(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126260
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】シリコンカーバイド部品とシリコンカーバイド部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230831BHJP
C30B 29/36 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H01L21/304 611Z
C30B29/36 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023102337
(22)【出願日】2023-06-22
(62)【分割の表示】P 2018155152の分割
【原出願日】2018-08-22
(31)【優先権主張番号】10 2017 119 568.8
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラップ, ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ケルン, ロニー
(57)【要約】
【課題】 シリコンカーバイド部品とシリコンカーバイド部品を製造する方法を提供する。
【解決手段】 シリコンカーバイド部品を製造する方法が、初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップと、製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域をシリコンカーバイド層内に形成するステップと、製造されるシリコンカーバイド部品の導電性接点構造をシリコンカーバイド層の表面に形成するステップと、を含む。導電性接点構造は、ドープ領域と電気的に接触する。本方法は更に、導電性接点構造を形成するステップの後にシリコンカーバイド層又は初期ウエハを分離するステップであって、これによって、製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離される、分離するステップを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンカーバイド部品を製造する方法(100)であって、
初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップ(110)と、
前記製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を前記シリコンカーバイド層内に形成するステップ(120)と、
前記製造されるシリコンカーバイド部品の導電性接点構造を前記シリコンカーバイド層の表面に形成するステップ(130)であって、前記導電性接点構造は前記ドープ領域と電気的に接触する、ステップ(130)と、
前記導電性接点構造を形成する前記ステップ(130)の後に前記シリコンカーバイド層及び前記初期ウエハのうちの少なくとも一方を分離するステップ(140)であって、これによって、前記製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離される、ステップ(140)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記分離されたシリコンカーバイド基板は、厚さが30μm超である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコンカーバイド部品を製造する方法(300)であって、
初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップ(110)と、
前記製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を前記シリコンカーバイド層内に形成するステップ(120)と、
前記ドープ領域を形成する前記ステップ(120)の後に前記シリコンカーバイド層又は前記初期ウエハを分離するステップ(140)であって、これによって、前記製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離され、前記シリコンカーバイド基板は厚さが30μm超である、ステップ(140)と、
を含む方法。
【請求項4】
前記初期ウエハの少なくとも一方の面がシリコンカーバイドを含み、前記シリコンカーバイド層を形成する前記ステップ(120)が、前記初期ウエハの前記面にシリコンカーバイドをエピタキシャル成長させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコンカーバイド層を形成する前記ステップ(110)が、
平均ドープ濃度が5×1017cm-3超である、前記シリコンカーバイド層の第1の部分層を形成するステップと、
平均ドープ濃度が1×1017cm-3未満である、前記シリコンカーバイド層の第2の部分層を形成するステップと、
を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコンカーバイド層の前記第1の部分層の厚さは20μm超である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコンカーバイド層の前記第2の部分層の厚さは30μm未満である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコンカーバイド層の前記第2の部分層の厚さは、前記シリコンカーバイド層の前記第1の部分層の厚さより小さい、請求項5、6、又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の部分層の少なくとも一部分が、前記製造されるシリコンカーバイド部品のドリフト領域を形成する、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
分離する前記ステップ(140)の前に前記シリコンカーバイド層の前記表面にパッシベーション層を形成するステップを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
分離する前記ステップ(140)の前に、前記シリコンカーバイド層の前記表面に形成された層スタックに担体ウエハ又は担体フィルムを固定するステップを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
分離する前記ステップ(140)の後に、前記初期ウエハの少なくとも一部分を含む、残っているウエハの表面を調整するステップを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記残っているウエハに更なるシリコンカーバイド層を形成するステップと、
前記更なるシリコンカーバイド層に、更なる製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を形成するステップと、
前記更なる製造されるシリコンカーバイド部品の前記ドープ領域を形成する前記ステップの後に、前記更なるシリコンカーバイド層又は前記残っているウエハを分離するステップであって、これによって、前記更なる製造されるシリコンカーバイド部品の少なくとも更なるシリコンカーバイド基板が分離される、分離するステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
予損傷分離領域を生成するステップを更に含み、前記分離領域は、
(i)前記初期ウエハ又は前記シリコンカーバイド層にイオンを打ち込むステップであって、既知の波長範囲のレーザ放射に対する前記予損傷分離領域の吸収係数が、前記初期ウエハ又は前記シリコンカーバイド層の、前記予損傷分離領域の外側の領域の吸収係数の少なくとも5倍である、打ち込むステップ、又は
(ii)前記分離領域を予損傷する為に、前記導電性接点構造を形成する前記ステップ(120)の前に前記分離領域のレーザ処置を行うステップ
によって生成される、
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記分離領域に沿って分離する前記ステップ(140)は、
(i)ポリマーフィルムを貼り付けるステップ、
(ii)熱応力を生成するステップ、及び
(iii)前記初期ウエハ又は前記シリコンカーバイド層に既知の波長範囲のレーザ放射を照射するステップ
のうちの少なくとも1つのステップを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
分離する前記ステップ(140)は、前記シリコンカーバイド層又は前記初期ウエハの分離領域へのイオン打ち込み又はレーザボンバードメントによって実施される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
分離する前記ステップ(140)は前記シリコンカーバイド層を分離するステップであり、これにより、分離する前記ステップ(140)の後に、前記シリコンカーバイド層の一部が前記初期ウエハ上に残る、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記導電性接点構造は、金属及びポリシリコンの少なくとも一方を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
分離する前記ステップ(140)の前に、製造されるシリコンカーバイド部品の間の領域において前記シリコンカーバイド層を分離するステップを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
シリコンカーバイド部品(400)であって、
厚さが30μm超であるシリコンカーバイド基板(410)と、
前記シリコンカーバイド部品(400)の、前記シリコンカーバイド基板(410)の第1の面(412)に配置されたドープ領域(420)と、
を含み、
前記シリコンカーバイド基板(410)の前記第1の面(412)と反対側の第2の面(414)との間の、前記シリコンカーバイド基板(410)の中心(430)における点欠陥密度が5×1014cm-3未満である、
シリコンカーバイド部品(400)。
【請求項21】
前記シリコンカーバイド部品(400)の少なくとも1つの縦型部品構造が、ダイオード、電界効果トランジスタ、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む、請求項20に記載のシリコンカーバイド部品。
【請求項22】
前記シリコンカーバイド部品(400)の少なくとも1つの縦型部品構造の降伏電圧が100V超である、請求項20~21のいずれか一項に記載のシリコンカーバイド部品。
【請求項23】
前記シリコンカーバイド基板(410)の前記中心(430)における平均ドープ濃度が5×1017cm-3超である、請求項20~22のいずれか一項に記載のシリコンカーバイド部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例はシリコンカーバイドウエハの再利用の概念に関し、特に、シリコンカーバイド部品とシリコンカーバイド部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンカーバイド(SiC)基材の面積当たりコストは、この10年間で大幅に下がったとはいえ、対応するシリコン(Si)ウエハのコストに比べると、まだ2桁以上高い。個々のウエハのコストは、直径のステップが上がるごとに(例えば、100mmから150mmになると)大幅に上昇する。しかしながら、ウエハ自体は、その上に生成される部品の電気的機能にほとんど又は全く寄与しない為、この大きなコスト分担を無くすか減らす方法が求められている。
【0003】
シリコンカーバイドウエハを再利用することによってシリコンカーバイド部品のコストを下げることを可能にする概念を提供することが必要とされていると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの例示的実施形態が、シリコンカーバイド部品を製造する方法に関し、この方法は、初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップと、製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域をシリコンカーバイド層内に形成するステップと、製造されるシリコンカーバイド部品の導電性接点構造をシリコンカーバイド層の表面に形成するステップと、を含む。導電性接点構造は、ドープ領域と電気的に接触する。本方法は更に、導電性接点構造を形成するステップの後にシリコンカーバイド層又は初期ウエハを分離するステップであって、これによって、製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離される、分離するステップを含む。
【0005】
幾つかの例示的実施形態が、シリコンカーバイド部品を製造する方法に関し、この方法は、初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップと、製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域をシリコンカーバイド層内に形成するステップと、ドープ領域を形成するステップの後にシリコンカーバイド層又は初期ウエハを分離するステップであって、これによって、製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離される、分離するステップと、を含む。更に、シリコンカーバイド基板は、厚さが30μm超である。
【0006】
幾つかの例示的実施形態がシリコンカーバイド部品に関し、これは、厚さが30μm超であるシリコンカーバイド基板と、シリコンカーバイド部品の、シリコンカーバイド基板の第1の面に配置されたドープ領域と、を含む。シリコンカーバイド基板の第1の面と反対側の第2の面との間の、シリコンカーバイド基板の中心における点欠陥密度が5×1014cm-3未満である。
【0007】
この後は、デバイス及び/又は方法の幾つかの実施例を、あくまで例として、以下に挙げる添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】シリコンカーバイド部品を製造する方法のフロー図を示す。
【
図2A】シリコンカーバイド部品の製造の段階におけるシリコンカーバイド部品の概略断面図を示す。
【
図2B】シリコンカーバイド部品の製造の段階におけるシリコンカーバイド部品の概略断面図を示す。
【
図2C】シリコンカーバイド部品の製造の段階におけるシリコンカーバイド部品の概略断面図を示す。
【
図2D】シリコンカーバイド部品の製造の段階におけるシリコンカーバイド部品の概略断面図を示す。
【
図2E】シリコンカーバイド部品の製造の段階におけるシリコンカーバイド部品の概略断面図を示す。
【
図3】シリコンカーバイド部品を製造する方法のフロー図を示す。
【
図4】シリコンカーバイド部品の一部の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、幾つかの例示的実施形態が図示されている添付図面を参照しながら、様々な例示的実施形態を詳細に説明する。それらの図面では、明確さの為に、線の太さ、層の厚さ、及び/又は領域の厚さを誇張している場合がある。
【0010】
様々な修正形態や代替形態については相応にふさわしい更に多くの実施例があるが、図面では、それらのうちの幾つかの実施例を例示し、以下で詳細に説明する。しかしながら言うまでもなく、実施例は、開示される特定の形態に限定されるものではない。更に多くの実施例が、本開示の範囲内にあるあらゆる修正形態、等価形態、及び代替形態をカバーすることが可能である。図面の説明全体を通して、同一参照符号は、互いに対して同一形態又は修正形態となるように実施可能であって、同一又は同等の機能性を提供する同一又は同等の要素を参照する。
【0011】
言うまでもなく、ある要素が別の要素に「接続」又は「結合」されるように指定されている場合、それらの要素は、直接接続又は結合されてよく、或いは、1つ以上の中間要素を介して接続又は結合されてもよい。2つの要素A及びBが「又は」で結合されている場合、これは、あらゆる可能な組み合わせ、即ち、Aのみ、Bのみ、並びにA及びBを開示しているものと理解されたい。この同じ組み合わせに対する代替的な言い回しとして「A及びBのうちの少なくとも1つ」がある。同じことが3つ以上の要素の組み合わせにも当てはまる。
【0012】
これ以降では、第1の部品部分(例えば、層)が第2の部品部分(例えば、別の層又はウエハ)の「上に」形成された場合、第1の部品部分が第2の部品部分の上に直接貼り付けられてよく、或いは、第1の部品部分と第2の部品部分との間に少なくとも1つの第3の部品部分が位置することも可能である。
【0013】
本明細書で使用する用語は、具体的な実施例の記述を意図したものであり、更なる実施例に対する限定を意図したものではない。「a、an」や「the」などの単数形が使用されていて、且つ、要素を1つだけ使用することが必須であるという規定が明示的にも暗黙的にもなされていない場合には、更なる実施例が、同じ機能性を実施する為に複数形を包含してもよい。同様に、ある機能性が、複数の要素を使用して実施されるように後述される場合は、更なる実施例が同じ機能性を単一の要素又は処理エンティティを使用して実施してよい。更に、言うまでもなく、本明細書で使用される」という語句は、本明細書で使用された際には、示された特徴、整数、手順、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を示すものであり、1つ以上の他の特徴、整数、手順、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらの集まりの存在又は追加を排除するものではない。
【0014】
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、実施例が関連している従来どおりの意味で使用される。
【0015】
図1は、一例示的実施形態に対応するシリコンカーバイド部品を製造する方法のフロー図である。方法100は、初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成する工程110と、製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域をシリコンカーバイド層中に形成する工程120と、製造されるシリコンカーバイド部品の導電性接点構造をシリコンカーバイド層の表面に形成する工程130と、を含む。導電性接点構造は、ドープ領域と電気的に接触する。更に、方法100は、導電性接点構造の形成後にシリコンカーバイド層又は初期ウエハを分離する工程140を含み、これによって、製造されるシリコンカーバイド部品のうちの少なくともシリコンカーバイド基板が分離される。
【0016】
シリコンカーバイド部品のシリコンカーバイド基板が分離される前にシリコンカーバイド部品の構造をあらかじめ製造することにより、製造工程の複雑さを緩和することが可能であり、且つ/又は、製造中のウエハのハンドリングを簡略化することが可能である。これは、シリコンカーバイド部品の薄いシリコンカーバイド基板が工程の終盤まで分離されない為である。結果として、製造コストを下げることが可能になり、且つ/又は歩留まりの向上が可能になる。更に、十分な厚みを持つシリコンカーバイド層の形成が選択されていた場合には、初期ウエハを多様に再利用することが可能である。結果として、コストを下げることが可能である。
【0017】
シリコンカーバイド層を形成する工程110を所望の品質で可能にする為に、初期ウエハ(又は開始ウエハ)は、シリコンカーバイドウエハであってよく、或いは、結晶欠陥密度が十分低いシリコンカーバイドによって表面が形成されていてよい。初期ウエハの厚さは200μm超(又は300μm超、又は500μm超)であってよい。初期ウエハの直径は80mm超(又は130mm超、又は180mm超)であってよい。初期ウエハのドープ濃度は少なくとも1×1017cm-3又は5×1017cm-3であってよい(いわゆる「ドープ初期ウエハ」)。或いは、初期ウエハは敢えてドープされなくてよく(いわゆる「公称未ドープ」ウエハ)、この場合の初期ウエハのドープ濃度はせいぜい1×1017cm-3であってよい。初期ウエハのドープ型はn型であってよい。
【0018】
シリコンカーバイド層を形成する工程110は、例えば、初期ウエハの表面でのエピタキシャル成長によって行われてよい。従って、このシリコンカーバイド層は、エピタキシャルシリコンカーバイド層であってよい。早ければ成長中にでも、シリコンカーバイド層に均質の、又は縦方向に変化する基礎ドープ(n型ドープ又はp型ドープ)が施されてよい。例えば、シリコンカーバイド層は初期ウエハのシリコンカーバイドのシリコン結晶面(シリコン面)に形成されてよく、これによって、形成されるシリコンカーバイド層の表面も同様にシリコン結晶面になる(即ち、シリコン原子でターミネートされる)。結果として、シリコンカーバイド層のドープは、シリコンカーバイド層の成長中に高い精度で制御及び生成されることが可能になる。或いは、形成されるシリコンカーバイド層の表面は、炭素結晶面(炭素面)であってよい。形成されるシリコンカーバイド層は、例えば、厚さが10μm超(又は20μm超、又は30μm超、又は60μm超、又は100μm超)、且つ/又は300μm未満(又は150μm未満、又は80μm未満)であってよい。シリコンカーバイド層は、例えば、初期ウエハの表面全体に形成される。
【0019】
形成されるシリコンカーバイド層は、十分な電気的降伏強度を備えるのに必要な厚さより厚くてよい。例えば、別のシリコンカーバイド部品の、シリコンカーバイド層に基づく降伏強度が確保されていればよいシリコンカーバイド層は、厚さが電圧クラス650Vに対しては少なくとも5μm(1200Vに対しては少なくとも9μm、3.3kVに対しては少なくとも25μm)であってよい。これと比較して、ここで説明するシリコンカーバイド部品の例示的実施形態では、シリコンカーバイド層は、厚さが電圧クラス650Vに対しては少なくとも20μm(1200Vに対しては少なくとも40μm、3.3kVに対しては少なくとも50μm)であってよい。
【0020】
製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を形成する工程120は、イオン打ち込みによって行われてよく、或いは、シリコンカーバイド層を形成する工程110の間に行われてよい。シリコンカーバイド層の表面では、ドープ領域はnドープ領域又はpドープ領域であってよい。更に、ドープ領域は、例えば、ダイオードのアノード領域又はカソード領域、或いは、トランジスタのソース領域、ボディ領域、ドレイン領域、エミッタ領域、又はコレクタ領域であってよい。ドープ領域は、例えば、シリコンカーバイド層の隣接部分とのpn接合を有する。
【0021】
導電性接点構造は、ドープ領域に電気的に接触するように働く。導電性接点構造は、例えば、ドープ領域から、シリコンカーバイド部品の配線層スタックの1つ以上の面又は層を越えて、シリコンカーバイド層内に実施された、シリコンカーバイド部品の別のドープ領域まで延びてよく、又は、シリコンカーバイド部品の接続パッド又は接続メタライゼーション(例えば、電力金属層、電力メタライゼーション)まで延びてよく、或いは、接続パッド又は接続メタライゼーションを形成してよい。例えば、導電性接点構造は、ドープ領域と接触するバイア又は導電性部分構造をコンタクトホール内に含んでよい。導電性接点構造は、例えば、1つ以上の金属(例えば、銅、アルミニウム、タングステン)、又は複数の金属層及び/又はポリシリコン(例えば、高ドープポリシリコン)の組み合わせを含んでよい。導電性接点構造の一部分が、シリコンカーバイド層の表面に直接形成されており、これによって、シリコンカーバイド層の表面と接触している。しかしながら、導電性接点構造の1つ以上の他の部分もシリコンカーバイド層の表面に(直接ではなく)形成されてよく、シリコンカーバイド層の表面とその1つ以上の他の部分との間に、1つ以上の電気的絶縁層が垂直方向に存在する。例えば、導電性接点構造はドープ領域とオーム接触している。
【0022】
分離する工程140は、シリコンカーバイド層の表面から下方に所望の深さで実施されてよく、十分な、又は所望の厚さを有する1つ以上のシリコンカーバイド部品構造を有するシリコンカーバイド基板270が分離される。分離する工程140は、シリコンカーバイド層内又は初期ウエハ内の分離領域に沿って実施されてよく、この分離領域は、シリコンカーバイド層の表面に平行に延びる。分離する工程140が、形成されるシリコンカーバイド層内で実施される場合、初期ウエハは、別の部品の製造に完全に再利用できる。そして初期ウエハの再利用は多数回可能であり、これによって基材ウエハのコストを大幅に下げることが可能である。例えば、分離する工程140は、シリコンカーバイド層を分離することによって実施され、これにより、分離する工程140の後にシリコンカーバイド層の一部が初期ウエハ上に残る。そして、この、初期ウエハ上に残ったシリコンカーバイド層の部分は、例えば、少なくとも一部が表面の再調整中に除去されてよい。或いは、分離する工程140は、初期ウエハの領域で実施されてよいが、その結果として、初期ウエハは厚みが失われ、任意に再利用することができない場合が多い。
【0023】
分離する工程140は、導電性接点構造を形成する工程130の後に実施され、且つ、任意選択で、別の構造をシリコンカーバイド層の表面及びシリコンカーバイド層内に形成した後に実施される。例えば、シリコンカーバイド層の表面は、製造されるシリコンカーバイド部品のフロントサイドの表面を形成する。この例では、シリコンカーバイド部品の多くの、又は全てのフロントサイド構造(例えば、パッシベーション層を含む)が、シリコンカーバイド層又は初期ウエハが分離される工程140の前に既に製造されていることが可能である。例えば、(例えば、導電性接点構造を含む)配線層スタック、1つ以上の金属層からなるメタライゼーション構造、及び/又はパッシベーション層(例えば、有機材料層(例えば、ポリイミドなど))を、分離する工程140の前にシリコンカーバイド層の表面に形成することが可能である。任意選択で、分離する工程140の前に、シリコンカーバイド部品の他の構造(例えば、トランジスタのゲート、配線構造、電気パッド、及び/又はエッジ終端構造)をシリコンカーバイド層の表面又は内部に製造することが可能である。従来どおりの製造方法が用いられてよい。任意選択のパッシベーション層が、例えば、導電性接点構造の後に形成される。パッシベーション層は、1つ以上の接続パッド開口部を除く、シリコンカーバイド層の表面全体にわたって広がってよい。
【0024】
分離する工程140は、様々な様式で実施されてよい。例えば、シリコンカーバイド層を形成する工程110の後、分離する工程140に備えて、早ければ導電性接点構造を形成する工程130の前に、分離する工程140が後で実施される予定の分離領域のレーザ処置を実施してよい。これは、分離する工程140に備えて分離領域に(例えば、レーザボンバードメントによりマイクロクラックを生成することによって)予損傷を与える為である。例えば、分離領域の予損傷の為のレーザ処置と分離する工程140との間の全ての工程を、400℃を下回る温度で実施することが可能であり、その結果として、予損傷の制御されない激化を回避することが可能である。レーザボンバードメントは、例えば、(例えば、ゲートトレンチを生成する為に)シリコンカーバイド層を構造化する工程の後であって金属層が生成される前に実施されてよい。そして、分離する工程140は、ポリマーフィルムを貼り付けて熱応力をかけること(例えば、低温分離法)により、予損傷の分離領域に沿って実施されてよい。結果として、分離する工程140の為のスペース要件を小さく保つことが可能であり、その結果として、シリコンカーバイド層がほとんど失われず、初期担体の調整がさほど複雑ではない。分離する工程140は、別のレーザ処置によって実施されてもよく、この別のレーザ処置のレーザ光は予損傷領域で吸収される。
【0025】
代替又は追加として、分離する工程140は、例えば、イオン(例えば、H、He、N、V、B、Ar、C、Ni、Si、Ti、Ta、Mo、W、及び/又はAl)の打ち込みを含んでよい。イオン打ち込みにより、予損傷分離領域を、初期ウエハ内又はシリコンカーバイド層内に生成することが可能である。初期ウエハに打ち込む場合、イオンは、シリコンカーバイド層が形成される前に初期ウエハに打ち込まれてよく、これは、例えば、初期ウエハの、シリコンカーバイド層が生成される面から進められる。シリコンカーバイド層に打ち込む場合、イオンは、シリコンカーバイド層が形成されてからシリコンカーバイド層に打ち込まれてよく、これは、例えば、シリコンカーバイド層の、初期ウエハと離れて向き合う面から進められる。第1の部分層と少なくとも1つの第2の部分層とを形成することを含むようにシリコンカーバイド層を形成することも可能であり、最初に第1の部分層が初期ウエハ上に形成され、この第1の部分層にイオンが打ち込まれてから、第1の部分層の上に第2の部分層が形成される。
【0026】
分離領域は、シリコンカーバイド層内又は初期ウエハ内にある薄い層であってよい。分離領域の厚さは、初期ウエハ又はシリコンカーバイド層の全体厚さに比べて小さくてよい。分離領域の厚さは、少なくとも30nm(典型的には少なくとも100nm)から多くて1.5μm(典型的には多くて500nm)であってよい。
【0027】
イオン(特にN、V、B、Ar、C、Ni、Si、Ti、Ta、Mo、W、及び/又はAl)の打ち込みは、分離領域の領域内の結晶構造に対する損傷につながる可能性がある(いわゆる「予損傷分離領域」)。例えば、分離領域の領域内のシリコンカーバイドのポリタイプは、少なくとも部分的に、例えば、それまで4H-SiCだったものがその後3C-SiCに変化する可能性がある。結晶構造に対する損傷は、分離領域の外側の初期ウエハ(及び/又はシリコンカーバイド層)の非損傷領域に比べて、既知の波長範囲の電磁放射の吸収量の増加につながる可能性がある。分離領域内では、初期ウエハ(又はシリコンカーバイド層)のバンドギャップが、分離領域の外側の非損傷領域より小さくなりうる。例えば、分離領域内の既知の波長範囲の吸収係数は、非損傷領域の吸収係数の少なくとも5倍(又は少なくとも20倍、又は少なくとも100倍)である。従って、分離領域においては、放射の波長範囲が既知である電磁放射(例えば、レーザ放射)の吸収量を増大させることが可能である。この既知の波長範囲は、例えば、少なくとも200nmから多くて1500nm、典型的には少なくとも300nmから多くて600nmの範囲であってよい。
【0028】
分離する工程140は更に、代替又は追加として、シリコンカーバイド層内又は初期ウエハ内の予損傷又は未予損傷の分離領域へのレーザボンバードメントを含んでよい。未予損傷分離領域の場合、分離領域は、分離領域の所望の位置にレーザボンバードメントのレーザ放射を集束させることによって画定されてよい。未予損傷分離領域は、初期ウエハ(又はシリコンカーバイド層)のうちの、分離領域の外側の領域と異ならない領域(即ち、例えば、同じ結晶構造及び同じ材料組成を有する領域)であってよい。或いは、未予損傷分離領域は、初期ウエハ(又はシリコンカーバイド層)に導入された、打ち込みによる損傷が実施されていない、別の材料又は別の結晶構造の層であってよい。
【0029】
レーザボンバードメントは、初期ウエハの、シリコンカーバイド層と離れて向き合う側から進めるよう実施されてよい。レーザボンバードメントにより、分離領域内に熱機械応力を引き起こすことが可能になり、これによって、分離する工程140を分離領域に沿って実施することが促進されるか可能になる。レーザボンバードメントの後に、分離領域に沿って初期ウエハ(又はシリコンカーバイド層)を分離することが可能であり、これには、任意選択で更なる機械的な力を用いることが可能である。
【0030】
予損傷分離領域の場合には、レーザ放射の波長は、レーザ放射の対応する光子エネルギが分離領域のバンドギャップの少なくとも1/10から多くて10倍であるように選択されることが可能である。これは、分離領域内での単一光子過程の優勢につながりうる。
【0031】
未予損傷分離領域の場合には、レーザ放射の波長は、単一光子過程の確率が多光子過程に比べて無視できるほど小さいように選択されることが可能である。そして、例えば、分離領域のバンドギャップが、レーザ放射の対応する光子エネルギの少なくとも2倍(典型的には少なくとも10倍)である。
【0032】
分離する工程140が、初期ウエハの分離領域において、上述のレーザで支援されるいずれかの方法で実施される場合、初期ウエハを未ドープとすること、即ち、敢えてドープしないことが可能である。既知の波長範囲のレーザ放射に対しては、未ドープの初期ウエハの透過度がドープ済みの初期ウエハより高いことが可能である。結果として、分離領域の外側の領域からの移行時に吸収係数がジャンプするのを回避することを可能にすることができ、その結果として、例えば、レーザ放射の集束の再調節を不要にすることが可能である。
【0033】
分離する工程140の結果として、製造される1つのシリコンカーバイド部品、又は製造される複数のシリコンカーバイド部品のサイズに応じて、その1つのシリコンカーバイド部品又は複数のシリコンカーバイド部品を同時に取得することが可能なシリコンカーバイド基板270(例えば、シリコンカーバイドウエハ)を取得することが可能になる。従って、シリコンカーバイド基板270は、製造されるシリコンカーバイド部品、又は製造される複数のシリコンカーバイド部品から少なくとも半導体基板を形成する。シリコンカーバイド基板は、例えば、厚さが30μm超(又は60μm超、又は100μm超)、且つ/又は300μm未満(又は150μ未満、又は80μm未満)であってよい。
【0034】
シリコンカーバイド層で複数のシリコンカーバイド部品が製造される場合、シリコンカーバイド層は、分離する工程140の前に、シリコンカーバイド部品間の領域(例えば、鋸引き枠)で(例えば、のこ引き又はレーザーカットにより)あらかじめ分離されてよい。例えば、シリコンカーバイド層は、分離する工程140が実施される予定の深さまでカットされてよい。結果として、シリコンカーバイド部品は、分離する工程140の間に自動的に単一化されてもよい。或いは、シリコンカーバイド部品は、分離する工程140の後に単一化されてよく、任意選択で、背面のメタライゼーションが製造された後に単一化されてもよい。
【0035】
分離する工程140の前に、担体ウエハ(例えば、ガラスウエハ)又は担体フィルム(例えば、ポリマーフィルム)が、シリコンカーバイド層の表面に形成された(且つ、例えば、少なくとも導電性接点構造を含む)層スタックに固定されてよい。担体ウエハ又は担体フィルムは、分離後のシリコンカーバイド基板270の簡略且つ安全なハンドリングを可能にすることができる。
【0036】
シリコンカーバイド層内での分離する工程140と、初期ウエハの材料が失われない初期ウエハの再利用とを可能にする為に、シリコンカーバイド層の厚さは、(例えば、所望のブロッキング能力を達成する為に)製造されるシリコンカーバイド部品に実際に必要な厚さより大きいように選択されてよい。任意選択で、シリコンカーバイド部品の更なる製造の前に、分離する工程140の後に残っているウエハ270の表面を再調整してよい。シリコンカーバイド部品の動作中にシリコンカーバイド層が厚いことにより発生する更なるオーム損失を最小化する為に、シリコンカーバイド層のその他の部分が高ドープされてよい。
【0037】
例えば、シリコンカーバイド層を形成する工程110は、平均ドープ濃度(及び/又は最大ドープ濃度)が5×1017cm-3超(又は5×1018cm-3超、又は1×1019cm-3超)である、シリコンカーバイド層の第1の部分層を形成することと、平均ドープ濃度(及び/又は最大ドープ濃度)が1×1017cm-3未満(又は5×1016cm-3未満、又は1×1016cm-3未満)である、シリコンカーバイド層の第2の部分層を形成することと、を含んでよい。平均ドープ濃度は、例えば、各場合において、各部分層全体で平均されたドープ濃度に対応する。第1の部分層及び第2の部分層は、例えば、連続的にエピタキシャル成長させてよい。第1の部分層は、初期ウエハ上で直接成長させてよく、第2の部分層は、第1の部分層上で直接成長させてよい。シリコンカーバイド層の第1の部分層の厚さは、例えば、20μm超(又は40μm超、又は80μm超)であってよく、これによって、分離する工程140は、第2の部分層及び初期ウエハを損なうことなく第1の部分層内で実施可能である。シリコンカーバイド層の第2の部分層の厚さは、30μm未満(又は20μm未満、又は10μm未満)であってよい。シリコンカーバイド層の第2の部分層の厚さは、例えば、製造されるシリコンカーバイド部品において達成されるべきブロッキング能力に応じて選択されてよい。例えば、第2の部分層は、製造されるシリコンカーバイド部品のドリフト領域の形成に使用されてよい。例えば、シリコンカーバイド層の第2の部分層の厚さは、シリコンカーバイド層の第1の部分層の厚さより小さくてよい(例えば、10μm超であってよい)。
【0038】
上述のシリコンカーバイド層は例に過ぎず、製造される部品に応じて修正されてよい。例えば、シリコンカーバイド層は、ドープ濃度及び/又はドープ型が異なる3つ以上の部分層を含んでよい。
【0039】
分離する工程140の後で、例えば、初期ウエハのシリコンカーバイド層の一部を含む、残っているウエハ270の表面を、更なるシリコンカーバイド部品の製造に備えて調整することが可能である。或いは、分離する工程140が初期ウエハとシリコンカーバイド層との間の境界で、又は初期ウエハ内で実施される場合には、残っているウエハ270は、初期ウエハの少なくとも一部分だけを含む。従って、方法100は、任意選択で、初期ウエハの少なくとも一部分を含む、残っているウエハ270の表面を調整する工程を、分離する工程140の後に含んでよい。この、残っているウエハ270の表面を調整する工程は、リクレーム工程と呼ばれることもあり、例えば、研削、研磨、プラズマケミカルドライエッチング、化学機械研磨(CMP)、及び/又はラッピングにより実施されてよい。調整中に失われる材料、及びこれに関連するコストは、例えば、低温分離法を用いることにより最小限に抑えることが可能である。
【0040】
その後、残っているウエハ270の上で、1つ以上の更なるシリコンカーバイド部品を製造することが可能である。例えば、残っているウエハ270の上に更なるシリコンカーバイド層を形成してよく、その更なるシリコンカーバイド層の中に、更なる製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を形成してよい。更に、その更なる製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域が形成された後に、その更なる製造されるシリコンカーバイド部品のうちの少なくとも更なるシリコンカーバイド基板が分離されるように、その更なるシリコンカーバイド層又は残っているウエハ270を分離することが実施されてよい。
【0041】
例えば、各層の垂直方向及び垂直方向の寸法又は厚さが、シリコンカーバイド部品のシリコンカーバイド基板のフロントサイド面(例えば、シリコンカーバイド層の表面)に垂直に測定されてよく、水平方向及び水平方向の寸法が、シリコンカーバイド部品のシリコンカーバイド基板のフロントサイド面に平行に測定されてよい。
【0042】
シリコンカーバイド部品のシリコンカーバイド基板のフロントサイド(又はフロントサイド表面)は、半導体ウエハの背面におけるよりも複雑な構造(例えば、トランジスタのゲート)の実装に使用される面(又は表面)であってよく、これは、半導体ウエハの面に構造があらかじめ形成されている場合には、背面に関する工程パラメータ(例えば、温度)並びにハンドリング工程及び/又は使用可能工程が制限されてよい為である。
【0043】
例えば、シリコンカーバイド部品は、縦型シリコンカーバイド部品であってよく、或いは、縦型の部品構造(例えば、縦型ダイオード、縦型電界効果トランジスタ、又は縦型絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT)を含んでよい。縦型シリコンカーバイド部品又は縦型部品構造は、例えば、導通状態又はオン状態で、電流の大部分(例えば、シリコンカーバイド部品を通る全電流の70%超)をフロントサイドとリアサイドとの間で垂直方向に流す。シリコンカーバイド部品は電力半導体部品であってよい。例えば、シリコンカーバイド部品、及び/又はシリコンカーバイド部品の縦型部品構造は、降伏電圧又は逆電圧が100V超(例えば、降伏電圧が200V、300V、400V、又は500V)、500V超(例えば、降伏電圧が600V、700V、800V、又は1000 V)、又は1000V超(例えば、降伏電圧が1200V、1500V、1700V、2000V、3300V、又は6500V)であってよい。
【0044】
図2A~2Eは、一例示的実施形態に対応するシリコンカーバイド部品の製造中の様々な段階におけるシリコンカーバイド部品の概略断面図を示す。
【0045】
図2Aaはシリコンカーバイド初期ウエハ200(例えば、厚さが350μm)を示しており、この上で、
図2Bに示すように、シリコンカーバイド層のエピタキシャル成長が行われる。シリコンカーバイド層は、高nドープ(n+)バッファ層210及びドリフト層220(例えば、厚さが3μmから20μm)を含む。シリコンカーバイド層は、例えば、厚さが50μm超である。nドープ(n+)バッファ層210は、例えば、平均ドープ濃度(及び/又は最大ドープ濃度)が5×10
17cm
-3超(又は5×10
18cm
-3超、又は1×10
19cm
-3超)であってよく、ドリフト層220は、平均ドープ濃度(及び/又は最大ドープ濃度)が1×10
17cm
-3未満(又は5×10
16cm
-3未満、又は1×10
16cm
-3未満)であってよい。
【0046】
リクレーム工程後もほぼ初期厚さのウエハが利用可能であるように、エピタキシャル層(シリコンカーバイド層)の全体厚さは、例えば、部品の所望のブロッキング能力に依存してよく、且つ、選択された分離法で分離される最小限の層厚さ(例えば、約50μm)と、再生成工程(リクレーム工程)で失われる材料(例えば、約10μm)とに依存してよい。このことが完全には当てはまらない場合(例えば、パスのたびに分離の結果としてウエハが多少薄くなる場合)でも、この方法は適用可能であるが、工程の適応が必要になる場合があり、又、割れのリスクが高まる可能性がある。
【0047】
例えば、この追加のエピタキシャル層厚さが(シリコンカーバイド部品において)電気的に必須ではない場合には、結果として得られる縦型部品(例えば、ショットキーダイオード、pnダイオード、接合型電界効果トランジスタJFET、酸化金属半導体電界効果トランジスタMOSFET)の全導電率にはっきりそれと分かる(10%未満の)影響を与えない十分なドープが存在することが可能である。均質性の重要度は二の次であってよい為、例えば、コスト効率が高いエピタキシ工程が用いられてよい。
【0048】
シリコンカーバイド層を形成する工程の後に、複数の部品構造(例えば、ドープ領域及び/又は配線層スタック)が、
図2Cに示されるように、シリコンカーバイド層の場所、及び/又はシリコンカーバイド層内で製造されてよい。この例では特に、製造される1つ以上のシリコンカーバイド部品のうちの接続パッド230及びパッシベーション層240が示されている。
【0049】
後で使用されるシリコンカーバイド初期ウエハ200を取得する為に、シリコンカーバイド層を、リアサイドから(例えば、研削により)薄化する代わりに、
図2Dに示すように、分離領域250に沿って分離してよい。
【0050】
分離には様々な工程が用いられてよく、上記工程は、例えば、SiC基板のコストを下げて、例えば、15μm未満の材料のロスを可能にすることにも用いられる。これに対し、フィラメントソーイングの場合には材料のロスは著しく高くなるであろう。例えば、レーザボンバードメントによって分離領域内に予損傷を生成することが可能であり、後で、ウエハにポリマーフィルムをコーティングし、その後、熱応力を与えることが可能である。ウエハとポリマーの熱特性が異なることの結果として、ウエハは2つの部分に分割されることが可能である。代替又は追加として、ウエハは、例えば、レーザによって分割されてよい。
【0051】
分離後、残っているウエハ270の分離面を、再度のエピタキシに備えて準備する為に、
図2Eに示されるように、(例えば、再生成(リクレーム)の為に)ラッピング及び/又は研磨260してよい。最終機械加工工程の後に(例えば、粗さの深さが2nm未満にされた後に)、次のエピタキシ工程の前に、ドライエッチング工程を追加で用いて、埋まっている結晶欠陥を表面コンフォーマルに除去してよい。
【0052】
図2A~2Eは、例えば、ウエハを分離することに基づくウエハ再生成工程を示している。例えば、提案した方法に基づくならば、ウエハは少なくとも10回の再利用が可能である。
【0053】
上述又は後述の例示的実施形態と併せて、更なる詳細及び態様について述べる。
図2A~2Eに示した例示的実施形態は、提案した概念、又は上述(例えば、
図1)又は後述(例えば、
図3~4)の1つ以上の例示的実施形態と併せて述べる1つ以上の態様に対応する1つ以上の任意選択の更なる特徴を有してよい。
【0054】
図3は、一例示的実施形態に対応するシリコンカーバイド部品を製造する方法のフロー図である。方法300は、初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成する工程110と、製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域をシリコンカーバイド層内に形成する工程120と、ドープ領域を形成する工程120の後にシリコンカーバイド層又は初期ウエハを分離するステップ140とを含み、これによって、製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離される。更に、シリコンカーバイド基板は、厚さが30μm超(又は60μm超、又は100μm超)である。
【0055】
初期ウエハの再利用は、十分な厚さを有するシリコンカーバイド層を形成することによって可能にすることができる。結果として、シリコンカーバイド部品の製造コストを下げることが可能である。
【0056】
上述又は後述の例示的実施形態と併せて、更なる詳細及び態様について述べる。
図3に示した例示的実施形態は、提案した概念、又は上述(例えば、
図1~2E)又は後述(例えば、
図4)の1つ以上の例示的実施形態と併せて述べる1つ以上の態様に対応する1つ以上の任意選択の更なる特徴を有してよい。
【0057】
図4は、一例示的実施形態に対応するシリコンカーバイド部品の一部の概略断面図を示す。シリコンカーバイド部品400は、厚さが30μm超のシリコンカーバイド基板410と、シリコンカーバイド部品400の、シリコンカーバイド基板410の第1の面412に配置されたドープ領域420と、を含む。シリコンカーバイド基板410の第1の面412と反対側の第2の面414との間の、シリコンカーバイド基板410の中心430における点欠陥密度が5×10
14cm
-3未満(又は1×10
14cm
-3未満、又は5×10
13cm
-3未満)であり、これは、SiC基板が、例えば、1700℃を下回る温度でのエピタキシャル工程で製造された為であり、従って、確定した平衡状態の点欠陥濃度は、バルク結晶成長工程中に約2300℃の昇華によって確定された点欠陥濃度と異なる(これより低い)。
【0058】
(例えば、初期ウエハ上であらかじめ成長させておいた)厚いエピタキシャルシリコンカーバイド層の上でシリコンカーバイド部品を形成すると、点欠陥密度は、シリコンカーバイド部品のシリコンカーバイド基板の中心においてすら、低く保つことが可能である。更に、厚いシリコンカーバイド基板の使用により、製造コストを下げることが可能である。
【0059】
点欠陥密度は、例えば、シリコンカーバイド基板410の第1の面412から、並びに第2の面414から等距離Aにある(従って、中心430に対応する)点又は面において測定されてよい。
【0060】
例えば、更に、シリコンカーバイド基板410の中心430における平均ドープ濃度は、5×1017cm-3超(又は5×1018cm-3超、又は1×1019cm-3超)であってよい。例えば、シリコンカーバイド基板410は、平均ドープ濃度(及び/又は最大ドープ濃度)が5×1017cm-3超(又は5×1018cm-3超、又は1×1019cm-3超)である第1の部分層と、平均ドープ濃度(及び/又は最大ドープ濃度)が1×1017cm-3未満(又は5×1016cm-3未満、又は1×1016cm-3未満)である第2の部分層と、を含んでよい。シリコンカーバイド基板の部分層の厚さは、例えば、20μm超(又は40μm超、又は80μm超)であってよい。シリコンカーバイド基板の第2の部分層の厚さは、例えば、30μm未満(又は20μm未満、又は10μm未満)であってよい。シリコンカーバイド基板の第2の部分層の厚さは、例えば、製造されるシリコンカーバイド部品において達成されるべきブロッキング能力に応じて選択されてよい。例えば、第1の部分層の少なくとも一部がシリコンカーバイド部品400のドリフト領域を形成してよい。例えば、シリコンカーバイド基板の第2の部分層の厚さは、シリコンカーバイド基板の第1の部分層の厚さより小さい(例えば、10μm超)。
【0061】
シリコンカーバイド部品400は、例えば、
図1~3に関連して説明した方法のいずれかによって製造されてよい。製造されるシリコンカーバイド部品は、点欠陥密度が、シリコンカーバイド部品のシリコンカーバイド基板の中心においてすら、低いことが可能である。
【0062】
例えば、シリコンカーバイド部品400は、縦型シリコンカーバイド部品であってよく、或いは、縦型部品構造(例えば、縦型ダイオード、縦型電界効果トランジスタ、又は縦型絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT)を含んでよい。縦型シリコンカーバイド部品又は縦型部品構造は、例えば、導通状態又はオン状態で、電流の大部分(例えば、シリコンカーバイド部品を通る全電流の70%超)をフロントサイドとリアサイドとの間で垂直方向に流す。シリコンカーバイド部品は電力半導体部品であってよい。例えば、シリコンカーバイド部品、及び/又はシリコンカーバイド部品の縦型部品構造は、降伏電圧又は逆電圧が100V超(例えば、降伏電圧が200V、300V、400V、又は500V)、500V超(例えば、降伏電圧が600V、700V、800V、又は1000 V)、又は1000V超(例えば、降伏電圧が1200V、1500V、1700V、2000V、3300V、又は6500V)であってよい。
【0063】
上述又は後述の例示的実施形態と併せて、更なる詳細及び態様について述べる。
図4に示した例示的実施形態は、提案した概念、又は上述(例えば、
図1~3)又は後述の1つ以上の例示的実施形態と併せて述べる1つ以上の態様に対応する1つ以上の任意選択の更なる特徴を有してよい。
【0064】
幾つかの例示的実施形態は、SiCウエハの再利用法に関連する。
【0065】
別の方法では、例えば、SiC基材のコストを下げることが可能であり、これは、(例えば、1μm以下の領域の)非常に薄い層をウエハから分離して補助担体に接着することにより可能である。従って、最適に適合された表面をその後のエピタキシ工程で利用できるようにすることが可能であり、この目的の為にはウエハ全体を使用する必要がない。しかしながら、この方法では、分離(例えば、スマートカット)及び接着の複雑な工程が必要になる場合がある。具体的には、そのような複合ウエハは、(例えば、グラファイト担体の使用との)温度係数CTのマッチングが良好な場合であってもウエハの反りが非常に大きくなる可能性があり、担体の工程適合性がクリティカルになる可能性がある。別の方法では、単結晶SiC層がポリSiCウエハに、電気的に導通するように接着されてよい。従って、反りの問題、更に工程適合性については著しい改善が可能であるが、例えば、単結晶SiC基板に比べてコスト上の利点は得られない。
【0066】
提案した概念によれば、分離が実施されるのは、例えば、各部品のフロントサイド処理が完了してからであってよく、適切な再生成工程(リクレーム工程)の後に、分離された高ドープウエハの再利用が可能になる。例えば、必ず同じ(又は同等の)ウエハ厚さで工程を開始する為には、適用するエピタキシャル層の全体厚さが、結果として得られる部品の電気的要件(だけ)によって決まるのではなく、分離工程に必要な材料マージンを最小厚さとして付随的に含むことが可能である。上記材料マージンは、後の部品においてはっきりそれとわかるオーム抵抗が追加生成されないように高ドープされてよい。十分な厚さのエピタキシャル層と分離工程とにより、SiC部品製造中のウエハリクレームを可能にすることができる。例えば、ウエハは、この工程で消費されず、回収可能な構成要素であることが可能である。例えば、厚さが150μmで直径が150mmであるか他の幾らかの厚さ及び/又は直径であるSiCウエハの分離を実施することが可能である。
【0067】
この部品構造を有する分離された部分ウエハ270は、例えば、この薄い、従って、壊れやすい部分ウエハのハンドリング工程を最小限に抑える為に)完成までフロントサイドにおいて最大限の加工を行ってよい。この分離された部分ウエハには、マウント性能の為の接点層及び接点強化材が少なくとも与えられてよい。例えば、薄いニッケルシリサイドNiSi層がウエハのリアサイドにスパッタリングされてよく、熱接点形成が急速熱加工(RTP)又はレーザパルスによって実施されてよい。そして、はんだ付け可能なリアサイド金属層が堆積されてよい。
【0068】
上記で詳細に説明された実施例及び図面のうちの1つ以上とともに言及及び説明されてきた態様及び特徴は、その他の実施例のうちの1つ以上と更に組み合わされてよく、これは、その他の実施例の類似の特徴を置き換える為、又は更にその特徴をその他の実施例に導入する為である。
【0069】
本明細書及び図面は、本開示の原理のみを提示する。更に、ここで言及されている全ての実施例は、当該技術分野の更なる発展の為に本願発明者らによって提供される本開示の原理、及び概念を読み手が理解することを支援する為に、明確に教示のみを目的として用いられるものとする。本開示の原理、態様、及び例示的実施形態、更にはこれらの具体的な例示的実施形態に関する本明細書の全記載は、これらの対応特許を包含するものとする。
【0070】
ブロック図は、例えば、本開示の原理を実施する詳細な回路図を示してよい。同様に、フロー図、フローチャート、状態遷移図、疑似コードなどは、実質的にコンピュータ可読媒体において表現され、従って、コンピュータ又はプロセッサによって(そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示されているかどうかにかかわらず)実施されることが可能な様々なプロセスを示してよい。本明細書又は特許請求の範囲において開示されている方法は、上記方法の対応するステップのそれぞれを実施する為の手段を含む装置によって実施されてよい。
【0071】
更に、言うまでもなく、本明細書又は特許請求の範囲において開示されている複数のステップ、工程、動作、シーケンス、又は機能の開示は、これが(例えば、技術的な理由で)明示的又は暗黙的に他の順序で示されていない限り、開示された特定の順序でのものであるように解釈されるべきではない。従って、複数のステップ又は機能の開示は、上記ステップ又は機能が技術的な理由で入れ替え可能ではない場合を除き、それらを特定の順序に限定するものではない。更に、幾つかの実施例では、個々のステップ、機能、工程、又はシーケンスが、複数の部分的なステップ、関数、工程、又はシーケンスを含んでよく、或いは、これらに細分されてよい。そのような部分的なステップは、明示的に排除されていなければ、上記個々のステップの開示に含まれてよく、その開示の一部であってよい。
【0072】
更に、この後の特許請求の範囲は、各請求項がそれ自体によって別々の実施例を表すことが可能であれば、これによって詳細説明に組み込まれている。各請求項がそれ自体によって別々の実施例を表すことが可能であれば、特許請求の範囲において従属請求項が1つ以上の他の請求項との特定の組み合わせに言及することが可能であるが、他の例示的実施形態が従属請求項と他の任意の従属請求項又は独立請求項の主題との組み合わせを含んでもよいことを考慮に入れられたい。特定の組み合わせが意図されていないことが示されていない場合には、これらの組み合わせはここで提案される。更に、ある請求項の特徴が他の任意の独立請求項に対しても包含されるものとし、これは、この請求項がその独立請求項に直接従属するようになされていない場合でもそうであるものとする。
【符号の説明】
【0073】
200 シリコンカーバイド初期ウエハ
210 nドープ(n+)バッファ層
220 ドリフト層
230 接続パッド
240 パッシベーション層
250 分離領域
260 研磨
270 シリコンカーバイド基板
400 シリコンカーバイド部品
410 シリコンカーバイド基板
412 第1の面
414 第2の面
420 ドープ領域
430 中心
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンカーバイド部品を製造する方法(100)であって、
初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップ(110)であって、前記シリコンカーバイド層が、前記製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を前記シリコンカーバイド層内に備える、ステップ(110)と、
前記製造されるシリコンカーバイド部品の導電性接点構造を前記シリコンカーバイド層の表面に形成するステップ(130)であって、前記導電性接点構造は前記ドープ領域と電気的に接触する、ステップ(130)と、
前記導電性接点構造を形成する前記ステップ(130)の後に前記シリコンカーバイド層及び前記初期ウエハのうちの少なくとも一方を分離するステップ(140)であって、これによって、前記製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離される、ステップ(140)と、
分離する前記ステップ(140)の前に前記シリコンカーバイド層の前記表面にパッシベーション層を形成するステップであって、前記パッシベーション層の開口部内に、前記導電性接点構造が配置される、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記分離されたシリコンカーバイド基板は、厚さが30μm超である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコンカーバイド部品を製造する方法(300)であって、
初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップ(110)であって、前記シリコンカーバイド層が、前記製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を前記シリコンカーバイド層内に備える、ステップ(110)と、
前記ドープ領域を形成した後に前記シリコンカーバイド層又は前記初期ウエハを分離するステップ(140)であって、これによって、前記製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離され、前記シリコンカーバイド基板は厚さが30μm超である、ステップ(140)と、
分離する前記ステップ(140)の前に前記シリコンカーバイド層の表面にパッシベーション層を形成するステップであって、前記パッシベーション層の開口部内に、前記ドープ領域と電気的に接触する導電性接点構造が配置される、ステップと、
を含む方法。
【請求項4】
前記初期ウエハの少なくとも一方の面がシリコンカーバイドを含み、前記シリコンカーバイド層を形成する前記ステップ(110)が、前記初期ウエハの前記面にシリコンカーバイドをエピタキシャル成長させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコンカーバイド層を形成する前記ステップ(110)が、
平均ドープ濃度が5×1017cm-3超である、前記シリコンカーバイド層の第1の部分層を形成するステップと、
平均ドープ濃度が1×1017cm-3未満である、前記シリコンカーバイド層の第2の部分層を形成するステップと、
を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコンカーバイド層の前記第1の部分層の厚さは20μm超である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコンカーバイド層の前記第2の部分層の厚さは30μm未満である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコンカーバイド層の前記第2の部分層の厚さは、前記シリコンカーバイド層の前記第1の部分層の厚さより小さい、請求項5、6、又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の部分層の少なくとも一部分が、前記製造されるシリコンカーバイド部品のドリフト領域を形成する、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
分離する前記ステップ(140)の前に、前記シリコンカーバイド層の前記表面に形成された層スタックに担体ウエハ又は担体フィルムを固定するステップを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
分離する前記ステップ(140)の後に、前記初期ウエハの少なくとも一部分を含む、残っているウエハの表面を調整するステップを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記残っているウエハに更なるシリコンカーバイド層を形成するステップと、
前記更なるシリコンカーバイド層に、更なる製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を形成するステップと、
前記更なる製造されるシリコンカーバイド部品の前記ドープ領域を形成する前記ステップの後に、前記更なるシリコンカーバイド層又は前記残っているウエハを分離するステップであって、これによって、前記更なる製造されるシリコンカーバイド部品の少なくとも更なるシリコンカーバイド基板が分離される、分離するステップと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
予損傷分離領域を生成するステップを更に含み、前記分離領域は、
(i)前記初期ウエハ又は前記シリコンカーバイド層にイオンを打ち込むステップであって、既知の波長範囲のレーザ放射に対する前記予損傷分離領域の吸収係数が、前記初期ウエハ又は前記シリコンカーバイド層の、前記予損傷分離領域の外側の領域の吸収係数の少なくとも5倍である、打ち込むステップ、又は
(ii)前記分離領域を予損傷する為に、前記導電性接点構造を形成する前記ステップの前に前記分離領域のレーザ処置を行うステップ
によって生成される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記分離領域に沿って分離する前記ステップ(140)は、
(i)ポリマーフィルムを貼り付けるステップ、
(ii)熱応力を生成するステップ、及び
(iii)前記初期ウエハ又は前記シリコンカーバイド層に既知の波長範囲のレーザ放射を照射するステップ
のうちの少なくとも1つのステップを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分離する前記ステップ(140)は、前記シリコンカーバイド層又は前記初期ウエハの分離領域へのイオン打ち込み又はレーザボンバードメントによって実施される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
分離する前記ステップ(140)は前記シリコンカーバイド層を分離するステップであり、これにより、分離する前記ステップ(140)の後に、前記シリコンカーバイド層の一部が前記初期ウエハ上に残る、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性接点構造は、金属及びポリシリコンの少なくとも一方を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
分離する前記ステップ(140)の前に、製造されるシリコンカーバイド部品の間の領域において前記シリコンカーバイド層を分離するステップを更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
シリコンカーバイド部品を製造する方法であって、
初期ウエハ上にシリコンカーバイド層を形成するステップであって、前記シリコンカーバイド層が、前記製造されるシリコンカーバイド部品のドープ領域を前記シリコンカーバイド層内に備える、ステップと、
前記シリコンカーバイド層の表面に導電性接点構造を形成するステップであって、前記導電性接点構造は前記ドープ領域と電気的に接触する、ステップと、
分離領域を予損傷することで前記分離領域を生成するステップであって、前記分離領域を予損傷する為の、前記導電性接点構造を形成するステップの前の前記分離領域のレーザ処置によって前記分離領域が生成される、ステップと、
前記シリコンカーバイド層を形成するステップの後に、前記シリコンカーバイド層又は前記初期ウエハを前記分離領域に沿って分離するステップであって、これによって、前記製造されるシリコンカーバイド部品の少なくともシリコンカーバイド基板が分離され、前記シリコンカーバイド基板は、厚さが30μm超である、ステップと、を含み、
前記シリコンカーバイド層を分離する前に、前記ドープ領域は前記シリコンカーバイド層の表面まで延びていて、
前記分離領域に沿って分離するステップは、(i)ポリマーフィルムを貼り付けるステップ、(ii)熱応力を生成するステップ、又は(iii)機械的な力を用いるステップ、のうちの少なくとも1つのステップを含む、方法。
【請求項20】
前記初期ウエハの少なくとも一方の面がシリコンカーバイドを含み、前記シリコンカーバイド層を形成する前記ステップが、前記初期ウエハの前記面にシリコンカーバイドをエピタキシャル成長させることを含む、請求項19に記載の方法。
【外国語明細書】