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特開2023-128363電子機器、画像形成装置及び電子機器の異常判定方法
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  • 特開-電子機器、画像形成装置及び電子機器の異常判定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128363
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】電子機器、画像形成装置及び電子機器の異常判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
G01R29/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032666
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光男
(57)【要約】
【課題】ノイズの発生元の特定を容易にし、正常な状態に復旧するまでに掛かる時間およびコストを低減する。
【解決手段】電子機器は、少なくとも1つの電装品と、電装品の異常を判定する電装品異常判定部と、電装品から入力される入力信号に基づいて、入力信号の異常を判定する入力異常判定部と、入力異常判定部により判定された入力信号の異常の回数をカウントする異常値カウント部と、動作中の電装品を示す動作情報を保持する動作情報保持部と、電装品異常判定部により電装品の異常が判定された場合、異常値カウント部によりカウントされた入力信号の異常の回数と、動作情報保持部により保持される動作情報とに基づいて、電装品異常判定部により判定された異常の発生要因が、電装品異常判定部により異常が判定された電装品であるか、動作情報で示される動作中の電装品によるノイズであるかを判定する判定部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電装品と、
前記電装品の異常を判定する電装品異常判定部と、
前記電装品から入力される入力信号に基づいて、入力信号の異常を判定する入力異常判定部と、
前記入力異常判定部により判定された入力信号の異常の回数をカウントする異常値カウント部と、
動作中の前記電装品を示す動作情報を保持する動作情報保持部と、
前記電装品異常判定部により前記電装品の異常が判定された場合、前記異常値カウント部によりカウントされた入力信号の異常の回数と、前記動作情報保持部により保持される動作情報とに基づいて、前記電装品異常判定部により判定された異常の発生要因が、前記電装品異常判定部により異常が判定された電装品であるか、前記動作情報で示される動作中の電装品によるノイズであるかを判定する判定部と、を有する
電子機器。
【請求項2】
前記判定部は、
前記異常値カウント部によりカウントされた異常の回数が第1閾値以上の入力信号である異常入力信号が、前記電装品異常判定部により異常が判定された前記電装品に関連する場合、前記異常の発生要因が、前記電装品異常判定部により異常が判定された前記電装品であると判定し、
前記異常入力信号が、前記電装品異常判定部により異常が判定された前記電装品に関連しない場合、前記異常の発生要因が、前記動作情報で示される動作中の電装品によるノイズであると判定する
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
情報を表示する表示部を有し、
前記判定部は、判定した前記異常の発生要因に対応するアラーム情報を前記表示部に表示させる
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
情報を外部に送信する通信インタフェースを有し、
前記判定部は、判定した前記異常の発生要因に対応するアラーム情報を前記通信インタフェースを開始して外部に送信する
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
画像を形成する画像形成部と、
少なくとも1つの電装品と、
前記電装品の異常を判定する電装品異常判定部と、
前記電装品から入力される入力信号に基づいて、入力信号の異常を判定する入力異常判定部と、
前記入力異常判定部により判定された入力信号の異常の回数をカウントする異常値カウント部と、
動作中の前記電装品を示す動作情報を保持する動作情報保持部と、
前記電装品異常判定部により前記電装品の異常が判定された場合、前記異常値カウント部によりカウントされた入力信号の異常の回数と、前記動作情報保持部により保持される動作情報とに基づいて、前記電装品異常判定部により判定された異常の発生要因が、前記電装品異常判定部により異常が判定された電装品であるか、前記動作情報で示される動作中の電装品によるノイズであるかを判定する判定部と、を有する
画像形成装置。
【請求項6】
少なくとも1つの電装品を有する電子機器の異常判定方法であって、
前記電装品の異常を判定する電装品異常判定処理と、
前記電装品から入力される入力信号に基づいて、入力信号の異常を判定する入力異常判定処理と、
前記入力異常判定処理により判定された入力信号の異常の回数をカウントする異常値カウント処理と、
動作中の前記電装品を示す動作情報を保持する動作情報保持処理と、
前記電装品異常判定処理により前記電装品の異常が判定された場合、前記異常値カウント処理によりカウントされた入力信号の異常の回数と、前記動作情報保持処理により保持される動作情報とに基づいて、前記電装品異常判定処理により判定された異常の発生要因が、前記電装品異常判定処理により異常が判定された電装品であるか、前記動作情報で示される動作中の電装品によるノイズであるかを判定する要因判定処理と、を実施する
電子機器の異常判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、画像形成装置及び電子機器の異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電装品が搭載される電子機器の異常として、電装品の故障に伴う異常と、ノイズに伴う異常とがある。ノイズに伴う異常は、例えば、接地が十分でないことによる電源ノイズ等により発生する場合がある。この種の電子機器において、電装品から入力される所定の信号の異常の発生回数をカウントし、電装品で異常が検知されたときに、信号の異常の発生回数に基づいて、電装品に発生した異常の要因がノイズであるか否かを判定する手法が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電装品の異常の要因がノイズであると判定されても、ノイズの発生元が特定されない場合、実際には正常である電装品の異常が検知され続けるおそれがある。電装品の異常がノイズ起因であると繰り返し判定される場合、例えば、ノイズの発生元を特定する作業が行われる。しかしながら、やみくもにノイズの発生元の特定を試みる場合、時間およびコストが掛かってしまい、さらには、ノイズの発生元が特定できないおそれもある。また、電装品の異常により電子機器が正常に動作せず、かつ、ノイズの発生元が特定できない場合、電子機器を動作させることができない。
【0004】
上記の課題に鑑み、本発明は、電装品の異常の発生がノイズ起因であることが判定された場合、ノイズの発生元の特定を容易にし、正常な状態に復旧するまでに掛かる時間およびコストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の電子機器は、少なくとも1つの電装品と、前記電装品の異常を判定する異常判定部と、前記電装品から入力される入力信号に基づいて、入力信号の異常を判定する入力異常判定部と、前記入力異常判定部により判定された入力信号の異常の回数をカウントする異常値カウント部と、動作中の前記電装品を示す動作情報を保持する動作情報保持部と、前記異常判定部により前記電装品の異常が判定された場合、前記異常値カウント部によりカウントされた入力信号の異常の回数と、前記動作情報保持部により保持される動作情報とに基づいて、前記異常判定部により判定された異常の発生要因が、前記異常判定部により異常が判定された電装品であるか、前記動作情報で示される動作中の電装品によるノイズであるかを判定する判定部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
電装品の異常の発生がノイズ起因であることが判定された場合、ノイズの発生元の特定を容易にし、正常な状態に復旧するまでに掛かる時間およびコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図2図1の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図2の画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】異常判定装置として機能する図3のCPUの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて実施形態が説明される。なお、以下では、本発明が画像形成装置に適用される例が説明される。しかしながら、本発明は、少なくとも1つの電装品が搭載される電子機器に適用可能である。
【0009】
本発明を適用可能な電子機器として、例えば、エアコン、洗濯機、冷蔵庫または3Dプリンタ等の故障時にサービスマンによる修理メンテナンスが必要となる家電製品がある。また、本発明を適用可能な電子機器として、IoT(Internet of Things)の普及により電子機器化が進む自動車、ドローンまたは飛行機等がある。さらに、本発明を適用可能な電子機器として、人命にかかわるため正確な故障診断を必要とする電子医療機器、あるいは、インフラ設備または製造工程で使用される管理システム等がある。
【0010】
[実施形態]
<画像形成装置の全体構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。画像形成装置100は、コピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能等を複合機(MFP:Multifunction Peripheral /Printer /Product)である。画像形成装置100は、電子機器の一例である。画像形成装置100は、入力画像を保存する機能または入力画像を配信する機能等を有してもよい。例えば、入力画像は、スキャナ機能による読み取られた原稿、またはFAX機能により入力された画像等である。
【0011】
画像形成装置100は、PC(Personal Computer)等の外部装置と通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じて動作することもできる。なお、実施形態において、画像形成装置100で処理される画像は、画像を含む画像データだけでなく、画像が含まれないテキストデータを含んでもよい。
【0012】
画像形成装置100は、いわゆる電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、帯電された感光体表面を選択的に露光することにより静電潜像を形成し、形成した静電潜像にトナーを付着させ、付着させたトナーを用紙等の記録媒体に転写し、定着させる。
【0013】
画像形成装置100は、図1に示すように、操作パネル10と、起動スイッチ20と、制御基板30と、読取部40と、エンジン制御部5と、プリンタ部6と、給紙カセット7A、7Bと、搬送部8と、電源装置1とを有する。なお、制御基板30と、エンジン制御部5と、プリンタ部6と、給紙カセット7A、7Bと、搬送部8とは、画像形成装置100の内部に設けられるが、図1においては内部を透視した状態が示される。
【0014】
操作パネル10は、ユーザの操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、図示しない表示部に各種の情報を表示する。例えば、操作パネル10に表示される情報は、入力を受け付けた操作を示す情報、画像形成装置100の動作状況を示す情報、または、画像形成装置100の設定状態を示す情報などである。
【0015】
例えば、操作パネル10は、タッチパネル機能を有する液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)を含んでもよい。あるいは、操作パネル10は、タッチパネル機能を有する有機EL(Electro-Luminescence)表示装置を含んでもよい。さらに、操作パネル10は、タッチパネル機能を有する表示装置に加えて、ハードウェアキー等の操作部およびランプ等の表示部の少なくともいずれかを有してもよい。
【0016】
起動スイッチ20は、画像形成装置100の電源を起動するスイッチである。画像形成装置100は、電源のオフ状態中に起動スイッチ20が押下されると起動され、起動中に起動スイッチ20が押下されるとオフ状態になる。なお、画像形成装置100の電源のオン/オフは、起動スイッチ20の操作に限定されず、外部装置からの起動指示または終了指示に基づいて行われてもよい。
【0017】
制御基板30には、画像形成装置100の全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等のコントローラを含む複数の電子部品が搭載される。例えば、制御基板30に搭載される電子部品は、描画、通信、操作パネル10からの入力等を制御する。例えば、制御基板30に搭載される電子部品は、操作パネル10で受け付けた操作に基づいて、画像形成装置100を制御し、コピー動作等を実施する。また、制御基板30に搭載される電子部品は、PC等の外部機器から受け付けた指示に基づいて、画像形成装置100を制御してもよい。さらに、制御基板30に搭載される電子部品は、起動スイッチ20の押下が検知された場合、または、画像形成装置100の異常が検知された場合等に、予め決められた動作を画像形成装置100に実行させてもよい。
【0018】
なお、制御基板30には、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサの代わりに、SoC(System on Chip)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の半導体チップが搭載されてもよい。あるいは、制御基板30には、CPUとともにSoCまたはFPGAが搭載されてもよい。SoCまたはFPGAが制御基板30に搭載されることで、制御基板30のサイズを小さくすることができる。
【0019】
読取部40は、例えば、ADF(Auto Document Feeder)41とスキャナ部42とを有する。ADF41は、ADF41上に置かれた原稿を順次しスキャナ部42に搬送し、原稿を光学的に読み取ることで、画像データを生成する。スキャナ部42は、透明な原稿台の上に載置された原稿を光学的に読み取ることで、画像データを生成する。
【0020】
エンジン制御部5は、読取部40により生成された画像データに基づき、プリンタ部6および搬送部8を制御する制御信号を生成する。例えば、エンジン制御部5は、画像データに基づき制御信号を生成するため回路が搭載された回路基板の形態を有してもよい。
【0021】
プリンタ部6は、画像を形成する画像形成部として機能する。プリンタ部6は、感光体ドラム61と、帯電部62と、書込みユニット63と、現像部64と、搬送ベルト65と、定着部66とを有する。帯電部62は、感光体ドラム61の外周面を帯電させる。書き込みユニット63は、読取部40により読み取られた画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム61上を露光して、感光体ドラム61上に静電潜像を書き込む。現像部64は、感光体ドラム61上に書き込まれた潜像をトナーで現像する。搬送ベルト65は、トナー画像を形成する記録媒体を搬送する。定着部66は、記録媒体上のトナーを記録媒体に定着させ、記録媒体上にトナー画像を形成する。
【0022】
給紙カセット7A、7Bは、トナー画像が形成される前の用紙等の記録媒体を収納する。例えば、給紙カセット7A、7Bは、サイズが互いに異なる記録媒体を収納可能である。なお、図1では、2つの給紙カセット7A、7Bが画像形成装置100に設けられる例が示されるが、給紙カセットの数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0023】
搬送部8は、各種ローラを有し、給紙カセット7Aまたは給紙カセット7Bに収納された記録媒体をプリンタ部6に搬送する。なお、図1における矢印Cは、記録媒体の搬送方向を示している。電源装置1は、例えば、商用電源等の交流電源に基づいて複数種の直流電圧に生成し、生成した直流電圧を、画像形成装置100の各構成部に供給する。
【0024】
画像形成装置100は、ユーザにより操作パネル10の機能切替キー等が操作され、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能またはファクシミリ機能等が選択されることで、各機能を動作可能な状態になる。画像形成装置100の動作モードは、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなる。また、画像形成装置100の動作モードは、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能選択時にはファクシミリモードとなる。
【0025】
以下に、画像形成装置100のコピーモードに設定された場合の画像形成の動作の例が説明される。なお、以下では、プリンタ部6がモノクロの電子写真方式によって画像を形成する例が説明されるが、カラーの電子写真方式またはインクジェット方式などによって画像が形成されてもよい。さらに、画像形成方式は、これらに限定されない。
【0026】
コピーモードにおいて画像形成装置100は、コピーする各原稿の画像情報を読取部40により読み取り、画像データを生成する。画像形成装置100は、感光体ドラム61の外周面を、暗中にて帯電部62により一様に帯電させる。次に、画像形成装置100は、図1の点線矢印Aで示す書込みユニット63からの照射光により感光体ドラム61上を露光して、感光体ドラム61の外周面上に静電潜像を形成する。図1の矢印Bは、感光体ドラム61の回転方向を示している。
【0027】
画像形成装置100は、現像部64を動作させ、静電潜像をトナーにより可視像化させる。これにより、感光体ドラム61上にトナー画像が形成される。次に、画像形成装置100は、感光体ドラム61上に形成されたトナー画像を、搬送ベルト65上の記録媒体に転写する。そして、画像形成装置100は、記録媒体上のトナー画像を形成しているトナーを定着部66のヒータ等で加熱溶融し、記録媒体にトナー画像を定着させる。そして、画像形成装置100は、トナー画像を定着させた記録媒体を排出する。
【0028】
なお、操作パネル10は、制御基板30によって制御されてもよいし、制御基板30とは別の制御回路により制御されてもよい。その場合、制御基板30の制御回路と操作パネル10の制御回路とは、相互に通信可能に接続される。そして、制御基板30は、操作パネル10を含む画像形成装置100の全体を制御する。
【0029】
<画像形成装置のハードウェア構成例>
図2は、図1の画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置100は、制御基板30と、近距離通信回路920と、エンジン制御部5と、操作パネル10と、ネットワークI/F(インタフェース)950とを有する。
【0030】
例えば、制御基板30は、コンピュータの主要部であるCPU32と、システムMEM-P(メモリ)902と、NB(ノースブリッジ)903と、SB(サウスブリッジ)904とを有する。また、制御基板30は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)31と、記憶部であるMEC-C(ローカルメモリ)907と、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ908と、記憶部であるHD(Hard Disk)909とを有する。NB903とASIC31との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続される。
【0031】
CPU32は、画像形成装置100の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU32と、MEM-P902、SB904、およびAGPバス921とを接続する。例えば、NB903は、MEM-P902に対する読み書き等を制御するメモリコントローラ、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットを有する。
【0032】
MEM-P902は、ROM902aとRAM902bとを有する。ROM902aは、画像形成装置100の各機能を実現させるプログラムおよびデータ等を記憶している。RAM902bは、ROM902aから展開されるプログラムおよびデータを記憶し、メモリ印刷時の描画用データ等を記憶する。
【0033】
なお、RAM902bに記憶されるプログラムは、図示しない記録媒体から転送されてもよい。記録媒体は、画像形成装置100の図示しない入出力インタフェースに着脱可能に装着されるCD-ROM、CD-RまたはDVD等である。記録媒体には、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルとして、プログラムおよびデータが記録されている。
【0034】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続する。ASIC31は、画像処理用のハードウェアが搭載され、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907を相互に接続するブリッジの役割を有する。例えば、ASIC31は、PCIターゲットと、AGPマスタと、ASIC31の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C907を制御するメモリコントローラとを有する。また、ASIC31は、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、スキャナ部42およびプリンタ部6の間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとを有する。
【0035】
なお、ASIC31には、USB(Universal Serial Bus)またはIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)用のバスが接続されてもよい。
【0036】
MEM-C907は、コピー用の画像バッファおよび符号バッファとして使用されるローカルメモリである。HD909は、画像データ、印刷時に用いるフォントデータおよびフォームが蓄積される。HDDコントローラ908は、CPU32の制御によりHD909に対するデータの読み出しまたは書き込みを制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースである。AGPバス921は、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速に動作させることができる。
【0037】
近距離通信回路920には、アンテナ920aが接続される。近距離通信回路920は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。ネットワークI/F950は、通信ネットワークを利用してデータ通信をする。ネットワークI/F950は、情報を外部に送信する通信インタフェースの一例である。近距離通信回路920およびネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC31に電気的に接続されている。エンジン制御部5は、スキャナ部42およびプリンタ部6を有する。スキャナ部42またはプリンタ部6は、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理機能を含んでもよい。
【0038】
操作パネル10は、パネル表示部940aおよび入力パネル940bを有する。パネル表示部940aは、画像形成装置100の現在の設定値および選択画面等の表示機能と、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルの機能とを含む。入力パネル940bは、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等を有する。
【0039】
<異常判定装置として機能する画像形成装置の機能構成例>
図3は、図2の画像形成装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。図3では、画像形成装置100の異常の判定に使用される主要な機能部の概要が示される。制御基板30に搭載されるCPU32は、画像形成装置100のコピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能等を制御するとともに、画像形成装置100の異常を判定する異常判定装置として機能する。
【0040】
CPU32は、信号入力部321と、入力異常判定部322と、異常値カウント部323と、電装品異常判定部324と、動作情報保持部325と、電装品インタフェース部326と、制御部327とを有する。制御部327は、要因判定部の一例である。例えば、入力異常判定部322と、異常値カウント部323と、電装品異常判定部324と、動作情報保持部325と、制御部327とは、CPU32が実行する制御プログラムにより実現されてもよい。
【0041】
信号入力部321は、画像形成装置100に搭載される電装品等の各部から各種の入力信号を入力する。例えば、信号入力部321は、プリンタ部6に含まれるセンサ67の検知信号、搬送部8に含まれるモータロック検知回路81による検知信号、またはASIC31の状態信号等を入力信号として周期的に監視する。以下では、信号入力部321は、ハイレベルとロウレベルとに遷移する各種の入力信号を受けるとする。なお、信号入力部321に入力される入力信号の数は、1つでもよい。信号入力部321は、監視した入力信号の論理レベルを入力異常判定部322に出力する。
【0042】
入力異常判定部322は、信号入力部321が周期的に受信した入力信号の論理レベルが異常であるか否かを入力信号毎に判定する入力異常判定処理を実施する。例えば、入力異常判定部322は、入力信号の期待値がハイレベルのときに、信号入力部321にロウレベルが入力された場合、入力信号の異常レベルの発生を判定する。同様に、入力異常判定部322は、入力信号の期待値がロウレベルのときに、信号入力部321にハイレベルが入力された場合、入力信号の異常レベルの発生を判定する。
【0043】
異常値カウント部323は、入力異常判定部322により判定された入力信号の異常の発生回数を、入力信号毎にカウントする異常値カウント処理を実施する。電装品異常判定部324は、画像形成装置100に搭載される各種電装品の異常を判定する電装品異常判定処理を実施する。電装品異常判定部324は、各種電装品の異常を判定した場合、異常の発生を示す情報と、画像形成装置100における異常の発生箇所を示す発生箇所情報とを制御部327に出力する。なお、異常値カウント部323がカウントする異常の発生回数は、所定の周期でリセットされてもよい。
【0044】
動作情報保持部325は、動作中の電装品を示す動作情報を保持する動作情報保持処理を実施する。例えば、画像形成装置100を動作させる制御プログラムを実行するCPU32は、制御プログラムにより動作させているモータ82等の電装品の動作の有無(オンまたはオフ)を示す動作情報を、動作状態が変わる毎に動作情報保持部325に格納する。
【0045】
電装品インタフェース部326は、制御部327からの指示を、搬送部8等に含まれるモータ82と、電源装置1に含まれる高圧電源11と、搬送部8等に含まれるクラッチ83およびソレノイド84等との電装品に出力する。また、電装品インタフェース部326は、モータ82、高圧電源11、クラッチ83およびソレノイド84等の電装品から、これら電装品の動作状況を示す動作情報を受信し、受信した動作情報を制御部327に出力してもよい。
【0046】
制御部327は、電装品異常判定部324が電装品のいずれかの異常を判定した場合、異常値カウント部323でカウントされた入力信号毎の異常の発生回数と、動作情報保持部325に保持された電装品の動作情報とに基づいて要因判定処理を実施する。例えば、制御部327は、異常値カウント部323によるカウント値が第1閾値以上の入力信号である異常入力信号が、異常の発生箇所に関連するか否かを判定する。
【0047】
制御部327は、異常入力信号が異常の発生箇所に関連する場合、電装品異常判定部324により異常が判定された電装品に故障等が発生したと判定する。制御部327は、異常入力信号が異常の発生箇所に関連しない場合、電装品の異常の発生要因がノイズであると判定し、電装品の異常の発生時に動作情報保持部325に保持されている動作情報が示す電装品がノイズの発生源であると判定する。
【0048】
これにより、制御部327は、異常入力信号が、電装品異常判定部324が判定した電装品と関連していない場合、異常の判定要因がノイズであると判定するだけでなく、ノイズの発生源の電装品を判定することができる。すなわち、制御部327は、異常の判定要因がノイズであると判定するだけでなく、ノイズの発生源を推定することができる。
【0049】
この後、制御部327は、異常入力信号が異常の発生箇所に関連するか否かに応じて、電装品の交換等を促すアラーム情報を出力する。例えば、アラーム情報は、操作パネル10の表示部に表示される、サービスマンコールをユーザに促すメッセージである。あるいは、アラーム情報は、ネットワークインタフェース950を介して画像形成装置100のサービス拠点等に送信される異常の発生箇所等の情報である。
【0050】
図4は、異常判定装置として機能する図3のCPU32の動作の一例を示すフローチャートである。すなわち、図4は、画像形成装置100の異常判定方法の一例を示す。図4に示すフローは、図3の電装品異常判定部324が画像形成装置100に搭載される電装品のいずれかの異常を判定したことに基づいて実施される。
【0051】
まず、ステップS10において、制御部327は、各入力信号の異常の発生回数を異常値カウント部323から取得し、異常の発生回数が第1閾値以上の入力信号を異常入力信号と判定する。次に、ステップS20において、制御部327は、画像形成装置100の異常が判定されたときに動作している電装品を示す動作情報を動作情報保持部325から取得する。
【0052】
次に、ステップS30において、制御部327は、異常入力信号が、電装品異常判定部324により異常が判定された電装品に関連するか否かを判定する。制御部327は、異常入力信号が、異常が判定された電装品に関連する場合、ステップS40を実施し、異常入力信号が、異常が判定された電装品に関連しない場合、ステップS60を実施する。
【0053】
ステップS40において、制御部327は、電装品の異常の発生要因が、電装品異常判定部324が判定した異常の発生箇所および異常の発生箇所に入力される信号の少なくともいずれかであると判定する。次に、ステップS50において、制御部327は、判定した異常の発生要因に対応するアラーム情報を出力する。例えば、制御部327は、異常と判定された電装品、または異常と判定された電装品に接続されたハーネス等の部品の交換を促すアラーム情報を出力し、図4に示すフローを終了する。
【0054】
CPU32は、アラーム情報に基づいて、例えば、サービスマンコールをユーザに促すメッセージを操作パネル10の表示部に表示する。なお、CPU32は、判定した異常の発生要因に対応するアラーム情報を、図2のネットワークインタフェース950を介して画像形成装置100のサービス拠点等に送信してもよい。
【0055】
一方、ステップS60において、制御部327は、電装品の異常の発生要因が、ノイズであると判定する。次に、ステップS70において、制御部327は、電装品異常判定部324が電装品の異常を判定したときに動作していた電装品がノイズの発生源であると判定する。例えば、制御部327は、電装品異常判定部324が電装品の異常を判定したときに動作している電装品を、動作情報保持部325に保持されている動作情報から判定することができる。
【0056】
次に、ステップS80において、制御部327は、ステップS70で判定したノイズの発生源の電装品に対応するアラーム情報を出力し、図4に示すフローを終了する。例えば、ノイズの発生源の電装品に対応するアラーム情報は、ノイズの発生源の電装品の交換を促す情報、または、ノイズの発生源の電装品および電装品の周囲の接地状態の確認を促す情報である。ステップS50と同様に、ノイズの発生源の電装品に対応するアラーム情報は、操作パネル10の表示部に表示されてもよく、ネットワークインタフェース950を介して画像形成装置100のサービス拠点等に送信されてもよい。
【0057】
以上、この実施形態では、制御部327は、電装品異常判定部324により電装品の異常が判定された場合、異常値カウント部323によりカウントされた入力信号の異常の回数と、動作情報保持部325により保持される動作情報とを参照する。これにより、制御部327は、電装品異常判定部324による異常の判定要因が、電装品異常判定部324により異常が判定された電装品であるか、動作情報で示される動作中の電装品によるノイズであるかを判定することができる。したがって、制御部327は、異常の判定要因がノイズであると判定するだけでなく、ノイズの発生源の電装品を判定することができる。
【0058】
例えば、制御部327は、異常値カウント部323によるカウント値が第1閾値以上の入力信号である異常入力信号が異常の発生箇所に関連する場合、電装品異常判定部324により異常が判定された電装品に故障等が発生したと判定する。制御部327は、異常入力信号が異常の発生箇所に関連しない場合、電装品の異常の発生要因がノイズであると判定し、電装品の異常の発生時に動作情報保持部325に保持されている動作情報が示す電装品がノイズの発生源であると判定する。
【0059】
この結果、電装品の異常の発生がノイズ起因であることが判定された場合、ノイズの発生元を容易に特定することができ、画像形成装置100が正常な状態に復旧するまでに掛かる時間およびコストを低減することができる。
【0060】
制御部327は、異常入力信号が異常の発生箇所に関連する場合、異常と判定された電装品、または異常と判定された電装品に接続されたハーネス等の部品の交換を促すアラーム情報を表示部に表示させる。あるいは、制御部327は、ネットワークインタフェース950を介して、アラーム情報を画像形成装置100のサービス拠点等に送信する。
【0061】
制御部327は、異常入力信号が異常の発生箇所に関連しない場合、電装品異常判定部324が電装品の異常を判定したときに動作していたノイズの発生源の電装品の交換等を促すアラーム情報を表示部に表示させる。あるいは、制御部327は、ネットワークインタフェース950を介して、アラーム情報を画像形成装置100のサービス拠点等に送信する。
【0062】
これにより、表示部に表示されたアラーム情報を見た画像形成装置100のユーザは、サービス拠点に修理等のメンテナンスを依頼することができる。あるいは、サービス拠点のサービスマン等は、ネットワークを介してアラーム情報を直接確認し、画像形成装置100の設置先に出向いて、メンテナンスを行うことができる。
【0063】
例えば、メンテナンスを行うサービスマンは、やみくもにノイズの発生元の特定を試みなくてもよいため、時間およびコストを低減して、画像形成装置100を正常な状態に復帰させることができる。
【0064】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 電源装置
5 エンジン制御部
6 プリンタ部
7A、7B 給紙カセット
8 搬送部
10 操作パネル
20 起動スイッチ
30 制御基板
31 ASIC
32 CPU
40 読取部
41 ADF
42 スキャナ部
67 センサ
81 モータロック検知回路
82 モータ
83 クラッチ
84 ソレノイド
321 信号入力部
322 入力異常判定部
323 異常値カウント部
324 電装品異常判定部
325 動作情報保持部
326 電装品インタフェース部
327 制御部
100 画像形成装置
950 ネットワークインタフェース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特願2020-138051 明細書
図1
図2
図3
図4