまうシートSを削減することが可能である。
【0115】
図19図20図21は、パージ搬送動作(パージ排出処理)の一例としての搬送を逆転させる逆搬送動作を説明するための図である。いずれも、封入部120よりも下流において、封入処理前後の封筒Eが搬送中に異常搬送状態となった場合のパージ動作の例を示している。本実施形態は、封筒Eが分離ローラ125によって封筒セットトレイ127から取り出されて封筒搬入路1107を介して搬送され、封入処理後に封筒排出ローラ133によって封筒排出トレイ134へと排出されるまでの間の異常状態(搬送不良)に対するパージ排出機能を提供する。
【0116】
例えば、封入後の封筒Eが、封筒排出切替爪31に引っ掛かってしまい、第三縦搬送ローラ131の近傍において滞留した場合に、第二シートS2の搬送位置によって、第二シートS2のパージ処理において、排出先を適宜選択することが可能である。
【0117】
図19に示すように、封入部120よりも上流にある第二シートS2が、パージ分岐爪11よりも上流にあると判定できた場合、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0118】
仮に、パージ排出トレイ50が設けられていない場合や、パージ排出トレイ50にすでに排出されている搬送対象物が満載されているときなどは、パージ分岐爪11を回動させずに出口ローラ102によって後処理装置400へと搬送(排出処理)すればよい。
【0119】
また、図20に示すように、封入部120よりも上流にある第二シートS2が、パージ分岐爪11近傍にあることが判定された場合、パージ排出トレイ50へと排出させるためにパージ分岐爪11を回動すると、第二シートS2を傷つける可能性がある。
【0120】
そこで、この場合は、搬送対象物を通常の搬送方向の逆方向(逆搬送方向)に搬送する「逆搬送動作(逆搬送処理)」を用いて、下流から上流に向けて搬送を逆転させる。例えば、入口ローラ101、第一中間搬送ローラ103、第一搬送ローラ111及び封入ローラ121を逆転させて、第一中間搬送ローラ103の上流にまで第二シートS2を逆搬送させる。この逆搬送制御は、各搬送ローラの間に設置されている搬送センサの検出信号に基づいて行う。これによって、パージ分岐爪11の上流に至るまで、一旦、第二シートS2を逆搬送し、その後、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0121】
また、図21に示すように、封入部120よりも上流にある第二シートS2が、封入排出切替爪13の近傍にあるか、または封入部120内の下流に滞留した封筒Eが存在することで逆搬送させなければパージ排出できない箇所に第二シートS2が位置することもある。封入排出切替爪13のように、搬送路を切り替える構成を先に動作させると、第二シートS2を傷つけてしまう場合、搬送対象物を下流へと搬送してもパージ排出できないときもまた、逆搬送させる。
【0122】
図21の例では、入口ローラ101、第一中間搬送ローラ103、第一搬送ローラ111及び封入ローラ121を逆転させて、第一中間搬送ローラ103の上流にまで第二シートS2を逆搬送させるこによって、パージ分岐爪11の上流に至るまで、一旦、第二シートS2を逆搬送し、その後、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0123】
以上のように、本実施形態に係る封筒処理装置100では、封入部120よりも上流に第二シートS2を逆搬送させれば、パージ排出を行うことが可能である。また仮に、パージ排出トレイ50が設けられていない場合や、パージ排出トレイ50にすでに排出されている搬送対象物が満載されているときなどは、パージ分岐爪11を回動させずに出口ローラ102によって後処理装置400へと搬送すればよい。
【0124】
[第三実施形態] 次に、封筒処理装置100が備えるパージ搬送動作の第三実施形態について説明する。図22は、特に複数のシートSが封入処理前に搬送経路内のうち、封入部120よりも上流に存在し、封入部120よりも下流において、封入処理前後の封筒Eが搬送中に異常搬送状態となった場合のパージ動作の例を示している。図22に例示するような状況においても、搬送ローラを適宜逆転させて、シートSごとに逆搬送する位置を区別することで、パージ排出処理を実行することが可能である。
【0125】
図22に例示するように、入口ローラ101と第一中間搬送ローラ103の間に第二シートS2が存在し、第一搬送ローラ111と封入ローラ121、第一縦搬送ローラ122、第二縦搬送ローラ123の間に第一シートS1が存在する場合を想定する。この場合、パージ分岐爪11や封入排出切替爪13などのように、回動によってシートSを傷つける可能性がある構成の近傍にあるシートSのうち、上流側にあるものから、順次処理を行う。
【0126】
まず、第二シートS2に対するパージ排出処理を行う。第二シートS2は、パージ分岐爪11の上流に位置するので、パージ分岐爪11を回動させてパージ排出トレイ50へと排出する。この処理によって、入口ローラ101から第一搬送ローラ111までの第一搬送路1101が空く。そこで、第一シートS1を第二実施形態(図21にて説明)と同様に、上流へと逆搬送させてパージすることが可能である。
【0127】
仮に、第二シートS2が図22に示す位置にあり、第一シートS1の後端が第一中間搬送ローラ103と第一搬送ローラ111の間に位置するとしても、第一搬送ローラ111を通過してパージ分岐爪11が後端に接触しない位置に一旦搬送させる。その後、パージ分岐爪11を図20に示す位置に回動して、第一シートS1を第一中間搬送ローラ103の上流にまで逆搬送させる。その後、パージ分岐爪11を回動させて第二シートS2をパージ搬送路1113に向けて搬送させる。そして、パージ排出トレイ50に第二シートS2を排出させる。
【0128】
なお、本実施形態に係るパージ排出処理は、搬送センサによって検出可能な搬送長さを有するシートSであって、位置を移動させることで後端が封入排出切替爪13近傍を通過可能な程度の長さのものに限定される。
【0129】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1 :プリントシステム
11 :パージ分岐爪
13 :封入排出切替爪
21 :封筒スイッチバック切替爪
31 :封筒排出切替爪
40 :フラップ開爪
50 :パージ排出トレイ
100 :封筒処理装置
101 :入口ローラ
102 :出口ローラ
103 :第一中間搬送ローラ
105 :通信ライン
110 :シート搬送部
111 :第一搬送ローラ
114 :第一パージローラ
115 :第二パージローラ
120 :封入部
121 :封入ローラ
122 :第一縦搬送ローラ
123 :第二縦搬送ローラ
124 :フラップ開ローラ
125 :分離ローラ
126 :封筒搬送ローラ
127 :封筒セットトレイ
128 :フラップ開機構
130 :封緘部
131 :第三縦搬送ローラ
132 :第四縦搬送ローラ
133 :封筒排出ローラ
134 :封筒排出トレイ
135 :封緘機構
137 :排出トレイ
160 :封入物押込部
161 :押込爪
190 :封筒処理制御部
200 :画像形成装置
207 :通信ライン
210 :表示部
220 :操作部
230 :給シート部
240 :作像部
250 :定着部
260 :プリンタ制御部
300 :折り処理装置
310 :シート折り部
320 :折り制御部
400 :後処理装置
403 :通信ライン
410 :後処理部
420 :後処理制御部
1100 :搬入経路
1101 :第一搬送路
1104 :封入搬送路
1105 :封筒搬送路
1106 :封緘搬送路
1107 :封筒搬入路
1108 :封筒排出路
1109 :シート搬出路
1113 :パージ搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開2012-232831号公報
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正の内容】
図18
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正の内容】
図19
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図20
【補正方法】変更
【補正の内容】
図20
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図21
【補正方法】変更
【補正の内容】
図21
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図22
【補正方法】変更
【補正の内容】
図22