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  • 特開-搬送治具 図1
  • 特開-搬送治具 図2
  • 特開-搬送治具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128124
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】搬送治具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032251
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】野口 雅喜
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA23
5F131BA51
5F131CA12
5F131DC23
5F131GA03
(57)【要約】
【課題】物品をベルトコンベヤ上で滞留させる間に生じる粉塵を低減する。
【解決手段】ベルトコンベヤ上で物品が搬送される際に該物品が載る搬送治具であって、上面に該物品を載せられる基台と、該基台の下面に配設され、回転可能な球体をそれぞれ下端に備える3以上の回転部と、を備え、該回転部の該球体を介して該ベルトコンベヤ上に載せられたとき、該回転部の該球体が回転することによって該ベルトコンベヤに対して相対的に移動できる。好ましくは、該基台の下面の前部及び後部には、それぞれ、2以上の該回転部が配設される。または、好ましくは、該基台の下面の前部及び後部には、それぞれ、3以上の該回転部が配設されており、該前部及び該後部では、それぞれ、2以上の該回転部が前後方向に互いにずれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤ上で物品が搬送される際に該物品が載る搬送治具であって、
上面に該物品を載せられる基台と、
該基台の下面に配設され、回転可能な球体をそれぞれ下端に備える3以上の回転部と、を備え、
該回転部の該球体を介して該ベルトコンベヤ上に載せられたとき、該回転部の該球体が回転することによって該ベルトコンベヤに対して相対的に移動できることを特徴とする搬送治具。
【請求項2】
該基台の下面の前部及び後部には、それぞれ、2以上の該回転部が配設されることを特徴とする請求項1に記載の搬送治具。
【請求項3】
該基台の下面の前部及び後部には、それぞれ、3以上の該回転部が配設されており、
該前部及び該後部では、それぞれ、2以上の該回転部が前後方向に互いにずれていることを特徴とする請求項1に記載の搬送治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤで構成される搬送機構で物品を搬送するときに用いられる搬送治具に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等に組み込まれるデバイスチップの製造工場では、半導体ウェーハや樹脂パッケージ基板に代表される板状の被加工物が様々な加工装置によって加工される。この加工装置で使用される加工具の製造工場やデバイスチップの製造工場では、ベルトコンベヤで構成される搬送機構により被加工物や完成品、加工具等の物品が搬送されることがある。そして、ベルトコンベヤで搬送される物品は、容器や台等の搬送治具に載せられた状態で搬送されることがある。
【0003】
ベルトコンベヤで構成される搬送機構では、複数の搬送治具が同時に流れて物品がそれぞれの搬送先に搬送される。そして、この搬送機構では他の搬送治具等の位置や状況、搬送先の受け入れ状況等の事情により、稼働するベルトコンベヤ上で特定の搬送治具が留め置かれることがある。例えば、搬送治具を滞留させたい領域のすぐ下流に棒状または板状の規制具(ストッパー)を進入させておくと、流れてきた搬送治具がこの規制具に当たり、ベルトコンベヤの進行するベルトに対して滑りつつ搬送治具が該領域に滞留する。
【0004】
このとき、ベルトと搬送治具が擦れることにより双方が削られるため、粉塵が発生する。この粉塵が雰囲気中に舞い上がり、搬送対象の物品や搬送治具、ベルトコンベヤの駆動機構等に付着すると問題となる。例えば、搬送機構で生じた粉塵を除去する技術は開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-131294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ベルトコンベヤ上で搬送治具を滞留させている際に生じる粉塵をすべて回収するのは容易ではない。また、粉塵が生じ続ける間に、ベルトと搬送治具の消耗が進行する。そのため、ベルトや搬送治具の寿命(使用可能期間)が短く高頻度でこれらの交換が必要であるとの問題は、粉塵を回収する方法では解消されない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ベルトコンベヤ上で滞留する間に生じる粉塵が極めて少ない搬送治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ベルトコンベヤ上で物品が搬送される際に該物品が載る搬送治具であって、上面に該物品を載せられる基台と、該基台の下面に配設され、回転可能な球体をそれぞれ下端に備える3以上の回転部と、を備え、該回転部の該球体を介して該ベルトコンベヤ上に載せられたとき、該回転部の該球体が回転することによって該ベルトコンベヤに対して相対的に移動できることを特徴とする搬送治具が提供される。
【0009】
好ましくは、該基台の下面の前部及び後部には、それぞれ、2以上の該回転部が配設される。
【0010】
また、好ましくは、該基台の下面の前部及び後部には、それぞれ、3以上の該回転部が配設されており、該前部及び該後部では、それぞれ、2以上の該回転部が前後方向に互いにずれている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る搬送治具では、物品が載せられる基台の下面に3以上の回転部が設けられている。各回転部は、回転可能な球体を下端に備える。そして、搬送治具は、回転部の球体を介してベルトコンベヤ上に載せられる。この場合、進行するベルトに載り移動する搬送治具が規制具(ストッパー)に当たり搬送治具が滞留するとき、ベルトに接する球体が回転する。これにより、搬送治具がベルトに擦れることがない。
【0012】
そのため、ベルトと搬送治具が擦れることに起因して発生する粉塵の量が著しく減少する。また、ベルトと搬送治具の消耗が低減され、ベルト及び搬送治具の寿命(使用可能期間)が長くなり、交換頻度が低くなる。
【0013】
したがって、本発明の一態様によると、ベルトコンベヤ上で滞留する間に生じる粉塵が極めて少ない搬送治具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(A)は、搬送治具の表側を模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、搬送治具の裏側を模式的に示す斜視図である。
図2図2(A)は、搬送治具を模式的に示す側面図であり、図2(B)は、搬送治具の裏側を模式的に示す平面図である。
図3図3(A)は、ベルトコンベヤのベルトに載って移動する搬送治具を模式的に示す側面図であり、図3(B)は、進行するベルトに載りつつ滞留する搬送治具を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る搬送治具は、主にベルトコンベヤのベルトに載せられて使用される治具である。搬送対象となる物品を搬送治具に載せ、搬送治具をベルトに載せ、ベルトコンベヤを作動させてベルトを進行させると、搬送治具に載る物品を搬送できる。搬送治具について、詳細は後述する。
【0016】
図3(A)及び図3(B)には、ベルトコンベヤ式の搬送機構1を構成する一部のベルト1a,1b,1cの断面が模式的に示されている。また、ベルト1a,1b,1cに載る搬送治具2の側面図が模式的に示されている。搬送機構1は、単数または複数の環状のベルト1a,1b,1cで搬送元と搬送先とを結ぶ自動搬送路である。
【0017】
搬送機構1は、物品の搬送方向の上流側と下流側とに設けられた少なくとも一対のローラー(不図示)を有する。この一対のローラーの間には、複数の他のローラー(不図示)が並べられてもよい。各ローラーは、物品の搬送方向を横切る方向に沿うように設けられる。
【0018】
各ベルト1a,1b,1cは、ゴム、樹脂、布等で形成された帯状かつ環状の部材であり、各ローラー上に渡って配設される。搬送機構1は、少なくとも一つのローラーに接続されたモーター等の回転駆動源を有し、回転駆動源を作動させこのローラーを回転させることでベルト1a,1b,1cを進行させる。
【0019】
環状のベルト1a,1b,1cの各部は、搬送経路の上流から下流に各ローラーの上を渡りつつ進行方向に沿って進行し、その後、別の経路から搬送経路の上流に戻る。進行するベルト1a,1b,1cの上に搬送対象となる物品を搭載した搬送治具2が載っていると、搬送経路上を搬送治具2が移動して物品が搬送される。
【0020】
搬送機構1が複数のベルト1a,1b,1cを有する場合、各ベルト1a,1b,1cが直列的に配設される。図3(A)には、ベルト1aと、ベルト1aの次のベルト1bと、が模式的に示されている。2つの隣接するベルト1a,1b間には、隙間3が生じる。搬送治具2は、各隙間3を渡りつつ複数のベルト1a,1b,1c上を次々に進み、最終的に搬送先に到達する。ベルトコンベヤ式の搬送機構1では、複数の物品が同時に次々に搬送されてもよい。
【0021】
搬送機構1では、他の搬送治具2の位置や搬送状況、搬送先の受け入れ状況等の事情により、ある搬送治具2を特定の領域に滞留させることがある。このとき、他の搬送治具2の移動を止めたくない等の事情がある場合、ローラーの回転駆動源を停止させず、図3(B)に示すように当該領域のすぐ下流に棒状または板状等の規制具(ストッパー)5を進入させる。この場合、搬送経路を流れてきた搬送治具2がこの規制具5に当たり、ベルトコンベヤのベルト1cに対して滑りつつ搬送治具2が該領域に滞留する。
【0022】
従来、このときにベルト1cと搬送治具2が擦れていたため、双方が削られて粉塵が発生していた。この粉塵が雰囲気中に舞い上がり、搬送対象の物品や搬送治具2、ベルトコンベヤの駆動機構等に付着して問題となっていた。また、ベルト1a,1b,1cと搬送治具2の消耗が早く進行するため、ベルト1a,1b,1cや搬送治具2の寿命が短く高頻度で交換する必要があり、問題となっていた。
【0023】
そこで、本実施形態に係る搬送治具2では、ベルト1a,1b,1cと搬送治具2との擦れを低減し、擦れに起因する粉塵の発生や、双方の消耗を抑制できる構成を採用する。以下、本実施形態に係る搬送治具2について説明する。本実施形態に係る搬送治具2は、ベルトコンベヤ上で物品が搬送される際に該物品が載る容器や台等である。搬送対象となる物品は、搬送治具2に載せられてベルトコンベヤ式の搬送機構1で搬送される。
【0024】
図1(A)は、搬送治具2の表側を模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、搬送治具2の裏側を模式的に示す斜視図である。図2(A)は、搬送治具2を模式的に示す側面図であり、図2(B)は、搬送治具2の裏側を模式的に示す平面図である。
【0025】
搬送治具2は、上面4aに搬送対象となる物品を載せられる基台4を有する。基台4の形状及び大きさは、搬送対象となる物品の形状や大きさを考慮して決定される。各図には、直方体状または平板状の基台4が模式的に示されているが、基台4の形状はこれに限定されない。また、基台4の上面4aには、搬送対象となる物品の保持に適した所定の形状を有する構造物(不図示)等が形成されていることが好ましい。この構造物等の形状は、例えば、柱状、壁状、穴状、または凹凸形状等であり、特に制限はない。
【0026】
各図において、説明の便宜上、搬送治具2の前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。搬送治具2は、例えば、搬送経路の下流方向に基台4の前面6aを、また、上流方向に後面6bを向けた状態でベルト1a,1b,1cに載せられ、ベルト1a,1b,1cの進行に伴って搬送経路上を移動する。
【0027】
搬送治具2は、球体保持機構10と、球体保持機構10に保持された回転可能な球体12と、を備える回転部8を基台4の下面4bに備える。球体保持機構10及び球体12は、金属または樹脂等の材料で構成される。球体保持機構10は、球体12を介して印加される荷重に耐えつつ球体12を回転可能に保持する機構であり、下端に球体12の一部を露出させる。すなわち、回転部8は、回転可能な球体12を下端に備える。
【0028】
より詳細に説明する。球体保持機構10の内部には球体12の上部を覆いつつ移動可能に配設された多数の小球(不図示)が組み込まれており、球体12の上部がこの多数の小球に接している。この小球が移動することにより、球体保持機構10に保持された球体12を回転が許容される。また、球体12の半分以上の表面が球体保持機構10で覆われており、球体保持機構10からの球体12の脱落が防止されている。ただし、球体保持機構10の構成は、これに限定されない。
【0029】
基台4の下面4bには、3以上の回転部8が設けられる。各回転部8の球体12の下端の高さ位置は統一されており、搬送治具2をベルトコンベヤのベルト1a,1b,1cに載せるとき、複数の回転部8の球体12のみがベルト1a,1b,1cに接する。このときに、基台4等の搬送治具2のその他の構成は、ベルト1a,1b,1cに接しない。すなわち、搬送治具2は、回転部8の球体12を介してベルトコンベヤ上に載せられる。
【0030】
なお、仮に、基台4の下面4bに設けられた回転部8の数が1または2である場合、搬送治具2は安定的に姿勢を維持できずに傾斜し、基台4がベルト1a,1b,1cに接触してしまう。そのため、回転部8の最低限の数は、3となる。ただし、回転部8の数は3に限定されず、4以上とされてもよい。
【0031】
例えば、基台4の下面4bの前部(前面6a側、X軸方向正側)及び後部(後面6b側、X軸方向負側)には、それぞれ、2以上の回転部8が配設されるとよい。そして、前部と後部では、それぞれ、少なくとも2つの回転部8が左右方向(Y軸方向)に沿って離間されて基台4の下面4bに配設されるとよい。この場合、ベルトコンベヤ上を移動する搬送治具2の姿勢が安定する。
【0032】
搬送機構1の進行するベルト1a,1b,1cに搬送治具2を載せると、搬送治具2が搬送経路に沿って移動する。そして、図3(B)に示すように、搬送治具2を搬送経路上の特定の領域に留めるために規制具5を搬送経路に進入させておくと、搬送治具2が規制具5に当たり、搬送治具2が当該領域に留まり続ける。
【0033】
ここで、搬送機構1のベルト1cの駆動源が停止しなければ、搬送治具2に対してベルト1cが進行し続ける。例えば、搬送治具2が回転部8を備えず基台4が直接ベルト1cに接する場合、このときに基台4とベルト1cが擦れて粉塵が発生したり、基台4やベルト1cが消耗したりする。
【0034】
これに対して、本実施形態に係る搬送治具2は回転部8を備え、回転可能な球体12を介してベルト1cに接する。そのため、ベルト1cに接する各回転部8の球体12がベルト1cの進行に伴って回転する。換言すると、搬送治具2は、回転部8の球体12が回転することによってベルトコンベヤのベルト1cに対して相対的に移動できる。この場合、搬送治具2が所定の領域に留まりつつベルト1cが進行するときに、球体12の回転により搬送治具2とベルト1cの擦れが抑制される。
【0035】
以上に説明する通り、本実施形態に係る搬送治具2では、搬送治具2がベルト1c上の特定の領域に滞留するときに球体12が回転することにより搬送治具2及びベルト1cの消耗が抑制されるとともに、粉塵の発生も抑制される。そのため、搬送機構1や搬送治具2、搬送治具2で搬送される搬送対象の物品等が粉塵で汚染されにくくなる。また、ベルト1cや搬送治具2の消耗も低減され、ベルト1c等の交換頻度を低減できる。
【0036】
なお、各図に示すように、本実施形態に係る搬送治具2では基台4の下面4bの前部及び後部に、それぞれ、3以上の回転部8が配設されていてもよい。特に、基台4の下面4bの前部及び後部では、それぞれ、2以上の回転部8が前後方向(X軸方向)に互いにずれていることが好ましい。
【0037】
ベルトコンベヤ式の搬送機構1が複数のベルト1a,1b,1cにより構成される場合、図3(A)に示す通り、搬送治具2はベルト1a,1b,1c間の隙間3を渡る。このときに隙間3に回転部8が落ち込むと、搬送治具2の姿勢が大きく崩れ、搬送対象となる物品に大きな負荷がかかることや搬送治具2の向きが変わることが考えられる。
【0038】
しかしながら、隙間3を回転部8が通過する際に、当該回転部8の近傍で他の回転部8の球体12が隙間3の前後いずれかのベルト1a,1bに接していれば、この他の回転部8により基台4が支持される。そして、基台4の下面4bの前部及び後部のそれぞれにおいて2以上の回転部8が前後方向(X軸方向)に互いにずれていると、いずれかの回転部8が隙間3にかかるときに近傍の他の回転部8がベルト1a,1bに接する。そのため、隙間3に起因する問題が生じなくなる。
【0039】
なお、本実施形態に係る搬送治具2が使用される搬送機構1においては、搬送治具2の移動に適した条件でベルト1a,1b,1cを進行させるように、専用の制御が実施されてもよい。搬送治具2は、球体12を介してベルト1a,1b,1cに接するため、従来の搬送機構1の動作では搬送治具2を計画の通りに移動できないことが考えられる。
【0040】
例えば、停止しているベルト1a,1b,1cの上に搬送治具2を載せ、搬送機構1の駆動源を作動させベルト1a,1b,1cを進行させるとき、その速度や加速度が大きすぎると、球体12が回転しつつ慣性により搬送治具2が同じ場に留まり続けようとする。逆に、進行しているベルト1a,1b,1cを停止させるとき、その減速が急であると、停止したベルト1a,1b,1c上を搬送治具2が慣性により走りだす。
【0041】
そのため、搬送治具2の回転部8の球体12の回転を考慮して搬送機構1の動作内容が決定されることが求められる。ここで考慮の対象となる要素は、例えば、球体12の大きさ、重さ、材質、表面の凹凸形状の有無と程度、球体保持機構10に対する球体12の回転のしやすさ、搬送治具2及び搬送対象となる物品の重さ、回転部8の数等である。さらに、ベルト1a,1b,1cの硬さ、厚さ、材質、表面の凹凸形状の有無と程度等も考慮の対象となる。
【0042】
これらの要素を考慮した搬送機構1の動作内容の選定が困難であれば、実際に搬送治具2を搬送機構1のベルト1a,1b,1cの上に載せつつ様々な条件で搬送機構1の駆動機構を動作させ、搬送治具2の移動の傾向の評価に基づいて選定を実施してもよい。そして、評価結果に基づいてベルト1a,1b,1cの進行速度または加速度の上限等が決定されるとよい。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、搬送治具2の基台4の下面4bに配設される回転部8の配置が下面4bの中央を挟んで前部及び後部で対称形となる場合を図示しながら搬送治具2について説明した。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、搬送治具2の基台4の下面4bにおける回転部8の配置は、前部及び後部で非対称形でもよい。
【0044】
その他、上述した実施形態や変形例等にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0045】
1 搬送機構
1a,1b,1c ベルト
3 隙間
5 規制具
2 搬送治具
4 基台
4a 上面
4b 下面
6a 前面
6b 後面
8 回転部
10 球体保持機構
12 球体
図1
図2
図3