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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012940
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】基板搬送方法および基板搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230119BHJP
   G05D 3/12 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
H01L21/68 A
G05D3/12 305L
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116712
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】松本 航
【テーマコード(参考)】
5F131
5H303
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA15
5F131BA19
5F131BA37
5F131BB04
5F131CA18
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DB04
5F131DB52
5F131DB58
5F131DD03
5F131DD29
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD76
5F131FA26
5F131FA32
5F131FA33
5F131KA12
5F131KA23
5F131KA52
5F131KA72
5F131KB05
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB58
5H303AA05
5H303BB03
5H303BB15
5H303CC01
5H303DD01
5H303DD27
5H303JJ08
5H303KK25
(57)【要約】
【課題】基板搬送機構により目標位置に高精度で基板を搬送することができる基板搬送方法および基板搬送システムを提供する。
【解決手段】基板搬送方法は、第1のステージから受け取った後、保持部に保持された基板が第1の計測部を通過するようにして、第1の計測位置において、保持部と基板の第1の真のずれ量を計測し、保持部に保持された基板を第2のステージに向けて搬送する際に、第2の計測部を通過するようにして、第2の計測位置において、保持部と基板の第2の真のずれ量を計測し、第1の真のずれ量と第2の真のずれ量との差を、第2の計測位置での熱変位量を推定する物理モデルに反映させて、モデル誤差が低減するように物理モデルを補正し、補正された物理モデルで推定される第2の計測位置での保持部の熱変位量と、保持部と基板のずれ量と、第2のステージでの保持部の熱変位量とから、第2のステージでの保持部の位置補正量を計算する。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持部を有し、第1のステージから第2のステージへ基板を搬送する基板搬送機構と、前記第1のステージ近傍の第1の計測位置で基板の位置を計測する第1の計測部と、前記第2のステージ近傍の第2の計測位置で基板の位置を計測する第2の計測部と、を有する基板搬送システムにより前記第2のステージの目標位置に基板を搬送する基板搬送方法であって、
前記保持部により前記第1のステージ上の基板を受け取ることと、
前記保持部に保持された前記基板が第1の計測部を通過するようにし、前記第1の計測位置において、前記第1の計測部で検出される検出値と前記保持部の熱変位量とにより得られる前記保持部と前記基板の第1の真のずれ量を計測することと、
前記保持部に保持された前記基板を第2のステージに向けて搬送する際に、前記第2の計測部を通過するようにし、前記第2の計測位置において、前記第2の計測部で検出される検出値と前記保持部の熱変位量とにより得られる前記保持部と前記基板の第2の真のずれ量を計測することと、
前記第1の真のずれ量と前記第2の真のずれ量との差を、前記第2の計測位置での熱変位量を推定する物理モデルに反映させて、モデル誤差が低減するように前記物理モデルを補正することと、
前記補正された物理モデルで推定される前記第2の計測位置での前記保持部の熱変位量と、前記第2の検出部の検出値である前記保持部と前記基板のずれ量と、前記第2のステージでの前記保持部の熱変位量とから、前記第2のステージでの前記保持部の位置補正量を計算することと、
前記位置補正量に基づいて、前記基板搬送機構を制御して前記保持部の位置補正を行い、前記保持部上の前記基板を第2のステージに受け渡すことと、
を有する、基板搬送方法。
【請求項2】
前記物理モデルを補正することは、前記第2の真のずれ量と前記第1の真のずれ量との差を反映させた補正項をイニシャルの物理モデルに加えることを有する、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記第2の真のずれ量と前記第1の真のずれ量との差を算出し、前記第2の計測位置における熱変位量の前記イニシャルの物理モデルに、前記差の1/2の値を加えたものを前記補正された物理モデルとする、請求項2に記載の基板搬送方法。
【請求項4】
前記第2の計測位置での熱変位量を推定するイニシャルの物理モデル、および前記第1の計測位置での熱変位量を推定するイニシャルの物理モデルに、それぞれこれらモデルに含まれない、温度の関数として表される誤差要因を加えた物理モデルを作成し、(前記第2の真のずれ量)-(前記第1の真のずれ量)=0となるよう、前記誤差要因を加えた物理モデル内の物理量の数値を変更してフィッティングを行って前記物理量を推定し、前記第2の計測位置での前記保持部の熱変位量の前記補正された物理モデルを求める、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項5】
前記第2のステージでの前記保持部の熱変位量を推定するイニシャルの物理モデルに、これらモデルに含まれない、温度の関数として表される誤差要因を加えた物理モデルを作成し、前記第2の計測位置での前記保持部の熱変位量の前記補正された物理モデルを求める際に用いた物理量を真の値として用いて、前記第2のステージでの前記保持部の熱変位量の補正された物理モデルを求める、請求項4に記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記推定された物理量(パラメータ)と温度を一組として記憶部に記憶させておくことをさらに有する、請求項4または請求項5に記載の基板搬送方法。
【請求項7】
前記基板搬送機構は、複数のアームと、前記複数のアームを回動させるモータとを有する多関節構造を有する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の基板搬送方法。
【請求項8】
基板を保持する保持部を有し、第1のステージから第2のステージへ基板を搬送する基板搬送機構と、
前記第1のステージ近傍の第1の計測位置で基板の位置を計測する第1の計測部と、
前記第2のステージ近傍の第2の計測位置で基板の位置を計測する第2の計測部と、
前記基板搬送機構を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記保持部により前記第1のステージ上の基板を受け取ることと、
前記保持部に保持された前記基板が第1の計測部を通過するようにし、前記第1の計測位置において、前記第1の計測部で検出される検出値と前記保持部の熱変位量とにより得られる前記保持部と前記基板の第1の真のずれ量を計測することと、
前記保持部に保持された前記基板を第2のステージに向けて搬送する際に、前記第2の計測部を通過するようにし、前記第2の計測位置において、前記第2の計測部で検出される検出値と前記保持部の熱変位量とにより得られる前記保持部と前記基板の第2の真のずれ量を計測することと、
前記第1の真のずれ量と前記第2の真のずれ量との差を、前記制御部に記憶されている前記第2の計測位置での熱変位量を推定する物理モデルに反映させて、モデル誤差が低減するように前記物理モデルを補正することと、
前記補正された物理モデルで推定される前記第2の計測位置での前記保持部の熱変位量と、前記第2の検出部の検出値である前記保持部と前記基板のずれ量と、前記第2のステージでの前記保持部の熱変位量とから、前記第2のステージでの前記保持部の位置補正量を計算することと、
前記位置補正量に基づいて、前記基板搬送機構を制御して前記保持部の位置補正を行い、前記保持部上の前記基板を第2のステージに受け渡すことと、
を実行させる、基板搬送システム。
【請求項9】
前記補正された物理モデルは、前記第2の真のずれ量と前記第1の真のずれ量との差を反映させた補正項をイニシャルの物理モデルに加えたものである、請求項8に記載の基板搬送システム。
【請求項10】
前記補正された物理モデルは、前記第2の真のずれ量と前記第1の真のずれ量との差を算出し、前記第2の計測位置における熱変位量の前記イニシャルの物理モデルに、前記差の1/2の値を加えたものである、請求項9に記載の基板搬送システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2の計測位置での熱変位量を推定するイニシャルの物理モデル、および前記第1の計測位置での熱変位量を推定するイニシャルの物理モデルに、それぞれこれらモデルに含まれない、温度の関数として表される誤差要因を加えた物理モデルを作成し、(前記第2の真のずれ量)-(前記第1の真のずれ量)=0となるよう、前記誤差要因を加えた物理モデル内の物理量の数値を変更してフィッティングを行って前記物理量を推定し、前記第2の計測位置での前記保持部の熱変位量の前記補正された物理モデルを求める、請求項8に記載の基板搬送システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2のステージでの前記保持部の熱変位量を推定するイニシャルの物理モデルに、これらモデルに含まれない、温度の関数として表される誤差要因を加えた物理モデルを作成し、前記第2の計測位置での前記保持部の熱変位量の前記補正された物理モデルを求める際に用いた物理量を真の値として用いて、前記第2のステージでの前記保持部の熱変位量の補正された物理モデルを求める、請求項11に記載の基板搬送システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記推定された物理量(パラメータ)と温度を一組として前記制御部の記憶部に記憶させておく、請求項11または請求項12に記載の基板搬送システム。
【請求項14】
前記基板搬送機構は、複数のアームと、前記複数のアームを回動させるモータとを有する多関節構造を有する、請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の基板搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送方法および基板搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板に対して連続的に処理を行う処理システムとして、ロードロック室と、基板に対して所定の処理を施すための複数の処理室と、ロードロック室と複数の処理室が接続され、基板搬送機構を有する共通搬送室とを備えたものが知られている。
【0003】
このような処理システムが特許文献1に開示されている。特許文献1の処理システムは、共通搬送室が一方向に長手方向を有し、共通搬送室にその長手方向に沿って移動可能になされたベース台を有するスライダ機構が設けられ、基板搬送機構がベース台に取り付けられるとともに、屈伸および旋回可能に設けられている。また、引用文献1の処理システムでは、基板搬送機構に保持されている基板の位置ずれを検出するためにベース台を停止させるべき位置に対応させて所定の間隔を隔てて複数の位置ずれ検出ユニットを配置し、制御部により、複数の位置ずれ検出ユニットの内のいずれか1つの位置ずれ検出ユニットの検出値を基準検出値として他の位置ずれ検出ユニットの検出値に熱伸縮補正を行うように基板搬送機構の動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-27378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、基板搬送機構により目標位置に高精度で基板を搬送することができる基板搬送方法および基板搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る基板搬送方法は、基板を保持する保持部を有し、第1のステージから第2のステージへ基板を搬送する基板搬送機構と、前記第1のステージ近傍の第1の計測位置で基板の位置を計測する第1の計測部と、前記第2のステージ近傍の第2の計測位置で基板の位置を計測する第2の計測部と、を有する基板搬送システムにより前記第2のステージの目標位置に基板を搬送する基板搬送方法であって、前記保持部により前記第1のステージ上の基板を受け取ることと、前記保持部に保持された前記基板が第1の計測部を通過するようにし、前記第1の計測位置において、前記第1の計測部で検出される検出値と前記保持部の熱変位量とにより得られる前記保持部と前記基板の第1の真のずれ量を計測することと、前記保持部に保持された前記基板を第2のステージに向けて搬送する際に、前記第2の計測部を通過するようにし、前記第2の計測位置において、前記第2の計測部で検出される検出値と前記保持部の熱変位量とにより得られる前記保持部と前記基板の第2の真のずれ量を計測することと、前記第1の真のずれ量と前記第2の真のずれ量との差を、前記第2の計測位置での熱変位量を推定する物理モデルに反映させて、モデル誤差が低減するように前記物理モデルを補正することと、前記補正された物理モデルで推定される前記第2の計測位置での前記保持部の熱変位量と、前記第2の検出部の検出値である前記保持部と前記基板のずれ量と、前記第2のステージでの前記保持部の熱変位量とから、前記第2のステージでの前記保持部の位置補正量を計算することと、前記位置補正量に基づいて、前記基板搬送機構を制御して前記保持部の位置補正を行い、前記保持部上の前記基板を第2のステージに受け渡すことと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板搬送機構により目標位置に高精度で基板を搬送することができる基板搬送方法および基板搬送システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】基板処理システムの全体構成の一例を示す概略平面図である。
図2】基板搬送機構の一例を示す斜視図である。
図3】基板搬送機構の一例の構造を説明する模式図である。
図4】制御部により基板搬送機構の制御を行う際の機能ブロック図である。
図5】基板搬送機構の姿勢を模式的に示した図である。
図6】加減速状態と角度伝達誤差の誤差方向との関係を示す図である。
図7】保持部と基板の真のずれ量、およびステージでの保持部の真のずれ量を説明するための図である。
図8】基板搬送方法の一例を示すフローチャートである。
図9図8のステップST4およびST5の具体例としての第1の例を示すフローチャートである。
図10図8のステップST4およびST5の具体例としての第2の例を示すフローチャートである。
図11】基板搬送方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
<基板処理システム>
最初に、一実施形態に係る基板搬送システムを備えた基板処理システムについて説明する。図1は、基板処理システムの全体構成の一例を示す概略平面図である。
【0011】
図1に示す基板処理システム1は、基板Wに対して真空雰囲気で処理を行うものであり、クラスタ構造(マルチチャンバタイプ)のシステムとして構成される。基板Wとしては、例えば半導体ウエハ等のウエハを挙げることができるが、これに限るものではない。
【0012】
基板処理システム1は、ロードロック室2と、真空搬送室3と、処理室4と、基板搬送機構5と、センサユニット6と、制御部7とを備える。一実施形態に係る基板搬送システムは、基板搬送機構5と、センサユニット6と、制御部7とを有する。
【0013】
真空搬送室3は、平面形状が矩形状をなし、真空排気部(図示せず)により内部が真空雰囲気に減圧され、内部に基板搬送機構5が設けられている。真空搬送室3の一方の長辺に対応する壁部には、3つのロードロック室2が接続されている。また、2つの短辺に対応する相対向する壁部には、それぞれ2つずつ合計4つの処理室4が接続されている。
【0014】
ロードロック室2は、真空搬送室3と大気雰囲気の大気搬送室(図示せず)との間に設けられ、その中には基板Wを載置するステージ21が設けられている。ロードロック室2と真空搬送室3との間にはゲートバルブ22が設けられており、ロードロック室2と大気搬送室との間にもゲートバルブ(図示せず)が設けられている。ロードロック室2と真空雰囲気の真空搬送室3との間は、ゲートバルブ22を開放することにより連通され、ゲートバルブ22を閉じることにより遮断される。ロードロック室2と大気搬送室の間も、ゲートバルブ(図示せず)の開閉により連通および遮断される。ロードロック室2内は両方のゲートバルブを閉じた状態で大気圧と真空との間で圧力制御可能となっている。大気搬送室に対する基板Wの受け渡しを行う際には、ロードロック室2内を大気雰囲気とし、大気搬送室側のゲートバルブを開放する。真空搬送室3に対する基板Wの受け渡しを行う際には、ロードロック室2内を真空雰囲気とし、ゲートバルブ22を開放する。
【0015】
処理室4は、上述したように真空搬送室3の短辺に対応する壁部に接続され、その中に基板Wを載置するステージ41が設けられている。処理室4は、真空雰囲気に減圧され、その内部にてステージ41に載置された基板Wに所望の処理(例えば、エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理等)を施す。処理室4と真空搬送室3との間にはゲートバルブ42が設けられており、これらの間は、ゲートバルブ42を開放することにより連通され、ゲートバルブ42を閉じることにより遮断される。
【0016】
基板搬送機構5は、ロードロック室2のステージ21と処理室4のステージ41との間で基板の搬送を行う。基板搬送機構5は、例えば、基台部50と、第1アーム51と、第2アーム52と、第3アーム53と、第4アーム54とを備える多関節アームとして構成される。基台部50と第1アーム51の長手方向の一方側とは、回転軸55により回転可能に接続される。第1アーム51の長手方向の他方側と第2アーム52の長手方向の一方側とは、回転軸56により回転可能に接続される。第2アーム52の長手方向の他方側と第3アーム53の長手方向の一方側とは、回転軸57により回転可能に接続される。第3アーム53の長手方向の他方側は、基板Wを保持(載置)する保持部53aを有する。また、第2アーム52の長手方向の他方側と第4アーム54の長手方向の一方側とは、回転軸57により回転可能に接続される。第4アーム54の長手方向の他方側は、基板Wを保持(載置)する保持部54aを有する。基板搬送機構5の詳細については後述する。
【0017】
真空搬送室3の内部には、4つの処理室4および3つのロードロック室2のそれぞれに対応して、基板搬送機構5によって搬送される基板Wを検出するセンサユニット(計測部)6が設けられている。センサユニット6は、基板搬送機構5が基板Wを処理室4もしくはロードロック室2から真空搬送室3に搬送する際、または、基板搬送機構5が基板Wを真空搬送室3から処理室4もしくはロードロック室2へ搬送する際に、基板Wが通過する位置に設けられている。
【0018】
センサユニット6は、2つのセンサ6a,6bを有する。センサ6a,6bは、例えば光電センサであって、基板搬送機構5によって搬送される基板Wがセンサ6a,6bを通過することにより、基板Wの外縁の4点を検出することができる。
【0019】
制御部7は、基板処理システム1の各構成部、例えば、基板搬送機構5、ロードロック室2、真空搬送室3および処理室4の排気系、ゲートバルブ22,42等の動作を制御する。制御部7は、典型的にはコンピュータであり、主制御部と、入力装置と、出力装置と、表示装置と、記憶装置とを備えている。主制御部は、CPU(中央処理装置)、RAMおよびROMを有している。記憶装置は、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を有しており、制御に必要な情報の記録および読み取りを行うようになっている。制御部7では、CPUが、RAMを作業領域として用いて、ROMまたは記憶装置の記憶媒体に格納された処理レシピ等のプログラムを実行することにより、基板処理システム1において基板Wの処理や基板Wの搬送を制御する。
【0020】
また、制御部7は、後述するように、基板搬送機構5の熱膨張に関する情報を受け取って、基板搬送機構5の保持部53aおよび保持部54aの位置補正を行う。
【0021】
また、制御部7は、センサユニット6(センサ6a,6b)による基板Wの外縁の検出およびその際の基板搬送機構5の動作に基づいて、第3アーム53の保持部53aに保持された基板Wの外縁座標を検出する。そして、制御部7は、検出された4点の外縁座標から基板Wの中心位置を算出する。したがって、センサユニット6および制御部7は、第3アーム53に保持された基板Wの中心位置を計測する計測部として機能する。制御部7は、予め設定される第3アーム53における基板Wを載置する基準位置(保持部53aの中心位置)と、センサユニット6により検出された第3アーム53の保持部53aに保持された基板Wの中心位置とのずれ(偏心量)を検出する。なお、制御部7は第4アーム54の保持部54aについても同様に制御する。
【0022】
<基板搬送機構>
次に、基板搬送機構5について、図2および図3を用いてさらに詳細に説明する。図2は基板搬送機構5の一例を示す斜視図であり、図3は基板搬送機構5の一例の構造を説明する模式図である。
【0023】
基板搬送機構5において、第1アーム51内の下側には、第1軸モータ91と、第1軸モータ91により回転されるギア92と、ギア92に噛合するギア93とが設けられている。ギア93は基台部50に固定され、回転軸55と同軸に配置される。ギア92および93は動力伝達機構を構成し、第1軸モータ91によりギア92を回転させることにより、第1アーム51を基台50に対して回転軸55回りに回動させる。
【0024】
また、第1アーム51内の上側には、第2軸モータ94と、第2軸モータ94により回転されるギア95と、ギア95に噛合するギア96とが設けられている。ギア96は第2アーム52に固定され、回転軸56と同軸に配置される。ギア95および96は動力伝達機構を構成し、第2軸モータ94によりギア95を回転させることにより、第2アーム52を第1アーム51に対して回転軸56回りに回動させる。
【0025】
第2アーム52内には、第3軸モータ97と、第3軸モータ97により回転されるギア98と、ギア98に噛合するギア99とが設けられている。ギア99は第3アーム53に固定され、回転軸57と同軸に配置される。ギア98および99は動力伝達機構を構成し、第3軸モータ97によりギア98を回転させることにより、第3アーム53を第2アーム52に対して回転軸57回りに回動させる。同様に、第2アーム52内には、第4アーム54を回動させるモータ(図示せず)および一対のギアからなる動力伝達機構(図示せず)が設けられ、そのモータにより動力伝達機構を介して、第4アーム54を第2アーム52に対して回転軸57回りに回動させる。
【0026】
第1アーム51には、温度センサ(温度検出部)81,82が設けられている。温度センサ81,82としては、例えば、熱電対を用いることができる。温度センサ81は第1アーム51の長手方向の一方側(回転軸55の側)に設けられ、温度センサ82は第1アーム51の長手方向の他方側(回転軸56の側)に設けられている。温度センサ81,82で検出された第1アーム51の温度は、制御部7に入力される。
【0027】
第2アーム52には、温度センサ(温度検出部)83,84が設けられている。温度センサ83,84としては、例えば、熱電対を用いることができる。温度センサ83は第2アーム52の長手方向の一方側(回転軸56の側)に設けられ、温度センサ84は第2アーム52の長手方向の他方側(回転軸57の側)に設けられている。温度センサ83,84で検出された第2アーム52の温度は、制御部7に入力される。
【0028】
次に、基板搬送機構5における熱膨張について説明する。
基板搬送機構5は、その中に設けられた第1軸モータ91等が熱源となり発熱する。また、処理室4が高温である場合に、処理室4から基板搬送機構5に入熱する。さらに、処理室4で処理された高温の基板Wから基板搬送機構5に入熱する。これにより、基板搬送機構5に熱膨張が生じる。
【0029】
以下の説明において、回転軸55と回転軸56との軸間距離(第1アーム51のリンク長)をL1、回転軸56と回転軸57との軸間距離(第2アーム52のリンク長)をL2とする。また、ギア92とギア93の軸間距離をLg1、ギア95とギア96の軸間距離をLg2、ギア98とギア99の軸間距離をLg3とする(図3参照)。ギア92,95,98の材質は例えばFeであり、第1アーム51、第2アーム52、第3アーム53、第4アーム54、ギア93,96,99の材質は例えばAlである。
【0030】
図2の黒塗り矢印に示すように、基板搬送機構5に入熱がある場合、第1アーム51、第2アーム52、第3アーム53、第4アーム54は、長手方向に熱膨張する。
【0031】
また、ギア92,93の熱膨張によりギア92,93のバックラッシが増加する。図2において、第1アーム51の長手方向の中心軸の位置を一点鎖線で示し、バックラッシによる第1アーム51の長手方向の中心軸の位置を二点鎖線で示す。図2の白抜き矢印に示すように、ギア92,93によって第1アーム51を回転軸55で回転させる際、角度伝達誤差が生じる。同様に、ギア95,96およびギア98,99においてもバックラッシが増加し、角度伝達誤差が生じる。
【0032】
図4は、制御部7により基板搬送機構5の制御を行う際の機能ブロック図である。制御部7により熱膨張の補正を含む基板搬送機構5の制御を行う。
【0033】
基板搬送機構5は、第1軸モータ91の回転角度、第2軸モータ94の回転角度、第3軸モータ97の回転角度をそれぞれ検出する、第1軸角度センサ91a、第2軸角度センサ94a、第3軸角度センサ97aを有している。そして、第1軸角度センサ91a、第2軸角度センサ94a、第3軸角度センサ97aの検出値は、制御部7に入力される。制御部7は、第1軸角度センサ91a、第2軸角度センサ94a、第3軸角度センサ97aの検出値に基づいて、第1軸モータ91、第2軸モータ94、第3軸モータ97を制御することで、基板搬送機構5の動作を制御する。
【0034】
また、温度センサ81~84の検出値およびセンサユニット6の検出値も制御部7に入力される。
【0035】
制御部7は、熱膨張量推定部71と、角度伝達誤差推定部72と、角度誤差方向推定部73と、搬送位置補正部74とを有する。
【0036】
熱膨張量推定部71は、第1アーム51および第2アーム52の熱膨張量を推定する。
【0037】
熱膨張量推定部71が第1アーム51の熱膨張量を推定する場合は、例えば、第1アーム51の温度、第1アーム51の熱膨張率、第1アーム51の基準リンク長L1に基づいて推定する。なお、第1アーム51の温度は、温度センサ81,82によって検出される。例えば、温度センサ81,82の平均値を第1アーム51の温度としてもよい。また、第1アーム51がAlで形成される場合、第1アーム51の熱膨張率をAlの熱膨張率としてもよい。第1アーム51の基準リンク長L1は、基準温度における第1アーム51のリンク長である。
【0038】
熱膨張量推定部71が第2アーム52の熱膨張量を推定する場合は、例えば、第2アーム52の温度、第2アーム52の熱膨張率、第2アーム52の基準リンク長L2に基づいて推定する。なお、第2アーム52の温度は、温度センサ83,84によって検出される。例えば、温度センサ83,84の平均値を第2アーム52の温度としてもよい。また、第2アーム52がAlで形成される場合、第2アーム52の熱膨張率をAlの熱膨張率としてもよい。第2アーム52の基準リンク長L2は、基準温度における第2アーム52のリンク長である。
【0039】
角度伝達誤差推定部72は、ギアのバックラッシによる角度伝達誤差量を推定する。
【0040】
角度伝達誤差推定部72が第1アーム51を回転軸55で回転させる際における角度伝達誤差量を推定する場合は、例えば、ギア92,93の温度、ギア92,93の熱膨張率の差分、ギア92,93の基準軸間距離Lg1に基づいて推定する。なお、ギア92,93の温度は、例えば、温度センサ81によって検出される。また、ギア92がFeで形成されギア93がAlで形成される場合、ギア92,93の熱膨張率の差分をAlの熱膨張率とFeの熱膨張率の差分としてもよい。基準軸間距離Lg1は、基準温度におけるギア92,93の軸間距離である。
【0041】
角度伝達誤差推定部72が第2アーム52を回転軸56で回転させる際における角度伝達誤差量を推定する場合は、例えば、ギア95,96の温度、ギア95,96の熱膨張率の差分、ギア95,96の基準軸間距離Lg2に基づいて推定する。なお、ギア95,96の温度は、例えば、温度センサ82によって検出される。また、ギア95がFeで形成されギア96がAlで形成される場合、ギア95,96の熱膨張率の差分をAlの熱膨張率とFeの熱膨張率の差分としてもよい。基準軸間距離Lg2は、基準温度におけるギア95,96の軸間距離である。
【0042】
角度伝達誤差推定部72が第3アーム53を回転軸57で回転させる際における角度伝達誤差量を推定する場合は、例えば、ギア98,99の温度、ギア98,99の熱膨張率の差分、ギア98,99の基準軸間距離Lg3に基づいて推定する。なお、ギア98,99の温度は、例えば、温度センサ84によって検出される。また、ギア98がFeで形成されギア99がAlで形成される場合、ギア98,99の熱膨張率の差分をAlの熱膨張率とFeの熱膨張率の差分としてもよい。基準軸間距離Lg3は、基準温度におけるギア98,99の軸間距離である。なお、角度伝達誤差推定部72は、第4アーム54を回転軸57で回転させる際における角度伝達誤差量も同様に推定する。
【0043】
角度誤差方向推定部73は、角度伝達誤差の方向を推定するものである。具体的には、角度誤差方向推定部73は、第1軸モータ91の加減速状態に基づいて、第1アーム51を回転軸55で回転させる際における角度伝達誤差の方向を推定する。角度誤差方向推定部73は、同様に、第2軸モータ94の加減速状態に基づいて、第2アーム52を回転軸56で回転させる際における角度伝達誤差の方向を推定し、第3軸モータ97の加減速状態に基づいて、第3アーム53を回転軸57で回転させる際における角度伝達誤差の方向を推定する。なお、第4アーム54を回転軸57で回転させる際における角度伝達誤差の方向も同様に推定する。
【0044】
角度誤差方向の推定について、図5および図6に基づいて説明する。
図5は、基板搬送機構5の姿勢を模式的に示した図である。図5(a)は、基板Wがセンサユニット6で計測される計測位置に位置する場合における基板搬送機構5の姿勢の一例を示す図である。図5(b)は、搬送される基板Wが目標位置に位置する場合における基板搬送機構5の姿勢の一例を示す図である。
【0045】
破線矢印に示すように、第1アーム51および第2アーム52のリンク長は熱膨張している。なお、第3アーム53および第4アーム54における基板Wを載置する基準位置は、回転軸57から所定の距離として設定されるため、第3アーム53および第4アーム54の熱膨張は考慮しなくてもよい。
【0046】
図5(a)に示す計測位置においては、基板搬送機構5は、基板Wを加速させた状態で、基板Wがセンサユニット6上を通過するようにする。このため、搬送される基板Wは、白抜き矢印に示す向きに慣性力を受けている。一方、基板搬送機構5は、基板Wを減速させた状態で、基板Wがステージ41の目標位置へと向かうようにし、その後、図5(b)に示すように、基板Wを目標位置で停止させる。このため、搬送される基板Wは、白抜き矢印に示す向きに慣性力を受けている。
【0047】
ここで、加減速状態と角度伝達誤差の誤差方向との関係について、図6を用いて説明する。図6は、角度伝達誤差の誤差方向を説明する図の一例である。図6(a)は、第1軸モータ91の加速時を示す。図6(b)は、第1軸モータ91の減速時を示す。なお、実線矢印は各ギアの回転方向を示す。
【0048】
図6(a)に示す第1軸モータ91の加速時において、1次側のギア92は時計回りに回転し、2次側のギア93は反時計回りに回転している。この際、慣性力によって1次側のギア92の歯が2次側のギア93の歯を押す方向に接している。これにより、バックラッシによる角度伝達誤差は、白抜き矢印で示す向きに発生する。
【0049】
一方、図6(b)に示す第1軸モータ91の減速時において、1次側のギア92は時計回りに回転し、2次側のギア93は反対時計回りに回転している。この際、慣性力によって2次側のギア93の歯が1次側のギア92の歯を押す方向に接している。これにより、バックラッシによる角度伝達誤差は、白抜き矢印で示す向きに発生する。
【0050】
このように、第1軸モータ91の加速時・減速時によって動力伝達機構であるギア92,93のバックラッシによる角度伝達誤差の方向が異なる。第2軸モータ94の動力伝達機構であるギア95,96、および第3軸モータ97の動力伝達機構であるギア98,99のバックラッシによる角度伝達誤差の方向についても同様である。このような角度伝達誤差の方向の一例を、図5中に実線矢印で示しており、図5(a)の計測位置と、図5(b)の目標位置とで、角度伝達誤差の方向が変化する。
【0051】
なお、基板Wの搬送中における基板搬送機構5の温度変化は十分に小さいものとして、計測位置と搬送位置における第1アーム51および第2アーム52の熱膨張量および回転軸55,56,57における角度伝達誤差量は、変化しないものとしてもよい。
【0052】
搬送位置補正部74は、基板搬送機構5が、ロードロック室2のステージ21および処理室4のステージ41の一方で基板を受け取り、他方で基板を受け渡す基板搬送を行う際、基板Wの搬送位置が目標位置になるように基板搬送機構5の位置ずれを補正する。このときの補正量は基板搬送機構5の熱膨張による変位(熱変位)を含み、搬送位置補正部74に記憶された熱変位量は物理モデルを用いて推定される。
【0053】
すなわち、上述したように、基板搬送機構5は、回転可能に連結されたアーム51~54と、動力伝達機構であるギアを介してアーム51~54を回転させるモータ91,94,97とを有しており、保持部53aおよび54aの熱変位量を推定する物理モデルは、アーム51~54の温度に基づいて推定されるアーム51~54の熱膨張量、アームの連結部である関節角度、温度に基づいて推定される角度遅れ量(角度伝達誤差量)等の式で表される。
【0054】
本実施形態では、搬送位置補正部74は、搬送先のステージに基板を受け渡す際(put時)の計測位置における熱変位量を加味した保持部53aまたは54aと基板Wの間の真のずれ量と、搬送元のステージで基板を受け取る際(get時)の計測位置における熱変位量を加味した保持部53aまたは54aと基板Wの間の真のずれ量との差を、put時の計測位置での熱変位量を推定する物理モデルに反映させる。
【0055】
この点について、搬送元がステージ21、搬送先がステージ41で、保持部53aに基板Wを載置して基板を搬送する場合を例にとって、以下に詳細に説明する。
【0056】
制御部7は、ステージ41上の目標位置に基板Wが搬送されるように基板搬送機構5を制御するが、保持部53aが基板Wを受け取る際のずれや、基板搬送機構5の熱膨張による保持部53aの熱変位により搬送位置にずれが生じる。ステージ41上の位置ずれは、処理室4に隣接するセンサユニット6の検出値である基板Wと保持部53aとのずれ量(X3,Y3)、そのセンサユニット6による計測位置での熱変位量(X1,Y1)、ステージ41での保持部53aの熱変位量(X2,Y2)から求められる。
【0057】
(X3,Y3)は、具体的には、基準位置(保持部53aの中心位置)と保持部53aに保持された基板Wの中心位置とのずれ量である。また、(X1,Y1)は、具体的には、put時の計測位置における基板搬送機構5の熱膨張による保持部53aの位置ずれ量である。(X2,Y2)は、基板Wの目標位置に対する第3アーム53(保持部53a)の基準位置の位置ずれとして表れる。保持部53aと基板Wの真のずれ量は、計測位置での基板搬送機構5の熱膨張を考慮することにより得られる。具体的には、真のずれ量は、図7(a)に示すように、設定上のずれ量として表される検出値(X3,Y3)と、計測位置における熱変位量(計測位置での熱膨張による保持部53aの位置ずれ量)(X1,Y1)から導かれた(X3-X1,Y3-Y1)である。なお、図7(a)において、基板Wの中心をO´、基準位置をO1で示している。また、ステージ41においては、図7(b)に示すように、基準位置O1と目標位置Oとの間の熱膨張によるずれ量が(X2,Y2)である。そして、搬送先のステージ41における基板Wの目標位置からのずれ量は、真のずれ量(X3-X1,Y3-Y1)にステージ41での熱変位量(X2,Y2)を加えたものである。したがって、このときの保持部53aの位置補正量=-(保持部53aと基板Wの真のずれ量+ステージ41での熱変位量)であり、その値は(-X3-X2+X1,Y3-Y2+Y1)となる。したがって、基板搬送機構5の第1軸モータ91、第2軸モータ94、第3軸モータ97等を制御して保持部53aの位置を上記補正量で補正することにより、保持部53a上の基板Wの搬送位置を目標位置に制御することができる。
【0058】
上述したように基板搬送機構5の補正量のうち熱変位量は物理モデルを用いて算出される。例えば、put時の計測位置における熱変位量のX座標であるX1を求める物理モデルとしては、以下の(1)式のものを用いることができる。Y座標であるY1も同様である。
X1=L1cosΩ1´α1ΔT+L2cosΩ2´α2ΔT+L3cosΩ3´α3ΔT+L1(cosΩ1´-cosΩ1)+L2(cosΩ2´-cosΩ2)+L3(cosΩ3´-cosΩ3) ・・・(1)
ここで、L1、L2、L3は、上述したように、それぞれ、第1アーム51のリンク長、第2アームのリンク長、第3アームのリンク長である。α1、α2、α3は、それぞれ、第1リンクの線膨張係数、第2リンクの線膨張係数、第3リンクの線膨張係数である(初期値はすべてアーム材料の熱膨張係数で同じ数値である)。また、Ω1、Ω2、Ω3は、それぞれ、put時の第1関節角度、第2関節角度、第3関節角度(いずれも設計値)である。Ω1´、Ω2´、Ω3´は、それぞれ、Ω1´=Ω1+ΔΩ1、Ω2´=Ω2+ΔΩ2、Ω3´=Ω3+ΔΩ3であり、ΔΩ1、ΔΩ2、ΔΩ3はギアの軸間距離の拡大による角度遅れ量(ΔTに比例)である。
【0059】
しかし、熱変位量に物理モデルを用いる場合、物理モデルの整合性が問題となる。すなわち、物理モデルを用いることにより、基板搬送機構5の熱変位を加味した位置補正は可能であるが、物理モデルには必ずモデル誤差が存在する。例えば、put時の熱変位を示す上記(1)式の物理モデルについてもモデル誤差を含んでいる。このため、位置補正の精度にも限界がある
【0060】
このモデル誤差を減少させるため、本実施形態の搬送位置補正部74においては、以下に説明するように、理想的には同じ値を示す、put時の計測位置における熱変位量も加味した保持部53aと基板W間における真のずれ量と、get時の計測位置における熱変位量も加味した保持部53aと基板W間における真のずれ量との差を利用する。
【0061】
get時において、ロードロック室2に隣接するセンサユニット6の検出値を(X3´,Y3´)、そのセンサユニット6による計測位置での熱変位量を(X1´,Y1´)とする。(X3´,Y3´)は、具体的には、第3アーム53の設定上の基準位置(保持部53aの中心位置)と保持部53aに保持された基板Wの中心位置とのずれ量である。また、(X1´,Y1´)は、具体的には、get時の計測位置における基板搬送機構5の熱膨張による保持部53aの位置ずれ量である。保持部53aと基板Wの真のずれ量は、設定上のずれ量として表される検出値(X3´,Y3´)と、計測位置における熱変位量(熱膨張による保持部53aの位置ずれ量)(X1´,Y1´)から導かれた(X3´-X1´,Y3´-Y1´)である。
【0062】
get時の計測位置における熱変位量(X1´,Y1´)も物理モデルを用いて求めることができる。get時の計測位置における熱変位量のX座標であるX1´を求める物理モデルとしては、例えば、以下の(2)式を用いることができる。
X1´=L1cosΘ1´α1ΔT+L2cosΘ2´α2ΔT+L3cosΘ3´α3ΔT+L1(cosΘ1´-cosΘ1)+L2(cosΘ2´-cosΘ2)+L3(cosΘ3´-cosΘ3) ・・・(2)
ここで、L1、L2、L3、α1、α2、α3は式(1)と同様であり、Θ1、Θ2、Θ3は、それぞれ、get時の第1関節角度、第2関節角度、第3関節角度(いずれも設計値)である。Θ1´、Θ2´、Θ3´は、それぞれ、Θ1´=Θ1+ΔΘ1、Θ2´=Θ2+ΔΘ2、Θ3´=Θ3+ΔΘ3であり、ΔΘ1、ΔΘ2、ΔΘ3は、ギアの軸間距離の拡大による角度遅れ量(ΔTに比例)である。
【0063】
put時の保持部53aと基板W間の熱変位を加味した真のずれ量(X3-X1,Y3-Y1)と、get時の保持部53aと基板W間の真のずれ量(X3´-X1´,Y3´-Y1´)とは、上述したように理想的には同じ値になるはずである。しかし、実際には同じ値にはならず、これらの間に差が生じる。例えばX座標についていえば、(X3-X1)と(X3´-X1´)との間に差Aが生じる。これは、センサユニット6での検出誤差を除けば、物理モデルのモデル誤差により熱変位量の推定量に誤差が生じるからである。
【0064】
そこで、搬送位置補正部74は、put時の計測位置における保持部53aと基板Wの間の真のずれ量(put時の計測位置における真のずれ量)と、get時の計測位置における保持部53aと基板Wの間の真のずれ量(get時の計測位置における真のずれ量)との差を、put時の計測位置での熱変位量を計算する物理モデルに反映させて、モデル誤差が低減するように当該物理モデルを補正する。例えば、put時の計測位置における真のずれ量とget時の計測位置における真のずれ量との差を反映させた補正項をイニシャルの物理モデルに加える。
【0065】
具体例としては、(put時の計測位置における真のずれ量)-(get時の計測位置における真のずれ量)により差Aを算出し、上記put時の計測位置における熱変位量のイニシャルの物理モデルであるX1にAを単純平均したA/2を加えて、以下の(3)式に示すX1(Ave)に物理モデルを補正する。これにより、物理モデルの誤差を低減することができる。
X1(Ave)=X1+A/2 ・・・(3)
【0066】
上述したように、基板搬送機構5の位置補正量=-(保持部53aと基板Wの真のずれ量+ステージ41での熱変位量)であり、そのX座標のイニシャルの値は、-X3-X2+X1である。したがって、このイニシャルの位置補正量のX1をX1(Ave)に置き換えて、位置補正量を-X3-X2+X1(Ave)として計算する。Y座標も同様である。これにより、簡易な手法で誤差の小さい物理モデルに補正することができる。また、これにより位置補正精度を高めて基板Wの搬送精度を高めることができる。なお、本例では、搬送位置補正に用いる熱変位量X2については、イニシャルの物理モデルを用いる。
【0067】
また、別の手法として、以下の手法を用いることもできる。
上記(1)式および上記(2)式の物理モデルに、補正項として、これらモデルに含まれないΔTの関数として表される誤差要因β(ΔT)を加えた以下の(4)式および(5)式を用いる。
【0068】
X1=L1cosΩ1´α1ΔT+L2cosΩ2´α2ΔT+L3cosΩ3´α3ΔT+L1(cosΩ1´-cosΩ1)+L2(cosΩ2´-cosΩ2)+L3(cosΩ3´-cosΩ3)+β(ΔT) ・・・(4)
X1´=L1cosΘ1´α1ΔT+L2cosΘ2´α2ΔT+L3cosΘ3´α3ΔT+L1(cosΘ1´-cosΘ1)+L2(cosΘ2´-cosΘ2)+L3(cosΘ3´-cosΘ3)+β(ΔT) ・・・(5)
【0069】
上記(4)式および(5)式において、ΔΘ1とΔΩ1、ΔΘ2とΔΩ2、およびΔΘ3とΔΩ3とは、それぞれ第1ギア軸間距離、第2ギア軸間距離、および第3ギア軸間距離に比例し、同じ物理量から計算される。また、L1、L2、およびL3、ΔT、αも同様である。したがって、これらのパラメータを上記差Aが最も小さくなるように、フィッティングを行う。例えば、線形計画法などを用いて解くか、機械学習などにより誤差の小さくなるパラメータを導出する。ΔTの関数としては、ΔTに比例、ΔTの二乗に比例、指数に比例などの関数型を持つものを用いることができる。
【0070】
例えば、差A=0、すなわち(X3-X1)-(X3´-X1´)=0となるよう、上記(4)式および(5)式を用いて式内の引数(物理モデル内の物理量の数値)を変更するようにして、X1の真の値としてX1(True)を算出することができる。この場合、(X3´-X1´)-(X3-X1)=0が成り立つよう、線形計画法等を用いてフィッティングし、上記(4)式および(5)式の物理量、L1、L2、L3、Θ1´、Θ2´、Θ3´、α、β、ΔTを決定する。そして、これにより得られたL1、L2、L3、ΔΩ1、ΔΩ2、ΔΩ3、α、β、ΔTを真の値とし、(4)式および(5)式と同じ形の式でX1(True)を算出する。X1(True)は、差A=0が成り立つようフィッティングにより導かれた式であり極めて誤差が小さい。
【0071】
X1(True)を用いる場合、搬送位置補正に用いる上述の熱変位量X2の物理モデルを補正することができる。このとき、X1(True)を推定する際に用いた物理量を真の値とし、X2のイニシャルの物理モデルに、このモデルに含まれないΔTの関数として表される誤差要因β(ΔT)を加えた物理モデルで計算して、X2(True)を推定することができる。
【0072】
X2(True)は、X1(True)の計算で得られたL1、L2、L3、ΔΘ1、ΔΘ2、ΔΘ3、α、β、ΔTを真の値とし、以下の(6)式により計算することができる。
X2(True)=L1cosξ1´αΔT+L2cosξ2´αΔT+L3cosξ3´αΔT+L1(cosξ1´-cosξ1)+L2(cosξ2´-cosξ2)+L3(cosξ3´-cosξ3)+β(ΔT) ・・・(6)
ここで、ξ1、ξ2、ξ3は、put時の第1関節角度、第2関節角度、第3関節角度(いずれも設計値)である。ξ1´、ξ2´、ξ3´は、それぞれ、ξ1´=ξ1+Δξ1、ξ2´=ξ2+Δξ2、ξ3´=ξ3+Δξ3であり、Δξ1、Δξ2、Δξ3はギアの軸間距離の拡大による角度遅れ量(ΔTに比例)であり、ここでは、Δξ1=ΔΩ1、Δξ2=ΔΩ2、Δξ3=ΔΩ3とする。
【0073】
X2(True)は、X1(True)と同様の式で求められたものであり、X1(True)と同様、極めて誤差が小さい。
【0074】
上述したように、基板搬送機構5の位置補正量は、-(保持部53aと基板Wの真のずれ量+ステージ41での熱変位量)で表され、そのX座標のイニシャルの値は、-X3-X2+X1である。したがって、このイニシャルの位置補正量のX1をX1(True)に置き換え、X2をX2(True)に置き換えて、位置補正量を-X3-X2(True)+X1(True)として計算する。Y座標も同様である。本例の場合、X1をX1(True)に補正することにより測定位置での熱変位量の誤差を低減できるとともに、ステージでの熱変位量の誤差も小さくできるので、基板搬送機構5の位置補正の精度をより一層高めることができる。
【0075】
<基板搬送方法>
次に、基板搬送機構5を用いた基板搬送方法の一例について詳細に説明する。
ここでは、ロードロック室2のステージ21から処理室4のステージ41へ第3アーム53の保持部53aにより基板Wを搬送する場合について説明する。
【0076】
図8は、基板搬送方法の一例を示すフローチャートである。
最初に、基板搬送機構5の保持部53aによりロードロック室2のステージ21上の基板Wを受け取る(ステップST1)。
【0077】
次に、基板Wを保持した保持部53aをリトラクト中に、基板Wがロードロック室2に隣接したセンサユニット6(第1の計測部)を通過するようにし、get時の計測位置における熱変位量を加味した保持部53aと基板Wの真のずれ量を計測する(ステップST2)。この際の真のずれ量は上述したように、設定上のずれ量として表される検出値(X3´,Y3´)と、計測位置における熱変位量(熱膨張による保持部53aの位置ずれ量)(X1´,Y1´)から導かれた(X3´-X1´,Y3´-Y1´)である。
【0078】
次に、基板Wを処理室4に向けて搬送し、基板Wを保持した保持部53aをステージ41に向けてエクステンドしている間に、基板Wが処理室4に隣接したセンサユニット6(第2の計測部)を通過するようにし、put時の計測位置における熱変位量を加味した保持部53aと基板Wの真のずれ量を計測する(ステップST3)。この際の真のずれ量は上述したように、設定上のずれ量として表される検出値(X3,Y3)と、計測位置における熱変位量(熱膨張による保持部53aの位置ずれ量)(X1,Y1)から導かれた(X3-X1,Y3-Y1)である。
【0079】
次に、put時の計測位置における真のずれ量と、get時の計測位置における真のずれ量との差を、put時の計測位置での熱変位量を計算する物理モデルに反映させて、モデル誤差が低減するように当該物理モデルを補正する(ステップST4)。
【0080】
次に、補正された物理モデルで推定される、put時の計測位置での保持部53aの熱変位量と、put時のセンサユニット6の検出値である保持部53aと基板Wのずれ量と、ステージ41での保持部53aの熱変位量とから、ステージ41での保持部53aの位置補正量を計算する(ステップST5)。
【0081】
次に、ステップST5で計算した補正量に基づいて、制御部7により基板搬送機構5を制御して保持部53aの位置補正を行い、保持部53a上の基板Wをステージ41に受け渡す(ステップST6)。
【0082】
このように、本実施形態では、put時の計測位置における真のずれ量と、get時の計測位置における真のずれ量との差を、put時の計測位置での熱変位量を計算する物理モデルに反映させてその物理モデルを補正し、物理モデルの誤差を低減させる。これにより、熱膨張による基板搬送機構5の位置ずれに対して位置補正精度を高めることができ、基板Wを目標位置に高精度で搬送することができる。
【0083】
次に、上記ステップST4の物理モデルを補正する工程と、上記ステップ5の基板搬送機構5の位置補正量を計算する工程の具体例について説明する。
【0084】
第1の例は、図9に示す、上述したX1(Ave)を用いる場合である。
まず、(put時の計測位置における真のずれ量)-(get時の計測位置における真のずれ量)により差Aを求め、上記(3)式に従って、X1に補正項としてA/2を加えたX1(Ave)を計算する(ステップST4-1)。
【0085】
次に、基板搬送機構5の補正量(X座標)=-X3-X2+X1(Ave)として補正量を計算する(ステップST5-1)。
【0086】
このように、put時の計測位置における真のずれ量とget時の計測位置における真のずれ量との差をとって平均するだけでよいので、簡易に誤差の小さい物理モデルを補正することができる。また、これにより位置補正精度を高めて基板Wの搬送精度を高めることができる。
【0087】
第2の例は、図10に示す、上記(4)および(5)に示す誤差要因β(ΔT)を用い、物理モデル内の物理量の数値を変化させる場合である。
まず、例えば、差A=0、すなわち(X3-X1)-(X3´-X1´)=0となるよう、上記(4)式および(5)式を用いて式内の引数(物理モデル内の物理量の数値)を変更するようにし、線形計画法等を用いて物理量を推定し、推定した物理量を真の値として用いて同様の式でX1の真の値としてX1(True)を算出する(ステップST4-11)
-11)。
【0088】
次に、X1(True)の計算で得られたL1、L2、L3、ΔΘ1、ΔΘ2、ΔΘ3、α、β、ΔTを真の値とし、上記(6)式によりX2(True)を計算する(ステップST4-12)。
【0089】
次に、基板搬送機構5の補正量(X座標)=-X3-X2(True)+X1(True)として補正量を計算する(ステップST5-11)。
【0090】
本例では、物理モデル内の物理量の数値を変化させ、(X3-X1)-(X3´-X1´)=0を解くことにより、誤差の小さい物理モデルであるX1(True)を導くことができ、精度を高めることができる。また、計測位置の熱変位量のみならず、ステージ41の熱変位量の物理モデルも補正することができるので、基板搬送機構5の位置ずれに対する位置補正精度をより一層高めることができる。
【0091】
次に、基板搬送方法の他の例について詳細に説明する。
ここでも同様に、ロードロック室2のステージ21から処理室4のステージ41へ基板Wを搬送する場合について説明する。
【0092】
図11は、基板搬送方法の他の例を示すフローチャートである。
最初に、上記ステップST1と同様、基板搬送機構5の保持部53aによりロードロック室2のステージ21上の基板Wを受け取る(ステップST11)。
【0093】
次に、上記ステップST2と同様、基板Wを保持した保持部53aをリトラクト中に、基板Wがロードロック室2に隣接したセンサユニット6(第1の計測部)を通過するようにし、get時の計測位置における熱変位量を加味した保持部53aと基板Wの真のずれ量を計測する(ステップST12)。
【0094】
次に、上記ステップST3と同様、基板Wを処理室4に向けて搬送し、基板Wを保持した保持部53aをステージ41に向けてエクステンドしている間に、基板Wが処理室4に隣接したセンサユニット6(第2の計測部)を通過するようにし、put時の計測位置における熱変位量を加味した保持部53aと基板Wの真のずれ量を計測する(ステップST13)。
【0095】
次に、put時の計測位置における真のずれ量と、get時の計測位置における真のずれ量との差を、put時の計測位置での熱変位量を計算する物理モデルに反映させて、モデル誤差が低減するように当該物理モデルを補正し、その際に、物理モデル内の物理量の数値を変更するようにしてフィッティングを行い、物理量を推定する(ステップST14)。
【0096】
ここでは、例えば、上記具体例の第2の例に示す上記(4)式および(5)式に示す、イニシャルの物理モデルに、これらモデルに含まれない、温度の関数として表される誤差要因を加えた物理モデルを用いる。そして、(put時の計測位置における真のずれ量)-(get時の計測位置における真のずれ量)で表される差Aが最も小さくなるように、好適には(X3-X1)-(X3´-X1´)=0となるように、物理モデル内の物理量(例えばアーム長さ、アーム角度、熱膨張係数、温度変化等)の数値を変更する。線形計画法等を用いて物理量を推定し、推定した物理量を真の値として用いて同様の式でX1(True)を算出する。そして、熱変位量X2についても、上記(6)に示す、イニシャルの物理モデルに、これらモデルに含まれない、温度の関数として表される誤差要因を加えた物理モデルを用いる。X1(True)を求める際に用いた物理量を真の値として用いて、X2の真の値としてX2(True)を算出する。これらの手順としては、例えば、上記具体例の第2の例と同様に行うことができる。
【0097】
次に、補正された物理モデルで推定される、put時の計測位置での保持部53aの熱変位量と、put時のセンサユニット6の検出値である保持部53aと基板Wのずれ量と、ステージ41での保持部53aの熱変位量とから、ステージ41での保持部53aの位置補正量を計算する(ステップST15)。
【0098】
次に、ステップST15で計算した補正量に基づいて、制御部7により基板搬送機構5を制御して保持部53aの位置補正を行い、保持部53a上の基板Wをステージ41に受け渡す(ステップST16)。
【0099】
次に、推定された物理量(パラメータ)と温度を一組として制御部7の記憶装置に記憶させる(ステップST17)。このようなデータの記憶は、基板Wを搬送の都度行ってもよいし、複数の基板を搬送した後に行ってもよい。物理量(パラメータ)と温度は、温度対物理量のテーブルに記憶し、データが入力されるごとにテーブルを更新するようにすることができる。そして、このテーブルから物理量を推定することができる。ただし、その推定結果が、物理量のテーブルから大きく外れている場合は、残渣とテーブルからの乖離量のバランスで推定する物理量を決定することができる。なお、テーブルを用いる代わりに、ニューラルネットワーク等を用いて物理量を推定してもよい。
【0100】
このように、物理量(パラメータ)と温度を一組として記憶させておくことにより、制御部7で保持している物理モデルに対してフィードバックを行い、物理モデルを修正することができる。このため、イニシャルの物理モデルが正確でなくても、物理モデルの精度を向上させることができ、基板搬送機構5の熱膨張による位置ずれに対して高精度で位置補正を行うことができる。また、システムや基板搬送機構によって物理モデルを変化させることができ、経年変化や機差にも対応可能となる。
【0101】
<他の適用>
以上、実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0102】
例えば、上記実施形態では、基板搬送機構5により、基板Wをロードロック室2のステージ21から処理室4のステージ41に搬送する場合について説明したが、これに限らず、ステージ41からステージ21に搬送する場合であってもよい。また、上記実施形態では、真空搬送を行う基板搬送システムにおけるロードロック室と処理室との間の基板搬送について説明したが、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0103】
1;基板処理システム
2;ロードロック室
3;真空搬送室
4;処理室
5;基板搬送機構
6;センサユニット(計測部)
6a,6b;センサ
7;制御部
21,41;ステージ
50;基台部
51;第1アーム
52;第2アーム
53;第3アーム
54;第4アーム
55,56,57;回転軸
71;熱膨張推定部
72;角度伝達誤差推定部
73;角度誤差方向推定部
74;搬送位置補正部
81~84;温度センサ
91,94,97;モータ
92,93,95,96,98,99;ギア(動力伝達機構)
91a,94a,97a;角度センサ
W;基板
図1
図2
図3
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図10
図11