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特開2023-127154フィルタ構造体および液体循環システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127154
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】フィルタ構造体および液体循環システム
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/20 20060101AFI20230906BHJP
   F04D 29/70 20060101ALI20230906BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
F04B53/20 A
F04D29/70 G
B01D29/26 B
B01D29/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022030758
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】范 新帥
(72)【発明者】
【氏名】宮田 啓雅
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 裕之
【テーマコード(参考)】
3H071
3H130
4D116
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB03
3H071CC14
3H071CC33
3H071DD62
3H071DD72
3H130AA02
3H130AC11
3H130BA68J
3H130BA97J
3H130DG05Z
3H130DJ02X
3H130EA06Z
4D116AA12
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC29
4D116BC43
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC72
4D116DD06
4D116EE01
4D116EE02
4D116FF12B
4D116KK04
4D116QB02
4D116QB11
4D116QB23
4D116UU01
4D116UU10
(57)【要約】
【課題】圧力損失を抑制し、かつコンパクトなサイズを有するフィルタ構造体が提供される。
【解決手段】フィルタ構造体10は、ろ過ユニット11を備える。ろ過ユニット11は、細目フィルタ15と、粗目フィルタ16と、ブロックフレーム17と、を備える。ブロックフレーム17は、第1異物溜まり20と、第2異物溜まり21と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過ユニットと、
前記ろ過ユニットが接続されたブロック蓋と、を備え、
前記ろ過ユニットは、
第1メッシュサイズを有する細目フィルタと、
前記第1メッシュサイズよりも大きな第2メッシュサイズを有し、かつ前記細目フィルタを取り囲む粗目フィルタと、
前記細目フィルタおよび前記粗目フィルタを接続するブロックフレームと、を備え、
前記ブロックフレームは、
前記細目フィルタに捕捉された異物を溜める第1異物溜まりと、
前記粗目フィルタに捕捉された異物を溜める第2異物溜まりと、を備える、フィルタ構造体。
【請求項2】
前記ブロックフレームは、
前記細目フィルタと前記粗目フィルタとの間に配置された内壁と、
前記粗目フィルタの外側に配置された外壁と、を備えており、
前記外壁は、その上部に形成された液体出口を有している、請求項1に記載のフィルタ構造体。
【請求項3】
前記第1異物溜まりは、前記細目フィルタおよび前記外壁に接続されており、
前記第2異物溜まりは、前記内壁および前記外壁に接続されている、請求項2に記載のフィルタ構造体。
【請求項4】
前記内壁は、その基端から先端に向かって徐々に細くなるテーパー形状を有している、請求項2または請求項3に記載のフィルタ構造体。
【請求項5】
前記内壁は、波形形状を有している、請求項2~請求項4のいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
【請求項6】
前記ろ過ユニットは、前記細目フィルタを補強する第1補強部材を備えている、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
【請求項7】
前記ろ過ユニットは、前記粗目フィルタを補強する第2補強部材を備えている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
【請求項8】
前記ブロックフレームは、前記細目フィルタと前記粗目フィルタとの間に配置された隔壁を備えており、
前記隔壁は、その上部に形成された液体出口を有している、請求項1に記載のフィルタ構造体。
【請求項9】
前記第1異物溜まりは、前記細目フィルタと前記粗目フィルタとの間に配置されており、
前記第2異物溜まりは、前記隔壁と前記粗目フィルタとの間に配置されている、請求項8に記載のフィルタ構造体。
【請求項10】
前記ろ過ユニットは、前記ブロック蓋の直径よりも小さな直径を有している、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
【請求項11】
液体を貯留する液体タンクと、
前記液体タンクに接続された液体供給管と、
前記液体供給管に接続されたポンプ装置と、
前記ポンプ装置に接続された液体戻り管と、
前記液体戻り管に接続された、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のフィルタ構造体と、を備える、液体循環システム。
【請求項12】
前記ポンプ装置は、永久磁石型モータおよびポンプを一体的に構成するキャンド構造を有している、請求項11に記載の液体循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ構造体および液体循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体タンクに貯留された液体をポンプで循環させる液体循環システムが存在する。液体循環システムは、液体タンク内の液体を対象装置(例えば、チラー)に送り、対象装置に供給された液体を液体タンクに回収するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-92049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象装置から発生した異物(例えば、ごみ)が液体に混入するおそれがある。この場合、異物が混入した液体が液体タンクに送られてしまい、結果として、異物が液体タンクに堆積する。この状態でポンプが駆動されると、液体の循環経路に異物が混入してしまい、異物に起因して、ポンプ(および/または対象装置)が故障してしまうおそれがある。
【0005】
異物を除去する性能を有する高性能フィルタを液体循環システムに設けることが考えられるが、このような高性能フィルタを設けることにより、圧力損失が大きくなってしまい、液体循環システムの全体の性能が低下してしまう。その一方で、圧力損失を抑制するために大型のフィルタを設けることにより、液体循環システムの全体のサイズが大きくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、圧力損失を抑制し、かつコンパクトなサイズを有するフィルタ構造体および液体循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、ろ過ユニットと、前記ろ過ユニットが接続されたブロック蓋と、を備えるフィルタ構造体が提供される。前記ろ過ユニットは、第1メッシュサイズを有する細目フィルタと、前記第1メッシュサイズよりも大きな第2メッシュサイズを有し、かつ前記細目フィルタを取り囲む粗目フィルタと、前記細目フィルタおよび前記粗目フィルタを接続するブロックフレームと、を備え、前記ブロックフレームは、前記細目フィルタに捕捉された異物を溜める第1異物溜まりと、前記粗目フィルタに捕捉された異物を溜める第2異物溜まりと、を備える。
【0008】
一態様では、前記ブロックフレームは、前記細目フィルタと前記粗目フィルタとの間に配置された内壁と、前記粗目フィルタの外側に配置された外壁と、を備えており、前記外壁は、その上部に形成された液体出口を有している。
一態様では、前記第1異物溜まりは、前記細目フィルタおよび前記外壁に接続されており、前記第2異物溜まりは、前記内壁および前記外壁に接続されている。
一態様では、前記内壁は、その基端から先端に向かって徐々に細くなるテーパー形状を有している。
【0009】
一態様では、前記内壁は、波形形状を有している。
一態様では、前記ろ過ユニットは、前記細目フィルタを補強する第1補強部材を備えている。
一態様では、前記ろ過ユニットは、前記粗目フィルタを補強する第2補強部材を備えている。
【0010】
一態様では、前記ブロックフレームは、前記細目フィルタと前記粗目フィルタとの間に配置された隔壁を備えており、前記隔壁は、その上部に形成された液体出口を有している。
一態様では、前記第1異物溜まりは、前記細目フィルタと前記粗目フィルタとの間に配置されており、前記第2異物溜まりは、前記隔壁と前記粗目フィルタとの間に配置されている。
一態様では、前記ろ過ユニットは、前記ブロック蓋の直径よりも小さな直径を有している。
【0011】
一態様では、液体を貯留する液体タンクと、前記液体タンクに接続された液体供給管と、前記液体供給管に接続されたポンプ装置と、前記ポンプ装置に接続された液体戻り管と、前記液体戻り管に接続された、上記フィルタ構造体と、を備える、液体循環システムが提供される。
【0012】
一態様では、前記ポンプ装置は、永久磁石型モータおよびポンプを一体的に構成するキャンド構造を有している。
【発明の効果】
【0013】
フィルタ構造体は、細目フィルタおよび粗目フィルタを有する二重フィルタ構造を有しているため、圧力損失を抑制しつつ、かつコンパクトなサイズを有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】液体循環システムを示す図である。
図2】フィルタ構造体を示す図である。
図3】液体タンクから引き抜かれたフィルタ構造体を示す図である。
図4】フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。
図5】フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。
図6】フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。
図7図7(a)および図7(b)は、補強部材によって補強された細目フィルタを示す図である。
図8】フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、液体循環システムを示す図である。図1に示すように、液体循環システム1は、液体を貯留する液体タンク2と、液体タンク2に接続された液体供給管3Aと、液体供給管3Aに接続されたポンプ装置4と、ポンプ装置4に接続された液体戻り管3Bと、液体戻り管3Bに接続されたフィルタ構造体10と、を備えている。
【0017】
液体タンク2は、液体戻り管3Bに接続された対象装置5で使用される液体を貯留するタンクである。対象装置5は、例えば、チラーなどの冷却液循環装置である。一実施形態では、対象装置5は、医療業界や食品業界で使用される液体循環装置であってもよい。対象装置5は、液体循環システム1に組み込まれた、液体タンク2内の液体を使用する装置であれば、特に限定されない。
【0018】
液体供給管3Aの一端は液体タンク2の下部に接続されており、他端はポンプ装置4に接続されている。ポンプ装置4は、例えば、永久磁石型モータと、ポンプと、を一体的に構成したキャンド構造を有するポンプ装置である。言い換えれば、ポンプ装置4は、アキシャルギャップ型キャンドモータポンプである。キャンド構造を有するポンプ装置4は、液体の動圧によって羽根車を回転自在に支持する動圧軸受を有している。
【0019】
ポンプ装置4および液体タンク2には、液体戻り管3Bが接続されている。液体戻り管3Bの一端はポンプ装置4に接続されており、他端は液体タンク2の上部に接続されている。液体戻り管3Bの途中には、対象装置5が接続されている。対象装置5は、液体の流れ方向において、ポンプ装置4の下流側に配置されている。
【0020】
ポンプ装置4の駆動により、液体タンク2内の液体は液体供給管3Aを通って、ポンプ装置4に導入される。ポンプ装置4に導入された液体は、ポンプ装置4によって昇圧され、液体戻り管3Bを通って対象装置5に供給される。対象装置5に供給された液体は対象装置5で使用され、その後、液体戻り管3Bを通って、液体タンク2に戻される。このように、液体循環システム1は、液体がポンプ装置4および対象装置5をこの順に流れる循環構造を有している。
【0021】
しかしながら、液体の循環により、対象装置5から発生した異物が液体に混入するおそれがある。異物が混入した液体が液体タンク2に戻されると、異物が液体タンク2に堆積する。上述したように、ポンプ装置4は、動圧軸受を備えている。したがって、ポンプ装置4の駆動により、異物が混入した液体が動圧軸受に導入されると、液体に含まれる異物に起因して、動圧軸受が故障するおそれがある。仮に、ポンプ装置4がキャンド構造を有しないポンプ装置であっても、液体に含まれる異物に起因して対象装置5が故障するおそれがある。
【0022】
このような問題を解決するために、異物を確実に捕捉するためのメッシュサイズを有するフィルタを液体の循環経路に設けると、圧力損失が大きくなってしまう。その一方で、フィルタのサイズを大きくすることにより、圧力損失を抑制することができるが、大型のフィルタを設けることにより、液体循環システム1の全体のサイズが大きくなってしまう。そこで、フィルタ構造体10は、圧力損失を抑制し、かつコンパクトなサイズを有している。以下、フィルタ構造体10の構造について、図面を参照して説明する。
【0023】
図2は、フィルタ構造体を示す図である。図2に示すように、フィルタ構造体10は、ろ過ユニット11と、ろ過ユニット11が接続されたブロック蓋12と、を備えている。ブロック蓋12は、液体タンク2の上面に形成された開口2aを覆っており、ブロック蓋12および液体タンク2は、締結具13で締結されている。
【0024】
図3は、液体タンクから引き抜かれたフィルタ構造体を示す図である。ろ過ユニット11は、ブロック蓋12の直径D2よりも小さな直径D1を有している(図2参照)。したがって、作業者は、フィルタ構造体10を液体タンク2から引き抜くだけの簡単な方法で、フィルタ構造体10を液体タンク2から容易に取り外すことができる。結果として、作業者は、フィルタ構造体10を容易にメンテナンスすることができる。
【0025】
より具体的には、液体戻り管3Bは、ブロック蓋12の挿入口12aに挿入されているため、作業者は、まず、液体戻り管3Bをブロック蓋12から取り外す。その後、作業者は、締結具13を取り外し、ろ過ユニット11がブロック蓋12に固定された状態で、フィルタ構造体10を液体タンク2から引き抜く。ろ過ユニット11の直径D1は、ブロック蓋12の直径D2(および液体タンク2の開口2a)よりも小さいため、フィルタ構造体10を液体タンク2から引き抜いても、ろ過ユニット11は液体タンク2には接触しない。
【0026】
図2に戻り、ろ過ユニット11は、第1メッシュサイズを有する細目フィルタ15と、第1メッシュサイズよりも大きな第2メッシュサイズを有し、かつ細目フィルタ15を取り囲む粗目フィルタ16と、細目フィルタ15および粗目フィルタ16を接続するブロックフレーム17と、を備えている。
【0027】
細目フィルタ15、粗目フィルタ16、およびブロックフレーム17は、同心状に配置されている。本実施形態では、細目フィルタ15および粗目フィルタ16は、筒形状を有している。一実施形態では、細目フィルタ15および粗目フィルタ16は、円筒形状を有してもよく、または多角形状を有してもよい。
【0028】
細目フィルタ15は、筒部15aと、筒部15aの開口を覆う蓋部15bと、を有している。液体戻り管3Bの吐出口3Baは細目フィルタ15の蓋部15bに対向している。粗目フィルタ16は、筒部15aの半径方向外側に配置されており、ブロック蓋12およびブロックフレーム17に接続されている。
【0029】
ブロックフレーム17は、細目フィルタ15に捕捉された異物を溜める第1異物溜まり20と、粗目フィルタ16に捕捉された異物を溜める第2異物溜まり21と、細目フィルタ15と粗目フィルタ16との間に配置された内壁22と、粗目フィルタ16の外側に配置された外壁23と、を備えている。外壁23は、その上部に形成された液体出口24を有している。本実施形態では、2つの液体出口24が形成されているが、液体出口24の数は本実施形態には限定されない。外壁23は、少なくとも1つの液体出口24を有してもよい。
【0030】
図2に示すように、第1異物溜まり20は、細目フィルタ15および外壁23に接続されており、第2異物溜まり21は、内壁22および外壁23に接続されている。内壁22および外壁23は、筒形状を有しており、細目フィルタ15および粗目フィルタ16と同心状に配置されている。
【0031】
第1異物溜まり20および第2異物溜まり21は、環状の受け皿形状を有している。第1異物溜まり20は細目フィルタ15の下方に配置されており、第2異物溜まり21は粗目フィルタ16の下方に配置されている。したがって、細目フィルタ15に捕捉された異物は第1異物溜まり20に堆積し、粗目フィルタ16に捕捉された異物は第2異物溜まり21に堆積する。
【0032】
細目フィルタ15は、ポンプ装置4(より具体的には、動圧軸受)および対象装置5に悪影響を与えるおそれのあるサイズを有する異物を捕捉する。言い換えれば、細目フィルタ15は、ポンプ装置4および対象装置5に悪影響を与えるおそれのないサイズを有する異物の通過を許容する。
【0033】
粗目フィルタ16は、細目フィルタ15よりも大きなメッシュサイズを有している。一実施形態では、ポンプ装置4が動圧軸受を有しない場合、細目フィルタ15および粗目フィルタ16は、対象装置5に悪影響を与えるおそれのあるサイズを有する異物を捕捉する。
【0034】
細目フィルタ15は、粗目フィルタ16よりも多くの異物を捕捉することができるが、僅かな液体の通過しか許容しない。したがって、細目フィルタ15の圧力損失は、粗目フィルタ16の圧力損失よりも大きい。その一方で、粗目フィルタ16は多くの液体の通過を許容するため、粗目フィルタ16の圧力損失は細目フィルタ15の圧力損失よりも小さい。
【0035】
液体戻り管3Bがブロック蓋12の挿入口12aに挿入されたとき、細目フィルタ15は、液体戻り管3Bの下方に配置されている。液体戻り管3Bから吐出された液体は、ろ過ユニット11に導入され、細目フィルタ15に、勢いよく接触する。
【0036】
ブロックフレーム17は、細目フィルタ15と粗目フィルタ16との間に配置された内壁22を備えているため、液体戻り管3Bから吐出された液体の大部分は、細目フィルタ15に積極的に接触する。したがって、液体に含まれる異物は、まず、細目フィルタ15に捕捉され、第1異物溜まり20に溜まる。
【0037】
上述したように、細目フィルタ15は、粗目フィルタ16の圧力損失よりも高い圧力損失を有している。したがって、ろ過ユニット11に流入する液体の一部は、細目フィルタ15を通過せずに、細目フィルタ15の外側に配置された粗目フィルタ16に接触する。粗目フィルタ16に接触する液体に混入した異物は、粗目フィルタ16に捕捉され、第2異物溜まり21に溜まる。
【0038】
粗目フィルタ16は、細目フィルタ15の圧力損失よりも低い圧力損失を有している。したがって、液体は、そのエネルギーを損失することなく、粗目フィルタ16を通過することができる。本実施形態では、液体戻り管3Bから吐出された液体のすべてが圧力損失の高い細目フィルタ15を通過することなく、液体の一部は、圧力損失の低い粗目フィルタ16を通過する。
【0039】
本実施形態によれば、フィルタ構造体10は、細目フィルタ15および粗目フィルタ16を備える二重フィルタ構造を有している。より具体的には、フィルタ構造体10は、液体戻り管3Bから吐出された液体を、圧力損失の高い細目フィルタ15と、圧力損失の低い粗目フィルタ16と、に接触させることにより、液体の全体の圧力損失を抑制しつつ、液体を効率的に循環させることができる。さらに、二重フィルタ構造を有するフィルタ構造体10は、コンパクトなサイズを有しているため、液体循環システム1は、その全体のサイズをコンパクトにすることができる。
【0040】
粗目フィルタ16を通過した液体は、外壁23の上部に形成された液体出口24からフィルタ構造体10の外部に流出する。粗目フィルタ16を通過する液体には、第2メッシュサイズよりも小さなサイズを有する異物が混入している場合がある。液体に混入する異物は、その自重により下方(すなわち、第2異物溜まり21)に向かって移動する。液体出口24を外壁23の上部に形成することにより、異物が積極的に液体出口24から排出されることを抑制することができる。
【0041】
上述したように、細目フィルタ15および粗目フィルタ16は、ポンプ装置4および対象装置5に悪影響を与えるおそれのあるサイズを有する異物を捕捉する。したがって、仮に、異物が混入した液体が液体出口24から流出し、再び、ポンプ装置4および対象装置5に導入されても、ポンプ装置4および対象装置5は、異物に起因して故障することはない。
【0042】
液体循環システム1は、ポンプ装置4の駆動を継続することにより、液体に混入する異物をフィルタ構造体10に、徐々に捕捉させることができる。特に、液体戻り管3Bの下方に配置された第1異物溜まり20および第2異物溜まり21は、細目フィルタ15および粗目フィルタ16に捕捉された異物を受け止め、異物の浮き上がりを防止する。したがって、フィルタ構造体10は、液体の循環を継続することにより、液体に混入した異物を徐々に捕捉し、やがて、液体循環システム1に存在するすべての異物を捕捉することができる。
【0043】
第1異物溜まり20および第2異物溜まり21は、フィルタ構造体10の底部を構成する受け皿形状を有している。したがって、フィルタ構造体10を液体タンク2から引き抜くときに、液体には、異物を第1異物溜まり20および第2異物溜まり21に押し付ける力が作用する。結果として、異物がフィルタ構造体10から脱落して、液体タンク2に落下することを防止することができる。
【0044】
図4は、フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。図4に示すように、内壁22は、その基端22aから先端22bに向かって徐々に細くなるテーパー形状を有してもよい。内壁22の基端22aは、第2異物溜まり21に接続されており、内壁22の先端22bは、基端22aよりも細目フィルタ15に近接して配置されている。
【0045】
このような構造により、第1異物溜まり20に堆積した異物が浮き上がっても、内壁22は、異物が内壁22の先端22bと細目フィルタ15の筒部15aとの間の僅かな隙間を通過することを抑制することができる。このように、テーパー形状を有する内壁22は、第1異物溜まり20に堆積した異物の、第1異物溜まり20からの流出をより確実に抑制することができる。
【0046】
図5は、フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。図5に示すように、内壁22は、多数の凹凸を有する波形形状(言い換えれば、蛇腹形状)を有してもよい。このような構造を有する内壁22は、第1異物溜まり20に堆積した異物の、第1異物溜まり20からの流出をより確実に防止することができる。図4に示す実施形態に係る内壁22と、図5に示す実施形態に係る内壁22と、を組み合わせてもよい。
【0047】
図6は、フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。図6に示すように、ろ過ユニット11は、細目フィルタ15を補強する第1補強部材25と、粗目フィルタ16を補強する第2補強部材26と、を備えてもよい。図6に示す実施形態では、ろ過ユニット11は、第1補強部材25および第2補強部材26を備えているが、一実施形態では、ろ過ユニット11は、第1補強部材25および第2補強部材26の少なくとも1つを備えてもよい。
【0048】
図7(a)および図7(b)は、補強部材によって補強された細目フィルタを示す図である。第1補強部材25および第2補強部材26は、互いに同一構造を有しているため、図7(a)および図7(b)に示す実施形態では、第1補強部材25によって補強された細目フィルタ15について、説明し、第2補強部材26によって補強された粗目フィルタ16の説明を省略する。
【0049】
図7(a)に示す実施形態では、細目フィルタ15は、円筒形状を有しており、図7(b)に示す実施形態では、細目フィルタ15は六角筒形状を有している。図7(a)および図7(b)に示すように、補強部材25は、細目フィルタ15の下端を構成する下側ベース部25aと、細目フィルタ15の上端を構成する上側ベース部25bと、下側ベース部25aと上側ベース部25bとの間に配置された複数の支柱部25cと、を備えている。細目フィルタ15は、互いに隣接する支柱部25cの間に配置された側面網30と、上側ベース部25bに固定された上面網31と、を備えている。
【0050】
このような構造を有する細目フィルタ15は、高い耐久性を有しているため、液体戻り管3Bから吐出された液体によって細目フィルタ15が潰れることを確実に防止することができる。細目フィルタ15と同様に、粗目フィルタ16も高い耐久性を有している。
【0051】
図8は、フィルタ構造体の他の実施形態を示す図である。以下に示す実施形態において、上述した実施形態と同様の構造の説明を省略する。ブロックフレーム17は、細目フィルタ15と粗目フィルタ16との間に配置された隔壁40を備えている。隔壁40は、その上部に形成された液体出口44を有している。第1異物溜まり20は、細目フィルタ15と粗目フィルタ16との間に配置されており、第2異物溜まり21は、隔壁40と粗目フィルタ16との間に配置されている。
【0052】
本実施形態では、ブロックフレーム17は、内壁22および外壁23を一体的に構成した単一の隔壁40を備えている。隔壁40は、細目フィルタ15および粗目フィルタ16と同心状に配置された筒形状を有している。単一の隔壁40を設けることにより、フィルタ構造体10は、上述した実施形態に係るフィルタ構造体10と比較して、フィルタ構造体10の直径を小さくすることができる。
【0053】
図8に示す実施形態では、液体戻り管3Bから吐出された液体の大部分は、細目フィルタ15に接触し、液体に混入した異物は、細目フィルタ15に捕捉される。液体戻り管3Bから吐出された液体の一部は、隔壁40の液体出口44を通って、隔壁40の外側に配置された粗目フィルタ16に接触する。液体に混入した異物は、粗目フィルタ16に捕捉される。
【0054】
本実施形態においても、フィルタ構造体10は、細目フィルタ15および粗目フィルタ16を備える二重フィルタ構造を有している。フィルタ構造体10は、液体戻り管3Bから吐出された液体を、細目フィルタ15と、粗目フィルタ16と、に接触させることにより、液体の圧力損失を抑制しつつ、液体を効率的に循環させることができる。さらに、二重フィルタ構造を有するフィルタ構造体10は、コンパクトなサイズを有しているため、液体循環システム1は、その全体のサイズをコンパクトにすることができる。
【0055】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 液体循環システム
2 液体タンク
2a 開口
3A 液体供給管
3B 液体戻り管
4 ポンプ装置
5 対象装置
10 フィルタ構造体
11 ろ過ユニット
12 ブロック蓋
12a 挿入口
13 締結具
15 細目フィルタ
15a 筒部
15b 蓋部
16 粗目フィルタ
17 ブロックフレーム
20 第1異物溜まり
21 第2異物溜まり
22 内壁
22a 基端
22b 先端
23 外壁
24 液体出口
25 第1補強部材
25a 下側ベース部
25b 上側ベース部
25c 支柱部
26 第2補強部材
30 側面網
31 上面網
40 隔壁
44 液体出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8