(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125943
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、機器管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/20 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G06F11/20 635
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030323
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】福永 志樹
【テーマコード(参考)】
5B034
【Fターム(参考)】
5B034BB17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】管理機器上のクライアントアプリケーションがダウンしたとしても、機器管理機能を継続するクラウドサーバによる機器管理システムを提供する。
【解決手段】管理機器2と、主サーバ(機器管理システム1)と、従サーバ(オンプレサーバ3)と、を有する情報処理システムであって、管理機器は、主サーバに対して管理機器に関する機器情報を要求し、かつ、主サーバから機器情報を受信する機能と、受信した機器情報を読み書きする機能と、を有するアプリケーションを備える。従サーバは、主サーバに対して機器情報を要求し、かつ、主サーバから機器情報を受信する通信機能部と、通信可能な前記管理機器の機器情報を読み書きする読み書き機能部と、を備える。主サーバは、アプリケーションの異常を検出した場合に、従サーバを経由して、異常が検出されたアプリケーションを有する管理機器の前記機器情報を読み書きする機器管理部、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理機器と、主サーバと、従サーバと、を有する情報処理システムであって、
前記管理機器は、
前記主サーバに対して前記管理機器に関する機器情報を要求しかつ前記主サーバから前記機器情報を受信する機能と、受信した前記機器情報を読み書きする機能と、を有するアプリケーションを備え、
前記従サーバは、
前記主サーバに対して前記機器情報を要求しかつ前記主サーバから前記機器情報を受信する通信機能部と、
通信可能な前記管理機器の前記機器情報を読み書きする読み書き機能部と、を備え、
前記主サーバは、
前記アプリケーションの異常を検出した場合に、前記従サーバを経由して、異常が検出された前記アプリケーションを有する前記管理機器の前記機器情報を読み書きする機器管理部、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記機器管理部は、前記アプリケーションの異常を検出した場合、前記従サーバのうち前記アプリケーションを導入した前記管理機器と通信する前記従サーバのリストを作成し、前記リストから選択した前記従サーバを経由して、異常が検出された前記アプリケーションを有する前記管理機器の前記機器情報を読み書きする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記機器管理部は、前記従サーバが、異常が検出された前記アプリケーションを有する前記管理機器までの通信に要する通信到達時間に基づいて、前記リストから前記従サーバを選択する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記機器管理部は、前記リストに含まれる前記従サーバのうち、前記機器情報の読み書きを行っている前記管理機器の数が最も少ない前記従サーバを選択する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記機器管理部は、前記リストに含まれる前記従サーバのうち、前記アプリケーションの異常を検出した前記管理機器と予め紐付けられた前記従サーバを選択する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
主サーバで実行される機器管理方法であって、
前記主サーバに対して管理機器に関する機器情報を要求しかつ前記主サーバから前記機器情報を受信する機能と、受信した前記機器情報を読み書きする機能と、を有するアプリケーションの異常を検出する工程と、
前記アプリケーションの異常を検出した場合に、従サーバを経由して、異常が検出された前記アプリケーションを有する前記管理機器の前記機器情報を読み書きする工程と、
を含む機器管理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
主サーバに対して管理機器に関する機器情報を要求しかつ前記主サーバから前記機器情報を受信する機能と、受信した前記機器情報を読み書きする機能と、を有するアプリケーションの異常を検出する検出部と、
前記アプリケーションの異常を検出した場合に、従サーバを経由して、異常が検出された前記アプリケーションを有する前記管理機器の前記機器情報を読み書きする機器管理部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、機器管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
イントラネット内のオンプレサーバを経由してクラウド上のシステムから、イントラネット内の管理機器を機器管理する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の方法では、イントラネット内部のシステムが常に正常に稼働している必要がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、イントラネット内のシステムの一部がダウンしたとしても、クラウドサーバによる機器管理システムにおいて、管理機器の機器管理機能を継続して提供できる情報処理システム、機器管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、管理機器と、主サーバと、従サーバと、を有する情報処理システムであって、前記管理機器は、前記主サーバに対して前記管理機器に関する機器情報を要求しかつ前記主サーバから前記機器情報を受信する機能と、受信した前記機器情報を読み書きする機能と、を有するアプリケーションを備え、前記従サーバは、前記主サーバに対して前記機器情報を要求しかつ前記主サーバから前記機器情報を受信する通信機能部と、通信可能な前記管理機器の前記機器情報を読み書きする読み書き機能部と、を備え、前記主サーバは、前記アプリケーションの異常を検出した場合に、前記従サーバを経由して、異常が検出された前記アプリケーションを有する前記管理機器の前記機器情報を読み書きする機器管理部、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、イントラネット内のシステムの一部がダウンしたとしても、クラウドサーバによる機器管理システムにおいて、管理機器の機器管理機能を継続して提供できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一般的な情報処理システムの構成の一例を説明するための図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態にかかる機器管理システムおよびオンプレサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態にかかる管理機器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける機器管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態にかかる情報処理システムにおける機器管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、情報処理システム、機器管理方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、一般的な情報処理システムの構成の一例を説明するための図である。クラウドサーバ上の機器管理システム1は、イントラネット内部にある管理機器2の状態情報を取得したり、管理機器2の機器設定情報を変更したりすることを責務とする。ただし、一般にクラウドサーバ(機器管理システム1)から直接イントラネット内部に向けて通信を行うことはできない。そのため、各管理機器2の内部で動作する機器クライアントアプリケーションを用意して、その機器クライアントアプリケーションがクラウドサーバ上の機器管理システム1へ行う通信への返信として、取得したい状態情報および設定したい機器設定情報を渡す。機器クライアントアプリケーションは、それらの情報を受けて動作するという構成が一般的である。しかしながら、機器クライアントアプリケーションをインストールすることが出来ない旧機種の管理機器2および他ベンダの管理機器2を管理するために、オンプレミスサーバ(以下、オンプレサーバという)3を導入した構成をすることも多い。
【0010】
図2は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかる情報処理システムは、
図2に示すように、機器管理システム1(主サーバの一例)、管理機器2、およびオンプレサーバ3(従サーバの一例)を有する。機器管理システム1は、クラウドサーバ上に設けられかつ機器管理機能を統括する。ここで、機器管理機能は、管理機器2を管理する機能であり、管理機器2の状態情報を取得する機能、管理機器2の機器設定情報を変更または設定する機能等を含む。管理機器2は、機器クライアントアプリケーションがインストールされる。オンプレサーバ3は、管理機器2と通信可能である。そして、管理機器2およびオンプレサーバ3は、イントラネット内に設けられ、機器管理システム1は、イントラネット外に設けられる。
【0011】
クラウドサーバ上の機器管理システム1は、管理機器2が有する機器クライアントアプリケーション、またはオンプレサーバ3を通して、管理機器2からの状態情報の取得および機器設定情報の反映を行うタスクを実行する。すなわち、機器管理システム1は、管理機器2との間でタスク情報を通信する。ここで、タスク情報は、状態情報および機器設定情報等、管理機器2に関する機器情報の一例である。タスク情報は、正常時、機器クライアントアプリケーションおよびオンプレサーバ3からの定期的な通信に対して、その応答の形でそれぞれに渡されることになる。
【0012】
図3は、第1の実施の形態にかかる機器管理システムおよびオンプレサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。ここでは、機器管理システム1またはオンプレサーバ3の一例としてのサーバ4のハードウェア構成について説明する。
【0013】
図3に示されているように、サーバ5は、コンピュータによって構築されており、
図3に示されているように、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0014】
これらのうち、CPU501は、サーバ5全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリおよびプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス510は、
図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0015】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択および実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0016】
図4は、第1の実施の形態にかかる管理機器のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示されているように、管理機器2の一例であるMFP(Multi-Function Peripheral/Product/Printer)9は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0017】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、および、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0018】
これらのうち、CPU901は、MFP9の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0019】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムおよびデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0020】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDD908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0021】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出または書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0022】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。さらsに、エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値および選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940bを備えている。コントローラ910は、MFP9全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931またはプリンタ部932には、誤差拡散およびガンマ変換等の画像処理部分が含まれている。
【0023】
なお、MFP9は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。また、ネットワークI/F950は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920およびネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0024】
図5は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態では、管理機器2は、機器クライアントアプリケーションがインストールされている。機器クライアントアプリケーションは、機器管理システム1に対してタスク情報を要求しかつ機器管理システム1からタスク情報を受信する機能を有する。また、機器クライアントアプリケーションは、機器管理システム1から受信したタスク情報を管理機器2に対して読み書きする機能を有する。
【0025】
オンプレサーバ3は、管理機器2に対して、直接に(すなわち、機器クライアントアプリケーションを介さずに)、タスク情報を読み書き可能なサーバである。具体的には、オンプレサーバ3は、機器管理システム1に対してタスク情報を要求しかつ機器管理システム1からタスク情報を受信する通信機能部3a、および管理機器2のうち通信可能な管理機器2に対してタスク情報を読み書きする読み書き機能部3bを有する。本実施の形態では、オンプレサーバ3は、管理機器2にインストールされている機器クライアントアプリケーションと同様のアプリケーションがインストールされ、当該アプリケーションにより通信機能部3aおよび読み書き機能部3bを実現しても良い。
【0026】
機器管理システム1は、検出部1aおよび機器管理部1bを有する。検出部1aは、管理機器2の機器クライアントアプリケーションの異常を検出する。機器管理部1bは、管理機器2の機器クライアントアプリケーションまたはオンプレサーバ3からのタスク情報の要求に応じて、タスク情報を機器クライアントアプリケーションまたはオンプレサーバ3に送信する。
【0027】
また、機器管理部1bは、検出部1aによって機器クライアントアプリケーションの異常が検出された場合に、オンプレサーバ3を経由して、異常が検出された機器クライアントアプリケーションを有する管理機器2のタスク情報を読み書きする。これにより、管理機器2の機器クライアントアプリケーションに異常が発生した場合でも、オンプレサーバ3を介して管理機器2に対してタスク情報を読み書きすることができる。例えば、管理機器2の操作パネル940等に機器クライアントアプリケーションがインストールされている場合に、当該機器クライアントアプリケーションに異常が発生しても、管理機器2の本体にタスク情報を読み書きすることができる。その結果、クラウドサーバ上による機器管理システム1において、管理機器2上のクライアントアプリケーションがダウンしたとしても、機器管理システム1による機器管理機能を継続して提供できる。
【0028】
ここで、機器クライアントアプリケーションに何かしらの機能障害が発生した場合における機器管理システム1による機器管理機能の一例について説明する。機器クライアントアプリケーションに障害が発生した場合、機器管理システム1への通信が途絶えることになる。クラウドサーバ上の機器管理システム1(検出部1a)は、機器クライアントアプリケーションからのアクセスが所定の時間以上途絶えた場合に、機器クライアントアプリケーションの異常を検出する。
【0029】
この場合、クラウドサーバ上の機器管理システム1(機器管理部1b)は、異常を検出した管理機器2を記録しておき、オンプレサーバ3がタスク情報を要求してきた際に、その管理機器2に対するタスク情報の読み書きの代行処理を依頼する。これ以降、異常から復帰した機器クライアントアプリケーションがタスク情報を要求してきたとしても、既にオンプレサーバ3に代行依頼したタスク情報は返さない。これにより、タスクが二重実行されることを防止できる。
【0030】
本実施の形態では、機器管理システム1の機器管理部1bは、機器クライアントアプリケーションに代行して管理機器2に対してタスク情報の読み書きを代行するオンプレサーバ3の選択は、以下の選択方法によって実現しても良い。例えば、機器管理部1bは、管理機器2に対するタスク情報の読み書きを代行するオンプレサーバ3を予め紐付けておき、当該管理機器2に紐付けられたオンプレサーバ3を選択しても良い。または、機器管理部1bは、管理機器2と通信可能なオンプレサーバ3から、予め設定されたアルゴリズムに従って、オンプレサーバ3を選択しても良い。
【0031】
その後、オンプレサーバ3が、機器管理システム1に代行して、管理機器2に対するタスク情報の読み書きを代行する。そして、オンプレサーバ3は、管理機器2に対するタスク情報の読み書きの代行結果を機器管理システム1に応答する。
【0032】
図6は、第1の実施の形態にかかる情報処理システムにおける機器管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。クラウドサーバ上に設けられる機器管理システム1の検出部1aは、機器クライアントアプリケーションからの通信が所定の時間以上途絶えた場合、機器クライアントアプリケーションの異常を検出する(ステップS601)。オンプレサーバ3の通信機能部3aは、機器管理システム1に対してタスク情報を要求する(ステップS602)。
【0033】
機器管理システム1の機器管理部1bは、オンプレサーバ3からのタスク情報の要求に応じて、タスク情報をオンプレサーバ3に送信するとともに、異常が検出された機器クライアントアプリケーションを有する管理機器2(以下、管理機器Xという)と通信可能か否かの接続確認をオンプレサーバ3に要求する(ステップS603)。オンプレサーバ3の読み書き機能部3bは、管理機器Xと通信(接続)可能か否かを確認する(ステップS604)。異常が発生した管理機器Xに対して代行で処理を行うオンプレサーバ3は、当該管理機器Xに対して通信可能なオンプレサーバ3であればどれでも候補になりうる。したがって、クラウドサーバ上の機器管理システム1は、オンプレサーバ3にタスク情報の読み書きの代行を依頼する前に、そのオンプレサーバ3が当該管理機器Xに対して接続可能かどうかを確認する。
【0034】
管理機器Xと通信可能であることが確認された場合、オンプレサーバ3の通信機能部3aは、管理機器Xとの接続(通信)に成功した旨を機器管理システム1に送信する(ステップS605)。オンプレサーバ3から、管理機器Xとの接続に成功した旨を受信すると、機器管理システム1の機器管理部1bは、オンプレサーバ3に対して、管理機器Xに読み書きするタスク情報をオンプレサーバ3に応答する(ステップS606)。オンプレサーバ3の読み書き機能部3bは、管理機器Xに対するタスク情報の読み書きを代行して行う(ステップS607)。その後、オンプレサーバ3の通信機能部3aは、タスク情報の読み書きの代行の実行結果を機器管理システム1に送信する(ステップS608)。機器管理システム1の機器管理部1bは、オンプレサーバ3から、タスク情報の読み書きの代行の実行結果を受信した場合、管理機器Xに対するタスク情報の読み書きが成功したと判断する(ステップS609)。
【0035】
一方、ステップS604において、管理機器Xと通信できなかった場合、オンプレサーバ3の通信機能部3aは、管理機器Xとの接続に失敗したことを機器管理システム1に送信する(ステップS610)。この場合、機器管理システム1の機器管理部1bは、管理機器Xに対するタスク情報の読み書きが失敗したと判断する(ステップS611)。
【0036】
このように、第1の実施の形態にかかる情報処理システムによれば、管理機器2の機器クライアントアプリケーションに異常が発生した場合でも、オンプレサーバ3を介して管理機器2に対してタスク情報を読み書きすることができる。その結果、クラウドサーバ上による機器管理システム1において、管理機器2上のクライアントアプリケーションがダウンしたとしても、機器管理システム1による機器管理機能を継続して提供できる。
【0037】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、異常が検出された機器クライアントアプリケーションを有する管理機器と通信可能なオンプレサーバが複数存在する場合に、当該オンプレサーバのリストから、オンプレサーバを選択して、当該選択したオンプレサーバを経由して、管理機器に対してタスク情報を読み書きする例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0038】
本実施の形態では、機器管理システム1の機器管理部1bは、機器クライアントアプリケーションの異常を検出した場合、オンプレサーバ3のうち機器クライアントアプリケーションを導入した管理機器2と通信可能なオンプレサーバ3のリストを作成する。そして、機器管理部1bは、リストから選択したオンプレサーバ3を経由して、異常が検出された機器クライアントアプリケーションを有する管理機器2のタスク情報を読み書きする。例えば、機器管理部1bは、オンプレサーバ3が、異常が検出された機器クライアントアプリケーションを有する管理機器2までの通信に要する通信到達時間に基づいて、リストからオンプレサーバ3を選択しても良い。
【0039】
図7は、第2の実施の形態にかかる情報処理システムにおける機器管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。クラウドサーバ上に設けられる機器管理システム1の検出部1aは、機器クライアントアプリケーションからの通信が所定の時間以上途絶えた場合、機器クライアントアプリケーションの異常を検出する(ステップS601)。複数のオンプレサーバ3-1~3-3のそれぞれの通信機能部3aは、機器管理システム1に対してタスク情報を要求する(ステップS701~S703)。
【0040】
機器管理システム1の機器管理部1bは、オンプレサーバ3-1~3-3のそれぞれからのタスク情報の要求に応じて、タスク情報をオンプレサーバ3-1~3-3に送信するとともに、管理機器Xと通信可能な否かの接続確認をオンプレサーバ3-1~3-3のそれぞれに要求する(ステップS704~S706)。管理機器Xと通信可能であることを確認されたオンプレサーバ3-1,3-2の通信機能部3aは、管理機器Xとの接続に成功した旨を機器管理システム1に送信する(ステップS707、ステップS708)。一方、管理機器Xとの接続に失敗したオンプレサーバ3-3の通信機能部3aは、管理機器Xとの接続に失敗した旨を機器管理システム1に送信する(ステップS709)。
【0041】
機器管理システム1の機器管理部1bは、管理機器Xとの接続に成功した旨の通知が最も早かったオンプレサーバ3-1に対して、管理機器Xに読み書きするタスク情報をオンプレサーバ3-1に応答する(ステップS710)。オンプレサーバ3-1の読み書き機能部3bは、管理機器Xに対するタスク情報の読み書きを代行して行う(ステップS711)。
【0042】
本実施の形態では、機器管理部1bは、管理機器Xとの接続に成功した旨の通知が最も早かったオンプレサーバ3-1に対してタスク情報を応答しているが、これに限定するものではない。例えば、機器管理システム1の機器管理部1bは、管理機器Xとの接続に成功したオンプレサーバ3のリストを作成する。
【0043】
ここでは、機器管理部1bは、リストに含まれるオンプレサーバ3のうち、オンプレサーバ3が管理機器Xまでの通信に要する通信到達時間が最も短いオンプレサーバ3を選択しても良い。または、機器管理部1bは、リストに含まれるオンプレサーバ3のうち、タスク情報の読み書きを行っている管理機器2の数が最も少ないオンプレサーバ3を選択して、オンプレサーバ3の負荷分散を行っても良い。また、機器管理部1bは、リストに含まれるオンプレサーバ3のうち、機器クライアントアプリケーションの異常を検出した管理機器Xと予め紐付けられたオンプレサーバ3を選択しても良い。
【0044】
一方、機器管理システム1の機器管理部1bは、管理機器Xに対するタスク情報の読み書きをオンプレサーバ3-1に対して依頼済みのため、オンプレサーバ3-2,3-3に対しては、管理機器Xに読み書きするタスク情報が無いことを通知する(ステップS712、ステップS713)。
【0045】
その後、オンプレサーバ3-1の通信機能部3aは、タスク情報の読み書きの代行の実行結果を機器管理システム1に送信する(ステップS714)。機器管理システム1の機器管理部1bは、オンプレサーバ3-1から、タスク情報の読み書きの代行の実行結果を受信した場合、管理機器Xに対するタスク情報の読み書きが成功したと判断する(ステップS715)。
【0046】
本実施の形態では、オンプレサーバ3は、タスク情報の読み書きの代行を主目的として用いられているが、オンプレサーバ3(所謂、代行オンプレミスサーバ)を用いて、異常が検出された管理機器2の機器クライアントアプリケーション自体を修復することもできる。したがって、オンプレサーバ3-1の読み書き機能部3bは、シーケンスに則ってタスク情報の読み書きを代行した後、管理機器Xの機器クライアントアプリケーションの修正および再インストールを行っても良い。
【0047】
このように、第2の実施の形態にかかる情報処理システムによれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0049】
なお、管理機器2は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。管理機器2は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0050】
なお、本実施の形態の機器管理システム1およびオンプレサーバ3で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の機器管理システム1およびオンプレサーバ3で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0051】
さらに、本実施の形態の機器管理システム1およびオンプレサーバ3で実行される~プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の機器管理システム1およびオンプレサーバ3で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0052】
本実施の形態の機器管理システム1で実行されるプログラムは、上述した各部(検出部1a、機器管理部1b)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU501(プロセッサの一例)が上記ROM502からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、検出部1a、機器管理部1bが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0053】
本実施の形態のオンプレサーバ3で実行されるプログラムは、上述した各部(通信機能部3a、読み書き機能部3b)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU501(プロセッサの一例)が上記ROM502からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、通信機能部3a、読み書き機能部3bが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0054】
1 機器管理システム
1a 検出部
1b 機器管理部
2 管理機器
3 オンプレサーバ
3a 通信機能部
3b 読み書き機能部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】