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特開2023-127822液体吐出ヘッド、ヘッドユニット、液体吐出装置
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  • 特開-液体吐出ヘッド、ヘッドユニット、液体吐出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127822
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、ヘッドユニット、液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B41J2/14 301
B41J2/14 607
B41J2/14 605
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031739
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】塚本 竜児
(72)【発明者】
【氏名】紀伊國 敬
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG01
2C057AG44
2C057AG51
(57)【要約】
【課題】高周波駆動に対応することを課題とする。
【解決手段】インクを吐出するノズル14と、ノズル14にインクを供給するインク室12と、ノズル14を開閉するニードル弁17と、ニードル弁17に開閉動作をさせる圧電素子18と、を備えた液体吐出ヘッド10であって、インク室12はそれぞれ異なる方向からインクを供給される複数のインク供給路16A,16Bを有し、複数のインク供給路16A,16Bからインク室12へインクが供給され、ニードル弁17をノズル14に接近させる動作によってインクをノズル14から吐出することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに液体を供給する液室と、
前記ノズルを開閉する開閉弁と、
前記開閉弁に開閉動作をさせる圧電体と、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記液室はそれぞれ異なる方向から前記液体を供給される複数の液体供給路を有し、
複数の前記液体供給路から前記液室へ前記液体が供給され、前記開閉弁を前記ノズルに接近させる動作によって前記液体を前記ノズルから吐出することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに液体を供給する液室と、
前記ノズルを開閉する開閉弁と、
前記開閉弁に開閉動作をさせる圧電体と、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記開閉弁を前記ノズルから後退させた後、前記ノズルを封止しない位置まで前記ノズルに接近させ、その後、再度前記開閉弁を前記ノズルから後退させた後、前記ノズルを封止する位置まで移動させることで前記ノズルから前記液体を吐出させることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記ノズルからの前記液体吐出時の、前記開閉弁の前記ノズルからの後退および接近方向の往復移動回数を任意に変更可能である請求項2記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1から3いずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えたヘッドユニット。
【請求項5】
請求項4記載のヘッドユニットを備えた液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、ヘッドユニット、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉弁をノズルに対して開閉する動作により液体を吐出する液体吐出ヘッドが存在する。
【0003】
たとえば特許文献1(米国特許US2012/0105522A1)には、ソレノイドコイルによりプランジャを上下動させてノズルの開口部からインクを吐出する構成が記載されている。
【0004】
このような液体吐出ヘッドでは、ノズルからの液体の吐出速度を上げることで、高周波駆動に対応することが課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、高周波駆動に対応する液体吐出ヘッドを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、液体を吐出するノズルと、前記ノズルに液体を供給する液室と、前記ノズルを開閉する開閉弁と、前記開閉弁に開閉動作をさせる圧電体と、を備えた液体吐出ヘッドであって、前記液室はそれぞれ異なる方向から前記液体を供給される複数の液体供給路を有し、複数の前記液体供給路から前記液室へ前記液体が供給され、前記開閉弁を前記ノズルに接近させる動作によって前記液体を前記ノズルから吐出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高周波駆動に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体吐出装置の斜視図である。
図2】液体吐出ヘッドを示す断面図である。
図3】ニードル弁を閉じた状態のヘッドユニットを示す断面図である。
図4】ニードル弁を開放した状態のヘッドユニットを示す断面図である。
図5】ニードル弁を閉じてインクを吐出した様子を示すヘッドユニットの断面図である。
図6】ニードル弁をノズルに接近させた状態のヘッドユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドとして、液体としてのインクを吐出する液体吐出ヘッドについて説明する。
【0010】
図1に示すように、液体吐出装置100は、対象物の一例である被描画物200に対向して設置している。液体吐出装置100は、X軸レール101と、このX軸レール101と交差するY軸レール102と、X軸レール101およびY軸レール102と交差するZ軸レール103を備える。
【0011】
Y軸レール102は、X軸レール101がY方向に移動可能なように、X軸レール101を保持する。また、X軸レール101は、Z軸レール103がX方向に移動可能なように、Z軸レール103を保持する。そして、Z軸レール103は、キャリッジ1がZ方向に移動可能なように、キャリッジ1を保持する。キャリッジ1は液体吐出ヘッド10を備えている。キャリッジ1は液体吐出ヘッドを備えるヘッドユニットの一例である。
【0012】
液体吐出装置100は、キャリッジ1をZ軸レール103に沿ってZ方向に動かす第1のZ方向駆動部92と、Z軸レール103をX軸レール101に沿ってX方向に動かすX方向駆動部72を備える。また、液体吐出装置100は、X軸レール101をY軸レール102に沿ってY方向に動かすY方向駆動部82を備える。さらに、液体吐出装置100は、キャリッジ1に対してヘッド保持体70をZ方向に動かす第2のZ方向駆動部93を備える。
【0013】
キャリッジ1は、ヘッド保持体70を備えている。ヘッド保持体70は、保持体の一例である。また、キャリッジ1は、図1に示した第1のZ方向駆動部92からの動力によりZ軸レール103に沿ってZ方向へ移動可能である。ヘッド保持体70は、図1に示した第2のZ方向駆動部93からの動力によりキャリッジ1に対してZ方向へ移動可能である。
【0014】
上記構成の液体吐出装置100は、キャリッジ1をX軸、Y軸およびZ軸の方向に動かしながら、液体吐出ヘッド10から液体の一例であるインクを吐出し、被描画物200に描画を行う。ここで、キャリッジ1およびヘッド保持体70のZ方向への移動は、Z方向と平行である必要はなく、少なくともZ方向の成分を含んでいれば斜めの移動であってもよい。
【0015】
なお、図1において被描画物200の表面形状は平面として示しているが、被描画物200の表面形状は、車やトラックの車体、航空機の機体などのように鉛直に近い面、もしくは曲率半径の大きい面でもよい。
【0016】
図2は、液体吐出ヘッド単体の説明図である。図2(a)は液体吐出ヘッドの全体断面図、図2(b)は図2(a)のB部の拡大図である。
【0017】
液体吐出ヘッド10はハウジング11を備える。ハウジング11は金属または樹脂からなる。
【0018】
液体吐出ヘッド10はノズル板15を有する。ノズル板15はハウジング11に接合されている。ノズル板15はインクを吐出するノズル14を備える。
【0019】
ハウジング11の内側にはノズル14を開閉するニードル弁17と、ニードル弁17を駆動する圧電素子18とを備える。ニードル弁17とハウジング11との間には、軸受部21を設ける。軸受部21とニードル弁17との間には、Oリングなどのシール部材22を設けている。
【0020】
ハウジング11の内側の空間13内に圧電素子18を収容している。保持部材23は中央空間23a内に圧電素子18を保持している。圧電素子18とニードル弁17とは同軸上に保持部材23の先端部23bを介して連結されている。保持部材23は、先端部23b側はニードル弁17と連結し、後端部23c側はハウジング11に取り付けられた規制部材19によって固定されている。
【0021】
ニードル弁17はその先端に弾性部材17aを備えている。ニードル弁17の先端をノズル板15に押し付けた際に、弾性部材17aが圧縮されることで、ニードル弁17がノズル14を確実に閉塞する。
【0022】
ハウジング11の内部の空間のうち、ニードル弁17の弾性部材17aが設けられる側の空間であって、シール部材22により画成された空間が、液室としてのインク室12である。
【0023】
ハウジング11は供給路16を備えている。供給路16は、後述するインク供給ボトルから、インク室12へインクを供給する経路である。
【0024】
ハウジング11は、圧電素子18の上端部と対向する位置に規制部材19を備えている。この規制部材19は、圧電素子18の上端部に当接しており、圧電素子18の固定点をなしている。
【0025】
ここで、ノズル板15は吐出口形成部材の一例で、ニードル弁17は開閉弁の一例で、圧電素子18は圧電体の一例である。
【0026】
次に、液体吐出ヘッド10を備えた本実施形態のヘッドユニット2について説明し、液体吐出ヘッド10からインクを吐出する過程について説明する。
【0027】
図3に示すように、ヘッドユニット2は、液体吐出ヘッド10と、液体供給部としての第1インク供給ボトル31Aおよび第2インク供給ボトル31Bを有する。
【0028】
インク室12には異なる2方向から、液体供給路としての第1供給路16A、第2供給路16Bが接続される。それぞれの供給路16A,16Bには、第1インク供給ボトル31A、第2インク供給ボトル31Bがそれぞれ接続されている。第1インク供給ボトル31Aおよび第2インク供給ボトル31Bは、インク室12にインクを供給する。これにより、インク室12内がインクで満たされている。ただし、インク室12に対して異なる3以上の方向からインクが供給されてもよい。
【0029】
図3ではニードル弁17がノズル板15に当接し、ノズル14のニードル弁17側の開口端14aを封止している。
【0030】
本実施形態では、後述のインク吐出動作時においてもインク室12内のインクは加圧されていない。ただし、インク吐出動作時に、加圧機構によりインク室12内のインクを吐出動作に影響しない程度に加圧してもよい。
【0031】
インクの吐出動作時には、まず、圧電素子18に電圧を印加して収縮させる。これにより、図4に示すように、ニードル弁17をノズル14から退避させ、ノズル14の開口端14aを開放する。これにより、開口端14a付近の圧力が低下し、ノズル14およびノズル14とニードル弁17の間の隙間領域40にインクが供給される。
【0032】
この状態から、再びニードル弁17をノズル14に接近させていき、図5に示すように、ノズル14を封止する位置までニードル弁17を移動させる。これにより、隙間領域40およびノズル14内のインクがニードル弁17により押され、ノズル14からインク90が吐出される。
【0033】
以上の吐出動作において、本実施形態では、複数方向からインクを液室12に向けて供給することにより、液室12に対するインクの供給速度を上げることができ、液体吐出ヘッド10のインクの吐出速度を向上させることができる。従って、液室12内のインクを加圧せず、ニードル弁17の開閉動作によりインクを吐出する吐出動作においても、高周波駆動に対応することが可能になる。
【0034】
また圧電素子18は電圧の印加に対して高速で応答することができるため、液体吐出ヘッド10によるインクの吐出速度を向上させることができる。
【0035】
次に、上記実施形態と異なる本発明の第二実施形態であって、異なる吐出動作を行う液体吐出ヘッドについて説明する。
【0036】
本実施形態では、まず前述の実施形態と同様に、図3図4のようにニードル弁17をノズル14の封止状態からノズル14から退避する方向へ移動させる。これにより、ノズル14とニードル弁17の間の隙間領域40にインクを供給する。
【0037】
その後、再びニードル弁17をノズル14に接近させていき、図6に示すように、ニードル弁17がノズル14を封止しない位置まで移動させる。そして、再びニードル弁17をノズル14から退避する方向へ移動させ、例えば図4と同じ位置まで移動させる。そして、再びニードル弁17をノズル14に接近させていき、図5のようにニードル弁17によりノズル14を封止する。これにより、前述の実施形態と同様、ノズル14からインクが吐出される。
【0038】
このように本実施形態では、図3図4図6図4図5のように、ニードル弁がその開閉方向に2回の往復運動を行う。一度目に図4に示す退避位置から図6に示すノズル14を封止しない程度の位置までニードル弁17を接近させることで、ノズル14内あるいはその近傍内の気泡を外側へ押し出すことができる。その後、再度ニードル弁17を開閉することにより、ノズル14からインクを吐出する。これにより、吐出するインク液滴の体積を大きくすることができる。ただし、2回の往復運動でニードル弁17を開く位置が必ずしも同じである必要はない。また、便宜的に前述の実施形態と同じ図3図5を用いて説明しているが、必ずしも両者の機構や動作は同じではない。例えば、ニードル弁17の移動量が同じである必要はないし、図5で吐出されるインク90の量は二つの実施形態で必ずしも同じでないことはもちろんである。
【0039】
また、ニードル弁17の往復運動の回数は3回以上であってもよく、本実施形態ではその回数を変更可能である。往復運動の回数を増やすことにより、ノズル14から吐出するインクの体積を大きくすることができる。つまり、ニードル弁17の往復運動の回数を変更することにより、所望の体積のインクをノズル14から吐出させることができる。
【0040】
なお、前述の第二実施形態では、液室12にインクを供給する液体供給路が一つのみの構成であってもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
「液体」にはインクだけでなく塗料を含む。
【0043】
本願において、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッド又はヘッドユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0044】
この「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0045】
例えば、「液体吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0046】
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0047】
上記「液体が付着可能なもの」とは、前述した被描画物のことであり、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0048】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0049】
また、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0050】
また、「液体吐出装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0051】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0052】
2 ヘッドユニット
10 液体吐出ヘッド
12 インク室(液室)
14 ノズル
15 ノズル板(吐出口形成部材)
16A 第1供給路(液体供給路)
16B 第2供給路(液体供給路)
17 ニードル弁(開閉弁)
18 圧電素子(圧電体)
31A 第1インク供給ボトル(液体供給部)
31B 第2インク供給ボトル(液体供給部)
40 隙間領域
100 液体吐出装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】米国特許US2012/0105522A1
図1
図2
図3
図4
図5
図6