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特開2023-129244基板処理装置及び処理液容器交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129244
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】基板処理装置及び処理液容器交換方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20230907BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193362
(22)【出願日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2022032488
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】西山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】山本 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大薗 啓
(72)【発明者】
【氏名】土山 正志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 慎介
【テーマコード(参考)】
5F131
5F146
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA12
5F131BA13
5F131BA14
5F131CA44
5F131CA49
5F131DA02
5F131DA32
5F131DA34
5F131DA42
5F131DB72
5F131DB76
5F131EB81
5F131EB82
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA32
5F131JA14
5F131JA15
5F131JA16
5F131JA28
5F146JA02
5F146JA03
5F146JA27
(57)【要約】
【課題】処理液容器の交換を適切に行う。
【解決手段】基板処理装置は、処理液を収容する複数の処理液容器51と、複数の処理液容器51に対して個別に接続される複数の供給管としてのチューブ84と、複数の供給管の移動を制御する制御部と、を有する。制御部は、供給管の上下方向の移動を制御することで、処理液容器51について、処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態と、を切替える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を収容する複数の処理液容器と、
複数の前記処理液容器に対して個別に接続される複数の供給管と、
複数の前記供給管の移動を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記処理液容器に対する前記供給管の上下方向の移動を制御することで、前記処理液容器について、前記処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態と、を切替える、基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の処理液容器は、上下方向において互いに異なる高さ位置に設けられた上段と下段とに振り分けて配置され、
前記制御部は、
前記上段に配置された処理液容器については、前記供給管を上方へ移動させることで、前記供給可能な状態から前記交換可能な状態へ切替え、
前記下段に配置された処理液容器については、前記処理液容器を下方へ移動させることで、前記供給可能な状態から前記交換可能な状態へ切替える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記下段において、前記処理液容器は下段載置台上に載置され、
前記制御部は、前記処理液容器及び前記下段載置台を同時に下方へ移動させることで、前記供給可能な状態から前記交換可能な状態へ切替える、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数の処理液容器を収容する収容部をさらに有し、
前記制御部は、前記収容部を構成する部材の上下方向の移動によって複数の前記供給管が上下方向へ移動することで、前記複数の処理液容器のそれぞれについて、前記供給可能な状態と、前記交換可能な状態とを切替える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記複数の処理液容器の少なくとも一部は、上下方向において互いに異なる位置であり、且つ、上下方向に交差する横方向において互いに異なる位置に配置され、
上方に配置された前記処理液容器の横に、下方に配置された前記処理液容器に接続される前記供給管の上下方向の移動経路が形成される、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数の処理液容器の少なくとも一部は、前記収容部を構成する部材から個別に離脱可能とされている、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数の処理液容器の少なくとも一部は、上下方向に交差する横方向に移動可能な載置台に載置され、
前記制御部の制御によって、前記載置台が前記横方向へ移動することによって、前記供給管の上下方向の移動経路が形成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部の制御によって前記載置台が前記横方向へ移動する際には、前記載置台が前記基板処理装置の内部から外方へ移動する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記複数の供給管の少なくとも一部は、上下方向に交差する横方向に移動可能な支持部によって支持されており、
前記制御部の制御によって、前記支持部が前記横方向へ移動することによって、前記処理液容器の上下方向の移動経路が形成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部の制御によって前記支持部が前記横方向へ移動する際には、前記支持部が前記基板処理装置の内部から外方へ移動する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
処理液を収容する複数の処理液容器と、
複数の前記処理液容器に対して個別に接続される複数の供給管と、
複数の前記供給管の移動を制御する制御部と、
を有する基板処理装置における処理液容器交換方法であって、
前記制御部によって、前記処理液容器に対する前記供給管の上下方向の移動を制御することで、前記処理液容器について、前記処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態と、を切替える、処理液容器交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び処理液容器交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、基板処理装置において処理液を収納する容器が上下に積層配置された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-266283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理液容器の交換を適切に行うことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、処理液を収容する複数の処理液容器と、複数の前記処理液容器に対して個別に接続される複数の供給管と、複数の前記供給管の移動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記処理液容器に対する前記供給管の上下方向の移動を制御することで、前記処理液容器について、前記処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態とを切替える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理液容器の交換を適切に行うことが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、基板処理システムの概略構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、塗布・現像装置の内部構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、液処理ユニットの構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、制御装置のハードウェア上の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5(a)、図5(b)は、処理部の概略構成の一例を示す模式図である。
図6図6(a)、図6(b)は、液源設置機構の動作の一例を示す模式図である。
図7図7は、液源設置機構の変形例を示す模式図である。
図8図8(a)、図8(b)は、液源設置機構のポッド部の動作の変形例を示す模式図である。
図9図9(a)、図9(b)、図9(c)、図9(d)は、収容部の配置及び動作の変形例を示す模式図である。
図10図10は、通知部の変形例を示す模式図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、収容部の変形例を示す模式図である。
図12図12は、収容部及び液源設置機構の変形例を示す模式図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、液源設置機構の動作の変形例を示す模式図である。
図14図14(a)及び図14(b)は、収容部の配置の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、基板処理装置が提供される。基板処理装置は、処理液を収容する複数の処理液容器と、複数の前記処理液容器の内部へ個別に挿入され複数の供給管と、複数の前記供給管の移動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記処理液容器に対する前記供給管の上下方向の移動を制御することで、前記処理液容器について、前記処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態と、を切替える。
【0010】
上記の基板処理装置によれば、制御部が処理液容器に対する供給管の上下方向の移動を制御することによって、処理液容器が処理液を供給可能な状態と、処理液容器の交換が可能な状態と、を切替えることができる。このように、処理液容器に対する供給管の上下方向の移動を制御部が制御することで、処理液容器の交換が可能な状態とすることができるため、処理液容器の交換を適切に行うことが可能となる。
【0011】
前記複数の処理液容器は、上下方向において互いに異なる高さ位置に設けられた上段と下段とに振り分けて配置され、前記制御部は、前記上段に配置された処理液容器については、前記供給管を上方へ移動させることで、前記供給可能な状態から前記交換可能な状態へ切替え、前記下段に配置された処理液容器については、前記処理液容器を下方へ移動させることで、前記供給可能な状態から前記交換可能な状態へ切替える態様であってもよい。
【0012】
複数の処理液容器が上段と下段とに振り分けて配置されている場合、処理液容器内から供給管を移動させるための空間を確保する必要がある。これに対して、上記のように上段については、供給管を上方へ移動させることで、供給可能な状態から交換可能な状態へ切替える一方、下段については、処理液容器を下方へ移動させることで、供給可能な状態から交換可能な状態へ切替える。このような構成とすることで、特に下段の処理液容器についても供給管の上下方向の移動が可能となるため、処理液容器の交換を適切に行うことが可能となる。
【0013】
前記下段において、前記処理液容器は下段載置台上に載置され、前記制御部は、前記処理液容器及び前記下段載置台を同時に下方へ移動させることで、前記供給可能な状態から前記交換可能な状態へ切替える態様であってもよい。
【0014】
このような構成とすることで、処理液を供給する状態においては処理液容器を下段載置台上に安定して載置しながら、処理液容器の交換も適切に行うことが可能となる。
【0015】
前記複数の処理液容器を収容する収容部をさらに有し、前記制御部は、前記収容部を構成する部材の上下方向の移動によって複数の前記供給管が上下方向へ移動することで、前記複数の処理液容器のそれぞれについて、前記供給可能な状態と、前記交換可能な状態とを切替える態様であってもよい。
【0016】
上記のように処理液容器を収容する収容部が設けられている場合、収容部を構成する部材を利用して供給管を上下方向へ移動させる構成としてもよい。この場合、収容部とは別に供給管を上下方向に移動させる機構を設ける場合と比較して、供給管を移動させるために必要な空間を小さくすることができる。
【0017】
前記複数の処理液容器の少なくとも一部は、上下方向において互いに異なる位置であり、且つ、上下方向に交差する横方向において互いに異なる位置に配置され、上方に配置された前記処理液容器の横に、下方に配置された前記処理液容器に接続される前記供給管の上下方向の移動経路が形成される態様であってもよい。
【0018】
この場合、上下方向において互いに異なる位置に配置された処理液容器であっても、横方向において互いに異なる位置に配置されることで、各処理液容器に対して接続される供給管の上下方向への移動経路が確保されるため、各処理液容器の交換を適切に行うことができる。
【0019】
前記複数の処理液容器の少なくとも一部は、前記収容部を構成する部材から個別に離脱可能とされている態様であってもよい。
【0020】
上記の構成とすることにより、処理液容器の一部のみについて供給管の上下方向への移動を行うことが可能となるため、例えば、交換が必要な処理液容器についてのみ交換可能な状態へ切替えることができる。
【0021】
前記複数の処理液容器の少なくとも一部は、上下方向に交差する横方向に移動可能な載置台に載置され、前記制御部の制御によって、前記載置台が前記横方向へ移動することによって、前記供給管の上下方向の移動経路が形成される態様であってもよい。
【0022】
このような構成とすることで、例えば、処理液容器を供給管に接続する場所では供給管の上下方向への移動が規制されているとしても、載置台自体を横方向へ移動することで、供給管の上下方向への移動が可能となるため、処理液容器の交換を適切に行うことができる。
【0023】
前記制御部の制御によって前記載置台が前記横方向へ移動する際には、前記載置台が前記基板処理装置の内部から外方へ移動する態様であってもよい。
【0024】
このような構成とすることで、例えば、処理液容器を収容する部材を基板処理装置に対して出し入れして処理液容器の交換を行う場合に比べて、処理液容器の交換のために使用する空間を小さくすることができる。
【0025】
前記複数の供給管の少なくとも一部は、上下方向に交差する横方向に移動可能な支持部によって支持されており、前記制御部の制御によって、前記支持部が前記横方向へ移動することによって、前記処理液容器の上下方向の移動経路が形成される態様であってもよい。
【0026】
このような構成とすることで、例えば、処理液容器を供給管に接続する場所では処理液容器の上下方向への移動が規制されているとしても、支持部自体を横方向へ移動することで、処理液容器の上下方向への移動が可能となるため、処理液容器の交換を適切に行うことができる。
【0027】
前記制御部の制御によって前記支持部が前記横方向へ移動する際には、前記支持部が前記基板処理装置の内部から外方へ移動する態様であってもよい。
【0028】
このような構成とすることで、例えば、処理液容器を収容する部材を基板処理装置に対して出し入れして処理液容器の交換を行う場合に比べて、処理液容器の交換のために使用する空間を小さくすることができる。
【0029】
別の例示的実施形態において、処理液交換方法が提供される。処理液交換方法は、処理液を収容する複数の処理液容器と、複数の前記処理液容器の内部へ個別に挿入される複数の供給管と、複数の前記供給管の移動を制御する制御部と、を有する基板処理装置における処理液容器交換方法であって、前記制御部によって、前記処理液容器に対する前記供給管の上下方向の移動を制御することで、前記処理液容器について、前記処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態と、を切替える。
【0030】
上記の処理液交換方法によれば、制御部が処理液容器に対する供給管の上下方向の移動を制御することによって、処理液容器が処理液を供給可能な状態と、処理液容器の交換が可能な状態と、を切替えることができる。このように、供給管の上下方向の移動を制御部が制御することで、処理液容器の交換が可能な状態とすることができるため、処理液容器の交換を適切に行うことが可能となる。
【0031】
[例示的実施形態]
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。一部の図面にはX軸、Y軸、及びZ軸により規定される直交座標系が示される。以下の実施形態では、Z軸が上下方向に対応し、X軸及びY軸が水平方向に対応する。
【0032】
[基板処理システム]
まず、図1図5を参照して一実施形態に係る基板処理システムを説明する。図1に示される基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象のワークW(基板)は、例えば半導体用の基板である。基板としては、一例として、シリコンウェハである。ワークWは円形に形成されてもよい。また、処理対象のワークWは、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)などであってもよい。ワークWは、一部が切り欠かれた切欠部を有していてもよい。切欠部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。また、感光性被膜は、例えばレジスト膜である。
【0033】
基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。露光装置3は、ワークW(基板)上に形成されたレジスト膜(感光性被膜)の露光処理を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ワークW(基板)の表面にレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。
【0034】
[基板処理装置]
以下、基板処理装置の一例として、塗布・現像装置2の構成を説明する。図1及び図2に示されるように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、制御装置100とを備える。
【0035】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのワークWの導入及び塗布・現像装置2内からのワークWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ワークW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のワークWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからワークWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からワークWを受け取ってキャリアC内に戻す。
【0036】
処理ブロック5は、複数の処理モジュール11,12,13,14を有する。処理モジュール11,12,13,14は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送アームを含む搬送装置A3とを内蔵している。
【0037】
処理モジュール11は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりワークWの表面上に下層膜を形成する。処理モジュール11の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をワークW上に塗布する。処理モジュール11の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0038】
処理モジュール12は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。処理モジュール12の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜の上に塗布する。処理モジュール12の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0039】
処理モジュール13は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、レジスト膜上に上層膜を形成する。処理モジュール13の液処理ユニットU1は、上層膜形成用の液体をレジスト膜の上に塗布する。処理モジュール13の熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0040】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。液処理ユニットU1は、露光済みのワークWの表面上に現像液を塗布する。また、液処理ユニットU1は、塗布された現像液をリンス液により洗い流す。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0041】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でワークWを昇降させる。
【0042】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0043】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でワークWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたワークWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からワークWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0044】
制御装置100は、例えば以下の手順で塗布・現像処理を実行するように塗布・現像装置2を制御する。まず制御装置100は、キャリアC内のワークWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このワークWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0045】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール11内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの表面上に下層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、下層膜が形成されたワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0046】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール12内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの下層膜上にレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0047】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0048】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。その後制御装置100は、露光処理が施されたワークWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0049】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御し、このワークWのレジスト膜に現像処理を施すように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7及び搬送装置A1を制御する。以上で塗布・現像処理が完了する。
【0050】
なお、基板処理装置の具体的な構成は、以上に例示した塗布・現像装置2の構成に限られない。基板処理装置は、ワークWに処理液を吐出して液処理を行う液処理ユニットと、これを制御可能な制御装置とを備えていればどのようなものであってもよい。
【0051】
(液処理ユニット)
続いて、図3を参照して、処理モジュール12における液処理ユニットU1の一例について詳細に説明する。液処理ユニットU1は、回転保持部20と、処理液供給部30と、を備える。
【0052】
回転保持部20は、制御装置100の動作指示に基づき、ワークWを保持して回転させる。回転保持部20は、保持部21と、駆動部22とを備える。保持部21は、表面Waを上方に向けて水平に配置されたワークWの中心部を支持し、当該ワークWを吸着(例えば真空吸着)等により保持する。駆動部22は、例えば電動モータ等を動力源とした回転アクチュエータであり、鉛直な回転軸周りに保持部21を回転させる。これにより、鉛直な回転軸周りにワークWが回転する。
【0053】
処理液供給部30は、回転保持部20に回転保持されたワークWに処理液を供給する。処理液供給部30は、図3に示されるように、吐出部40と、液源部50と、送液系60と、を備える。
【0054】
吐出部40は、ワークWの表面Waに向けて処理液を吐出する。吐出部40は、ノズル41と、送液管42とを備える。ノズル41は、ワークWに処理液を吐出する。ノズル41は、図3に示されるように、例えば、ワークWの上方に配置され、処理液を下方に吐出する。送液管42は、ノズル41まで処理液を導く。ノズル41からワークWに向けて処理液が吐出されることで、ワークWに処理液が塗布(供給)される。
【0055】
液源部50は、処理液容器51と、処理液容器51に対して取り付けられるチューブ52(供給管)と、チューブ52に対して取り付けられるキャップ部53と、処理液容器51を収容する収容部54とを含んで構成される。処理液は、液源部50に設けられる処理液容器51から供給され得る。処理液容器51は処理液を貯留するボトルであり、チューブ52を着脱可能とされている。処理液容器51としては、例えば、ガロン瓶等が用いられ得る。
【0056】
チューブ52は、処理液容器51の上方から内部に挿入される供給管である。また、チューブ52は、キャップ部53と接続されていて、キャップ部53を移動させることでチューブ52の処理液容器51内からの出し入れが可能とされている。キャップ部53は、例えば、処理液容器51となるボトルの上部の口に取り付けられ得る。
【0057】
収容部54は、塗布・現像装置2において処理液容器51となるボトルを配置する機能を有する。収容部54は、塗布・現像装置2に内蔵可能であってもよい。収容部54は、塗布・現像装置2のキャリアブロック4、処理ブロック5、又はインタフェースブロック6のいずれかに内蔵されてもよい。収容部54は、一例として、図1に示すように、塗布・現像装置2のキャリアブロック4に内蔵可能であって、塗布・現像装置2の外方で出入りが可能なカートとして実現され得る。図1に示す例では、収容部54において、複数の処理液容器51が上下方向に2段重なるように配置される。収容部54の具体的な構造については後述する。なお、塗布・現像装置2内における処理液容器51の配置は、適宜変更され、処理液容器51の配置に応じて収容部54の構造・形状も変更され得る。
【0058】
送液系60は、処理液を供給する流路及び流路中の送液のためのポンプ、バルブ等を含んで構成される。送液系60の一例としては、流路中のバルブ、中間タンク等が含まれ得る。なお、送液系60には、流路内の処理液から気体を分離し排出するための構成が含まれていてもよい。
【0059】
送液系60の上流側は、液源部50のチューブ52に接続されている。チューブ52が処理液容器51の内部に挿入された状態で、送液系60が動作することによって、チューブ52を介して処理液容器51内の処理液が吐出部40へ向けて送液され、ノズル41から吐出される。
【0060】
制御装置100は、処理液供給部30を用いて、処理液容器51から後段の吐出部40(ノズル41)へ処理液を送出する機能を有する。なお、本開示では、処理液の流れを基準にして、「前段」及び「後段」、並びに、「上流」及び「下流」の用語を使用する。処理液供給部30において、処理液が、前段(上流)から後段(下流)に向かって流れる。
【0061】
さらに、制御装置100は、液源部50を制御して、処理液容器51に対するチューブ52の取り付け及び取り外しを制御する機能を有していてもよい。具体的には、制御装置100は、チューブ52(供給管)の上下方向の移動を制御することで、処理液容器51から処理液を供給可能な状態と、処理液容器51の交換が可能な状態と、を切替える。この点については後述する。
【0062】
制御装置100は、一つまたは複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば、制御装置100は、図4に示される回路120を有する。回路120は、一つまたは複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、タイマ125と、を備える。
【0063】
ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、液処理を用いた処理手順を含む上記塗布・現像処理を塗布・現像装置2に実行させるためのプログラムを記録している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスクおよび光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記録する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、処理液供給部30の各部との間で電気信号の入出力を行う。
【0064】
なお、制御装置100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御装置100の各機能モジュールは、専用の論理回路またはこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0065】
[処理液容器の収容部]
上記の処理液容器51を収容する収容部54及びその周辺構造について、図5及び図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態で説明する「処理液」とは、塗布・現像装置2における種々の処理に使用される処理液を含む。すなわち、上記で説明した、ワークWの表面Waに供給される処理液とは異なる液体も「処理液」に含まれ得る。
【0066】
収容部54は、上述のように、塗布・現像装置2に対して出入り可能なカートとして構成される。図5(a)に示すように、収容部54は、上段載置台71と、下段載置台72と、を含んで構成される。なお、上段載置台71の上方に、収容部54全体を支持する支持バー73が設けられていてもよい。
【0067】
収容部54には、例えば、上段載置台71上に4つの処理液容器51が設けられると共に、下段載置台72上に4つの処理液容器51が設けられる。収容部54に収容される処理液容器51のそれぞれは、上述のチューブ52及びキャップ部53としての機能を有する液源設置機構80によって設置位置が固定されている。
【0068】
液源設置機構80としては、収容部54の上段に設置される上段用設置機構80Aと、収容部54の下段に設置される下段用設置機構80Bと、の2種類が用いられる。すなわち、収容部54に設置される1つの処理液容器51に対して1つの液源設置機構80(上段用設置機構80Aまたは下段用設置機構80B)が設けられている。図5に示す例では、8つの処理液容器51に対して8つの液源設置機構80(上段用設置機構80Aまたは下段用設置機構80B)が設けられている。
【0069】
上段用設置機構80Aは、処理液容器51を収容するポッド部81Aと、ヘッド部82Aと、伸縮部83Aとを含んで構成される。
【0070】
ポッド部81Aは、上段載置台71上に固定される凹型状の容器であって、内部に処理液容器51を収容可能とされている。ポッド部81Aの固定位置は、塗布・現像装置2の送液系60に対して処理液容器51を接続する際に適した位置とされる。
【0071】
ヘッド部82Aは、送液系60に接続されるチューブ84(供給管)を含んで構成される。ヘッド部82Aは、ポッド部81Aの上方に設けられる。チューブ84は、図3のチューブ52に対応する、処理液の供給管である。
【0072】
伸縮部83Aは、ポッド部81Aに対してヘッド部82Aが上下移動可能となるように、ヘッド部82Aを支持する機能を有する。伸縮部83Aは、例えば、シリンダまたはボールネジを組み付けたモータ等といったアクチュエータによって構成される。上段用設置機構80Aでは、伸縮部83Aの上端にヘッド部82Aが取り付けられている。一方、伸縮部83Aの下端は上段載置台71に固定されていて、伸縮部83Aの上端が上下方向に移動可能とされている。伸縮部83Aは、例えば、ポッド部81Aよりも上段載置台71の中央側(上段載置台71の端部のうち処理液容器51に近い端部から遠い側)に設けられる。ただし、伸縮部83Aを設ける位置は適宜変更され得る。
【0073】
上段用設置機構80Aは、図6(a)に示すように、伸縮部83Aが収縮した状態では、ヘッド部82Aが処理液容器51の開口に概ね接触した状態となり、ヘッド部82Aに取り付けられたチューブ84が処理液容器51内に挿入される。この状態は、処理液容器51からの処理液の供給が可能な状態とされる。すなわち、チューブ84を経て、処理液が送液系60に対して供給される。
【0074】
一方、図6(b)に示すように、伸縮部83Aが伸長した状態では、ヘッド部82Aが処理液容器51の開口から上方に離れた状態となり、さらに、ヘッド部82Aに取り付けられたチューブ84が処理液容器51外に移動する。この状態では、処理液容器51をポッド部81Aから移動することが可能となる。この状態にすると処理液容器51の交換を行うことができる。
【0075】
このように、上段用設置機構80Aは、ヘッド部82Aが上下動することによって、処理液容器51内からチューブ84を上方向に移動させることが可能となる。なお、上段用設置機構80Aには、その動作状態を周囲に通知する通知部が設けられてもよい。一例として、図6(a)等に示すように、ヘッド部82Aに対して通知部75Aが設けられていてもよい。例えば、通知部75Aは、LEDライト等によって構成されていて、ヘッド部82Aが処理液容器51に対して当接している状態では消灯し、ヘッド部82Aが処理液容器51から離れている状態では点灯する構成であってもよい。ヘッド部82Aが処理液容器51に対して当接している状態とは、チューブ84が処理液容器51に対して挿入されている状態、すなわち、処理液の通液に係る準備が行われた状態に対応する。なお、通知部75Aは、光の点灯・消灯によって状態を通知することに代えて、点灯する光の色等を変更することで状態を通知してもよい。また、例えば、ヘッド部82Aが処理液容器51から離れている状態では通知音が鳴るなど、音声を利用して状態を通知する構成としてもよい。
【0076】
下段用設置機構80Bは、処理液容器51を収容するポッド部81Bと、ヘッド部82Bと、伸縮部83Bとを含んで構成される。これらの機能は上段用設置機構80Aと同様だが、各部の構成及び機能の一部が上段用設置機構80Aと相違する。
【0077】
ポッド部81Bは、下段載置台72上に配置される凹型状の容器である。ポッド部81Bを設ける位置は、塗布・現像装置2の送液系60に対して処理液容器51を接続する際に適した位置とされる。なお、ポッド部81Bは下段載置台72上に固定されているが、ポッド部81Bの下方の下段載置台72aは、ポッド部81Bが載置されていない下段載置台72に対して移動可能な状態とされている。つまり、ポッド部81Bの下方の下段載置台72aは、それ以外の下段載置台72とは区切られている。この点は後述する。
【0078】
ヘッド部82Bは、送液系60に接続されるチューブ84を含んで構成される。ヘッド部82Bは、ポッド部81Bの上方に設けられる。なお、ヘッド部82Bは、ヘッド部82Aとは異なる点として、収容部54に対して上下方向への移動が規制されている。一例として、ヘッド部82Bは、その上方が上段載置台71に固定されることで、上下方向のみならず、横方向(左右方向)への移動が規制されていてもよい。なお、ヘッド部82Bは、上段載置台71とは異なる支持部材等に支持されることによって、上下方向への移動が規制されていてもよい。
【0079】
伸縮部83Bは、ヘッド部82Bに対してポッド部81Bが上下移動可能となるように、ポッド部81Bを支持する機能を有する。伸縮部83Bは、例えば、シリンダまたはボールネジを組み付けたモータ等といったアクチュエータによって構成される。下段用設置機構80Bでは、伸縮部83Bの上端がヘッド部82Bに固定されている。ヘッド部82Bは上述のように上下方向の移動が規制されているため、伸縮部83Bの上端も上下方向の移動が規制されている。そのため、伸縮部83Bは下端が上下方向に移動することで伸縮動作が可能となっている。また、伸縮部83Bの下端はポッド部81Bに固定されている。つまり、伸縮部83Bの上下方向の移動に伴って、ポッド部81Bも上下方向に移動可能となっている。なお、ポッド部81Bの上下方向の移動と干渉しないように、下段載置台72aは、周囲の下段載置台72とは区切られている(図5(b)参照)。一例として、下段載置台72aは、ポッド部81Bの上下方向の移動と共に、上下方向に移動可能であってもよい。
【0080】
伸縮部83Bについても、伸縮部83Aと同様に、例えば、ポッド部81Bよりも下段載置台72の中央側(下段載置台72の端部のうち処理液容器51に近い端部から遠い側)に設けられる。ただし、伸縮部83Bを設ける位置は適宜変更され得る。
【0081】
下段用設置機構80Bは、図6(a)に示すように、伸縮部83Bが収縮した状態では、ヘッド部82Bが処理液容器51の開口に概ね接触した状態となり、ヘッド部82Bに取り付けられたチューブ84が処理液容器51内に挿入される。この状態は、処理液容器51からの処理液の供給が可能な状態とされる。すなわち、チューブ84を経て、処理液が送液系60に対して供給される。
【0082】
一方、図6(b)に示すように、伸縮部83Bが伸長してポッド部81B及び処理液容器51が下方へ移動した状態では、ヘッド部82Bが処理液容器51の開口から上方に離れた状態となる。このとき、ヘッド部82Bに取り付けられたチューブ84が処理液容器51外に移動する。この状態では、処理液容器51をポッド部81Bから移動することが可能となる。この状態にすると処理液容器51の交換を行うことができる。
【0083】
このように、下段用設置機構80Bは、ポッド部81Bが上下動することによって、処理液容器51内からチューブ84を上方向に移動させることが可能となる。なお、下段用設置機構80Bにも、上段用設置機構80Aと同様に、その動作状態を周囲に通知する通知部75Bが設けられてもよい。
【0084】
なお、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bにおけるチューブ84の移動(取り付け及び取り外し)に係る動作は、例えば、制御装置100によって制御される。例えば、制御装置100は、塗布・現像装置2の操作者等の指示に基づいて、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bのうちの特定の機構を動作させることで、当該機構における処理液容器51の設置または交換を制御することとしてもよい。
【0085】
図5に示す収容部54において、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bが上記のように動作する場合、上段載置台71を基準として、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bがそれぞれ上下方向に動作することになる。そのため、収容部54から処理液容器51を取り出そうとする場合に、周囲の空間を広く確保することを防ぎながら、処理液容器51を交換することが可能となる。なお、下段載置台72に載置された処理液容器51を交換する場合には、収容部54の下段載置台72よりも下方に、ポッド部81Bの上下方向への移動を許容するための空間を確保することが必要となる。
【0086】
なお、上記の収容部54を用いた場合、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bの動作状態を確認しながら、ポッド部81A,81Bからの処理液容器51の出し入れを機械的に行うことができる。すなわち、上段用設置機構80Aまたは下段用設置機構80Bによってチューブ84が外れた状態になると、ポッド部81Aまたはポッド部81B内にチューブ84と分離された状態の処理液容器51が配置された状態となる。この状態は処理液容器51の交換が可能な状態となる。このとき、この処理液容器51を除去し、代替の処理液容器51として例えば処理液が充填された容器を配置し、上段用設置機構80Aまたは下段用設置機構80Bの動作によってチューブ84を処理液容器51内に挿入する。これにより、処理液容器51の交換が完了する。このポッド部81A,81Bからの処理液容器51の除去と、ポッド部81A,81Bへの代替の処理液容器51の配置と、は人力で行うこともできるが、機械的に行うことも可能である。したがって、収容部54に収容された処理液容器の交換を機械的に行うことが可能となる。
【0087】
[収容部及び液源設置機構の変形例]
収容部54に収容された処理液容器51の交換をより小さな空間で行うための液源設置機構の変形例について、以下説明する。
【0088】
(下段用設置機構の変形例)
図7は、下段用設置機構80Bに代えて下段用設置機構80Cを適用した例を示している。
【0089】
下段用設置機構80Cは、ポッド部81C、ヘッド部82C及び伸縮部83Cを有する点は下段用設置機構80Bと同様である。さらに、下段用設置機構80Cは、ポッド部81Cを横方向(特に、水平方向)に移動させることが可能な載置台であるスライド部85Cを有する。また、ヘッド部82C及び伸縮部83Cについてもその形状及び動作が下段用設置機構80Bと相違する。
【0090】
スライド部85Cの上面には、ポッド部81C及び伸縮部83Cが固定されている。また、スライド部85Cは、ポッド部81C及び伸縮部83Cを下段載置台72の端部(処理液容器51に近い端部)よりも外方へ移動させることが可能とされている。
【0091】
ヘッド部82Cは、ヘッド部82Bとは異なり、ヘッド部82Aと同様に上下方向へ移動可能とされている。すなわち、ヘッド部82Cは、上段載置台71等へは固定されていない点が、ヘッド部82Bと相違する。
【0092】
また、伸縮部83Cは、伸縮部83Aと同様に、その上端にヘッド部82Cが取り付けられていて、伸縮部83Cの上端が上下方向に移動可能とされている。この点は、下端が上下方向に移動可能な伸縮部83Bとは相違する。
【0093】
上記の下段用設置機構80Cを使用する場合、図7に示される左側の下段用設置機構80Cのように、処理液容器51の使用時(通液時)は、スライド部85Cが収納された状態となり、ポッド部81C及び処理液容器51が下段載置台72上に位置する。このとき、ヘッド部82Cに取り付けられたチューブ84を介して処理液が下流側へ供給される。
【0094】
一方、処理液容器51を交換する場合には、図7に示される右側の下段用設置機構80Cのように、スライド部85Cを拡張することによって、ポッド部81C及び伸縮部83Cを下段載置台72の端部(処理液容器51に近い端部)よりも外方へ横方向に移動させる。この状態では、ヘッド部82Cが上下方向に移動可能となる。したがって、ヘッド部82Cを上方へ移動させることで、処理液容器51に取り付けられたチューブ84を上方へ離すことができる。その結果、処理液容器51の交換が可能となる。
【0095】
上記の下段用設置機構80Cを使用する場合も、収容部54から処理液容器51を取り出そうとする場合に、周囲の空間を広く確保することを防ぐことができる。収容部54では、上段載置台71が下段の処理液容器51の上方にあるため、そのままの位置ではチューブ84を上下方向に移動して処理液容器51と離間させることが困難である。これに対して、スライド部85Cを用いて処理液容器51を横方向に移動させると、チューブ84の移動経路が形成(確保)されるため、処理液容器51の交換が可能となる。
【0096】
また、下段用設置機構80Bは、下段載置台72についてもポッド部81Bと同様に上下方向の移動が可能な構成とする必要があったのに対して、下段用設置機構80Cの場合にはそのような構成変更が不要となる。
【0097】
(ポッド部の動作の変形例)
図8は、処理液容器51を交換する際のポッド部の動作の変更例を示している。図8(a)は、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bに代えて、上段用設置機構80D及び下段用設置機構80Eを収容部54に適用した構成例を示す図であり、図6(b)に対応する図である。図8(a)においても、上段用設置機構80D及び下段用設置機構80Eのそれぞれにおいて伸縮部83D,83Eを伸長させて、処理液容器51からチューブ84を離した構成を示している。
【0098】
上段用設置機構80Dは、上段用設置機構80Aと比較して、ポッド部81Dが軸86Dを軸心として回動可能とされている点が相違する。軸86Dは、ポッド部81Dを回動させたときに処理液容器51の出し入れがしやすい方向に設定されている。一例として、図8(b)に示すように、ポッド部81Dが伸縮部83Dから離れる方向に回動するように、軸86Dが設定されていてもよい。
【0099】
下段用設置機構80Eは、下段用設置機構80Bと比較して、ポッド部81Eが軸86Eを軸心として回動可能とされている点が相違する。軸86Eの延在方向は、軸86Dと同様に、ポッド部81Eを回動させたときに処理液容器51の出し入れがしやすい方向に設定されている。さらに、下段用設置機構80Bにおいては、伸縮部83Bはポッド部81部Bと接続されていたのに対して、下段用設置機構80Eにおいては、支持部材87Eを用いて両者が接続される。支持部材87Eは、伸縮部83Eの下端から横方向(特に、水平方向)に延びるように設けられる。また、支持部材87Eには、軸86Eが取り付けられていて、軸86Eを介してポッド部81Eが支持されている。
【0100】
上記のポッド部81D,81Eのように、ポッド部が回動可能となるように設定されていると、図8(b)に示すように、チューブ84が外された状態の処理液容器51の取り外しが容易となる。具体的には、図8(b)に示すように、矢印A方向への移動により処理液容器51を取り外すことが可能となる。また、このように処理液容器51が矢印A方向へ引き抜くことで、取り外しが可能となると、ポッド部の側壁の高さを大きく(ポッド部の凹部を深く)しても、処理液容器51の交換への影響を小さくすることができる。
【0101】
例えば、図6(b)に示す例では、ポッド部81Aから処理液容器51を移動させるためには、処理液容器51がポッド部81Aを乗り越える必要がある。したがって、仮にチューブ84が可撓性のない材料で構成されているとすると、ポッド部81A内面における側壁の高さよりも、処理液容器51の口とチューブ84との上下方向の長さを大きく確保することが求められ得る。これに対して、ポッド部81D,81Eのように回動可能であると、ポッド部から処理液容器51を移動させる際に、処理液容器51がポッド部を乗り越えるように処理液容器51を移動させる必要がなくなる。したがって、伸縮部83D,83Eの伸長時の長さを小さくしても処理液容器51の交換が可能となり得る。また、ポッド部の側壁の高さを長くしてもよくなるので、処理液容器51をより安定した状態で支持することができる。
【0102】
なお、ポッド部を回動可能とするために、上段載置台71等の形状を適宜変更してもよい。また、チューブ84が処理液容器51に挿入されている状態においてポッド部が回動しないように、チューブ84が挿入されている状態ではポッド部の回動を規制する部材等が別途設けられていてもよい。
【0103】
(収容部の配置の変更例)
これまでの例では、収容部54が塗布・現像装置2に対して出入り可能なカートである場合について説明した。これに対して、収容部54は塗布・現像装置2に内蔵されていてもよい。また、このような場合も、上述の液源設置機構80のような機構が設けられていてもよい。
【0104】
図9は、収容部54Aが塗布・現像装置2に内蔵されている場合の一例を示している。図9(a)、(b)は、塗布・現像装置2内の収容部54Aに2つの処理液容器51が収容されている状態を示しており、図9(b)は図9(a)に対応する側面図である。
【0105】
図9(a)、(b)に示すように、塗布・現像装置2の内部に直方体状の収容部54Aが設けられているとする。このとき、収容部54Aの上方が開閉可能となっていて、上方には、後述のように収容部54Aの内部における液源設置機構80として、複数段設置機構80Fに係る部材が移動可能とされているとする。
【0106】
収容部54Aの内部では、2つの処理液容器51が、図9(a)に示すように水平方向(横方向)に沿って互いに異なる位置に設けられると共に、図9(b)に示すように上下方向に沿って互いに異なる位置に設けられるとする。このように、2つの処理液容器51も互いに異なる層に配置されている。ただし、処理液容器51同士は、平面視で見たときに重なる位置には設けられておらず、各処理液容器51が他の処理液容器51と干渉することなく上下方向に移動可能であるとする。なお、図9(a)、(b)(及び後述の図9(c)、(d))では、処理液容器51を収容するポッド部が載置される載置台(上述の上段載置台71及び下段載置台72に対応する台)は省略されている。
【0107】
収容部54A内には、上述の上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bに対応する液源設置機構80としての複数段設置機構80Fが設けられている。
【0108】
複数段設置機構80Fは、処理液容器51を収容するポッド部81Fと、ヘッド部82Fと、伸縮部83Fと、接続部88と、を含んで構成される。
【0109】
ポッド部81Fは、これまで説明したポッド部と81A同様に載置台(図示せず)上に固定される凹型状の容器である。複数段設置機構80Fでは、処理液容器51の数に対応したポッド部81Fが設けられる。具体的には、図9に示す例では、複数段設置機構80Fは2つのポッド部81Fを含んでいる。
【0110】
ヘッド部82Fは、送液系60に接続されるチューブ84を含んで構成される。ヘッド部82Fは、複数のポッド部81Fそれぞれの上方に設けられる。
【0111】
伸縮部83Fは、複数のポッド部81Fそれぞれに対してヘッド部82Fが上下移動可能となるように、ヘッド部82Fを支持する機能を有する。伸縮部83Fは、複数のヘッド部82Fを同時に上下移動可能となるように、接続部88によって複数のヘッド部82Fに対して接続されている。複数段設置機構80Fの場合、伸縮部83Fの上端に、接続部88を介して複数のヘッド部82Fが取り付けられている。一方、伸縮部83Fの下端は図示しない載置台または他の部材に固定されていて上下の移動が規制されている。この結果、伸縮部83Fの上端が上下方向に移動可能とされている。
【0112】
複数段設置機構80Fは、図9(a)、(b)に示すように、伸縮部83Fが収縮した状態では、ヘッド部82Fが複数の処理液容器51それぞれの開口に概ね接触した状態となり、ヘッド部82Fに取り付けられたチューブ84が処理液容器51内に挿入される。
【0113】
一方、図9(c)、(d)に示すように、伸縮部83Fが伸長した状態では、複数のヘッド部82Fそれぞれについて処理液容器51の開口から上方に離れた状態となり、さらに、ヘッド部82Fに取り付けられたチューブ84が処理液容器51外に移動する。この状態では、複数の処理液容器51を、それぞれのポッド部81Fから移動することが可能となる。特に、下方に設けられた処理液容器51に対するチューブ84については、上下方向の移動経路は、上方に設けられた処理液容器51の横となる。この状態にすると処理液容器51の交換を行うことができる。なお、収容部54Aの上方が天板によって覆われている場合には、伸縮部83Fが伸長した状態では、収容部54Aの天板は上方に移動し得る。
【0114】
このように、複数段設置機構80Fでは、ヘッド部82Fが上下動することによって、処理液容器51内からチューブ84を移動させることが可能となる。さらに、複数段設置機構80Fは、複数の処理液容器51それぞれに対してチューブ84を同時に移動させることができる。これは、処理液容器51同士が処理液容器51の上下方向の移動を互いに干渉しないような配置とされているからである。このような配置とされている場合、図9に示すように、接続部88を利用してこれらを接続することで、1つの伸縮部83Fを利用して同時にチューブ84を移動させることが可能となる。
【0115】
なお、複数段設置機構80Fにおいて、収容部54Aの天板が接続部88としての機能の一部を有していてもよい。また、天板に限らず、収容部54Aを構成する部材の一部が接続部88としての機能を有していてもよい。
【0116】
また、接続部88による複数のヘッド部82F間の連結は解除可能であってもよく、一部のヘッド部82Fの連結を解除し、一部のヘッド部82F(チューブ84)のみ上下方向に移動する状態としてもよい。一例として、接続部88による連結または離脱に係る部分に電磁石を配置し、この電磁石への電気信号指令によって各ヘッド部(チューブ)単位で連結/離脱を切替えることによって、動作対象のチューブを選択する構成としてもよい。
【0117】
また、上述の上段用設置機構80Aまたは下段用設置機構80Bにおいても、接続部88と同様の機能を有する部材を利用して2つのヘッド部82同士を接続して、1つの伸縮部83を用いて移動させる構成としてもよい。
【0118】
(通知部の変更例)
図6では、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bのそれぞれに通知部75A,75Bを設ける例について説明した。これ以外の通知部の構成について、図10を参照しながら説明する。
【0119】
図10では、2つの通知部75C,75Dを例示している。通知部75Cは、1つの収容部54に対して通知部75Cが設けられている例である。このような通知部75Cを設けることによって、例えば、収容部54に設けられている上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bの全てが処理液容器51の接続が完了しているか否かを示す構成としてもよい。図10に示すように、収容部54が塗布・現像装置2(基板処理装置)に対して出入りする構造であると、出入り時の上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bの伸縮部の状態が重要となる。すなわち、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bの一部の伸縮部が伸長した状態で収容部54を塗布・現像装置2内に移動させようとすると、これらが衝突する可能性がある。そこで、全ての上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bについて、伸縮部83が収縮し、ヘッド部が処理液容器51と接触した状態であることを通知する通知部75Cを設けるとする。これにより、通知部75Cの通知内容に基づいて収容部54を出入りさせることが可能となる。このような構成とした場合、上段用設置機構80Aまたは下段用設置機構80Bが塗布・現像装置2と衝突することが防がれる。
【0120】
なお、通知部75Dは、通知部75Cと同様の機能を有する通知部を塗布・現像装置2側に設けた例を示している。このような構成とした場合も通知部75Cと同様の効果を奏することができる。さらに、通知部75Dに対応する位置に、通知部75A,75Bが通知する情報に対応する情報を通知する通知部を有していてもよい。すなわち、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80Bのそれぞれにおけるヘッド部と処理液容器51との接触の有無(通液可能か否か)を示す情報を塗布・現像装置2の外面(側面等)で通知する構成であってもよい。
【0121】
なお、通知部75A~75Dによる通知内容は、図10に示すようなボトル搬送ユニットに無線通信等によって通知される構成であってもよい。ボトル搬送ユニットは、例えば、収容部54における処理液容器51の交換を機械的に実行し得るユニットである。このようなユニットに対して、収容部54における処理液容器51(または、上段用設置機構80A及び下段用設置機構80B)の状態を通知する構成とすることで、ボトル搬送ユニットとの連携を適切に行うことが可能となる。
【0122】
(収容部及び液源設置機構の変形例)
図11(a)及び図11(b)に示されるように、収容部54に代えて、収容部54Bが設けられてもよい。収容部54Bは、インタフェースブロック6に内蔵可能であってもよい。図12に示されるように、収容部54Bでは、例えば、収容部54と同様に、上段載置台71及び下段載置台72が設けられ、上段載置台71上に4つの処理液容器51が配置され、下段載置台72上に4つの処理液容器51が配置される。収容部54Bは、収容部54と同様に、塗布・現像装置2の内部と外方との間で出し入れ可能であってもよい。収容部54では、収容部54が移動する方向に沿って、上段載置台71上及び下段載置台72上のそれぞれにおいて4つの処理液容器51が並んでいる。一方、収容部54Bでは、収容部54Bが移動する方向に交差する方向に沿って、上段載置台71上及び下段載置台72上のそれぞれにおいて4つの処理液容器51が並んでいる。
【0123】
収容部54Bは、例えば、側板56a,56bと、天板57aと、底板57bと、上段載置台71と、下段載置台72と、支持部材74とを備える。側板56a及び側板56bは、主面同士が横方向(図12のY軸方向)において対向するように配置されている。天板57aは、側板56a及び側板56bの上部同士を接続し、底板57bは、側板56a及び側板56bの下部同士を接続する。天板57a及び底板57bの間において、上段載置台71、支持部材74、及び下段載置台72が、上方からこの順に設けられている。上段載置台71、支持部材74、及び下段載置台72それぞれの一端は側板56aに固定されており、上段載置台71、支持部材74、及び下段載置台72それぞれの他端は側板56bに固定されている。
【0124】
収容部54Bにおいても、8つの処理液容器51それぞれについて、8つの液源設置機構が設けられる。これにより、8つの処理液容器51が個別に交換可能である。収容部54の上段には上段用設置機構80Aが設けられるが、収容部54Bの上段では、上段用設置機構80Gが設けられる。上段用設置機構80Gは、下段載置台72に代えて、上段載置台71上で横方向に移動可能であること以外は、下段用設置機構80Cと同様に構成されている。
【0125】
上段用設置機構80Gは、図13(a)にも示されるように、ポッド部81Gと、ヘッド部82Gと、伸縮部83Gと、スライド部85Gとを備える。ポッド部81G、ヘッド部82G、伸縮部83G、及びスライド部85Gは、ポッド部81C、ヘッド部82C、伸縮部83C、及びスライド部85Cにそれぞれ対応する。スライド部85Gは、図13(b)に示されるように、ポッド部81G及び伸縮部83Gを上段載置台71の横方向の端部よりも外方へ移動させることが可能である。
【0126】
収容部54の下段には下段用設置機構80Bが設けられるが、収容部54Bの下段では、下段用設置機構80Hが設けられる。下段用設置機構80Hは、ポッド部81H、ヘッド部82H、及び伸縮部83Hを有する点は下段用設置機構80Bと同様である。さらに、下段用設置機構80Hは、ポッド部81H、ヘッド部82H、及び伸縮部83Hを横方向(特に、水平方向)に移動させることが可能な支持部であるスライド部89Hを有する。
【0127】
スライド部89Hは、収容部54Bを構成する部材に接続(支持)されている。スライド部89Hは、例えば、支持部材74の下面に取り付けられている。なお、スライド部89Hは、支持部材74に代えて、上段載置台71の下面に取り付けられてもよい。スライド部89Hの下面には、ヘッド部82H及び伸縮部83Hが固定されている。
【0128】
ヘッド部82Hでは、ヘッド部82Bと同様に、収容部54Bに対して上下方向への移動が規制されている。伸縮部83Hは、伸縮部83Bと同様に、ヘッド部82Hに対してポッド部81Hが上下移動可能となるように、ポッド部81Hを支持する機能を有する。伸縮部83Hは、その下端が上下方向に移動することで伸縮動作が可能となっている。また、伸縮部83Hの下端はポッド部81Bに固定されている。つまり、伸縮部83Hの上下方向の移動に伴って、ポッド部81H、及びポッド部81Hに支持されている処理液容器51も、上下方向に移動可能となっている。
【0129】
上記の下段用設置機構80Hを使用する場合、処理液容器51の使用時(通液時)では、塗布・現像装置2の内部に収容部54Bが位置し、スライド部89Hが収容された状態となり、ポッド部81H及び処理液容器51が下段載置台72上に位置する。このとき、ヘッド部82Hに取り付けられたチューブ84を介して処理液が下流側へ供給される。スライド部89Hが収容された状態において、ポッド部81Hが下段載置台72に載置されてもよい。
【0130】
一方、処理液容器51を交換する場合には、図13(a)に示されるように、収容部54Bが塗布・現像装置2の外方に移動する。そして、図13(b)に示されるように、スライド部89Hが拡張されることによって、ヘッド部82H、伸縮部83H、及びポッド部81Hが、下段載置台72の端部よりも外方へ横方向に移動する。この状態では、ポッド部81H及び処理液容器51が上下方向に移動可能となる。したがって、ポッド部81Hを下方へ移動させることで、チューブ84に対して処理液容器51を下方へ離すことができる。その結果、処理液容器51の交換が可能となる。スライド部89Hが拡張される際に、ポッド部81Hと下段載置台72との間に隙間が設けられて状態で、スライド部89Hが駆動されてもよい。あるいは、下段載置台72が設けられなくてもよい。
【0131】
上記の下段用設置機構80Hを使用する場合も、収容部54Bから処理液容器51を取り出そうとする場合に、周囲の空間を広く確保することを防ぐことができる。収容部54Bでは、処理液容器51の上方に、支持部材74、又は上段載置台71等の他の部材がある。また、処理液容器51の下方に、下段載置台72等の他の部材がある。そのため、そのままの位置では、チューブ84に対して処理液容器51を上下方向に移動して離すことが困難である。これに対して、スライド部89Hを用いてポッド部81H及び処理液容器51を横方向に移動させると、処理液容器51の移動経路が形成(確保)されるため、処理液容器51の交換が可能となる。
【0132】
上記の収容部54Bにおいて、上段用設置機構80Gに代えて、上段用設置機構80Aが設けられてもよい。すなわち、上段の処理液容器51を交換する際には、収容部54Bの側方に処理液容器51及びチューブ84が移動せずに、使用時と同じ横方向の位置において、処理液容器51に対してチューブ84が移動してもよい。この場合、収容部54Bには、天板57aが設けられていなくてもよい。
【0133】
図12及び図13に示される例では、塗布・現像装置2の内部と外方との間で収容部54Bが移動可能であるが、収容部54Bの本体部分が、塗布・現像装置2の内部に移動できない状態で配置されていてもよい。収容部54Bに含まれる各液源設置機構の少なくとも一部が、処理液容器51の交換時において、塗布・現像装置2の外方に移動することで、処理液容器51が交換可能な状態となってもよい。収容部54Bの本体部分は、例えば、側板56a、側板56b、天板57a、底板57b、上段載置台71、下段載置台72、及び支持部材74から構成される。
【0134】
図14(a)及び図14(b)に示されるように、塗布・現像装置2のうちの収容部54Bが内蔵されている箇所において、開閉装置59が設けられてもよい。開閉装置59は、収容部54Bが塗布・現像装置2の外部に露出しない閉状態と、収容部54Bが塗布・現像装置2の外部に露出する開状態とを切り替える装置である。開閉装置59は、例えば、巻き取り装置59aと、シャッター59bとを含む。図14(a)に示されるように、塗布・現像装置2に設けられた開口部分をシャッター59bが塞ぐことで上記閉状態となり、巻き取り装置59aによりシャッター59bが巻き取られることで上記開状態となる。
【0135】
処理液容器51の使用時(通液時)では、開閉装置59により、収容部54Bが塗布・現像装置2の外部に露出しない閉状態に切り替えられる。この場合、図14(a)に示されるように、スライド部85Gが収容された状態であり、ポッド部81G及び処理液容器51が上段載置台71上に位置する。また、スライド部89Hが収容された状態であり、ポッド部81H及び処理液容器51が下段載置台72上に位置する。そのため、処理液が供給可能な状態において、処理液容器51は、塗布・現像装置2の内部に配置されている。
【0136】
一方、処理液容器51を交換する場合には、図14(b)に示されるように、開閉装置59により、収容部54Bが塗布・現像装置2の外部に露出する開状態に切り替えられる。そして、上段の処理液容器51を交換する場合には、スライド部85Gが横方向へ移動することで、スライド部85Gの一部、ポッド部81G、及び処理液容器51が、塗布・現像装置2の内部から横方向に移動する。これにより、上段用設置機構80Gのチューブ84の上下方向の移動経路が、塗布・現像装置2の外方において形成される。
【0137】
また、下段の処理液容器51を交換する場合には、スライド部89Hが横方向へ移動することで、スライド部85Hの一部、ポッド部81H、及び処理液容器51が、塗布・現像装置2の内部から横方向に移動する。これにより、下段用設置機構80Hに対応する処理液容器51の上下方向に移動経路が、塗布・現像装置2の外方において形成される。
【0138】
[作用]
上記の基板処理装置及び処理液容器交換方法によれば、制御部としての制御装置100が処理液容器51に対するチューブ84(供給管)の上下方向の移動を制御する。これによって、複数の処理液容器51について、処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態と、を切替えることができる。このように、処理液容器51に対するチューブ84の上下方向の移動を制御装置100が制御することで、処理液容器51を交換可能な状態とすることができるため、処理液容器51の交換を適切に行うことが可能となる。
【0139】
また、上記の収容部54のように、複数の処理液容器51が上段と下段とに振り分けて配置されている場合、処理液容器51内から供給管としてのチューブ84を移動させるための空間を確保する必要がある。これに対して、上段については、チューブ84を上方へ移動させることで、供給可能な状態から交換可能な状態へ切替える一方、下段については、処理液容器51を下方へ移動させることで、処理液を供給可能な状態から交換可能な状態へ切替える。このような構成とすることで、特に下段の処理液容器51についてもチューブ84の上下方向の移動が可能となるため、処理液容器51の交換を適切に行うことが可能となる。
【0140】
また、下段において、処理液容器51は下段載置台72上に載置されていてもよい。このとき、処理液容器51及び下段載置台72を同時に下方へ移動させることで、下段の処理液容器51について供給可能な状態から交換可能な状態へ切替えてもよい。このような構成とすることで、処理液を供給する状態においては処理液容器51を下段載置台72上に安定して載置しながら、処理液容器51の交換を適切に行うことが可能となる。
【0141】
複数の処理液容器51を収容する収容部54を有していてもよい。このとき、制御装置100は、収容部54を構成する部材の上下方向の移動によって複数のチューブ84を上下方向へ移動させて、処理液を供給可能な状態と、交換可能な状態とを切替えてもよい。収容部54が設けられている場合、収容部54を構成する部材を利用してチューブ84を上下方向へ移動させる構成とすることで、供給管を移動させるために必要な空間を小さくすることができる。
【0142】
複数の処理液容器51の少なくとも一部は、上下方向において互いに異なる位置であり、且つ、上下方向に交差する横方向において互いに異なる位置に配置されていてもよい。このとき、上方に配置された処理液容器51の横に、下方に配置された処理液容器51に接続されるチューブ84について、上下方向の移動経路が形成されていてもよい。上下方向において互いに異なる位置に配置された処理液容器51について、横方向において互いに異なる位置に配置されることで、各処理液容器51に対して接続されるチューブ84の上下方向への移動経路が確保される。これにより、各処理液容器51の交換を適切に行うことができる。
【0143】
複数の処理液容器51の少なくとも一部は、収容部54を構成する部材から個別に離脱可能とされていてもよい。この場合、処理液容器51の一部のみについてチューブ84の上下方向への移動を行うことが可能となる。したがって、例えば、交換が必要な処理液容器51についてのみ交換可能な状態へ切替えることができる。
【0144】
複数の処理液容器51の少なくとも一部は、上下方向に交差する横方向に移動可能な載置台としてのスライド部85C,85G上に載置されてもよい。この場合、制御装置100の制御によって、スライド部85C,85Gが横方向へ移動することによって、チューブ84の上下方向の移動経路が形成されてもよい。例えば、上述の下段載置台72上の処理液容器51のように、処理液容器51をチューブ84に接続する場所では上下方向への移動が規制されているとしても、スライド部85C,85Gを横方向へ移動することで、チューブ84の上下方向への移動が可能となる。したがって、処理液容器の交換を適切に行うことができる。
【0145】
また、制御装置100の制御によって載置台としてのスライド部85Gが横方向へ移動する際には、スライド部85Gが塗布・現像装置2の内部から外方へ移動してもよい。この場合、供給時及び交換時において交換対象の処理液容器51が移動する範囲が、スライド部85Gの可動範囲に略一致する。そのため、塗布・現像装置2に対して出し入れ可能な収容部54,54Bを用いる場合に比べて、処理液容器51の交換のために使用する空間を小さくすることができる。
【0146】
複数のチューブ84の少なくとも一部は、上下方向に交差する横方向に移動可能な支持部としてのスライド部89Hによって支持されていてもよい。この場合、制御装置100の制御によって、スライド部89Hが横方向へ移動することによって、処理液容器51の上下方向の移動経路が形成されてもよい。例えば、上述の下段載置台72上の処理液容器51のように、処理液容器51をチューブ84に接続する場所では上下方向への移動が規制されているとしても、スライド部89Hを横方向へ移動することで、処理液容器51の上下方向への移動が可能となる。したがって、処理液容器の交換を適切に行うことができる。
【0147】
また、制御装置100の制御によって支持部としてスライド部89Hが横方向へ移動する際には、スライド部89Hが塗布・現像装置2の内部から外方へ移動してもよい。この場合、供給時及び交換時において交換対象の処理液容器51が移動する範囲が、スライド部89Hの可動範囲に略一致する。そのため、塗布・現像装置2に対して出し入れ可能な収容部54,54Bを用いる場合に比べて、処理液容器51の交換のために使用する空間を小さくすることができる。
【0148】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。すなわち、以上に説明した種々の例のいずれか1つの例において、他の例で説明した事項の少なくとも一部が組み合わされてもよい。
【0149】
例えば、上記で説明した変形例を組み合わせた構成としてもよい。また、液源設置機構80にポッド部が含まれる場合について説明したが、例えば、上段用設置機構80Aのように、処理液容器51の交換時にも容器を移動させない場合、ポッド部を有しない構成としてもよい。さらに、下段用設置機構80Bのように、処理液容器51の交換時に容器を移動させることが想定されている場合でも、下段載置台72自体を昇降させる構成としてポッド部を省略してもよい。さらに、ポッド部に代えて、チューブ84を挿入した状態での処理液容器51の移動を規制するような部材を設ける構成としてもよい。
【0150】
また、液源部50とノズル41との間の流路の構成は適宜変更され得る。一例として、上記の実施形態では、液源部50の1つの処理液容器51から1つのノズル41に対して処理液を供給し、ワークWに対して供給する構成について説明した。しかしながら、実際には、1つの液源部50に対して複数のノズル41が接続していて、流路が途中で分岐する場合もある。
【0151】
また、本実施形態で説明した処理液容器51がチューブ84を介して接続される先には、ワークWへの処理液を吐出するノズル41とは異なるものが接続されていてもよい。上述のように、本実施形態における処理液の用途は多岐にわたる。したがって、その用途に応じて、処理液容器51から下流側の流路等の構成は適宜変更される。
【0152】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0153】
1…基板処理システム、2…塗布・現像装置、40…吐出部、41…ノズル、50…液源部、51…処理液容器、52…チューブ、53…キャップ部、54,54A,54B…収容部、60…送液系、71…上段載置台、72,72a…下段載置台、75A~75D…通知部、80…液源設置機構、80A,80D,80G…上段用設置機構、80B,80C,80E,80H…下段用設置機構、80F…複数段設置機構、81A~81H…ポッド部、82A~82C,82F,82G,82H…ヘッド部、84…チューブ(供給管)、85C,85G…スライド部、89H…スライド部、100…制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14