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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127749
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H01L21/78 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031626
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】村澤 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦充
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA31
5F063AA33
5F063AA36
5F063FF00
5F063FF52
(57)【要約】
【課題】フレームに対して、テープが均一なテンションで貼着されているか否かを容易に判別することができる検査装置を提供する。
【解決手段】中央にウエーハを収容する開口部を有するフレームに貼着されたテープのテンションを検査する検査装置であって、テープが貼着されたフレームを支持するフレーム支持部と、該テープに向けて光を照射する光源と、該光源から照射された光を、該テープを介して捉える撮像カメラと、該テープと該光源との間に配設される第1の偏光板と、該テープと該撮像カメラとの間に配設され該第1の偏光板を透過した直線偏光の光を遮蔽するように位置付けられた第2の偏光板と、を含み、該第1の偏光板を透過した直線偏光の光が該テープに照射されることで光の偏光面に歪みが生じた場合に該第2の偏光板を透過して該撮像カメラが撮像する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央にウエーハを収容する開口部を有するフレームに貼着されたテープのテンションを検査する検査装置であって、
テープが貼着されたフレームを支持するフレーム支持部と、該テープに向けて光を照射する光源と、該光源から照射された光を、該テープを介して捉える撮像カメラと、該テープと該光源との間に配設される第1の偏光板と、該テープと該撮像カメラとの間に配設され該第1の偏光板を透過した直線偏光の光を遮蔽するように位置付けられた第2の偏光板と、を含み、
該第1の偏光板を透過した直線偏光の光が該テープに照射されることで光の偏光面に歪みが生じた場合に該第2の偏光板を透過して該撮像カメラが撮像する検査装置。
【請求項2】
該光源は白色光源、又は単波長光源である請求項1に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央にウエーハを収容する開口部を有するフレームに貼着されたテープのテンションを検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハは、中央に開口部が形成された環状のフレームの該開口部に収容され、テープによって一体に形成された状態で、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
また、ウエーハは、フレームにテープを介して支持されることから、個々のデバイスチップに分割されても、ウエーハの形態を維持した状態で、次の工程、例えばピックアップ工程に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06-177243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したフレームにウエーハを支持するテープを貼着する場合、図示を省略するテープ貼り機等を使用して、フレームの開口部に貼着する。しかし、テープ貼り機の不調や、テープ側の問題により、テープが均一なテンションでフレームに貼着されず、捩れた状態で貼着されたりすることが生じ得る。このように、テープがフレームに均一なテンションで貼着されていない状態でウエーハを支持した場合、その状態で、ウエーハを個々のデバイスチップに分割すると、デバイスチップが位置ずれしたり、デバイスが脱落したり、フレームからテープが剥離したり、さらには、ピックアップ工程において、デバイスチップを適正にピックアップできなかったりと、種々の問題が生じ得る。そのため、テープがフレームに均一なテンションで貼着されていない場合は、それを除外する必要があるが、フレームに対してテープが不均一なテンションで貼着されているか否かを、作業者の目視で、正確に短時間で判別することは困難であり、そのための対策が求められている。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、フレームに対して、テープが均一なテンションで貼着されているか否かを容易に判別することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、中央にウエーハを収容する開口部を有するフレームに貼着されたテープのテンションを検査する検査装置であって、テープが貼着されたフレームを支持するフレーム支持部と、該テープに向けて光を照射する光源と、該光源から照射された光を、該テープを介して捉える撮像カメラと、該テープと該光源との間に配設される第1の偏光板と、該テープと該撮像カメラとの間に配設され該第1の偏光板を透過した直線偏光の光を遮蔽するように位置付けられた第2の偏光板と、を含み、該第1の偏光板を透過した直線偏光の光が該テープに照射されることで光の偏光面に歪みが生じた場合に該第2の偏光板を透過して該撮像カメラが撮像する検査装置が提供される。
【0008】
該光源は白色光源、又は単波長光源であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の検査装置は、中央にウエーハを収容する開口部を有するフレームに貼着されたテープのテンションを検査する検査装置であって、テープが貼着されたフレームを支持するフレーム支持部と、該テープに向けて光を照射する光源と、該光源から照射された光を、該テープを介して捉える撮像カメラと、該テープと該光源との間に配設される第1の偏光板と、該テープと該撮像カメラとの間に配設され該第1の偏光板を透過した直線偏光の光を遮蔽するように位置付けられた第2の偏光板と、を含み、該第1の偏光板を透過した直線偏光の光が該テープに照射されることで光の偏光面に歪みが生じた場合に該第2の偏光板を透過して該撮像カメラが撮像することから、不均一なテンションでテープがフレームに貼着されて、該テープに支持されたウエーハを個々のデバイスチップに分割してデバイスチップが位置ずれしたり、デバイスが脱落したり、フレームからテープが剥離したり、さらには、ピックアップ工程において、デバイスチップを適正にピックアップできなかったりする、という問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】検査装置の全体斜視図である。
図2図1に示す検査装置に配設される光照射ユニット及び撮像ユニットの光学系を示す斜視図である。
図3】(a)フレームに均一なテンションでテープが貼着された場合の画像を示す平面図、(b)フレームに不均一なテンションでテープが貼着された場合の画像を示す平面図である。
図4】(a)テープの中央にウエーハが貼着されフレームに均一なテンションでテープが貼着された場合の画像を示す平面図、(b)テープの中央にウエーハが貼着されフレームに不均一なテンションでテープが貼着された場合の画像を示す平面図である。
図5】検査装置の別の実施形態を示す斜視図である。
図6図5に示す検査装置の光照射ユニット及び撮像ユニットの光学系を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に基づいて構成される検査装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0012】
図1には、本実施形態の検査装置1の全体斜視図が示されている。検査装置1は、図示の如く中央にウエーハを収容する開口部Faを有する環状のフレームFに貼着されたテープTのテンションを検査する装置である。検査装置1は、上記したテープTが貼着されたフレームFを支持するフレーム支持部24と、光照射手段40と、該光照射手段40から照射された光を、フレーム支持部24に支持されるフレームFに貼着されたテープTを介して捉える撮像手段50と、を含む。
【0013】
上記したフレーム支持部24は、図1に示す支持手段20に配設されている。支持手段20は、図1に示すように、X軸方向において移動自在に基台2に搭載された矩形状のX軸方向可動板21と、Y軸方向において移動自在にX軸方向可動板21に搭載された矩形状のY軸方向可動板22と、Y軸方向可動板22の上面に固定された円筒状の支柱23と、を含み、支柱23の上端に、環状のフレーム支持部24が形成されている。フレーム支持部24は、X軸及びY軸で特定されるXY平面を保持面とし、該保持面は中央が開口している。なお、本実施形態では、フレーム支持部24が形成された支柱23内に光照射手段40が配設されている。
【0014】
検査装置1は、フレーム支持部24をX軸方向及びY軸方向に移動させる移動手段30を備えている。移動手段30は、フレーム支持部24をX軸方向に移動するX軸移動手段33と、フレーム支持部24をY軸方向に移動するY軸移動手段36とを備えている。X軸移動手段33は、モータ31の回転運動を、ボールねじ32を介して直線運動に変換してX軸方向可動板21に伝達し、基台2上にX軸方向に沿って配設された一対の案内レール2a、2aに沿ってX軸方向可動板21をX軸方向に移動させる。Y軸移動手段36は、モータ34の回転運動を、ボールねじ35を介して直線運動に変換し、Y軸方向可動板22に伝達し、X軸方向可動板21上においてY軸方向に沿って配設された一対の案内レール21a、21aに沿ってY軸方向可動板22をY軸方向に移動させる。
【0015】
基台2上における移動手段30の側方には、垂直壁部3a及び該垂直壁部3aの上端部から水平方向に延びる水平壁部3bからなる枠体3が立設されている。上記した撮像手段50は、水平壁部3bの先端部において下方に向けて配設されている。水平壁部3bの上面には、表示手段4が該設されている。
【0016】
本実施形態の光照射手段40は、図2に示す光照射ユニット41を含む。光照射ユニット41は、フレーム支持部24に支持されるフレームFに支持されたテープTに向けて光L0を照射する光源42と、該光源42と該テープTとの間に配設された第1の偏光板44とを備えている。また、上記した撮像手段50は、図2に示す撮像ユニット51を含む。撮像ユニット51は、該光源42から照射された光L0を、該テープTを介して捉える撮像カメラ52と、該撮像カメラ52と該テープTとの間に配設された第2の偏光板54とを備えている。
【0017】
第1の偏光板44は、光源42から照射された光L0のうち、所定の方向に偏光した光のみを透過する偏光板であり、本実施形態では、図中X軸方向に偏光した光(直線偏光L1)のみを透過するように配置されている。該直線偏光L1は、フレーム支持部24に支持されるフレームFに貼着されたテープTに照射され、該テープTを透過した透過光L2は、第2の偏光板54に照射される。第2の偏光板54は、図中Y軸方向に偏光した光のみを透過するように第1の偏光板44に対し偏光方向が90度回転されている。なお、図示は省略するが、光源42から照射された光L0が、フレームFの外側を通って撮像カメラ52に達しないようにすると共に、光源42の光L0以外の光が撮像カメラ52に入り込まないように遮蔽手段が配設されている。また、光照射ユニット40の光源42は、例えば広帯域の波長を含む白色光源でもよいし、LED等の単波長光源であってもよい。
【0018】
上記した表示手段4、撮像手段50、及び移動手段30は、コンピュータにより構成された制御手段100に接続されている。図示の実施形態では、制御手段100を、説明の都合上、検査装置1の外部に示しているが、実際は、検査装置1の内部に配設される。撮像カメラ52によって撮像された画像は、制御手段100に送られて、制御手段100に接続された表示手段4に表示される。本実施形態の検査装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、以下に検査装置1の機能、作用について説明する。
【0019】
上記した検査装置1は、図2に示すように、中央にウエーハを収容する開口部Faを有するフレームFに粘着層を有するテープTが貼着され一体とされたもの、又はフレームFにテープTが貼着され一体とされた開口部Faの中央に被加工物であるウエーハWが貼着され一体とされたものを被検査物とすることができ、以下の説明では、ウエーハを収容する開口部Faを有するフレームFにテープTが貼着され一体とされウエーハを貼着していないものを被加工物として検査する場合について説明する。
【0020】
上記した被検査物を用意したならば、上記の検査装置1に搬送して、フレーム支持部24に載置する。本実施形態では特に明記していないが、フレームFをフレーム支持部24に固定すべく、フレームFを吸引したり、把持したりする固定手段を設けるようにしてもよい。
【0021】
フレーム支持部24に該フレームFを載置したならば、X軸移動手段33、Y軸移動手段36を作動して、フレームFの開口Faを撮像ユニット50の直下である検査位置に位置付ける。次いで、図2に基づき説明した光照射ユニット40の光源42を作動して、光L0を第1の偏光板44に向けて照射する。上記したように、第1の偏光板44は、光源42から照射された光L0のうち、図中X軸方向に偏光した直線偏光L1のみを透過する偏光板であり、第1の偏光板44を透過した直線偏光L1は、フレームFの開口部Faに露出しているテープTに照射される。
【0022】
ここで、仮にテープTが均一なテンションでフレームFに貼着されている場合、テープTに照射された直線偏光L1は、偏光面が歪められることなく透過して、透過光L2となる。この透過光L2は、直線偏光L1の偏光面がX軸方向で維持された状態で進行し、第2の偏光板54に照射される。上記したように、第2の偏光板54は、第1の偏光板44に対して、偏光方向が90度回転された状態で配設されていることから、透過光L2は、第2の偏光板54を透過することができず、第2の偏光板54によって遮蔽される。図3(a)は、この状態でフレームFの開口部Faに露出するテープTの領域Taを撮像した撮像カメラ52の画像を示している。この状態では、撮像カメラ52によって透過光L2を捉えることができないことから、表示手段4には、テープTの領域Taで光が全く捉えられていない状態(黒い状態)が表示される。すなわち、検査装置1によって図3(a)に示す画像が表示されている場合は、検査の結果として、テープTが均一なテンションでフレームFに貼着されていることが判明する。
【0023】
他方、フレームFに対してテープTが不均一なテンションで貼着されている場合に上記の検査を実施した場合について説明する。フレームFに対してテープTが不均一なテンションで貼着されている場合、第1の偏光板44を経て下方からテープTに入射した直線偏光L1は、不均一なテンションで貼着され捩れた領域を透過して偏光面が歪められた光と、均一なテンションで貼着された領域を透過して偏光面が維持された光とで構成された透過光L2となる。この透過光L2が第2の偏光板54に照射された場合、透過光L2のうち、偏光面が維持されて透過した光は、第2の偏光板54を透過できないことから撮像カメラ52に到達せず、偏光面が歪められた光のみが、第2の偏光板54を透過して最終透過光L3となって撮像カメラ52に到達し、図3(b)に示すように、テンション不均一領域Sの存在が撮像カメラ52によって捉えられて表示手段4に表示される。すなわち、検査装置1によって図3(b)に示すような画像が表示されている場合は、検査の結果として、テープTが不均一なテンションでフレームFに貼着されていることが判明する。
【0024】
上記した実施形態の検査装置1によれば、テープTが不均一なテンションでフレームFに貼着されている場合に、検査装置1の撮像カメラ52によって不均一なテンションの状態を容易に捉えることができ、不均一なテンションでテープTがフレームFに貼着されて、該テープTに支持されたウエーハを個々のデバイスチップに分割してデバイスチップが位置ずれしたり、デバイスが脱落したり、フレームからテープが剥離したり、さらには、ピックアップ工程において、デバイスチップを適正にピックアップできなかったりする、という問題が解消される。
【0025】
本発明は上記した実施形態に限定されず、図2の右方に示すような、フレームFにテープTが貼着され開口部Faの中央に被加工物であるウエーハWが貼着されて一体とされたものを被検査物とすることもできる。図4(a)に、テープTが均一なテンションでフレームFに貼着され、開口部Faの中央にウエーハWが支持されている被検査物を、上記の検査装置1によって上記した手順により検査して表示手段4に表示された画像を示す。図4(a)から理解されるように、ウエーハWが貼着された中央の領域Waを除き、均一なテンションで貼着されたテープTが存在する領域Taに直線偏光L1が照射されて偏光面が維持された透過光L2は、第2の偏光板54を透過しないため、撮像カメラ52によって透過光L2を捉えることができず、光が捉えられていない状態が表示される。すなわち、検査装置1によって図4(a)に示す画像が表示される場合は、検査の結果として、テープTが均一なテンションでフレームFに貼着されていることが判明する。なお、図4(a)における領域Taの中央の領域Waは、第1の偏光板44を通過した直線偏光L1がウエーハWによって遮蔽されることから、フレームFに貼着されたテープTのテンションの状態にかかわらず黒い状態で表示される。
【0026】
また、図4(b)には、テープTが不均一なテンションでフレームFに貼着され、中央にウエーハWが支持されている被検査物を、上記の検査装置1によって検査して表示手段4に表示された画像を示す。フレームFに対してテープTが不均一なテンションで貼着されている場合、下方からテープTに入射した直線偏光L1は、不均一なテンションで貼着され捩れた領域を透過する際に偏光面が歪められる。この偏光面が歪められた光と、均一なテンションで貼着された領域を透過し偏光面が維持された光とで構成された透過光L2のうち、偏光面が歪められた光が第2の偏光板54を透過して最終透過光L3となって撮像カメラ52に到達し、図4(b)に示すように、テンション不均一領域Sを含む画像が表示手段4に表示される。これにより、検査の結果として、テープTが不均一なテンションでフレームFに貼着されていることが判明し、先に説明した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0027】
上記した実施形態では、本発明の光源から照射された光を、テープを介して撮像カメラで捉える具体的な形態として、光源42及び第2偏光板44を含む光照射ユニット41と、撮像カメラ52及び第2偏光板54を含む撮像ユニット50とを被検査物としてのテープTを上下から挟むように配設した例を示したが、本発明は上記した形態に限定されない。図5、6に基づき、光源から照射された光を、テープを介して撮像カメラで捉える別の実施形態について説明する。
【0028】
図5には、本発明の別の実施形態である検査装置1’の一部が示されている。検査装置1’は、概ね図1に示す検査装置1と同一の構成を備えており、図1に示す検査装置1と同一の構成については図示を省略している。
【0029】
検査装置1’には、上記した検査装置1の光照射手段40及び撮像手段50に替えて、光照射手段40’及び撮像手段50’が配設されている。図5に示すように、光照射手段40’及び撮像手段50’は、枠体3の水平壁部3bの先端部に配設されている。照射手段40’は、図6(a)に示す光照射ユニット41’を含み、光照射ユニット41’は、光源42’と、第1の偏光板44’とを備えている。光源42’は、上記した光源42と同等の光源であり、光L0を、フレーム支持部24(図示は省略している)に載置されるフレームFに貼着されたテープTに向けて、所定の入射角度で照射する。第1の偏光板44’は、光源42’とテープTとの間に配置され、図6(a)の一部を上方から見た平面図として示す図6(b)から理解されるように、光源42’から照射された光L0のうち、所定の方向、例えば、図中Y軸方向に偏光した光(直線偏光L1)のみを透過する偏光板である。また、撮像手段50’は、図6(a)に示す撮像ユニット51’を含み、撮像ユニット51’は、撮像カメラ52’と、第2の偏光板54’とを備えている。第2の偏光板54’は、撮像カメラ52’とテープTとの間に位置付けられて配置され、図6(b)に示すように、図中X軸方向に偏光した光のみを透過する偏光板である。撮像ユニット51’を構成する撮像カメラ52’及び第2の偏光板54’は、光源42’からテープTに向けて照射される光の入射角度に対応する反射角度の方向に配設される。
【0030】
図5に示す検査装置1’において検査を実行するに際し、まず、被検査物を、図示を省略するフレーム支持部24に載置すると共に、図6(a)に示すように、光照射手段40’及び撮像手段50’の直下に移動する。次いで、光源42’を作動して、光L0を第1の偏光板44’に向けて照射する。上記したように、第1の偏光板44’は、光源42’から照射された光L0のうち、図中Y軸方向に偏光した直線偏光L1のみを透過する偏光板であり、第1の偏光板44’を透過した直線偏光L1は、フレームFの開口部Faに露出しているテープTに、所定の入射角で照射される。
【0031】
フレームFに貼着されたテープTに照射された直線偏光L1は、テープT上で上記の所定の入射角に対応する反射角で反射した反射光L2として、第2の偏光板54’に照射される。上記したように、第2の偏光板54’は、図中X軸方向に偏光した光のみを透過するように偏光方向が90度回転されている。なお、図示は省略するが、光源42’から照射された光L0が、テープTの外側の領域で反射して撮像カメラ52’に達しないようにすると共に、光源42’からの光L0以外の光が撮像カメラ52’に入り込まないようにする適宜の遮蔽手段が配設される。
【0032】
ここで、仮にテープTが均一なテンションでフレームFに貼着されている場合、テープTに照射された直線偏光L1は、偏光面が歪められることなく反射して、反射光L2となる。この反射光L2は、直線偏光L1の偏光面がY軸方向で維持された状態で撮像ユニット51’に向かって進行し、第2の偏光板54’に照射される。上記したように、第2の偏光板54’は、第1の偏光板44’に対して、偏光方向が90度回転された状態で配設されている。これにより、第1の偏光板44’によって直線偏光L1とされた光の偏光面がテープTによって歪められることなく反射した場合、反射光L2が第2の偏光板54’を透過することができず、第2の偏光板54’によって遮蔽される。この状態で撮像カメラ52’によってフレームFの開口部Faに露出するテープTの領域Taを撮像し、該領域Taを円形状とする形状補正を施すことにより、図3(a)に示す画像を得ることができる。本実施形態では、テープTで反射した直線偏光L1が第2の偏光板54’を透過しないため、撮像カメラ52’によって反射光L2を捉えることができず、光が捉えられていない状態(黒い状態)が表示手段4に表示される。すなわち、検査装置1’によって図3(a)に示す画像が表示手段4に表示されて、検査の結果として、テープTが均一なテンションでフレームFに貼着されていることが判明する。
【0033】
他方、被検査物におけるフレームFに対してテープTが不均一なテンションで貼着されている場合、第1の偏光板44’を経てテープTに照射された直線偏光L1は、不均一なテンションで貼着され捩れた領域で反射して偏光面が歪められた光と、均一なテンションで貼着された領域で反射して偏光面が維持された光とで構成された反射光L2となる。この反射光L2が第2の偏光板54’に照射された場合、該反射光L2のうち、偏光面が維持されて反射した光は、第2の偏光板54’を透過できないことから撮像カメラ52’に到達せず、偏光面が歪められた光が、第2の偏光板54’を透過して最終反射光L3となって撮像カメラ52’に到達する。このようにして偏光面が歪められた光に基づき、テンション不均一領域Sの存在が撮像カメラ52’によって捉えられ、図3(b)に示すような画像が表示手段4に表示されて、検査の結果として、テープTが不均一なテンションでフレームFに貼着されていることが判明する。
【0034】
上記した別の実施形態によっても、先に説明した実施形態と同様に、テープTが不均一なテンションでフレームFに貼着されている場合に、不均一なテンションの状態を容易に捉えることができることから、不均一なテンションでテープTがフレームFに貼着されて支持されたウエーハを個々のデバイスチップに分割してデバイスチップが位置ずれしたり、デバイスが脱落したり、フレームからテープが剥離したり、さらには、ピックアップ工程において、デバイスチップを適正にピックアップできなかったりする、という問題が解消される。
【符号の説明】
【0035】
1、1’:検査装置
2:基台
2a、2a:案内レール
3:枠体
3a:垂直壁部
3b:水平壁部
4:表示手段
20:支持手段
21:X軸方向可動板
22:Y軸方向可動板
23:支柱
24:フレーム支持部
30:移動手段
33:X軸移動手段
36:Y軸移動手段
40、40’:光照射手段
41、41’:光照射ユニット
42、42’:光源
44、44’:第1の偏光版
50、50’:撮像手段
51、51’:撮像ユニット
52、52’:撮像カメラ
54、54’:第2の偏光版
100:制御手段
F:フレーム
Fa:開口部
L0:光
L1:直線偏光
L2:透過光又は反射光
L3:最終透過光又は最終反射光
T:テープ
W:ウエーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6