(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128668
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】積層体および包装体
(51)【国際特許分類】
B32B 7/06 20190101AFI20230907BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230907BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B32B7/06
B32B27/32
B65D65/40 D
B65D65/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033185
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AB02
3E086AC07
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4F100AJ04
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4F100JL12C
(57)【要約】
【課題】リサイクルが容易な積層体および包装体を提供する。
【解決手段】内層11と、外層12とを有する積層体10であって、内層11と外層12とが、可溶層13を介して分離可能に積層されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層と外層とを有する積層体であって、前記内層と前記外層とが、可溶層を介して分離可能に積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記可溶層が、前記内層の外面または前記外層の内面に形成された可溶性コート層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記積層体が、前記内層と前記外層との間に、可溶性でない接着層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記積層体が、可溶性でない接着層または印刷層の少なくとも1つを含む中間層を有し、前記可溶層が、前記内層と前記中間層との間に形成された第1の可溶層と、前記外層と前記中間層との間に形成された第2の可溶層とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記内層が密度1.0g/cm3以下の樹脂であり、前記外層が密度1.0g/cm3以上の樹脂であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記外層が少なくとも1層の基材を含み、前記内層が少なくとも1層のシーラントを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
前記内層がポリエチレン系樹脂から形成され、前記外層がポリエチレン系樹脂以外の樹脂層を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項8】
前記可溶層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項9】
前記外層または前記可溶層が、バリア性を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体から形成された包装体。
【請求項11】
前記可溶層が、前記包装体の端部に露出していない請求項10に記載の包装体。
【請求項12】
前記可溶層が、前記内層と前記外層との間において、前記包装体の端部から所定の幅を除いた全面に形成されている請求項11に記載の包装体。
【請求項13】
前記可溶層が、前記包装体の端部に露出している請求項10に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の段落0012や特許文献2の段落0010には、従来から包装袋に使用されるフィルムとして、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等の基材に、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-265020号公報
【特許文献2】特開2013-39932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プラスチック製容器包装の使用後の回収に関して、2種以上の樹脂を含む包装袋は、プラスチック製容器包装としてのリサイクルが難しいという問題がある。リサイクルを容易にするため、単一の樹脂を用いるモノマテリアルの容器包装が提唱されている。単一の樹脂として、ポリエチレン系樹脂は安価で加工も容易であるが、物性、バリア性、生産性等の機能に劣っている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リサイクルが容易な積層体および包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、内層と外層とを有する積層体であって、前記内層と前記外層とが、可溶層を介して分離可能に積層されていることを特徴とする積層体を提供する。
【0007】
前記可溶層が、前記内層の外面または前記外層の内面に形成された可溶性コート層であってもよい。
前記積層体が、前記内層と前記外層との間に、可溶性でない接着層を有してもよい。
前記積層体が、可溶性でない接着層または印刷層の少なくとも1つを含む中間層を有し、前記可溶層が、前記内層と前記中間層との間に形成された第1の可溶層と、前記外層と前記中間層との間に形成された第2の可溶層とを有してもよい。
前記内層が密度1.0g/cm3以下の樹脂であり、前記外層が密度1.0g/cm3以上の樹脂であってもよい。
【0008】
前記外層が少なくとも1層の基材を含み、前記内層が少なくとも1層のシーラントを含んでもよい。
前記内層がポリエチレン系樹脂から形成され、前記外層がポリエチレン系樹脂以外の樹脂層を含んでもよい。
前記可溶層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含有してもよい。
前記外層または前記可溶層が、バリア性を有してもよい。
【0009】
また、本発明は、前記積層体から形成された包装体を提供する。
前記可溶層が、前記包装体の端部に露出していなくてもよい。
前記可溶層が、前記内層と前記外層との間において、前記包装体の端部から所定の幅を除いた全面に形成されていてもよい。
前記可溶層が、前記包装体の端部に露出していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内層と外層との間が、可溶層を介して分離可能であるため、リサイクルが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0013】
実施形態の積層体は、
図1~
図3に示すように、内層11と、外層12とを有する積層体10,20,30であって、内層11と外層12とが、可溶層13を介して分離可能に積層されている。
【0014】
内層11は、積層体10,20,30の内面に配置される。内層11が、積層体10,20,30の最内層を含んでもよい。内層11のさらに内側に、別の層(図示せず)が積層されていてもよい。内層11が、2層以上を有する積層体であってもよい。
【0015】
内層11は、シーラントとして、積層体10,20,30の接合に用いることができる。内層11は、少なくとも1層のシーラントを含むことが好ましい。内層11が2層以上から形成される場合、内層11がシーラント以外の層を含んでもよい。内層11の厚さは、特に限定されないが、例えば、60~180μm程度が挙げられる。
【0016】
内層11のシーラントが、2層以上のポリエチレン系樹脂層を有してもよい。シーラントのポリエチレン系樹脂層は、ポリエチレン系樹脂フィルムから形成することができる。内層11のシーラントを形成する材料の具体例としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、無延伸のポリエチレン等が挙げられる。内層11のシーラントを形成する材料が、1種のポリエチレン系樹脂でもよく、2種以上のポリエチレン系樹脂のブレンドでもよい。
【0017】
外層12は、積層体10,20,30の、内層11よりも厚さ方向の外側に積層される。外層12が、積層体10,20,30の最外層を含んでもよい。外層12のさらに外側に、別の層(図示せず)が積層されていてもよい。外層12が、2層以上を有する積層体であってもよい。
【0018】
外層12は、積層体10,20,30の機械的強度を補強できることが好ましい。積層体10,20,30を長さ方向に搬送して使用する等に際して、外層12を基材として用いることができる。外層12が少なくとも1層の基材を含むことが好ましい。外層12が2層以上から形成される場合、外層12がシーラント以外の層を含んでもよい。外層の厚さは、特に限定されないが、例えば、10~50μm程度が挙げられる。
【0019】
外層12は、ポリエチレン系樹脂層を有してもよく、ポリエチレン系樹脂以外の樹脂層を含んでもよい。外層12を形成する樹脂層としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂層、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂層、ナイロン等のポリアミド系樹脂層等が挙げられる。外層12を形成する材料が、1種の樹脂層でもよく、2種以上の樹脂層でもよく、2種以上の樹脂を含有するブレンド樹脂層でもよい。
【0020】
外層12が、ポリエチレン系樹脂層から形成される場合は、延伸されたポリエチレン系樹脂層でもよく、無延伸のポリエチレン系樹脂層でもよい。外層12をポリエチレン系樹脂層から形成する場合は、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等であってもよい。内層11および外層12の樹脂層がポリエチレン系樹脂層から形成される場合は、ポリエチレン系のモノマテリアル材料を実現することができる。
【0021】
内層11または外層12に用いられるポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)でもよく、エチレンを主体とする共重合体(コポリマー)でもよい。エチレン以外のモノマー(コモノマー)としては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、ノルボルネン等の環状オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリエチレン系樹脂が、酢酸ビニル等のエステル基を有するモノマーを共重合している場合は、エステル基の一部がケン化されて、ビニルアルコールを含む共重合体となっていてもよい。
【0022】
ポリエチレン系樹脂の構成モノマーにおけるエチレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。エチレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。内層11または外層12に含まれる樹脂が、ポリエチレン系樹脂のみでもよい。
【0023】
ポリエチレン系樹脂の少なくとも一部が、リサイクルされたポリエチレン系樹脂を含んでもよい。リサイクルされた樹脂は、使用済みのポリエチレン系樹脂をエチレン等のモノマー等に分解してから再度重合させたケミカルリサイクル樹脂でもよい。使用済みの樹脂をポリマーのまま、粉砕、選別等の工程を経て再生したメカニカルリサイクル樹脂でもよい。リサイクルされた樹脂と新品の樹脂とを混合して使用してもよい。
【0024】
外層12が、ポリエチレン系樹脂層以外の樹脂層から形成される場合は、ポリオレフィン系樹脂層でもよく、ポリオレフィン系樹脂層以外の樹脂層でもよい。内層11および外層12の樹脂層がポリオレフィン系樹脂層から形成される場合は、ポリオレフィン系のモノマテリアル材料を実現することができる。ポリオレフィン系樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、その他のポリオレフィン等から形成することができる。
【0025】
内層11および外層12を同種の樹脂から形成する場合、可溶層13、接着層14等の異種材料層を合計した重量が、積層体10,20,30の全体に対して5重量%以下であることが好ましい。この場合、内層11および外層12に同種の樹脂を用いて、モノマテリアルに近い容器包装を実現することができる。内層11と外層12とが異種の樹脂層から形成される場合でも、可溶層13を溶解することにより、内層11と外層12とが分離可能である。このため、積層体10,20,30のリサイクルが容易になる。
【0026】
内層11および外層12は、それぞれ任意に、樹脂以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、架橋剤等が挙げられる。添加剤は、樹脂に相溶する成分でもよく、樹脂に相溶しない成分でもよい。
【0027】
可溶層13としては、水に溶解可能な水溶層でもよく、アルコール等の有機溶媒に溶解可能な有機溶媒可溶層でもよい。可溶層13を溶解し得る溶媒としては、水、無機溶媒、有機溶媒等、特に限定されないが、使用後の積層体10,20,30から内層11と外層12とを分離して回収するためには、内層11および外層12を溶解しない溶媒が好ましい。具体例としては、水、塩類水溶液、エタノール等のアルコール類、アルコール水溶液、界面活性剤溶液、極性溶媒などが挙げられる。可溶層13が水溶性の場合、水または水溶液を溶媒としてもよい。
【0028】
可溶層13は、溶媒に可溶な可溶性材料から形成することができる。可溶性材料としては、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ウレタン系ポリオール化合物、アクリル系ポリオール化合物、エポキシ系ポリオール化合物、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、デンプン等の多糖類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の多糖類誘導体、ゼラチンやカゼイン等のタンパク質、オキサゾリン基含有化合物、水溶性樹脂、未架橋樹脂などの1種または2種以上が挙げられる。可溶性材料は、水酸基、カルボキシル基等の可溶性を向上する官能基を有する、可溶性樹脂であってもよい。
【0029】
可溶層13が、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を含有してもよい。PVA系樹脂を用いることにより、可溶層13の水溶性を向上するとともに、酸素ガス等のバリア性を向上することができる。PVA系樹脂等のバリア性高分子化合物を溶剤に溶解または分散させて得られる塗料を塗布した後、溶剤を揮発させることで、バリア層を形成することができる。
【0030】
ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は、ビニルエステル系モノマーの重合体をケン化して、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位に変換する等により得られる。ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステルが挙げられる。ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は、ビニルアルコール単位の割合が大きいほど水溶性が高くなる。ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂のケン化度は100mol%に限られないが、例えば80mol%以上が好ましい。
【0031】
ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は、可溶層13の可溶性を損ねない場合、ビニルエステル系モノマー以外のモノマーを共重合してもよい。共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、アルキルビニルエーテル等のエーテル基含有モノマー、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセト酢酸アリル、アセト酢酸エステル等のカルボニル基(ケトン基)含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸類、塩化ビニルや塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類などが挙げられる。
【0032】
可溶層13は、バリアコート剤等のコート剤から形成した可溶性コート層であってもよい。コート剤の塗布装置は、特に限定されないが、グラビアコーター、ナイフコーター、リバースコーター、バーコーター、スプレーコーター、スピンコーター、ダイコーター、スリットコーター、ロールコーター、ディップコーター等が挙げられる。可溶層13は、2層以上または2回以上重ねて塗布されてもよい。
【0033】
可溶層13のコート層を重ねる場合、コート層ごとに異なる塗布装置を用いてもよく、同一または同種の塗布装置を用いてもよい。コート層はベタ状でもよく、パートコート等を用いたパターン状でもよい。パターン状のコート層は、斑点状、島状などコート層の領域が互いに孤立したパターンでもよく、格子状、帯状、縞状などコート層が連続したパターンでもよい。
【0034】
内層11または外層12を含む非可溶性フィルム上にコート層を形成してもよい。非可溶性フィルムの端部を含む全面にコート層を形成してもよい。非可溶性フィルムの端部を除く、所定の範囲にコート層を形成してもよい。コート層の塗布後に非可溶性フィルムの端部をトリミングしてもよい。非可溶性フィルムの端部にコート層が形成されない領域を確保してもよい。
【0035】
可溶層13が、PVAフィルム等の水溶性フィルムであってもよい。可溶層13の水溶性フィルムは、内層11または外層12を含む非可溶性フィルムの全面に重ね合わされてもよい。非可溶性フィルムの全長にわたって水溶性フィルムが重ね合わされてもよく、長さ方向の一部の領域にのみ水溶性フィルムが重ね合わされてもよい。非可溶性フィルムの全幅にわたって水溶性フィルムが重ね合わされてもよく、幅方向の一部の領域にのみ水溶性フィルムが重ね合わされてもよい。
【0036】
可溶層13を溶解することが可能な溶媒は、内層11の密度と外層12の密度との中間の密度を有することが好ましい。例えば、内層11が、水より低比重のポリオレフィン系樹脂等であり、外層12が、水より高比重のポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂等であってもよい。この場合、水(溶媒)で可溶層13を溶解すると、低比重の内層11が水(溶媒)に浮き、高比重の外層12が水(溶媒)に沈むので、内層11と外層12の分離が容易になる。
【0037】
図1に示すように、可溶層13が内層11側に形成されてもよい。
図2に示すように、可溶層13が外層12側に形成されてもよい。
図3に示すように、可溶層13が内層11側と外層12側との両方に形成されてもよい。特に図示しないが、積層体が非可溶性の樹脂層を3層以上有する場合は、可溶層13が2層以上積層されてもよい。この場合は、積層体から3層の樹脂層を分離することもできる。
【0038】
可溶層13が、積層体10,20,30の全面に形成されて、積層体10,20,30の端部の全周に露出されていてもよい。可溶層13が、積層体10,20,30の一部の領域に形成されてもよい。例えば、積層体10,20,30の端部の少なくとも一部において、可溶層13が露出されていなくてもよい。
【0039】
積層体10,20,30の端部を除く、内側の領域にのみ可溶層13が形成されていて、積層体10,20,30の端部の全周にわたり、可溶層13が露出されていなくてもよい。この場合、積層体10,20,30がカットされたときに、可溶層13を端部に露出することができる。
【0040】
積層体10,20,30が所定の形状にカットされて包装体の作製に用いられる場合は、可溶層13が包装体の端部に露出されていてもよく、可溶層13が包装体の端部に露出されていなくてもよい。積層体10,20,30のうち、包装体の各部材に対応する所定の領域において、可溶層13が形成される範囲と、可溶層13が形成されない範囲とを設定してもよい。
【0041】
可溶層13が、積層体10,20,30または包装体の端部から所定の幅を除いた全面に形成されていてもよい。積層体10,20,30が包装体に対応する領域とそれ以外の領域を含む場合は、包装体に対応する領域の端部から所定の幅を除いた全面に、可溶層13が形成されてもよい。
【0042】
積層体10,20,30または包装体の端部からの所定の幅としては特に限定されないが、例えば0.1mm~10mmでもよい。端部から所定の幅で可溶層13が形成されない領域を確保することにより、可溶層13が端部に露出されない積層体10,20,30または包装体を作製することができる。可溶層13が露出されない端部では、内層11と外層12との間に接着層14のみ、または接着層14と印刷層17のみが積層されていてもよい。
【0043】
積層体10,20,30には、内層11,外層12および可溶層13以外の異種材料層として、蒸着層、印刷層、塗布層、接着層等が積層されていてもよい。異種材料としては、アルミニウム等の金属、シリカ、アルミナ等の無機化合物、インキ、塗料、接着剤等が挙げられる。積層体10,20,30の各層を形成する方法は、特に限定されないが、ドライラミネート、押出ラミネート、熱ラミネート、共押出、コーティング等が挙げられる。各層を積層するために、それぞれ異なる方法を用いてもよい。
【0044】
内層11と外層12との間が、接着層14を介して積層されていてもよい。可溶層13が、内層11と外層12とを接合する接着層14を兼ねてもよい。内層11と外層12との間に、可溶層13に加えて、可溶性でない接着層14を形成することにより、内層11と外層12との接着を補強することができる。内層11と外層12との間の接着層14は、可溶層13と接していてもよい。可溶層13と接着層14との間に別の層(図示せず)を有してもよい。
【0045】
接着層14は、接着剤から形成されてもよく、アンカーコート剤から形成されてもよい。接着層14を形成する材料としては、特に限定されないが、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ポリエチレンイミン、チタンアルコキシド等の有機チタン化合物等が挙げられる。接着層14の厚さは、例えば、0.1~10μm程度、1~6μm程度、3~4μm程度が挙げられる。接着層14が樹脂を含んでもよく、樹脂を含まなくてもよい。
【0046】
図1に示す積層体10の場合、内層11の外面に可溶層13を有し、この可溶層13と外層12の内面との間に、可溶性でない接着層14を有する。この場合、内層11および可溶層13を含む内層側積層体15を、接着層14を介して外層12と積層することにより、積層体10を作製することができる。また、可溶層13を溶解することにより、接着層14および外層12を含む外層側積層体16を、内層11から分離することができる。
【0047】
図2に示す積層体20の場合、外層12の内面に可溶層13を有し、この可溶層13と内層11の外面との間に、可溶性でない接着層14を有する。この場合、外層12および可溶層13を含む外層側積層体21を、接着層14を介して内層11と積層することにより、積層体20を作製することができる。また、可溶層13を溶解することにより、内層11および接着層14を含む内層側積層体22を、外層12から分離することができる。
【0048】
特に図示しないが、内層11と可溶層13との間および外層12と可溶層13との間に接着層14を設けてもよい。この場合は、
図1に示す外層側積層体16と、
図2に示す内層側積層体22とが、可溶層13を介して積層された構造となる。可溶層13が、PVAフィルム等の水溶性フィルムである場合は、可溶層13の両面と、内層11および外層12との間でドライラミネートを実施してもよい。内層11側または外層12側のいずれかの接着層14上に可溶層13を積層した後、その上に別の接着層14を積層してもよい。
【0049】
図3に示す積層体30の場合、内層11の外面に第1の可溶層13を有し、外層12の内面に第2の可溶層13を有し、これらの可溶層13の間に、可溶性でない接着層14および印刷層17を含む中間層33を有する。この場合、内層11および第1の可溶層13を含む内層側積層体31と、外層12および第2の可溶層13を含む外層側積層体32とを積層して、積層体30を作製することができる。また、中間層33と内層11または外層12との間にそれぞれ可溶層13が積層されているので、可溶層13を溶解して中間層33を内層11および外層12から分離することができる。特に図示しないが、中間層33は、接着層14のみから形成されてもよく、2層以上の接着層14を含んでもよく、印刷層17のみから形成されてもよく、2層以上の印刷層17を含んでもよい。
【0050】
可溶層13を溶解して分離した後に得られる内層11、外層12、外層側積層体16または内層側積層体22が、それぞれモノマテリアルであることが好ましい。積層体30の場合、異種材料層からなる中間層33を分離することにより、内層11および外層12のリサイクルが容易になる。外層側積層体16または内層側積層体22の全体に対して、接着層14等の異種材料層を合計した重量が、5重量%以下であることが好ましい。また、内層11または外層12が2層以上を有する場合は、内層11または外層12の全体に対して、接着層14等の異種材料層を合計した重量が、5重量%以下であることが好ましい。
【0051】
積層体10,20,30は、印刷層17を有してもよい。印刷層17は、グラビア印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット等の印刷方式でインキをベタ状またはパターン状に印刷することにより、形成することができる。印刷層17の厚さは、特に限定されないが、0.5~10μm程度が挙げられる。印刷層17は、積層体10,20,30の全面に形成してもよく、積層体10,20,30の面内の一部に形成してもよい。2層以上の印刷層17を重ね合わせてもよい。印刷層17を省略してもよい。
【0052】
印刷層17を形成するためのインキは、顔料、染料等の着色材と、バインダーを含んでもよい。バインダーとしては、特に限定されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル系重合体、ポリブタジエン、環化ゴム等が挙げられる。インキは、水、有機溶剤、植物油などの溶剤を含有してもよい。印刷後は、溶剤の揮発やインキの硬化等によりインキを乾燥させることができる。インキの乾燥を促進するため、加熱、紫外線照射等を実施してもよい。印刷層17が樹脂を含んでもよく、樹脂を含まない印刷層17でもよい。
【0053】
積層体10,20,30における印刷層17の位置は特に限定されないが、
図3に示すように、複数の可溶層13の間の中間層33が印刷層17を含んでもよい。特に図示しないが、印刷層17は、内層11の外面、外層12の内面または外層12の外面に形成されてもよい。内層11または外層12が2層以上を有する場合は、印刷層17が内層11または外層12の中間層に含まれてもよい。内層11の外面または外層12の内面に可溶層13が形成される場合は、可溶層13の上に印刷層17を形成してもよく、印刷層17の上に可溶層13を形成してもよい。
【0054】
積層体10,20,30は、バリア層(図示せず)を有してもよい。バリア層は、外層12に積層されるバリア性樹脂層、異種材料層等であってもよい。上述したように、可溶層13がバリア層を兼ねてもよい。積層体10,20,30が、2層以上または2種以上のバリア層を含んでもよい。外層12が2層以上を有する場合は、そのうち少なくとも1層がバリア層であればよい。
【0055】
バリア層のバリア性としては、水蒸気に対するバリア性、酸素ガスに対するバリア性、有機化合物に対するバリア性、その他、種々の低分子成分に対するバリア性等が挙げられる。バリア層が、これらのバリア性のうち、2種以上のバリア性を有してもよい。バリア層として、同種または異種のバリア性を有する2以上のバリア層を積層してもよい。バリア層を形成するための材料は特に限定されず、公知のバリア性材料から適宜選択してもよい。バリア層が金属箔、金属層等から形成される場合、バリア層が遮光層を兼ねることができる。
【0056】
内層11の材料として好適に使用されるポリエチレン系樹脂は、上述のLLDPEやLDPE等、相対的に密度が低く、分子間の隙間が大きいため、香料や水分などの低分子成分が透過しやすい。ポリエチレン系樹脂よりもバリア性の高い緻密な材料をバリア層として積層することにより、積層体10,20,30の剥離や劣化、内容物の変質等を抑制することができる。内層11をポリエチレン系樹脂から形成する等の場合は、外層12または可溶層13にバリア性を付与してもよい。外層12のバリア性と可溶層13のバリア性とを併用してもよい。
【0057】
積層体10,20,30の製造方法は特に限定されないが、少なくとも可溶層13を介して、内層11と外層12とを接合することにより、積層体10,20,30を作製することができる。内層11と外層12との接合に接着層14を用いてもよい。接着層14を介して内層11と外層12とを接合する前に、内層11または外層12の少なくとも一方に可溶層13を形成してもよい。可溶層13が水溶性である場合、可溶層13を乾燥した後に、接着層14を形成してもよい。内層11と外層12とを接合した後に、内層11の内側または外層12の外側に、さらに別の層(図示せず)を積層してもよい。
【0058】
内層11または外層12が2層以上を含む場合、それぞれの層間に接着層14を用いてもよい。2層以上の内層11または外層12を形成した後に、可溶層13または接着層14を形成してもよい。内層11の内側または外層12の外側に別の層(図示せず)を積層する際に、接着層14を用いてもよい。
【0059】
内層11と外層12とを接合した後の積層体10,20,30は、周縁部における内層11および外層12の端部の位置が揃うように、積層体10,20,30の厚さ方向に裁断してもよい。積層体10,20,30の端部の位置が揃っている場合、積層体10,20,30の外観が良好になる。また、端部における可溶層13の断面積が小さいため、積層体10,20,30の使用中における可溶層13の分離を抑制することができる。内層11の端部および外層12の端部の位置が異なるように、内層11および外層12の位置をずらして接合してもよい。この場合、端部の位置ずれを利用して、内層11と外層12との剥離を容易にすることができる。
【0060】
外層12または可溶層13がバリア性を有する場合、積層体10,20,30の端部における内層11と外層12との位置ずれが狭いことが好ましい。例えば、積層体10,20,30の周縁部にヒートシールを形成して、包装体を形成する場合は、内層11と外層12との位置ずれが、シール幅の範囲内であることが好ましい。これにより、内層11のバリア性が低くても、シール部の内側に形成される内容物の収容部がバリア層に覆われるため、内容物に対するバリア性が良好となる。シール幅は、特に限定されないが、例えば、1~20mm程度が挙げられる。
【0061】
実施形態の積層体10,20,30は、樹脂層を主体とした積層フィルム状であり、種々の用途に用いることができる。積層体10,20,30から包装体を形成するには、積層体10,20,30の内層11同士を向かい合わせて、融着により積層体10,20,30を接合することができる。また、内層11と外層12とを向かい合わせて接合してもよく、外層12同士を向かい合わせて接合してもよい。同種の積層体10,20,30同士で、例えば積層体10と積層体10とを接合してもよく、異種の積層体10,20,30同士で、例えば積層体10と積層体20とを接合してもよい。
【0062】
包装袋の少なくとも1の部材が、実施形態の積層体10,20,30から形成されてもよい。包装袋が胴部材と底部材とを有してもよい。例えば、包装袋の下部で、折り線により二つ折りにした底部材が、一対の胴部材の間に接合されてもよい。包装袋の開封を容易にするため、開封部の周縁にノッチ等の切れ目を形成してもよい。積層フィルムの内面を接合したシール部に切れ目を形成すると、包装袋の密封性を確保することができる。
【0063】
包装体としては、パウチ、バッグなどの包装袋、チューブ、コンテナ、スリーブ包装、ストリップ包装、蓋材等が挙げられる。包装袋の具体例としては、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、ガセット袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。積層体が柔軟な積層フィルムである場合は、軟包装の包装体を形成することができる。包装体は、上述の積層体のみから形成してもよく、ラベル、タグ、ストロー、外箱等の付属部材と組み合わせてもよい。リサイクルの観点では、付属部材を包装体から分離できることが好ましい。
【0064】
包装袋の寸法は、特に限定されるものではないが、例えば詰め替え容器の用途では、上下方向の高さが100~500mm程度、左右方向の幅が70~300mm程度、充填量としては100cm3~5000cm3程度が挙げられる。内容物の状態としては、液体、粉体、粒体等の流体が挙げられる。内容物の種類としては、特に限定されないが、洗剤、薬剤、化粧品、医薬品、飲料、調味料、インキ、塗料、燃料等が挙げられる。
【0065】
包装袋は、充填口、注出口等を有してもよい。例えば、包装袋の上部で前後の胴部材の間が開口されて、内容物の充填または注出に用いることができる。内容物の充填後に胴部材の間を接合して、包装袋を密封してもよい。包装袋を開封する際には、胴部材の間が接合されていた箇所を切り取り、引き裂き等により除去してもよい。注出口が包装袋の上部または隅部で細く突出する形状に形成されてもよい。包装袋が、樹脂成形品の注出口を有する場合は、積層体10,20,30の内層11が注出口と接合されてもよい。
【0066】
内層11が1種または2種以上のポリエチレン系樹脂から形成される場合は、注出口も1種または2種以上のポリエチレン系樹脂から形成されることが好ましい。内層11が1種または2種以上のポリオレフィン系樹脂から形成される場合は、注出口も1種または2種以上のポリオレフィン系樹脂から形成されることが好ましい。樹脂成形品の注出口等が内層11と同種の樹脂から形成されることにより、可溶層13を溶解して、積層体10,20,30を内層11および外層12に分離するとき、樹脂成形品を内層11と一緒にリサイクルすることができる。
【0067】
使用後の積層体10,20,30から内層11と外層12とを分離する方法としては、特に限定されないが、上述の溶媒を可溶層13に浸透させる方法が挙げられる。積層体10,20,30または包装体を破砕した後に、洗浄や浸漬等を実施してもよい。
【0068】
積層体10,20,30または包装体の端部に可溶層13が露出していない場合は、可溶層13が端部の少なくとも一部に露出するように、破砕することが好ましい。これにより、積層体10,20,30または包装体を破砕しない間は、内層11と外層12との剥離を抑制し、破砕後にこれらを分離可能にすることができる。
【0069】
印刷層や接着剤を落とす方法としては、特に限定されないが、可溶層13の溶解により分離したフィルムを水中に浸漬し、ブラシ等でこする、界面活性剤、洗剤、溶剤等を含む洗浄液中で撹拌する等の方法が挙げられる。印刷層や接着剤を落とさないで樹脂をリサイクルすることも可能である。印刷層をフィルムから除去して樹脂をリサイクルする場合は、白色、無色または淡色の樹脂を得ることができ、さらに所望の色に着色することも容易になる。
【0070】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【実施例0071】
以下、実施例を用いて、より具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1の積層体の作製)
ポリエチレン(PE)系樹脂からなる内層11の外面に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂からなる可溶層13を形成して、内層側積層体15を作製した。ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる外層12の内面には、任意に印刷層を形成することができる。ドライラミネート法により接着層14を介して内層側積層体15と外層12とを積層して、実施例1の積層体10を作製した。
【0073】
(実施例2の積層体の作製)
ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる外層12の内面に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂からなる可溶層13を形成して、外層側積層体21を作製した。外層側積層体21の外面には、任意に印刷層を形成することができる。ドライラミネート法により接着層14を介して内層11と外層側積層体21とを積層して、実施例2の積層体20を作製した。
【0074】
(実施例3の積層体の作製)
ポリエチレン(PE)系樹脂からなる内層11の外面に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂からなる可溶層13を形成して、内層側積層体31を作製した。ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる外層12の内面に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂からなる可溶層13を形成して、外層側積層体32を作製した。外層側積層体32の内面には、任意に印刷層17を形成することができる。ドライラミネート法により接着層14を介して内層側積層体31と外層側積層体32とを積層して、実施例3の積層体30を作製した。
【0075】
(実施例4の積層体の作製)
外層12にポリエチレン(PE)系樹脂を用い、その内面に印刷層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の積層体を作製した。この積層体は、「PE/印刷層/接着層/PVA/PE」に示す層構成を有し、ポリエチレン系のモノマテリアル材料を実現することができる。
【0076】
(実施例5の積層体の作製)
可溶層13にカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いたこと以外は実施例4と同様にして、実施例5の積層体を作製した。この積層体は、「PE/印刷層/接着層/CMC/PE」に示す層構成を有し、ポリエチレン系のモノマテリアル材料を実現することができる。
【0077】
(実施例6の積層体の作製)
ポリエチレン(PE)系樹脂からなる内層11と、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる外層12との間に、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムからなる可溶層13を配置し、ドライラミネート法により接着層14を介して内層11と可溶層13と外層12とを積層して、実施例6の積層体を作製した。この積層体は、「PET/接着層/PVAフィルム/接着層/PE」に示す層構成を有する。
【0078】
(実施例1~6の積層体からの分離)
実施例1~6の積層体10,20,30は、可溶層13を溶解させることにより、PEの内層11とPETの外層12とを容易に分離することができた。水溶性のPVA系樹脂を可溶層13に用いた場合、積層体10,20,30の端部から水を接触させることにより、可溶層13を溶解して、内層11と外層12とを分離することができた。
【0079】
(実施例1~6の包装袋の作製)
実施例1の積層体10を包装袋の寸法にカットし、2枚の積層体10の内層11を対向させて周縁部をヒートシールし、実施例1の包装袋を作製した。これと同様に、実施例2~6の積層体を包装袋の寸法にカットし、2枚の積層体の内層11を対向させて周縁部をヒートシールし、実施例2~6の包装袋を作製した。
【0080】
(実施例1~6の包装袋からの分離)
実施例1~6の包装袋は、可溶層13を溶解させることにより、周縁部が袋状に接合された内層11と、表裏2枚の外層12とを容易に分離することができた。水溶性のPVA系樹脂を可溶層13に用いた場合、積層体10,20,30の端部から水を接触させることにより、可溶層13を溶解して、内層11と外層12とを分離することができた。
10,20,30…積層体、11…内層、12…外層、13…可溶層、14…接着層、15,22,31…内層側積層体、16,21,32…外層側積層体、17…印刷層、33…中間層。