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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012926
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20230119BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20230119BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/18
B41J2/175 119
B41J2/175 153
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116692
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】青木 勇太
(72)【発明者】
【氏名】小林 壯行
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056FA10
2C056HA05
2C056KB15
2C056KB16
2C056KB19
2C056KC22
2C057AG29
2C057AG70
2C057AG71
2C057AJ03
2C057AN01
(57)【要約】
【課題】液体インクにおける吐出品質の維持及び向上と、生産効率の向上を両立させる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】液体を吐出する吐出部と、吐出部への液体の流路の一部を構成する中間液室部と、中間液室部への液体の流路の一部を構成するヘッドタンクを複数有するヘッドタンク部と、を備え、中間液室部は、複数のヘッドタンクのうちの第一ヘッドタンクと連通する第一連通部と、複数のヘッドタンクのうちの第二ヘッドタンクと連通する第二連通部と、第一ヘッドタンクから第一連通部を介して流入する液体を第二ヘッドタンクへ第二連通部を介して流出させるための循環流路を構成する流路空間と、を有し、流路空間における仮想位置であって第一連通部又は第二連通部との同軸位置の仮想円の径は、第一連通部又は第二連通部の径以下である、液体吐出ヘッドによる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
前記液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部への前記液体の流路の一部を構成する中間液室部と、
前記中間液室部への前記液体の流路の一部を構成するヘッドタンクを複数有するヘッドタンク部と、
を備え、
前記中間液室部は、
複数の前記ヘッドタンクのうちの第一ヘッドタンクと連通する第一連通部と、
複数の前記ヘッドタンクのうちの第二ヘッドタンクと連通する第二連通部と、
前記第一ヘッドタンクから前記第一連通部を介して流入する液体を前記第二ヘッドタンクへ前記第二連通部を介して流出させるための循環流路を構成する流路空間と、を有し、
前記流路空間における仮想位置であって前記第一連通部又は前記第二連通部との同軸位置の仮想円の径は、前記第一連通部又は前記第二連通部の径以下である、
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記流路空間は、前記循環流路の途中の流路断面積を他の部分の流路断面積よりも狭める中間貫通部を有する、
請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記中間貫通部は、前記循環流路内の流路断面積において最も狭小の部分である、
請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第一ヘッドタンクが前記第一連通部との接合部分における前記ヘッドタンクの内部側に形成する角度と、前記第二ヘッドタンクが前記第二連通部との接合部分における前記ヘッドタンクの内部側に形成する角度は、いずれも鋭角である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記ヘッドタンク部に前記液体と供給する供給チューブと、
前記供給チューブが接続され、前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体を前記液体貯留部から前記ヘッドタンクへと流動させ、前記循環流路において循環送液させる動力源としての供給ポンプと、
を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記供給チューブは、前記第一ヘッドタンクと前記第二ヘッドタンクに各々接続する分岐路を有し、
各分岐路には前記液体の流動方向を規制する逆止弁を備える、
請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
第一ヘッドタンク及び前記第二ヘッドタンクを一体とするヘッドタンクに前記液体を供給する第一供給チューブと、
前記中間液室部から前記液体を流出させる第二供給チューブと、
前記第二供給チューブが接続され、前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体を前記液体貯留部から前記ヘッドタンクへと流動させ、前記循環流路において循環送液させる動力源としての供給ポンプと、
を備え、
前記循環流路を、前記第一供給チューブを通じて前記ヘッドタンク部に液体を流入させ、前記中間液室部から前記第二供給チューブを通じて流出させて前記液体貯留部へと戻す流路として構成する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
複数の前記ヘッドタンクの各々は、前記液体の流動方向に対する流路断面積が、当該流動方向において緩やかに変化する形状を有する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記中間液室部は、前記吐出部へと前記液体を流入させる共通貫通部を有し、
前記共通貫通部は、前記流路空間に形成されている狭小箇所の近傍に形成されている、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記中間液室部は共通貫通部に向かって下り傾斜形状を有する、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記液体は成分が沈降する沈降性インクである、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記沈降性インクは、白色の色成分を含む液体インクである、
請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
外部装置からの画像形成指示に基づいて前記媒体に対し画像を形成する画像形成処理を実行する画像形成処理部と、
前記画像形成処理部の制御によって前記液体を吐出する請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを備え、情報処理装置等からの画像形成指示に基づいて記録媒体に対し液体を吐出する液体吐出装置が知られている。当該装置は、インクジェット式プリンタなどと称される。
【0003】
インクジェット式プリンタとして様々な構成のものが知られているが、近年では衣類などの布帛に画像を直接形成する(印刷する)プリンタが知られている。当該プリンタは「DTGプリンタ(DTG:Direct To Garment)」と称される。DTGプリンタの一例として、吐出ノズルの上位置に液体インクを保持するヘッドタンクを備え、ポンプによってインクカートリッジからヘッドタンクへ液体インクを送液して循環させながら、吐出ノズルへと液体と供給する構成が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DTGプリンタに用いられる液体インクは、通常の用紙に用いられるものとは性状が異なり、色成分が沈降しやすい性質を有する。色成分が沈降しやすい液体インクは、例えば、ヘッドタンク内や、ヘッドタンクと吐出ヘッドとの間に位置する中間液室などに色成分が沈降して滞留しやすくなる。色成分の沈降や滞留は、液体インクの流動性を低下させ、また、吐出ノズルからの吐出性能を低下させる要因となる。そこで、色成分が沈降しやすい液体インクを用いるときには、一定時間間隔で液体インクを流動させて、色成分を撹拌するように動作を制御する構成を必要とする。
【0005】
色成分の撹拌をするために流動させるには、一定時間間隔で吐出ノズルから液体インクを吐出させる吐出動作を行えばよいが、この吐出動作は画像形成動作に関係しないので、液体インクを消費するだけであって生産性に寄与しない。色成分の撹拌を行い吐出性能を維持するには必要な動作であっても、1つのインクカートリッジに貯留されている液体インクで形成可能な画像数よりも実際の形成数を減少させる動作である。したがって、当該動作の頻度や量は、可能な限り少なくすることが望ましいが、一方で、適切な頻度や量で当該動作を行わないと画像の質を低下させることになる。すなわち、従来技術では色成分が沈降しやすい液体インクを用いた画像形成処理を行うにあたり、吐出品質の維持及び向上と生産効率の向上がトレードオフの関係になり、これらを両立させるには課題がある。
【0006】
本発明は、液体インクにおける吐出品質の維持及び向上と、生産効率の向上を両立させる液体吐出ヘッド、及び同液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態は、媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記液体を吐出する吐出部と、前記吐出部への前記液体の流路の一部を構成する中間液室部と、前記中間液室部への前記液体の流路の一部を構成するヘッドタンクを複数有するヘッドタンク部と、を備え、前記中間液室部は、複数の前記ヘッドタンクのうちの第一ヘッドタンクと連通する第一連通部と、複数の前記ヘッドタンクのうちの第二ヘッドタンクと連通する第二連通部と、前記第一ヘッドタンクから前記第一連通部を介して流入する液体を前記第二ヘッドタンクへ前記第二連通部を介して流出させるための循環流路を構成する流路空間と、を有し、前記流路空間における仮想位置であって前記第一連通部又は前記第二連通部との同軸位置の仮想円の径は、前記第一連通部又は前記第二連通部の径以下である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体インクにおける吐出品質の維持及び向上と、生産効率の向上を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る液体吐出装置の内部構造の要部を示す概略平面図。
図2】本実施形態に係る液体吐出ヘッドの制御ブロックの構成を示すブロック図。
図3】本実施形態に係る液体吐出ヘッドの概略構成図。
図4】本実施形態に係る液体吐出ヘッドの要部を説明する構成図。
図5】別の実施形態に係る液体吐出ヘッドの要部を説明する構成図。
図6】さらに別の実施形態に係る液体吐出ヘッドの要部を説明する構成図。
図7】さらに別の実施形態に係る液体吐出ヘッドの要部を説明する構成図。
図8】さらに別の実施形態に係る液体吐出ヘッドの要部を説明する構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る液体吐出装置の実施形態としての液体吐出ユニット1、及び本発明に係る液体吐出ヘッドの実施形態としての吐出ヘッド100について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る液体吐出ユニット1の要部を概略的に示す概略平面図である。液体吐出ユニット1には、カセット200の天面部分に相当する位置にプラテン部材300が配置されている。このカセット200は、液体吐出ユニット1を備える装置本体に対して矢印A方向(送り方向、副走査方向)に移動可能に保持されている。カセット200を保持するステージを、副走査方向において移動可能に保持する部材として、矢印A方向に沿って移動ガイド部材106L、移動ガイド部材106Rが配置されている。
【0012】
画像形成手段として機能する吐出ヘッド100は、キャリッジ102に保持されている。キャリッジ102は、プラテン部材300に対して矢印B方向(主走査方向)に移動するように保持されている。キャリッジ102は、矢印B方向に沿って配置されたキャリッジガイド部材109によって移動可能に保持されている。キャリッジ102は、後述する主走査モータ139によって、キャリッジガイド部材109に沿った往復移動をする。吐出ヘッド100は、キャリッジ102によって主走査方向に移動しながら所定のタイミングにおいて所定の滴量の液体インクを吐出するように動作する。
【0013】
液体吐出ユニット1においては、カセット200のプラテン部材300に、媒体としての布帛をセットした状態で、液体吐出装置本体内の移動ガイド部材106L及び移動ガイド部材106Rに移動可能に保持されているステージにカセット200が装着される。そして、ステージの矢印A方向への移動と吐出ヘッド100の矢印B方向への往復移動を繰り返すことで、プラテン部材300に保持されている布帛に対する所定の位置に所定の滴量の液体インクが吐出されることで所要の画像が印刷される。
【0014】
なお、プラテン部材300はカセット200から着脱可能であり交換可能に形成されている。これによりプラテン部材300を複数用意し、印刷動作中に別のプラテン部材300に衣類を巻き付けておくことができ、印刷、定着終了後にプラテン部材300を交換するだけで速やかに次の布帛の印刷を開始することができる。
【0015】
カセット200に布帛を配置するときには、プラテン部材300の外周カバーを開いて、プラテン部材300に布帛をセット(保持)する。このとき、布帛の余分な部分(余剰部分)はカセット200の内部空間に収容できるようになっている。
【0016】
そして、布帛に画像を形成するときには、カセット200を液体吐出装置本体のステージ上に装着する(セットする)。
【0017】
このように、カセット200は液体吐出装置本体から全体を取り出した状態にして印刷対象である布帛をプラテン部材300にセットすることができるので、プラテン部材300への布帛のセット作業が容易になる。
【0018】
図2に示すように、主走査方向の一方の端部であって、カセット200の外側には、吐出ヘッド100の状態を画像形成動作に適した状態に維持するための維持回復機構104が配置されている。また、維持回復機構104とは主走査方向の反対側端部に、ノズル口31に液体が詰まることを防止するための「空吐出動作」を実行したときに吐出される液体を回収するための空吐出受け105が配置されている。
【0019】
[制御ブロックの概略]
次に、本実施形態に係る液体吐出ユニット1の制御ブロックの構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、液体吐出ユニット1の制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、NVRAM134、ASIC135を備えている。
【0020】
CPU131は、液体吐出ユニット1に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル101と接続されていて、液体吐出ユニット1全体の制御を司る。また、CPU131は、プラテン部材300の搬送動作(副走査方向への移動)、キャリッジ102の主走査方向への移動動作、及び吐出ヘッド100による液体吐出動作に関する制御を司る機能を兼ね備えている。
【0021】
ROM132は、CPU131が実行するプログラムやその他の固定データを格納する不揮発性の記憶媒体である。ROM132に記憶されているプログラムをCPU131の演算処理機能により実行することで、後述するプログラム制御部が構成される。
【0022】
RAM133は、画像形成処理に用いられる画像データ等を一時格納する。また、RAM133は、プログラム制御部が実行されるときのワークエリアとして機能する。
【0023】
NVRAM134は、液体吐出ユニット1の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。
【0024】
ASIC135は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0025】
また、制御部130は、ホストインターフェース(I/F)143、印刷制御部137、主走査モータ駆動部138、副走査モータ駆動部140、入出力(I/O)部136を備えている。
【0026】
ホストI/F143は、外部装置500が有するプリンタドライバ501等のホスト側とのデータや制御信号の送受を行う役割を担う。
【0027】
印刷制御部137は、吐出ヘッド100を駆動するための駆動波形を生成すると共に、吐出ヘッド100の圧力発生手段を選択的に駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ144に出力する。
【0028】
主走査モータ駆動部138は、主走査モータ139を駆動する。
【0029】
副走査モータ駆動部140は、カセット200を副走査方向に移動させる副走査モータ141を駆動する役割を担う。
【0030】
I/O部136は、液体吐出ユニット1の動作に要する各種センサからの検知信号を入力する。
【0031】
制御部130では、画像形成処理に用いる印刷データ等を外部装置500が備えるプリンタドライバ501から、ケーブルやネットワークを介してホストI/F143で受信する。印刷データは、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置等としての外部装置500が有するプリンタドライバ501により生成される。画像形成指示としての印刷データを受信した制御部130では、CPU131がホストI/F143に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。また、その解析結果に応じてASIC135によって必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って印刷制御部137に転送する。そこで、印刷制御部137は所要のタイミングでヘッドドライバ144に画像データや駆動波形を出力する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM132にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバ501で画像データをビットマップデータに展開して装置へ転送するようにしてもよい。ここでは、例えばプリンタドライバ501で行うものとする。
【0032】
印刷制御部137の駆動波形生成部は、ROM132に格納されてCPU131で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成される。そして、一つの駆動パルス又は複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ144に対して出力する。ヘッドドライバ144は、シリアルに入力される吐出ヘッド100の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて吐出ヘッド100を駆動する。このために、ヘッドドライバ144は、印刷制御部137の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に吐出ヘッド100の圧力発生手段に対して印加する。したがって、CPU131及び印刷制御部137が画像形成処理部を構成する。
【0033】
なお、ヘッドドライバ144は、例えばクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタ、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路、を含む。その他、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含む。機能上では、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に吐出ヘッド100の圧力発生手段に印加する場合を例示できる。
【0034】
また、制御部130によって、後述する供給ポンプ52の動作が制御されて、吐出ヘッド100における液体インクの循環処理が実行される。
【0035】
[液体吐出ヘッドの第一実施形態]
次に、本実施形態に係る吐出ヘッド100の構成を説明し、吐出ヘッド100において実行される液体インクの循環動作についても説明する。図3は、吐出ヘッド100の概略構成図である。図4は、ヘッド部110の特徴を説明する平面図である。
【0036】
図3に示すように、吐出ヘッド100は、ヘッド部110と、ヘッド部110に供給される液体インクを貯留している液体貯留部としてのインクカートリッジ51と、インクカートリッジ51からヘッド部110へ液体インクを送液するための供給ポンプ52と、を備える。インクカートリッジ51とヘッド部110は、供給チューブ53を介して連通する。
【0037】
供給チューブ53は、インクカートリッジ51からヘッド部110へと連通する二つの経路を備え、二つの経路に分岐するまでの一つの経路がインクカートリッジ51へと連通している。二つの経路にはそれぞれ第一逆止弁55及び第二逆止弁56が配置されている。また、供給チューブ53の途中には、フィルタ54が配置されている。
【0038】
供給ポンプ52は、以下において説明する各実施形態における液体インクの循環機構における動力源に相当する。
【0039】
[ヘッド部110の構成]
図4に示すようにヘッド部110は、液体インクを貯留するヘッドタンク部10と、ヘッドタンク部10から流入する液体インクを貯留して共通液室部30へ供給する中間液室部20と、中間液室部20から流入する液体インクを媒体に向けて吐出する共通液室部30と、を備える。
【0040】
ヘッドタンク部10は、複数のヘッドタンク(第一ヘッドタンク11と第二ヘッドタンク12)を備える。第一ヘッドタンク11と第二ヘッドタンク12は、同様の形状を有していて、液体インクを貯留する空間を独立して形成している。本実施形態では、液体インクを循環させるときの循環方向における上流側に第一ヘッドタンク11が配置されていて、下流側に第二ヘッドタンク12が配置されている。
【0041】
中間液室部20は、ヘッドタンク部10に対して下位置に配置されていて、各ヘッドタンクに対応する複数の中間液室(第一中間液室21と第二中間液室22)を備える。第一ヘッドタンク11と第一中間液室21は連通していて、その連通部分には第一連通部41が配置されている。また、第二ヘッドタンク12と第二中間液室22は連通していて、その連通部分には第二連通部42が形成されている。第一連通部41と第二連通部42は、ヘッドタンク部10と中間液室部20の接合部分を構成する。
【0042】
第一中間液室21と第二中間液室22には、液体インクを貯留可能な空間が形成されている。この空間の形状は、同形状になっている。そして、第一中間液室21が備える液体インクの貯留空間と第二中間液室22が備える液体インクの貯留空間の間には、中間貫通部43が形成されている。中間貫通部43は第一中間液室21と第二中間液室22を区別する仕切り壁を貫通させて形成された孔でもある。この中間貫通部43を通じて第一中間液室21と第二中間液室22の間で液体が流動する。
【0043】
共通液室部30は、中間液室部20の下位置に配置されていて、液体インクを液滴として吐出するための複数のノズル口31を備える。ノズル口31は、吐出先に向かって平面的に配配列されているので、吐出ヘッド100は、複数のノズル口31から構成するノズル面を有する。
【0044】
第一中間液室21及び第二中間液室22から共通液室部30へは、第一中間液室21及び第二中間液室22に形成されている共通貫通部44を通じて、液体インクが流入する。共通貫通部44は、図4(c)に示すように、中間貫通部43の近傍であって、液体インクが流動する経路(流路)における、中間液室部20の中央付近に形成されている。
【0045】
[吐出ヘッド100の動作の流れ]
次に、吐出ヘッド100の動作の例について説明する。図4に示す点線矢印Lは、液体インクの循環時の流動方向を例示している。
【0046】
制御部130によって画像形成動作が開始されると、印刷制御部137によってヘッドドライバ144の動作が制御されて、ノズル口31から液体インクが吐出される。ノズル口31からの液体インクの吐出は、吐出部としての共通液室部30に備えられている圧力発生手段が発生する圧力による。液体インクが吐出されると、共通液室部30に二つの中間液室(第一中間液室21と第二中間液室22)から液体インクが流動し、続く吐出動作に備える状態になる。この中間液室部20から共通液室部30への液体インクの流路は、共通貫通部44である。
【0047】
画像形成動作において共通液室部30のノズル口31から吐出するための液体インクを供給するために供給ポンプ52を正転させると、インクカートリッジ51から送り出された液体インクが供給チューブ53を通じて第一ヘッドタンク11へと流れ込む。このとき、途中に配置されているフィルタ54を通過することで液体インク内の異物が除去される。
【0048】
供給チューブ53に配置されている第一逆止弁55は、インクカートリッジ51から第一ヘッドタンク11への液体インクの流れを許容し、逆方向の流れは遮断する。また、同じく供給チューブ53に配置されている第二逆止弁56は、インクカートリッジ51から第二ヘッドタンク12への液体インクの流れを遮断し、第二ヘッドタンク12からの循環流出を許容する。
【0049】
供給チューブ53は、第一ヘッドタンク11に接続するチューブと、第二ヘッドタンク12に接続するチューブと、に分岐路として、それぞれの流路における液体インクの循環流路を構成する。
【0050】
供給チューブ53を介して第一ヘッドタンク11に液体インクが流入すると、その流れによって、第一ヘッドタンク11から第一連通部41を通じて第一中間液室21へと液体インクが流入する。第一中間液室21へと流入した液体インクは、中間貫通部43を通過して第二中間液室22へと流入する。第二中間液室22へと流入した液体インクは、第二中間液室22から第二ヘッドタンク12へ流入し、その後、供給チューブ53に流れ込む。
【0051】
第二ヘッドタンク12から供給チューブ53に流れ込んだ液体インクは、第二逆止弁56を通過してインクカートリッジ51の方へと流動する。このとき、供給ポンプ52によってインクカートリッジ51から液体インクが送液され続けているので、液体インクはインクカートリッジ51に戻らずに、第一逆止弁55の方に流動する。その後、第一ヘッドタンク11に流入する。このように、供給ポンプ52が正転している間は、液体インクが吐出ヘッド100内を循環するように構成されている。
【0052】
このように、本実施形態に係る液体インクの流れにおいて、第一ヘッドタンク11は、液体インクの流動方向の上流側に位置し、第二ヘッドタンク12は、液体インクの流動方向の下流側に位置する。
【0053】
液体インクが吐出ヘッド100において循環する速度は、吐出ヘッド100の動作によって変動する。色成分が沈降しやすい沈降性インクの場合は、当該液体インクの流動の頻度が少なくなったり、流速が遅くなったりすると、循環流路において色成分が滞ることになる。これを防ぐには、液体インクを循環させる循環流路において、液体インクの流動性を高める(流速を速くする)ことで、撹拌動作の効果を向上することができる。そこで、本実施形態に係る吐出ヘッド100は、以下に説明のとおり、循環流路において液体の流速を局所的に速くするための形状等を備えている。
【0054】
[吐出ヘッド100における撹拌動作]
吐出ヘッド100において実行される撹拌動作について説明する。まず、供給ポンプ52を逆転させる。そうすると、第二ヘッドタンク12に貯留されている液体インクが供給チューブ53側に流出し、第二逆止弁56を通過して、インクカートリッジ51へと戻る。第二ヘッドタンク12を空にすることで、液体によるダンパ効果を抑制することができ、循環性能を向上できる。これによって、堆積している色成分があればこれを循環する液体によって撹拌させる性能を向上できる。
【0055】
そうすると、インクカートリッジ51から液体インクが供給チューブ53を通じて第一ヘッドタンク11へと流入し、空になっている第二ヘッドタンク12へと液体インクが流れていく。このとき、第一連通部41から第一中間液室21に流れて、中間貫通部43と通過して第二中間液室22から第二連通部42と通じて第二ヘッドタンク12へと順に流動する。この動作は、第二ヘッドタンク12が充満するまで継続する。
【0056】
上記のように、液体インクを循環流動させることで、沈降していた色成分を撹拌させることができ、ノズル口31からの吐出品質を向上させることができる。
【0057】
上記の撹拌動作は、所定の時間間隔で実行すればよい。例えば、色成分が沈降しやすい液体インクの場合は、数時間おきに実行すればよい。また、吐出ヘッド100を動作させる前に、装置本体が起動するときに、初期動作の一部として撹拌動作を実行すればよい。
【0058】
本実施形態に係る撹拌動作は、無用な吐出動作を実行することなく、液体インクを撹拌することができるので、一つのインクカートリッジ51から形成可能な画像の量を減少させることを抑制し、いわゆる「取れ高」を多くすることができる。
【0059】
[液体インクの流動性を向上させる構成]
次に、上記の撹拌動作などにおいて液体インクを流動させるときに、循環流路内において局所的に流速を速くする構成について図4を用いて説明する。
【0060】
図4(b)は、A-A線断面図である。また図4(c)は、A’-A’線断面図である。
【0061】
図4(b)に示すように、第一連通部41と第二連通部42は、ヘッドタンク部10の底面に位置している。そして、図4(c)に示すように、第一連通部41及び第二連通部42と同軸位置の仮想円を破線円R1と破線円R2で示している。この破線円R1と破線円R2は、流路空間内の仮想位置を例示している。この仮想位置の径が、第一連通部41と第二連通部42の径以下になるように、第一中間液室21と第二中間液室22の内部空間(流路空間)を形成する。すなわち、第一ヘッドタンク11から第一中間液室21へと液体インクが流入する経路において、第一連通部41よりも下流側の第一中間液室21内の流路断面積は、第一連通部41における流路断面積以下になるように、第一中間液室21を形成する。
【0062】
また、同様に、第二中間液室22において、第二ヘッドタンク12との連通部分である第二連通部42と、第二中間液室22の内部空間において第二連通部42と同軸の部分を対比したとき、同軸部分の径が第二連通部42の径以下になるように形成する。すなわち、第二ヘッドタンク12から第二中間液室22へと液体インクが流動する径路において、第二連通部42よりも上流側の第二中間液室22内の流路断面積は、第二連通部42における流路断面積以下になるように、第二中間液室22を形成する。この形状によって、液体インクをノズル口31から吐出するときに、第二中間液室22から共通液室部30に流動する液体インクの流速を局所的に速くすることができ、撹拌効率を向上できる。
【0063】
また、第一中間液室21と第二中間液室22を貫通する中間貫通部43の流路断面積は、共通液室部30であるノズル口31へと液体インクが流動するときの流動経路である第一連通部41から共通貫通部33への流路断面積以下になるように構成されている。言い換えると、第一中間液室21から共通貫通部33へと液体インクが流れる速度よりも、中間貫通部43における流速の方が速くなるように構成されている。
【0064】
吐出ヘッド100が備える循環流路において、第一中間液室21と第二中間液室22における流路断面積を、第一ヘッドタンク11と第一中間液室21の接続部分の流路断面積や、第二ヘッドタンク12と第二中間液室22の接続部分の流路断面積よりも狭くする。この場合の流路の形状は、液体インクの流動方向において、上流側から下流側に向かって徐々に狭まる形状でもよいし、特定の位置で急峻に狭くなる形状でもよい。
【0065】
いずれの形状であっても、吐出ヘッド100において流動する液体インクの勢いを速くする形状を用いることによって、特に、液体インクの循環時に第一中間液室21と第二中間液室22に堆積する色成分を押し流して撹拌させる力が増加できる。すなわち、攪拌性能が向上する形状を、第一中間液室21と第二中間液室22が備える。
【0066】
また、中間貫通部43における流路断面積を、液体インクの循環流路内で最も狭くする。図4(c)に示すように、第一中間液室21と第二中間液室22はいずれも、共通貫通部33へと向かう流路が第一連通部41や第二連通部42における流路よりも狭く形成されている。中間貫通部43は、第一中間液室21と第二中間液室22に形成されている流路の中で最も狭い部分よりも、さらに狭く形成されている。すなわち、中間液室部20において、中間貫通部43を流路断面積として最も狭い部分にする。これによって、液体インクの循環動作時に、第一中間液室21から第二中間液室22へと流入する液体に勢いを増すことができる。したがって循環流路を局所的に狭くする構成にすることによって、第一中間液室21と第二中間液室22に滞留している色成分を、より効率的に押し流すことができる。
【0067】
なお、中間貫通部43の流路断面積は、液体インクの循環流路における他の箇所の流路断面積よりも狭くすることが望ましいので、例えば、第一中間液室21や第二中間液室22の幅に対して中間貫通部43の幅をより狭く、又は、高さをより低くすればよい。いずれの方向の寸法を狭くするにせよ、液体インクの循環流路において、中間貫通部43の流路断面積を最も狭くすることで、循環する液体インクの流速が中間貫通部43を通過するときに速くなる。これによって、第一中間液室21と第二中間液室22に溜まる色成分を流動により移動させて循環させ、撹拌させる力を向上できる。
【0068】
また、第一中間液室21と第二中間液室22の縦断面形状は、図4(b)に示すように、共通液室部30への液体流路としての共通貫通部44に向けて下り傾斜になっていることが望ましい。特に、第一中間液室21と第二中間液室22の底面は、液体インクの流動方向に当たる共通貫通部44に向けて下り傾斜形状になっている。これによって、液体インクに含まれる色成分の流動性が高くなり、沈降しやすい色成分の撹拌度合いをより向上できる。すなわち、液体インクの循環性能を向上できる。
【0069】
図8に示すように、中間液室部20が備える共通貫通部44は、第一中間液室21及び第二中間液室22における、狭小箇所としての中間貫通部43の近傍に形成されている。すなわち、共通貫通部44は、液体インクに循環流路に含まれる位置に配置されている。言い換えると、共通貫通部44の形成位置は、第一中間液室21と第二中間液室22を連通させる中間貫通部43の端部の近傍である。
【0070】
上記に例示した配置によって中間貫通部43と共通貫通部44を形成することで、第一中間液室21と第二中間液室22の間を流動する液体インクの流路において、共通貫通部44の位置が死角になることを防止し、液体インクの循環流動と、吐出性能の向上を図ることができる。
【0071】
[液体吐出ヘッドの第二実施形態]
次に、吐出ヘッド100が備えるヘッド部110の別の構成について図5を用いて説明する。以下、すでに説明をした構成と同様のものは、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。図5に示すように、本実施形態に係るヘッド部110aは、ヘッドタンク部10aの形状に特徴を有する。
【0072】
本実施形態に係る第一ヘッドタンク11a及び第二ヘッドタンク12aは、第一連通部41及び第二連通部42に向けて傾斜する形状を有し、供給チューブ53と接続している上部よりも、第一連通部41又は第二連通部42に接続している下部が狭くなっている。色成分は第一ヘッドタンク11aや第二ヘッドタンク12aの下方に沈降するので、傾斜形状にすることで、色成分は第一ヘッドタンク11aと第二ヘッドタンク12aの下方に自然に流れるようになる。これによって、色成分の流動性が向上する。特に、第一ヘッドタンク11aや第二ヘッドタンク12aの、第一連通部41や第二連通部42との接合部分に色成分が滞留することを抑制する。
【0073】
第一ヘッドタンク11aの第一連通部41との接合部分における、ヘッドタンク部10aの内部の角度θ1は、鋭角であればよい。同様に、第二ヘッドタンク12aの第二連通部42との接合部分における、ヘッドタンク部10aの内部の角度θ2も、鋭角であればよい。
【0074】
[液体吐出ヘッドの第三実施形態]
次に、吐出ヘッド100が備えるヘッド部110のさらに別の構成について図6を用いて説明する。以下、すでに説明をした構成と同様のものは、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。図6に示すように、本実施形態に係るヘッド部110bは、ヘッドタンク部10b及び中間液室部20aの構成に特徴を有する。
【0075】
吐出ヘッド100bにおいて、第一実施形態に係る第一ヘッドタンク11と第二ヘッドタンク12を一体とするヘッドタンクとしてのヘッドタンク部10bは、第一供給チューブとしての供給チューブ53aが接続される。供給チューブ53aを介してヘッドタンク部10bに液体が流入する。
【0076】
また、吐出ヘッド100bにおいて、第一連通部41及び第二連通部42と連通してヘッドタンク部10bから流入した液体を循環させる第二供給チューブとしての供給チューブ53bが第一中間液室21bに供給チューブ53が接続されている。
【0077】
すなわち、供給ポンプ52(図3を参照)を正転させて液体インクを循環させるとき、ヘッドタンク部10bから第一中間液室21aと第二中間液室22aに流入した液体インクは、第一中間液室21aから供給チューブ53を通じて循環する。
【0078】
すでに説明をした吐出ヘッド100のように、循環流路として第二中間液室22から第二ヘッドタンク12へと送液する場合は、第二ヘッドタンク12に貯留されている液体インクがダンパとなって第二中間液室22からの液体インクの勢いを妨げる懸念がある。この場合、供給ポンプ52によるインク供給流量が推奨値を大きく上回ることになり、供給ポンプ52への負荷が過大になる懸念もある。
【0079】
そこで、ヘッドタンク部10bのように、液体インクがインクカートリッジ51から供給チューブ53を介してヘッドタンク部10bへと送液され、ヘッドタンク部10bから中間液室部20bへと送液された後、ヘッドタンク部10bを介さず循環させる。中間液室部20bから液体インクが流動していくときに、ヘッドタンク部10bを介さずに液体インクを循環させることができるので、インク循環時の供給ポンプ52に係る負荷を低減でき、供給ポンプ52の寿命を延ばすことができる。
【0080】
[液体吐出ヘッドの第四実施形態]
次に、吐出ヘッド100が備えるヘッド部110のさらに別の構成について図7を用いて説明する。以下、すでに説明をした構成と同様のものは、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。図7に示すように、本実施形態に係るヘッド部110cは、ヘッドタンク部10cの形状に特徴を有する。
【0081】
本実施形態に係る第一ヘッドタンク11c及び第二ヘッドタンク12cは、第一連通部41及び第二連通部42に向けて先細りになる形状を有する。言い換えると、液体の流動方向に対する流路断面積が、流動方向において緩やかに変化する先細り形状になっている。すなわち、供給チューブ53と接続している上部から第一連通部41又は第二連通部42へと連なる部分において、上部よりも下部の方が狭くなる形状を有する。例えば、第一ヘッドタンク11cと供給チューブ53との接続部分である上部から第一連通部41と連なる壁面が、高さ方向中央付近において最も幅が広くなる形状であって、第一連通部41に向かうにつれて幅が狭まる袋形状を有する。なお、第二ヘッドタンク12cの形状も同様である。
【0082】
色成分は第一ヘッドタンク11cや第二ヘッドタンク12cの下方に沈降するので、液体インクの流動方向に向かって先細りになる形状にすることで、色成分が第一ヘッドタンク11cと第二ヘッドタンク12cの下方へと自然に流動し、滞留を抑制できる。これによって、色成分の流動性が向上する。特に、第一ヘッドタンク11a及び第二ヘッドタンク12aと、第一連通部41及び第二連通部42との接合部分に近傍において、色成分が滞留しやすい。そこで、第一ヘッドタンク11cや第二ヘッドタンク12cの素材として、第一連通部41及び第二連通部42の近傍が沈降してきた色成分の質量により外側に弛まない程度の硬度を備えるものが望ましい。
【0083】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 :液体吐出ユニット
10 :ヘッドタンク部
11 :第一ヘッドタンク
20 :中間液室部
21 :第一中間液室
22 :第二中間液室
30 :共通液室部
31 :ノズル口
33 :共通貫通部
41 :第一連通部
42 :第二連通部
43 :中間貫通部
44 :共通貫通部
51 :インクカートリッジ
52 :供給ポンプ
53 :供給チューブ
54 :フィルタ
55 :第一逆止弁
56 :第二逆止弁
100 :吐出ヘッド
110 :ヘッド部
130 :制御部
137 :印刷制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2016-153183号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8