(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127792
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】シャワーシステム
(51)【国際特許分類】
A47K 3/40 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A47K3/40
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031695
(22)【出願日】2022-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】519458831
【氏名又は名称】株式会社ジイケイ設計
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中田 正仁
(72)【発明者】
【氏名】藤村 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】並木 重宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 完治
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132FA00
2D132FA04
2D132FA08
2D132FB00
(57)【要約】
【課題】シャワー水の室内への漏水を防止できるとともに、障がい者が作業する室内への設置にも最適なシステムとする。
【解決手段】実施形態に係る緊急用シャワー10は、緊急時に車椅子8を利用する障がい者9が使用可能なシャワーシステムであって、障がい者9に向けてシャワー水SWを吐出するシャワー装置20と、シャワー装置20のシャワーヘッド21からのシャワー水SWを排水するための排水口30を有する防水シート31と、を備え、防水シート31は、その外周部に止水体40が配置されていて、シャワー使用時に止水体40がシャワー装置20のシャワーヘッド21からのシャワー水SWを吸水して膨張し、止水壁となってシャワー水SWの床面4への漏水を防止する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急時に作業者が使用するシャワーシステムであって、
前記作業者に向けてシャワー水を吐出するシャワー装置と、
前記シャワー装置からの前記シャワー水を排水するための排水口を有する防水シートと、
を備え、
前記防水シートは、その外周部に止水体が配置されていて、シャワー使用時に前記止水体が前記シャワー装置からの前記シャワー水を吸水して膨張し、止水壁となることを特徴とするシャワーシステム。
【請求項2】
前記作業者は、車椅子の利用者であって、
前記止水体は、シャワー非使用時の厚みが、前記車椅子によって乗り越えられる程度の厚さとされていることを特徴とする請求項1に記載のシャワーシステム。
【請求項3】
前記止水体は、前記防水シートの外方がより薄く、内方がより厚く膨張するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーシステム。
【請求項4】
前記止水体は、高吸水性高分子層をポリエステル系の不織布によって被覆してなる構成とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシャワーシステム。
【請求項5】
前記止水体は、前記防水シートの外方がより薄くなるように前記高吸水性高分子層が薄く、内方がより厚くなるように前記高吸水性高分子層が厚くされていることを特徴とする請求項4に記載のシャワーシステム。
【請求項6】
前記作業者が作業する作業室の一画に後付けにより設置できることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシャワーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急用シャワーとして適用可能なシャワーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、東京大学先端科学技術センターが主幹となって、障がい者の理系教育参加をテーマにした、インクルーシブ・デザイン・アカデミア・プロジェクトが進められている。このプロジェクトは、障がい者への差別や偏見をなくし、障がい者の理系教育への参加の推進により社会における多様性の確保などを目的とした、SDGs(Sustainable Development Goals)の理念に基づいた取り組みである。
【0003】
ところが、障がい者の理系教育への参加には課題もあり、特に、障がい者が試験や検査などの実験(作業)を行う際の安全性の確保は重要な課題となっている。
【0004】
例えば、実験を行う場合において、法律によって指定された特定の物質(有害物質)を扱う際には、労働安全衛生法などにより、緊急用シャワーや洗眼器の設置が義務付けられている。
【0005】
緊急用シャワーとは、作業中に曝露(罹災)した有害物質を直ちに洗い流すための緊急用設備であって、作業者の汚染や被爆などの被害を最小限に抑える応急的処理を施すものとして機能する。
【0006】
緊急用シャワーの設置については、日本にはその規定がないため、基本的には、アメリカ国家規格協会(American National Standards Institute,ANSI)の規格ANSI Z358.1に準拠して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、緊急用シャワーを実験室内の床面に直に取り付けた場合には、緊急用シャワーを実際に使用した際の排水がうまくいかず、シャワー水が室内に拡がって漏水となり、二次的被害を招くという課題があった。
【0009】
緊急用シャワーは、実験室内の床面に排水パンを設けて取り付けることも可能であるが、排水パンの周囲の防液堤が段差となり、特に、車椅子を利用する障がい者が緊急用シャワーを使用する際の妨げとなる。
【0010】
また、室内における段差は、車椅子を利用する障がい者に限らず、例えば、視覚障がい者や目を汚染された作業者にとっては、非常に危険なものとなる。
【0011】
こういった背景により、緊急用シャワーは、高額な機材もある実験室内には設置せず、例えば、共有スペースでもある廊下などの室外に設置される場合がほとんどであった。
【0012】
このように、緊急用シャワーまでの距離が遠くなるなど、車椅子を利用する障がい者や視覚障がい者などは安全性を十分に確保した上で作業を行うことができず、これが障がい者の理系教育への参加を阻害する一因となっていた。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、シャワー水の室内への漏水を防止できるとともに、障がい者が作業する室内への設置にも最適なシャワーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するため、本発明の一態様のシャワーシステムは、緊急時に作業者が使用するシャワーシステムであって、前記作業者に向けてシャワー水を吐出するシャワー装置と、前記シャワー装置からの前記シャワー水を排水するための排水口を有する防水シートと、を備え、前記防水シートは、その外周部に止水体が配置されていて、シャワー使用時に前記止水体が前記シャワー装置からの前記シャワー水を吸水して膨張し、止水壁となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シャワー水の室内への漏水を防止できるとともに、障がい者が作業する室内への設置にも最適なシャワーシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る緊急用シャワー(シャワーシステム)の適用例を示す概略図である。
【
図2】緊急用シャワーの構成例を示す概略図である。
【
図3】緊急用シャワーの防液堤の断面図であり、(a)は、シャワー非使用時を、(b)は、シャワー使用時を、それぞれ例示するものである。
【
図4】緊急用シャワーの使用例を示す概略図である。
【
図5】他の実施形態に係る緊急用シャワーの防液堤の断面図であって、(a)は、シャワー非使用時を、(b)は、シャワー使用時を、それぞれ例示するものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、本実施の形態において、図面は、発明の概要を模式的に示すものであって、実際のものとは異なるものであることに留意すべきである。
【0018】
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係るシャワーシステムの適用が可能な緊急用シャワー10の設置例を示すものであり、
図2は、緊急用シャワー10の構成例を示すものである。
【0019】
緊急用シャワー10は、例えば、試験や検査などを行う実験室(作業室)1の室内の一画に設けられ、罹災した作業者を洗身するために、労働安全衛生法などにより設置が義務付けられた緊急用設備である。
【0020】
ここで、緊急用シャワー10が設置される実験室1の室内は、天井面3と床面4と壁面5とによって区画された閉鎖空間であり、出入口扉6を介して、室外(廊下など)との入退室が可能とされている。実験室1の床面4はバリアフリー化されており、所定の個所には、簡易的な排水口(図示省略)が予め設けられている。実験室1の天井面3には、蛍光灯(照明装置)2のほか、図示せぬ空調装置や換気装置などが配設されている。
【0021】
実験室1の室内は、複数の作業台7を配置することが可能とされている。各作業台7は、場合により法律によって指定された特定の物質(有害物質)を用いて、各種の実験(試験や検査などの作業)を行う実験台やヒュームフード(ドラフトチャンバ)などであって、同時に複数の作業者が個別に作業できるようになっている。
【0022】
日本国内において、緊急用シャワー10は、例えば、米国の国家規格協会(American National Standards Institute,ANSI)の規格ANSI Z358.1に準拠して設置されるようになっている。
【0023】
ここで、規格ANSI Z358.1により定められた緊急用シャワーを設置する際の基準(一般)について説明する。
【0024】
規格ANSI Z358.1によれば、
・曝露(罹災)した場所から徒歩で10秒以内にアクセルできる場所であること、
・階段や梯子、障害物や道路を通ることなくアクセスできる場所であること、
・少なくとも15分間は連続して、15.6℃~37.8℃で、毎分0.4ガロン(もしくは、給水圧力0.2MPa以上、75.7L/min以上)の流水を確保できること、
・単一の簡単な操作で1秒以内に作動すること、
などとされている。
【0025】
具体的には、本実施形態において、緊急用シャワー10は、例えば
図2に示すように、シャワー装置20と防水シート31とから構成され、上記した規格ANSI Z358.1に準拠して、全作業台7のできるだけ近くに設置されるようになっている。
【0026】
シャワー装置20は、シャワーヘッド21より吐出する洗浄液であるシャワー水を、作業中に有害物質によって汚染された作業者の頭上から散水することで、作業者に付着した有害物質を応急処置的に洗い流すものである。
【0027】
このシャワー装置20は、例えば、壁面5に埋設された給水管につながるステンレス製の配管26と、配管26の先端部に取り付けられたシャワーヘッド21と、シャワーヘッド21の基端部側に設けられた切換弁(混合栓)25と、切換弁25を切り換える起動レバー24と、起動レバー24を起動させる作動用スイッチ23と、を備えている。即ち、このシャワー装置20は、作動用スイッチ23と起動レバー24とがロープ(ホース)で繋がった、いわゆるレバー式ホース付き混合栓を備えた構成とされている。
【0028】
なお、作動用スイッチ23は、例えば、車椅子利用者が車椅子に座ったままの状態で操作できるように、車椅子利用者の手の届く範囲に設けられている。
【0029】
シャワー使用の開始時には、例えば、シャワー使用者である作業者(罹災者)が自ら作動用スイッチ23を引き下げる操作をして、起動レバー24を起動させて切換弁25をオフからオンに切り換えることにより、シャワー水のシャワーヘッド21からの吐出が開始される。
【0030】
シャワー水としては、例えば規格ANSI Z358.1により規定された、15.6℃~37.8℃の流水が、毎分0.4ガロンの流量(水量)で吐出される。これにより、有害物質によって汚染された作業者の肌や心臓などへの負担を軽減することが可能となる。なお、有害物質としては、特定化学物質障害予防規則(特化則)などの法律によって指定された、例えば、第一類・第二類物質やホルマリンなどの試薬があげられる。
【0031】
シャワー使用の終了時、例えば、所定の洗身時間である15分が経過すると、再び、シャワー使用者である作業者が自ら作動用スイッチ23を引き下げる操作をして、起動レバー24を起動させて切換弁25をオンからオフに切り換えることにより、シャワー水のシャワーヘッド21からの吐出が停止される。
【0032】
なお、シャワー水の吐出は、所定量のシャワー水が吐出された時点で、または、所定の洗身時間が経過した時点で、自動的に停止されるようにすることもできる。また、ボタンの押下操作などにより作動する構成とすることも可能である。または、罹災した作業者に限らず、同室の作業者が操作するものであっても良い。
【0033】
そして、このシャワー装置20には、例えば、洗浄液によって目を洗浄するための洗眼器22が設けられている。この洗眼器22も緊急用設備であって、特化則などにより設置が義務付けられているが、ここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
防水シート31は、例えば
図1に示すように、1mm厚程度のゴム製マットであって、特定の位置に設けられた排水口30が、実験室1の床面4に開口された排水口(図示省略)に対応するようにして配設されている。
【0035】
本実施形態においては、緊急用シャワー10の車椅子を利用する障がい者の使用を想定し、防水シート31は、例えば、2m×1m程度の大きさで形成されている。これにより、車椅子を利用する障がい者が作業者(罹災者)として緊急用シャワー10を使用する際には、車椅子ごと、防水シート31のシート面に乗り上げた状態でシャワー水が散水される。
【0036】
そして、車椅子が乗り上げる範囲のシート面を除く、防水シート31の外周部(周辺部)には、1つまたは複数の止水体40がすき間なく設けられている。止水体40は、シャワー使用時にシャワー水の室内への漏水を防ぐための防液堤(止水壁)を形成するためのものである。
【0037】
止水体40は、例えば
図3(a),(b)に示すように、吸水層41を構成する高吸水性高分子(Superabsorbent polymer,ASP)層41a,41b,41cの全周囲を被覆するように、吸水層41をポリエステル系などの不織布袋43内に収納したものである。
【0038】
本実施形態において、止水体40は、シャワー非使用時である平常時には車椅子が容易に乗り越えられる程度に薄く(例えば、
図3(a)参照)、シャワー使用時には、シャワー水の漏水を防止できる程度まで厚くなるように(例えば、
図3(b)参照)、複数の高吸水性高分子層41a,41b,41cが積層されてなる構成とされている。また、不織布袋43は、吸水層41のシャワー使用時の厚みの変化に合わせて、防水シート31の、外側(外方)よりも内側(内方)に余裕を持たせた形状とされている。
【0039】
例えば、吸水層41を構成する複数の高吸水性高分子層41a,41b,41cは、防水シート31の外側よりも内側が厚くなるように積層されて、その内側の厚さが、シャワー非使用時には3mm~5mm厚程度であり、シャワー使用時にはシャワー水を吸水して膨張し、最大で30mm厚以上となるように設計されている。
【0040】
なお、止水体40の幅(断面方向の長さ)は、例えば車椅子が乗り越える止水体40の勾配を考慮して、50mm~100mm程度とされている。
【0041】
図4は、緊急用シャワー10の使用例として、車椅子8を利用する障がい者9が緊急用シャワー10を使用している場合を例示したものである。
【0042】
このように、シャワー使用時には、止水体40がシャワー水SWを吸水して主に上方向(天井面3の方向)に膨張し、防液堤として機能することによって、シャワー装置20からのシャワー水SWが室内の床面4上に漏水するのを防止できる。
【0043】
即ち、シャワーヘッド21より吐出されたシャワー水SWは、罹災した障がい者9を洗身した後、適宜、排水口30から排水される。これにより、二次的被害として、例えば、床面4に漏水したシャワー水SWからの室内の高額な機材などの保護も可能となる。
【0044】
しかも、止水体40は、シャワー使用時にのみ膨張するので、止水体40からなる防液堤が段差となり、車椅子8を利用する障がい者9が緊急用シャワー10を使用する際の妨げとなることもない。
【0045】
上記したように、シャワー使用時と比較して、シャワー非使用時の止水体40の厚さをできるだけ薄く、特に、防水シート31の内側よりも外側でより薄くなるようにすることによって、緊急用シャワー10を使用する作業者が、例えば
図4に示すように、車椅子8を利用する障がい者9の場合であっても、車椅子8によって止水体40を容易に乗り越えることが可能となる。これにより、止水体40が段差となって、車椅子8を利用する障がい者9が緊急用シャワー10を使用する際の妨げとなる、といった不都合を回避できる。
【0046】
また、車椅子8を利用する障がい者9に限らず、シャワー非使用時の止水体40が、視覚障がい者や目を汚染されて視界が利かない作業者にとって、大きな障害物となる危険性をも排除できる。
【0047】
なお、防液堤の高さ(止水体40の厚さ)は、シャワー水SWの吐出量や排水口30によるシャワー水SWの排水能力に応じて適宜決定されるものであり、吸水層41の厚さ(高吸水性高分子層41a,41b,41cの層数や厚みなど)を調整することで容易に対応可能である。
【0048】
特に、本実施形態に係る緊急用シャワー10は、例えば、既存の実験室1の室内の一画において、簡単な追加工事のみで、後付けにより容易に設置することが可能である。したがって、実験室1の室内のように、作業する作業者の近くに緊急用シャワー10を増設することができ、障がい者の理系教育への参加時などでの安全性の確保が可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、シャワー水SWの室内への漏水を防止できるとともに、障がい者が作業する室内への設置にも最適な緊急用シャワー10を容易に提供できる。
【0050】
即ち、作業中に曝露(罹災)した有害物質を直ちに洗い流すための緊急用シャワー10を、後付けにより室内に簡単に設置できるようになる。しかも、シャワー使用時のシャワー水SWの室内への漏水を防止することが可能であり、シャワー非使用時の防液堤が段差となって、障がい者のみならず、目を汚染されて視界が利かない作業者にとって、大きな障害物となる危険性をも排除できる。これにより、緊急用シャワー10の実験室1などの室内への増設が容易に可能となる。したがって、緊急用シャワー10を作業者のより近くに設置することが可能となって、障がい者の理系教育への参加においても、より安全に、かつ、安心して参加できるようになる。
【0051】
なお、防液堤となる止水体40としては、複数(本実施形態では、3層)の高吸水性高分子層41a,41b,41cを積層させた構造の吸水層41を用いる場合に限らず、例えば
図5(a),(b)に示すように、防液堤の形状に応じて予め一体成型された吸水層41を用いることも可能である。
【0052】
または、薄板状の高吸水性高分子層を折りたたむようにして形成された吸水層や、薄板状の高吸水性高分子層を幾重にも折り返すようにして形成された吸水層などを用いることも可能である。
【0053】
特に、高吸水性高分子層(吸水層)としては、防水シート31の外側と内側とにおいて、ほぼ同一の高さとなるように設けることも可能である。
【0054】
また、緊急用シャワー10の設置は、実験室1に限らず、例えば、有害物質を扱う工場や教育施設など、各種の現場において適用可能である。
【0055】
なお、車椅子8を利用する障がい者9としては、例えば、事故や怪我などにより一時的に車椅子8を利用する作業者とすることもできる。
【0056】
また、作業者が立ったままの状態で洗身するシャワー装置に適用する場合に限らず、例えば、シャワーヘッドの位置が低く下げられた車椅子利用者専用のシャワー装置とすることも可能である。
【0057】
以上、実施形態を例示して本発明の一態様について説明したが、一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 実験室(作業室)
4 床面
8 車椅子
9 障がい者
10 緊急用シャワー(シャワーシステム)
20 シャワー装置
21 シャワーヘッド
23 作動用スイッチ
30 排水口
31 防水シート
40 止水体(防液堤/止水壁)
41 吸水層
41a,41b,41c 高吸水性高分子層
43 不織布袋
SW シャワー水