(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126332
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ポリカーボネートポリオール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/64 20060101AFI20230831BHJP
C08G 63/83 20060101ALI20230831BHJP
C08G 18/44 20060101ALI20230831BHJP
C08G 18/72 20060101ALI20230831BHJP
C09D 175/06 20060101ALI20230831BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C08G63/64
C08G63/83
C08G18/44
C08G18/72
C09D175/06
C09J175/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112741
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2019003189の分割
【原出願日】2019-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 高廣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 鉄平
(57)【要約】
【課題】常温において液状であり、色数、濁度が低減された、平均水酸基官能基数が2を超えるポリカーボネートポリオール及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】
ポリカーボネートポリオール(A)と水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)を含有するポリオール(B)とを、特定の触媒を用い、適正な反応条件で反応を進行させ、その後添加剤を加えることで、常温において液状であり、色数や濁度が低減された平均水酸基官能基数が2を超えるポリカーボネートポリオールを得ることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートジオール(A)と、水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)を含むポリオール(B)と、周期表第1族の金属、および周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む無機金属化合物又は有機金属化合物(C)と、濁度低減添加剤(D)とから得られ、平均水酸基官能基数が2を超えることを特徴とする、ポリカーボネートポリオール。
【請求項2】
ポリオール(B)が、水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)と、水酸基官能基数が2以上3未満であるポリエステルポリオール(b2)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリカーボネートポリオール。
【請求項3】
濁度低減添加剤(D)が、無機酸、有機酸、有機酸のエステル類、およびアシルハライド類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネートポリオール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のポリカーボネートポリオールの製造方法であって、
ポリカーボネートジオール(A)とポリオール(B)とを、周期表第1族の金属、および周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む無機金属化合物又は有機金属化合物(C)の存在下でエステル交換反応させ、交換反応終了後、濁度低減添加剤(D)を添加することを特徴とするポリカーボネートポリオールの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載のポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネートとから得られるポリウレタン樹脂。
【請求項6】
請求項5に記載のポリウレタン樹脂を含む塗料組成物。
【請求項7】
請求項5に記載のポリウレタン樹脂を含む接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネートポリオール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートポリオールは、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールと同様に、ポリイソシアネート化合物と反応させて、ポリウレタン樹脂を製造する原料や、接着剤、塗料などの原料として有用である。ポリエステルポリオールはエステル結合を有するため、これらから得られるポリウレタン樹脂は耐加水分解性に劣るという欠点があり、ポリエーテルポリオールはエーテル結合を有するため、耐候性、耐熱性に劣るという欠点がある。これらに対しポリカーボネートポリオールからは耐熱性、耐候性、耐加水分解性及び耐薬品性などの耐久性に優れるポリウレタン樹脂が得られる。
【0003】
このようなポリカーボネートポリオールは、通常、炭酸エステルとジオールとを触媒の存在下でエステル交換反応させることによって製造される。
【0004】
さらにポリウレタン樹脂の機械強度や耐久性を向上させるために、アリールカーボネートとトリメチロールプロパンなどの第一脂肪族トリオールと脂肪族又は脂環式のジオールとをエステル交換反応させることにより得られるポリカーボネートポリオールが提案されている(特許文献1)。また、ポリカーボネートジオールとトリオール化合物および/またはテトラオール化合物とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールも提案されている(特許文献2、3)。
【0005】
しかしながら、トリオールやテトラオールとのエステル交換反応は、開示された触媒を加えても進行しづらい傾向にある。また、触媒種によっては、着色や濁度が大きくなるものがあり、塗料用途として使用すると満足する物性が得られない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭57-39650号公報
【特許文献2】特開平3-220233号公報
【特許文献3】特開2012-184380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような背景技術に鑑みてなされたものであり、常温において液状であり、色数、濁度が低減された、平均水酸基官能基数が2を超えるポリカーボネートポリオール及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の無機金属化合物又は有機金属化合物を用いることで、常温で液状であり、色数や濁度が低減された平均水酸基官能基数が2を超えるポリカーボネートポリオールが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下に示す実施形態を含むものである。
【0010】
[1]ポリカーボネートジオール(A)と、水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)を含むポリオール(B)(以下、単にポリオール(B)とも言う。)と、周期表第1族の金属、および周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む無機金属化合物又は有機金属化合物(C)と、濁度低減添加剤(D)とから得られ、平均水酸基官能基数が2を超えることを特徴とする、ポリカーボネートポリオール。
【0011】
[2]ポリオール(B)が、水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)と、水酸基官能基数が2以上3未満であるポリエステルポリオール(b2)とを含むことを特徴とする、上記[1]に記載のポリカーボネートポリオール。
【0012】
[3]濁度低減添加剤(D)が、無機酸、有機酸、有機酸のエステル類、およびアシルハライド類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネートポリオール。
【0013】
[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリカーボネートポリオールの製造方法であって、ポリカーボネートジオール(A)とポリオール(B)とを、周期表第1族の金属、および周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む無機金属化合物又は有機金属化合物(C)の存在下でエステル交換反応させ、交換反応終了後、濁度低減添加剤(D)を添加することを特徴とする、ポリカーボネートポリオールの製造方法。
【0014】
[5]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネートとから得られるポリウレタン樹脂。
【0015】
[6]上記[5]に記載のポリウレタン樹脂を含む塗料組成物。
【0016】
[7]上記[5]に記載のポリウレタン樹脂を含む接着剤組成物。
【0017】
なお、本発明における常温とは5℃以上35℃以下をいう。また、本発明における液状とは、常温において僅かでも流動性のある状態をいう。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、常温において液状であり、色数、濁度が低減された、平均水酸基官能基数が2を超えるポリカーボネートポリオールを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネートジオール(A)と、水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)を含むポリオール(B)と、周期表第1族の金属、および周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む無機金属化合物又は有機金属化合物(C)(以下、単に(C)成分とも言う。)、および濁度低減添加剤(D)から得られ、平均水酸基官能基数が2を超えるポリカーボネートポリオールである。
【0020】
本発明におけるポリカーボネートジオール(A)としては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類等のカーボネート類と、グリコールとの反応によって得ることができるものが挙げられる。
【0021】
グリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、等のジオールを挙げることができる。これらは単独で用いても2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0022】
本発明の水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)としては、例えば水酸基官能基数が3以上の多価アルコールを含むポリオールとジカルボン酸とから得られるポリエステルポリオールや、水酸基官能基数が3以上の多価アルコールを開始剤としてラクトン類などの環状エステル化合物を開環付加重合することで得られるポリオール等を挙げることができる。
【0023】
水酸基官能基数が3以上の多価アルコールとしては、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。なお、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール等の2官能アルコールを、性能を低下させない範囲で併用しても良い。
【0024】
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸などの多塩基酸等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を併用することができる。
【0025】
好ましいラクトン類としては、例えばβ-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、α-カプロラクトン、β-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチルカプロラクトン、γ-カプリロラクトン、ε-カプリロラクトン、ε-パルミトラクトン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を混合して使用することができる。中でもトリメチロールプロパンを開始剤としたε-カプロラクトンの開環付加重合体が重合時の安定性及び経済性の点から好ましい。
【0026】
また、本発明においては、ポリオール(B)の成分として、水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)以外に、水酸基官能基数が2以上3未満のポリエステルポリオール(b2)を併用することができる。特にグリコールとジカルボン酸から得られるポリエステルポリオールや、グリコールを開始剤としてラクトン類などの環状エステル化合物を開環付加重合することで得られるポリオールが好ましい。
【0027】
上記グリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等が挙げられ、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等を併用することができる。
【0028】
また、ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を併用することができる。
【0029】
また、好ましいラクトン類としては、例えばβ-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、α-カプロラクトン、β-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチルカプロラクトン、γ-カプリロラクトン、ε-カプリロラクトン、ε-パルミトラクトン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を併用することができる。中でもエチレングリコールを開始剤としたε-カプロラクトンの開環付加重合体が重合時の安定性及び経済性の点から好ましい。
【0030】
ポリカーボネートジオール(A)と水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)の質量比は(A)/(b1)=75/25~55/45の範囲であり、(A)/(b1)=70/30~60/40の範囲が好ましい。また、水酸基官能基数が2以上3未満のポリエステルポリオール(b2)を併用する場合は、質量比として、(A)/(b1+b2)=75/25~55/45の範囲が好ましく、(A)/(b1+b2)=70/30~60/40の範囲がより好ましい。
【0031】
本発明のポリカーボネートポリオールの平均水酸基官能基数は2を超えるものであり、2.3~3.5が好ましく、2.5~3.0がより好ましい。
【0032】
また、ポリカーボネートポリオールの平均水酸基価は75~285mgKOH/gであり、90~180mgKOH/gが好ましい。
【0033】
なお、本発明における平均水酸基官能基数は、公称の官能基数を基に下記にて算出した。
平均水酸基官能基数=((ポリカーボネートジオール(A)官能基数×mol)+(ポリエステルポリオール(b1)官能基数×mol)+(ポリエステルポリオール(b2)官能基数×mol))/((ポリカーボネートジオール(A)mol)+(ポリエステルポリオール(b1)mol)+(ポリエステルポリオール(b2)mol))
【0034】
本発明において、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、合成の容易さ、取り扱いやすさを考慮すると、400~5,000が好ましく、500~2,000がより好ましい。なお、数平均分子量は、標準ポリスチレンを検量線とした、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定により求めることができる。
【0035】
本発明には、周期表第1族の金属、および周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む無機金属化合物又は有機金属化合物(C)を用いる。この(C)成分は、エステル交換反応を促進する効果がある。周期表第1族の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、周期表第2族の金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。本発明においては、これらの金属の無機金属化合物又は有機金属化合物が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、または2種以上を併用することができる。これらの中でも、周期表第1族の金属の無機金属化合物が好ましく、エステル交換反応の進行し易さ、取り扱いやすさを考慮すると、酢酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムが特に好ましい。
【0036】
(C)成分の使用量としては、ポリカーボネートジオール(A)と水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(b1)を含むポリオール(B)の合計質量の0.0001~1質量%、好ましくは0.001~0.1質量%である。(C)成分の量が下限未満の場合は、反応時間が長くなるため、得られるポリカーボネートポリオールが着色しやすくなる。また、上限を超える場合は、濁度が高くなる傾向となる。
【0037】
エステル交換反応の反応温度としては、70~250℃が好ましく、80~220℃がより好ましい。
【0038】
エステル交換反応が十分に進行していないポリカーボネートポリオールは、未反応の高結晶性原料由来で常温における性状が固体となる。
【0039】
本発明の濁度低減添加剤(D)としては、例えばリン酸、塩酸等の無機酸、スルホン酸基、スルファミン酸基等を有する有機酸、およびこれらのエステル類、アシルハライド等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を併用することができる。特に取り扱いやすさなどからリン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステルなどのリン化合物が好ましい。なお、添加時期は、エステル交換反応終了後、140℃以下での添加が好ましい。
【0040】
濁度低減添加剤(D)の添加量としては、ポリカーボネートジオール(A)とポリオール(B)との合計質量の0.0001~1質量%、好ましくは0.001~0.1質量%である。添加量が下限未満の場合、得られるポリカーボネートポリオールの濁度や色数が高くなりやすく、上限を超えるとポリカーボネートポリオールの反応性が遅くなる恐れがある。
【0041】
以上説明した本発明のポリカーボネートポリオールは、ポリイソシアネートと公知の方法で反応させることでポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0042】
ポリイソシアネートとしては、特に限定されず、従来公知の各種ポリイソシアネートから適宜選択して用いることができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添化トリレンジイソシアネート、水素添化キシレンジイソシアネート、水素添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添化テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等を用いることができる。また、これら有機ポリイソシアネートと、必要に応じてアルコール等を用い、従来公知の方法で製造できるウレタン変性ポリイソシアネート、ウレア変性ポリイソシアネート、アロファネート変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネート、ウレトンイミン変性ポリイソシアネート、ウレトジオン変性ポリイソシアネート、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートを、単独若しくは2種以上混合して用いることもできる。
【0043】
このようにして得られたポリウレタン樹脂は、塗料組成物、接着剤組成物等に好適に用いることができる。
【実施例0044】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における%、部表記は、特に断りのない限り質量基準である。
【0045】
〔ポリカーボネートジオールの製造1〕
攪拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、1,6-ヘキサンジオール(以下1,6-HGと略す。)とジエチルカーボネート(以下DECと略す。)のモル比が1.08:1になるように、1,6-HGを830g、DECを771g仕込むとともに、さらに反応触媒としてテトラブチルチタネート(以下、TBTと略す。)を0.05g仕込み、窒素気流下にて徐々に190℃まで温度を上昇させた。エタノールの留出が緩慢となり蒸留塔の塔頂温度が50℃以下となった時点で、反応温度は190℃のまま、1.3kPaまで徐々に減圧を行ない、1.3kPaの圧力でさらに7時間反応させた。さらに190℃の反応温度で1.3kPa以下の減圧下、反応物の水酸基価が54~58(mgKOH/g)になるまで反応を続行し、ポリカーボネートジオールを得た(Polyol-1)。Polyol-1の平均水酸基官能基数は2.0であり、水酸基価は55.6(mgKOH/g)であった。
【0046】
〔ポリカーボネートジオールの製造2〕
ポリカーボネートジオールの製造1と同様の装置にて、1,6-HGとDECのモル比が1.05:1になるように、1,6-HGを826g、DECを787g仕込む以外はポリカーボネートジオールの製造1と同様の方法で合成し、ポリカーボネートジオールを得た(Polyol-2)。得られたPolyol-2の平均水酸基官能基数は2.0であり、水酸基価は37.2(mgKOH/g)であった。
【0047】
(実施例1:ポリカーボネートポリオールの製造1)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリカーボネートジオールの製造1で得られたPolyol-1を600g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル303)を400g、酢酸リチウムを0.1g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行った。その後120℃まで冷却し、JP-508(城北化学社製)を0.5添加し、30分攪拌混合し、ポリカーボネートポリオール(PCP-1)を得た。得られたPCP-1の平均水酸基官能基数は2.81であり、水酸基価は250.4(mgKOH/g)であった。
【0048】
(実施例2:ポリカーボネートポリオールの製造2)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリカーボネートジオールの製造2で得られたPolyol-2を500g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を500g、炭酸カリウムを0.1g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行った。その後120℃まで冷却し、JP-508を0.5g添加し、30分攪拌混合し、ポリカーボネートポリオール(PCP-2)を得た。得られたPCP-2の平均水酸基官能基数は2.85であり、水酸基価は171.7(mgKOH/g)であった。
【0049】
(実施例3:ポリカーボネートポリオールの製造3)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリカーボネートジオールの製造2で得られたPolyol-2を550g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を400g、ポリカプロラクトンジオール(プラクセル210)を50g仕込み、炭酸水素カリウムを0.1g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行った。その後120℃まで冷却し、JP-508を0.5g添加し、30分攪拌混合し、ポリカーボネートポリオール(PCP-3)を得た。得られたPCP-3の平均水酸基官能基数は2.76であり、水酸基価は148.6(mgKOH/g)であった。
【0050】
(実施例4:ポリカーボネートポリオールの製造4)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリカーボネートジオールの製造2で得られたPolyol-2を600g、ポリカプロラクトンテトラオール(プラクセル410)を400g、炭酸水素カリウムを0.1g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行った。その後120℃まで冷却し、JP-508を0.5g添加し、30分攪拌混合し、ポリカーボネートポリオール(PCP-4)を得た。得られたPCP-4の平均水酸基官能基数は3.32であり、水酸基価は108.6(mgKOH/g)であった。
【0051】
(実施例5:ポリカーボネートポリオールの製造5)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリカーボネートジオールの製造2で得られたPolyol-2を600g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を400g、酢酸バリウムを0.1g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行った。その後120℃まで冷却し、JP-508を0.5g添加し、30分攪拌混合し、ポリカーボネートポリオール(PCP-5)を得た。得られたPCP-5の平均水酸基官能基数は2.78であり、水酸基価は144.9(mgKOH/g)であった。
【0052】
(比較例1:ポリカーボネートポリオールの製造6)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリカーボネートジオールの製造2で得られたPolyol-2を500g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を500g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行った。その後120℃まで冷却し、JP-508を0.5g添加し、30分攪拌混合し、ポリカーボネートポリオール(PCP-6)を得た。得られたPCP-6の平均水酸基官能基数は2.85であり、水酸基価は171.5(mgKOH/g)であった。
【0053】
(比較例2:ポリカーボネートポリオールの製造7)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリカーボネートジオールの製造2で得られたPolyol-2を500g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を500g、テトラブトキシチタンを0.1g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行った。その後120℃まで冷却し、JP-508を0.5g添加し、30分攪拌混合し、ポリカーボネートポリオール(PCP-7)を得た。得られたPCP-7の平均水酸基官能基数は2.85であり、水酸基価は171.6(mgKOH/g)であった。
【0054】
(比較例3:ポリカーボネートポリオールの製造8)
攪拌機、温度計、加熱装置を組んだ反応装置に、ポリオールの製造2で得られたPolyol-2を500g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を500g、酢酸リチウムを0.1g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行い、ポリカーボネートポリオール(PCP-8)を得た。得られたPCP-8の平均水酸基官能基数は2.85であり、水酸基価は171.7(mg-KOH/g)であった。
【0055】
使用した原料を下記に示す。
・プラクセル303 ポリカプロラクトントリオール(分子量=310、水酸基価=542、官能基数=3) ダイセル社製(商品名)
・プラクセル305 ポリカプロラクトントリオール(分子量=550、水酸基価=305、官能基数=3) ダイセル社製(商品名)
・プラクセル410 ポリカプロラクトンテトラオール(分子量=1000、水酸基価=216、官能基数=4) ダイセル社製(商品名)
・プラクセル210 ポリカプロラクトンジオール(分子量=1000、水酸基価=112、官能基数=2) ダイセル社製(商品名)
・JP-508 酸性リン酸エステル 城北化学社製(商品名)。
【0056】
得られたポリカーボネートポリオールの性状について確認した。結果を表1に示す。
[常温における性状]
得られたポリカーボネートポリオールを、25℃と5℃の各温度でそれぞれ24時間保
【0057】
持した。各温度において液状であるものを「A」、固体であるものを「C」とした。評価Aであれば良好と言える。
【0058】
[色数]
得られたポリカーボネートポリオールの色数を、JIS-K1557に基づき測定し、色数が60以下であれば良好と言える。
【0059】
[濁度]
得られたポリカーボネートポリオールの濁度を、JIS-K0101に基づきカオリン濁度(視覚法)を測定し、濁度が2以下であれば良好と言える。
【0060】