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特開2023-127716液体吐出ヘッド、ヘッドモジュール、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127716
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、ヘッドモジュール、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20230907BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/16 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031573
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】平林 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌央
(72)【発明者】
【氏名】黒田 隆彦
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AG14
2C057AG44
2C057AG75
2C057AN01
2C057AN05
2C057AP25
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】製造の負荷が増えることを抑え、ハンドリングがしやすい部材を用いることにより部材の破損が抑えられた液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】支持部材204と、接着剤251により支持部材と接合されたダンパ部材203とを備えた液体吐出ヘッドである。ダンパ部材はダンパ膜231を有し、支持部材は、ダンパ部材側に、第1凹部261と、第2凹部262とを有する。第1凹部は、ダンパ膜と対向する箇所に設けられ、ダンパ膜の振動領域を確保し、第2凹部は、第1凹部よりも支持部材の端部側であってダンパ膜が設けられていない箇所に設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、前記支持部材と接合されたダンパ部材とを備えた液体吐出ヘッドであって、
前記ダンパ部材は、ダンパ膜を有し、
前記支持部材は、前記ダンパ部材側に、第1凹部と、第2凹部とを有し、
前記第1凹部は、前記ダンパ膜と対向する箇所に設けられ、
前記第2凹部は、前記第1凹部よりも前記支持部材の端部側であって前記ダンパ膜が設けられていない箇所に設けられることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第2凹部の開口部は、前記支持部材と前記ダンパ部材の積層方向からみたときに正方形又は長方形であり、一辺が1200μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記支持部材は、前記支持部材と前記ダンパ部材の積層方向からみたときに長手と短手を有し、
前記第2凹部は、前記第1凹部よりも前記支持部材の端部側であって、長手方向の両端部側の一方にのみ設けられる、又は、長手方向の両端部側に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記支持部材と前記ダンパ部材は、接着剤により接合され、
前記支持部材は、前記ダンパ部材側に第3凹部を有し、
前記第3凹部は、前記第1凹部よりも前記支持部材の端部側であって前記ダンパ膜と対向する箇所に複数隣接して設けられ、前記接着剤の逃げ部を確保することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第3凹部の開口部の面積は、前記第1凹部の開口部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドが複数配列されていることを特徴とするヘッドモジュール。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド又は請求項6に記載のヘッドモジュールを備えていることを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化したことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ユニット。
【請求項9】
請求項1~5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、請求項6に記載のヘッドモジュール、又は、請求項7若しくは8に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、ヘッドモジュール、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に液体吐出ヘッドでは、圧力発生が吐出時の滴形成に影響を及ぼすため、圧力をできるだけ緩和させるための工夫がされている。その一つに、ダンパ膜(メンブレンなどとも称される)を有するダンパ部材があり、ダンパ膜が圧力によって振動することで振動を緩和する働きがある。
【0003】
ダンパ部材は、例えばダンパ膜の振動領域を有する支持部材に接合される。支持部材は、例えばSiを用いて精密に作製され、数μm程度にパターニングされたダンパ膜を有するダンパ部材と接着剤などで接合されることが多い。なお、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスなどを活用して、支持部材に数μmの膜を接合することで一体型の部品を形成する方法もある。
【0004】
ダンパ膜がダンパ部材における広い面積に形成される場合、機械強度が問題となる。特に、組み立て時のハンドリング(例えば部材を扱うこと)では、ダンパ膜が破損しやすく、破損が生じると異物の原因にもなり、場合によっては使用できなくなってしまう。これに対して、特許文献1には、メンブレンの機械的強度を向上する目的でメンブレンに補強構造を形成する構造が開示されている。例えば特許文献1では、開口内に補強部を設けることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように開口内に補強構造を形成する方法では、補強構造によって振動特性が変化するため、設計が難しくなることに加え、構造も複雑であるため、製造の負荷が増えてしまう。そのため、製造の負荷が増えることを抑え、部材の取り扱いがしやすく、部材の破損を抑えることが可能な技術が求められている。
【0006】
そこで本発明は、製造の負荷が増えることを抑え、ハンドリングがしやすい部材を用いることにより部材の破損が抑えられた液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドは、支持部材と、前記支持部材と接合されたダンパ部材とを備えた液体吐出ヘッドであって、前記ダンパ部材は、ダンパ膜を有し、前記支持部材は、前記ダンパ部材側に、第1凹部と、第2凹部とを有し、前記第1凹部は、前記ダンパ膜と対向する箇所に設けられ、前記第2凹部は、前記第1凹部よりも前記支持部材の端部側であって前記ダンパ膜が設けられていない箇所に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造の負荷が増えることを抑え、ハンドリングがしやすい部材を用いることにより部材の破損が抑えられた液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の液体吐出ヘッドの一例を説明するための斜視分解概略図である。
図2】本発明の液体吐出ヘッドの一例を説明するための断面概略図である。
図3】本発明の液体吐出ヘッドの一例を説明するための断面概略図である。
図4】本発明の液体吐出ヘッドの一例を説明するための他の断面概略図である。
図5】本発明の一例における支持部材の平面概略図(a)、支持部材及びダンパ部材の断面概略図(b)並びに支持部材及びダンパ部材の他の断面概略図(c)である。
図6】本発明に係るヘッドモジュールの一例におけるヘッド短手方向に沿う断面説明図である。
図7】同ヘッドモジュールの分解斜視説明図である。
図8】同じくベース部材、ヘッド及びカバー部材の分解斜視説明図である。
図9】同ヘッドモジュールのノズル面側から見た分解斜視説明図である。
図10】ヘッドモジュールを備えた液体吐出ユニットの一例における平面概略図である。
図11】液体を吐出する装置の一例における概略図である。
図12】液体を吐出する装置の他の例における概略図である。
図13】液体吐出ユニットの一例における概略図である。
図14】液体吐出ユニットの他の例における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド、ヘッドモジュール、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明の液体吐出ヘッドは、支持部材と、前記支持部材と接合されたダンパ部材とを備えた液体吐出ヘッドであって、前記ダンパ部材は、ダンパ膜を有し、前記支持部材は、前記ダンパ部材側に、第1凹部と、第2凹部とを有し、前記第1凹部は、前記ダンパ膜と対向する箇所に設けられ、前記第2凹部は、前記第1凹部よりも前記支持部材の端部側であって前記ダンパ膜が設けられていない箇所に設けられることを特徴とする。
なお、ダンパ膜はメンブレンなどと称してもよいし、単にダンパなどと称してもよい。
【0012】
本実施形態の液体吐出ヘッドを説明するための図を図1に示す。図1は、本実施形態の液体吐出ヘッドの分解斜視図を模式的に説明するための図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、ノズル基板201、アクチュエータ基板202、ダンパ部材203、支持部材204を有している。
【0013】
ノズル基板201は、液体(例えばインク)を吐出するノズル211を有している。
アクチュエータ基板202は、共通液室221を有し、ノズル基板201とダンパ部材203とに接合される。図示される共通液室221は模式的に示すものであり、図示されるものに限られない。
支持部材204は、後述の凹部を有しており、ダンパ部材203と接合される。支持部材はフレーム部材などと称されてもよい。
【0014】
ダンパ部材203は、ダンパ膜231を有しており、接着剤により支持部材204と接合される。また、ダンパ部材203は、支持部材204と接合される側とは反対側でアクチュエータ基板202に接合される。ダンパ部材203には、例えばSiを用いることができる。
【0015】
ダンパ膜231は、例えば、ダンパ部材203とアクチュエータ基板202とが接合されたときに共通液室221の壁面の一部を形成する。図示されるダンパ膜231の形状は、模式的に示すものであり、図示されるものに限られない。
【0016】
ダンパ部材203を用いることにより、ダンパ膜231が振動することで、液の振動を抑えることができる。例えば、ダンパ部材203を用いることにより、アクチュエータ基板202上に形成されている支流(流路)を流れる液体の振動を抑えることができる。また、1つのノズル単位をチャネルとしたとき、あるチャネルで生じた振動が他のチャネルに伝搬することを抑制できる。
【0017】
ダンパ部材203は、例えばSiを用いてMEMSプロセスを活用して作製することができる。ダンパ部材203は、例えば、薄いダンパ膜231(メンブレン)が形成されたSiダンパ部材とすることができる。ダンパ部材203と支持部材204は、一体型の部品として作製してもよいし、接着剤により接合されてもよいし、直接接合などにより作製されてもよい。例えば、ダンパ膜231をCVDなどで直接成膜した後に、キャビティ(第1凹部261)を形成することでダンパ部材203を形成してもよい。ダンパ部材203と支持部材204の接合には、加熱、加圧等を利用した一体化接合を用いてもよい。
【0018】
次に、ダンパ膜について図2及び図3を用いて説明する。ただし、図2及び図3は本実施形態に含まれる図であるが、後述の第2凹部及び第3凹部の図示を省略している。
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッドのノズル配列方向に沿う断面概略図であり、図1のAA断面概略図に相当する。図3は、本実施形態の液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面概略図であり、図1のBB断面概略図に相当する。
【0019】
図示するように、支持部材204は第1凹部261を有している。第1凹部261が設けられていることにより、例えばダンパ膜231が変形した場合にダンパ膜231が支持部材204と接触しないようにすることができる。第1凹部261は、キャビティ、ダンパ室などと称されてもよい。なお、図1は模式図であり、第1凹部261は後述の図5に示すように複数設けられていてもよい。
【0020】
図2及び図3に示す例では、支持部材204とダンパ部材203が接着剤251で接合されている。上述のように、本発明は、接着剤を用いて接合する場合に限られるものではなく、支持部材204とダンパ部材203が直接接合など、接着剤を用いずに接合される場合も本発明に含まれるものである。
【0021】
アクチュエータ基板202は共通液室221を有しており、ダンパ部材203がアクチュエータ基板202と接合されたときに、ダンパ膜231は共通液室221の壁面の一部を形成する。例えば、共通液室221中の液体に振動が生じた場合に、ダンパ膜231が振動することで液体の振動を抑えることができる。隣接するチャネルへの圧力伝搬やインク流量変動に対する変動を緩和することができる。例えば、アクチュエータ基板202内の液室や流路の圧力の変動を緩和することができる。
【0022】
ダンパ部材203は、例えば、ダンパ膜231と周辺厚肉部232を有する。周辺厚肉部232は、アクチュエータ基板202と接合される箇所である。周辺厚肉部232を設けることで、アクチュエータ基板202や支持部材204との接合性が向上するが、周辺厚肉部232を有していない構成であってもよい。
【0023】
図示する例では、アクチュエータ基板202において共通液室221のみを図示しているが、アクチュエータ基板202は他にも個別液室、圧電素子、流路等を有していてもよい。例えば、個別液室はノズル基板201が有するノズル211に連通する。ノズル211の形状、配置、個数は、図示されるものに限られず、適宜選択することができる。
【0024】
本実施形態の液体吐出ヘッドを説明するための他の図を図4に示す。図4は、図3のアクチュエータ基板202を説明するための断面概略図である。ただし、図4は本実施形態に含まれる図であるが、後述の第2凹部や第3凹部の図示を省略している。
【0025】
図示するように、アクチュエータ基板202は、例えば振動板225と流路板227を有する。また、アクチュエータ基板202は、ノズル211に連通する個別液室222を有し、その他にも流体抵抗223、圧電素子224(圧力発生手段)、流路226等を有する。また、流路226と流体抵抗223との間には、流路226(共通流路)から流体抵抗223に導入する導入流路が設けられている。本例では、圧電素子224により個別液室222内の液体に圧力が印加され、ノズル211から液体が吐出される。個別液室222には、共通液室221から流路226を通って液体が供給される。
【0026】
次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの詳細例について図5を用いて説明する。
図5(a)は、支持部材204の平面概略図を示す図であり、支持部材204とダンパ部材203の積層方向からみたときの平面概略図である。図5(b)は、図5(a)のCC’断面概略図であり、図5(c)は、図5(b)のDD’断面概略図である。
【0027】
図示するように、支持部材204は、ダンパ部材203側に、第1凹部261と、第2凹部262aとを有している。第1凹部261は、ダンパ膜231と対向し、ダンパ膜231の振動領域を確保する。第2凹部262は、第1凹部261よりも支持部材204の端部側であってダンパ膜231が設けられていない箇所に設けられる。
【0028】
上述したように、第1凹部261が設けられていることにより、例えばダンパ膜231が変形した場合にダンパ膜231が支持部材204と接触しないようにすることができる。図示するように、第1凹部261は複数設けられており、第1凹部261の個数や形状等は、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。
【0029】
第2凹部262は、第1凹部261よりも支持部材204の端部側であってダンパ膜231が設けられていない箇所に設けられる。第1凹部261の外側に第3凹部263を設けることにより、第2凹部262をハンドリングが可能な領域(ハンドリングエリアとも称する)にすることができ、ハンドリング時の破損を防止することができる。この点について以下説明する。
【0030】
支持部材204とダンパ部材203は、例えばMEMSプロセスによりウェハとして作製されており、液体吐出ヘッドを構成する部品はこれをチップ化したものとなる。支持部材204には、ダンパ膜の振動領域(ダンパ室)、接着剤の逃げ部、アライメントのためのパターンなど、様々なパターンが形成されている。そのため、例えば支持部材204とダンパ部材203が一体型となった部品では、ダンパ膜231のみが存在している箇所が生じる。例えばダンパ部材203において、支持部材204のダンパ室と対向する箇所では、支持部材204と接することなくダンパ膜231のみが存在することとなる。その他にも、接着剤の逃げ部等についても同様にダンパ膜231のみが存在することとなる。
【0031】
このようなダンパ膜231のみが存在する箇所は、非常に破損しやすく、例えば支持部材204とダンパ部材203が一体型となった部品をハンドリングする際に、例えば組み立てを行うアームにつかまれたり、接触したりすると破損する可能性が高い。例えば、接着剤の逃げ部に対向するダンパ膜がダンパ室よりも部材の外側(端部側)に設けられている場合、接着剤の逃げ部は、組み立てを行うアーム等に接触しやすく、ハンドリングの際に破損する可能性が高い。部材の外側のダンパ膜も同様に、ハンドリングの際に破損する可能性が高い。
【0032】
なお、組み立ての際に支持部材やダンパ部材を支持すること、押さえること、移動させること等をハンドリングと称するが、単に部材を扱うことをハンドリングと称してもよい。また、組み立てを行う場合に限られず、検査する場合、単に部材を移動させる場合、部材を作製する場合等に上記の操作を行うこともハンドリングと称する。ハンドリングは、特に制限されるものではないが、例えば、組み立てを行うアーム、ピックアップする道具、自動機のアーム等により行われる。
【0033】
また、ダンパ膜以外であれば、破損しても機能上問題がない可能性もあるが、破損した膜が異物となり、歩留まりが低下してしまう可能性がある。そのため、機能や歩留まり等に影響を与えずに安全にハンドリングできることが重要である。
【0034】
本実施形態では、第2凹部262をハンドリングが可能な領域(ハンドリングエリア)にすることができるため、ハンドリング時に破損することを防止できる。また、第1凹部261の外側にハンドリングエリアが設けられることになるため、ダンパ機能や吐出特性に影響が生じることを防止できる。
【0035】
また本実施形態では、第2凹部262はダンパ膜231が設けられていない箇所に設けられることになるため、ハンドリングエリアを視認、識別しやすくなる。ダンパ膜231が設けられている箇所をハンドリングエリアにした場合、支持部材204とダンパ部材203を接合した後にハンドリングエリアを視認、識別しにくくなる。そのため、本実施形態によれば、ハンドリングエリアの視認性が上がり、確実にハンドリングができる利点がある。
【0036】
また、第1凹部261、第2凹部262及び後述の第3凹部263は、同じ加工方法で形成することができるため、各凹部で加工方法の変更が生じることを防止でき、プロセス負荷が増えることを防止できる。各凹部は半導体プロセスにおける加工時のマスクの変更のみで作製可能であり、ハンドリングエリアを設けない構造に対して新たに工程を増やす必要はない。更に、例えばダンパ室内に補強構造を設ける必要がなく、設計が難しくなることを防ぐことができる。
【0037】
上記のように、本実施形態によれば、製造の負荷が増えることを抑え、ハンドリングがしやすい部材を用いることにより部材の破損が抑えられた液体吐出ヘッドが得られる。また上記のように、第2凹部262が第1凹部261の外側に設けられることで、ダンパ膜の機能、例えばダンパ膜の振動特性に影響を与えずにハンドリングに適した部品を作製することができる。また上記のように、第2凹部262を形成する場合であっても、第2凹部262を形成しない場合に対して加工プロセス自体は変わらないため、プロセス負荷が増えることを抑えることができる。
【0038】
第1凹部261の大きさ、数、設けられる位置等は、適宜変更することができる。図5(a)に示す例では、支持部材204の長手方向に沿って複数配列しているが、これに限られず、適宜変更することができる。また、ダンパ膜231は、ダンパ部材203の中央側に第1凹部261に対応して設けられており、例えばダンパ部材203は、総合して広い面積のダンパ膜231(メンブレン)を有するSiダンパ部材となる。このように、広い面積のダンパ膜を有していても破損を防ぐことができる。
【0039】
第2凹部262の大きさ、数等は、適宜変更することができる。第2凹部262の開口部は、支持部材204とダンパ部材203の積層方向からみたときに正方形又は長方形であることが好ましい。図5(a)に示す例では、第2凹部262の開口部は長方形になっている。また、第2凹部262の開口部の大きさは、どのようにハンドリングを行うか等を考慮して、適宜選択することができる。第2凹部262の開口部が正方形又は長方形である場合、一辺が1200μm以上であることが好ましい。一定の面積を有することで、ハンドリングがしやすくなり、ハンドリング性能を向上させることができる。
【0040】
図5(a)に示す例では、支持部材204は、支持部材204とダンパ部材203の積層方向からみたときに長手と短手を有している。第2凹部262が形成される箇所は、適宜選択することができ、図5に示す例に限られるものではない。
【0041】
図5に示すように、第2凹部262は、第1凹部261よりも支持部材204の端部側であって、長手方向の両端部側に設けられていてもよい。図5(a)に示す例では、第2凹部262は、長手方向の両端部側に設けられており、すなわち長手方向の端部側の2箇所に設けられている。この場合、長手方向の両方向からチップをハンドリングでき、ハンドリングしやすくなるという利点が得られる。
【0042】
また図5に示す例とは異なり、第2凹部262は、第1凹部261よりも支持部材204の端部側であって、長手方向の両端部側の一方にのみ設けられてもよい。この場合、ハンドリングによってチップに接触する範囲がより限定的となるため、異物による影響を最小限に抑えることができるという利点が得られる。第2凹部262を一方にのみ(片側のみ)に限定して設けることで、第2凹部262に異物が付着することを抑制できる。
【0043】
なお、図5(b)に示す断面図では、第2凹部262は完全に凹形状であるとはいえないかもしれないが、図5(c)示す断面図では、第2凹部262は凹形状になっているため、図示する例の第2凹部262は凹形状であるといえる。
【0044】
また本実施形態の液体吐出ヘッドにおいては、支持部材204とダンパ部材203は接着剤により接合されていてもよく、この場合、支持部材204はダンパ部材203側に第3凹部を有することが好ましい。第3凹部は、接着剤の逃げ部を確保することができる。
【0045】
第3凹部263aは、第1凹部261よりも支持部材204の端部側であってダンパ膜231と対向する箇所に複数隣接して設けられることが好ましく、接着剤251の逃げ部を確保する。第3凹部263aは、第1凹部261よりも支持部材204の端部側であってダンパ膜231と対向する箇所に設けられている。図5(a)では、第3凹部を符号263で示しており、これは第3凹部263aが形成されている領域を模式的に示している。図5(a)の符号263で示される領域には、第3凹部263aが複数隣接して設けられている。
【0046】
第3凹部263aが設けられていることにより、支持部材204とダンパ部材203の接合する際の余剰な接着剤を逃がすことができ、良好に接合することができる。第3凹部263aを接着剤の逃げ部などと称してもよい。また、第3凹部263aが第1凹部261よりも支持部材204の端部側に設けられていることにより、液室やダンパ膜の配置構成を変更する等の対応が不要になる。
【0047】
また、第3凹部263aが隣接して複数設けられていることにより、接着剤を効率的に逃がすことができ、部材同士を良好に接合することができる。第3凹部263aが1つである場合、接着剤を十分に逃がすことができず、良好に接合できない場合がある。
【0048】
第3凹部263aは、ダンパ膜231の振動領域を確保するものではないため、ダミーパターンなどと称されてもよい。特に制限されるものではないが、第3凹部263aは、例えばダンパ部材203の周辺厚肉部232に対応する箇所に形成される。
【0049】
第3凹部263の大きさ、数等は、適宜変更することができる。例えば、第3凹部263の開口部の面積は、第1凹部261の開口部の面積よりも小さいことが好ましい。このようにすることで、ダンパ膜231の領域を確保しやすくなる。
【0050】
なお、図5に示す例では、DD’線上の第3凹部263よりも更に部材の端部側に仮接エリア272を設けている。仮接エリア272は任意であり、例えばUV接着剤が塗布され、支持部材204とダンパ部材203を仮接合するために利用される。また、図5に示す例では、アライメント孔271が図示されており、アライメント孔271はチップ同士を接合する際に位置合わせを行うために用いられる。
【0051】
(ヘッドモジュール、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置)
次に、本発明のヘッドモジュールの一例について図6ないし図9を参照して説明する。図6は同実施形態に係るヘッドモジュールのヘッド短手方向に沿う断面説明図、図7は同ヘッドモジュールの分解斜視説明図、図8は同じくベース部材、ヘッド及びカバー部材の分解斜視説明図、図9は同ヘッドモジュールのノズル面側から見た分解斜視説明図である。
【0052】
ヘッドモジュール100は、液体を吐出する液体吐出ヘッドである複数のヘッド1と、ベース部材102と、カバー部材103と、放熱部材104と、マニホールド105と、プリント基板(PCB)106と、モジュールケース107とを備えている。
【0053】
複数のヘッド1は、ノズル11を形成したノズル板10と、ノズル11に通じる個別液室21などを形成する個別流路板20と、圧電素子40を含む振動板30と、振動板30に積層した中間流路板50と、中間流路板50に積層した共通流路部材70などを備えている。
【0054】
個別流路板20は、個別液室21とともに、個別液室21に通じる供給側個別流路22、個別液室21に通じる回収側個別流路24を形成している。
【0055】
中間流路板50は、供給側個別流路22に振動板30の開口31を介して通じる供給側中間個別流路51と、回収側個別流路24に振動板30の開口32を介して通じる回収側中間個別流路52とを形成している。
【0056】
共通流路部材70は、供給側中間個別流路51に通じる供給側共通流路71と、回収側中間個別流路52に通じる回収側共通流路72を形成している。供給側共通流路71はマニホールド105の流路151を介して供給ポート81に通じている。回収側共通流路72はマニホールド105の流路152を介して回収ポート82に通じている。
【0057】
プリント基板106とヘッド1の圧電素子40とはフレキシブル配線部材90を介して接続され、フレキシブル配線部材90にはドライバIC(駆動回路)91が実装されている。
【0058】
本実施形態では、複数のヘッド1が間隔を空けてベース部材102に取付けられている。ヘッド1のベース部材102への取付けは、ベース部材102に設けた開口部121にヘッド1を挿入し、ベース部材102に接合固定したカバー部材103に、ヘッド1の個別流路板20の周縁部を接合して固定している。また、ヘッド1の共通流路部材70の外部に設けたフランジ部70aをベース部材102に接合して固定している。
【0059】
なお、ヘッド1とベース部材102に固定構造は限定されるものではなく、接着、カシメ、ねじ固定などで行うことができる。
【0060】
ここで、ベース部材102は線膨張係数が低い材料で形成されていることが好ましい。例えば、鉄にニッケルを添加した42alloy(アロイ)や、インバー材などを挙げることができる。本実施形態では、インバー材を使用している。これにより、ヘッド1が発熱して、ベース部材102の温度が上昇しても、ベース部材102の膨張量が少ないため、所定のノズル位置からのノズルのずれが生じにくくなり、着弾位置ずれを抑制できる。
【0061】
同様に、ノズル板10及び個別流路板20、振動板30はシリコン単結晶基板で形成し、ベース部材102の線膨張係数を略同じにしている。
【0062】
これにより、熱膨張によるノズル位置ずれを低減することができる。
【0063】
本発明の液体吐出ユニットは、本発明の液体吐出ヘッド又は本発明のヘッドモジュールを備えている。液体吐出ユニットをヘッドユニットなどと称してもよい。図10に、本発明の液体吐出ユニットの一例を示す。図示するように、ヘッドユニット550には、本発明に係る2つのヘッドモジュール100A、100Bを共通ベース部材552に備えている。
【0064】
そして、ヘッドモジュール100の搬送方向と直交する方向におけるヘッド1の並び方向をヘッド配列方向とするとき、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1A1,1A2で同じ色の液体を吐出する。同様に、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1B1、1B2を組とし、ヘッドモジュール100Bのヘッド列1C1、1C2を組とし、ヘッド列1D1、1D2を組として、それぞれ所要の色の液体を吐出する。
【0065】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図11及び図12を参照して説明する。図11は同装置の要部平面説明図、図12は同装置の要部側面説明図である。
【0066】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0067】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0068】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0069】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0070】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0071】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0072】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0073】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0074】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0075】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0076】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0077】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0078】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0079】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図13を参照して説明する。図13は同ユニットの要部平面説明図である。
【0080】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0081】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0082】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図14を参照して説明する。図14は同ユニットの正面説明図である。
【0083】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0084】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0085】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0086】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0087】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0088】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0089】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0090】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0091】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0092】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0093】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0094】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0095】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0096】
例えば、液体吐出ユニットとして、図12で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0097】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0098】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図13で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0099】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0100】
また、液体吐出ユニットとして、図14で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
【0101】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0102】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0103】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0104】
201 ノズル板
202 アクチュエータ基板
203 ダンパ部材
204 支持部材
211 ノズル
221 共通液室
231 ダンパ膜
232 周辺厚肉部
251 接着剤
261 第1凹部
262 第2凹部
263、263a 第3凹部
271 アライメント孔
272 仮接エリア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2011-049397号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14