(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129242
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】検査システム、情報処理装置、検査方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191243
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022033480
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相馬 孝吏
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 卓治
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB11
2G051AC21
2G051CA03
2G051CA04
2G051FA01
(57)【要約】
【課題】オペレータによる目視による人為的な品質検査で発生していた欠陥の見逃しを低減する。
【解決手段】所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査システムであって、載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査システムであって、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、
前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、
前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記印刷画像に関するデータは、前記被検査物体に印刷画像がプリントされた正解画像であり、
前記表示制御部は、前記載置面の周辺部に、前記正解画像および前記属性情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記載置面は、前記被検査物体の載置位置を示すマーカを含んでおり、
前記画像取得部は、前記撮像画像から所定時間の間に前記マーカを検出できなくなった場合に、前記撮像装置に前記被検査物体の画像を撮影するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記載置面は、前記被検査物体の載置位置を示すマーカを含んでおり、
前記画像取得部は、前記撮像画像から所定時間の間に前記マーカを検出できなくなった場合に、前記撮像画像に人物画像が含まれていないと判定した場合に、前記撮像装置に前記被検査物体の画像を撮影するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記欠陥情報通知部は、前記画像照合部におけるOK/NGの判断結果および欠陥情報を報知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項6】
前記欠陥情報通知部は、前記画像照合部におけるOK/NGの判断結果および欠陥情報を、前記載置面に載置された前記被検査物体における欠陥が発生したと予測した位置に投影する、
ことを特徴とする請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記欠陥情報通知部は、欠陥が発生した旨を報知する、
ことを特徴する請求項1に記載の検査システム。
【請求項8】
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、前記被検査物体に予め付加された識別情報に対応付けて記憶する情報記憶部と、
前記被検査物体に付加された識別情報を読み取る識別情報読取部と、
前記識別情報に基づいて、前記情報記憶部から対応する前記印刷画像に関するデータおよび前記属性情報を取得する情報取得部と、
を備えることを特徴する請求項1ないし7の何れか一項に記載の検査システム。
【請求項9】
所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査装置に接続される情報処理装置であって、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、
前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、
前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査方法であって、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得工程と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御工程と、
前記画像取得工程によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合工程と、
前記画像照合工程において画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知工程と、
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項11】
所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査装置に接続される情報処理装置を制御するコンピュータを、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、
前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、
前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システム、情報処理装置、検査方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャツ生地などに所望のデザインを印刷する場合、オペレータは、デザインの印刷された完成品について印刷ズレや画像が正しいかなどの目視検査を行っている。
【0003】
特許文献1には、シャツの所定位置に刺繍を施したり、所定のモティーフを印刷したりする目的で、境界線を表示した台でシャツの位置合わせを行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のようなオペレータの目視による人為的な品質検査では、欠陥の見逃しが発生してしまう、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オペレータによる目視による人為的な品質検査で発生していた欠陥の見逃しを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査システムであって、載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オペレータによる目視による人為的な品質検査で発生していた欠陥の見逃しを低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる検査システムの構成を示すブロック図である。
【
図2-1】
図2-1は、第2の検査装置の構成を示す斜視図である。
【
図2-2】
図2-2は、第2の検査装置の構成を示す側面図である。
【
図2-3】
図2-3は、第2の検査装置の構成の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図2-4】
図2-4は、第2の検査装置の撮像装置と投影装置との位置関係を示す図である。
【
図3】
図3は、第2の検査装置の電装系の接続を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、情報処理装置のハードウェア構成図である。
【
図5】
図5は、情報処理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、第2の検査装置を用いた検査処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、識別情報に属性情報と印刷画像に関するデータとを対応付けたテーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、投影されるガイド枠を例示的に示す図である。
【
図9】
図9は、投影される属性情報を例示的に示す図である。
【
図10】
図10は、載置台にTシャツを置いた状態を例示的に示す図である。
【
図11】
図11は、ステップS8の画像照合処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、ステップS82における撮影画像と正解画像との差異検出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、OK/NGの判断結果および欠陥情報の表示例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態にかかる検査システムの構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、検査システム、情報処理装置、検査方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態にかかる検査システム100の構成を示すブロック図である。検査システム100は、カスタムTシャツ(被検査物体)の印刷後の印刷品質検査にかかるシステムである。
図1に示すように、検査システム100は、第1の検査装置10と、第2の検査装置20と、を備える。また、検査システム100は、第1の検査装置10に接続されたサーバまたはPCである情報処理装置50-1と、第2の検査装置20に接続されたサーバまたはPCである情報処理装置50-2と、スマートフォン30およびPC(Personal Computer)40と、プリンタ60とが、ネットワーク70を通じて通信可能に接続されている。
【0011】
なお、情報処理装置50-1と、情報処理装置50-2と、スマートフォン30およびPC40と、プリンタ60とは、ネットワーク接続されていることが最低限必要であり、同一場所に必ずしも存在する必要はない。たとえば、情報処理装置50-1,50-2が海外に置かれていてもよい。また、情報処理装置50-1,50-2は、複数のサーバに機能を分散して処理するように構成してもよい。なお、以降においては、情報処理装置50-1,50-2について特に区別が必要ない場合には、情報処理装置50-1,50-2を情報処理装置50と呼ぶものとする。
【0012】
スマートフォン30およびPC40は、カスタムTシャツの依頼者が使用するものである。スマートフォン30およびPC40は、カスタムTシャツの依頼者がTシャツの情報(色、サイズ等)と所望のデザインとを指定するTシャツの注文に用いられる。
【0013】
情報処理装置50は、例えば、カスタムTシャツのプリント業者の生産工場で管理される。情報処理装置50は、スマートフォン30またはPC40経由で注文があった依頼者からのTシャツの情報(色、サイズ等)及びデザイン情報を受け取る。
【0014】
生産工場のオペレータは、情報処理装置50からTシャツの情報(色、サイズ等)とデザインとを確認し、所定のTシャツをプリンタ60にセットし、依頼のあったデザインを印刷する。印刷後には、生産工場のオペレータは、印刷にかかる欠陥を発見する品質検査を実行する。本実施形態においては、品質検査を2段階で実行する。印刷直後の第1検査は、第1の検査装置10を用いて行われる。印刷後に乾燥が完了した後の第2検査は、第2の検査装置20を用いて行われる。
【0015】
第1の検査装置10は、プリンタ60に近接して設けられる。第1の検査装置10は、プリンタ60による印刷直後の印刷面をカメラにより撮影した撮影画像と正解画像との差分に基づいて、欠陥を自動検査する検査装置である。
【0016】
第2の検査装置20は、印刷後に乾燥が完了した後、載置台22(
図2参照)上に載置したTシャツの印刷面を撮像装置23(
図2参照)により撮影した撮影画像と正解画像との差分に基づいて、「印刷ズレ」を自動検査する検査装置である。加えて、第2の検査装置20は、「印刷ジョブ情報との不一致(発注者、サイズ、送り先など)」を検査する。
【0017】
ここで、第2の検査装置20の構成について説明する。
【0018】
図2-1は第2の検査装置20の構成を示す斜視図、
図2-2は第2の検査装置20の構成を示す側面図、
図2-3は第2の検査装置20の構成の一部を拡大して示す斜視図、
図2-4は第2の検査装置20の撮像装置23と投影装置24との位置関係を示す図である。
図2-1などに示すように、第2の検査装置20は、直方体形状の金属フレームで構成される本体部21を備える。第2の検査装置20は、本体部21の略中央部分に、印刷後に乾燥が完了したTシャツ200を載置する載置面を有する載置台22を備える。載置台22は、オペレータが目視して操作しやすくするために、オペレータ側に傾けて設置される。
【0019】
載置台22は、オペレータに載置台22におけるTシャツ200の正しい載置位置を示す所定のマーカM(
図10参照)を有する。
【0020】
なお、載置台22は、載置面が台状に構成されているものに限るものではなく、例えば印刷後に乾燥が完了したTシャツ200を吊り下げて載置する態様の載置面を有するものであってもよい。
【0021】
第2の検査装置20は、本体部21の上部に、載置台22に載置されたTシャツを撮像するための撮像装置23と、オペレータに操作情報等を提示するプロジェクタである投影装置24と、照明装置25と、を備える。撮像装置23および投影装置24は、撮像装置23の撮像面と投影装置24の投影面とが載置台22とそれぞれ垂直になるように、設置される。なお、撮像装置23および投影装置24は、ネットワーク70により生産工場内の情報処理装置50に接続されている。
図2-4に示すように、撮像装置23と投影装置24との位置関係は、投影装置24の投影範囲は、撮像装置23の撮影範囲に収まるものとなっている。
【0022】
次に、第2の検査装置20の電装系の接続について説明する。
【0023】
図3は、第2の検査装置20の電装系の接続を示すブロック図である。
図3に示すように、第2の検査装置20は、I/O電源ボックス107と、光源電源ボックス108と、を備えている。情報処理装置50は、I/O電源ボックス107を介して第2の検査装置20に接続される。
【0024】
照明装置25は、I/O電源ボックス107および光源電源ボックス108を介して、情報処理装置50に接続される。照明装置25は、情報処理装置50によって、点灯制御を実行される。
【0025】
撮像装置23および投影装置24は、情報処理装置50に直接接続され、制御される。撮像装置23は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いたデジタルカメラであって、投射された光に応じた信号を出力する。なお、撮像装置23は、CCD(Charge Coupled Device)用いたデジタルカメラを適用してもよい。
【0026】
次に、情報処理装置50のハードウェア構成について説明する。
【0027】
図4は、情報処理装置50のハードウェア構成図である。
【0028】
図4に示されているように、情報処理装置50は、コンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disc Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0029】
これらのうち、CPU501は、情報処理装置50全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワーク70を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0030】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0031】
本実施形態の情報処理装置50で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0032】
また、本実施形態の情報処理装置50で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の情報処理装置50で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0033】
以下において、情報処理装置50のCPU501がプログラムにより実行する各種の演算処理のうち、本実施形態の特長的な処理について説明する。
【0034】
ここで、
図5は情報処理装置50の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、情報処理装置50のCPU501は、プログラムを実行することにより、情報記憶部51と、識別情報読取部52と、情報取得部53と、画像取得部54と、表示制御部55と、画像照合部56と、欠陥情報通知部57と、起動制御部58と、を有する。
【0035】
情報記憶部51は、印刷画像に関するデータおよびカスタムTシャツ(被検査物体)の属性情報を、カスタムTシャツ(被検査物体)に予め付加された識別情報に対応付けて記憶する。ここで、
図7は識別情報に属性情報と印刷画像に関するデータとを対応付けたテーブルの一例を示す図である。
図7に示すように、印刷画像に関するデータは、ユーザから依頼のあったTシャツに印刷するデザインの画像データ(印刷画像)、およびTシャツに印刷画像の画像データを印刷した場合の印刷結果を予測した予測画像の画像データ(正解画像)である。属性情報は、例えば、Tシャツの種別、生地色、サイズ、発注者、送り先などTシャツに付随する情報である。
【0036】
ここで、正解画像について説明する。印刷画像をTシャツに印刷するとき、Tシャツの生地色によって、例えば、白いTシャツに印刷した場合と、黒いTシャツに印刷した場合とでは、印刷後の色味が異なることになる。印刷画像を印刷するTシャツの生地色に印刷した場合に、理想的にはどのような画像がでるべきか、ということを予測処理して生成した予測画像の画像データが正解画像になる。
【0037】
正解画像は、印刷画像を印刷したTシャツの品質検査のときに、印刷画像を印刷したTシャツの撮像画像との照合に使用される。通常は、ユーザからの依頼を受けたときに印刷画像と印刷するTシャツの情報が分かっているので、正解画像を予め用意して印刷画像に関するデータとして記憶させておくが、品質検査のときに印刷画像を呼び出して予測処理を行い、正解画像を生成してもよい。
【0038】
識別情報読取部52は、カスタムTシャツ(被検査物体)に付加された識別情報を読み取る。
【0039】
情報取得部53は、識別情報に基づいて、情報記憶部51から、識別情報に対応付けられた属性情報と、識別情報に対応付けられた印刷画像に関するデータと、を取得する。
【0040】
画像取得部54は、載置台22の載置面に載置されたカスタムTシャツ(被検査物体)を撮像装置23によって撮像した撮像画像を取得する。
【0041】
表示制御部55は、情報取得部53で取得した印刷画像に関するデータおよび属性情報を、投影装置24によってカスタムTシャツ(被検査物体)を載置する載置台22の載置面に表示する。
【0042】
画像照合部56は、画像取得部54によって取得したカスタムTシャツ(被検査物体)の撮像画像と印刷画像に関するデータの一つである正解画像との照合を行う。
【0043】
なお、照合する正解画像は、上述の通り、予め情報処理装置50の情報記憶部51に記憶されている場合には、記憶されている正解画像を取得して照合してもよいし、予め記憶されていない場合には、照合する際に情報記憶部51に記憶されている印刷画像を取得して予測処理を行い、正解画像を生成してもよい。
【0044】
欠陥情報通知部57は、画像照合部56が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する。
【0045】
起動制御部58は、第2の検査装置20に設置されている撮像装置23、投影装置24、照明装置25を起動する。また、起動制御部58は、撮像装置23および投影装置24を、ネットワーク70に接続する。
【0046】
次に、本実施の形態にかかる情報処理装置50が行う処理のうち特徴的な処理の流れについて説明する。
【0047】
図6は、第2の検査装置20を用いた検査処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
図6に示すように、情報処理装置50の起動制御部58は、第2の検査装置20に設置されている撮像装置23、投影装置24、照明装置25を起動する(ステップS1)。また、情報処理装置50の起動制御部58は、撮像装置23および投影装置24を、ネットワーク70に接続する。これにより、オペレータが情報処理装置50を経由して第2の検査装置20に対して操作指示を行うことが可能となる。
【0049】
次に、情報処理装置50の識別情報読取部52は、撮像装置23を制御して、Tシャツに付与されている識別情報を読み取り、情報取得部53は、属性情報などを取得する(ステップS2)。識別情報は、例えばTシャツに付加されているバーコードや二次元コードなどのコードシンボル情報であり、アパレル業界の衣類の管理で一般に使用されるものである。また、識別情報は、バーコードや二次元コードに限られるものではなく、管理できるものであれば番号(数字)の羅列などであっても良い。コードシンボルは、例えばTシャツのタグに印刷されてもよいし、コードシンボルシールとして形成されてもよい。識別画像の読み取りは、第2の検査装置20に設置された撮像装置23で撮影する。
【0050】
なお、本実施形態においては第2の検査装置20に設置された撮像装置23で撮影して識別画像を読み取るようにしたが、これに限るものではなく、コードシンボルスキャナを別途設けてオペレータが識別画像(コードシンボル)を読み取るようにしてもよい。
【0051】
読み取った識別情報は、情報処理装置50に送信される。情報処理装置50の情報記憶部51は、予め識別情報と上述のTシャツのサイズ、色、印刷用のデザイン(オリジナルの正解画像や縮小画像)等の属性情報とを対応づけてHD504等の記憶部に格納している。情報取得部53は、識別情報に基づいて、記憶部から対応する印刷画像に関するデータおよび属性情報を取得する。
【0052】
また、識別情報は、バーコードに限定されずICタグなどを用いて記憶させるようにもよい。この場合、ICタグリーダを別途設けるようにすればよい。このようにICタグ等を利用する場合であって記憶容量が十分であれば、ICタグ内に識別情報と属性情報とを直接記憶させておくようにしてもよい。また、例えば、カスタムTシャツ(被検査物体)の検査順番が予め分かっている場合、情報処理装置50に順次カスタムTシャツ(被検査物体)のデータを入力することで、カスタムTシャツ(被検査物体)に識別情報を付与せずともカスタムTシャツ(被検査物体)の識別情報を取得可能である。そのため、カスタムTシャツ(被検査物体)に識別情報を付与することは必須ではない。
【0053】
次いで、情報処理装置50の表示制御部55は、投影装置24を制御して、Tシャツを載置するためのガイド枠Gを載置台22に投影する(ステップS3)。投影されるガイド枠Gは、オペレータが検査操作を行いやすくするための各種のガイド表示である。
【0054】
ここで、
図8は投影されるガイド枠Gを例示的に示す図である。
図8に示すように、載置台22に投影されるガイド枠Gは、オペレータが第2の検査装置2の載置台22にTシャツ200を正しい位置に載置するためのガイド表示である。ガイド枠Gは一例であり、オペレータが正しい位置にTシャツ200を置くことを認識させることができるものであればよい。
【0055】
従来、Tシャツ設置位置がわかりづらいため、設置に時間がかかり、検査速度、精度が安定しない、という課題があった。これに対し、本実施形態においては、Tシャツ設置のガイド枠Gを投影装置24で投影し、撮影(検査)位置を安定させることで、早く、安定した検査が可能となる。
【0056】
次いで、情報処理装置50の表示制御部55は、投影装置24を制御して、Tシャツの印刷画像に関するデータおよび属性情報を載置台22の周辺部に投影する(ステップS4)。具体的には、情報処理装置50の表示制御部55は、ステップS2で読み取った識別情報に対応づけられた印刷画像に関するデータおよび属性情報を、載置台22の周辺部に表示する。
【0057】
ここで、
図9は投影される属性情報を例示的に示す図である。
図9に示す例では、載置台22の左下に、Tシャツ200の種別、サイズ、カラーの属性情報Aが表示される。また、この段階の情報で印刷すべき正解情報と異なっている場合には、NGの表示がなされる。また、
図9に示す例では、載置台22の右下に、印刷画像に関するデータ(依頼内容に合致したTシャツ200とデザインに基づく画像で縮小画像であってもよい)Bが表示される。このような属性情報Aの表示は、オペレータが一覧して確認できるように載置台22内に全情報を表示することが好ましい。全情報を表示することで、検査効率アップや見逃しを防ぐことができる。
【0058】
なお、載置台22の右下に表示する印刷画像に関するデータは、印刷画像と正解画像とのどちらでもよい。印刷画像と正解画像とでは、上述の通り色味が異なるが、印刷画像に関するデータを表示する意味合いとしては、次に検査するTシャツをオペレータが間違わずに設置できればよいものである。
【0059】
従来、検査対象となるTシャツ200を間違えて設置してしまい、正しく検査できないことがある、という課題があった。これに対し、本実施形態においては、検査対象の属性情報(サイズ、カラー、デザインなど)の検査判断に必要な情報をTシャツが載置される載置台22のTシャツ200の左右等に投影装置24で投影して表示することで、オペレータはこの段階でTシャツ200のサイズや色が依頼内容と異なっていないか、間違ったデザインが印刷されていないかなどを判定でき、ユーザの設置ミスを防ぐことができるので、検査効率をアップさせることができる。また、ユーザが検査対象の設置ミスによる、本来OKなのをNG判定にしてしまうことによるコスト(廃棄、再検査)を低減することができる。
【0060】
次いで、情報処理装置50の画像取得部54は、オペレータがマーカMを隠すように載置台22にTシャツ200を置いて所定時間が経過したかを判定し(ステップS5)、オペレータが第2の検査装置2の内部にいるかを判定する(ステップS6)。
【0061】
ここで、
図10は載置台22にTシャツを置いた状態を例示的に示す図である。
図10に示すように、情報処理装置50の画像取得部54は、撮像装置23でマーカMを所定時間ごとに撮影または動画撮影しておく。情報処理装置50の画像取得部54は、撮影または動画撮影した画像を分析し、所定時間(例えば30秒)が経過しているか否かを判断する。マーカMが隠れてから所定時間が経過していなければ(ステップS5のNo)、オペレータがTシャツ200の載置動作を行っていると判断する。一方、所定時間が経過していれば(ステップS5のYes)、オペレータがTシャツ200を載置台22にセットし終えた可能性が高いと判断する。
【0062】
また、ステップS5においてTシャツが載置台22にセットし終わったと判定しても(ステップS5のYes)、第2の検査装置2の内部にオペレータの体の一部が入っている可能性があり、Tシャツを撮影した場合にオペレータが映り込んでしまうことがある。そこで、情報処理装置50の画像取得部54は、撮像装置23で所定時間間隔の撮影または動画撮影することにより、オペレータが映り込んでいないかを確認する(ステップS6)。情報処理装置50は、画像/動画解析を行い、人物が映り込んでいないことを判断する。
【0063】
従来、手動撮影では、オペレータによる撮影忘れが発生し、検査できないことがある、という課題があった。これに対し、本実施形態においては、載置台22にマーカMを設け、撮像装置23で常時撮影することで、画像内のマーカMの有無を判断し、マーカMとオペレータが写っていない場合にTシャツ設置完了として自動撮影を行うことで、検査(撮影)忘れを防止することができる。
【0064】
また、Tシャツ検査の度にオペレータが手作業で撮影操作をすることは工数増となり撮影ミスも生じやすい。本実施形態によれば、所定のタイミングでTシャツを自動撮影するためオペレータの作業負担を軽減することができる。また、本実施形態においては、オペレータの映り込みを排除しており、より適切にTシャツの自動撮影を行うことができる。
【0065】
なお、載置台22にマーカMを設ける代わりに、投影装置24からマーカMを投影するようにしてもよい。なお、ガイド枠GとマーカMは片方だけを表示してもよいし、両方を所定の順に表示してもよい。または、ガイド枠GとマーカMの両方を同時に表示してもよい。
【0066】
第2の検査装置2の内部にオペレータが映り込んでいないと判定すると(ステップS6のYes)、情報処理装置50の画像取得部54は、載置台22に載置されたTシャツの画像を撮像装置23で撮影する(ステップS7)。なお、本実施形態においては、第2の検査装置2の内部にオペレータが映り込んでいないことをトリガーに自動撮影するようにしたが、オペレータが操作指示(手動、音声)により撮影を開始するようにしてもよい。
【0067】
次いで、情報処理装置50の画像照合部56は、撮影画像と正解画像との照合を行う(ステップS8)。より詳細には、撮像装置23で撮影した印刷後のTシャツ画像が情報処理装置50に送られると、情報処理装置50の画像照合部56は、予め記憶された依頼内容に基づく正解画像と画像照合を行い、印刷後のTシャツ画像の検査を行う。
【0068】
ここで、ステップS8の画像照合のアルゴリズムについて説明する。
【0069】
図11は、ステップS8の画像照合処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、情報処理装置50の画像照合部56は、正解画像を取得する(ステップS81)。
【0070】
情報処理装置50の画像照合部56は、正解画像が、印刷画像に関するデータとして予め情報処理装置50の情報記憶部51に記憶されている場合には、情報記憶部51に記憶された正解画像を取得して画像照合を行う。
【0071】
また、情報処理装置50の画像照合部56は、正解画像が、印刷画像に関するデータとして予め情報処理装置50の情報記憶部51に記憶されていない場合には、正解画像を生成して取得し、生成した正解画像と画像照合を行う。より詳細には、情報処理装置50の画像照合部56は、ユーザから依頼のあったTシャツの印刷画像の画像データを指定されたTシャツに合成したカスタムTシャツの画像をRIP処理し、撮像装置23で撮影した撮影画像を予測処理して、正解画像とする。
【0072】
次に、情報処理装置50の画像照合部56は、撮像装置23で撮影した撮影画像と正解画像との照合を行い、差異を検出する(ステップS82)。より詳細には、情報処理装置50の画像照合部56は、撮影画像と正解画像との位置合わせを行い、差異を検出する。なお、情報処理装置50の画像照合部56は、欠陥には至らない印刷面のわずかな縮小や変形などを吸収し、品質を低下させる欠陥のみを差異として検出する。
【0073】
ここで、
図12はステップS82における撮影画像と正解画像との差異検出処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示すように、情報処理装置50の画像照合部56は、撮影画像の解析結果に基づき、正解画像の「背景領域」に対応する撮影画像の画像領域が、平坦か否かを判定する(ステップS821)。このとき、情報処理装置50の画像照合部56は、受け取った解析結果のうち、撮影画像の解析結果を参照し、参照値(撮影画像を解析して得た画素値の変化を表す平坦度を表す値)が、予め設定しておいた閾値以上か否かを判定する。
【0074】
情報処理装置50の画像照合部56は、参照値が閾値未満であった場合に(ステップS821:Yes)、撮影画像の該当画像領域に欠陥が存在しないと想定し、正解画像と撮影画像との差分(画素同士の差分)を検出する(ステップS822)。
【0075】
次に、情報処理装置50の画像照合部56が、検出された差分が、検査用の閾値B1以上か否かを判定する(ステップS823)。なお、検査用の閾値B1は、参照値が閾値未満であった場合に、欠陥が存在すると想定した場合の値より大きい値を、検査用の第2閾値(欠陥判定基準)として決定した値である。
【0076】
その結果、情報処理装置50の画像照合部56は、差分が閾値B1以上であった場合に(ステップS823:Yes)、撮影画像の該当画像領域に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0077】
一方、情報処理装置50の画像照合部56は、参照値が閾値以上であった場合に(ステップS821:No)、撮影画像の該当画像領域に欠陥が存在すると想定し、正解画像と撮影画像との差分(矩形領域内の1画素あたりの平均差分)を検出する(ステップS824)。
【0078】
次に、情報処理装置50の画像照合部56が、検出された差分が、検査用の閾値B2以上か否かを判定する(ステップS825)。なお、検査用の閾値B2は、参照値が閾値以上であった場合に、微少な画素値の変化を検出可能な値を、検査用の第1閾値(欠陥判定基準)として決定した値である。
【0079】
その結果、情報処理装置50の画像照合部56は、差分が閾値B2以上であった場合に(ステップS825:Yes)、撮影画像の該当画像領域に発生した異常(欠陥)を検出する。
【0080】
図11に戻り、次に、情報処理装置50の画像照合部56は、ステップS82で検出した撮影画像と正解画像との差異を、補正する(ステップS83)。より詳細には、情報処理装置50は、人の視覚特性に基づき、人が気づきやすい、あるいは、気づきにくい欠陥を分類し、判定基準を最適化することにより、生産性、歩留まり率を向上させ、検査精度を向上させる。
【0081】
図6に戻り、情報処理装置50の欠陥情報通知部57は、ステップS8の画像照合に基づきOK/NGの判断を行い、OK/NGの判断結果および欠陥情報を表示する(ステップS9)。より詳細には、情報処理装置50の欠陥情報通知部57は、OK/NGの判断結果および欠陥情報を、投影装置24を制御して載置台22に表示する。検出した欠陥の位置、種類、サイズを欠陥情報として投影装置24で投影することで、検出した欠陥位置をユーザが認識しやすくなる。
【0082】
ここで、
図13は、OK/NGの判断結果および欠陥情報の表示例を示す図である。
図13に示すように、投影装置24から投影される欠陥情報Cは、例えば、欠陥の位置、種類、サイズを、オペレータが容易に認識できるように実際のTシャツ200における欠陥が発生したと予測した位置に重ね合わせて表示する。これにより、オペレータは、通知された欠陥にフォーカスしてチェックすることにより、オペレータは検査工数を削減できる。また、小さい欠陥も候補として検出するため、オペレータの欠陥の見逃すことを低減できる。さらに、複数のオペレータが検査を行っている場合には、目視や検査能力によって検査のばらつきが発生する可能性があるが、これを大きく低減することができる。
【0083】
また、このようにすることで、検出した欠陥が閾値付近の欠陥の場合には、ユーザ判断を仰ぐことも可能である。また、ユーザが認識しにくい欠陥の場合でも、欠陥が生じている位置を指示することで、ユーザによるOK/NGの判断がしやすくなる。
【0084】
なお、本実施形態においては、情報処理装置50の欠陥情報通知部57は、OK/NGの判断結果および欠陥情報を、投影装置24を制御して載置台22に表示するようにしたが、これに限るものではない。例えば、情報処理装置50の欠陥情報通知部57は、OK/NGの判断結果および欠陥情報を、情報処理装置50のディスプレイ506、図示しない外部のモバイル端末やPCの表示部などに表示するようにしてもよい。
【0085】
なお、OK/NGの判断結果および欠陥情報を表示するだけでなく、オペレータに対して欠陥が発生した旨を音声でアナウンスしたり、第2の検査装置20に警告灯を設置して欠陥が発生した旨を報知したりするようにしてもよい。
【0086】
このように本実施形態によれば、オペレータが第2の検査装置20の載置台22にTシャツ(被検査物体)を設置すると、投影装置24により品質検査に操作に有益な情報やエラー判断に有益な情報を表示する。また、撮像装置23によりTシャツ(被検査物体)を自動撮影することにより印刷されたデザインが正しい位置と内容で印刷されているか否かを、正解画像と照合を行うことにより判断する。これにより、オペレータによる目視による人為的な品質検査で発生していた欠陥の見逃しを低減することができる。また、複数オペレータ間での品質検査のばらつきを低減することができる。さらに、オペレータの検査工数を削減し、生産効率を向上させることができる。
【0087】
なお、本実施形態においては、被検査物体としてTシャツを適用したが、これに限るものではなく、カスタムオーダーでプリントを行う衣服(Yシャツ、カジュアルシャツ、トレーナー)等にも適用可能である。また、被検査物体としては衣服に限るものではなく、バック、マスク、帽子などの布製品を含む非剛性物体にも適用可能である。
【0088】
また、本実施形態においては、情報処理装置50と第2の検査装置20とを別体として説明したが、これに限るものではなく、第2の検査装置20内に情報処理装置50を設置して、1つの検査装置として形成するようにしてもよい。
【0089】
図14は、実施の形態にかかる検査システムの構成の変形例を示すブロック図である。なお、
図14に示すように、検査システム100は、第1の検査装置10と、第2の検査装置20と、スマートフォン30およびPC(Personal Computer)40と、サーバまたはPCである情報処理装置50と、プリンタ60とが、ネットワーク70を通じて通信可能に接続されるシステム構成であってもよい。
【0090】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0091】
実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理装置50は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、情報処理装置50は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0092】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査システムであって、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、
前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、
前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、
を備えることを特徴とする検査システム。
<2>前記印刷画像に関するデータは、前記被検査物体に印刷画像がプリントされた正解画像であり、
前記表示制御部は、前記載置面の周辺部に、前記正解画像および前記属性情報を表示する、
ことを特徴とする<1>に記載の検査システム。
<3>前記載置面は、前記被検査物体の載置位置を示すマーカを含んでおり、
前記画像取得部は、前記撮像画像から所定時間の間に前記マーカを検出できなくなった場合に、前記撮像装置に前記被検査物体の画像を撮影するよう制御する、
ことを特徴とする<1>または<2>に記載の検査システム。
<4>前記載置面は、前記被検査物体の載置位置を示すマーカを含んでおり、
前記画像取得部は、前記撮像画像から所定時間の間に前記マーカを検出できなくなった場合に、前記撮像画像に人物画像が含まれていないと判定した場合に、前記撮像装置に前記被検査物体の画像を撮影するよう制御する、
ことを特徴とする<1>または<2>に記載の検査システム。
<5>前記欠陥情報通知部は、前記画像照合部におけるOK/NGの判断結果および欠陥情報を報知する、
ことを特徴とする<1>ないし<4>の何れか一に記載の検査システム。
<6>前記欠陥情報通知部は、前記画像照合部におけるOK/NGの判断結果および欠陥情報を、前記載置面に載置された前記被検査物体における欠陥が発生したと予測した位置に投影する、
ことを特徴とする<5>に記載の検査システム。
<7>前記欠陥情報通知部は、欠陥が発生した旨を報知する、
ことを特徴する<1>ないし<6>の何れか一に記載の検査システム。
<8>前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、前記被検査物体に予め付加された識別情報に対応付けて記憶する情報記憶部と、
前記被検査物体に付加された識別情報を読み取る識別情報読取部と、
前記識別情報に基づいて、前記情報記憶部から対応する前記印刷画像に関するデータおよび前記属性情報を取得する情報取得部と、
を備えることを特徴する<1>ないし<7>の何れか一に記載の検査システム。
<9>所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査装置に接続される情報処理装置であって、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、
前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、
前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
<10>所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査方法であって、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得工程と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御工程と、
前記画像取得工程によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合工程と、
前記画像照合工程において画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知工程と、
を含むことを特徴とする検査方法。
<11>所定の印刷画像が印刷された被検査物体の検査を行う検査装置に接続される情報処理装置を制御するコンピュータを、
載置面に載置された前記被検査物体を撮像装置によって撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記印刷画像に関するデータおよび前記被検査物体の属性情報を、投影装置によって前記被検査物体の載置面に表示する表示制御部と、
前記画像取得部によって取得した前記被検査物体の前記撮像画像と前記印刷画像に関するデータとの照合を行う画像照合部と、
前記画像照合部が画像照合より欠陥が有ると判断した場合に、欠陥を特定するための欠陥情報を通知する欠陥情報通知部と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0093】
20 検査装置
23 撮像装置
24 投影装置
50 情報処理装置
51 情報記憶部
52 識別情報読取部
53 情報取得部
54 画像取得部
55 表示制御部
56 画像照合部
57 欠陥情報通知部
100 検査システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】米国特許第10,675,860号明細書