(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126176
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性の測定方法、試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 11/06 20060101AFI20230831BHJP
G01N 11/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G01N11/06 Z
G01N11/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027603
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2022029490
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(71)【出願人】
【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】興井 みのり
(72)【発明者】
【氏名】谷 和夫
(72)【発明者】
【氏名】野村 瞬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮彦
(72)【発明者】
【氏名】矢部 浩史
(72)【発明者】
【氏名】梅田 洋彰
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構造で粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性を高精度に測定できる粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法を提供する。
【解決手段】非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、縦方向に延びるとともに投入口を上端に有する縦管部25と、縦管部の下端と連通する一方の端部31と、排出口を構成する他方の端部と、を有するとともに横方向に延びる横管部26と、流量を測定可能な第1測定部18と、を備える試験装置11を用いる。粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、他方の端部32を閉塞した状態で投入口24から非ニュートン流体を投入して、充填する充填工程と、他方の端部32を開放して前記非ニュートン流体を排出させ、第1測定部18により他方の端部32から排出された非ニュートン流体の流量を測定する測定工程と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に延びるとともに粒状体を含む非ニュートン流体の投入口を上端に有する縦管部と、
前記縦管部の下端と連通する一方の端部と、前記非ニュートン流体が排出される排出口を構成する他方の端部と、を有するとともに横方向に延びる横管部と、
前記他方の端部の近傍に設けられ、前記他方の端部から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定可能な第1測定部と、
を備える試験装置を用いる粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法であって、
前記他方の端部を閉塞した状態で前記投入口から前記非ニュートン流体を投入して、前記縦管部内と前記横管部内とに前記非ニュートン流体を充填する充填工程と、
前記他方の端部を開放して前記非ニュートン流体を排出させ、前記第1測定部により前記他方の端部から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定する測定工程と、
を備える粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法。
【請求項2】
前記試験装置は、前記縦管部の前記投入口付近を加圧する加圧ユニットを備え、
前記加圧ユニットは、前記充填工程が完了後に作動して前記投入口付近を加圧するとともに、前記測定工程においても前記投入口付近を加圧する請求項1に記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法。
【請求項3】
前記加圧ユニットは、エアポンプを含む請求項2に記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法。
【請求項4】
前記横管部は、前記横管部の長さよりも長い第2横管部と交換可能である請求項1~3のいずれか1項に記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法。
【請求項5】
前記第1測定部は、質量計を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法。
【請求項6】
縦方向に延び、粒状体を含む非ニュートン流体の投入口を上端に有するとともに前記非ニュートン流体を内部に充填可能な縦管部と、
前記縦管部の下端と連通する一方の端部と、前記非ニュートン流体が排出される排出口を構成する他方の端部と、を有するとともに横方向に延び、且つ前記非ニュートン流体を内部に充填可能な横管部と、
前記他方の端部に対して着脱可能に構成され、前記他方の端部を閉塞可能な閉塞具と、
前記他方の端部の近傍に設けられ、前記閉塞具が前記他方の端部から離脱された際に前記他方の端部から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定可能な第1測定部と、
を備える試験装置。
【請求項7】
前記縦管部の前記投入口付近を加圧する加圧ユニットであって、前記閉塞具が前記他方の端部から離脱された際に前記非ニュートン流体を前記他方の端部から押し出す加圧ユニットを備える請求項6に記載の試験装置。
【請求項8】
前記加圧ユニットは、エアポンプを含む請求項7に記載の試験装置。
【請求項9】
前記横管部は、前記横管部の長さよりも長い第2横管部と交換可能である請求項6~8のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項10】
前記第1測定部は、質量計を含む請求項6~9のいずれか1項に記載の粒状体を含む試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性を測定できる非ニュートン流体の粘性特性の測定方法、同方法に用いられる試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高流動コンクリートの流動特性の試験方法(J型フロー試験)が知られている(非特許文献1、2参照)。この試験方法では、J型フロー試験を用いて、高流動コンクリートの流動性を測定している。この試験装置以外にも、材料の粘性特性を調べる試験方法には、回転式、フロー式、落球式、等の様々な方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】山本 康弘、他2名、高流動コンクリートの流動特性の試験方法(J型フロー試験)に関する研究、日本建築学会構造系論文報告集、第489号、p.9-26、1996.11
【非特許文献2】宮本 欣明、他1名、J型フロー試験による高流動コンクリートの流動特性・調合に関する研究、日本建築学会構造系論文報告集、第547号、p.9-15、2001.9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の試験方法では、粒状体を含み非ニュートン流体の粘性特性(せん断応力とずり速度が比例する関係ではない)を有する材料に適用できるものが存在しない。例えば、回転式の粘度計ではずり速度を制御できるが、粗い粒状体を含む場合に適用できない問題がある。落球試験では、粒状体の最大粒径より数倍以上の径の球を用いれば、粒状体を含み非ニュートン流体の粘性特性を有する材料にも適用できるが、ずり速度を制御することが困難である。なぜなら、密度と径を変えた球を多数用意する必要があり、現実的でないからである。一方、せん断応力とずり速度の関係が求められる方法としてJ型フロー試験があるが、粘性特性としてニュートン流体を仮定するので整合的でない問題がある。さらに、材料の粘性特性によっては、試験を実施できない問題がある。すなわち、粘性が弱すぎるとJ型フロー試験装置の排出口で液面が安定せず、計測結果の解析で仮定する準静的なつり合い条件を満足しないために、正確な測定ができない問題がある。また、粘性が強すぎると、試験時間が過度に長くなる問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、簡単な構造で粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性を高精度に測定できる粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、縦方向に延びるとともに粒状体を含む非ニュートン流体の投入口を上端に有する縦管部と、
前記縦管部の下端と連通する一方の端部と、前記非ニュートン流体が排出される排出口を構成する他方の端部と、を有するとともに横方向に延びる横管部と、
前記他方の端部の近傍に設けられ、前記他方の端部から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定可能な第1測定部と、
を備える試験装置を用いる粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法であって、
前記他方の端部を閉塞した状態で前記投入口から前記非ニュートン流体を投入して、前記縦管部内と前記横管部内とに前記非ニュートン流体を充填する充填工程と、
前記他方の端部を開放して前記非ニュートン流体を排出させ、前記第1測定部により前記他方の端部から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定する測定工程と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、(1)記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法であって、
前記試験装置は、前記縦管部の前記投入口付近を加圧する加圧ユニットを備え、
前記加圧ユニットは、前記充填工程が完了後に作動して前記投入口付近を加圧するとともに、前記測定工程においても前記投入口付近を加圧する。
【0008】
また、本発明(3)の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、(2)記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法であって、
前記加圧ユニットは、エアポンプを含む。
【0009】
また、本発明(4)の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、(1)~(3)のいずれか1項に記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法であって、
前記横管部は、前記横管部の長さよりも長い第2横管部と交換可能である。
【0010】
また、本発明(5)の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、(1)~(4)のいずれか1項に記載の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法であって、
前記第1測定部は、質量計を含む。
【0011】
また、本発明(6)の試験装置は、縦方向に延び、粒状体を含む非ニュートン流体の投入口を上端に有するとともに前記非ニュートン流体を内部に充填可能な縦管部と、
前記縦管部の下端と連通する一方の端部と、前記非ニュートン流体が排出される排出口を構成する他方の端部と、を有するとともに横方向に延び、且つ前記非ニュートン流体を内部に充填可能な横管部と、
前記他方の端部に対して着脱可能に構成され、前記他方の端部を閉塞可能な閉塞具と、
前記他方の端部の近傍に設けられ、前記閉塞具が前記他方の端部から離脱された際に前記他方の端部から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定可能な第1測定部と、
を備える。
【0012】
また、本発明(7)の試験装置は、(6)記載の試験装置であって、
前記縦管部の前記投入口付近を加圧する加圧ユニットであって、前記閉塞具が前記他方の端部から離脱された際に前記非ニュートン流体を前記他方の端部から押し出す加圧ユニットを備える。
【0013】
また、本発明(8)の試験装置は、(7)記載の試験装置であって、
前記加圧ユニットは、エアポンプを含む。
【0014】
また、本発明(9)の試験装置は、(6)~(8)のいずれか1項に記載の試験装置であって、
前記横管部は、前記横管部の長さよりも長い第2横管部と交換可能である。
【0015】
また、本発明(10)の試験装置は、(6)~(9)のいずれか1項に記載の試験装置であって、
前記第1測定部は、質量計を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構造で粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性を高精度に測定できる粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の試験装置を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す試験装置を用いた第1実施形態の試験手順(粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法)を示すフローチャートである。
【
図3】非ニュートン流体の円管内の流れのモデルである。
【
図4】第2実施形態の試験装置を示す模式図である。
【
図5】
図4に示す試験装置を用いた第2実施形態の試験手順(粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法)を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態の試験装置を用いた実施例にかかるCMC溶液の計測例を示すグラフである。
【
図7】
図6の結果をビンガム流体と仮定した場合の粘性特性(せん断応力τとずり速度Dとの関係)を示すグラフである。
【
図8】
図6の結果を非ニュートン流体(擬塑性流体、ダイラタント流体、ただし降伏値τyの有無は問わない)と仮定した場合の粘性特性(せん断応力τとずり速度Dとの関係)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明の粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法に用いられる試験装置の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
【0019】
図1、
図2を参照して、第1実施形態の試験装置11およびそれを用いた粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法について説明する。なお、ここでいう非ニュートン流体には、擬塑性流体(降伏値τyの有無は問わない)およびダイラタント流体(降伏値τyの有無は問わない)が含まれる。より詳細には、非ニュートン流体には、擬塑性流体、ダイラタント流体、ビンガム流体、降伏値を持つ擬塑性流体、および降伏値を持つダイラタント流体が含まれる。
一般に、ニュートン流体の概念には、水やグリセリンが含まれる。ビンガム流体の概念には、塗料、マヨネーズ、ベントナイト溶液が含まれる。擬塑性流体およびダイラタント流体の概念には、CMC溶液や片栗粉が含まれる。
【0020】
試験装置11は、床12上に設置された架台13と、架台13に支持されるJ型の管路14と、同じく架台13に支持される標尺15と、管路14の排出口16(他方の端部32)の近傍に設けられる第1測定部18と、後述する充填工程に先立って管路14の排出口16(他方の端部32)を閉塞する閉塞具21と、管路14に隣接して設けられ管路14内の試料22(粒状体を含む非ニュートン流体)の液面を記録するための2台のビデオカメラ23と、経過時間を計測するための図示しないストップウォッチと、を備える。標尺15は、一般的な長尺の物差し等で構成されている。各ビデオカメラ23は、市販されている一般的なビデオカメラで構成される。ビデオカメラ23の一方23Aは、上流側(投入口24側)の試料22の液面の移動(降下挙動)を記録可能な位置に配置される。ビデオカメラ23の他方23Bは、排出口16における試料22の液面状態(液面形状)を記録可能な位置に配置される。1台のビデオカメラ23によって、上流側(投入口24側)の試料22の液面の移動(降下挙動)と、排出口16における試料22の液面状態(液面形状)と、の両方を記録してもよい。ストップウォッチは、試験開始からの経過時間を測定する第2測定部である。この第2測定部は、第1測定部18内に組み込まれていてもよい。
【0021】
管路14は、いずれの箇所においても、円形断面のパイプ状に形成されている。管路14は、例えば、透光性を有する樹脂材料、例えば塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂によって形成されている。管路14は、例えば、透光性を有するガラス材料によって形成されていてもよい。管路14の内径および管内(流路内)の断面積は、いずれの箇所でも同一になるように構成されている。管路14の内径は、例えば、試験対象となる試料22(粒状体を含む非ニュートン流体)に含まれる粒状体の最大粒径の5倍以上で構成される。管路14の内径は、試料22の塑性粘度等に応じて、例えば、10~200mmの範囲で適宜に選択される。管路14は、縦方向に延びる縦管部25と、横方向に延びる横管部26と、を有する。ここで、本発明にいう縦方向は、例えば鉛直方向(重力方向)をいうものであるが、鉛直方向から数度から数十度ずれた方向であってもよい。本発明にいう横方向は、例えば水平方向をいうものであるが、水平方向から数度から数十度ずれた方向であってもよい。縦管部25は、その軸方向にまっすぐ延びる直管である。
【0022】
縦管部25と横管部26とは、例えば、ねじ(おねじ、めねじ)による接合を用いて互いに着脱可能に構成されている。或いは、縦管部25と横管部26とは、シールのためにOリング等を介在させたオス部とそれを受容するメス部との嵌合によって、互いに着脱可能に構成されてもよい。縦管部25は、その上端に、粒状体を含む非ニュートン流体を管路14内に投入するための投入口24を有する。投入口24は、大気に開放されている。縦管部25は、その軸方向に例えば1~2mの長さで構成されている。鉛直方向の縦管部25の長さは、原理的には制限はない。しかしながら、鉛直方向の縦管部25の長さが短過ぎると測定できるずり速度の最大値が小さくなり、結果的に求められる塑性粘度の精度が低くなる。一方、鉛直方向の縦管部25の長さを長くすると、投入口24への試料22の投入が困難になる。したがって、鉛直方向の縦管部25の長さの上限は、投入口24に対する試料22の充填のし易さを考慮して、2mとすることが好ましい。
【0023】
横管部26の長さLは、試料22の粘性の大きさを考慮して、適宜に選択することができる。すなわち、試料22の粘性が大きい場合には、横管部26の長さを小さくし、試料22の粘性が小さい場合には、横管部26の長さを大きくできる。一例として、横管部26の長さLは、0.2mで構成される。横管部26は、試料22の粘性との関係で排出口16での液面形状が不安定になる場合には、後述するように横管部26をそれよりも長さの長い第2横管部26に交換することができる。
【0024】
横管部26は、縦管部25の下端と連通する一方の端部31と、試料22が排出される排出口16を構成する他方の端部32と、一方の端部31と他方の端部32とを連通する横管部本体33と、を有する。他方の端部32は、鉛直上方に向けて折れ曲がり解放されている。すなわち、横管部26は、上流側の一方の端部31と下流側の他方の端部32とが180度回転した曲管をなしている。他方の端部32は、その先端に試料22を排出するための排出口16を有する。横管部本体33は、その軸方向にまっすぐに延びる直管をなしている。ここで、「排出口16が横管部本体33から上方に突出する突出長さ」は、「縦管部25の投入口24が横管部本体33から上方に突出する突出長さ」よりも著しく小さい。排出口16は、他方の端部32から排出された試料22を第1測定部18に向けて排出されるように、第1測定部18側の高さを低く形成してもよいし、或いは、第1測定部18側の高さを低くするように第1測定部18側に切れ込みを有していてもよい。或いは、後述する第1測定部18(計量容器35)を他方の端部32の下方に配置して、どの方向に排出された試料22についても第1測定部18(計量容器35)で回収可能な配置としても当然によい。
【0025】
閉塞具21は、管路14の排出口16に対して着脱可能に構成された栓で構成されている。閉塞具21は、例えば、円錐台形状をなしたゴム栓で構成され、その先細りした側の先端を管路の排出口16に対して差し込むことで、排出口16を閉塞することができる。或いは、閉塞具21は、横管部26の排出口16に対して固定具を介して着脱される蓋状に形成されていてもよい。
【0026】
第1測定部18は、質量計34と、質量計34の上側に載置された桶状の計量容器35と、を有する。計量容器35は、他方の端部32から排出された試料22を受け止めて、内部に貯留することができる。質量計34は、計量容器内に貯留された試料22の質量を測定できる。質量計34は、一般的な秤(重量計)で構成されている。第1測定部18は、ストップウォッチで得られた経過時間や試料22の密度との関係から、他方の端部32(排出口16)から排出された試料22の流量を測定可能である。なお、水頭差hを計測している場合には、第1測定部18を省略してもよい。
【0027】
管路14内に充填され、試験対象の試料22である「粒状体を含む非ニュートン流体」は、例えば、モルタルやフレッシュコンクリート、削孔や掘削に使用する泥水、或いは海底の有用鉱物を揚鉱する際に利用されるキャリア物質で構成される液状成分と、粒状体で構成される固体成分と、の混合物で構成される。粒状体としては、鉱石又は岩石であってよく、より好ましくは、海底にあって揚鉱の対象となる有価鉱物の鉱石又は岩石であってもよい。また、試験対象の試料22は、「粒状体を含まない非ニュートン流体」であってもよく、それは、例えば、モルタルやセメントミルク、削孔や掘削に使用する泥水、或いは海底の有用鉱物を揚鉱する際に利用されるキャリア物質等で構成される。
【0028】
キャリア物質である粘性流動物質は、水系、油系及びエマルジョン系であってもよいが、水系及びエマルジョン系が好ましく、特に高分子溶液等の水系が、安価で、取り扱いにおいて都合がよい点で好ましい。高分子溶液は、懸濁液を含む。高分子溶液における高分子は、天然物又は合成物いずれも使用できる。事故によりキャリア物質が漏洩した時の周辺海域への環境影響を考慮すると天然物が好適であるが、合成物は少ない配合量で流動化物を得ることができる利点がある。また、エマルジョン系としては、油又は水と乳化剤の混合物であるマヨネーズが挙げられる。
【0029】
高分子溶液における高分子としては、一般に増粘剤、吸水剤と称されるものが使用でき、例えば、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリアクリル酸ナトリウム、デンプン、ガム類、ペクチン、アルギン酸金属塩、アルギン酸エステル等が挙げられる。ガム類としては、グアーガム、キンサンタンガム、ジェランガム、ダイユータンガム等が挙げられる。また、アルギン酸金属塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム等が挙げられる。これらの化合物は、1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
続いて、
図1、
図2を参照して、第1実施形態の試験装置11を用いた粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法について説明する。
【0031】
まず、作業者は、
図1に示すような試験装置11を組み立てる(ステップS11)。続いて、適当な水頭差をもつように試料22(粒状体を含む非ニュートン流体)を管路14内に充填する(充填工程、ステップS12)。その際、J型の管路14内に空気が残存しないように試料22を充填する。充填の手順は、最初に、投入口24を介して、縦管部25を経由するように横管部26に試料22(粒状体を含む非ニュートン流体)を充填する。その後に、横管部26の他方の端部32(排出口16)に、閉塞具21を装着して、他方の端部32を閉塞する。そして最後に、投入口24を介して縦管部25に試験開始時の水頭差の高さまで試料22を充填する。管路14の内径(内直径)を2Rとする。横管部26の長さをLとする。縦管部25の試料22の上流側の液面と排出口16との水頭差をhとする。
【0032】
続いて、排出口16から閉塞具21を除去して(ステップS13)、ビデオカメラ23によって試料22の上流側の液面の降下と下流側の液面の変動の経過の記録を開始するとともに、ストップウォッチによって経過時間tを測定する。また、質量計34による質量の指示値の計測を開始する(測定工程、ステップS14)。また、必要に応じて、作業者は、標尺15に基づき経過時間t毎の水頭差hを計測してもよい。本測定方法(試験)では、排出口16における液面が概ね平坦で安定していることが必要である。もし、試料22の粘性が低く排出口16における試料22の液面が平坦でなく安定しない場合には、後述するように、横管部26に代えて第2横管部26を取り付けて、管路14の横方向の長さを長くして本測定方法(試験)を行ってもよい。
【0033】
試料22の上流側の液面の降下が停止し、排出口16から試料22の排出が停止した場合には(ステップS15)、計測を終了する(ステップS16)。試料22の上流側の液面の降下が停止せず、液面の降下が続いている場合には(ステップS15)、計測を継続する(ステップS14)。
【0034】
計測を終了した場合には、経過時間t、質量計の質量の指示値、および試料22の密度から、試料22が排出口16から排出される流量Qを算出する(ステップS17)。流量Qと経過時間tの関係から、管路14の断面積πR2を考慮して水頭差hと経過時間tの関係を算出する。水頭差hを計測している場合には、必ずしも流量Qを計測する必要はない。
【0035】
続いて、試料22の管壁に作用するせん断応力τ(R)と管壁位置におけるずり速度D(R)を算出する(ステップS18)。ステップS18において、試料22が、非ニュートン流体のうち、擬塑性流体、ダイラタント流体、降伏値を持つ擬塑性流体、および降伏値を持つダイラタント流体である場合には、コンピューターを用いた数値解析、すなわち最小二乗法等での最適化を行って、ずり速度D(R)を算出する。一方、試料22が、非ニュートン流体のうち、ビンガム流体である場合はτ(R)-D(R)関係、r0/R-t関係から、ずり速度D(R)を算出する。
せん断応力τ(R)は、以下の式から算出される。
【0036】
【0037】
ずり速度D(R)は、以下の式から算出される。
【数2】
【0038】
同様に、試料22の栓流の半径r
0も下記式から算出される。
【数3】
式中、h
*は、
図1に示すように試料の液面の降下が停止した際の水頭差である。
なお、試料の流れの流況が理想状態となるまでに一定の時間を要するため、試験の開始直後の結果は無視するようにする。
【0039】
また、r
0は、
図3に示す管路14(円管路)内の粘性流体の流れのモデル中に示される栓流の半径である。
図3中、u(r)は、流速分布であり、τ(r
0)は、栓流の外縁に作用するせん断応力である。p
1は、上流側の断面1に作用する圧力であり、p
2は、下流側の断面2に作用する圧力である。
【0040】
また、求められたせん断応力τ(R)[Pa]とずり速度D(R)[1/s]の関係を直線回帰して求められた切片と傾きの値は、試料22(非ニュートン流体)の降伏値τy[Pa]と塑性粘度ηp[Pa・s]である。
ここで、試料22がビンガム流体である場合のせん断応力τ(R)と降伏値τyの関係を表す式は、
τ(R)=ηpD+τy
である。式中、ηpは塑性粘度[Pa・S]である。
一方、試料22が、非ニュートン流体、すなわち、擬塑性流体、ダイラタント流体、降伏値を持つ擬塑性流体、および降伏値を持つダイラタント流体である場合のせん断応力τ(R)と降伏値τyの関係を表す式は、
τ(R)=μDn+τy
である。式中、μ:非ニュートン粘性係数[Pa・s]、n:粘性指数、である。このとき、0<n<1であるとき、擬塑性流体又は降伏値を持つ擬塑性流体であり、1<nであるとき、ダイラタント流体又は降伏値を持つダイラタント流体である。
【0041】
一方、試料22の粘性が小さすぎて、試験装置11の排出口16で液面が安定しない場合には、横管部26に代えて、その長さを横管部26の長さLよりも長いL2とした第2横管部に交換して試験を行ってもよい。第2横管部の長さL2は、例えば、1.2m又は2.2mである。第2横管部は、長さのみ横管部26と異なっており、それ以外は横管部26と同一の構造を有する。横管部26を第2横管部に交換した状態で、上記と同様に測定方法を実施してもよい。
【0042】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、縦方向に延びるとともに粒状体を含む非ニュートン流体の投入口24を上端に有する縦管部25と、縦管部25の下端と連通する一方の端部31と、前記非ニュートン流体が排出される排出口16を構成する他方の端部32と、を有するとともに横方向に延びる横管部26と、他方の端部32の近傍に設けられ、他方の端部32から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定可能な第1測定部18と、を備える試験装置を用いる。粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法は、他方の端部32を閉塞した状態で投入口24から前記非ニュートン流体を投入して、縦管部25内と横管部26内とに前記非ニュートン流体を充填する充填工程と、他方の端部32を開放して前記非ニュートン流体を排出させ、第1測定部18により他方の端部32から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定する測定工程と、を備える。
【0043】
試験装置11は、縦方向に延び、粒状体を含む非ニュートン流体の投入口24を上端に有するとともに前記非ニュートン流体を内部に充填可能な縦管部25と、縦管部25の下端と連通する一方の端部31と、前記非ニュートン流体が排出される排出口16を構成する他方の端部32と、を有するとともに横方向に延び、且つ前記非ニュートン流体を内部に充填可能な横管部26と、他方の端部32に対して着脱可能に構成され、他方の端部32を閉塞可能な閉塞具21と、他方の端部32の近傍に設けられ、閉塞具21が他方の端部32から離脱された際に他方の端部32から排出された前記非ニュートン流体の流量を測定可能な第1測定部18と、を備える。
【0044】
これらの構成によれば、簡単な構造の試験装置11によって、粒状体を含む非ニュートン流体の流量と経過時間の関係から、水頭差と経過時間の関係を求めることができる。これによって、液面に現れる粒状体の影響で、粒状体を含む非ニュートン流体の液面の形状が不規則に変化する場合であっても、合理的に水頭差の変化を求めることができる。これによって、当該非ニュートン流体の粘性特性である、せん断応力τとずり速度Dの関係、さらにその関係から求められる降伏値τyおよび塑性粘度ηpを精度良く求めることができる。
【0045】
横管部26は、横管部26の長さよりも長い第2横管部と交換可能である。
【0046】
この構成によれば、粘性が小さい粒状体を含む非ニュートン流体に対しても流量と経過時間の関係から、水頭差と経過時間の関係を求めることができる。これによって、当該非ニュートン流体の粘性特性である、せん断応力τとずり速度Dの関係、さらにその関係から求められる降伏値τyおよび塑性粘度ηpを精度良く求めることができる。
【0047】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0048】
以下
図4、
図5を参照して、第2実施形態の試験装置11およびそれを用いた粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法について説明する。本実施形態の試験装置11は、縦管部25の投入口24に接続された加圧ユニット41を有する点で、第1実施形態の試験装置11とは異なっている。
【0049】
加圧ユニット41は、管路14の縦管部25の投入口24に対して着脱可能に構成されている。加圧ユニット41は、エアポンプ42と、エアポンプ42からの空気を送るための送気管43と、送気管43を縦管部25の投入口24に着脱可能に装着する装着栓部44と、を有する。エアポンプ42は、市販されている一般的なエアポンプ(空気ポンプ)で構成されている。エアポンプ42は、モータ式ダイヤフラムポンプ、ボイスコイルモータ(電磁)式ダイヤフラムポンプ、圧電(ピエゾ)式ダイヤフラムポンプのいずれかであってもよい。装着栓部44は、例えば、内側に送気管43を通したゴム栓等で構成されている。
【0050】
続いて、
図4、
図5を参照して、第2実施形態の試験装置11を用いた粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性測定方法について説明する。
【0051】
まず、作業者は、加圧ユニット41を除き、
図4に示すような試験装置11を組み立てる(ステップS21)。また、横管部26の他方の端部32(排出口16)に、閉塞具21を装着して、他方の端部32を閉塞する。続いて、適当な水頭差をもつように試料22(粒状体を含む非ニュートン流体)を管路14(円管路)内に充填する(充填工程、ステップS22)。その際、J型の管路14内に空気が残存しないように試料22を充填する。このとき、管路14の内径(内直径)を2Rとする。横管部26の長さをLとする。縦管部25の試料22の液面と排出口16との水頭差をhとする。加圧ユニット41によって管路14内に加えられた圧力(空気圧)をpとする。
【0052】
作業者は、縦管部25の投入口24に対して、加圧ユニット41を装着する。すなわち、送気管43の一端に接続された装着栓部44を投入口24に対して装着する。送気管43の他端には、エアポンプ42が接続されている。
続いて、エアポンプ42を駆動して、管路14内に空気を送って、管路14の上流側(投入口付近)を加圧する(ステップS23)。
【0053】
続いて、排出口16から閉塞具21を除去して(ステップS24)、ビデオカメラ23によって試料22の上流側の液面の降下と下流側の液面の変動の経過の記録を開始するとともに、ストップウォッチによって経過時間tを測定する。また、質量計34による質量の指示値の計測を開始する(測定工程、ステップS25)。また、必要に応じて、作業者は、標尺15に基づき経過時間t毎の水頭差hを計測してもよい。
【0054】
試料22の液面の降下が停止し、排出口16から試料22の排出が停止した場合には(ステップS26)、計測を終了する(ステップS27)。試料22の液面の降下が停止せず、液面の降下が続いている場合には(ステップS26)、計測を継続する(ステップS25)。
【0055】
計測を終了した場合には、経過時間tと質量計34の質量の指示値とから、試料22が排出口16から排出される流量Qを算出する(ステップS28)。流量Qと経過時間tの関係から、管路14の断面積πR2を考慮して水頭差hと経過時間tの関係を算出する。水頭差hを計測している場合には、必ずしも流量Qを計測する必要はない。
【0056】
続いて、試料22のせん断応力τ(R)とずり速度D(R)を算出する(ステップS29)。ステップS29において、試料22が、非ニュートン流体のうち、擬塑性流体、ダイラタント流体、降伏値を持つ擬塑性流体、および降伏値を持つダイラタント流体である場合には、コンピューターを用いた数値解析、すなわち最小二乗法等での最適化を行って、ずり速度D(R)を算出する。一方、試料22が、非ニュートン流体のうち、ビンガム流体である場合はτ(R)-D(R)関係、r0/R-t関係から、ずり速度D(R)を算出する。
【0057】
せん断応力τ(R)は、以下の式から算出される。
【数4】
式中、ρは試料の密度である。
【0058】
ずり速度D(R)は、以下の式から算出される。
【数5】
同様に、試料の栓流の半径r
0も下記式から算出される。
【0059】
【数6】
式中、h
*は、
図1に示すように試料22の液面の降下が停止した際の水頭差である。
【0060】
なお、試料22の流れの流況が理想状態となるまでに一定の時間を要するため、試験の開始直後の結果は無視するようにする。
【0061】
また、求められたせん断応力τ(R)[Pa]とずり速度D(R)[1/s]の関係を直線回帰して求められた切片と傾きの値は、試料22(非ニュートン流体)の降伏値τy[Pa]と塑性粘度ηp[Pa・s]である。
ここで、試料22がビンガム流体である場合のせん断応力τ(R)と降伏値τyの関係を表す式は、
τ(R)=ηpD+τy
である。式中、ηpは塑性粘度[Pa・S]である。
一方、試料22が、非ニュートン流体、すなわち、擬塑性流体、ダイラタント流体、降伏値を持つ擬塑性流体、および降伏値を持つダイラタント流体である場合のせん断応力τ(R)と降伏値τyの関係を表す式は、
τ(R)=μDn+τy
である。式中、μ:非ニュートン粘性係数[Pa・s]、n:粘性指数、である。このとき、0<n<1であるとき、擬塑性流体又は降伏値を持つ擬塑性流体であり、1<nであるとき、ダイラタント流体又は降伏値を持つダイラタント流体である。
【0062】
一方、試料22の粘性が小さすぎて、試験装置11の排出口16で液面が安定しない場合には、横管部26に代えて、長さを横管部26の長さLよりも長くした第2横管部に交換して試験を行ってもよい。第2横管部の長さは、例えば、1.2m又は2.2mである。第2横管部は、長さのみ横管部26と異なっており、それ以外は横管部26と同一の構造を有する。横管部26を第2横管部に交換した状態で、上記と同様に測定方法を実施してもよい。
【0063】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。試験装置11は、縦管部25の投入口24付近を加圧する加圧ユニット41を備え、加圧ユニット41は、前記充填工程が完了後に作動して投入口24付近を加圧するとともに、前記測定工程においても前記投入口24付近を加圧する。
【0064】
この構成によれば、粘性が大きく自重では排出口16から排出されない粒状体を含む非ニュートン流体に対しても流量と経過時間の関係から、水頭差と経過時間の関係を求めることができる。これによって、当該非ニュートン流体の粘性特性である、せん断応力τとずり速度Dの関係、さらにその関係から求められる降伏値τyおよび塑性粘度ηpを精度良く求めることができる。
【0065】
加圧ユニット41は、エアポンプ42を含む。この構成によれば、加圧ユニット41をエアポンプ42で構成することができ、加圧ユニット41の構成を極めて簡単な装置によって実現できる。
【0066】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、異なる実施形態を適宜に組み合わせて一つの発明を構成することも当然にできる。
【実施例0067】
第1実施形態で説明した試験装置11を用いて、実際に試料22の粘性特性を測定する試験(粘性特性測定方法)を行った。管路14の内径2R=40mmとした。横管部26の長さL=0.2mとした。試料22は、増粘剤であるCMC(カルボキシルメチルセルロース)溶液を用いた。CMC溶液は、CMCと水とを、質量比で1:100で混ぜ合わせて形成された。室温を20℃で試験を行った。1回目の試験では、初期水頭差h0を0.35mとした。2回目の試験では、初期水頭差h0を0.55mとした。
【0068】
試験結果を
図6~
図8に示す。
図7に示す結果は、試料22をビンガム流体と仮定した場合の結果である。
図8に示す結果は、試料22をビンガム流体以外の非ニュートン流体(擬塑性流体、ダイラタント流体、降伏値を持つ擬塑性流体、および降伏値を持つダイラタント流体)と仮定した場合の結果である。結果は、1回目と2回目において、異なる初期水頭差h
0で開始した場合でも、概ね同様の粘性特性(せん断応力とずり速度の関係)が得られた。
本発明によれば、非ニュートン流体の粘性特性を調べることができる。特に、粒状体を含む非ニュートン流体の粘性特性を調べることができる点において、有用性が高い。粘性特性が分かれば、以下の項目について検討できる。(1)モルタルやフレッシュコンクリートについては、ポンプの圧送性や型枠内の充填性を把握できる。(2)削孔や掘削に使用する泥水については、ポンプの圧送性やカッティングスの輸送性を把握できる。(3)海底の有価鉱物の揚鉱に利用するキャリア物質については、循環ポンプの圧送性や鉱物の輸送性を把握できる。