(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128979
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】取付けモジュール及びその取付け構造、並びに保護部材
(51)【国際特許分類】
H01R 4/38 20060101AFI20230907BHJP
H01R 11/11 20060101ALI20230907BHJP
H01R 11/12 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01R4/38 B
H01R11/11 Z
H01R11/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033694
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】小川 大介
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012BA12
(57)【要約】
【課題】被取り付け箇所に対して通電可能に効率よく、しっかりと取り付けること。
【解決手段】ワイヤーハーネス100を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所P2a,P2bに対して取り付ける取付本体の取付固定部13a,13bに、被取り付け箇所P2a,P2bに対して締結固定するボルトBを挿通する挿通開口14a,14bが設けられ、ボルトBの締結圧力に対して取付固定部13a,13bを保護する保護部材20a,20bには、挿通開口14aに配置される挿通方向部25と、アース線2を固定する電線固定部21とが備えられた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体と、前記搭載部材と接続された電線とが備えられ、
前記取付本体に、前記被取り付け箇所に対してボルトで締結固定する取付固定部が設けられ、
前記取付固定部に、前記ボルトを挿通する挿通開口が設けられるとともに、
前記挿通開口に配置され、かつ、締結する前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護する保護部材が装着され、
前記保護部材は、導電性部材で構成されるとともに、
前記挿通開口に前記ボルトを挿通する挿通方向に延伸された挿通方向部と、
前記取付固定部における前記被取り付け箇所の反対側に配置され、前記電線を固定する電線固定部とが備えられた
取付けモジュール。
【請求項2】
前記挿通方向部における前記反対側に配置され、前記挿通方向に直交する方向に拡がるフランジ部が設けられるとともに、前記フランジ部に前記電線固定部が設けられた
請求項1に記載の取付けモジュール。
【請求項3】
前記保護部材に、
前記取付固定部における前記被取り付け箇所の側に配置され、前記被取り付け箇所と導電可能に当接する当接フランジ部が備えられた
請求項1又は請求項2に記載の取付けモジュール。
【請求項4】
前記保護部材は、一対構成され、
前記挿通開口における、互いに対向する箇所に配置される
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載の取付けモジュール。
【請求項5】
前記挿通開口は、前記取付固定部における周縁部から平面視内部に向かって延び、前記周縁部が開放された溝開口であるとともに、
前記挿通方向部は、前記溝開口の延伸方向に沿って形成された
請求項4に記載の取付けモジュール。
【請求項6】
前記挿通開口及び前記挿通方向部は、前記ボルトのボルト軸部を挿通可能な長円状に形成された
請求項4に記載の取付けモジュール。
【請求項7】
前記取付本体に、前記取付固定部が複数設けられ、
前記複数の前記取付固定部のうちひとつを基準取付固定部とし、
前記基準取付固定部に設けた前記挿通開口は前記ボルトのボルト軸部を挿通可能な円形状である
請求項5又は請求項6に記載の取付けモジュール。
【請求項8】
前記搭載部材はワイヤーハーネスであるとともに、前記取付本体が内部に前記ワイヤーハーネスを挿通するプロテクタであり、
前記電線は、前記ワイヤーハーネスに備えられたアース線である
請求項1乃至請求項7のうちいずれかに記載の取付けモジュール。
【請求項9】
導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体と、前記搭載部材と接続された電線とが備えられた取付けモジュールにおける、前記取付本体に設けられた取付固定部を、前記被取り付け箇所に対してボルトで締結固定し、
前記取付固定部に設けられた、前記ボルトを挿通する挿通開口に配置され、締結する前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護する保護部材が前記取付固定部に装着され、
前記保護部材は、導電性部材で構成されるとともに、
前記挿通開口に前記ボルトを挿通する挿通方向に延伸された挿通方向部と、
前記取付固定部における前記被取り付け箇所の反対側に配置され、前記電線を固定する電線固定部とが備えられた
取付けモジュールの取付け構造。
【請求項10】
導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体と、前記搭載部材と接続された電線とが備えられた取付けモジュールの前記取付本体に設けられ、前記被取り付け箇所に対してボルトで締結固定する取付固定部に、前記ボルトを挿通する挿通開口が設けられ、前記取付固定部において、該挿通開口に配置され、締結する前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護する保護部材であって、
導電性部材で構成されるとともに、
前記挿通開口に前記ボルトを挿通する挿通方向に延伸された挿通方向部と、
前記取付固定部における前記被取り付け箇所の反対側に配置され、前記電線を固定する電線固定部とが備えられた
保護部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電線を束ねたワイヤーハーネス等を外装するとともに車体における所定の被取り付け箇所に取り付けられる取付けモジュール及びその取付け構造、並びに保護部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に装備された電装機器は、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスを介して、別の電装機器や電源装置と接続して電気回路を構成している。このようなワイヤーハーネスは、プロテクタの内部に挿通されて、配索方向が規制されるとともに、保護している。また、電気回路としては、複数のバスバーをバスバー保持体で保持した端子台に接続されたり、基盤を内部に搭載したジャンクションボックスやリレーボックスなどの電気接続箱に接続されることがある。
【0003】
そして、プロテクタ、端子台、あるいは電気接続箱などの取付けモジュールは、車体における所定の被取り付け箇所に対して取付固定部を締結部材で締結固定される。このとき、被取り付け箇所に取付けモジュールをしっかりと固定するため、特許文献1に示すように、締結部材の締結力による取付固定部の損傷防止を目的とし、締結部材のボルトが挿通されるカラーを取付固定部に設けている。これにより、締結部材の締結力がカラーに作用し、締結部材の締結力で取付固定部が損傷することなく、取付けモジュールを被取り付け箇所に対してしっかりと固定することができる。
【0004】
上述の取付けモジュールでは、例えば、電磁ノイズの影響抑制などのため、車体における所定の被取り付け箇所に対してアース線を通電可能に接続することがある。つまり、被取り付け箇所への固定と、通電のための固定との両方を行う必要があり、取付けのための作業が煩雑になり、作業性を向上することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被取り付け箇所に対して通電可能に効率よく、しっかりと取り付けることができる取付けモジュール及びその取付け構造、並びに保護部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体と、前記搭載部材と接続された電線とが備えられ、前記取付本体に、前記被取り付け箇所に対してボルトで締結固定する取付固定部が設けられ、前記取付固定部に、前記ボルトを挿通する挿通開口が設けられるとともに、前記挿通開口に配置され、かつ、締結する前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護する保護部材が装着され、前記保護部材は、導電性部材で構成されるとともに、前記挿通開口に前記ボルトを挿通する挿通方向に延伸された挿通方向部と、前記取付固定部における前記被取り付け箇所の反対側に配置され、前記電線を固定する電線固定部とが備えられた取付けモジュールであることを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体と、前記搭載部材と接続された電線とが備えられた取付けモジュールにおける、前記取付本体に設けられた取付固定部を、前記被取り付け箇所に対してボルトで締結固定し、前記取付固定部に設けられた、前記ボルトを挿通する挿通開口に配置され、締結する前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護する保護部材が前記取付固定部に装着され、前記保護部材は、導電性部材で構成されるとともに、前記挿通開口に前記ボルトを挿通する挿通方向に延伸された挿通方向部と、前記取付固定部における前記被取り付け箇所の反対側に配置され、前記電線を固定する電線固定部とが備えられた取付けモジュールの取付け構造であることを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体と、前記搭載部材と接続された電線とが備えられた取付けモジュールの前記取付本体に設けられ、前記被取り付け箇所に対してボルトで締結固定する取付固定部に、前記ボルトを挿通する挿通開口が設けられ、前記取付固定部において、該挿通開口に配置され、締結する前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護する保護部材であって、導電性部材で構成されるとともに、前記挿通開口に前記ボルトを挿通する挿通方向に延伸された挿通方向部と、前記取付固定部における前記被取り付け箇所の反対側に配置され、前記電線を固定する電線固定部とが備えられたことを特徴とする。
【0010】
上述の導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体は、アースされた車体のボディパネルなどの被取り付け箇所に対して、ワイヤーハーネスを挿通して取り付けるプロテクタ、ワイヤーハーネスが接続される基盤を搭載して取り付ける電気接続箱、あるいはバスバーを搭載して取り付ける端子台などが含まれる。
【0011】
上述の前記搭載部材と接続された電線は、バスバー等の搭載部品と電気的に接続された電線、あるいはワイヤーハーネスを構成するアース線などを含む。
前記被取り付け箇所に対して締結固定するボルトは、前記被取り付け箇所に対して螺合する別部材のボルトや、前記被取り付け箇所に植設されたスタッドボルトなどを含む。
【0012】
この発明により、取付けモジュールを被取り付け箇所に対して通電可能に効率よく、しっかりと取り付けることができる。
詳述すると、導電する搭載部材を搭載するとともに、導電性を有する被取り付け箇所に対して取り付ける取付本体の取付固定部に、前記被取り付け箇所に対して締結固定するボルトを挿通する挿通開口が設けられている。また、前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護する保護部材に、前記挿通開口に前記ボルトを挿通する挿通方向に延伸された挿通方向部が設けられている。そのため、前記ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部を保護することができ、取付けモジュールを被取り付け箇所に対してしっかりと取り付けることができる。
【0013】
また、ボルトを挿通する挿通開口に配置された状態で前記取付固定部に装着される保護部材は、導電性部材で構成されるとともに、電線固定部が備えられる。さらに、保護部材の電線固定部は、前記取付固定部における前記被取り付け箇所の反対側に配置され、搭載した前記搭載部材と接続された電線を固定する。
【0014】
そして、導電性を有する被取り付け箇所に対して前記取付固定部をボルトで締結固定すると、導電性部材で構成された保護部材の挿通方向部が前記被取り付け箇所と当接して保護部材と被取り付け箇所とが通電可能に導通することとなる。そのため、保護部材の電線固定部に接続された電線は、前記被取り付け箇所と通電可能に導通することとなる。このように、取付けモジュールを被取り付け箇所にボルトで締結固定することで、搭載した前記搭載部材と接続された電線と、導電性を有する被取り付け箇所とを通電可能に導通することができ、取付けモジュールを被取り付け箇所に対して通電可能に効率よく取り付けることができる。
【0015】
この発明の態様として、前記挿通方向部における前記反対側に配置され、前記挿通方向に直交する方向に拡がるフランジ部が設けられるとともに、前記フランジ部に前記電線固定部が設けられてもよい。
この発明により、前記保護部材の前記挿通方向部に前記電線固定部を直接設ける場合に比べ、前記電線固定部を安定して設けることができるとともに、複数の前記電線固定部を設けることができ、複数の電線を接続することができる。
【0016】
また、前記保護部材の前記挿通方向部のみをボルト頭部或いはナットに直接当接させる場合に比べ、フランジ部も含めて当接させることでボルト頭部或いはナットに対する当接面積が増大し、保護部材によって、ボルトの締結圧力に対して前記取付固定部をよりしっかりと保護することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記保護部材に、前記取付固定部における前記被取り付け箇所の側に配置され、前記被取り付け箇所と導電可能に当接する当接フランジ部が備えられてもよい。
この発明により、前記保護部材の前記挿通方向部を被取り付け箇所に直接当接させる場合に比べ、当接フランジ部を設けることで、保護部材は被取り付け箇所に対する当接面積が増大し、導電性を向上させることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記保護部材は、一対構成され、前記挿通開口における、互いに対向する箇所に配置されてもよい。
この発明により、前記保護部材は、筒状の保護部材のように、前記挿通開口の全周に亘って配置せずとも前記取付固定部に装着することが可能となる。したがって、筒状の保護部材に比べ、前記挿通開口の形状、大きさに依存され難くなり、容易に構成することができる。
【0019】
また、前記挿通開口のサイズに応じて一対の前記保護部材の対向間隔を調整できるため、様々なサイズの前記挿通開口に対応して一対の前記保護部材を配置することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記挿通開口は、前記取付固定部における周縁部から平面視内部に向かって延び、前記周縁部が開放された溝開口であるとともに、前記挿通方向部は、前記溝開口の延伸方向に沿って形成されてもよい。
【0021】
この発明により、溝開口の溝幅を調整するだけで、複数の軸径のボルトで締結固定することができる。
また、前記挿通方向部は、前記溝開口の延伸方向に沿って形成されているため、公差等によってボルトやボルトが締結するナットが位置ずれしても、締結固定することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記挿通開口及び前記挿通方向部は、前記ボルトのボルト軸部を挿通可能な長円状に形成されてもよい。
この発明により、長円状に形成された前記挿通開口及び前記挿通方向部の長手方向に対して、公差等によってボルトやボルトが締結するナットが位置ずれしても、締結固定することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記取付本体に、前記取付固定部が複数設けられ、複数の前記取付固定部のうちひとつを基準取付固定部とし、前記基準取付固定部に設けた前記挿通開口は前記ボルトのボルト軸部が挿通可能な円形状であってもよい。
【0024】
この発明により、前記基準取付固定部においては、前記挿通開口が例えば、長穴形状の場合とは異なり、円形状の前記挿通開口に対してボルトを挿通することで、被取り付け箇所に対する取り付け位置を一義的に定めることができる。
【0025】
従って、前記取付本体を複数の前記取付固定部において被取り付け箇所に締結固定する際に、複数の前記取付固定部同士の間隔が所定間隔に対して公差を有する場合であっても、記基準取付固定部は、複数の前記取付固定部の各取り付け位置の中でも、公差により取り付け位置が変動しない基準取付位置として被取り付け箇所に対して取り付けることができる。
【0026】
この発明により、ボルト同士の間隔が公差や部材の伸縮等で所定間隔に比べて変化しても、一方のボルトで基準取付固定部を締結固定することで、取付けモジュールを被取り付け箇所に対してよりしっかりと取り付けることができる。
なお、基準取付固定部の前記挿通開口には、挿通方向部および電線固定部が設けられた保護部材が装着されてもよいし、電線固定部が設けられていない保護部材が装着されてもよい。
【0027】
またこの発明の態様として、前記搭載部材はワイヤーハーネスであるとともに、前記取付本体が内部に前記ワイヤーハーネスを挿通するプロテクタであり、前記電線は、前記ワイヤーハーネスに備えられたアース線であってもよい。
【0028】
この発明により、電線で構成するワイヤーハーネスをプロテクタ内部に挿通し、取付固定部でプロテクタを被取り付け箇所に取り付けることで、ワイヤーハーネスを保護するとともに、配索経路に対して経路規制することができる。また、ワイヤーハーネスのアース線を取付固定部に設けた保護部材の電線固定部に固定しているため、プロテクタを被取り付け箇所に締結固定することで、アース線を接地することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、被取り付け箇所に対して通電可能に効率よく、しっかりと取り付けることができる取付けモジュール及びその取付け構造、並びに保護部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ワイヤーハーネスを搭載するとともに車体に取り付けた本実施形態のプロテクタの要部を示す外観図
【
図5】(a)は
図1中のB-B線に沿った要部拡大断面図、(b)は(a)中のボルトとは異なる軸径に対応して形成された第2取付固定部を
図5(a)に対応して示した断面図
【
図7】(a)は変形例の第2取付固定部の平面図、(b)は
図7(a)中のC-C線に沿った断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。なお、以下では、発明の取付けモジュールをワイヤーハーネス用の外装構造1に適用した実施例について説明する。
【0032】
図中、矢印Zは外装構造1の厚み方向、矢印Wは外装構造1の幅方向、矢印Yは厚み方向Zおよび幅方向Wに直交する方向、すなわち外装構造1の長手方向を夫々示すものとする。さらに、図中、矢印Zaは厚み方向一方側、矢印Zbは厚み方向他方側、矢印Waは幅方向一方側、矢印Wbは幅方向他方側、矢印Yaは長手方向一方側、矢印Ybは長手方向他方側を夫々示すものとする。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の外装構造1は、ワイヤーハーネス100を収容するとともに、車体における、例えば導電性を有する車体パネル200等の被取り付け箇所P2a,P2bに対して取り付けるプロテクタ10と、ワイヤーハーネス100から分岐するアース線2とを備えている。
【0034】
ワイヤーハーネス100は、長手方向Yの各端部が車両に搭載された各種電気機器や電源(バッテリ)などの車載機器にコネクタを介して電気的に接続され、車載機器間に電気を導電する導電路としての複数の電線を備え、車両における所定の配索経路に沿って配索される。
【0035】
アース線2は、複数の取付固定部13a,13bの夫々に対応して複数備え、何れもワイヤーハーネス100から分岐され、夫々に対応する取付固定部13へと側方開口部4a,4bを通って延びている。アース線2は、導体2Tが絶縁被覆2Cで被覆されているが、先端において絶縁被覆2Cが剥がされ、導体2Tが露出されている。
【0036】
本実施形態のプロテクタ10は、自動車等の車両に組み込まれ、全体がワイヤーハーネス100の配索経路に沿うように樹脂成形により一体に形成されている。
【0037】
プロテクタ10は、長手方向Yの略全長に亘って幅方向Wに延びる板状の底面部11と、底面部11の幅方向Wの両側から厚み方向一方側Zaへ垂直に立ち上がる一対の側壁部12a,12bとを有している。プロテクタ10は、底面部11と一対の側壁部12a,12bとによって、厚み方向一方側Zaが開口された内部空間7を有するように長手方向Yに直交する断面形状が断面コ字状(squared U-shape)に形成されている。
プロテクタ10は、ワイヤーハーネス100を内部空間7に収容することで、ワイヤーハーネス100の配索方向を規制するとともにワイヤーハーネス100を保護する。なお、ワイヤーハーネス100は、
図1に示すように、内部空間7に長手方向Yに沿って収容された状態において、プロテクタ10の長手方向Yの両側から外側へ導出される。また、本実施形態のプロテクタ10には、内部空間7の開口を覆う蓋を適宜備えてもよい。
【0038】
図1に示すように、プロテクタ10には、車体における例えば、車体パネル200の所定の被取り付け箇所P2a,P2bに取り付け固定される取付固定部13(13a,13b)が長手方向Yにおいて複数配設されている。
【0039】
また、一対の側壁部12a,12bは、共に長手方向Yにおける取付固定部13a,13bに対応する部位が側方に向けて開口する側方開口部4(4a,4b)が形成されている。側方開口部4は、アース線2が通過可能な幅を有している。
【0040】
図1に示すように、本実施形態のプロテクタ10は、2つの取付固定部13a,13bを備えている。これら2つの取付固定部13a,13bは、プロテクタ10の長手方向Yにおいて互いに離間して配設され、何れも底面部11の幅方向一方側Waの端部から幅方向一方側Waへと張り出して形成されている。
【0041】
ここで、2つの取付固定部13aのうち、長手方向一方側Yaの取付固定部13を第1取付固定部13aと設定するとともに、長手方向他方側Ybの取付固定部13を第2取付固定部13bと設定する。
【0042】
取付固定部13a,13bには、ボルトBを挿通する挿通開口14(14a,14b)が厚み方向Zに貫通形成されている。取付固定部13a,13bは、車体パネル200における被取り付け箇所P2a,P2bに締結手段としてのボルトBおよびナットNで締結固定される。
【0043】
なお、
図1、
図2、
図4に示すように、車体パネル200には、2つの取付固定部13a,13bの夫々が取り付けられる被取り付け箇所P2a,P2bが設定され、これら被取り付け箇所P2a,P2bは、何れもボルトBを挿通可能な挿通開口2a,2bが正円形状に貫通形成されている。
【0044】
取付固定部13a,13bにおける、挿通開口14a,14bの縁部には、ボルトBの締結圧力に対して該取付固定部13a,13bを保護する保護部材20(20a,20b)が装着される。
また、車体パネル200の被取り付け箇所P2a,P2bにおける、夫々に対応する取付固定部13a,13bが取り付けられる側と反対側の面には、ナットNが溶着されている。なお、被取り付け箇所P2a,P2bの挿通開口2a,2bは、ナットNの挿通開口と厚み方向Zに連通する。
【0045】
ここで、第1取付固定部13aに装着される保護部材20を第1保護部材20aに設定するとともに、第2取付固定部13bに装着される保護部材20を第2保護部材20bに設定する。
【0046】
続いて、第1取付固定部13aの構成について説明する。
図1~
図3に示すように、第1取付固定部13aは、第1保護部材20aと共に被取り付け箇所P2a,P2bに対してボルトBおよびナットNによって締結固定される。第1取付固定部13aにおける挿通開口14aは、基準挿通開口14aとして、ボルトBのボルト軸部Bb(
図2、
図3参照)を挿通可能な正円形状に貫通形成されている。
【0047】
第1保護部材20aは、
図1、
図2に示すように、アース線2の導体2Tを固定する電線固定部21と、
図1~
図3に示すように、基準挿通開口14aに配置されるカラー部24とを備え、全体が例えば、アルミニウム等の金属部材により導電性を有して構成される。
【0048】
図1、
図2に示すように、電線固定部21は、被覆圧着部22と導体圧着部23とを備えている。被覆圧着部22と導体圧着部23は、何れもバレル片を有する、いわゆるオープンバレルである。被覆圧着部22は、アース線2の先端における絶縁被覆2Cを、導体圧着部23は、露出する導体2Tを、夫々加締めている。電線固定部21はアース線2の先端の露出する導体2Tに接続(圧着)されている。なお、電線固定部21は、オープンバレルに限らず、アース線2の先端を挿通可能な筒状のクローズドバレルを採用してもよい。
【0049】
図2、
図3に示すように、カラー部24は、ボルトBと、車体の被取り付け箇所P2aとの間に介在し、ボルトBおよびナットNの締結力により第1取付固定部13aの基準挿通開口14aの縁部に装着される。カラー部24は、基準挿通開口14aへの挿通方向、すなわち厚み方向Zに延伸された筒状部25と、該筒状部25の厚み方向一方側Zaの端部から径方向外側へ鍔状に拡がる一方側フランジ部26を備えている。
【0050】
筒状部25は、第1取付固定部13aの基準挿通開口14aに挿通可能な外径を有するとともに、ボルトBのボルト軸部Bbの挿通を許容する内径を有する円筒状に形成されている。また、筒状部25は、一方側フランジ部26よりも厚み方向他方側Zbへの突出長さが、第1取付固定部13aの厚さ(基準挿通開口14aの深さ)に対して同等になるように形成されている。
【0051】
図3に示すように、一方側フランジ部26は、第1保護部材20aの筒状部25を基準挿通開口14aに挿通した状態(嵌め込んだ状態)において、第1取付固定部13aにおける、基準挿通開口14aの厚み方向一方側Zaの周縁に配置される。すなわち、一方側フランジ部26は、基準挿通開口14aに挿通したボルトBのボルト頭部Baと当接可能に基準挿通開口14aの厚み方向Zにおける、被取り付け箇所P2aの側と反対側に配置される。これにより、第1保護部材20aを第1取付固定部13aに装着した状態において、一方側フランジ部26は、ボルト頭部Baと第1取付固定部13aとの間に介在する。
【0052】
また、
図1~
図3に示すように、一方側フランジ部26は、ボルト頭部Baの当接部位よりも径方向に大きい円筒状に形成されている。そして、
図1、
図2に示すように、電線固定部21は、一方側フランジ部26の周方向の一部から径方向外側へ延出され、カラー部24と一体に形成されている。なお、電線固定部21は、導体圧着部23と被覆圧着部22とのうち、導体圧着部23が長手方向一方側Yaを指向するように配置している。
【0053】
続いて、第1取付固定部13aを被取り付け箇所P2aに取り付ける手順について簡単に説明する。まず、第1取付固定部13aにおける基準挿通開口14aに、第1保護部材20aの筒状部25を厚み方向一方側Zaから挿入する。これにより、第1保護部材20aのカラー部24を、筒状部25を基準挿通開口14aに配置した状態で第1取付固定部13aに装着することができる。
【0054】
次に、ボルトBのボルト軸部Bbを被取り付け箇所P2aにおける基準挿通開口14a、厳密には、基準挿通開口14aに配置された筒状部25に有する挿通開口に厚み方向一方側Zaから挿通させる。同時に、被取り付け箇所P2aから厚み方向他方側Zbへと突出するボルト軸部Bbに対してナットNを螺合させる。
【0055】
上述したように、ボルトBおよびナットNの締結力によって、第1取付固定部13aを被取り付け箇所P2aに取り付けることができる。さらに、第1保護部材20aのカラー部24がボルト頭部Baと被取り付け箇所P2aとの間に突っ張り状態で介在するため、上記締結力に対して第1取付固定部13aが損傷しないように第1保護部材20aのカラー部24によって保護することができる。また、第1保護部材20aと被取り付け箇所P2aとは、互いに導通状態となるとともに、アース線2の先端の露出する導体2Tが電線固定部21に接続される。これにより、アース線2は、被取り付け箇所P2aに対してアース接続すなわち、接地される。また、アース端子として機能する第1保護部材20aは、筒状部25を基準挿通開口14aに挿入するだけでプロテクタ10に対して容易に装着することができる。
【0056】
なお、
図3に示すように、本実施形態における、第1取付固定部13aをボルトBおよびナットNにより被取り付け箇所P2aに締結した状態においては、第1保護部材20aの筒状部25の厚み方向他方側Zbの端部と被取り付け箇所P2aの基準挿通開口14aの縁部とが当接するとともに、第1保護部材20aと被取り付け箇所P2aとがボルトBおよびナットNを介して当接する。これにより、第1保護部材20aと被取り付け箇所P2aとは、上述したように互いに導通状態となる。
【0057】
ここで、プロテクタ10を車体に取り付けた際には、被取り付け箇所P2a,P2bに形成される挿通開口2a,2bの形成位置の加工誤差やプロテクタ10自体に生じ得る歪等の要因により、2つの取付固定部13a,13bの車体に対する実際の取り付け位置は、車体に対する本来の取り付け位置に対して公差が生じる。これにより、2つの取付固定部13a,13bの間(2点(13a,13b)間)には、相対的な公差が存在する。
【0058】
よって、本実施形態における、第1取付固定部13aの基準挿通開口14aにおいては、車体に対して所定の取り付け箇所で取り付けつつ、第2取付固定部13bの挿通開口14bにおいては、2点(13a,13b)間の相対的な公差を吸収可能に車体に対して取り付ける構成としている。
【0059】
以下、このような第2取付固定部13bの具体的な構成について説明する。
但し、第1取付固定部13aと同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。また、第1取付固定部13aの車体に対するボルトBの締結位置、すなわち、基準挿通開口14aの位置を第1基準締結位置と設定する。
【0060】
図1、
図4、
図5(a)に示すように、第2取付固定部13bは、第2保護部材20bと共に被取り付け箇所P2bに対してボルトBおよびナットN(
図4、
図5(a)参照)によって締結固定される。
【0061】
図1、
図4に示すように、第2取付固定部13bにおける挿通開口14bは、第2取付固定部13bにおける長手方向一方側Yaの縁部から他方側Yb、すなわち平面視内部に向かって直線状に延びており、長手方向一方側Yaの縁部が開放された溝形状に形成されている。
【0062】
これにより、
図1、
図4に示すように、第2取付固定部13bにおける挿通開口14bは、第2取付固定部13bにおける幅方向Wの中間部位かつ長手方向一方側Yaの部位に、長手方向Yに沿って形成されている。また、挿通開口14bは、長手方向Yの全長に亘ってボルトBのボルト軸部Bbを挿通可能な溝幅を有して形成されている。
【0063】
さらに、挿通開口14bは、第2取付固定部13bの車体への本来の締結位置、すなわち、上述した2点(13a,13b)間の相対的な公差がないと仮定した場合における、第2取付固定部13bのボルトBの締結位置(以下、「第2基準締結位置」と称する)を通過するように長手方向Yに沿って形成されている。
【0064】
さらにまた、第2取付固定部13bの挿通開口14bは、上述した2点(13a,13b)間、すなわち、第1基準締結位置と第2基準締結位置との間を結ぶ仮想直線が延びる方向と溝形成方向が一致するように形成されている。なお、本実施形態においては、溝形成方向は長手方向Yと一致するように形成されている。
【0065】
これにより、
図4、
図5(a)に示すように、第2取付固定部13bは、車体に対するボルトBの締結位置が、2点(13a,13b)間の相対的な公差によって第2基準締結位置に対して位置ずれしたとしても被取り付け箇所P2bの挿通開口2bに対して挿通開口14bを厚み方向Zに連通させることができるため、車体に対してボルトB等を用いて確実に締結することができる。
【0066】
図1、
図4、
図5(a)に示すように、第2保護部材20bは、一対を備えている。一対の第2保護部材20bは、夫々のカラー部24が幅方向Wにおいて互いに対称形状に形成されるとともに、何れも長手方向Yの直交断面が断面コ字状に形成されている。
【0067】
これにより、一対の第2保護部材20bのうち、一方の第2保護部材20bは、第2取付固定部13bにおける、挿通開口14bの幅方向Wにおいて対向する両側の縁部のうち、幅方向一方側Waの縁部に配置されるとともに、一対の第2保護部材20bのうち、他方の第2保護部材20bは、第2取付固定部13bにおける、挿通開口14bの幅方向Wにおいて対向する両側の縁部のうち、幅方向他方側Wbの縁部に配置される。
【0068】
図5(a)に示すように、一対の第2保護部材20bにおける各カラー部31は、何れも厚み方向Zに延伸された縦壁部32と、該縦壁部32の厚み方向一方側Zaの端部に設けられた一方側フランジ部33と、厚み方向他方側Zbの端部に設けられた他方側フランジ部34を備えている。
【0069】
図4に示すように、縦壁部32は、厚み方向Zおよび長手方向Yに沿って直線状に延びる平板状に形成されている。縦壁部32は、一方側フランジ部33と他方側フランジ部34との間の厚み方向Zの長さが、第2取付固定部13bの厚さ(挿通開口14bの深さ)に対して同等以上になるように形成されている。
【0070】
一方側フランジ部33は、縦壁部32の厚み方向一方側Zaの端部から、
他方側フランジ部34は、縦壁部32の厚み方向他方側Zbの端部から、何れも幅方向Wにおいて挿通開口14bと反対側へ水平に突出する。一方側フランジ部33と他方側フランジ部34は、何れも縦壁部32の長手方向Yの全長に亘って平板状に形成されている。
【0071】
また、一対の第2保護部材20bを第2取付固定部13bへ装着する際には、
図4に示すように、一対の第2保護部材20bの各カラー部31(縦壁部32)を、第2取付固定部13bにおける挿通開口14bに対して、長手方向一方側Yaの縁部から他方側Ybへと差し込むことで、
図1に示すように装着することができる。
【0072】
その際、一対の第2保護部材20bにおける各カラー部31は、挿通開口14bの幅方向Wの各側の縁部に配置される。そして、これらカラー部31における各一対の一方側フランジ部33には、何れも挿通開口14bに挿通したボルトBのボルト頭部Baが当接される。すなわち、一対の一方側フランジ部33は、ボルト頭部Baと第2取付固定部13bとの間に介在する。
【0073】
本実施形態において第2保護部材20bは、溝形状の挿通開口14bの延伸方向、すなわち長手方向Yの全長よりも若干短い長さで形成され、該挿通開口14bの幅方向Wの縁部に対して長手方向Yの略全長に亘って装着される。
【0074】
これにより、第2保護部材20bは、ボルトBを挿通開口14bの長手方向Yにおける何れの箇所に挿通しても、ボルト頭部Baと第2取付固定部13bとの間に介在する。すなわち、2点(13a,13b)間の相対的な公差によって車体に対するボルトBの締結位置が第2基準締結位置に対して位置ずれしても、第2取付固定部13bは、車体に対してボルトB等により確実に締結され、第2保護部材20bを介してアース接続される。
【0075】
また、
図4に示すように、電線固定部21は、一方側フランジ部33の長手方向他方側Ybの端部から該長手方向他方側Ybへ延出するように該一方側フランジ部33に対して一体に形成されている。
【0076】
また、第2保護部材20bの縦壁部32を挿通開口14bに配置した状態において、他方側フランジ部34は、第2取付固定部13bの厚み方向他方側Zbの縁部に配置される。すなわち、第2保護部材20bを第2取付固定部13bに装着した状態において、他方側フランジ部34は、第2取付固定部13bと車体における被取り付け箇所P2bとの間に介在する。
【0077】
上述した実施形態の外装構造1は、
図1~
図5(a)に示すように、ワイヤーハーネス100を収容(搭載)するとともに、導電性を有する被取り付け箇所P2a,P2bに対して取り付けるプロテクタ10の取付固定部13a,13bに、被取り付け箇所P2a,P2bに対して締結固定するボルトBを挿通する挿通開口14a,14bが設けられている。また、
図2、
図3に示すように、ボルトBの締結圧力に対して第1取付固定部13aを保護する第1保護部材20aには、基準挿通開口14aに配置される筒状部25が設けられるとともに、
図4、
図5(a)に示すように、ボルトBの締結圧力に対して第2取付固定部13bを保護する第2保護部材20bには、挿通開口14bに配置される縦壁部32が設けられている。
【0078】
そのため、ボルトBの締結圧力に対して取付固定部13a,13bを保護することができ、外装構造1を被取り付け箇所P2a,P2bに対してしっかりと取り付けることができる。
【0079】
また、ボルトBを挿通する挿通開口14a,14bに配置された状態で取付固定部13a,13bに装着される保護部材20(20a,20b)は、導電性部材で構成されるとともに、
図1に示すように、電線固定部21が備えられる。さらに、電線固定部21は、ワイヤーハーネス100から延びるアース線2を固定する。
【0080】
そして、導電性を有する被取り付け箇所P2a,P2bに対して、取付固定部13a,13bをボルトBで締結固定すると、導電性部材で構成された第1保護部材20aの筒状部25が被取り付け箇所P2aと当接して第1保護部材20aと被取り付け箇所P2aとが互いに導通した状態となる。そのため、第1保護部材20aの電線固定部21に接続されたアース線2の先端の露出する導体2Tは、被取り付け箇所P2aと導通した状態となる。
【0081】
さらに、導電性部材で構成された第2保護部材20bの縦壁部32が被取り付け箇所P2bと当接して第2保護部材20bと被取り付け箇所P2bとが互いに導通した状態となる。そのため、第2保護部材20bの電線固定部21に接続されたアース線2は、被取り付け箇所P2bと導通した状態となる。
【0082】
このように、外装構造1を被取り付け箇所P2a,P2bにボルトBで締結固定することで、ワイヤーハーネス100から延びるアース線2と、導電性を有する被取り付け箇所P2a,P2bとが互いに導通した状態となり、外装構造1を被取り付け箇所P2a,P2bに対して通電可能に効率よく取り付けることができる。
【0083】
また、
図1~
図3に示すように、第1保護部材20aは一方側フランジ部26が設けられるとともに、第2保護部材20bは一方側フランジ部33が設けられ、夫々の一方側フランジ部26,33には電線固定部21が設けられているため、第1保護部材20aの筒状部25、或いは、第2保護部材20bの縦壁部32に電線固定部21を直接設ける場合に比べ、電線固定部21を安定して設けることができるとともに、電線固定部21を設けた数に応じて複数のアース線2を接続することができる。
【0084】
さらに、保護部材20a,20bは、ボルト頭部Baを一方側フランジ部26,33に当接させることで、筒状部25、或いは、縦壁部32の厚み方向一方側Zaの端部にのみに当接させる場合に比べ、ボルト頭部Baとの当接面積が増大する。したがって、保護部材20a,20bによって、ボルトBの締結圧力に対して取付固定部13a,13bをよりしっかりと保護することができる。
【0085】
また、
図4、
図5(a)に示すように、第2保護部材20bは、被取り付け箇所P2bと導電可能に当接する他方側フランジ部34が備えられているため、他方側フランジ部34を備えない場合に比べ、縦壁部32の厚み方向他方側Zbの端部を被取り付け箇所P2bに当接させた際に(
図5(a)参照)、被取り付け箇所P2bに対する当接面積が増大し、導電性を向上させることができる。
【0086】
また、
図4、
図5(a)に示すように、第2保護部材20bは、一対構成され、挿通開口14bにおける、互いに対向する箇所に配置される構成とすることで、何れの間隔(溝幅)で形成された挿通開口14bに対しても容易に配置することができる。
【0087】
例えば、
図5(b)に示すように、
図5(a)で用いたボルトBとは異なる軸径のボルトB’を用いて第2取付固定部13bを被取り付け箇所P2bに締結する場合、第2取付固定部13bは、ボルトB’の軸径に対応する幅方向の間隔(溝幅)で挿通開口14bが形成されている。その場合であっても、第2保護部材20bは、
図5(a)で示す第2保護部材20bと同じサイズのものを挿通開口14bに適用して配置することができる。
【0088】
また、
図4に示すように、挿通開口14bは、取付固定部13aにおける周縁部から平面視内部に向かって延び、周縁部が開放された溝開口で形成されているため、
図5(a)、(b)に示すように、挿通開口14bの溝幅に応じた様々な軸径のボルトB,B’で締結固定することができる。さらに、公差等によってボルトB等による締結位置が第2基準締結位置に対して、挿通開口14bの延伸方向に位置ずれしても、第2取付固定部13bをボルトB等を用いて被取り付け箇所P2bに締結固定することができる。
【0089】
さらにまた、第2保護部材20bの縦壁部32は、溝形状の挿通開口14bの延伸方向に沿って、当例では、挿通開口14bの延伸方向の略全長に亘って形成されているため、上述したように、公差等によってボルトB等による締結位置が第2基準締結位置に対して、挿通開口14bの延伸方向に位置ずれしても、ボルトBと被取り付け箇所P2bとの間に第2保護部材20bを確実に介在させることができる。したがって、第2保護部材20bの電線固定部21に接続されたアース線2を、被取り付け箇所P2bに対して確実にアース接続することができる。
【0090】
また、
図1~
図3に示すように、外装構造1に、複数の取付固定部13a,13bが設けられ、複数の取付固定部13a,13bのうちひとつを第1取付固定部13aとし、第1取付固定部13aに設けた基準挿通開口14aは、ボルトBのボルト軸部Bbを挿通可能な円形状としたため、2点(13a,13b)間の相対的な公差によって、2点(13a,13b)におけるボルトB同士の間隔が所定間隔に比べて変化しても、円形状の基準挿通開口14aに挿通したボルトBで第1取付固定部13aを被取り付け箇所P2aに対して締結固定することで、外装構造1を被取り付け箇所P2a,P2bに対してよりしっかりと取り付けることができる。
【0091】
また、
図1に示すように、電線で構成するワイヤーハーネス100を外装構造1の内部空間7に収容し、取付固定部13aで外装構造1を被取り付け箇所P2a,P2bに取り付けることで、ワイヤーハーネス100を保護するとともに、配索経路に対して経路規制することができる。
【0092】
また、ワイヤーハーネス100のアース線2を保護部材20a,20bの電線固定部21に固定しているため、取付固定部13a,13bを被取り付け箇所P2a,P2bに対して保護部材20a,20bを介して締結固定することで、アース線2を接地することができる。
【0093】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、取付けモジュールは、外装構造1に対応し、同様に
電線は、アース線2に対応し、
取付本体は、プロテクタ10に対応し、
基準取付固定部は、第1取付固定部13aに対応し、
溝開口は、挿通開口14bに対応し、
挿通方向部は、筒状部25に対応し、
挿通方向部は、縦壁部32に対応し、
当接フランジ部は、一方側フランジ部33に対応し、
フランジ部は、他方側フランジ部34に対応し、
搭載部材は、ワイヤーハーネス100に対応し、
挿通方向に直交する方向は、幅方向Wに対応し、
溝開口の延伸方向は、長手方向Yに対応し、
取付固定部における被取り付け箇所の反対側は、取付固定部13a,13bにおける厚み方向一方側Zaに対応し、
前記取付固定部における周縁部は、第2取付固定部13bにおける長手方向一方側Yaの端部に対応し、
平面視内部は、長手方向他方側Ybに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0094】
例えば、本発明の保護部材は、
図6に示す保護部材20Aのように、一対のカラー部31と3つ以上(当例では3つ)の電線固定部21とを備えた構成としてもよい。
具体的に、保護部材20Aは、一対のカラー部31の長手方向他方側Ybの端部を幅方向Wに連結する連結バー3を備えている。3つの電線固定部21は、長手方向の一方側Yaの端部が連結バー3の幅方向Wの一方側Waの端部、中間部、他方側Wbの端部の夫々に接合されている。
【0095】
これにより、3つの電線固定部21は、何れも導体圧着部23が長手方向の一方側Yaを指向するように幅方向Wに並列に配置されるように連結バー3を介して一対のカラー部24に接合されている。
上記構成によれば、カラー部24の数より多くのアース線2をひとつの被取り付け箇所P2bに対してアース接続することができる。
【0096】
また、本発明の取付固定部に設けられた挿通開口は、2点(13a,13b)を結ぶ方向に沿って延伸する形状に形成する場合には、上述した実施形態の第2取付固定部13bにおける挿通開口14bのように、溝形状に限らず(
図4参照)、
図7に示す挿通開口14cのような長穴形状に形成されてもよい。
図7(a)(b)に示す挿通開口14cは、平面視で幅方向Wよりも長手方向Yに長い矩形状に形成されている。
【0097】
このような挿通開口14cに配置される一対の保護部材20Bの各カラー部31cは、何れも
図7(a)に示すように、挿通開口14cの長手方向Yに沿って配置される長辺部36と、挿通開口14cの幅方向Wに沿って配置される短辺部37とを備えている。
【0098】
さらに、一対の保護部材20Bのうち一方の保護部材20Baは、長辺部36の長手方向一方側Yaの端部と短辺部37の幅方向一方側Waの端部とが互いに連結するようにL字形状に形成されている。さらに、一対の保護部材20Bのうち他方の保護部材20Bbは、長辺部36の長手方向他方側Ybの端部と短辺部37の幅方向他方側Wbの端部とが互いに連結するように逆L字形状に形成されている。
【0099】
カラー部31cは、長辺部36と短辺部37との夫々において、他方側フランジ部34を備えずに、縦壁部32と一方側フランジ部33とを備えている。
なお、
図7(a)は、一対の保護部材20Bの夫々に備えた電線固定部21の図示を省略している。
【0100】
上記構成によれば、挿通開口14cが穴形状であっても一対の保護部材20Bを挿通開口14cに対して厚み方向一方側Zaから嵌め込むことで容易に装着することができる。
【0101】
なお、上述した実施形態の外装構造1においては、2つの取付固定部13a,13bの夫々において、アース線2の先端の露出する導体2Tが接続されているが、本発明の取付けモジュールは、この構成に限定せず、取付固定部13aの基準挿通開口14aには、カラー部31cおよび電線固定部21が設けられた保護部材が装着されてもよいし、電線固定部21が設けられていない保護部材が装着されてもよい。
【0102】
本実施形態の挿通開口14bは、第2取付固定部13bにおける長手方向一方側Yaの縁部が開放された溝形状に形成されたが、本発明の挿通開口は、溝形状に形成する場合には、例えば、長手方向他方側Ybの縁部が開放された溝形状に形成する、或いは、幅方向Wに沿って延伸するとともに幅方向他方側Wbの縁部が開放された溝形状に形成するなど、溝形状の延伸方向や開放方向は特に限定しない。
【0103】
本発明の保護部材は、第1保護部材20aおよび第2保護部材20bのように、ボルトBおよびナットNの締結力に対して取付固定部13が損傷しないように保護するとともに、被取り付け箇所P2a,P2bと導電状態に接触してアース線2の先端の露出する導体2Tを被取り付け箇所P2a,P2bに対してアース接続する機能を有していれば、特に限定せず、例えば、第1保護部材20aのカラー部24に他方側フランジ部34を備えてもよく、また、第2保護部材20bのカラー部31に他方側フランジ部34を備えずに構成してもよい。
【0104】
また、被取り付け箇所P2a,P2bには、挿通開口2a,2bの代わりに厚み方向一方側Zaへ突出するスタッドボルト(アースボルト)が設けられた構成としてもよい。その場合、一方側フランジ部26,33は、挿通開口14a,14bに厚み方向他方側Zbから挿通したスタッドボルトに対して厚み方向一方側Zaから螺合するナットNが当接する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…外装構造
2…アース線
10…プロテクタ
13a,13b…取付固定部
13a…第1取付固定部
13b…第2取付固定部
14(14a,14b),14c…挿通開口
20(20a,20b),20A,20B…保護部材
20a…第1保護部材
20b…第2保護部材
21…電線固定部
25…筒状部
32…縦壁部
26,33…一方側フランジ部
34…他方側フランジ部
100…ワイヤーハーネス
200…車体パネル
B…ボルト
Ba…ボルト頭部
Bb…ボルト軸部
P2a,P2b…被取り付け箇所
Y…溝形成方向