(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127867
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】網点画像の作成方法及び作成ソフトウェア
(51)【国際特許分類】
H04N 1/405 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H04N1/405 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031812
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 一矢
(72)【発明者】
【氏名】須藤 悠希
(72)【発明者】
【氏名】秋山 洋平
【テーマコード(参考)】
5C077
【Fターム(参考)】
5C077LL14
5C077NN07
5C077PP13
5C077PP21
5C077PP46
(57)【要約】
【課題】セキュリティ印刷物に求められる複雑な網点形状を有し、かつ出力解像度やスクリーン線数の変動に左右されない網点画像の作成方法及び作成ソフトウェアを提供する。
【解決手段】本発明は、階調画像を読み込むステップと、出力解像度に応じた再サンプルの処理を行うステップと、ベクターオブジェクト群で構成されたユニットを読み込むステップと、レンダリング画像を作成するステップと、最適化の処理を行うステップと、ハーフトーンスクリーニングの処理を行うステップによって、セキュリティ印刷物に求められる複雑な網点形状を有し、かつ出力解像度やスクリーン線数の変動に左右されない網点画像の作成方法及び作成ソフトウェアである。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法であって、
ベクトルデータであるベジェ曲線又はスプライン曲線によって形成されるベクターオブジェクトを配置するためのユニットを作成するステップと、
前記ユニットに前記ベクターオブジェクトを配置するステップと、
i)前記ベクターオブジェクトにグラデーション属性を設定するステップ、又は、
ii)前記ベクターオブジェクトにラスタライズ属性を設定するステップ、又は、
iii)新たなベクターオブジェクトを任意の個数配置するステップと、任意の個数の前記ベクターオブジェクトにブレンド属性を設定するステップ、
の少なくとも一つのステップで、ベクターオブジェクト群を形成するステップと、
さらに、必要に応じて、前記ベクターオブジェクト群を追加するステップと、を繰り返すことで作成された前記ユニットを保存するステップと、
前記ユニットを読み込むステップと、
前記ユニットから、出力解像度とスクリーン線数に応じたn×mピクセル(n、mは整数)のレンダリング画像を作成するステップと、
前記レンダリング画像を、ハーフトーンスクリーニングのための臨界配列へ変換するステップと、
前記ハーフトーンスクリーニングを行う階調画像を読み込むステップと、
前記階調画像を、前記出力解像度に応じて再サンプルを行うことで、再サンプル画像を作成するステップと、
前記再サンプル画像に前記臨界配列を用いて、前記ハーフトーンスクリーニングを行うことで、前記網点画像を作成するステップと、
前記網点画像を保存するステップからなり、
前記ベクターオブジェクト群の前記i)の前記グラデーション属性、前記ii)の前記ラスタライズ属性及び、前記iii)の前記ブレンド属性は、階調差が8bit値において1以上255以下であり、
前記iii)の任意の個数の前記ベクターオブジェクトは夫々の濃度と大きさが異なるベクターオブジェクトであることを特徴とする、
印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法。
【請求項2】
前記レンダリング画像を、二分割、又は四分割、又は八分割したもののうち、一つの領域を主領域とし、主領域以外の領域を副領域とし、
前記主領域を、前記副領域に対して、
iv)点対称の反転、又は、
v)線対称の反転、又は、
vi)時計回り/反時計回りに回転、
したものを展開して配置することを特徴とする請求項1に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法。
【請求項3】
前記レンダリング画像を階調反転する、又は、
前記主領域を、前記副領域に対して、階調反転を伴いながら展開して、配置することを特徴とする請求項2に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法。
【請求項4】
前記レンダリング画像に対し、隣接する2×2の4画素から成る画素群をグループに振り分け、
前記グループは隣接するグループと1画素分ずつ重複しており、
前記グループに含まれる画素の8bit値の平均値を算出し、
前記平均値を1画素として、
前記レンダリング画像の前記平均値の並び順を保持したまま、xy軸を斜め45度方向に置換し、
前記レンダリング画像を再構築することを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法。
【請求項5】
前記レンダリング画像に対し、前記レンダリング画像の矩形の比率を維持した四分割の左上の領域を領域A、右上の領域を領域B、左下の領域を領域C、右下の領域を領域Dとし、
vii)2n×mピクセルに拡張した前記レンダリング画像の上段の左から右へ、前記領域B、前記領域C、前記領域D、前記領域Aの順に配置し、拡張した前記レンダリング画像の下段の左から右へ、前記領域D、前記領域A、前記領域B、前記領域Cの順に配置、又は、
viii)n×2mピクセルに拡張したレンダリング画像の左列の上から下へ、前記領域C、前記領域D、前記領域B、前記領域Aの順に配置し、前記拡張したレンダリング画像の右列の上から下へ、前記領域D、前記領域A、前記領域C、前記領域Bの順に配置
することを特徴とする請求項1から4いずれか一項に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法。
【請求項6】
印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェアであって、
ベクトルデータであるベジェ曲線又はスプライン曲線によって形成されるベクターオブジェクトを配置するためのユニットを作成するステップと、
前記ユニットに前記ベクターオブジェクトを配置するステップと、
i)前記ベクターオブジェクトにグラデーション属性を設定するステップ、又は、
ii)前記ベクターオブジェクトにラスタライズ属性を設定するステップ、又は、
iii)新たなベクターオブジェクトを任意の個数配置するステップと、任意の個数の前記ベクターオブジェクトにブレンド属性を設定するステップ、
の少なくとも一つのステップで、ベクターオブジェクト群を形成するステップと、
さらに、必要に応じて、前記ベクターオブジェクト群を追加するステップと、を繰り返すことで作成された前記ユニットを保存するステップと、
前記ユニットを読み込むステップと、
前記ユニットから、出力解像度とスクリーン線数に応じたn×mピクセル(n、mは整数)のレンダリング画像を作成するステップと、
前記レンダリング画像を、ハーフトーンスクリーニングのための臨界配列へ変換するステップと、
前記ハーフトーンスクリーニングを行う階調画像を読み込むステップと、
前記階調画像を、前記出力解像度に応じて再サンプルを行うことで、再サンプル画像を作成するステップと、
前記再サンプル画像に前記臨界配列を用いて、前記ハーフトーンスクリーニングを行うことで、前記網点画像を作成するステップと、
前記網点画像を保存するステップを備え、
前記ベクターオブジェクト群の前記i)の前記グラデーション属性、前記ii)の前記ラスタライズ属性及び、前記iii)の前記ブレンド属性は、階調差が8bit値において1以上255以下であり、
前記iii)の任意の個数の前記ベクターオブジェクトは夫々の濃度と大きさが異なるベクターオブジェクトであることを特徴とする、
印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェア。
【請求項7】
前記レンダリング画像を、二分割、又は四分割、又は八分割したもののうち、一つの領域を主領域とし、主領域以外の領域を副領域とし、
前記主領域を、前記副領域に対して、
iv)点対称の反転、又は、
v)線対称の反転、又は、
vi)時計回り/反時計回りに回転、
したものを展開して配置することを特徴とする請求項6に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェア。
【請求項8】
前記レンダリング画像を階調反転する、又は、
前記主領域を、前記副領域に対して、階調反転を伴いながら展開して、配置することを特徴とする請求項7に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェア。
【請求項9】
前記レンダリング画像に対し、隣接する2×2の4画素から成る画素群をグループに振り分け、
前記グループは隣接するグループと1画素分ずつ重複しており、
前記グループに含まれる画素の8bit値の平均値を算出し、
前記平均値を1画素として、
前記レンダリング画像の前記平均値の並び順を保持したまま、xy軸を斜め45度方向に置換し、
前記レンダリング画像を再構築することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェア。
【請求項10】
前記レンダリング画像に対し、前記レンダリング画像の矩形の比率を維持した四分割の左上の領域を領域A、右上の領域を領域B、左下の領域を領域C、右下の領域を領域Dとし、
vii)2n×mピクセルに拡張した前記レンダリング画像の上段の左から右へ、前記領域B、前記領域C、前記領域D、前記領域Aの順に配置し、拡張した前記レンダリング画像の下段の左から右へ、前記領域D、前記領域A、前記領域B、前記領域Cの順に配置、又は、
viii)n×2mピクセルに拡張したレンダリング画像の左列の上から下へ、前記領域C、前記領域D、前記領域B、前記領域Aの順に配置し、前記拡張したレンダリング画像の右列の上から下へ、前記領域D、前記領域A、前記領域C、前記領域Bの順に配置
することを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、旅券、有価証券、証明書、重要書類等の偽造や変造の防止が求められるセキュリティ印刷物の分野における、網点画像の作成方法及びソフトウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券、旅券、有価証券、証明書、重要書類等のセキュリティ印刷物では、偽造や変造を防ぐことが重要である。このような印刷物では、細画線を用いて印刷面を構成することで、偽造や変造を防止している。
【0003】
細画線を用いた代表的な技術として、地紋模様や彩紋模様がある。これらは、曲画線の集合によって模様を構成した幾何学図形であり、この幾何学図形は、偽造や変造の防止効果に加えて、印刷面に意匠性を与えている。
【0004】
しかしながら、この幾何学図形による模様は、例えば、写真のような連続階調(濃度が0%から100%までの間で変化する。)の表現には適していない。そのため、上述のセキュリティ印刷物に連続階調の模様を施す場合、幾何学図形以外の領域に、階調画像を付与している。
【0005】
なお、階調画像を付与するには、連続階調を網点化した画像を作成する必要がある。網点化とは、
図1に示すように、階調画像〔1〕を網点画像〔2〕に変換するものであり、網点画像〔2〕における網点の大小によって階調を表現している。
【0006】
網点画像〔2〕の作成方法として、例えば、非特許文献1には、ハーフトーンスクリーニングと呼ばれる技法が記されている。この技法は、
図2に示すようなスレッショルド配列(以下、臨界配列〔3〕という。)が用いられる。この臨界配列〔3〕は、8bit値(0から255)を10進数または16進数で記述した閾値〔4〕を有する要素〔5〕の集合体であり、網点の形状を決定するものである。
【0007】
また、階調画像〔1〕とは、
図3に示すように、画素〔6〕の集合体である。この画素〔6〕は、それぞれに8bit値(0から255)を10進数または16進数で記述した画素値の情報を有している。
【0008】
このような階調画像〔1〕を網点化するには、例えば、
図4に示すように、階調画像〔1〕の画素値を、臨界配列〔3〕の閾値〔4〕と比較し、画素値を階調反転した値(255-画素値)が閾値〔4〕以下の場合に黒化、それ以外の場合に白化させる変換を行う。結果として、階調画像〔1〕の単位面積あたりの濃度(0%から100%まで)と、網点画像〔2〕の単位面積あたりの面積率(0%から100%まで)を一致(または近似)させることが、ハーフトーンスクリーニングである。
【0009】
階調画像〔1〕には解像度という概念が存在する。解像度は、
図5に示すように、1インチの中に並ぶ画素数を「dpi」という単位で表記する。
【0010】
また、ハーフトーンスクリーニングにはスクリーン線数という概念が存在する。スクリーン線数は
図6に示すように、1インチの中に並ぶ網点〔7〕の数を「Lpi」という単位で表記する。例えば、
図7に示すように、スクリーン線数の「低」「中」「高」によってモチーフの再現性が異なり、一般的に、スクリーン線数が高いほど高精細である。
【0011】
ハーフトーンスクリーニングでは、解像度とスクリーン線数の関係から臨界配列〔3〕の要素〔5〕の数が決定される。なお、臨界配列〔3〕の単一方向の要素〔5〕の数は、以下に示す[数1]によって算出する。
【0012】
【0013】
この臨界配列〔3〕の要素〔5〕に、閾値〔4〕を定義するには、大きく分けて二つの方法がある。一つ目は、算術的な定義方法であり、非特許文献1においてType1と分類されている。二つ目は、記述的な定義方法であり、非特許文献1においてType3と分類されている。
【0014】
前者のType1とは、
図8に示すように、三次元関数によってxy座標ごとのz値を算出し、それを閾値〔4〕へ変換する方法である。なお、網点形状を変えるには、
図10に示すように、三次元関数を変更すればよい。
【0015】
後者のType3とは、
図9に示すように、8bit値(0から255)を記述して閾値〔4〕を定義する方法である。
【0016】
このように定義された臨界配列〔3〕と、前述の網点画像〔2〕の作成方法に従ってハーフトーンスクリーニングは行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第3855013号公報
【特許文献2】特許第6651198号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】PostScript「リファレンス・マニュアル(第2版)」(1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前述のType1では、三次元関数によって算出されたz値から閾値が決定される。それゆえ、セキュリティ印刷物に求められる複雑な網点形状を作成するために、難しい三次元関数を求める必要があり、求める網点形状の作成が困難であるという課題があった。
【0020】
そこで、本出願人は、セキュリティ印刷物に求められる複雑な網点形状を作成する手段として、スクリーンの作成方法及び作成装置並びに作成用ソフトウェアを出願している(例えば、特許文献1及び特許文献2)。この作成方法は、網点形状を構成するセルに内包する、すべて同じ動きを有しながら夫々配置方向が異なるユニットにおいて、単一あるいは複数に分割された領域内に、三次元関数から算出される画線面積の変容を伴うエレメントを持たせるものである。
【0021】
しかしながら、前述のType1と同様に三次元関数を用いるため、網点形状が三次元関数で表現できる範囲に限定されてしまい、例えば、シンボルマークのような意匠性を持つ網点形状を作成するのが難しいという課題があった。
【0022】
さらに、前述のType3では、出力解像度とスクリーン線数に応じて臨界配列〔3〕の要素〔5〕の数を決定した後、それぞれの要素〔5〕に閾値〔4〕を記述し、閾値〔4〕を確定させる。前述した[数1]に示すように、臨界配列〔3〕の要素〔5〕の数が確定した状態で出力解像度を変更すると、スクリーン線数も変動する。出力解像度は出力装置の性能に依存することから、出力装置を変更した際に、スクリーン線数の値が意図せぬ値に変動するという課題があった。
【0023】
また、階調画像〔1〕のモチーフに合わせて再現性、すなわちスクリーン線数を変更した場合は、臨界配列〔3〕の要素〔5〕の数が変動するため、すべての閾値〔4〕を再記述しなければならないという課題があった。
【0024】
本発明は、上述のような課題を鑑みて、セキュリティ印刷物に求められる複雑な網点形状を有し、かつ出力解像度やスクリーン線数の変動に左右されない網点画像〔2〕の作成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法であって、ベクトルデータであるベジェ曲線又はスプライン曲線によって形成されるベクターオブジェクトを配置するためのユニットを作成するステップと、ユニットに前記ベクターオブジェクトを配置するステップと、i)ベクターオブジェクトにグラデーション属性を設定するステップ、又は、ii)ベクターオブジェクトにラスタライズ属性を設定するステップ、又は、iii)新たなベクターオブジェクトを任意の個数配置するステップと、任意の個数のベクターオブジェクトにブレンド属性を設定するステップ、の少なくとも一つのステップで、ベクターオブジェクト群を形成するステップと、さらに、必要に応じて、ベクターオブジェクト群を追加するステップと、を繰り返すことで作成されたユニットを保存するステップと、ユニットを読み込むステップと、ユニットから、出力解像度とスクリーン線数に応じたn×mピクセル(n、mは整数)のレンダリング画像を作成するステップと、レンダリング画像を、ハーフトーンスクリーニングのための臨界配列へ変換するステップと、ハーフトーンスクリーニングを行う階調画像を読み込むステップと、階調画像を、出力解像度に応じて再サンプルを行うことで、再サンプル画像を作成するステップと、再サンプル画像に臨界配列を用いて、ハーフトーンスクリーニングを行うことで、網点画像を作成するステップと、網点画像を保存するステップからなり、ベクターオブジェクト群のi)のグラデーション属性、ii)のラスタライズ属性及びiii)のブレンド属性は、階調差が8bit値において1以上255以下であり、iii)の任意の個数のベクターオブジェクトは夫々の濃度と大きさが異なるベクターオブジェクトであることを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法である。
【0026】
また、本発明は、レンダリング画像を、二分割、又は四分割、又は八分割したもののうち、一つの領域を主領域とし、主領域以外の領域を副領域とし、主領域を、副領域に対して、iv)点対称の反転、又は、v)線対称の反転、又は、vi)時計回り/反時計回りに回転したものを配置することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法である。
【0027】
また、本発明は、レンダリング画像を階調反転する、又は、主領域を、副領域に対して、階調反転を伴いながら展開して、配置することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法である。
【0028】
レンダリング画像に対し、隣接する2×2の4画素から成る画素群をグループに振り分け、グループは隣接するグループと1画素分ずつ重複しており、グループに含まれる画素の8bit値の平均値を算出し、平均値を1画素として、レンダリング画像の平均値の並び順を保持したまま、xy軸を斜め45度方向に置換し、レンダリング画像を再構築することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法である。
【0029】
また、本発明は、レンダリング画像に対し、レンダリング画像の矩形の比率を維持した四分割の左上の領域を領域A、右上の領域を領域B、左下の領域を領域C、右下の領域を領域Dとし、vii)2n×mピクセルに拡張したレンダリング画像の上段の左から右へ、領域B、領域C、領域D、領域Aの順に配置し、拡張したレンダリング画像の下段の左から右へ、領域D、領域A、領域B、領域Cの順に配置、又は、viii)n×2mピクセルに拡張したレンダリング画像の左列の上から下へ、領域C、領域D、領域B、領域Aの順に配置し、拡張したレンダリング画像の右列の上から下へ、領域D、領域A、領域C、領域Bの順に配置することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像の作成方法である。
【0030】
また、本発明は、印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェアであって、ベクトルデータであるベジェ曲線又はスプライン曲線によって形成されるベクターオブジェクトを配置するためのユニットを作成するステップと、ユニットにベクターオブジェクトを配置するステップと、i)ベクターオブジェクトにグラデーション属性を設定するステップ、又は、ii)ベクターオブジェクトにラスタライズ属性を設定するステップ、又は、iii)新たなベクターオブジェクトを任意の個数配置するステップと、任意の個数の前記ベクターオブジェクトにブレンド属性を設定するステップ、の少なくとも一つのステップで、ベクターオブジェクト群を形成するステップと、さらに、必要に応じて、ベクターオブジェクト群を追加するステップと、を繰り返すことで作成されたユニットを保存するステップと、ユニットを読み込むステップと、ユニットから、出力解像度とスクリーン線数に応じたn×mピクセル(n、mは整数)のレンダリング画像を作成するステップと、レンダリング画像を、ハーフトーンスクリーニングのための臨界配列へ変換するステップと、ハーフトーンスクリーニングを行う階調画像を読み込むステップと、階調画像を、出力解像度に応じて再サンプルを行うことで、再サンプル画像を作成するステップと、再サンプル画像に臨界配列を用いて、ハーフトーンスクリーニングを行うことで、網点画像を作成するステップと、網点画像を保存するステップを備え、ベクターオブジェクト群のi)のグラデーション属性、ii)のラスタライズ属性及び、iii)のブレンド属性は、階調差が8bit値において1以上255以下であり、iii)の任意の個数のベクターオブジェクトは夫々の濃度と大きさが異なるベクターオブジェクトであることを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェアである。
【0031】
また、本発明は、レンダリング画像を、二分割、又は四分割、又は八分割したもののうち、一つの領域を主領域とし、主領域以外の領域を副領域とし、主領域を、副領域に対して、iv)点対称の反転、又は、v)線対称の反転、又は、vi)時計回り/反時計回りに回転したものを配置することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェアである。
【0032】
また、本発明は、レンダリング画像を階調反転する、又は、主領域を、副領域に対して、階調反転を伴いながら展開して、配置することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェアである。
【0033】
また、本発明は、レンダリング画像に対し、隣接する2×2の4画素から成る画素群をグループに振り分け、グループは隣接するグループと1画素分ずつ重複しており、グループに含まれる画素の8bit値の平均値を算出し、平均値を1画素として、レンダリング画像の平均値の並び順を保持したまま、xy軸を斜め45度方向に置換し、レンダリング画像を再構築することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェアである。
【0034】
また、本発明は、レンダリング画像に対し、レンダリング画像の矩形の比率を維持した四分割の左上の領域を領域A、右上の領域を領域B、左下の領域を領域C、右下の領域を領域Dとし、vii)2n×mピクセルに拡張したレンダリング画像の上段の左から右へ、領域B、領域C、領域D、領域Aの順に配置し、拡張したレンダリング画像の下段の左から右へ、領域D、領域A、領域B、領域Cの順に配置、又は、viii)n×2mピクセルに拡張したレンダリング画像の左列の上から下へ、領域C、領域D、領域B、領域Aの順に配置し、拡張したレンダリング画像の右列の上から下へ、領域D、領域A、領域C、領域Bの順に配置することを特徴とする印刷物で階調を表現するための網点画像を作成するためのソフトウェアである。
【発明の効果】
【0035】
本発明の網点画像の作成方法を用いれば、出力解像度やスクリーン線数の変動に左右されず、かつセキュリティ印刷物に求められる複雑な網点形状を有した網点画像の作成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図4】特定の濃度値を持つ階調画像を、臨界配列を利用し、網点化する例を示す図
【
図7】スクリーン線数によるモチーフの再現性を示す図
【
図8】Type1の方法を用いて臨界配列を作成する例を示す図
【
図9】Type3の方法を用いて臨界配列を作成する例を示す図
【
図10】Type1の方法を用いて臨界配列を作成する例を、三次元関数の図形で表現した例を示す図
【
図11】本発明の実施の形態におけるベクターオブジェクトを示す図
【
図12】本発明の実施の形態におけるベクターオブジェクト群を示す図
【
図13】本発明の実施の形態におけるユニットを示す図
【
図14】本発明の実施の形態におけるレンダリングを示す図
【
図15】本発明の実施の形態におけるレンダリング画像を示す図
【
図16】本発明の実施の形態におけるユニットの作成方法のフローチャートを示す図
【
図17】本発明の実施の形態におけるベクターオブジェクトにグラデーション属性を付与した例を示す図
【
図18】本発明の実施の形態におけるベクターオブジェクトにラスタライズ属性を付与した例を示す図
【
図19】本発明の実施の形態におけるベクターオブジェクト同士にブレンド属性を設定した例を示す図
【
図20】本発明の実施の形態における網点画像の作成方法のフローチャートを示す図
【
図21】本発明の実施の形態における網点画像を示す図
【
図22】本発明の実施の形態における最適化の処理のフローチャートを示す図
【
図23】本発明の実施の形態における最適化の処理を施したものと、そのヒストグラムを示す図
【
図24】本発明の実施の形態におけるハーフトーンスクリーニングのフローチャートを示す図
【
図25】本発明の実施の形態におけるレンダリング画像の一部を主領域とし、副領域へ回転を伴いながら展開する例を示した図
【
図26】本発明の実施の形態におけるレンダリング画像の一部を主領域とし、副領域へ回転と階調の反転を伴いながら展開する例を示した図
【
図27】本発明の実施の形態における網点画像を示す図
【
図28】本発明の実施の形態における展開・階調反転と再構築処理に関するフローチャートを示す図
【
図29】本発明の実施の形態における画素群と平均値の例を示す図
【
図30】本発明の実施の形態における平均値を用いて画像を再構築した例を示す図
【
図31】本発明の実施の形態におけるスクリーン線数の変動を回避する例を示す図
【
図32】本発明の実施の形態における網点画像を示す図
【
図33】本発明の実施の形態における展開・階調反転と再構築処理と拡張処理に関するフローチャートを示す図
【
図34】本発明の実施の形態におけるレンダリング画像を分割した図
【
図35】本発明の実施の形態における拡張処理を行ったレンダリング画像を示す図
【
図36】本発明の実施の形態における網点画像を示す図
【
図37】本発明の実施の形態における拡張処理を行ったレンダリング画像を示す図
【
図38】本発明の実施の形態における網点画像を示す図
【
図39】本発明の実施の形態ごとの網点画像の例を示す図
【
図40】本発明の実施の形態ごとの網点画像と連続階調による網点の違いを示す図
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明するが、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。
【0038】
(実施の形態1)
(ユニット)
本発明の実施の形態1では、例えば、
図11に示すように、後述するベクターオブジェクト〔8〕を有する矩形のユニット〔9〕を使用して臨界配列〔3〕を作成する。なお、実施の形態1では、ユニット〔9〕の形状を正方形(M=N。M及びNは整数。)で説明するが、ユニット〔9〕は平面を隙間なく埋め尽くすことができる形状であれば、M≠Nの長方形でもよい。
【0039】
(ベクターオブジェクト)
ベクターオブジェクト〔8〕とは、
図11に示すように、円、楕円、多角形等の図形をベクトルデータ(例えば、ベジェ曲線やスプライン曲線)で描画したものである。また、
図12に示すように、複数のベクターオブジェクト〔8〕をまとめたものを、ベクターオブジェクト群〔10〕と称する。このベクターオブジェクト群〔10〕を上から見ると、
図13に示すようなユニット〔9〕となる。
【0040】
(レンダリング)
レンダリングとは、
図14に示すように、ベクターオブジェクト群〔10〕を有するユニット〔9〕を画素化して、レンダリング画像〔11〕を作成する処理である。このレンダリング画像〔11〕は、
図15に示すように、画素〔6〕の集合体で構成され、この画素〔6〕から、ハーフトーンスクリーニングに必要な臨界配列〔3〕の要素〔5〕の数と閾値〔4〕が決定される。それぞれの画素〔6〕は、8bit値(0から255)を10進数または16進数で記述した画素値〔12〕を有する。
【0041】
(ユニットの作成方法)
図16に、ユニット〔9〕の作成方法のフローチャート図を示す。
【0042】
S1-01として、ユニット〔9〕を作成する。ユニット〔9〕のサイズは、M×N(M及びNは整数)の矩形とし、例えば、M及びNは「mm」の単位系を用いる。
【0043】
S1-02として、ユニット〔9〕にベクターオブジェクト〔8〕を配置する。ユニット〔9〕にベクターオブジェクト〔8〕が含まれていないと、階調を表現する網点〔7〕が作成されないため、階調画像〔1〕を網点画像〔2〕に変換することができない。そのため、ベクターオブジェクト〔8〕の少なくとも一部がユニット〔9〕に含まれるように配置することが必要となる。
【0044】
S1-03として、
図17に示すように、ベクターオブジェクト〔8〕にグラデーション属性〔13〕を設定する。グラデーション属性〔13〕とは、ベクターオブジェクト〔8〕に対して、連続階調(グラデーション)を付与するものである。このグラデーション属性〔13〕は、8bit値で1以上255以下の階調差を持つことが必要となる。ここで階調差を持たない場合、グラデーションを付与することができず、求める網点画像を表現することが難しくなる。階調画像〔1〕を網点画像〔2〕へ変換する際に、階調差に基づいて、網点〔7〕の階調ごとの大きさが決定される。
【0045】
S1-04は、S1-02と同様の処理を行う。
【0046】
S1-05として、
図18に示すように、ベクターオブジェクト〔8〕にラスタライズ属性〔14〕を設定する。ラスタライズ属性〔14〕とは、ベクターオブジェクト〔8〕内を画素化して階調を付与するものである。このラスタライズ属性〔14〕は、8bit値で1以上255以下の階調差を持つことを要件とする。ここで階調差を持たない場合、ラスタライズ属性を付与することができず、求める網点画像を表現することが難しくなる。階調画像〔1〕を網点画像〔2〕へ変換する際に、階調差に基づいて、網点〔7〕の階調ごとの大きさが決定される。
【0047】
S1-06は、S1-02と同様の処理を行う。
【0048】
S1-07として、S1-06で配置したベクターオブジェクト〔8〕とは異なる大きさのベクターオブジェクト〔8〕を配置する。なお、ベクターオブジェクト〔8〕の形状については相似であってもよい。また、S1-06で配置したベクターオブジェクト〔8〕と、S1-07で配置したベクターオブジェクト〔8〕は、夫々が持つ濃度が8bit値で1以上異なることを要件とする。ここで階調差を持たない場合、後述のブレンド属性を付与することができず、求める網点画像を表現することが難しくなる。階調画像〔1〕を網点画像〔2〕へ変換する際に、階調差に基づいて、網点〔7〕の階調ごとの大きさが決定される。
【0049】
S1-08として、更に別のベクターオブジェクト〔8〕を追加で配置してもよい。追加する場合は、S1-07の直前へ戻る。
【0050】
S1-09として、
図19に示すように、複数配置されたベクターオブジェクト〔8(a),8(b)〕同士にブレンド属性〔15〕を設定する。なお、ブレンド属性(15)とは、例えば、形状や濃度の異なるベクターオブジェクトA〔8(a)〕からベクターオブジェクトB〔8(b)〕の間に、形状や濃度の変化を伴いながら、均等に分布される複数のベクターオブジェクト〔8(c)〕を補間生成するものである。このブレンド属性〔15〕は、8bit値で1以上255以下の階調差を持つことを要件とする。ここで階調差を持たない場合、ブレンド属性を付与することができず、求める網点画像を表現することが難しくなる。階調画像〔1〕を網点画像〔2〕へ変換する際に、階調差に基づいて、網点〔7〕の階調ごとの大きさが決定される。
【0051】
S1-10として、S1-03、S1-05、又はS1-09において作成されたユニットに更に別のベクターオブジェクト〔8〕を追加で配置してもよい。追加する場合は、S1-01の直後へ戻る。
【0052】
なお、一つのユニットを作成するにあたっては、グラデーション属性の設定(S1-03)、ラスタライズ属性の設定(S1-05)、ブレンド属性の設定(S1-09)のうち少なくとも一つの属性の設定をベクターオブジェクト〔8〕に対して行う必要がある。
【0053】
S1-11として、ベクターオブジェクト〔8〕からなるベクターオブジェクト群〔10〕を含むユニット〔9〕を保存する。
【0054】
(網点画像の作成方法)
図20に、網点画像〔2〕の作成方法のフローチャート図を示す。
【0055】
S2-01として、階調画像〔1〕を読み込む。仮に、階調画像〔1〕の画素群が8bit値(0から255)でない場合は、8bit値(0から255)に変換する。ここで、8bit値へ変換する方法として、例えば8bit値になるまで256で割り続けるという方法等の公知の方法を使用すればよい。
【0056】
S2-02として、S2-01で読み込んだ階調画像〔1〕に対して、出力解像度に応じた再サンプルの処理を実行する。なお、再サンプルの処理とは、画像処理において広く使われている技法であり、階調画像〔1〕が有する画素数を増減させる演算処理(例えば、バイリニア法やバイキュービック法)である。
【0057】
S2-03として、前述のS1-01からS1-11で示したユニット〔9〕の作成方法で作成したユニット〔9〕を読み込む。
【0058】
S2-04として、S2-03で読み込んだユニット〔9〕に対して、前述のレンダリング処理を行い、レンダリング画像〔11〕を作成する。このレンダリング画像〔11〕の画素数は、出力解像度とスクリーン線数によって決まる。なお、レンダリング画像〔11〕の縦方向の画素数(m)と、横方向の画素数(n)は(
図15を参照)、以下に示す[数2]によって算出する。
【0059】
【0060】
S2-05として、S2-04で作成したレンダリング画像〔11〕に、後述にて説明する最適化の処理を行う。
【0061】
S2-06として、S2-05でレンダリング画像〔11〕に最適化の処理を行って作成された臨界配列〔3〕を用いて、S2-02で再サンプルの処理を実行した階調画像〔1〕に、後述にて説明するハーフトーンスクリーニングの処理を行う。
【0062】
S2-07として、S2-06でハーフトーンスクリーニングの処理を実行して作成された網点画像〔2〕を保存する。このようにして作成された網点画像〔2〕は、例えば、
図21に示すような形態となる。
【0063】
(最適化)
図22に、レンダリング画像〔11〕を最適化して、臨界配列〔3〕へ変換する処理のフローチャート図を示す。最適化とは、レンダリング画像〔11〕の画素値を臨界配列〔3〕の閾値〔4〕に最適な値に変換することである。
【0064】
S3-01として、レンダリング画像〔11〕の縦と横の画素数から画素〔6〕の総数を計算する。
【0065】
S3-02として、レンダリング画像〔11〕の画素値〔12〕ごとの画素数を集計する。この集計結果は、例えば、以下に示す表1のような形態となる。
【0066】
【0067】
S3-03として、累計配列a(i)(0≦i≦255)を定義する。この累計配列a(i)とは、コンピュータプログラミングにおける一次元配列である。
【0068】
S3-04として、累計配列a(0)に「0」を代入する。ここで累計配列a(0)の値を0にすることで、階調画像〔1〕を網点画像〔2〕に変換した際に、常に黒い部分が発生することを防ぐ。
【0069】
S3-05として、ループ1の処理を実行する。ループ1は、i=1から始まり、i=255になるまで、iに1を加算する反復処理である。ループ1の終了後、S3-07へ進む。
【0070】
S3-06として、以下に示す[数3]を実行して、累計配列a(i)の各インデックス(i)に、累計の画素数を格納する。ループ1の終了後、累計配列a(i)は、例えば、以下に示す表2のような形態となる。
【0071】
【0072】
【0073】
S3-07として、臨界配列b(n,m)を定義する。この臨界配列b(n,m)とは、コンピュータプログラミングにおける二次元配列であり、n×m(n及びmは整数)の要素で構成される。なお、n及びmは、S2-04で作成したレンダリング画像〔11〕のn及びmと同数である。
【0074】
S3-08として、ループ2の処理を実行するために変数yを定義する。ループ2は、y=0から始まり、y<mの間は、yに1を加算する反復処理である。
【0075】
S3-09として、ループ3の処理を実行するために変数xを定義する。ループ3は、x=0から始まり、x<nの間は、xに1を加算する反復処理である。ループ3の終了後、ループ2へ戻る。
【0076】
S3-10として、以下に示す[数4]を実行して、臨界配列b(x,y)に、[数4]で算出された8bit値(0から255)を格納する。なお、この演算処理で発生する小数点以下の値は、四捨五入して整数値とする。
【0077】
【0078】
以上の最適化の処理によって、
図23(a)に示すような、ヒストグラム(画像の濃度分布図)を持つレンダリング画像〔11〕が、
図23(b)に示すような、ヒストグラムを持つ臨界配列〔3〕へ変換される。
【0079】
(ハーフトーンスクリーニング)
図24に、ハーフトーンスクリーニングのフローチャート図を示す。
【0080】
S4-01として、
図24にあるように、変数hに、S2-02で再サンプルの処理を実行した階調画像〔1〕の横方向の画素数を代入する。また、
図24にあるように、変数vに、S2-02で再サンプルの処理を実行した階調画像〔1〕の縦方向の画素数を代入する。
【0081】
S4-02として、網点画像(h,v)を作成する。この網点画像〔2〕とは、コンピュータプログラミングにおける二次元配列である。
【0082】
S4-03として、ループ1の処理を実行するために変数yを定義する。ループ1は、y=0から始まり、y<vの間は、yに1を加算する反復処理である。
【0083】
S4-04として、ループ2の処理を実行するために変数xを定義する。ループ2は、x=0から始まり、x<hの間は、xに1を加算する反復処理である。ループ2の終了後、ループ1へ戻る。
【0084】
S4-05として、
図24にあるように、変数dxに、xを臨界配列〔3〕の横方向の要素〔5〕の数(n)で除算した剰余を代入する。
図24にあるように、変数dyに、yを臨界配列〔3〕の縦方向の要素〔5〕の数(m)で除算した剰余を代入する。
【0085】
S4-06として、S2-02で再サンプルの処理を実行した階調画像〔1〕(x,y)の画素値〔12〕と、前述の臨界配列b(dx,dy)の閾値〔4〕を階調反転した値(255-閾値〔4〕)を比較する処理を行う。この処理は、コンピュータプログラミングにおける条件分岐であり、後者より前者が小さい場合は「真」を返し、それ以外の場合は「偽」を返すものである。
【0086】
S4-07として、網点画像(x,y)に「1」を代入する。
【0087】
S4-08として、網点画像(x,y)に「0」を代入する。
【0088】
以上のハーフトーンスクリーニングの処理によって、
図21に示すような、網点画像〔2〕が生成される。
【0089】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1のS2-04とS2-05の間にレンダリング画像〔11〕の展開、もしくは展開及び階調反転の処理を加えることで、網点形状に複雑さを与えるものである。
【0090】
実施の形態2では、
図25に示すように、レンダリング画像〔11〕を簡略化した図(以下、「簡略図〔11′〕」とする。)を用いて説明をする。簡略図〔11′〕を二分割、又は四分割、もしくは八分割したもののうち、一つの領域を主領域〔16〕とし、主領域〔16〕以外の領域を副領域〔17〕とする。
【0091】
図25(a)、
図25(b)、
図25(c)及び
図25(d)は、簡略図〔11′〕を二分割した際の主領域〔16〕を副領域〔17〕に展開した例である。なお、
図25(a)及び
図25(c)は、主領域〔16〕を副領域〔17〕へ点対称に展開した状態であり、
図25(b)及び
図25(d)は、主領域〔16〕を副領域〔17〕へ線対称に展開した状態である。
【0092】
更に、
図25(e)、
図25(f)、
図25(g)、
図25(h)、
図25(i)及び
図25(j)は、簡略図〔11′〕を四分割した際の主領域〔16〕を副領域〔17〕に展開した例である。なお、
図25(e)及び
図25(h)は、主領域〔16〕を副領域〔17〕へ時計回りに90度回転させたものを時計回りに展開した状態、又は反時計回りに90度回転させたものを反時計回りに展開した状態であり、
図25(f)は、主領域〔16〕を副領域〔17〕へ反時計回りに90度回転させたものを時計回りに展開した状態、又は時計回りに90度回転させたものを反時計回りに展開した状態であり、
図25(g)及び
図25(j)は、主領域〔16〕を副領域〔17〕へ線対象に時計回り又は反時計回りに展開した状態であり、
図25(i)は時計回りに90度回転させたものを時計回りで展開した後、線対象に時計回りで展開させ、再び時計回りに90度回転させたものを時計回りで展開した状態、又は線対称に反時計回りで展開した後、反時計回りに90度回転させたものを反時計回りで展開し、再び線対称に反時計回りで展開した状態である。
【0093】
更に、
図25(k)及び
図25(l)は、簡略図〔11′〕を八分割した際の主領域〔16〕を副領域〔17〕に展開した例である。なお、
図25(k)は、主領域〔16〕を副領域〔17〕へ線対称、点対称、線対称・・・と交互に時計回りに展開した状態、又は点対称、線対称、点対称・・・と交互に反時計回りに展開した状態であり、
図25(l)は、主領域〔16〕を副領域〔17〕へ線対象に時計回りもしくは反時計回りに展開した状態である。
【0094】
また、主領域〔16〕の副領域〔17〕への展開は全て同じ規則性を用いて展開してもよいし、異なる規則性を用いて展開してもよい。
【0095】
次に、展開の際に階調を反転させる処理を加える場合について説明する。
図26に示す簡略
図2〔11′′〕は、簡略図〔11′〕を分割せずにそのまま階調を反転させた状態である。
【0096】
【0097】
【0098】
更に同様に、
図26(k)及び
図26(l)は、前述の
図25(k)及び
図25(l)と同様の展開に、階調の反転の処理を加えたものである。
【0099】
図27は、実施の形態2を用いて作成した網点画像〔2〕の例である。実施の形態2を用いて網点画像〔2〕を作成することで、実施の形態1と比べて、元々のレンダリング画像〔11〕が同じでも、特徴の異なる網点形状を持つ網点画像〔2〕を作成することができる。
【0100】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。実施の形態3は、
図28に示すように、実施の形態1のS2-04とS2-05の間に、レンダリング画像〔11〕の再構築を行う処理として、EX-3を加えるものである。なお、EX-3の前に、実施の形態2の展開及び階調反転の処理(EX-2)を加えてもよい。
【0101】
レンダリング画像〔11〕を、
図29に示すように、隣接する2×2の4画素から成る画素群のグループ〔18〕に振り分け、そのグループ〔18〕に含まれる画素値の平均値〔19〕を算出する。なお、グループ〔18〕は隣接するグループ〔18〕と1画素分ずつ重複する。この平均値〔19〕を1画素とし、レンダリング画像〔11〕の再構築を行う。
【0102】
図29に示すように、水平方向に一列に並ぶ平均値A〔19(a)〕、平均値B〔19(b)〕、平均値C〔19(c)〕、平均値D〔19(d)〕、平均値E〔19(e)〕は、
図30に示すように、再構築において、平均値〔19〕の並び順を保持したままxy軸を斜め45度方向に配置される。再構築後の平均値A〔19(a)〕、平均値B〔19(b)〕、平均値C〔19(c)〕・・・平均値x〔19(x)〕、平均値y〔19(y)〕の配列は、再構築前のレンダリング画像〔11〕における配列と同様の並び順である。
【0103】
この再構築によって、スクリーン線数が変動するが、
図31に示すように、予めレンダリング画像〔11〕の縦横の画素数を√2倍で作成することで、スクリーン線数の変動を回避することができる。なお、
図32は、実施の形態3を用いて作成した網点画像〔2〕の例である。実施の形態3を用いて網点画像〔2〕を作成することで、実施の形態2と比べて、元々のレンダリング画像〔11〕が同じでも、網点形状が45度回転した網点画像〔2〕を作成することができる。
【0104】
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4について説明する。実施の形態4は、
図33に示すように、実施の形態1のS2-04とS2-05の間に、拡張の処理としてEX-4を加えるものである。なお、EX-4の前に、実施の形態2の展開及び階調反転の処理(EX-2)や、実施の形態3の再構築の処理(EX-3)を加えてもよい。
【0105】
図34に示すように、レンダリング画像〔11〕を領域A〔11(a)〕、領域B〔11(b)〕、領域C〔11(c)〕、領域D〔11(d)〕に分割する。
【0106】
図35(a)に示すように、2n(レンダリング画像〔11〕の横方向の画素数nを2倍)×mピクセル(n、mは整数)に拡張したレンダリング画像〔11〕を作成するため、
図35(b)に示すように、上段の左から右へ、領域B〔11(b)〕、領域C〔11(c)〕、領域D〔11(d)〕、領域A〔11(a)〕、下段の左から右へ、領域D〔11(d)〕、領域A〔11(a)〕、領域B〔11(b)〕、領域C〔11(c)〕の並び順で配置する。なお、
図36は、
図35(a)のレンダリング画像〔11〕を用いて作成した網点画像〔2〕の例である。
【0107】
同様に、
図37(a)に示すように、n×2m(レンダリング画像〔11〕の縦方向の画素数mを2倍)ピクセル(n、mは整数)に拡張したレンダリング画像〔11〕を作成するため、
図37(b)のように、左列の上から下へ、領域C〔11(c)〕、領域B〔11(b)〕、領域D〔11(d)〕、領域A〔11(a)〕、右列の上から下へ、領域D〔11(d)〕、領域A〔11(a)〕、領域C〔11(c)〕、領域B〔11(b)〕の並び順で配置する。なお、
図38は、
図37(a)のレンダリング画像〔11〕を用いて作成した網点画像〔2〕の例である。実施の形態4を用いて網点画像〔2〕を作成することで、実施の形態2と比べて、元々のレンダリング画像〔11〕が同じでも、網点形状の位相が半分の長さでずれた、六角形配列と近似した網点画像〔2〕を作成することができる。
【実施例0108】
網点画像〔2〕の実施例を、
図39に示す。
図39(a)は、実施の形態1の方法を用いて作成した網点画像〔2〕、
図39(b)は、実施の形態3の方法を用いて作成した網点画像〔2〕、
図39(c)及び
図39(d)は、実施の形態4の方法を用いて作成した網点画像〔2〕の違いを示すものである。
【0109】
更に、画線面積率0%から100%までの変化を伴う階調画像〔2〕の例を、
図40に示す。
図40(a)は、実施の形態1の方法を用いて作成した網点画像〔2〕、
図40(b)は、実施の形態3の方法を用いて作成した網点画像〔2〕、
図40(c)及び
図40(d)は、実施の形態4の方法を用いて作成した網点画像〔2〕の違いを示すものである。
【0110】
本発明のいくつかの実施の形態及び実施例について説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。また、実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の技術的範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。