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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125926
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】自発光型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230831BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230831BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230831BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230831BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20230831BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20230831BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20230831BHJP
   G02B 1/115 20150101ALI20230831BHJP
   G02B 5/02 20060101ALN20230831BHJP
【FI】
G09F9/00 313
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H01L33/52
G02B1/14
G02B1/18
G02B1/115
G02B5/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030295
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克巳
(72)【発明者】
【氏名】竹本 和矢
【テーマコード(参考)】
2H042
2K009
3K107
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
2H042BA03
2H042BA12
2H042BA20
2K009AA03
2K009AA05
2K009AA12
2K009AA15
2K009BB02
2K009BB14
2K009BB24
2K009BB28
2K009CC03
2K009CC14
2K009EE05
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC32
3K107DD12
3K107DD16
3K107DD18
3K107EE21
3K107FF04
3K107FF06
5F142AA01
5F142DB36
5F142FA18
5F142GA02
5G435AA02
5G435BB04
5G435BB05
5G435DD11
5G435FF14
5G435GG43
5G435HH03
5G435HH05
5G435HH16
(57)【要約】
【課題】外光の映り込みが十分に抑制され、ディスプレイのコントラストが向上した自発光型表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、透明基体上に反射防止膜を有する反射防止膜付透明基体を備える自発光型表示装置であって、前記反射防止膜は、光吸収能を有し、互いに屈折率が異なる誘電体層を少なくとも2層積層させた積層構造である、自発光型表示装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基体上に反射防止膜を有する反射防止膜付透明基体を備える自発光型表示装置であって、
前記反射防止膜は、光吸収能を有し、互いに屈折率が異なる誘電体層を少なくとも2層積層させた積層構造である、自発光型表示装置。
【請求項2】
前記反射防止膜付透明基体の視感透過率(Y)が20~90%である、請求項1に記載の自発光型表示装置。
【請求項3】
前記誘電体層のうち少なくとも1層が、主として、Siの酸化物で構成されており、前記積層構造の層のうち別の少なくとも1層が、主として、MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物で構成され、該混合酸化物に含まれるA群の元素と該混合酸化物に含まれるB群の元素との合計に対する、該混合酸化物に含まれるB群の元素の含有率が65質量%以下である請求項1または2に記載の自発光型表示装置。
【請求項4】
前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)と、前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)との比である、SCE Y/SCI Yが0.15以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項5】
前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)が1.5%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項6】
前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)が0.05%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項7】
D65光源下の透過色でのb値が5以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項8】
ヘイズ値が1%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項9】
前記反射防止膜のシート抵抗が10Ω/□以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項10】
前記透明基体と反射防止膜との間に、アンチグレア層及びハードコート層の少なくとも一方の層を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項11】
前記反射防止膜上に防汚膜をさらに有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項12】
前記透明基体がガラスを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項13】
前記透明基体がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項14】
前記透明基体が、ガラスと、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂との積層体である、請求項1~13のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項15】
前記ガラスが化学強化されている、請求項12または14に記載の自発光型表示装置。
【請求項16】
前記透明基体は、前記反射防止膜を有する側の主面に防眩処理が施されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項17】
OLED表示装置またはマイクロLED表示装置である、請求項1~16のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置(有機EL表示装置)やマイクロLED表示装置等の自発光型表示装置は、液晶ディスプレイと比較してバックライトが不要であり、薄型化・軽量化が可能である。また、LEDチップの自発光で駆動するため、高い輝度と、広い視野角を持つという利点がある。
【0003】
OLED表示装置は、通常、有機発光層が、電極(陽極、陰極)に挟まれた発光素子を有する。そして、発光層からの光を取り出すために、一方の電極には透明な材料であるITO(Indium Tin Oxide、スズをドープした酸化インジウム)等を使うことが多く、他方の電極にも反射率の高い金属材料等が用いられる。これらの金属材料は、反射率が非常に高く、外光(例えば、外部照明や自然光など)をそのまま反射させるため、ディスプレイから反射されて出てくる光が表示性能を悪化させる問題を生じ、コントラスト低下や電極が外光を反射することによる映り込みが課題であった。
【0004】
また、マイクロLED表示装置においては、基板の全体領域でLEDチップが実装されない部分、すなわち、お互いに隣り合うピクセルの間の露出した基板領域での外光反射が問題になる。特に、マイクロLEDチップそれぞれの電極を電気的に連結するために基板上に該当のマイクロLEDチップに対応されるように形成される電極パッドの一部領域が露出する場合、このような露出した電極パッドの一部領域による外部光の反射がさらに顕著に生じるようになる。このように、電極パッドによる外光の反射や露出した基板領域による外部光の反射に起因して生じる、ディスプレイのコントラスト低下や映り込みも課題であった。
【0005】
上記の映り込みを抑えるため、例えば、OLED表示装置の視認側に、偏光板を配置する提案がなされているが(例えば、特許文献1)、偏光板による吸収のために光の利用効率が悪く、輝度が低くなる上、製造コストも上昇する。
一方、特許文献2は、自発光型表示装置に用いる、片面が反射防止処理及び/又はアンチグレア処理された基材と、着色剤を含む粘着剤層と、を含む光学積層体を開示しており、粘着剤層に含まれる着色剤が可視光を吸収することで、上述した外光反射による映り込みを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-332068号公報
【特許文献2】特開2021-160242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2における光学積層体を自発光型表示装置に用いる場合、外光は粘着剤層に到達する前に、反射防止処理及び/又はアンチグレア処理された基材に到達する。そのため、その基材面で外光が反射されてしまうと、粘着剤層にまで入射する光が減少する。その結果、粘着剤層に含まれる着色剤により入射光と下層界面からの反射光を効率良く吸収できず、ディスプレイのコントラストが悪くなり、視認性に劣るという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、外光の映り込みが十分に抑制され、ディスプレイのコントラストが向上した自発光型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の通りである。
(1)透明基体上に反射防止膜を有する反射防止膜付透明基体を備える自発光型表示装置であって、
前記反射防止膜は、光吸収能を有し、互いに屈折率が異なる誘電体層を少なくとも2層積層させた積層構造である、自発光型表示装置。
(2)前記反射防止膜付透明基体の視感透過率(Y)が20~90%である、上記(1)に記載の自発光型表示装置。
(3)前記誘電体層のうち少なくとも1層が、主として、Siの酸化物で構成されており、前記積層構造の層のうち別の少なくとも1層が、主として、MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物で構成され、該混合酸化物に含まれるA群の元素と該混合酸化物に含まれるB群の元素との合計に対する、該混合酸化物に含まれるB群の元素の含有率が65質量%以下である上記(1)または(2)に記載の自発光型表示装置。
(4)前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)と、前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)との比である、SCE Y/SCI Yが0.15以上である、上記(1)~(3)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(5)前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)が1.5%以下である、上記(1)~(4)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(6)前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)が0.05%以上である、上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
(7)D65光源下の透過色でのb値が5以下である、上記(1)~(6)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(8)ヘイズ値が1%以上である、上記(1)~(7)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(9)前記反射防止膜のシート抵抗が10Ω/□以上である、上記(1)~(8)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(10)前記透明基体と反射防止膜との間に、アンチグレア層及びハードコート層の少なくとも一方の層を備える、上記(1)~(9)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(11)前記反射防止膜上に防汚膜をさらに有する、上記(1)~(10)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(12)前記透明基体がガラスを含む、上記(1)~(11)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(13)前記透明基体がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂を含む、上記(1)~(12)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(14)前記透明基体が、ガラスと、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂との積層体である、上記(1)~(13)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(15)前記ガラスが化学強化されている、上記(12)または(14)に記載の自発光型表示装置。
(16)前記透明基体は、前記反射防止膜を有する側の主面に防眩処理が施されている、上記(1)~(15)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
(17)OLED表示装置またはマイクロLED表示装置である、上記(1)~(16)のいずれか1に記載の自発光型表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、外光の映り込みが十分に抑制され、ディスプレイのコントラストが向上した自発光型表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一態様の自発光型表示装置の一構成例を模式的に示した断面図である。
図2図2は、本発明の一態様のOLED表示装置の一構成例を模式的に示した断面図である。
図3図3は、本発明の一態様のマイクロLED表示装置の一構成例を模式的に示した断面図である。
図4図4は、本態様における反射防止膜付透明基体の一構成例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
なお、本明細書において、透明基体の主面上や、アンチグレア層またはハードコート層等の層上や反射防止膜等の膜上に別の層や膜等を有するとは、当該別の層や膜等が上記主面、層、または膜に接して設けられる態様に限定されるものではなく、その上部方向に層や膜等が設けられる態様であればよい。例えば、透明基体の主面上にアンチグレア層またはハードコート層を有するとは、透明基体の主面に接するようにアンチグレア層またはハードコート層が設けられていてもよく、透明基体とアンチグレア層またはハードコート層との間に他の任意の層や膜等が設けられていてもよい。
【0013】
<自発光型表示装置>
本発明の一態様の自発光型表示装置は、透明基体上に反射防止膜を有する反射防止膜付透明基体を備え、前記反射防止膜は、光吸収能を有し、互いに屈折率が異なる誘電体層を少なくとも2層積層させた積層構造であることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様の自発光型表示装置は、例えば、OLED表示装置またはマイクロLED表示装置が挙げられる。
図1に示すように、本発明の一態様の自発光型表示装置100は、自発光ディスプレイ10上に反射防止膜付透明基体20を備える。自発光ディスプレイ10は発光素子を有し、OLED表示装置の場合は、図2に示すようなOLED発光素子32を備え、マイクロLED表示装置の場合は、図3に示すようなマイクロLED発光素子41を備える。
図2は、本発明の一態様のOLED表示装置200の一構成例を模式的に示した断面図である。本態様のOLED表示装置200は、陰極31と、OLED発光素子32と、陽極33と、反射防止膜付透明基体20とをこの順に備える。OLED発光素子32は従来公知のものを使用でき、例えば、電子輸送層、発光層、及び正孔輸送層を有する。陰極31、陽極33についても、従来公知のものを使用できる。
図3は、本発明の一態様のマイクロLED表示装置300の一構成例を模式的に示した断面図である。本態様のマイクロLED表示装置300は、マイクロLED発光素子41と、反射防止膜付透明基体20とをこの順に備える。マイクロLED発光素子41は従来公知のものを使用でき、例えばマイクロLED、半導体回路(配線/駆動回路)、ガラスやプラスチック基板を有する。
【0015】
<反射防止膜付透明基体>
つづいて、反射防止膜付透明基体20について以下説明する。図4は、本態様における反射防止膜付透明基体20の一構成例を模式的に示した断面図である。二つの主面を有する透明基体(以下、単に透明基体ともいう)22の一方の主面上に、任意の層としてアンチグレア層またはハードコート層23を備え、アンチグレア層またはハードコート層23の上に反射防止膜(多層膜)24を備える。また、透明基体22のアンチグレア層またはハードコート層が設けられていない側の主面上に、粘着剤層21を備えてよい。反射防止膜付透明基体20は、粘着剤層21を介して、自発光ディスプレイ10に貼り付けられる。
【0016】
<透明基体>
本態様における透明基体は、屈折率が1.4以上1.7以下であるのが好ましい。透明基体の屈折率が上記範囲であれば、ディスプレイやタッチパネルなどを光学的に接着する場合、接着面における反射を十分に抑制できる。屈折率は、より好ましくは1.45以上、さらに好ましくは1.47以上であり、また、より好ましくは1.65以下、さらに好ましくは1.6以下である。
【0017】
透明基体は、ガラス及び樹脂の少なくともいずれか一方を含むのが好ましい。透明基体はガラス及び樹脂の両方を含むのがより好ましい。
【0018】
透明基体がガラスを含む場合、ガラスの種類は特に制限されず、種々の組成を有するガラスを使用できる。なかでも、上記ガラスはナトリウムを含むのが好ましく、また、成形、化学強化処理による強化が可能な組成が好ましい。具体的には、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
なお、本明細書において、透明基体がガラスを含む場合、当該透明基体はガラス基体ともいう。
【0019】
ガラス基体の厚みは、特に制限はないが、ガラスに化学強化処理を行う場合は、化学強化を効果的に行うために、通常5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。また、通常0.2mm以上である。
【0020】
ガラス基体は、化学強化された化学強化ガラスが好ましい。これにより、反射防止膜付透明基体としての強度が高まる。なお、ガラス基体に後述するアンチグレア層を設ける場合は、化学強化は、アンチグレア層を設けた後、反射防止膜(多層膜)を形成する前に行う。
【0021】
透明基体が樹脂を含む場合、樹脂の種類は特に制限されず、種々の組成を有する樹脂を使用できる。なかでも、上記樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、AS(アクリロニトリル-スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。これらのなかでもセルロース系樹脂が好ましく、トリアセチルセルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーン及びトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂を含むのが特に好ましい。
なお、本明細書において、透明基体が樹脂を含む場合、当該透明基体は樹脂基体ともいう。
【0022】
樹脂基体の形状は特に制限されず、フィルム状や板状などが挙げられるが、飛散防止の点からはフィルム状が好ましい。
樹脂基体の形状がフィルム状の場合、すなわち樹脂フィルムである場合、その厚みは特に制限されないが、20~250μmが好ましく、40~188μmがより好ましい。
樹脂基体の形状が板状の場合、すなわち樹脂板である場合、その厚みは特に制限されないが、通常5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。また、通常0.2mm以上である。
【0023】
透明基体がガラスおよび樹脂の両方を含む場合は、例えば、上記ガラス基体上に上記樹脂基体を備える態様であってよい。
【0024】
<アンチグレア層、ハードコート層>
本態様における透明基体の表面のうち、後述する反射防止膜を設ける側に、アンチグレア層及びハードコート層の少なくとも一方の層を設けてもよい。すなわち、透明基体と反射防止膜との間にアンチグレア層およびハードコート層の少なくとも一方の層を設けてもよい。
透明基体がガラス基体の場合は、ガラス基体上にアンチグレア層を設ける態様が好ましい。透明基体が樹脂基体の場合は、樹脂基体上にハードコート層を設ける態様、または樹脂基体上にアンチグレア層を設ける態様が好ましい。
【0025】
透明基体は、その主面上にアンチグレア層を有する、すなわち、透明基体の表面に防眩処理が施されることで、自発光型表示装置に入射する光によるぎらつきを抑制できる。また、樹脂基体等の透明基体が、その主面上にハードコート層を有することにより、表面硬度が高くなり、傷付き耐性が向上する。すなわち、自発光型表示装置の表面保護機能が向上する。
【0026】
アンチグレア層は、その片面が凹凸形状を有することで外部散乱もしくは内部散乱を生じるため、ヘイズ値を高くし、防眩性を付与する。アンチグレア層は、従来公知のものを使用でき、例えば、少なくともそれ自身が防眩性を有する粒子状の物質を、バインダーとしての高分子樹脂を溶解した溶液中に分散させてなる、アンチグレア層組成物から構成されてもよい。アンチグレア層は、上記アンチグレア層組成物を、例えば透明基体の一方の主面に塗布することで形成できる。
【0027】
防眩性を有する粒子状の物質としては、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機微粒子の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等を含む有機微粒子が挙げられる。
【0028】
ハードコート層は、従来公知のものを使用でき、例えば、後述する高分子樹脂を含む、ハードコート層組成物から構成されてもよい。ハードコート層は、上記ハードコート層組成物を、例えば樹脂基体等の透明基体の一方の主面に塗布することで形成できる。
【0029】
また、アンチグレア層やハードコート層のバインダーとしての高分子樹脂には、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂等を含む高分子樹脂を用いることができる。
【0030】
上記透明基体とアンチグレア層またはハードコート層とを有する積層体(以下、単に積層体ともいう)としては、例えば、樹脂基体-アンチグレア層、樹脂基体-ハードコート層、ガラス基体-アンチグレア層等が挙げられる。
樹脂基体-アンチグレア層としては、アンチグレアPETフィルムやアンチグレアTACフィルムが挙げられる。具体的には、アンチグレアPETフィルムとしては、東山フィルム株式会社製、商品名:EHC-10aや、株式会社麗光製のもの等が挙げられる。また、アンチグレアTACフィルムとしては、トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム社製、商品名:VZ50、トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム社製、商品名:VH66H等が挙げられる。
樹脂基体-ハードコート層としては、ハードコートPETフィルムやハードコートTACフィルムが挙げられる。具体的には、ハードコートPETフィルムとしては、東レ株式会社製、商品名:タフトップ、株式会社きもと製、商品名:KBフィルム G01S等が挙げられる。また、ハードコートTACフィルムとしては、トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム社製、商品名:CHC等が挙げられる。
ガラス基体-アンチグレア層等としては、株式会社NSC製、商品名:AG加工等が挙げられる。
【0031】
<反射防止膜>
本態様における反射防止膜は、光吸収能を有する。ここで、反射防止膜が「光吸収能を有する」とは、後述する実施例に記載の方法で測定される反射防止膜の視感透過率が90%以下であることを意味する。すなわち、ガラス基体等の透明基体上に反射防止膜を設け、JIS Z 8709(1999年)の規定に沿って分光測色計を用いて測定される。
本実施形態においては、光吸収能を有する反射防止膜が、自発光型表示装置において外光が入り込む面により近い位置に配置されるため、反射防止膜と透明基体や粘着剤層で反射された光を効率良く吸収できる。これにより、ディスプレイのコントラストが良好となり、視認性に優れる。
本態様における反射防止膜の上記視感透過率は、85%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。上記光透過率を上記範囲とするには、後述するように、第1誘電体層や第2誘電体層の成分を特定し、酸化率を調整する方法が挙げられる。また、ディスプレイの輝度の観点から、通常20%以上である。反射防止膜に光吸収能を付与するための手段としては、例えば、後述するように、第1誘電体層や第2誘電体層の成分を特定し、酸化率を調製する等が挙げられる。
【0032】
本態様における反射防止膜は、互いに屈折率が異なる誘電体層を少なくとも2層積層させた積層構造を有し、光の反射を抑制する機能を有するのが好ましい。
図4に示す反射防止膜(多層膜)24は、互いに屈折率が異なる第1誘電体層24a、第2誘電体層24bを2層積層させた積層構造である。互いに屈折率が異なる第1誘電体層24a、第2誘電体層24bを積層させることにより、光の反射を抑制する。第1誘電体層24aが高屈折率層であり、第2誘電体層24bが低屈折率層である。
【0033】
図4に示す反射防止膜(多層膜)24において、第1誘電体層24aは、主として、MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物で構成されることが好ましい。但し、該混合酸化物は、該混合酸化物に含まれるA群の元素と該混合酸化物に含まれるB群の元素との合計に対する、該混合酸化物に含まれるB群の元素の含有率(以下、B群含有率と記載する。)が65質量%以下であることが好ましい。ここで「主として」とは、第1誘電体層24aの中で最も含有量(質量基準)の多い成分を意味し、例えば該当する成分を70質量%以上含んで構成されることを意味する。
【0034】
MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物、の混合酸化物で構成される、第1誘電体層(A-B-O)24aにおけるB群含有率が65質量%以下であると、透過光が黄色みを帯びるのを抑制できる。
【0035】
第2誘電体層24bは、主として、Siの酸化物(SiO)で構成されることが好ましい。ここで「主として」とは、第2誘電体層24bの中で最も含有量(質量基準)の多い成分を意味し、例えば該当する成分を70質量%以上含んで構成されることを意味する。
【0036】
第1誘電体層24aは、前記MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物で構成されることが好ましい。これらの中でもA群としてはMo、B群としてはNbが好ましい。
【0037】
酸素欠損している酸化ケイ素層である第2誘電体層24bと、第1誘電体層24aをMoおよびNbを用いることにより、従来酸素欠損している酸化ケイ素層は可視光において黄色を帯びるが、MoおよびNbを用いることにより酸素欠損していても酸化ケイ素層が黄色を帯びることがないことより好ましい。
【0038】
上記第1誘電体層24aの波長550nmにおける屈折率は、透明基体との透過率の観点から、1.8~2.3が好ましい。
【0039】
上記第1誘電体層24aの消衰係数は0.005~3が好ましく、0.04~0.38がより好ましい。消衰係数が0.005以上であれば、所望の吸収率を適切な層数で実現できる。また消衰係数が3以下であれば、反射色味と透過率との両立が比較的実現しやすい。
【0040】
図4に示す反射防止膜(多層膜)24は、第1誘電体層24aと、第2誘電体層24bとを積層させた、計2層の積層構造であるが、本態様における反射防止膜(多層膜)はこれに限定されず、互いに屈折率が異なる誘電体層を3層以上積層させた積層構造であってもよい。この場合、全ての誘電体層の屈折率が異なる必要はない。例えば、3層積層構造の場合、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の3層積層構造や、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層の3層積層構造とできる。前者の場合は2層存在する低屈折率層、後者の場合は2層存在する高屈折率層が同一の屈折率であってもよい。4層積層構造の場合、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層の4層積層構造や、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層積層構造とできる。この場合、それぞれ2層存在する低屈折率層および高屈折率層が同一の屈折率であってもよい。
【0041】
互いに屈折率が異なる層を3層以上積層させた積層構造の場合、第1誘電体層(A-B-O)24aおよび第2誘電体層(SiO)24b以外の誘電体層を含んでいてもよい。この場合、第1誘電体層(A-B-O)24aおよび第2誘電体層(SiO)24bを含めて低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の3層積層構造、若しくは、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層の3層積層構造、あるいは、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層の4層積層構造、若しくは、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層積層構造となるように各層を選択する。
ただし、最表面の層は第2誘電体層(SiO)24bであることが好ましい。低反射性を得るためには最表面の層が第2誘電体層(SiO)24bであれば比較的容易に作製できる。また、反射防止膜24に、後述する防汚膜を形成する場合、防汚膜の耐久性に関わる結合性の観点から、防汚膜は第2誘電体層(SiO)24b上に形成することが好ましい。
【0042】
第1誘電体層(A-B-O)24aはアモルファスであることが好ましい。アモルファスであれば、比較的低温で作成でき、透明基体が樹脂を含む場合などに、樹脂が熱でダメージを受けることがなく、好適に適用できる。
【0043】
なお、光吸収能を有し、かつ、絶縁性の光透過膜としては、半導体製造分野で用いられるハーフトーンマスクが知られている。ハーフトーンマスクとしては、Moを少量含むMo-SiO膜のような酸素欠損膜が用いられる。また、光吸収能を有し、かつ、絶縁性の光透過膜としては、半導体製造分野で用いられる狭バンドギャップ膜が知られている。
しかしながら、これらの光透過膜は可視光線のうち、短波長側の光線吸収能が高いため、透過光が黄色みを帯びる。そのため、自発光型表示装置に適用するには不適であった。
【0044】
本発明の好ましい態様においては、MoやWの含有率を高めた第1誘電体層24aと、SiO等で構成される第2誘電体層24bとを有することで、光線吸収能を有し、絶縁性であり、かつ、密着性および強度に優れた反射防止膜付透明基体が得られる。
【0045】
本態様における反射防止膜24は、スパッタリング法、真空蒸着法や塗布法などの公知の成膜方法を用いて、透明基体の主面上に形成できる。すなわち、反射防止膜24を構成する誘電体層を、その積層順に応じて、透明基体や、アンチグレア層やハードコート層等の主面上にスパッタリング法、真空蒸着法や塗布法などの公知の成膜方法を用いて形成する。
【0046】
スパッタリング法としては、マグネトロンスパッタ、パルススパッタ、ACスパッタ、デジタルスパッタ等の方法が挙げられる。
【0047】
例えば、マグネトロンスパッタ法は、母体となる誘電体材料の裏面に磁石を設置して磁界を発生させ、ガスイオン原子が前記誘電体材料表面に衝突し、叩き出されることにより数nmの厚さでスパッタ成膜する方法であり、誘電体材料の酸化物または窒化物である誘電体の連続膜を形成できる。
【0048】
また、例えば、デジタルスパッタ法は、通常のマグネトロンスパッタリング法とは異なり、まずスパッタリングによって金属の極薄膜を形成してから、酸素プラズマあるいは酸素イオンあるいは酸素ラジカルを照射することによって酸化する、という工程を同一チャンバ内で繰り返して金属酸化物の薄膜を形成する方法である。この場合、成膜分子が基体に着膜した時は金属であるので、金属酸化物で着膜する場合に比べて延性があると推察される。したがって同じエネルギーでも成膜分子の再配置は起こりやすくなり、結果的に密で平滑な膜ができると考えられる。
【0049】
<防汚膜>
本態様における反射防止膜付透明基体は、反射防止膜の最表面を保護する観点から、上記反射防止膜上に、さらに防汚膜(「Anti Finger Print(AFP)膜」ともいう)を有してもよい。防汚膜は例えば、フッ素含有有機ケイ素化合物により構成できる。フッ素含有有機ケイ素化合物としては、防汚性、撥水性、撥油性を付与できれば特に限定されずに使用でき、例えば、ポリフルオロポリエーテル基、ポリフルオロアルキレン基及びポリフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有するフッ素含有有機ケイ素化合物が挙げられる。なお、ポリフルオロポリエーテル基とは、ポリフルオロアルキレン基とエーテル性酸素原子とが交互に結合した構造を有する2価の基のことである。
【0050】
また、市販されているポリフルオロポリエーテル基、ポリフルオロアルキレン基及びポリフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有するフッ素含有有機ケイ素化合物として、KP-801(商品名、信越化学社製)、KY178(商品名、信越化学社製)、KY-130(商品名、信越化学社製)、KY-185(商品名、信越化学社製)オプツール(登録商標)DSXおよびオプツールAES(いずれも商品名、ダイキン社製)などが好ましく使用できる。
【0051】
本態様における反射防止膜付透明基体が防汚膜を有する場合、防汚膜は反射防止膜上に設けられることになる。透明基体の二つの主面両方の側に反射防止膜を設ける場合には、両方の反射防止膜上に防汚膜を成膜することもできるが、何れか一方の主面側についてのみ防汚膜を積層する構成としてもよい。これは、防汚膜は人の手等が接触する可能性がある場所について設けられていればよいためであり、その用途等に応じて選択できる。
【0052】
<粘着剤層>
本態様における反射防止膜付透明基体は、図1に示すように、透明基体の二つの主面のうち、反射防止膜や、アンチグレア層またはハードコート層等が設けられていない側の主面上に、粘着剤層21を備えてよい。反射防止膜付透明基体20は、粘着剤層21を介して、自発光ディスプレイ10に貼り付けられる。
粘着剤層は、自発光型表示装置に一般的に用いられる従来公知の粘着剤組成物を用いて形成でき、光学的透明粘着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)や、UV硬化樹脂等の光学的透明樹脂(OCR:Optical Clear Resin)が挙げられる。OCAやOCRとしては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等のポリマーが挙げられる。特に、適度な濡れ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、透明性、耐候性、耐熱性、耐溶剤性等にも優れることや、粘着力のレンジが広いことから、アクリル系ポリマーが好適に用いられる。
【0053】
粘着剤層は、JIS Z 8709(1999年)の規定に沿って分光光度計で測定される視感透過率が90%以上であることが好ましく、91%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。粘着剤層の透過率が上記範囲であることで、ディスプレイの視認性を損なわない。
【0054】
(視感透過率:Y)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、視感透過率(Y)が20~90%であるのが好ましい。視感透過率(Y)が上記範囲であれば、適度な光吸収能を有するため、自発光型表示装置に使用した場合に、外光の映り込みを抑制できる。これにより自発光型表示装置の明所コントラストや暗所コントラストが向上する。上記視感透過率(Y)は50~90%がより好ましく、60~90%がさらに好ましい。
なお、視感透過率(Y)は後述の実施例に記載のように、JIS Z 8709(1999年)に規定の手法で測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体について、分光光度計(島津製作所社製、商品名:SolidSpec-3700)により分光透過率を測定し、計算により求める。
【0055】
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体において、視感透過率(Y)を20~90%にするには、例えば、上述した反射防止膜における、高屈折率層である第1誘電体層の成膜時に酸化源の照射時間、照射出力、基板との距離、酸化ガス量をコントロールすることで、調整できる。具体的には、例えば第2誘電体層として、主として、MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物を用い、膜の酸化量を調整することが好ましい。
【0056】
(視感反射率:SCI Y)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)が1.5%以下であるのが好ましい。上記視感反射率(SCI Y)が上記範囲内であれば、画像表示装置に使用した場合に、画面への外光の映り込み防止効果が高い。上記視感反射率(SCI Y)は、1%以下がより好ましく、0.9%以下がさらに好ましく、0.8%以下がさらに好ましく、0.75%以下が特に好ましい。
なお、上記視感反射率(SCI Y)は後述の実施例に記載のように、JIS Z 8722(2009年) に規定の手法により、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)を用いて測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介してOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計により測定できる。
【0057】
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体において、上記視感反射率(SCI Y)を1.5%以下にするには、例えば、反射防止膜付透明基体の視感透過率(Y)を90%以下にする。そのためには、第2誘電体層として、主として、MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物を用い、膜の酸化量を調整することが好ましい。
【0058】
(拡散反射率:SCE Y)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)が、0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.2%以上がさらに好ましい。上記拡散反射率(SCE Y)が上記範囲内において、画像表示装置に使用した場合に、画面への外光の映り込み防止効果がより高くなり、好ましい。
なお、上記拡散反射率(SCE Y)は後述の実施例に記載のように、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法により、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)を用いて測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介してOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計により測定できる。
【0059】
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体において、上記拡散反射率(SCE Y)を0.05%以上にするには、例えば、後述する反射防止膜付透明基体のヘイズ値を10%以上にする。
【0060】
(拡散反射率:SCE Y/視感反射率:SCI Y)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体においては、反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)と、上記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)との比である、SCE Y/SCI Yが0.15以上であるのが好ましい。
【0061】
上記視感反射率(SCI Y)は、正反射光及び拡散反射光を含む全反射光を測定したものであるため、反射防止膜付透明基体の表面状態とは無関係に素材そのものの色の評価となる。一方、上記拡散反射率(SCE Y)は、全反射光のうち、正反射光が除去され、拡散反射光だけを測定したものであるため、目視に近い色の評価となる。
そのため、上記視感反射率(SCI Y)に対する上記拡散反射率(SCE Y)が高いと、全反射光(正反射光+拡散反射光)に対する拡散反射光の割合が大きいことを意味するため、画面への外光の映り込みが小さくなり好ましい。
【0062】
SCE Y/SCI Yは、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。また、SCE Y/SCI Yは、例えば0.75以下である。
【0063】
本態様の反射防止膜付透明基体において、上記SCE Y/SCI Yを0.15以上にするには、例えばヘイズ値が1%以上の透明基体を用いる。
【0064】
(D65光源下の透過色でのb値)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、D65光源下の透過色でのb値が、5以下が好ましい。上記b値が上記範囲において、透過光が黄色みを帯びていないため、自発光型表示装置への使用に好適である。上記b値は3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。また、上記b値の下限値は-6以上が好ましく、-4以上がより好ましい。b値が上記の範囲において、透過光が無色となり、透過光の光を阻害しないため好ましい。
なお、D65光源下の透過色でのb値は、後述の実施例に記載のように、JIS Z 8729(2004年)に規定の手法で測定できる。
【0065】
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体において、D65光源下の透過色でのb値を5以下にするには、例えば、第1誘電体の材料組成を調整する。
【0066】
(ヘイズ値)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体のヘイズ値は適宜設定でき、例えば、1%以上であってよく、10%以上であってよく15%以上であってよく、20%以上であってよい。ヘイズ値が上記範囲内であることで、外光の映り込みをより効果的に抑制できる。
上記ヘイズ値は、JIS K 7136:2000によりヘイズメータ(村上色彩研究所社製、HR-100型)等を使用して測定される。
【0067】
(Sa)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、Sa(算術平均表面粗さ)が0.05~0.6μmが好ましく、0.05~0.55μmがより好ましい。Saは、ISO25178に規定されており、例えば、キーエンス社製のレーザー顕微鏡VK-X3000を用いて測定できる。
【0068】
(Sdr)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、キーエンス社製のレーザー顕微鏡VK-X3000等を用いた測定により得られる表面積から算出される、展開面積比Sdr(以下、単に「Sdr」ともいう)が、0.001~0.12が好ましく、0.0025~0.11がより好ましい。
Sdrは、ISO25178に規定されており、下記式で表される。
展開面積比Sdr={(A-B)/B}
A:測定領域における実際の凹凸が反映された表面積(展開面積)
B:測定領域における凹凸のない平面の面積
【0069】
(Sdq)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、Sdq(二重平均平方根傾斜)が0.03~0.50が好ましく、0.07~0.49がより好ましい。Sdqは、ISO25178に規定されており、例えばキーエンス社製のレーザー顕微鏡VK-X3000で測定できる。
【0070】
(Spc)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、Spc(表面の山頂点の主曲率の平均)が、150~2500(1/mm)が好ましい。Spcは、ISO25178に規定されており、例えば、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK-X3000を用いて測定できる。
【0071】
(シート抵抗)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、反射防止膜のシート抵抗が10Ω/□以上が好ましい。反射防止膜のシート抵抗が上記範囲において、反射防止膜が絶縁性であるため、自発光型表示装置に使用した場合に、タッチパネルを付与しても、静電容量式タッチセンサに必要な指の接触による静電容量の変化が維持され、タッチパネルを機能させることができる。上記シート抵抗は10Ω/□以上がより好ましく、10Ω/□以上がさらに好ましい。
なお、シート抵抗は、JIS K 6911(2006年)に規定の手法で測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体の中央にプローブをあて、10Vで10秒間通電して測定できる。
【0072】
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体において、反射防止膜のシート抵抗を10Ω/□以上にするには、例えば、反射防止膜中の金属含有量を調整する。
【0073】
(拡散反射光の明度:SCE L
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、拡散反射光の明度(SCE L)が7以下であるのが好ましい。上記拡散反射光の明度(SCE L)が上記範囲において、自発光型表示装置に使用した場合に、画面への外光の映り込み防止効果がより高くなり、好ましい。上記拡散反射光の明度(SCE L)は6以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。
なお、上記拡散反射光の明度(SCE L)は後述の実施例に記載のように、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)を用いて測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介してOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計により測定できる。
【0074】
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体において、拡散反射光の明度(SCE L)を7以下にするには、例えば、上述した反射防止膜付透明基体のヘイズ値を低減することにより得られる。
【0075】
(拡散反射光の色度:SCE a、SCE b
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、拡散反射光の色度(SCE a)が-5~5であるのが好ましい。上記拡散反射光の色度(SCE a)が上記範囲において、自発光型表示装置に使用した場合に、表示装置の色再現性がより高くなり、好ましい。上記拡散反射光の色度(SCE a)は-5~5がより好ましく、-4~4.5がさらに好ましい。
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、拡散反射光の色度(SCE b)が-8~5であるのが好ましい。上記拡散反射光の色度(SCE b)が上記範囲において、自発光型表示装置に使用した場合に、表示装置の色再現性がより高くなり、好ましい。上記拡散反射光の色度(SCE b)は-7~4がより好ましく、-6~4がさらに好ましい。
なお、上記拡散反射光の色度(SCE a、SCE b)は後述の実施例に記載のように、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)を用いて測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介してOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計により測定できる。
【0076】
(全反射光の明度:SCI L
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、全反射光の明度(SCI L)が、9以下が好ましい。上記全反射光の明度(SCI L)が上記範囲において、自発光型表示装置に使用した場合に、画面への外光の映り込み防止効果がより高くなり、好ましい。上記全反射光の明度(SCI L)は8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
なお、上記全反射光の明度(SCI L)は後述の実施例に記載のように、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)を用いて測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介してOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計により測定できる。
【0077】
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体において、全反射光の明度(SCI L)を9以下にするには、例えば、上述した反射防止膜付透明基体のヘイズ値を低減したり、反射防止膜付透明基体の視感透過率(Y)を90%以下にする。
【0078】
(全反射光の色度:SCI a、SCI b
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、全反射光の色度(SCI a)が-5~5であるのが好ましい。上記全反射光の色度(SCI a)が上記範囲において、自発光型表示装置に使用した場合に、表示装置の色再現性がより高くなり、好ましい。上記全反射光の色度(SCI a)は-3~3がより好ましく、-2~2がさらに好ましい。
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、全反射光の色度(SCI b)が-6~6であるのが好ましい。上記全反射光の色度(SCI b)が上記範囲において、自発光型表示装置に使用した場合に、表示装置の色再現性がより高くなり、好ましい。上記全反射光の色度(SCI b)は-4~4がより好ましく、-3~3がさらに好ましい。
なお、上記全反射光の色度:SCI a、SCI b)は後述の実施例に記載のように、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)を用いて測定できる。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介してOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計により測定できる。
【0079】
(明所コントラスト)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は、下記式で示される明所コントラストが高い。上記明所コントラストは後述の実施例に記載のように、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して、OLEDパネルをハンドローラを用いて貼り合わせ、300ルクス(室内の明るさ相当)環境で、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製CA-2000)を用い、白表示と黒表示の輝度を測定し、以下の式により明所コントラストを求める。なお、白表示および黒表示とは、表示装置を点灯させ、白画面を表示させる、または黒画面を表示させた状態を意味する。
明所コントラスト=白表示輝度/黒表示輝度
【0080】
(暗所コントラスト)
本態様の自発光型表示装置が備える反射防止膜付透明基体は下記式で示される暗所コントラストも高い。上記暗所コントラストは後述の実施例に記載のように、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して、OLEDパネルをハンドローラを用いて貼り合わせ、暗室(0ルクス)で、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製CA-2000)を用い、白表示と黒表示の輝度を測定し、以下の式により暗所コントラストを求める。
暗所コントラスト=白表示輝度/黒表示輝度
【実施例0081】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。例1~例10が実施例であり、例11~例14が比較例である。
【0082】
(例1)
以下の方法で、例1の反射防止膜付透明基体を作製した。
【0083】
透明基体にハードコート(HC)層を設けた態様である、ハードコートTACフィルム(トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム社製 商品名CHC)を用意し、その表面のうち、ハードコート層が設けられていない側の主面上に、透明の粘着剤(株式会社巴川製紙所製アクリル系粘着剤「TD06A」)を塗布して、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。すなわち、粘着剤層-透明基体-ハードコート層からなる積層体を作製した。
【0084】
次に、以下のようにして、ハードコート層上に反射防止膜(誘電体層)を形成した。
まず、誘電体層(1)(高屈折率層)としてデジタルスパッタ法にてニオブとモリブデンとを重量比で50:50の割合で混合して焼結したターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚の金属膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことにより酸化膜を成膜し、ハードコート層の主面にMo-Nb-O層を20nm成膜した。なお、Mo-Nb-O層は、Mo元素およびNb元素を合計70質量%以上含むことを確認した。
ここで、酸素ガスで酸化させるときの酸素流量は800sccm、酸化源の投入電力は1000Wであった。
【0085】
次いで、誘電体層(2)(低屈折率層)として同一のデジタルスパッタ法にてシリコンターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚のシリコン膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことによりシリコン酸化膜を成膜し、上記Mo-Nb-O層に重ね厚さ30nmの酸化ケイ素[シリカ(SiO)]からなる層を成膜した。ここで、酸素ガスで酸化させるときの酸素流量は500sccm、酸化源の投入電力は1000Wであった。
【0086】
次に、誘電体層(3)(高屈折率層)として同一のデジタルスパッタ法にてニオブとモリブデンとを重量比で50:50の割合で混合して焼結したターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚の金属膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことにより酸化膜を成膜し、酸化ケイ素層に重ね厚さ120nmのMo-Nb-O層を成膜した。なお、Mo-Nb-O層は、Mo元素およびNb元素を合計70質量%以上含むことを確認した。
ここで、酸素ガスで酸化させるときの酸素流量は800sccm、酸化源の投入電力は1000Wであった。
【0087】
続いて、誘電体層(4)(低屈折率層)として同一のデジタルスパッタ法にてシリコンターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚のシリコン膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことによりシリコン酸化膜を成膜し、Mo-Nb-O層に重ね厚さ88nmの酸化ケイ素[シリカ(SiO)]からなる層を成膜した。ここで、酸素ガスで酸化させるときの酸素流量は500sccm、酸化源の投入電力は1000Wであった。
【0088】
以上により、ハードコート層上に反射防止膜を設け、粘着剤層を備える反射防止膜付透明基体を得た。
【0089】
作製した、粘着剤層を備える反射防止膜付透明基体について、以下の評価を実施した。評価結果は表1に示す。
【0090】
(反射防止膜の視感透過率)
反射防止膜の視感透過率は、反射防止膜付透明基体において形成したものと同一の反射防止膜を、縦50mm×横50mm×厚さ1.1mmの化学強化ガラス基板(ドラゴントレイル:登録商標、AGC社製)の一方の主面上に設け、JIS Z 8709(1999年)に沿って分光測色計(島津製作所社製、商品名:SolidSpec-3700)を用いて測定した。
【0091】
(粘着剤層の視感透過率)
粘着剤層の視感透過率は、透明基体に貼付する前の粘着剤自体に対して、JIS Z 8709(1999年)に沿って分光測色計(島津製作所社製、商品名:SolidSpec-3700)を用いて測定した。
【0092】
(ヘイズ値)
作製した反射防止膜付透明基体のヘイズ値はJIS K 7136:2000によりヘイズメータ(村上色彩研究所社製、HR-100型)を使用して測定した。
【0093】
(視感透過率:Y)
作製した反射防止膜付透明基体において、反射防止膜の最表面の視感透過率(Y)は、JIS Z 8709(1999年)に規定の手法で測定した。具体的には、粘着剤層を備える反射防止膜付透明基体について、分光光度計(島津製作所社製、商品名:SolidSpec-3700)により分光透過率を測定し、計算により求めた。
【0094】
(反射防止膜付透明基体のD65光源下の透過色(b値))
上記の分光透過率を測定して得られた透過スペクトルから、JIS Z 8729(2004年)において規定されている色指標(b値)を求めた。光源はD65光源を用いた。
【0095】
(視感反射率:SCI Y)
作製した反射防止膜付透明基体において、反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)は、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で測定した。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)により全反射光の視感反射率(SCI Y)を測定した。光源はD65光源とした。
【0096】
(全反射光の明度:SCI L
作製した反射防止膜付透明基体において、全反射光の明度(SCI L)は、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で測定した。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)により全反射光の明度(SCI L)を測定した。光源はD65光源とした。
【0097】
(全反射光の色度:SCI a、SCI b
作製した反射防止膜付透明基体において、全反射光の色度(SCI a、SCI b)は、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で測定した。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)により全反射光の色度(SCI a、SCI b)を測定した。光源はD65光源とした。
【0098】
(拡散反射率:SCE Y)
作製した反射防止膜付透明基体において、反射防止膜の最表面の上記拡散反射率(SCE Y)は、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で測定した。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)により拡散反射率(SCE Y)を測定した。光源はD65光源とした。
【0099】
(拡散反射光の明度:SCE L
作製した反射防止膜付透明基体において、拡散反射光の明度(SCE L)は、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で測定した。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)により拡散反射光の明度(SCE L)を測定した。光源はD65光源とした。
【0100】
(拡散反射光の色度:SCE a、SCE b
作製した反射防止膜付透明基体において、拡散反射光の色度(SCE a、SCE b)は、JIS Z 8722(2009年)に規定の手法で測定した。具体的には、反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせた状態で、点灯OFFで、分光測色計(コニカミノルタ社製、商品名:CM-26d)により拡散反射光の色度(SCE a、SCE b)を測定した。光源はD65光源とした。
【0101】
(明所コントラスト)
作製した反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせ、300ルクス(室内の明るさ相当)環境で、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製CA-2000)を用い、以下の式で白表示と黒表示の輝度を測定した。
明所コントラスト=白表示輝度/黒表示輝度
【0102】
(暗所コントラスト)
作製した反射防止膜付透明基体に、粘着剤層を介して上記のOLEDパネルを、ハンドローラを用いて貼り合わせ、暗室(0ルクス)で、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製CA-2000)を用い、以下の式で白表示と黒表示の輝度を測定した。
暗所コントラスト=白表示輝度/黒表示輝度
【0103】
(シート抵抗)
測定装置(三菱化学アナリテック社製、装置名:ハイレスタUP(MCP-HT450型))を用いて、JIS K 6911(2006年)に沿ってシート抵抗値を測定した。具体的には、作製した反射防止膜付透明基体の中央にプローブをあて、10Vで10秒間通電して測定した。
【0104】
(例2)
反射防止膜(誘電体層)の高屈折率層の酸素流量を500sccmとし、反射防止膜の視感透過率を70%に変更した以外は例1と同様に成膜し、例2の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0105】
(例3)
反射防止膜(誘電体層)の高屈折率層の酸素流量を500sccmと投入電力を700Wとし、反射防止膜の視感透過率を50%に変更した以外は、例1と同様に成膜し、例3の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0106】
(例4)
ハードコートTACフィルムを、透明基体(PET)にアンチグレア層を設けた態様である、アンチグレアPETフィルム(東山フィルム社製「EHC-10a」)に変更した以外は、例3と同様に成膜し、例4の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0107】
(例5)
ハードコートTACフィルムを、透明基体(TAC)にアンチグレア層を設けた態様である、アンチグレアTACフィルム(トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム社製「VZ50」)に変更した以外は、例1と同様に成膜し、例5の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0108】
(例6)
反射防止膜(誘電体層)を例2のものに変更した以外は例5と同様に成膜し、例6の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0109】
(例7)
反射防止膜(誘電体層)を例3のものに変更した以外は例5と同様に成膜し、例7の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0110】
(例8)
ハードコートTACフィルムを、透明基体(PET)にアンチグレア層を設けた態様である、アンチグレアPETフィルム(麗光社製、ヘイズ値:50%)に変更した以外は例6と同様に成膜し、例8の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0111】
(例9)
ハードコートTACフィルムを、透明基体(PET)にアンチグレア層を設けた態様である、アンチグレアPETフィルム(麗光社製、ヘイズ値:60%)に変更した以外は例8と同様に成膜し、例9の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0112】
(例10)
ハードコートTACフィルムを、透明基体(PET)にアンチグレア層を設けた態様である、アンチグレアPETフィルム(麗光社製、ヘイズ値:80%)に変更した以外は例7と同様に成膜し、例10の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。
【0113】
(例11)
粘着剤層として、顔料入りの粘着剤(株式会社巴川製紙所製アクリル系粘着剤「TD06B」)を塗布して、厚さ25μmの粘着剤層(視感透過率:85%)を形成したものを用い、反射防止膜(誘電体層)を以下に記載する方法で成膜した透明ARに変更した以外は、例1と同様に成膜し、例11の反射防止膜付透明基体を得た。
【0114】
(透明ARの成膜方法)
まず誘電体層(1)(高屈折率層)としてデジタルスパッタ法にてチタンターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚の金属膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことにより酸化膜を成膜し、ハードコート層の主面にTi-O層を11nm成膜した。
【0115】
次いで、誘電体層(2)(低屈折率層)として同一のデジタルスパッタ法にてシリコンターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚のシリコン膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことによりシリコン酸化膜を成膜し、Ti-O層に重ね厚さ35nmの酸化ケイ素[シリカ(SiO)]からなる層を成膜した。ここで、酸素ガスで酸化させるときの酸素流量は500sccm、酸化源の投入電力は1000Wであった。
【0116】
次に、誘電体層(3)(高屈折率層)として同一のデジタルスパッタ法にてチタンターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚の金属膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことにより酸化膜を成膜し、酸化ケイ素層に重ね厚さ104nmのTi-O層を成膜した。
【0117】
続いて、誘電体層(4)(低屈折率層)として同一のデジタルスパッタ法にてシリコンターゲットを用いて、アルゴンガスで圧力を0.2Paに保ちながら、周波数100kHz、電力密度10.0W/cm、反転パルス幅3μsecの条件でパルススパッタリングを行い、微小膜厚のシリコン膜を成膜し、その直後に酸素ガスで酸化させることを高速で繰り返すことによりシリコン酸化膜を成膜し、Ti-O層に重ね厚さ86nmの酸化ケイ素[シリカ(SiO)]からなる層を成膜した。ここで、酸素ガスで酸化させるときの酸素流量は500sccm、酸化源の投入電力は1000Wであった。
評価結果を下記表1に示す。
【0118】
(例12)
粘着剤層として、顔料入りの粘着剤(株式会社巴川製紙所製アクリル系粘着剤「TD06B」)を塗布して、厚さ25μmの粘着剤層(視感透過率:70%)を形成したものを用いたものに変更した以外は例11と同様に成膜し、例12の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。なお、ヘイズ値は、粘着剤中の顔料(散乱成分)によるヘイズを含む値である。
【0119】
(例13)
粘着剤層として、顔料入りの粘着剤(株式会社巴川製紙所製アクリル系粘着剤「TD06B」)を塗布して、厚さ25μmの粘着剤層(視感透過率:50%)を形成したものに変更した以外は例11と同様に成膜し、例13の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。なお、ヘイズ値は、粘着剤中の顔料(散乱成分)によるヘイズを含む値である。
【0120】
(例14)
粘着剤層として、顔料入りの粘着剤(株式会社巴川製紙所製アクリル系粘着剤「TD06B」)を塗布して、厚さ25μmの粘着剤層(視感透過率:70%)を形成したものを用い、ハードコートTACフィルムを、透明基体(PET)にアンチグレア層を設けた態様である、アンチグレアPETフィルム(麗光社製、ヘイズ値:50%)に変更した以外は例11と同様に成膜し、例14の反射防止膜付透明基体を得た。評価結果を下記表1に示す。なお、ヘイズ値は、粘着剤中の顔料(散乱成分)によるヘイズを含む値である。
【0121】
【表1】
【0122】
例1と例11とでは、例1が反射防止膜が光吸収能を有するのに対し、例11は粘着剤層が光吸収能を有する点でのみ相違するところ、反射防止膜に光吸収能を有する例1は、自発光型表示装置において外光が入り込む面により近い位置に光吸収能を有する層を備えるため、反射防止膜は透明基体や粘着剤層で反射された光を効率良く吸収できる。そのため、例1は、粘着剤層に光吸収能を有する例11と比較して、明所コントラストおよび暗所コントラストが優れていた。例2と例12とを比較した場合、例3と例13を比較した場合、例8と例14を比較した場合も同様であった。
また、例1~例10は、いずれも、反射防止膜付透明基体の視感透過率(Y)が20~90%の範囲内であるため、適度な光吸収能を有し、自発光型表示装置の反射防止膜付透明基体として、外光の映り込みが十分に抑制されている。
【符号の説明】
【0123】
10 自発光ディスプレイ
20 反射防止膜付透明基体
21 粘着剤層
22 透明基体
23 アンチグレア層またはハードコート層
24 反射防止膜
31 陰極
32 OLED発光素子
33 陽極
41 マイクロLED発光素子
100 自発光型表示装置
200 OLED表示装置
300 マイクロLED表示装置
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基体上に反射防止膜を有する反射防止膜付透明基体を備え、
前記反射防止膜は、光吸収能を有し、互いに屈折率が異なる誘電体層を少なくとも2層積層させた積層構造である、自発光型表示装置であって、
前記自発光型表示装置が、OLED表示装置またはマイクロLED表示装置である、自発光型表示装置。
【請求項2】
前記反射防止膜付透明基体の視感透過率(Y)が20~90%である、請求項1に記載の自発光型表示装置。
【請求項3】
前記誘電体層のうち少なくとも1層が、主として、Siの酸化物で構成されており、前記積層構造の層のうち別の少なくとも1層が、主として、MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物で構成され、
該混合酸化物に含まれるA群の元素と該混合酸化物に含まれるB群の元素との合計に対する、該混合酸化物に含まれるB群の元素の含有率が65質量%以下である請求項1または2に記載の自発光型表示装置。
【請求項4】
前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)と、前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)との比である、SCE Y/SCI Yが0.15以上である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項5】
前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)が1.5%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項6】
前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)が0.05%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項7】
D65光源下の透過色でのb値が5以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項8】
ヘイズ値が1%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項9】
前記反射防止膜のシート抵抗が10Ω/□以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項10】
前記透明基体と反射防止膜との間に、アンチグレア層及びハードコート層の少なくとも一方の層を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項11】
前記反射防止膜上に防汚膜をさらに有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項12】
前記透明基体がガラスを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項13】
前記透明基体がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項14】
前記透明基体が、ガラスと、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂との積層体である、請求項1~13のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項15】
前記ガラスが化学強化されている、請求項12または14に記載の自発光型表示装置。
【請求項16】
前記透明基体は、前記反射防止膜を有する側の主面に防眩処理が施されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基体上に反射防止膜を有する反射防止膜付透明基体を備え、
前記反射防止膜は、光吸収能を有し、互いに屈折率が異なる誘電体層を少なくとも2層積層させた積層構造である、自発光型表示装置であって、
前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)と、前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)との比である、SCE Y/SCI Yが0.15以上であり、
前記反射防止膜の最表面の視感反射率(SCI Y)が0.49%以上1.5%以下であり、かつ
前記反射防止膜の最表面の拡散反射率(SCE Y)が0.05%以上であり、
前記自発光型表示装置が、OLED表示装置またはマイクロLED表示装置である、自発光型表示装置。
【請求項2】
前記反射防止膜付透明基体の視感透過率(Y)が20~90%である、請求項1に記載の自発光型表示装置。
【請求項3】
前記誘電体層のうち少なくとも1層が、主として、Siの酸化物で構成されており、前記積層構造の層のうち別の少なくとも1層が、主として、MoおよびWからなるA群から選択される少なくとも1つの酸化物と、Si、Nb、Ti、Zr、Ta、Al、SnおよびInからなるB群から選択される少なくとも1つの酸化物との混合酸化物で構成され、該混合酸化物に含まれるA群の元素と該混合酸化物に含まれるB群の元素との合計に対する、該混合酸化物に含まれるB群の元素の含有率が65質量%以下である請求項1または2に記載の自発光型表示装置。
【請求項4】
D65光源下の透過色でのb値が5以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項5】
ヘイズ値が1%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項6】
前記反射防止膜のシート抵抗が10Ω/□以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項7】
前記透明基体と反射防止膜との間に、アンチグレア層及びハードコート層の少なくとも一方の層を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項8】
前記反射防止膜上に防汚膜をさらに有する、請求項1~のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項9】
前記透明基体がガラスを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項10】
前記透明基体がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項11】
前記透明基体が、ガラスと、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーンまたはトリアセチルセルロースから選択される少なくとも1つの樹脂との積層体である、請求項1~10のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。
【請求項12】
前記ガラスが化学強化されている、請求項または11に記載の自発光型表示装置。
【請求項13】
前記透明基体は、前記反射防止膜を有する側の主面に防眩処理が施されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の自発光型表示装置。