(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126489
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】パン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質向上方法
(51)【国際特許分類】
A21D 8/04 20060101AFI20230831BHJP
A21D 2/26 20060101ALI20230831BHJP
A21D 2/18 20060101ALI20230831BHJP
A21D 10/00 20060101ALI20230831BHJP
A21D 8/02 20060101ALI20230831BHJP
A21D 13/00 20170101ALI20230831BHJP
【FI】
A21D8/04
A21D2/26
A21D2/18
A21D10/00
A21D8/02
A21D13/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116223
(22)【出願日】2023-07-14
(62)【分割の表示】P 2019149456の分割
【原出願日】2019-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000103840
【氏名又は名称】オリエンタル酵母工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】荒井 努
(72)【発明者】
【氏名】相田 千尋
(57)【要約】
【課題】蛋白含量が低いないし弱い小麦粉を使用したり、加水量を増やしたり、油脂の量を増やしてリッチな配合にしたり、湯種を使用しても、ケービングや腰折れを効果的に防止することができ、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好なパン類が得られるパン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質向上方法を提供すること。
【解決手段】α-グルコシルトランスフェラーゼおよびヘミセルラーゼを含有するパン類用品質向上剤、並びに前記パン類用品質向上剤を用いるパン類の製造方法およびパン類の品質向上方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-グルコシルトランスフェラーゼと、ヘミセルラーゼと、分枝デキストリン及び/又は乳蛋白質またはその加水分解物とを含有し、
前記α-グルコシルトランスフェラーゼは、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、100~6,000Uで用いられ、
前記ヘミセルラーゼは、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.1~50Uで用いられ、
前記分枝デキストリンは、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gで用いられ、
前記乳蛋白質またはその加水分解物は、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gで用いられることを特徴とするパン類用品質向上剤。
【請求項2】
α-グルコシルトランスフェラーゼと、ヘミセルラーゼと、分枝デキストリン及び/又は乳蛋白質またはその加水分解物とを含有し、
前記α-グルコシルトランスフェラーゼは、小麦粉を主体とする穀粉原料に対して、20~1,000ppmで用いられ、
前記ヘミセルラーゼは、小麦粉を主体とする穀粉原料に対して、0.5~500ppmで用いられ、
前記分枝デキストリンは、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gで用いられ、
前記乳蛋白質またはその加水分解物は、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gで用いられることを特徴とするパン類用品質向上剤。
【請求項3】
さらにα-アミラーゼを含有し、前記α-アミラーゼが、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.5~30Uで用いられる請求項1または2に記載のパン類用品質向上剤。
【請求項4】
さらにアスコルビン酸もしくはその塩を含有し、前記アスコルビン酸もしくはその塩が、小麦粉を主体とする穀粉原料に対して、5~100ppmで用いられる請求項1~3のいずれかに記載のパン類用品質向上剤。
【請求項5】
さらにキサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類を含有し、前記増粘多糖類が、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.05~2.0mgで用いられる請求項1~4のいずれかに記載のパン類用品質向上剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とするパン類の製造方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とするパン類の品質向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者のライフスタイルの多様化などにより、パン類に対する消費者の需要は増加傾向にあり、それに伴い求められる品質のレベルも高まっている。例えば、食パンでは、ソフトな食感でしっとりとした口溶け感が良好な食感をさらに高めたものが求められるようになってきており、このような要望に応えるために、使用する小麦粉の種類を変えたり、製造工程における加水量を増やしたり、生地に配合する油脂の量を増やしたり、湯種を使用するなどの様々な検討が行われている。
【0003】
一方で、ソフトで良好な食感を求めると、パン類のボリュームの低下やケービング、腰折れが生じやすくなるという問題がある。そのため、ボリュームの低下やケービング、腰折れの発生を抑えつつ、ソフト性や食感に優れるパン類を製造することは困難である。
【0004】
これまでに、パン類の品質を向上させるために、様々な検討が行われている。
例えば、国内産小麦粉を原料とした製パンにおいて、機械耐性、ボリュームアップおよび食感等を向上させ、外国産麦強力小麦粉を使用した製品と比較して見劣りのしない優れた品質を得るための技術として、原料にグルテン、水溶性増粘剤、ヘミセルラーゼ、α-アミラーゼおよびビタミンCを添加する技術(例えば、特許文献1参照)、冷蔵生地のボリューム低下防止、腰落ち防止効果を得るための技術として、グルコースオキシダーゼ、グルテン、乳化剤および酸化防止剤を組み合わせた技術(例えば、特許文献2参照)、機械を使用する大規模製パンにおいて、機械耐性に優れ、風味が良好で、老化の抑制されたパンを製造するための技術として、パン生地に小麦蛋白質のグリアジンを主成分とする分画物とα-アミラーゼおよびヘミセルラーゼを含有させる技術(例えば、特許文献3参照)、ボリュームおよび食感が向上したパン類を製造するための技術として、グルタミナーゼおよびエキソペプチダーゼからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質分解酵素を用いる技術(例えば、特許文献4参照)、パンその他穀物粉膨化食品の凝集性を低減するための技術として、ブランチングエンザイムを有効成分として用いる技術(例えば、特許文献5参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、ケービングや腰折れの発生を低減し、ボリュームや外観に優れ、また近年求められる高いレベルでの食感を十分に満足させる技術は未だ提供されていないのが現状である。
【0006】
したがって、蛋白含量が低い小麦粉を使用したり、加水量を増やしたり、油脂の量を増やしてリッチな配合にしたり、湯種を使用しても、ケービングや腰折れを効果的に防止することができ、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好なパン類が得られる新たな技術の速やかな開発が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-102368号公報
【特許文献2】特開平10-33109号公報
【特許文献3】特開2003-116451号公報
【特許文献4】特開2017-143746号公報
【特許文献5】国際公開第2015/152099号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、蛋白含量が低いないし弱い小麦粉を使用したり、加水量を増やしたり、油脂の量を増やしてリッチな配合にしたり、湯種を使用しても、ケービングや腰折れを効果的に防止することができ、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好なパン類が得られるパン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、パン類の製造時にα-グルコシルトランスフェラーゼとヘミセルラーゼを添加・配合することにより、蛋白含量が低いないし弱い小麦粉を使用したり、加水量を増やしたり、油脂の量を増やしてリッチな配合にしたり、湯種を使用しても、ケービングや腰折れを効果的に防止することができ、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好なパン類が得られることを知見した。
【0010】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> α-グルコシルトランスフェラーゼおよびヘミセルラーゼを含有することを特徴とするパン類用品質向上剤である。
<2> 小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、α-グルコシルトランスフェラーゼ100~6,000Uおよびヘミセルラーゼ0.1~50Uで用いられる前記<1>に記載のパン類用品質向上剤である。
<3> 小麦粉を主体とする穀粉原料に対して、α-グルコシルトランスフェラーゼ20~1,000ppmおよびヘミセルラーゼ0.5~500ppmで用いられる前記<1>に記載のパン類用品質向上剤である。
<4> さらに分枝デキストリンを含有し、前記分枝デキストリンが、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gで用いられる前記<1>~<3>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤である。
<5> さらに乳蛋白質またはその加水分解物を含有し、前記乳蛋白質またはその加水分解物が、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gで用いられる前記<1>~<4>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤である。
<6> さらにα-アミラーゼを含有し、前記α-アミラーゼが、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.5~30Uで用いられる前記<1>~<5>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤である。
<7> さらにアスコルビン酸もしくはその塩を含有し、前記アスコルビン酸もしくはその塩が、小麦粉を主体とする穀粉原料に対して、5~100ppmで用いられる前記<1>~<6>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤である。
<8> さらにキサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類を含有し、前記増粘多糖類が、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.05~2.0mgで用いられる前記<1>~<7>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤である。
<9> 前記<1>~<8>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とするパン類の製造方法である。
<10> 前記<1>~<8>のいずれかに記載のパン類用品質向上剤を用いることを特徴とするパン類の品質向上方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、蛋白含量が低いないし弱い小麦粉を使用したり、加水量を増やしたり、油脂の量を増やしてリッチな配合にしたり、湯種を使用しても、ケービングや腰折れを効果的に防止することができ、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好なパン類が得られるパン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質向上方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(パン類用品質向上剤)
本発明のパン類用品質向上剤は、α-グルコシルトランスフェラーゼと、ヘミセルラーゼとを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0013】
<パン類>
本発明におけるパン類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、食パン(角型、山型、ワンルーフ等)、ロールパン、コッペパン、中華まん、調理パン、菓子パン、蒸しパン、ベーグルなどが挙げられる。中でも、食パンが特に好適に挙げられる。
【0014】
<α-グルコシルトランスフェラーゼ>
前記α-グルコシルトランスフェラーゼは、1,4-α-グルカンの一部分を、グルコースまたは1,4-α-D-グルカン等の炭化水素の別の部分に転移させる酵素である。
前記α-グルコシルトランスフェラーゼとしては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができるが、国際公開第2012/105532号に記載のα-グルコシルトランスフェラーゼ(マルトトリオシル転移酵素)、国際公開第2015/152099号に記載のブランチングエンザイム等が好ましい。前記α-グルコシルトランスフェラーゼは市販品を適宜使用することができる。
前記α-グルコシルトランスフェラーゼの前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
【0015】
<ヘミセルラーゼ>
前記ヘミセルラーゼとしては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、アスペルギウス属、トリコデルマ属等の微生物由来のヘミセルラーゼ、大麦や小麦など穀物由来のヘミセルラーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヘミセルラーゼは、例えば、天野エンザイム株式会社の「アマノ」90、三菱ケミカルフーズ株式会社のスクラーゼX、ディー・エス・エムジャパン株式会社のベイクザイム HS2000、ベイクザイム BXP5001、ベイクザイム Real-X、ベイクザイム BXP500、ノボザイム社のペントパン500 BGなどの市販品を適宜使用することができる。
前記ヘミセルラーゼの前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
【0016】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、分枝デキストリン;乳蛋白質またはその加水分解物;α-アミラーゼ;アスコルビン酸もしくはその塩;キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類;小麦粉、グルテン、コーンスターチ等の食品素材;パン類の製造に用いられる成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記α-グルコシルトランスフェラーゼとヘミセルラーゼと併用することで、パン類製造時の作業性、パン類のケービングや腰折れの防止、外観、食感などのさらなる向上のため、分枝デキストリン、乳蛋白質またはその加水分解物を含有させることが好ましい。
また、パン類製造時の作業性、パン類のボリュームや外観、食感がより向上するため、α-アミラーゼを含有させることが好ましい。
また、パン類のケービングや腰折れの防止、ボリュームや外観のさらなる向上のため、キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類、アスコルビン酸もしくはその塩を含有させることが好ましい。
前記その他の成分の前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
【0017】
<<分枝デキストリン>>
前記分枝デキストリンとしては、分枝構造を有するデキストリンであれば、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、イソマルトデキストリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、パン類のケービングや腰折れの防止、ボリュームや外観、食感がより向上する点で、イソマルトデキストリンが好ましい。
前記イソマルトデキストリンはα結合のグルコースのみから構成され、原料の澱粉や一般的なデキストリンと比較して分枝が多く、多分岐α-グルカンの一種である。同程度のDE値のマルトデキストリンと比較して水への溶解性が高く、粘度も低い。
前記分枝デキストリンは、市販品を適宜使用することができ、例えばイソマルトデキストリンの市販品としては、株式会社林原製の「ファイバリクサ」が挙げられる。ファイバリクサは、重量平均分子量は約5,000、数平均分子量は約2,500である。グルコース重合度が1~約62の成分を含み、平均重合度は30、グルコース当量(DE)は約7とされている。
前記分枝デキストリンの前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0018】
<<乳蛋白質またはその加水分解物>>
前記乳蛋白質としては、乳由来の蛋白質であれば、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、乳清蛋白質(ラクトグロブリン、ラクトアルブミンを主として含有するもの)、カゼインなどが挙げられる。
前記乳蛋白質の加水分解物(ペプチド)としては、前記乳蛋白質を酵素等により分解したものであれば、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記乳蛋白質またはその加水分解物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、パン類のケービングや腰折れの防止の点、食感や食味がより向上する点で、乳清蛋白質またはその加水分解物が好ましい。
前記乳蛋白質またはその加水分解物は、市販品を適宜使用することができる。
前記乳蛋白質またはその加水分解物の前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0019】
<<α-アミラーゼ>>
前記α-アミラーゼとしては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、アスペルギウス・オリゼ(Aspergillus oryzae)等のアスペルギウス属、バチルス・サブチリス(Bacillus subtillis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)等のバチルス属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属等の微生物由来のα-アミラーゼ、大麦や小麦など穀物由来のα-アミラーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記α-アミラーゼは、例えば、新日本化学工業株式会社のスミチームAS、三菱ケミカルフーズ株式会社のコクラーゼ、ノボザイム社のノバミル 10000 BG、ノバミル 3D BG、ディー・エス・エムジャパン株式会社のベイクザイム P500、ベイクザイム AN301などの市販品を適宜使用することができる。
前記α-アミラーゼの前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量や活性などに応じて適宜選択することができる。
【0020】
<<アスコルビン酸もしくはその塩>>
前記アスコルビン酸もしくはその塩としては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、市販品を適宜選択することができる。
前記塩としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩などが挙げられる。前記塩は、1種の塩を用いてもよいし、2種以上の塩を併用してもよい。
前記アスコルビン酸もしくはその塩の前記パン類用品質向上剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0021】
<<キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類>>
前記キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類としては、飲食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、市販品を適宜選択することができる。
前記キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類の前記パン類用品質向上剤における合計含有量としては、特に制限はなく、その使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0022】
<態様>
前記パン類用品質向上剤は、前記α-グルコシルトランスフェラーゼと、前記ヘミセルラーゼと、必要に応じて前記その他の成分とを同一の包材に含む態様であってもよいし、前記各成分の1つまたは複数を別々の包材に入れ、使用時に各成分を混合して穀粉原料に添加する態様であってもよいし、前記各成分をそれぞれ穀粉原料に添加する態様であってもよい。
【0023】
<使用量>
前記パン類用品質向上剤の使用量としては、特に制限はなく、後述する各成分の使用量に応じて、適宜選択することができ、例えば、小麦粉を主体とする穀粉原料(以下、単に「穀粉原料」と称することがある。)に対して、0.1~5質量%の範囲などが挙げられる。
【0024】
<<α-グルコシルトランスフェラーゼ>>
前記α-グルコシルトランスフェラーゼの使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料(以下、単に「穀粉原料」と称することがある。)100gに対して、通常100~6,000U(「U」は活性単位(ユニット)を表す。以下同様。)の範囲であり、200~4,000Uの範囲が好ましく、400~2,000Uの範囲がより好ましい。前記α-グルコシルトランスフェラーゼの使用量が、100U未満であると十分な添加効果、特にヘミセルラーゼなどの他の成分との相乗効果が得られないことがあり、6,000Uを超えるとパン類のケービングや腰折れの防止効果が低減したり、外観および食感に悪影響が生じるおそれがある。
【0025】
本発明において、前記α-グルコシルトランスフェラーゼの活性単位の定義は、以下の条件下、1分間に反応液2.5mL中に1μmolのグルコースを生成する酵素量を1Uとする。
-条件-
1%マルトテトラオースを含む10mmol/L MES緩衝液(pH6.5)2mLに酵素溶液0.5mLを添加して、40℃で60分間放置する。放置後、沸騰水浴中で5分間加熱した後、流水中で冷却し、生成したグルコースを定量する。
【0026】
また、比活性などにより異なるが、前記α-グルコシルトランスフェラーゼの量は、穀粉原料に対して、通常20~1,000ppmの範囲であり、50~500ppmの範囲が好ましい。α-グルコシルトランスフェラーゼの量が前記範囲内であると、パン類のケービングや腰折れを効果的に防止し、また、パン類のボリュームや外観、食感がより向上する点で、有利である。
【0027】
<<ヘミセルラーゼ>>
前記ヘミセルラーゼの使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、穀粉原料100gに対して、通常0.1~50Uの範囲であり、1~40Uの範囲が好ましく、2~30Uの範囲がより好ましい。前記ヘミセルラーゼの使用量が、0.1U未満であると十分な添加効果、特にα-グルコシルトランスフェラーゼなどの他の成分との相乗効果が得られないことがあり、50Uを超えるとパン類のケービングや腰折れの防止効果が低減したり、外観および食感に悪影響が生じるおそれがある。
【0028】
本発明において、前記ヘミセルラーゼの活性単位の定義は、標準条件(キシラン1質量%、100mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH5.0)で、30℃、1分間にキシランが加水分解され、1gのキシロースが生成されるときの酵素活性を1単位(U)とする。
【0029】
また、比活性などにより異なるが、前記ヘミセルラーゼの量は、穀粉原料に対して、通常0.5~500ppmの範囲であり、1~300ppmの範囲が好ましい。ヘミセルラーゼの量が前記範囲内であると、パン類のケービングや腰折れを効果的に防止し、また、パン類のボリュームや外観、食感がより向上する点で、有利である。
【0030】
<<分枝デキストリン>>
前記分枝デキストリンを使用する場合の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gの範囲が好ましく、0.05~0.5gの範囲がより好ましい。前記使用量が好ましい範囲内であると、パン類のケービングや腰折れを効果的に防止し、また、パン類のボリュームや外観、食感がより向上する点で、有利である。
【0031】
<<乳蛋白質またはその加水分解物>>
前記乳蛋白質またはその加水分解物を使用する場合の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、穀粉原料100gに対して、0.01~1.0gの範囲が好ましく、0.05~0.5gの範囲がより好ましい。前記使用量が好ましい範囲内であると、パン類のケービングや腰折れを効果的に防止し、また、パン類のボリュームや外観、食感がより向上する点で、有利である。
【0032】
<<α-アミラーゼ>>
前記α-アミラーゼを使用する場合の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、穀粉原料100gに対して、0.5~30Uの範囲が好ましく、2~20Uの範囲がより好ましい。前記使用量が好ましい範囲内であると、パン類のケービングや腰折れを効果的に防止し、また、パン類のボリュームや外観、食感がより向上する点で、有利である。
【0033】
本発明において、前記α-アミラーゼの活性単位の定義は、デンプンを基質として、pH5.0、30℃において、25分間反応させた後にヨウ素で呈色させ、吸光度(620nm)における可溶性デンプンの変換率が毎時1.0gである酵素量を1Uとする。
【0034】
<<アスコルビン酸もしくはその塩>>
前記アスコルビン酸もしくはその塩を使用する場合の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、穀粉原料に対して、5~100ppmの範囲が好ましく、10~30ppmの範囲がより好ましい。前記使用量が好ましい範囲内であると、パン類のケービングや腰折れを効果的に防止し、また、パン類のボリュームや外観、食感がより向上する点で、有利である。
【0035】
<<キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類>>
前記キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種以上の増粘多糖類を使用する場合の合計使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料100gに対して、0.05~2.0mgの範囲が好ましく、0.1~1.0mgの範囲がより好ましい。前記使用量が好ましい範囲内であると、パン類のケービングや腰折れを効果的に防止し、また、パン類のボリュームや外観、食感がより向上する点で、有利である。
【0036】
<小麦粉を主体とする穀粉原料>
前記小麦粉を主体とする穀粉原料とは、強力粉、準強力粉、中力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉を主として含有するものであり、これら各種小麦粉を組み合わせたものでもよい。また、小麦粉として全粒粉を用いてもよいが、この場合、全粒粉に含まれる小麦ふすま部分は、ふすまとして換算する。当該穀粉は、小麦粉の他に、大麦粉、ライ麦粉、ライ小麦粉、そば粉、米粉、オーツ麦粉を含んでいてもよい。
【0037】
(パン類の製造方法)
本発明のパン類の製造方法は、パン類の製造工程において、少なくとも本発明のパン類用品質向上剤を用い、必要に応じて更にその他の成分を用いる。
【0038】
本発明のパン類の製造方法は、本発明のパン類用品質向上剤を用いる限り、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、小麦粉を主体とする穀粉原料を主原料とし、これに水分、イースト、乳、卵、油脂、塩、糖類などの他の原料、及び本発明のパン類用品質向上剤を添加して混捏し、得られた生地を、通常の手順で発酵、成型、焼成する方法などが挙げられる。
【0039】
製パン方法の種類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、中種製法、ストレート製法、湯種製法、冷蔵若しくは冷凍生地製法などが挙げられる。
前記中種製法の場合、前記パン類用品質向上剤は、中種工程時に使用してもよいし、本捏工程時に使用してもよいし、両工程で使用してもよい。
【0040】
前記パン類の製造方法における本発明のパン類用品質向上剤の使用量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(パン類用品質向上剤)の<使用量>の項目に記載した量とすることができる。
【0041】
また、前記パン類の製造方法においては、通常パン類の製造に用いられるもの、例えばサワー種、パネトーネ種、ルヴァン種等の各種発酵種;イーストフード;砂糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、麦芽糖、乳糖等の糖類;卵又は卵粉;脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ粉末、ヨーグルト粉末、ホエー粉末などの乳製品;ショートニングやバター、マーガリンやその他の動植物油等の油脂類;乳化剤;膨張剤;増粘剤;甘味料;香料;着色料;システインもしくはその塩;食塩等の無機塩類;グルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、リパーゼ等の酵素類;食物繊維を適宜使用することができる。
【0042】
(パン類の品質向上方法)
本発明のパン類の品質向上方法は、パン類の製造工程において、少なくとも本発明のパン類用品質向上剤を用い、必要に応じて更にその他の成分を用いる。
前記パン類の品質向上方法は、上述した本発明のパン類の製造方法と同様にして行うことができる。
【0043】
本発明のパン類用品質向上剤、パン類の製造方法およびパン類の品質保持方法によれば、蛋白含量が低いないし弱い小麦粉を使用したり、加水量を増やしたり、油脂の量を増やしてリッチな配合にしたり、湯種を使用しても、ケービングや腰折れを効果的に防止することができ、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好なパン類を得ることができる。
【実施例0044】
以下、実施例、比較例および試験例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0045】
(実施例1~4、比較例1~3:パン類用品質向上剤の製造)
下記の表1-1の配合により、対照、実施例1~4および比較例1~3のパン類用品質向上剤を製造した。なお、各パン類用品質向上剤は、食品素材(コーンスターチ)の量を適宜変更し、全量が1.0gになるように調整した。
なお、使用した成分の詳細は、以下の通りである。
・ α-グルコシルトランスフェラーゼ:製品名「アマノL」、天野エンザイム株式会社製
・ ヘミセルラーゼ:製品名「ベイクザイム BXP500」、ディー・エス・エムジャパン株式会社製
・ 乳蛋白質またはその加水物:「乳清ペプチド」(製品名「W800」)、森永乳業株式会社製
・ 分枝デキストリン:「イソマルトデキストリン」(製品名「ファイバリクサ」、株式会社林原製)
・ α-アミラーゼ:製品名「ビオザイムA」、天野エンザイム株式会社製
【0046】
【0047】
(試験例1:湯種法による食パンの製造)
上記実施例1~4、比較例1~3または対照のパン類用品質向上剤を用いて、下記の配合・工程に従い、食パンを製造した。
<配合>
中種 本捏
・ 強力粉 70.0質量部 10.0質量部
・ 生イースト 2.0質量部 -
・ パン類用品質向上剤 - 1.0質量部
・ L-アスコルビン酸 20ppm -
・ 乳化剤 0.25質量部 -
・ 食塩 - 1.5質量部
・ 砂糖 - 6.0質量部
・ 脱脂粉乳 - 2.0質量部
・ 油脂(ショートニング) - 6.0質量部
・ 湯種 - 42.0質量部
(湯種の組成は、小麦粉:熱湯:砂糖=20:20:2(質量比)。)
・ 水 40.0質量部 12.0質量部
<工程>
中種 本捏
・ ミキシング 低速2分中速2分 低速2分中速4分高速1分
(油脂)中速3分高速2分
・ 捏上温度 24℃ 27℃
・ 発酵条件 4時間、28℃ 15分、28℃
・ 分割重量 - 220g×6
・ ベンチ時間 - 17分
・ 成型方法 - U字詰め
・ ホイロ条件 - 40分、35℃(湿度:85%)
・ 焼成条件 - 210℃、40分
【0048】
<評価>
製造した食パンの外観(形の均整)と食感(ソフト性および口溶け感)について、下記の評価基準に従って10名で評価した。得られた結果の平均点を下記の表1-2に示す。
【0049】
-外観(形の均整)-
A : 側面の大きなへこみ(ケービング)や上面の落ち込み、腰折れが小さい。
B : 側面の大きなへこみ(ケービング)や上面の落ち込み、腰折れがやや小さい。
C : 側面の大きなへこみ(ケービング)や上面の落ち込み、腰折れがやや大きい。
D : 側面の大きなへこみ(ケービング)や上面の落ち込み、腰折れが大きい。
【0050】
-食感(ソフト性および口溶け感)-
5点 : 非常にソフトな食感で、口溶け感が良好である。
4点 : ソフトな食感で、口溶け感が良好である。
3点 : ややソフトな食感で、口溶け感がやや良好である。
2点 : やや弾きがある食感か、ややくちゃつきがある。
1点 : 弾きがある食感か、くちゃつきがある。
【0051】
【表1-2】
※ 表1-2中の「ppm」は、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する値を示す(下記の表2~4における「ppm」も同様)。
【0052】
表1-2に示したように、本発明の製剤の一例である実施例1~4の製剤を用いた場合、湯種法であってもケービングや腰折れが効果的に防止され、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好な食パンが得られることが確認された。
【0053】
(試験例2:湯種法による食パンの製造)
<パン類用品質向上剤の製造>
下記の表2の配合により、対照および試験例2-1~2-6のパン類用品質向上剤を製造した。なお、各パン類用品質向上剤は、食品素材(小麦粉)の量を適宜変更し、全量が1.0gになるように調整した。
なお、使用した成分の詳細は、上記実施例1~4および比較例1~3において使用したものと同様である。
【0054】
<食パンの製造>
上記で製造した試験例2-1~2-6または対照のパン類用品質向上剤を用いたこと以外は、試験例1の配合・工程と同様にして食パンを製造した。また、製造した食パンの外観および食感を試験例1と同様の評価基準に従って評価した。得られた結果を下記の表2に示す。
【0055】
【0056】
表2に示したように、α-グルコシルランスフェラーゼやヘミセルラーゼの配合量を変えた場合でも、本発明の顕著な効果が奏され、ケービングや腰折れが効果的に防止され、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好な食パンが得られることが確認された。
【0057】
(試験例3:リッチ配合食パンの製造)
<パン類用品質向上剤の製造>
下記の表3の配合により、対照および試験例3-1~3-3のパン類用品質向上剤を製造した。なお、各パン類用品質向上剤は、食品素材(コーンスターチ:小麦粉=1:1(質量比))の量を適宜変更し、全量が1.0gまたは1.5gになるように調整した。
なお、使用した成分の詳細は、上記実施例1~4および比較例1~3において使用したものと同様である。
【0058】
<リッチ配合食パンの製造>
上記試験例3-1~3-3または対照のパン類用品質向上剤を用いて、下記の配合・工程に従い、リッチ配合食パンを製造した。また、製造したリッチ配合食パンの外観および食感を試験例1と同様の評価基準に従って評価した。得られた結果を下記の表3に示す。
<配合>
・ 小麦粉 100.0質量部
・ イースト 2.3質量部
・ パン類用品質向上剤 1.0質量部(試験例3-1、3-2)または1.5質量部(試験例3-3)
・ 乳化剤 0.25質量部
・ 砂糖 8.0質量部
・ はちみつ 4.0質量部
・ 食塩 1.5質量部
・ 脱脂粉乳 2.0質量部
・ バター 8.0質量部
・ 生クリーム 15.0質量部
・ 水 70.0質量部
<工程>
・ ミキシング 低速3分中速6分(油脂)中速3分高速2分
・ 捏上温度 27℃
・ フロア時間 60分
・ 分割重量 220g×6
・ ベンチ時間 20分
・ ホイロ条件 45分、35℃(湿度:85%)
・ 焼成条件 200℃、40分
【0059】
【0060】
表3に示したように、乳蛋白質またはその加水分解物、分枝デキストリン、α-アミラーゼ、アスコルビン酸もしくはその塩の量を変えた場合でも本発明の効果が得られることが確認された。特にケービングや腰折れが生じやすいリッチな配合であっても、ケービングや腰折れが効果的に防止され、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好な食パンが得られることが確認された。
【0061】
(試験例4:リッチ配合食パンの製造)
<パン類用品質向上剤の製造>
下記の表4の配合により、対照および試験例4-1~4-4のパン類用品質向上剤を製造した。なお、各パン類用品質向上剤は、食品素材(コーンスターチ:小麦粉=1:1(質量比))の量を適宜変更し、全量が1.0gになるように調整した。
なお、使用した成分の詳細は、上記実施例1~4および比較例1~3において使用したものと同様である。
【0062】
<リッチ配合食パンの製造>
上記で製造した試験例4-1~4-4または対照のパン類用品質向上剤を1.0質量部用いたこと以外は、試験例3の配合・工程と同様にしてリッチ配合食パンを製造した。また、製造したリッチ配合食パンの外観および食感を試験例1と同様の評価基準に従って評価した。得られた結果を下記の表4に示す。
【0063】
【0064】
表4に示したように、さらに増粘多糖類(キサンタンガム、グァガム、ペクチンおよびアルギン酸エステル)を併用すると本発明の効果がより向上することが確認された。
【0065】
本発明のパン類用品質向上剤によれば、蛋白含量が低いないし弱い小麦粉を使用したり、加水量を増やしたり、油脂の量を増やしてリッチな配合にしたり、湯種を使用しても、ケービングや腰折れを効果的に防止することができ、ボリュームや外観に優れ、また食感も良好なパン類を得ることができるので、本発明のパン類用品質向上剤は上記実施例の項目に記載したパン類に限らず、ロールパン、コッペパン、中華まん、調理パン、菓子パン、蒸しパン、ベーグル等のパン類にも好適に用いることができる。