(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126278
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ハードマスク形成用組成物及び電子部品の製造方法及び樹脂
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20230831BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20230831BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230831BHJP
C08G 16/02 20060101ALI20230831BHJP
C08G 12/02 20060101ALI20230831BHJP
C08G 12/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G03F7/11 502
G03F7/11 503
G03F7/26 511
G03F7/20 501
G03F7/20 521
C08G16/02
C08G12/02
C08G12/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108913
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2019211731の分割
【原出願日】2019-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】衣幡 慶一
(57)【要約】
【課題】より高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性にも優れたハードマスク形成用組成物及びこれを用いた電子部品の製造方法、並びに前記ハードマスク形成用組成物に有用な材料を提供する。
【解決手段】リソグラフィで用いられるハードマスクを形成するハードマスク形成用組成物であって、下記一般式(sc-p1)で表される部分構造を有する樹脂(P)を含有する、ハードマスク形成用組成物を採用する。一般式中、R
11は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。*は、結合手であることを示す。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィで用いられるハードマスクを形成するハードマスク形成用組成物であって、
下記一般式(sc-p1)で表される部分構造を有する樹脂(P)を含有する、ハードマスク形成用組成物。
【化1】
[式中、R
11は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。*は、結合手であることを示す(以下同じ)。]
【請求項2】
さらに、熱酸発生剤成分を含有する、請求項1に記載のハードマスク形成用組成物。
【請求項3】
支持体上に、請求項1又は2に記載のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、及び
前記ハードマスク層(m1)をマスクとして前記支持体を加工する工程
を有する、電子部品の製造方法。
【請求項4】
支持体上に、請求項1又は2に記載のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、
前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程、
前記ハードマスク層(m2)上にレジスト膜を形成する工程、
前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターンを形成する工程、
前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターンを形成する工程、
前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターンを形成する工程、及び
前記膜形成用成分パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程
を有する、電子部品の製造方法。
【請求項5】
支持体上に、請求項1又は2に記載のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、
前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターンを形成する工程、 前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターンを形成する工程、及び
前記膜形成用成分パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程
を有する、電子部品の製造方法。
【請求項6】
下記一般式(sc-p1)で表される部分構造を有する樹脂。
【化2】
[式中、R
11は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク形成用組成物及び電子部品の製造方法及び樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造に際しては、シリコンウェーハ等の基板上にレジスト膜を形成した積層体に、ドライエッチングを含む処理、たとえばレジスト膜に選択的露光を施すことにより該レジスト膜にレジストパターンを形成し、これをマスクとしてドライエッチングを行い、基板上にパターンを形成する等の処理が行われている。
【0003】
レジスト膜を用いたパターン形成方法としては、3層レジスト法が知られている(たとえば特許文献1参照)。3層レジスト法は、まず、支持体上に、有機材料を用いて有機ハードマスク層を形成し、その上に無機材料を用いて無機ハードマスク層を形成した後、さらにその上にレジスト膜を形成する。次いで、通常のリソグラフィ技術によりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして無機ハードマスク層をエッチングすることにより無機ハードマスクパターンを形成し、次いで無機ハードマスク層パターンをマスクとして、有機ハードマスク層をエッチングすることにより、有機ハードマスクパターンを形成する。そして、該有機ハードマスクパターンをマスクとして支持体のエッチングを行い、支持体を加工する。
また、3層レジスト法よりも工程数が少ない2層レジスト法も提案されている(たとえば特許文献2、3参照)。2層レジスト法では、支持体上に、3層レジスト法と同様にして有機ハードマスク層を設けた後、その上にレジスト膜を設ける。次いで、通常のリソグラフィ技術によりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、有機ハードマスク層をエッチングすることにより、有機ハードマスクパターンを形成する。そして、該有機ハードマスクパターンをマスクとして支持体のエッチングを行い、支持体を加工する。
【0004】
有機ハードマスク層を形成する方法としては、従来、化学気相成長法(以下、CVD法ということがある)が知られている。CVD法では、ハードマスク形成材料としてアモルファスカーボンが用いられるが、スループットが遅い、高額な設備投資が必要である等の問題がある。
そのため、近年、スピンオンコーティング(spin-on-coating:SOC)法による成膜技術が導入されている(たとえば特許文献4参照)。このSOC方法に適用可能な有機ハードマスク形成材料が提案されている。SOC法は、CVD法と比較して、スループットが高く、かつ、既存のスピンコーターを使用可能であるというメリットがある。
【0005】
ハードマスク形成材料には、基板加工のマスクとしての機能を果たすため、エッチング耐性及び耐溶剤性の高い材料が求められる。また、無機ハードマスク層形成時の高温に耐える必要があるため、耐熱性も要求される。
一般的に、有機ハードマスク形成材料としては、エッチング耐性の点から、芳香環を含む特定の樹脂と、耐溶剤性及び耐熱性の点から架橋剤と、を含有する組成物が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-51422号公報
【特許文献2】特開昭61-239243号公報
【特許文献3】特開昭62-25744号公報
【特許文献4】特開2015-91775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来一般的な分子量の小さい架橋剤を含有するハードマスク形成材料においては、支持体を加工する際のベーク時に、アウトガスを生じやすいという問題がある。
また、近年、エッチング加工の高アスペクト比化が進んでいるのに伴い、ハードマスク形成材料には、これまでよりも高いエッチング耐性が求められる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性にも優れたハードマスク形成用組成物及びこれを用いた電子部品の製造方法、並びに前記ハードマスク形成用組成物に有用な材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、リソグラフィで用いられるハードマスクを形成するハードマスク形成用組成物であって、下記一般式(sc-p1)で表される部分構造を有する樹脂(P)を含有する、ハードマスク形成用組成物である。
【0010】
【化1】
[式中、R
11は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。*は、結合手であることを示す(以下同じ)。]
【0011】
本発明の第2の態様は、支持体上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、及び前記ハードマスク層(m1)をマスクとして前記支持体を加工する工程を有することを特徴とする、電子部品の製造方法である。
【0012】
本発明の第3の態様は、支持体上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程、前記ハードマスク層(m2)上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターンを形成する工程、前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターンを形成する工程、及び前記膜形成用成分パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程を有することを特徴とする、電子部品の製造方法である。
【0013】
本発明の第4の態様は、支持体上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターンを形成する工程、前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターンを形成する工程、及び前記膜形成用成分パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程を有することを特徴とする、電子部品の製造方法である。
【0014】
本発明の第5の態様は、下記一般式(sc-p1)で表される部分構造を有することを特徴とする、樹脂である。
【0015】
【化2】
[式中、R
11は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。*は、結合手であることを示す。]
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性にも優れたハードマスク形成用組成物及びこれを用いた電子部品の製造方法、並びに前記ハードマスク形成用組成物に有用な材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法に用いる支持体の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法におけるハードマスク層(m1)を形成する工程の一例を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法におけるハードマスク層(m2)を形成する工程の一例を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法におけるレジスト膜を形成する工程の一例を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法におけるレジストパターンを形成する工程の一例を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法における無機パターンを形成する工程の一例を説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法における膜形成用成分パターンを形成する工程の一例を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る電子部品を製造する方法における支持体を加工する工程の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」又は「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0019】
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0020】
(ハードマスク形成用組成物)
本発明の第1の態様に係るハードマスク形成用組成物は、リソグラフィで用いられるハードマスクを形成するための組成物である。
本実施形態のハードマスク形成用組成物は、ハードマスク層の基材成分である膜形成用成分を含有する。この膜形成用成分は、後述の一般式(sc-1)で表される化合物(SC)、及び一般式(sc-p1)で表される部分構造を有する樹脂(P)からなる群より選択される少なくとも一種を含む。かかる化合物(SC)及び樹脂(P)は、それぞれ自己架橋性を有する。
【0021】
<化合物(SC)>
本実施形態における化合物(SC)は、下記一般式(sc-1)で表される化合物である。
【0022】
【化3】
[式中、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
13及びR
14は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。但し、R
13とR
14とは相互に結合して、芳香族複素環を有する構造を形成してもよい。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。*は、結合手であることを示す(以下本明細書において同じ)。]
【0023】
前記式(sc-1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。
R11及びR12における有機基は、置換基を有してもよい1価の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよいし、芳香族炭化水素基でもよく、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0024】
R11及びR12における脂肪族炭化水素基の炭素数は、炭素数1~40が好ましく、炭素数1~30がより好ましく、炭素数1~25がさらに好ましく、炭素数1~20が特に好ましい。
【0025】
R11及びR12における芳香族炭化水素基の炭素数は、炭素数6~30が好ましく、炭素数6~25がより好ましく、炭素数6~20がさらに好ましく、炭素数6~16が特に好ましい。
R11及びR12における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の芳香族炭化水素環が挙げられる。
また、R11及びR12における芳香族炭化水素基が有する芳香環は、前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環でもよい。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピロリジン環、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0026】
R11及びR12における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、炭素数1~4が好ましく、炭素数1~2がより好ましい。
【0027】
R11及びR12における、炭化水素基が有してもよい置換基としては、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。前記置換基におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1~5のものが好ましく、炭素数1~3のものがより好ましい。
【0028】
R11及びR12における有機基の具体例を以下に示す。
【0029】
【0030】
上記の中でも、R11及びR12は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、水素原子が好ましく、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)、水素原子がより好ましい。
【0031】
前記式(sc-1)中、R13及びR14は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。
R13及びR14における芳香族炭化水素基の炭素数は、炭素数6~30であり、炭素数6~25が好ましい。
【0032】
R13及びR14における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピロリジン環、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
R13及びR14における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。
【0033】
R13及びR14における芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。前記置換基におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1~5のものが好ましく、炭素数1~3のものがより好ましい。好ましい置換基としては、炭素数1~3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。エッチング耐性を高める観点から、R13及びR14における芳香族炭化水素基は、置換基を有しないものが好ましい。
【0034】
但し、前記式(sc-1)中のR13とR14とは相互に結合して、芳香族複素環を有する構造を形成してもよい。
【0035】
前記式(sc-1)中のフェニレン基の水素原子は、置換基で置換されてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。
【0036】
化合物(SC)としては、例えば、下記一般式(sc-1-1)で表される化合物が好適に挙げられる。
【0037】
【化5】
[式中、複数のR
11及びR
12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
29は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
30は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
31及びR
32は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。但し、R
31とR
32とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。また、式中の2つのフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0038】
前記式(sc-1-1)中、複数のR11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。ここでのR11及びR12についての説明は、上記式(sc-1)中のR11及びR12についての説明と同様である。
【0039】
前記式(sc-1-1)中、R29は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R30は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。
【0040】
前記式(sc-1-1)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。
R31及びR32における、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明は、上記式(sc-1)中のR13及びR14における、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明と同様である。
【0041】
但し、前記式(sc-1-1)中のR31とR32とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。ここでの、芳香環を有する構造は、単環でもよいし多環でもよい。中でも、炭素含量を高くして耐エッチング性を向上できることから、多環式芳香族炭化水素基がより好ましく、置換基を有しないものがさらに好ましい。
【0042】
また、前記式(sc-1-1)中の2つのフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。ここでの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。
【0043】
化合物(SC)の具体例を以下に示す。
【0044】
【0045】
本実施形態のハードマスク形成用組成物中、化合物(SC)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(SC)の分子量は、700以上であることが好ましく、900~4000であることがより好ましく、1000~2000であることがさらに好ましい。化合物(SC)の分子量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であれば、エッチング耐性、耐溶剤性及び耐熱性がより向上しやすくなる。また、支持体を加工する際のベーク時に、アウトガスがさらに生じにくくなる。前記の好ましい範囲の上限値以下であれば、ハードマスク形成用組成物の調製時において化合物(SC)の溶剤への溶解が容易となる。
膜形成用成分中の化合物(SC)の割合は、膜形成用成分の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましく、100質量%であってもよい。
【0046】
ハードマスク形成用組成物中の化合物(SC)の割合は、ハードマスク形成用組成物の総質量に対して、5~30質量%が好ましく、6~25質量%がより好ましく、7~20質量%がさらに好ましい。
【0047】
<樹脂(P)>
本実施形態における樹脂(P)は、下記一般式(sc-p1)で表される部分構造を有する樹脂である。
ここでいう「部分構造」とは、樹脂の一部を構成する構造を意味する。この「部分構造」は、主鎖の一部を構成していてもよいし、側鎖を構成していてもよい。
【0048】
【化7】
[式中、R
11は、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0049】
前記式(sc-p1)中、R11は、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。ここでのR11についての説明は、上記式(sc-1)中のR11についての説明と同様である。
前記式(sc-p1)中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。ここでの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。
【0050】
樹脂(P)としては、例えば、後述の一般式(u11-1)で表される構成単位(u11)を有する樹脂が好適に挙げられる。
又は、樹脂(P)としては、例えば、後述の一般式(u12-1)で表される構成単位(u12)を有する樹脂が好適に挙げられる。
又は、樹脂(P)としては、例えば、後述の一般式(u13-1)で表される構成単位(u13)を有する樹脂が好適に挙げられる。
【0051】
≪構成単位(u11)≫
構成単位(u11)は、下記一般式(u11-1)で表される構成単位である。
【0052】
【化8】
[式中、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
15a及びR
15bは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。但し、R
15aとR
15bとは相互に結合して、芳香族複素環を有する構造を形成してもよい。R
16及びR
17は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。但し、R
16とR
17とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0053】
前記式(u11-1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。
ここでのR11及びR12における有機基は、置換基を有してもよい1価の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよいし、芳香族炭化水素基でもよく、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0054】
R11及びR12における脂肪族炭化水素基の炭素数は、炭素数1~40が好ましく、炭素数1~30がより好ましく、炭素数1~25がさらに好ましく、炭素数1~20が特に好ましい。
【0055】
R11及びR12における芳香族炭化水素基の炭素数は、炭素数6~30が好ましく、炭素数6~25がより好ましく、炭素数6~20がさらに好ましく、炭素数6~16が特に好ましい。
R11及びR12における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の芳香族炭化水素環が挙げられる。
また、R11及びR12における芳香族炭化水素基が有する芳香環は、前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環でもよい。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピロリジン環、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0056】
R11及びR12における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、炭素数1~4が好ましく、炭素数1~2がより好ましい。
【0057】
R11及びR12における、炭化水素基が有してもよい置換基としては、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。前記置換基におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1~5のものが好ましく、炭素数1~3のものがより好ましい。
【0058】
R11及びR12における有機基の具体例を以下に示す。
【0059】
【0060】
上記の中でも、R11及びR12は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、水素原子が好ましく、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)、水素原子がより好ましい。
【0061】
前記式(u11-1)中、R15a及びR15bは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。
R15a及びR15bにおける芳香族炭化水素基の炭素数は、炭素数6~30であり、炭素数6~25が好ましい。
【0062】
R15a及びR15bにおける芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピロリジン環、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
R15a及びR15bにおける芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。
【0063】
R15a及びR15bにおける芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。前記置換基におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1~5のものが好ましく、炭素数1~3のものがより好ましい。好ましい置換基としては、炭素数1~3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。エッチング耐性を高める観点から、R15a及びR15bにおける芳香族炭化水素基は、置換基を有しないものが好ましい。
【0064】
但し、前記式(u11-1)中のR15aとR15bとは相互に結合して、芳香族複素環を有する構造を形成してもよい。ここでの、芳香族複素環を有する構造は、単環でもよいし多環でもよい。
【0065】
前記式(u11-1)中、R16及びR17は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。
R16及びR17における、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明は、上記式(u11-1)中のR15aとR15bにおける、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明と同様である。
【0066】
但し、前記式(u11-1)中のR16とR17とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。ここでの、芳香環を有する構造は、単環でもよいし多環でもよい。中でも、炭素含量を高くして耐エッチング性を向上できることから、多環式芳香族炭化水素基がより好ましく、置換基を有しないものがさらに好ましい。
【0067】
前記式(u11-1)中のフェニレン基の水素原子は、置換基で置換されてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。
【0068】
構成単位(u11)の具体例を以下に示す。
【0069】
【0070】
【0071】
樹脂(P)が有する構成単位(u11)は、1種でもよく2種以上でもよい。
樹脂(P)中の構成単位(u11)の割合は、樹脂(P)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましく、100モル%であってもよい。
構成単位(u11)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすると、エッチング耐性がより高められやすくなり、また、耐溶剤性及び耐熱性が向上する。
【0072】
≪構成単位(u12)≫
構成単位(u12)は、下記一般式(u12-1)で表される構成単位である。
【0073】
【化12】
[式中、R
11は、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
18は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
19は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
20及びR
21は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。但し、R
20とR
21とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。R
22及びR
23は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。但し、R
22とR
23とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。また、式中の2つのフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0074】
前記式(u12-1)中、R11は、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。ここでのR11についての説明は、上記式(u11-1)中のR11についての説明と同様である。
【0075】
前記式(u12-1)中、R18は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R19は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。
【0076】
前記式(u12-1)中、R20及びR21は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。
R20及びR21における、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明は、上記式(u11-1)中のR15aとR15bにおける、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明と同様である。
【0077】
但し、前記式(u12-1)中のR20とR21とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。ここでの、芳香環を有する構造は、単環でもよいし多環でもよい。中でも、炭素含量を高くして耐エッチング性を向上できることから、多環式芳香族炭化水素基がより好ましく、置換基を有しないものがさらに好ましい。
【0078】
前記式(u12-1)中、R22及びR23は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。
R22及びR23における、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明は、上記式(u11-1)中のR15aとR15bにおける、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明と同様である。
【0079】
但し、前記式(u12-1)中のR22とR23とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。ここでの、芳香環を有する構造は、単環でもよいし多環でもよい。中でも、炭素含量を高くして耐エッチング性を向上できることから、多環式芳香族炭化水素基がより好ましく、置換基を有しないものがさらに好ましい。
【0080】
前記式(u12-1)中の2つのフェニレン基の水素原子は、置換基で置換されてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。
【0081】
構成単位(u12)の具体例を以下に示す。
【0082】
【0083】
樹脂(P)が有する構成単位(u12)は、1種でもよく2種以上でもよい。
樹脂(P)中の構成単位(u12)の割合は、樹脂(P)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましく、100モル%であってもよい。
構成単位(u12)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすると、エッチング耐性がより高められやすくなり、また、耐溶剤性及び耐熱性が向上する。
【0084】
≪構成単位(u13)≫
構成単位(u13)は、下記一般式(u13-1)で表される構成単位である。
【0085】
【化14】
[式中、R
11は、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
24は、炭素数1~40の有機基である。R
25は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
26は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
27及びR
28は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。但し、R
27とR
28とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0086】
前記式(u13-1)中、R11は、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。ここでのR11についての説明は、上記式(u11-1)中のR11についての説明と同様である。
【0087】
前記式(u13-1)中、R24は、炭素数1~40の有機基である。
ここでのR24における有機基は、置換基を有してもよい2価の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよいし、芳香族炭化水素基でもよく、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0088】
R24における脂肪族炭化水素基の炭素数は、炭素数1~40が好ましく、炭素数1~30がより好ましく、炭素数1~25がさらに好ましく、炭素数1~20が特に好ましい。
【0089】
R24における芳香族炭化水素基の炭素数は、炭素数6~30が好ましく、炭素数6~25がより好ましく、炭素数6~20がさらに好ましく、炭素数6~16が特に好ましい。
R24における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の芳香族炭化水素環が挙げられる。
また、R24における芳香族炭化水素基が有する芳香環は、前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環でもよい。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピロリジン環、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0090】
R24における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)から水素原子をさらに1つ除いた基等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、炭素数1~4が好ましく、炭素数1~2がより好ましい。
【0091】
R24における、炭化水素基が有してもよい置換基としては、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。前記置換基におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1~5のものが好ましく、炭素数1~3のものがより好ましい。
【0092】
R24における有機基の具体例を以下に示す。
【0093】
【0094】
上記の中でも、R24は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、水素原子が好ましく、芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基)、水素原子がより好ましい。
【0095】
前記式(u13-1)中、R25は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R26は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。
【0096】
前記式(u13-1)中、R27及びR28は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。
R27及びR28における、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明は、上記式(u11-1)中のR15aとR15bにおける、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基についての説明と同様である。
【0097】
但し、前記式(u13-1)中のR27とR28とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。ここでの、芳香環を有する構造は、単環でもよいし多環でもよい。中でも、炭素含量を高くして耐エッチング性を向上できることから、多環式芳香族炭化水素基がより好ましく、置換基を有しないものがさらに好ましい。
【0098】
前記式(u13-1)中のフェニレン基の水素原子は、置換基で置換されてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。
【0099】
構成単位(u13)の具体例を以下に示す。
【0100】
【0101】
樹脂(P)が有する構成単位(u13)は、1種でもよく2種以上でもよい。
樹脂(P)中の構成単位(u13)の割合は、樹脂(P)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましく、100モル%であってもよい。
構成単位(u13)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすると、エッチング耐性がより高められやすくなり、また、耐溶剤性及び耐熱性が向上する。
【0102】
樹脂(P)は、上述の構成単位(u11)、構成単位(u12)又は構成単位(u13)に加えて、他の構成単位を有していてもよい。
かかる他の構成単位としては、例えば、エッチング耐性の観点から、炭素量の高い構成単位が好ましく、芳香族炭化水素基を含む構成単位(前記構成単位(u11)~(u13)のいずれかに該当するものは除く)等が例示される。
【0103】
樹脂(P)の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000~50000が好ましく、1500~20000がより好ましく、2000~10000がさらに好ましい。樹脂(P)のMwが、前記の好ましい範囲内であると、エッチング耐性及び耐熱性がより高められやすくなる。
樹脂(P)の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0~4.0程度が好ましく、1.0~3.0程度がより好ましく、1.0~2.5程度がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0104】
本実施形態のハードマスク形成用組成物中、樹脂(P)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
膜形成用成分中の樹脂(P)の割合は、膜形成用成分の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましく、100質量%であってもよい。
【0105】
ハードマスク形成用組成物中の樹脂(P)の割合は、ハードマスク形成用組成物の総質量に対して、5~30質量%が好ましく、6~25質量%がより好ましく、7~20質量%がさらに好ましい。
【0106】
本実施形態のハードマスク形成用組成物における、膜形成用成分としては、例えば、上記化合物(SC);上記構成単位(u11)を有する樹脂、上記構成単位(u12)を有する樹脂、上記構成単位(u13)を有する樹脂が好適に挙げられる。
これら樹脂として、具体的には、構成単位(u11)の繰り返し構造からなる重合体、構成単位(u12)の繰り返し構造からなる重合体、構成単位(u13)の繰り返し構造からなる重合体が挙げられる。
【0107】
本実施形態のハードマスク形成用組成物においては、膜形成用成分として、上述の化合物(SC)のみを用いてもよいし、樹脂(P)のみを用いてもよいし、化合物(SC)と樹脂(P)とを併用してもよい。又は、かかる膜形成用成分として、化合物(SC)及び樹脂(P)の少なくとも一方に加え、これら以外の膜形成能を有する成分を併用してもよい。
前記の、膜形成能を有する成分としては、特に限定されず、ハードマスク層の基材成分として従来から知られている多数のものから任意に選択して用いればよい。
【0108】
本実施形態のハードマスク形成用組成物中、膜形成用成分の含有量は、形成しようとするハードマスク層の厚さ等に応じて適宜調整すればよい。
【0109】
<任意成分>
本実施形態のハードマスク形成用組成物は、上述した化合物(SC)及び樹脂(P1)に加えて、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、熱酸発生剤成分、界面活性剤、架橋剤、架橋促進触媒、光酸発生剤、吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤、溶剤等が挙げられる。
【0110】
≪熱酸発生剤成分≫
本実施形態のハードマスク形成用組成物においては、化合物(SC)及び樹脂(P)の少なくとも一方に加え、さらに、熱酸発生剤成分(以下「(T)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。
かかる(T)成分としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩(トリフルオロメタンスルホン酸塩、パーフルオロブタンスルホン酸塩等)、六フッ化リン酸塩、三フッ化ホウ素塩、三フッ化ホウ素エーテル錯化合物等が挙げられる。
好ましい(T)成分としては、下記一般式(T-1)で表されるカチオン部とアニオン部とからなる化合物(T1)(以下「(T1)成分」ともいう。)、下記一般式(T-2)で表されるカチオン部とアニオン部とからなる化合物(T2)(以下「(T2)成分」ともいう。)が挙げられる。
【0111】
【化17】
[式(T-1)中、R
h01~R
h04は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基及びアリール基からなる群より選択される基であり、R
h01~R
h04のうちの少なくとも1つは、アリール基である。前記のアルキル基又はアリール基は、置換基を有してもよい。X
T1
-は、対アニオンである。式(T-2)中、R
h05~R
h07は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基及びアリール基からなる群より選択される基であり、R
h05~R
h07のうちの少なくとも1つは、アリール基である。前記のアルキル基又はアリール基は、置換基を有してもよい。X
T2
-は、対アニオンである。]
【0112】
・(T1)成分及び(T2)成分のアニオン部について
式(T-1)中のXT1
-、及び式(T-2)中のXT2
-としては、6フッ化リン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、パーフルオロブタンスルホン酸アニオン等)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン等が挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオンが好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン又はパーフルオロブタンスルホン酸アニオンがより好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸アニオンがさらに好ましい。
【0113】
・(T1)成分のカチオン部について
前記式(T-1)中、Rh01~Rh04におけるアルキル基は、炭素数が1~20であり、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~5がより好ましく、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
【0114】
Rh01~Rh04におけるアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、環式基等が挙げられる。
【0115】
アルキル基の置換基としてのアルコキシ基は、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。 アルキル基の置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルキル基の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、炭素数1~5のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
アルキル基の置換基としてのカルボニル基は、アルキル基を構成するメチレン基(-CH2-)を置換する基(>C=O)である。
アルキル基の置換基としての環式基は、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基(多環式であってもよく、単環式であってもよい)が挙げられる。ここでの芳香族炭化水素基は、後述のRh01~Rh04におけるアリール基と同様のものが挙げられる。ここでの脂環式炭化水素基において、単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
【0116】
前記式(T-1)中、Rh01~Rh04におけるアリール基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5~30であることが好ましく、炭素数5~20がより好ましく、炭素数6~15がさらに好ましく、炭素数6~12が特に好ましい。 芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
Rh01~Rh04におけるアリール基として具体的には、前記の芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基;2つ以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記の芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記の芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、炭素数1~2であることがより好ましく、炭素数1であることが特に好ましい。これらの中でも、前記の芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基、前記の芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基がより好ましく、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基、前記芳香族炭化水素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基がさらに好ましい。
【0117】
Rh01~Rh04におけるアリール基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、環式基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0118】
アリール基の置換基としてのアルキル基は、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが好ましい。
アリール基の置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、環式基についての説明は、上述したアルキル基の置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、環式基についての説明と同様である。
アリール基の置換基としてのアルキルカルボニルオキシ基において、アルキル部分の炭素数は1~5が好ましく、アルキル部分はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0119】
但し、前記式(T1)中、Rh01~Rh04のうちの少なくとも1つは、置換基を有してもよいアリール基である。
【0120】
以下に、(T1)成分のカチオン部として好ましいカチオンを示す。
【0121】
【0122】
・(T2)成分のカチオン部について
前記式(T-2)中、Rh05~Rh07におけるアルキル基、アリール基についての説明は、それぞれ、上述したRh01~Rh04におけるアルキル基、アリール基についての説明と同様である。
但し、前記式(T-2)中、Rh05~Rh07のうちの少なくとも1つは、置換基を有してもよいアリール基である。
【0123】
以下に、(T2)成分のカチオン部として好ましいカチオンを示す。
【0124】
【0125】
本実施形態のハードマスク形成用組成物が含有する(T)成分は、1種でもよいし2種以上でもよい。
本実施形態のハードマスク形成用組成物においては、上記の中でも、(T1)成分を含有することが好ましい。
なお、(T1)成分には、例えば、商品名がTAG-2689(KING INDUSTRY社製)等の市販品を用いてもよい。
【0126】
本実施形態のハードマスク形成用組成物が(T)成分を含有する場合、(T)成分の含有量は、膜形成用成分の総量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.1~10質量部がより好ましく、0.5~5質量部がさらに好ましい。 (T)成分の含有量が、前記の好ましい範囲内であれば、化合物(SC)又は樹脂(P1)における架橋反応の反応性がより高められ、エッチング耐性、耐溶剤性、耐熱性がより向上する。
【0127】
≪界面活性剤≫
本実施形態のハードマスク形成用組成物においては、さらに、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;等のノニオン系界面活性剤、並びにエフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352[三菱マテリアル電子化成(株)(旧(株)トーケムプロダクツ)製、商品名]、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-40[DIC(株)(旧大日本インキ(株))製、商品名]、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製、商品名)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製、商品名)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0128】
本実施形態のハードマスク形成用組成物が含有する界面活性剤は、1種でもよいし2種以上でもよい。
本実施形態のハードマスク形成用組成物は、上記の中でも、フッ素系界面活性剤を含有することが好ましい。
【0129】
本実施形態のハードマスク形成用組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、膜形成用成分の総量100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.01~5質量部がより好ましく、0.05~1質量部がさらに好ましい。 界面活性剤の含有量が、前記の好ましい範囲内であれば、ハードマスク形成用組成物を塗布する際の膜表面を均一化し、ストリエーション(波模様・縞模様のような塗布欠陥)をより防止することができる。
【0130】
≪架橋剤≫
架橋剤としては、メチロール基もしくはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙げられる。架橋剤の具体例としては、例えば、(株)三和ケミカルのニカラック〔登録商標〕シリーズ(ニカラックMX270など)が挙げられる。架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0131】
≪架橋促進触媒≫
架橋促進触媒としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物が挙げられる。架橋促進触媒は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0132】
≪光酸発生剤≫
光酸発生剤としては、例えば、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類;フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類;ベンゾイントシレート、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類;等が挙げられる。光酸発生剤の含有量は、ハードマスク形成用組成物中の膜形成用成分の総量100質量部に対して、0.2~10質量部であることが好ましく、0.4~5質量部であることがより好ましい。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0133】
≪吸光剤≫
吸光剤としては、例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.Disperse Yellow 1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.D isperse Orange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.Disperse Red 1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.Disperse Violet 43;C.I.Disperse Blue 96;C.I.Fluorescent Brightening Agent 112,135及び163;C.I.Solvent Orange2及び45;C.I.Solvent Red 1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.Pigment Green 10;C.I.Pigment Brown2等が挙げられる。吸光剤の含有量は、ハードマスク形成用組成物中の膜形成用成分の総量100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。吸光剤は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0134】
≪レオロジー調整剤≫
レオロジー調整剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体;メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体;及びノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体;等が挙げられる。レオロジー調整剤の含有量は、ハードマスク形成用組成物中の膜形成用成分の総量100質量部に対して、30質量部未満が好ましい。レオロジー調整剤は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0135】
≪接着補助剤≫
接着補助剤としては、例えばmトリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類;トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類;ヘキサメチルジシラザン、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類;ビニルトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類;ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物;1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア等の尿素;及びチオ尿素化合物;等が挙げられる。接着補助剤の含有量は、ハードマスク形成用組成物中の膜形成用成分の総量100質量部に対して、5質量部未満であることが好ましく、2質量部未満であることがより好ましい。接着補助剤は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0136】
≪溶剤≫
溶剤は、化合物(SC)、樹脂(P)及び必要に応じて用いられる前記任意成分を溶解するために用いられる。
溶剤としては、例えば、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
これらの中でも、レベリング性をより向上させる観点から、PGME、PGMEA、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン又はシクロヘキサノン、あるいはこれらの混合溶剤等が好ましい。
【0137】
溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤としてもよい。混合溶剤としては、例えば、PGME及びγ-ブチロラクトンの混合溶剤が例示される。
溶剤の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。例えば、ハードマスク形成用組成物中の全固形分濃度が、好ましくは2~30質量%、より好ましくは5~20質量%の範囲内となるように、溶剤を配合する。
【0138】
以上説明した、本実施形態のハードマスク形成用組成物は、従来一般的な分子量の小さい架橋剤を含有せず、自己架橋性を有している膜形成用成分、すなわち、化合物(SC)及び樹脂(P)からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。このため、本実施形態のハードマスク形成用組成物においては、従来に比べて、高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性にも優れた特性を有する。
【0139】
加えて、本実施形態のハードマスク形成用組成物は、低分子量の架橋剤を含有していないため、支持体を加工する際のベーク時におけるアウトガスの発生が抑えられ、クラック耐性にも優れる。
【0140】
(電子部品の製造方法)
本発明の第2~4の態様に係る電子部品の製造方法について、
図1から
図8を参照しながら具体例を説明する。
【0141】
<第1実施形態>
第1実施形態の電子部品の製造方法は、支持体上に、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程(以下「工程(i-i)」という。)、及び前記ハードマスク層(m1)をマスクとして前記支持体を加工する工程(i-a)(以下「工程(i-a)」という。)を有する。
【0142】
図1は、基板11及び加工層12からなる支持体10を示す。
まず、支持体10上に、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する(
図2;工程(i-i))。
【0143】
[工程(i-i)]
工程(i-i)は、支持体10上に、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程である。
【0144】
基板11としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
加工層12としては、Si、SiO2、SiON、SiN、p-Si、α-Si、W、W-Si、Al、Cu、Al-Si等の種々のLow-k膜及びそのストッパー膜等が挙げられる。加工層12の厚さは、通常、50~10000nmとすることができる。また、深掘加工を行う場合、加工層12の厚さは、1000~10000nmとすることができる。
なお、支持体10は加工層12を有していなくてもよいが、加工層12を成膜する場合は、基板11と加工層12とは、通常、異なる材質のものが用いられる。
【0145】
ハードマスク層(m1)の形成には、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いる。具体的には、支持体10上に、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を、スピンコート法等で塗布する。次いで、ベークして硬化させることにより、ハードマスク層(m1)を形成する。
ベークは、通常、100~500℃、好ましくは200~450℃、より好ましくは250~400℃の範囲で行う。ベーク温度を前記範囲の上限値以下とすることにより、膜形成用成分の酸化反応によるエッチング耐性の低下を抑制することができる。また、ベーク温度を前記範囲の下限値以上とすることにより、後述の工程での高温による変質を抑制することができる。
ベーク時間は、通常、10~600秒間、好ましくは30~300秒間、より好ましくは50~200秒間とすることができる。
【0146】
ハードマスク層(m1)の膜厚は、特に限定されず、加工層12の厚さに応じて適宜設定可能である。ハードマスク層(m1)の膜厚は、例えば、30~20000nmとすることができる。また、深掘加工を行う場合、ハードマスク層(m1)の膜厚は、500nm以上とすることが好ましい。この場合、ハードマスク層(m1)の膜厚としては、500~20000nmが好ましく、1000~15000nmがより好ましい。
【0147】
[工程(i-a)]
工程(i-a)は、ハードマスク層(m1)をマスクとして支持体10を加工する工程である。支持体10の加工は、例えば、ハードマスク層(m1)をマスクとしてエッチング処理を施すことにより行うことができる。エッチング処理の方法は、特に限定されず、一般的なドライエッチング方法等を用いることができる。
【0148】
以上説明した、第1実施形態の電子部品の製造方法においては、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いて、ハードマスク層(m1)を形成するため、より高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性にも優れ、電子部品を高品質で安定的に製造することができる。
【0149】
<第2実施形態>
第2実施形態の電子部品の製造方法は、支持体上に、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程(以下「工程(ii-i)」という。)、前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程(以下「工程(ii-ii)」という。)、前記ハードマスク層(m2)上にレジスト膜を形成する工程(以下「工程(ii-iii)」という。)、前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターンを形成する工程(以下「工程(ii-iv)」という。)、前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターンを形成する工程(以下「工程(ii-v)」という。)、前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターンを形成する工程(以下「工程(ii-vi)」という。)、及び前記膜形成用成分パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程(以下「工程(ii-vii)」という。)を有する。
【0150】
図1は、基板11及び加工層12からなる支持体10を示す。
まず、支持体10上に、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する(
図2;工程(ii-i))。
次に、ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する(
図3;工程(ii-ii))。また、必要に応じて、ハードマスク層(m2)上に反射防止膜(BARC)20を成膜する。
次に、ハードマスク層(m2)上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜30を形成する(
図4;工程(ii-iii))。
次に、レジスト膜を露光し、現像することにより、ハードマスク層(m2)上にレジストパターン30pを形成する(
図5;工程(ii-iv))。
次に、レジストパターン30pをマスクとしてハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターン(m2p)を形成する(
図6;工程(ii-v))。
次に、無機パターン(m2p)をマスクとしてハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターン(m1p)を形成する(
図7;工程(ii-vi))。
次に、膜形成用成分パターン(m1p)をマスクとして支持体10を加工し、パターン12pを形成する(
図8;工程(ii-vii))。
このようにして、基板11にパターン12pを備えた電子部品100を製造することができる。
【0151】
[工程(ii-i)]
工程(ii-i)は、上述した工程(i-i)と同様である。
【0152】
[工程(ii-ii)]
工程(ii-ii)は、ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程である。
【0153】
ハードマスク層(m2)を形成するための無機材料は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。無機材料としては、例えば、ケイ素酸化膜(SiO2膜)、ケイ素窒化膜(Si3N4膜)、ケイ素酸化窒化膜(SiON膜)等が挙げられる。中でも、反射防止膜としての効果が高いSiON膜が好ましい。ハードマスク層(m2)の形成には、CVD法やALD法等を用いることができる。
ハードマスク層(m2)の膜厚としては、5~200nm程度が例示され、10~100nm程度が好ましい。
【0154】
ハードマスク層(m2)の形成にCVD法やALD法を用いる場合、温度が高温(400℃程度)となるため、ハードマスク層(m1)には高温耐性が求められる。上述した実施形態のハードマスク形成用組成物は、耐熱性に優れ、400℃程度の高温に曝露されてもシュリンク等が生じにくい。そのため、CVD法やALD法で成膜される無機ハードマスク層と組み合わせて、好適に用いることができる。
【0155】
ハードマスク層(m2)を形成後、必要に応じて、ハードマスク層(m2)上に、反射防止膜(BARC)20を形成してもよい。BARC20は、有機BARCであってもよく、無機BARCであってもよい。BARCは、従来公知の方法を用いて形成することができる。
【0156】
[工程(ii-iii)]
工程(ii-iii)は、ハードマスク層(m2)上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜30を形成する工程である。
【0157】
レジスト組成物は、特に限定されず、一般に、露光工程を用いた方法に好適なレジスト材料として提案されているものを使用することができる。レジスト組成物は、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。レジスト組成物としては、例えば、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有するもの等が例示される。
【0158】
レジスト膜30の形成は、特に限定されず、レジスト膜30の形成に一般的に用いられる方法を用いればよい。例えば、ハードマスク層(m2)上に(BARC20を形成した場合はハードマスク層(m2)上のBARC20上に)、レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施してレジスト膜30を形成することができる。
レジスト膜30の膜厚は、特に限定されないが、一般的に、30~500nm程度が例示される。
【0159】
[工程(ii-iv)]
工程(ii-iv)は、レジスト膜30を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターン30pを形成する工程である。
【0160】
レジスト膜30の露光は、ArF露光装置、KrF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて行うことができる。露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、並びにX線及び軟X線等の放射線等を用いて行うことができる。レジスト膜30の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
【0161】
例えば、レジスト膜30に対して、所定のパターンが形成されたフォトマスク(マスクパターン)を介した露光、又はフォトマスクを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的露光を行う。その後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施す。
【0162】
次に、前記レジスト膜30を現像処理する。現像処理に用いる現像液は、レジスト組成物の種類、現像方法に応じて、一般的に使用される現像液から適宜選択することができる。例えば、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0163】
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0164】
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を、超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
【0165】
このようにして、ハードマスク層(m2)上に、レジストパターン30pを形成することができる。
【0166】
[工程(ii-v)]
工程(ii-v)は、前記レジストパターン30pをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターン(m2p)を形成する工程である。
【0167】
ハードマスク層(m2)のエッチング処理の方法は、特に限定されず、一般的なドライエッチング法等を用いることができる。エッチングの方法としては、例えば、ダウンフローエッチングやケミカルドライエッチング等の化学的エッチング;スパッタエッチングやイオンビームエッチング等の物理的エッチング;RIE(リアクティブイオンエッチング)等の化学的・物理的エッチングが例示される。
例えば、平行平板型RIEでは、RIE装置のチャンバーに多層積層体を入れ、必要なエッチングガスを導入する。チャンバー内の、上部電極と平行に置かれた多層積層体のホルダーに高周波電圧を加えると、エッチングガスがプラズマ化される。プラズマ中では正・負のイオンや電子などの電荷粒子、中性活性種などのエッチング種が存在している。これらのエッチング種が下部レジスト層に吸着すると、化学反応が生じ、反応生成物が表面から離脱して外部へ排気され、エッチングが進行する。
【0168】
ハードマスク層(m2)をエッチングするために用いられるエッチングガスとしては、例えばハロゲン系のガスが挙げられる。ハロゲン系のガスとしては、水素原子の一部または全部がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子で置換された炭化水素ガスが例示される。より具体的には、テトラフルオロメタン(CF4)ガス、トリフルオロメタン(CHF3)ガス等のフッ化炭素系ガス;テトラクロロメタン(CCl4)ガス等の塩化炭素系ガス等が挙げられる。
【0169】
[工程(ii-vi)]
工程(ii-vi)は、前記無機パターン(m2p)をマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターン(m1p)を形成する工程である。
【0170】
エッチング処理の方法は、特に限定されず、上記工程(ii-vi)と同様に、一般的なドライエッチング方法等を用いることができる。ハードマスク層(m1)をエッチングするために用いられるエッチングガスとしては、例えば、酸素ガス、二酸化硫黄ガス、ハロゲン系ガス等が挙げられる。例えば、エッチングガスとして酸素ガスを用いた酸素プラズマエッチング等が好ましく例示される。
【0171】
[工程(ii-vii)]
工程(ii-vii)は、前記膜形成用成分パターン(m1p)をマスクとして前記支持体10を加工する工程である。
【0172】
支持体10の加工は、例えば、膜形成用成分パターン(m1p)をマスクとして加工層12にエッチング処理を施すことにより行うことができる。
エッチング処理の方法は、特に限定されず、上記工程(ii-vi)と同様に、一般的なドライエッチング方法等を用いることができる。加工層12をエッチングするために用いられるエッチングガスとしては、例えばハロゲン系ガスが挙げられる。
【0173】
第2実施形態の電子部品の製造方法においては、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いて、ハードマスク層(m1)を形成するため、ハードマスク層(m1)の厚膜化(1μm以上)が可能である。そのため、ハードマスク層(m1)から形成される膜形成用成分パターンを、深掘加工のマスクとして好適に用いることができる。
【0174】
尚、上記第2実施形態では、3層レジスト法により電子部品を製造する方法を説明したが、2層レジスト法により電子部品を製造してもよい。その場合、ハードマスク層(m1)上には、ハードマスク層(m2)ではなく、レジスト膜30を形成する。
そして、前記工程(ii-iv)と同様に、レジスト膜30を露光し、現像することにより、ハードマスク層(m1)上にレジストパターン30pを形成する。
次に、前記工程(ii-vi)と同様に、レジストパターン30pをマスクとしてハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターン(m1p)を形成する。
その後は、前記工程(ii-vii)と同様に、膜形成用成分パターン(m1p)をマスクとして支持体10を加工し、パターン12pを形成する。
このようにして、2層レジスト法によっても電子部品を製造することができる。
【0175】
したがって、本発明は、支持体上に、上述した第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、前記ハードマスク層(m1)上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m1)上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターンを形成する工程、及び前記膜形成用成分パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程を有する、電子部品の製造方法、もまた提供する。
【0176】
<第3実施形態>
第3実施形態の電子部品の製造方法は、支持体上に、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程(以下「工程(iii-i)」という。)、前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターンを形成する工程(以下「工程(iii-v)」という。)、前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターンを形成する工程(以下「工程(iii-vi)」という。)、及び前記膜形成用成分パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程(以下「工程(iii-vii)」という。)を有する。
【0177】
第3実施形態の電子部品の製造方法は、レジスト膜の形成を行わず、無機材料からなる無機パターンを直接ハードマスク層(m1)上に形成することを除いて、前記第2実施形態の電子部品の製造方法と同様である。
以下、本実施形態の電子部品の製造方法について、
図1、
図2及び
図6~8を参照しながら具体例を説明する。ただし、本実施形態に係る製造方法は、これに限定されるものではない。
【0178】
まず、支持体10上、上述した実施形態のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する(
図1~
図2;工程(iii-i))。本工程は、上述した工程(ii-i)と同様である。
【0179】
次に、ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターン(m2p)を形成する(
図6;工程(iii-v))。
無機パターン(m2p)を形成するための無機材料としては、上記工程(ii-ii)で例示した無機材料と同様のもの、及び前記無機材料を含有するレジスト組成物等が挙げられる。無機パターン(m2p)の形成方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ハードマスク層(m1)上に、無機材料を含有するレジスト組成物を用いて、無機レジスト膜を形成し、露光及び現像を行うことで、ハードマスク層(m1)上に無機パターン(m2p)を形成することができる。
【0180】
次に、無機パターン(m2p)をマスクとしてハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、膜形成用成分パターン(m1p)を形成する(
図7;工程(iii-vi))。本工程は、上記工程(ii-vi)と同様である。
【0181】
次に、膜形成用成分パターン(m1p)をマスクとして支持体10を加工し、パターン12pを形成する(
図8;工程(iii-vii))。本工程は、上記工程(ii-vii)と同様である。
このようにしても、基板11にパターン12pを備えた電子部品100を製造することができる。
上述した第3実施形態の電子部品の製造方法は、第2実施形態に比べて、工程を省略でき、より簡便な方法である。
【0182】
以上説明した、各実施形態の電子部品の製造方法においては、上述した第1の態様に係るハードマスク形成用組成物、すなわち、従来一般的な分子量の小さい架橋剤を含有せず、自己架橋性を有する膜形成用成分を含有する組成物を用いて、ハードマスク層(m1)を形成するため、より高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性にも優れ、電子部品を高品質で安定的に製造することができる。
【0183】
また、各実施形態の電子部品の製造方法においては、上述した第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を採用していることから、支持体を加工する際のベーク時に、アウトガスを生じにくく、また、エッチング加工の高アスペクト比化にも充分なエッチング耐性を有する。
【0184】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0185】
(化合物)
本発明の第5の態様に係る化合物は、下記一般式(sc-1)で表される化合物であり、上述した<化合物(SC)>と同一のものである。
【0186】
【化20】
[式中、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
13及びR
14は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。但し、R
13とR
14とは相互に結合して、芳香族複素環を有する構造を形成してもよい。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0187】
前記式(sc-1)中、R11、R12、R13及びR14についての説明は、上述の<化合物(SC)>の中で説明した一般式(sc-1)中のR11、R12、R13及びR14と同様である。
【0188】
本実施形態の一般式(sc-1)で表される化合物(化合物(SC))は、公知の方法を用いて製造できる。
化合物(SC)の製造方法としては、例えば、下記一般式(sc-01)で表される化合物(以下「化合物(SCpre)」ともいう。)と金属水素化物との反応、化合物(SCpre)とグリニャール試薬との反応を用いる方法が挙げられる。
【0189】
【化21】
[式中、R
11及びR
12は、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
13及びR
14は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。但し、R
13とR
14とは相互に結合して、芳香族複素環を有する構造を形成してもよい。また、式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0190】
前記一般式(sc-01)で表される化合物(SCpre)は、化合物(SC)の製造のためのプロセスで使用される中間体(前駆体)である。この化合物(SCpre)の詳細については後述する。
前記の式(sc-01)及び式(sc-1)中、R11、R12、R13及びR14についての説明は、上述の<化合物(SC)>の中で説明した一般式(sc-1)中のR11、R12、R13及びR14と同様である。
【0191】
金属水素化物には、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)等を用いることができる。金属水素化物を用いる場合、前記式(sc-1)中のR12に、水素原子を容易に導入できる。
グリニャール試薬には、例えば、有機マグネシウムハロゲン化物(R12-MgX;Xはハロゲン原子を表す。)を用いることができる。グリニャール試薬を用いる場合、前記式(sc-1)中のR12に、炭素数1~40の有機基を容易に導入できる。
【0192】
化合物(SCpre)と金属水素化物との反応、化合物(SCpre)とグリニャール試薬との反応で用いられる有機溶剤としては、各反応で用いられる化合物が溶解可能で、かつ、それら化合物と反応しないものであればよく、例えば非プロトン性極性溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
【0193】
[化合物(SCpre)について]
前記一般式(sc-01)で表される化合物(化合物(SCpre))は、公知の方法を用いて製造できる。
化合物(SCpre)の製造方法としては、例えば、下記一般式(am-01)で表される化合物(am-01)と、下記一般式(ha-01)で表される化合物(ha-01)と、を塩基触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。
【0194】
【化22】
[式中、Xhはハロゲン原子を表す。R
11、R
13及びR
14についての説明は、上述の<化合物(SC)>の中で説明した一般式(sc-1)中のR
11、R
13及びR
14と同様である。]
【0195】
前記式(ha-01)中、Xhとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0196】
化合物(am-01)と化合物(ha-01)との反応で用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール、カリウムtert-ブトキシド等の有機塩基;水素化ナトリウム、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基等が挙げられる。
【0197】
化合物(am-01)と化合物(ha-01)との反応で用いられる有機溶剤としては、この反応で用いられる化合物が溶解可能で、かつ、それら化合物と反応しないものであればよく、例えば非プロトン性極性溶媒が好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0198】
一般式(sc-01)で表される化合物(SCpre)の具体例を以下に示す。
【0199】
【0200】
【0201】
以上説明した、本実施形態の化合物(化合物(SC))は、自己架橋性を有しており、ハードマスク層の基材成分として用いることで、より高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性をより高められる。すなわち、かかる化合物(SC)は、上述したハードマスク形成用組成物における膜形成用成分として有用な材料である。
【0202】
(樹脂)
本発明の第6の態様に係る樹脂は、下記一般式(sc-p1)で表される部分構造を有する樹脂であり、上述した<樹脂(P)>と同一のものである。
【0203】
【化25】
[式中、R
11は、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。式中のフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0204】
前記式(sc-p1)中、R11についての説明は、上述の<樹脂(P)>の中で説明した一般式(sc-p1)中のR11と同様である。
【0205】
本実施形態の樹脂(樹脂(P))は、公知の方法を用いて製造できる。
樹脂(P)の製造方法としては、例えば、下記一般式(sc-p01)で表される部分構造を有する樹脂(以下「樹脂(Ppre)」ともいう。)と金属水素化物との反応、樹脂(Ppre)とグリニャール試薬との反応を用いる方法が挙げられる。
【0206】
【0207】
前記一般式(sc-p01)で表される部分構造を有する樹脂(Ppre)は、樹脂(P)の製造のためのプロセスで使用される中間体(前駆体)である。この樹脂(Ppre)の詳細については後述する。
【0208】
金属水素化物には、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)等を用いることができる。
グリニャール試薬には、例えば、有機マグネシウムハロゲン化物等を用いることができる。
樹脂(Ppre)と金属水素化物との反応、樹脂(Ppre)とグリニャール試薬との反応で用いられる有機溶剤としては、各反応で用いられる化合物が溶解可能で、かつ、それら化合物と反応しないものであればよく、例えば非プロトン性極性溶媒が好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0209】
以上説明した、本実施形態の樹脂(樹脂(P))は、自己架橋性を有しており、ハードマスク層の基材成分として用いることで、より高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性をより高められる。すなわち、かかる樹脂(P)は、上述したハードマスク形成用組成物における膜形成用成分として有用な材料である。
【0210】
(化合物)
本発明の第7の態様に係る化合物は、下記一般式(sc-01-1)で表される化合物であり、上述の化合物(SC)の製造のためのプロセスで使用される中間体(前駆体)である。
【0211】
【化27】
[式中、R
11a及びR
11bは、それぞれ独立に、炭素数1~40の有機基又は水素原子である。R
29は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
30は、窒素原子と共に芳香族複素環を形成する基である。R
31及びR
32は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。但し、R
31とR
32とは相互に結合して、芳香環を有する構造を形成してもよい。また、式中の2つのフェニレン基の水素原子は置換基で置換されてもよい。]
【0212】
前記式(sc-01-1)中、R11a及びR11bについての説明は、上述の<化合物(SC)>の中で説明した一般式(sc-1-1)中のR11と同様である。
前記式(sc-01-1)中、R29~R32についての説明は、上述の<化合物(SC)>の中で説明した一般式(sc-1-1)中のR29~R32と同様である。
【0213】
本実施形態の一般式(sc-01-1)で表される化合物は、公知の方法を用いて製造できる。
一般式(sc-01-1)で表される化合物の製造方法としては、例えば、下記一般式(am-02)で表される化合物(am-02)と、下記一般式(ha-02)で表される化合物(ha-02)と、を塩基触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。
【0214】
【化28】
[式中、Xhはハロゲン原子を表す。R
11、R
29~R
32についての説明は、上記一般式(sc-1-1)中のR
11、R
29~R
32と同様である。]
【0215】
前記式(ha-02)中、Xhとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0216】
化合物(am-02)と化合物(ha-02)との反応で用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール、カリウムtert-ブトキシド等の有機塩基;水素化ナトリウム、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基等が挙げられる。
【0217】
化合物(am-02)と化合物(ha-02)との反応で用いられる有機溶剤としては、この反応で用いられる化合物が溶解可能で、かつ、それら化合物と反応しないものであればよく、例えば非プロトン性極性溶媒が好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0218】
一般式(sc-01-1)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0219】
【0220】
以上説明した、本実施形態の一般式(sc-01-1)で表される化合物は、上述の化合物(SC)の製造のためのプロセスで使用される中間体(前駆体)である。すなわち、かかる一般式(sc-01-1)で表される化合物は、上述したハードマスク形成用組成物における膜形成用成分の有用な原料である。
【0221】
(樹脂)
本発明の第8の態様に係る樹脂は、下記一般式(sc-p01)で表される部分構造を有する樹脂(Ppre)であり、上述の樹脂(P)の製造のためのプロセスで使用される中間体(前駆体)である。
【0222】
【0223】
本実施形態の樹脂(樹脂(Ppre))は、公知の方法を用いて製造できる。
樹脂(Ppre)の製造方法としては、例えば、上記化合物(SCpre)を用いて縮合反応を行う方法、ジインドール化合物とジハロゲン化合物との反応を行う方法が挙げられる。
【0224】
上記化合物(SCpre)を用いて縮合反応を行う方法としては、例えば、化合物(SCpre)と、アルデヒド化合物又はケトン化合物と、を酸触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。
アルデヒド化合物又はケトン化合物としては、ベンズアルデヒド、1-ナフトアルデヒド、1-ピレンカルボキシアルデヒド、9-フルオレノン等が挙げられる。
酸触媒としては、メタンスルホン酸、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸等が挙げられる。
【0225】
ジインドール化合物とジハロゲン化合物との反応を行う方法としては、例えば、ジインドール化合物と、ジハロゲン化合物と、を塩基触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。この反応を行う方法として、具体的には、後述の<合成例(7)>における樹脂B6の合成の方法が挙げられる。
【0226】
樹脂(Ppre)を構成する構成単位の具体例を以下に示す。
【0227】
【0228】
【0229】
以上説明した、本実施形態の一般式(sc-p01)で表される部分構造を有する樹脂(Ppre)は、上述の樹脂(P)の製造のためのプロセスで使用される中間体(前駆体)である。すなわち、かかる樹脂(Ppre)は、上述したハードマスク形成用組成物における膜形成用成分の有用な原料である。
【実施例0230】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0231】
<合成例(1)>
化合物A1の合成:
容量300mLの3つ口フラスコ内で、カルバゾール16.7g(100mmol、東京化成工業製)、4-フルオロベンゾフェノン20g(100mmol、東京化成工業製)、炭酸カリウム16g(115mmol、東京化成工業製)及び湯煎して溶解させたスルホラン115g(東京化成工業製)を混合し、撹拌しながら160℃に昇温して反応を開始した。その6時間後、60℃まで放冷した後、撹拌しながら純水150gを少しずつ加えた。析出した生成物をろ過し、メタノールと水との1:1混合溶液150gで3回洗浄した。得られた黄白色固体を24時間真空乾燥することで、化合物A1を32g得た。
【0232】
【0233】
得られた化合物A1についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=6.5-8.0(m,17H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=108-160(24C,ArC),194(1C,C=O)
【0234】
樹脂B1の合成:
容量100mLの3つ口フラスコ内で、化合物A1を7.0g(20mmol)、ベンズアルデヒド2.3g(22mmol、関東化学製)及びγ-ブチロラクトン15gを混合し、撹拌しながらメタンスルホン酸1.9g(20mmol、東京化成工業製)を加え、撹拌しながら120℃に昇温して反応を開始した。その12時間後、室温まで放冷した後、メタノールと5%アンモニア水溶液との9:1混合溶液100gへ再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、メタノールと5%アンモニア水溶液との9:1混合溶液100gで洗浄し、さらにメタノール100gで洗浄した。得られた灰色粉末を24時間真空乾燥することで、樹脂B1を6.4g得た。
【0235】
【0236】
得られた樹脂B1について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2400、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0237】
樹脂C1の合成:
容量200mLの3つ口フラスコ内で、水素化ホウ素ナトリウム0.87g(23mmol、東京化成工業製)とジメチルスルホキシド13.6gとを混合し、50℃まで昇温し、30分間撹拌して溶解した。そこに、樹脂B1を5gとテトラヒドロフラン43gとを混合した溶液を加え、撹拌しながら70℃の水浴で5時間還流した。反応溶液を氷冷し、撹拌しながら塩化アンモニウム(東京化成工業製)の10%水溶液7mLを少しずつ加えた。得られた溶液をメタノールと水との8:2の混合溶液700mLに投入して再沈殿させ、沈殿物をろ過した後、メタノールと水との8:2の混合溶液100mLで洗浄し、さらにメタノール100mLで洗浄した。得られた灰色粉末を24時間真空乾燥させ、樹脂C1を4.2g得た。
【0238】
【0239】
得られた樹脂C1について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B1のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2700、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0240】
<合成例(2)>
樹脂B2及び樹脂C2の合成:
上述した<合成例(1)>において、ベンズアルデヒドの代わりに1-ナフトアルデヒド(東京化成工業製)を用いたことを除き、合成例(1)と同様の操作で樹脂B2及び樹脂C2を得た。
【0241】
【0242】
得られた樹脂B2について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2700、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0243】
得られた樹脂C2について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B2のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2700、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0244】
<合成例(3)>
樹脂B3及び樹脂C3の合成:
上述した<合成例(1)>において、ベンズアルデヒドの代わりに1-ピレンカルボキシアルデヒド(Sigma-Aldrich製)を用いたことを除き、合成例(1)と同様の操作で樹脂B3及び樹脂C3を得た。
【0245】
【0246】
得られた樹脂B3について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2300、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0247】
得られた樹脂C3について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B3のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2300、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0248】
<合成例(4)>
樹脂B4及び樹脂C4の合成:
上述した<合成例(1)>において、ベンズアルデヒドの代わりに9-フルオレノン(東京化成工業製)を用いたことを除き、合成例(1)と同様の操作で樹脂B4及び樹脂C4を得た。
【0249】
【0250】
得られた樹脂B4について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2900、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5であった。
【0251】
得られた樹脂C4について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B4のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2900、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5であった。
【0252】
<合成例(5)>
樹脂C5の合成:
上述した<合成例(1)>において、水素化ホウ素ナトリウム及びジメチルスルホキシドの代わりに、フェニルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液(16%、東京化成工業製)を用いたことを除き、合成例(1)と同様の操作で樹脂C5を得た。
【0253】
【0254】
得られた樹脂C5について、13C-NMRスペクトルでは、トリチルアルコール部に由来する82.0ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2700、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0255】
<合成例(6)>
化合物A2の合成:
カルバゾール18.4g(110mmol、東京化成工業製)、4,4-ジフルオロベンゾフェノン10.9g(50mmol、東京化成工業製)、炭酸カリウム16g(115mmol、東京化成工業製)及び湯煎して溶解させたスルホラン106g(東京化成工業製)を混合し、撹拌しながら160℃に昇温して反応を開始した。その8時間後、60℃まで放冷した後、撹拌しながら純水140gを少しずつ加えた。析出した生成物をろ過し、メタノールと水との1:1混合溶液140gで3回洗浄した。得られた黄白色固体を24時間真空乾燥することで、化合物A2を23g得た。
【0256】
【0257】
得られた化合物A2についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=6.5-8.0(24H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=108-160(36C,ArC),194(1C,C=O)
【0258】
樹脂B5の合成:
化合物A2を5.1g(10mmol)、1-ナフトアルデヒド3.4g(22mmol、関東化学製)及びγ-ブチロラクトン15gを混合し、撹拌しながらそこにメタンスルホン酸1.9g(20mmol、東京化成工業製)を加え、撹拌しながら120℃に昇温して反応を開始した。その15時間後、室温まで放冷した後、メタノールと5%アンモニア水溶液との9:1混合溶液100gへ再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、メタノールと5%アンモニア水溶液との9:1混合溶液100gで洗浄し、さらにメタノール100gで洗浄した。得られた灰色粉末を24時間真空乾燥することで、樹脂B5を6.0g得た。
【0259】
【0260】
得られた樹脂B5について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2100、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0261】
樹脂C6の合成:
水素化ホウ素ナトリウム0.48g(13mmol、東京化成工業製)及びジメチルスルホキシド7.5gを混合し、50℃まで昇温し、30分間撹拌して溶解した。そこに、樹脂B5を5gとテトラヒドロフラン40gとを混合した溶液を加え、撹拌しながら70℃の水浴で5時間還流した。反応溶液を氷冷し、撹拌しながら塩化アンモニウム(東京化成工業製)の10%水溶液5mLを少しずつ加えた。得られた溶液をメタノールと水との8:2の混合溶液300mLに投入し再沈殿させ、沈殿物をろ過した後、メタノールと水との8:2の混合溶液100mLで洗浄し、さらにメタノール100mLで洗浄した。得られた灰色粉末を24時間真空乾燥させ、樹脂C6を4.2g得た。
【0262】
【0263】
得られた樹脂C6について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B5のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2200、分子量分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0264】
<合成例(7)>
樹脂B6の合成:
容量200mLの3つ口フラスコ内で、3,3’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジインドール8.7g(22mmol)、4,4-ジフルオロベンゾフェノン4.4g(20mmol、東京化成工業製)、炭酸カリウム5.5g(40mmol、東京化成工業製)及び湯煎して溶解させたスルホラン20.5g(東京化成工業製)を混合し、撹拌しながら160℃に昇温して反応を開始した。その10時間後、100℃まで放冷した後、撹拌しながらγ-ブチロラクトン39gを加えた。溶液を室温まで放冷した後、メタノール150gへ投入し再沈殿させた。沈殿物をろ過した後、メタノールと水との1:1混合溶液150gで3回洗浄した。得られた黄白色固体を24時間真空乾燥することで、樹脂B6を11g得た。
【0265】
【0266】
得られた樹脂B6について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は4100、分子量分散度(Mw/Mn)は1.6であった。
【0267】
樹脂C7の合成:
容量200mLの3つ口フラスコ内で、水素化ホウ素ナトリウム0.92g(24mmol、東京化成工業製)とジメチルスルホキシド14.5gとを混合し、50℃まで昇温し、30分間撹拌して溶解した。そこに、樹脂B6を7gとテトラヒドロフラン60gとを混合した溶液を加え、撹拌しながら70℃の水浴で5時間還流した。反応溶液を氷冷し、撹拌しながら塩化アンモニウム(東京化成工業製)の10%水溶液7mLを少しずつ加えた。得られた溶液をヘプタン270gへ投入して再沈殿させ、沈殿物をろ過した後、メタノールと水との7:3の混合溶液100mLで2回洗浄し、さらにメタノール100mLで洗浄した。得られた白色粉末を24時間真空乾燥させ、樹脂C7を4.2g得た。
【0268】
【0269】
得られた樹脂C7について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B6のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は4500、分子量分散度(Mw/Mn)は1.7であった。
【0270】
<合成例(8)>
化合物A3の合成:
容量200mLの3つ口フラスコ内で、3,3’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジインドール7.9g(20mmol)、4-フルオロベンゾフェノン10g(50mmol、東京化成工業製)、炭酸カリウム6.9g(50mmol、東京化成工業製)及び湯煎して溶解させたスルホラン35g(東京化成工業製)を混合し、撹拌しながら160℃に昇温して反応を開始した。その10時間後、60℃まで放冷した後、撹拌しながら純水115gを加えた。析出した沈殿物をろ過した後、メタノールと水との1:1混合液110gで3回洗浄し、さらにメタノールとアセトンとの8:2溶液110gで洗浄した。得られた黄白色固体を24時間真空乾燥することで、化合物A3を14g得た。
【0271】
【0272】
得られた化合物A3についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=6.5-8(34H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=57(1C,C),108-160(52C,ArC),194(2C,C=O)
【0273】
化合物C8の合成:
容量200mLの3つ口フラスコ内で、水素化ホウ素ナトリウム0.75g(20mmol、東京化成工業製)とジメチルスルホキシド14gとを混合し、50℃まで昇温し、30分間撹拌して溶解した。そこに、化合物A3を5gとテトラヒドロフラン45gとを混合した溶液を加え、撹拌しながら70℃の水浴で5時間還流した。反応溶液を氷冷し、撹拌しながら塩化アンモニウム(東京化成工業製)の10%水溶液8mLを少しずつ加えた。得られた溶液をメタノールと純水との8:2の混合液240gへ投入して再沈殿させた。沈殿物をろ過した後、メタノールと水との8:2の混合溶液100mLで洗浄し、さらにメタノール120mLで洗浄した。得られた白色粉末を24時間真空乾燥させ、化合物C8を4.3g得た。
【0274】
【0275】
得られた化合物C8についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=3.2(2H,OH),5.7(2H,C-OH),6.5-8.0(36H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=57(1C,C),75(2C,C-OH),108-160(52C,ArC)
【0276】
<合成例(9)>
化合物C9の合成:
上述した<合成例(8)>において、水素化ホウ素ナトリウム及びジメチルスルホキシドの代わりに、フェニルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液(16%、東京化成工業製)を用いたことを除き、合成例(8)と同様の操作で化合物C9を得た。
【0277】
【0278】
得られた化合物C9についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=3.2(2H,OH),6.5-8.0(44H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=57(1C,C),75(2C,C-OH),108-160(64C,ArC)
【0279】
<合成例(10)>
化合物C10の合成:
上述した<合成例(8)>において、水素化ホウ素ナトリウム及びジメチルスルホキシドの代わりに、1-ブロモナフタレンとマグネシウムとから定法により合成したGrignard試薬のテトラヒドロフラン溶液(10%)を用いたことを除き、合成例(8)と同様の操作で化合物C10を得た。
【0280】
【0281】
得られた化合物C10についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=3.2(2H,OH),6.5-8.0(48H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=57(1C,C),75(2C,C-OH),108-160(72C,ArC)
【0282】
<合成例(11)>
化合物C11の合成:
上述した<合成例(8)>において、水素化ホウ素ナトリウム及びジメチルスルホキシドの代わりに、1-ブロモピレンとマグネシウムとから定法により合成したGrignard試薬のテトラヒドロフラン溶液(10%)を用いたことを除き、合成例(8)と同様の操作で化合物C11を得た。
【0283】
【0284】
得られた化合物C11についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=3.2(2H,OH),6.5-8.0(52H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=57(1C,C),75(2C,C-OH),108-160(84C,ArC)
【0285】
<合成例(12)>
化合物A4の合成:
容量300mLの3つ口フラスコ内で、カルバゾール16.9g(100mmol、東京化成工業製)、4-フルオロベンゾフェノン20g(100mmol、東京化成工業製)、カリウムtert-ブトキシド12.9g(115mmol、東京化成工業製)及び湯煎して溶解させたスルホラン115g(東京化成工業製)を混合し、撹拌しながら160℃に昇温して反応を開始した。その6時間後、60℃まで放冷した後、撹拌しながら1M塩化アンモニウム水溶液150gを少しずつ加えた。析出した生成物をろ過し、メタノールと水との1:1混合溶液150gで3回洗浄した。得られた黄白色固体を24時間真空乾燥することで、化合物A4を29g得た。
【0286】
【0287】
得られた化合物A4についてNMR測定を行い、以下の分析結果からその分子構造を同定した。
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm)=6.5-8.0(19H,ArH)
13C-NMR(150MHz,THF)δ(ppm)=108-160(24C,ArC),194(1C,C=O)
【0288】
樹脂B7の合成:
容量100mLの3つ口フラスコ内で、化合物A4を7.0g(20mmol)、1-ナフトアルデヒド3.4g(22mmol、関東化学製)及びγ-ブチロラクトン18gを混合し、撹拌しながらメタンスルホン酸1.9g(20mmol、東京化成工業製)を加え、撹拌しながら100℃に昇温して反応を開始した。その10時間後、室温まで放冷した後、メタノールと5%アンモニア水溶液との9:1混合溶液100gへ再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、メタノールと5%アンモニア水溶液との9:1混合溶液100gで洗浄し、さらにメタノール100gで洗浄した。得られた灰色粉末を24時間真空乾燥することで、樹脂B7を8.4g得た。
【0289】
【0290】
得られた樹脂B7について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は3900、分子量分散度(Mw/Mn)は2.2であった。
【0291】
樹脂C12の合成:
容量200mLの3つ口フラスコ内で、水素化ホウ素ナトリウム0.76g(20mmol、東京化成工業製)とジメチルスルホキシド12gとを混合し、50℃まで昇温し、30分間撹拌して溶解した。そこに、樹脂B7を5gとテトラヒドロフラン43gとを混合した溶液を加え、撹拌しながら70℃の水浴で5時間還流した。反応溶液を氷冷し、撹拌しながら塩化アンモニウム(東京化成工業製)の10%水溶液7mLを少しずつ加えた。得られた溶液をメタノールと水との8:2の混合溶液700mLに投入し再沈殿させ、沈殿物をろ過した後、メタノールと水との8:2の混合溶液100mLで洗浄し、さらにメタノール100mLで洗浄した。得られた灰色粉末を24時間真空乾燥させ、樹脂C12を4.2g得た。
【0292】
【0293】
得られた樹脂C12について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B7のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は4000、分子量分散度(Mw/Mn)は2.2であった。
【0294】
<合成例(13)>
樹脂B8及び樹脂C13の合成:
上述した<合成例(12)>において、1-ナフトアルデヒドの代わりに1-ピレンカルボキシアルデヒド(Sigma-Aldrich製)を用いたことを除き、合成例(12)と同様の操作で樹脂B8及び樹脂C13を得た。
【0295】
【0296】
得られた樹脂B8について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2500、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5であった。
【0297】
得られた樹脂C13について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B8のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2500、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5であった。
【0298】
<比較合成例(1)>
樹脂B9の合成:
容量500mLの3つ口フラスコ内で、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン23.5g(67mmol、東京化成工業製)、4,4-ジフルオロベンゾフェノン13.1g(60mmol、東京化成工業製)、炭酸カリウム11g(80mmol、東京化成工業製)及びジメチルスルホキシド200gを混合し、120℃に昇温して反応を開始した。その7時間後、室温まで放冷した後、溶液をメタノールと水との8:2混合液1100gへ投入して再沈殿させた。沈殿物をろ過し、メタノールと水との8:2混合液1100gで2回洗浄した後、さらにメタノール1100gで洗浄した。得られた黄白色粉末を24時間真空乾燥することで、樹脂B9を32g得た。
【0299】
【0300】
得られた樹脂B9について、13C-NMRスペクトルでは、カルボニル基に由来する194.5ppmでのピークが観測された。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は3900、分子量分散度(Mw/Mn)は2.1であった。
【0301】
樹脂C14の合成:
容量200mLの3つ口フラスコ内で、水素化ホウ素ナトリウム0.9g(24mmol、東京化成工業製)とジメチルスルホキシド15gとを混合し、50℃まで昇温し、30分間撹拌して溶解した。そこに、樹脂B9を7gとテトラヒドロフラン60gとを混合した溶液を加え、撹拌しながら70℃の水浴で5時間還流した。反応溶液を氷冷し、撹拌しながら塩化アンモニウム(東京化成工業製)の5%水溶液5mLを少しずつ加えた。得られた溶液をメタノールと水との8:2の混合溶液1000mLに投入し再沈殿させた。沈殿物をろ過した後、メタノールと水との8:2の混合溶液500mLで洗浄し、さらにメタノール500mLで洗浄した。得られた黄白色粉末を24時間真空乾燥させ、樹脂C14を6.0g得た。
【0302】
【0303】
得られた樹脂C14について、13C-NMRスペクトルでは、ジフェニルアルコール部に由来する75.3ppmでのピークが観測され、樹脂B9のカルボニル基に由来するピークは観測されなかった。
また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は4000、分子量分散度(Mw/Mn)は2.1であった。
【0304】
<比較合成例(2)>
樹脂C15の合成:
容量300mLの3つ口フラスコに、カルバゾール16.7g(100mmol、東京化成工業製)、ベンズアルデヒド10.6g(100mmol、関東化学製)、γ-ブチロラクトン75g及びパラトルエンスルホン酸一水和物1.9g(10mmol、東京化成工業製)を加え、撹拌しながら120℃に昇温して反応を開始した。その8時間後、室温まで放冷した後、メタノールと5%アンモニア水溶液との8:2混合溶液450gへ再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、メタノールと5%アンモニア水溶液との8:2混合溶液480gで洗浄し、さらにメタノールとアセトンとの7:3混合溶液480gで洗浄した。得られた灰色粉末を24時間真空乾燥することで、樹脂C15を34g得た。
【0305】
【0306】
得られた樹脂C15について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は6500、分子量分散度(Mw/Mn)は2.5であった。
【0307】
<比較合成例(3)>
樹脂C16の合成:
上述した<比較合成例(2)>において、ベンズアルデヒドの代わりに1-ピレンカルボキシアルデヒド(Sigma-Aldrich製)を用いたことを除き、比較合成例(2)と同様の操作で樹脂C16を得た。
【0308】
【0309】
得られた樹脂C16について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2900、分子量分散度(Mw/Mn)は1.6であった。
【0310】
<ハードマスク形成用組成物の調製>
表1に示す各成分を混合して溶解し、各例のハードマスク形成用組成物をそれぞれ調製した(固形分濃度12.0~18.0質量%)。
【0311】
【0312】
表1中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(M)-1~(M)-7:上記の樹脂C1~樹脂C7。
(M)-8~(M)-11:上記の化合物C8~化合物C11。
(M)-12~(M)-13:上記の樹脂C12~樹脂C13。
(M)-14~(M)-16:上記の樹脂C14~樹脂C16。
【0313】
(C)-1:下記化学式(C-1)で表される化合物からなる架橋剤。
(C)-2:下記化学式(C-2)で表される化合物からなる架橋剤。
【0314】
【0315】
(T)-1:熱酸発生剤、KING Industry社製の商品名「TAG-2689」。
(A)-1:フッ素系界面活性剤、DIC株式会社製の商品名「R-40」。
(S)-1:シクロヘキサノン。
【0316】
<評価>
各例のハードマスク形成用組成物を用い、以下に示す方法により、エッチング耐性、耐熱性、耐溶剤性をそれぞれ評価した。これらの結果を表2に示した。
【0317】
[エッチング耐性の評価]
各例のハードマスク形成用組成物を、スピンコーターを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で400℃、60秒間ベークしてハードマスク層(膜厚500nm)を形成した。
形成されたハードマスク層に対してドライエッチング処理を行い、膜減り量を測定してエッチング速度比を求めた。
ドライエッチング処理による膜減り量の測定条件を以下のように設定した。
処理時間:TCP型ドライエッチング装置で3分間処理
ガス:CF4/N2
エッチング速度比は、下記化学式で表される一般的なクレゾールノボラック樹脂からなる層の膜減り量に対する、ハードマスク層の膜減り量の割合として算出した。この値が低いほど、エッチング耐性が高いことを意味する。
【0318】
【0319】
[耐熱性の評価]
各例のハードマスク形成用組成物を、スピンコーターを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で240℃、60秒間ベークしてハードマスク層(膜厚500nm)を形成した。
形成されたハードマスク層について、熱重量分析(TGA)により、5%重量減少温度(℃)を測定した。
TGA分析条件を以下のように設定した。
測定温度:40~500℃、昇温速度10℃/分、Dry Air中
【0320】
[耐溶剤性の評価]
各例のハードマスク形成用組成物を、スピンコーターを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で400℃、60秒間ベークしてハードマスク層(膜厚500nm)を形成した。
形成されたハードマスク層にN,N-ジメチルホルムアミドを接触させて、下記の評価基準により、耐溶剤性を評価した。
評価基準
○:ハードマスク層がN,N-ジメチルホルムアミドに溶解しなかった場合
×:ハードマスク層がN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した場合
【0321】
【0322】
表2に示す結果から、実施例1~13のハードマスク形成用組成物は、高いエッチング耐性を有し、耐溶剤性及び耐熱性のいずれも優れていることが確認できる。
これに対して、比較例1~5のハードマスク形成用組成物は、エッチング耐性、耐熱性又は耐溶剤性のいずれかが劣っていた。
10 支持体、11 基板、12 加工層、12p パターン、20 BARC層、30 レジスト膜、30p レジストパターン、m1 ハードマスク層、m2 ハードマスク層、m1p 膜形成用成分パターン、m2p 無機パターン、100 電子部品