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特開2023-129681エッチング方法及びプラズマ処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129681
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】エッチング方法及びプラズマ処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H01L21/302 301
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122945
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2023516485の分割
【原出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】63/184,997
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/185,660
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】戸村 幕樹
(72)【発明者】
【氏名】木原 嘉英
(72)【発明者】
【氏名】本田 昌伸
(57)【要約】
【課題】エッチングの選択比を向上させる技術を提供する。
【解決手段】チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法が提供される。この方法は、(a)下地膜と下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いてシリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、エッチングは、下地膜が凹部において露出する前まで又は下地膜の一部が凹部において露出するまで行われる工程と、(c)(b)の工程とは異なる条件で、凹部においてシリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる工程と、
(c)前記(b)の工程とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含むエッチング方法。
【請求項2】
前記(c)の工程において、前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスを用いて第2のプラズマを生成する、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記第2のプラズマは、前記第1のプラズマよりもフッ素種の密度が小さい、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記下地膜は、シリコンを含有し、前記第2の処理ガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスと酸素含有ガスとを、不活性ガスを除く前記第2の処理ガスの総流量に対して50体積%以上含む、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記第2の処理ガスに含まれる前記フルオロカーボンガス又は前記ハイドロフルオロカーボンガスの炭素数が2以上である、請求項4に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記下地膜は、金属を含有し、前記第1の処理ガスは、フッ化水素以外のフッ素含有ガスをさらに含み、前記第2の処理ガスは、前記フッ素含有ガスを含まないか、又は、前記フッ素含有ガスを前記第1の処理ガスにおける分圧よりも小さい分圧で含む、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記フッ素含有ガスは、NFガス及びSFガスの少なくともいずれかである、請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記第2の処理ガスは、COガス及び塩素含有ガスの少なくともいずれかをさらに含む、請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記(c)の工程において、前記基板の温度が前記(b)の工程における前記基板の温度よりも高くなるように温度制御を行う、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記温度制御を行うことは、(I)前記チャンバに供給するソースRF信号又はバイアス信号のパワーを大きくすること、(II)前記基板を支持する基板支持部の吸着力を小さくすること、(III)前記基板と前記基板支持部との間に供給する伝熱ガスの圧力を小さくすること、及び、(IV)前記基板支持部の設定温度を前記(b)の工程における設定温度よりも高くすることの1つ以上を含む、請求項9に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記温度制御を行うことは、前記基板の温度を前記(b)の工程における前記基板の温度よりも30℃以上高くする制御を行うことを含む、請求項9に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記(c)の工程において、前記チャンバ内の圧力が前記(b)の工程における前記チャンバ内の圧力よりも低くなるように圧力制御を行う、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記圧力制御を行うことは、前記チャンバ内の圧力を前記(b)の工程における前記チャンバ内の圧力よりも30%以上低くする制御を行うことを含む、請求項12に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記第1の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記第1の処理ガスは、炭素含有ガス及び酸素含有ガスの少なくともいずれかを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記(b)の工程において、前記基板を支持する基板支持部の温度は20℃以下に制御される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記チャンバに供給するソースRF信号は、40MHz以上の周波数を有する、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項18】
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板を、チャンバ内に提供する工程と、
(b)HF種を含むプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる工程と、
(c)前記(b)の工程とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含むエッチング方法。
【請求項19】
前記HF種は、フッ化水素ガス又はハイドロフルオロカーボンガスの少なくとも1種のガスから生成される、請求項18に記載のエッチング方法。
【請求項20】
前記HF種は、炭素数が2以上のハイドロフルオロカーボンガスから生成される、請求項18に記載のエッチング方法。
【請求項21】
前記HF種は、水素源及びフッ素源を含む混合ガスから生成される、請求項18に記載のエッチング方法。
【請求項22】
チャンバを有するプラズマ処理装置と制御部とを備え、
前記制御部は、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板を前記チャンバに提供する制御と、
(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる制御と、
(c)前記(b)の制御とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする制御と、を実行するプラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シリコンを含有する基板内の膜を、アモルファスカーボン又は有機ポリマーを含むマスクを用いてエッチングする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-39310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングの選択比を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる工程と、(c)前記(b)の工程とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、エッチングの選択比を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的なプラズマ処理システムを概略的に示す図である。
図2】第1の実施形態にかかるエッチング方法を示すフローチャートである。
図3】基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図4】工程ST12終了時の基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図5】工程ST13終了時の基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図6】下地膜UFがシリコンを含有する場合のタイミングチャートの一例である。
図7】下地膜UFがシリコンを含有する場合のタイミングチャートの他の例である。
図8】下地膜が金属を含有する場合のタイミングチャートの一例である。
図9】第2の実施形態にかかるエッチング方法を示すフローチャートである。
図10】イオンフラックスとイオンエネルギーとの関係を示す図である。
図11】ソースRF信号及びバイアスRF信号の一例を示すタイミングチャートである。
図12】ソースRF信号及びバイアスDC信号の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態においてチャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、(a)下地膜と下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いてシリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、エッチングは、下地膜が凹部において露出する前まで又は下地膜の一部が凹部において露出するまで行われる工程と、(c)(b)の工程とは異なる条件で、凹部においてシリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程において、第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスを用いて第2のプラズマを生成する。
【0011】
一つの例示的実施形態において、第2のプラズマは、第1のプラズマよりもフッ素種の密度が小さい。
【0012】
一つの例示的実施形態において、下地膜は、シリコンを含有し、第2の処理ガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスと酸素含有ガスとを、不活性ガスを除く第2の処理ガスの総流量に対して50体積%以上含む。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第2の処理ガスに含まれるフルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスの炭素数が2以上である。
【0014】
一つの例示的実施形態において、下地膜は、金属を含有し、第1の処理ガスは、フッ化水素以外のフッ素含有ガスをさらに含み、第2の処理ガスは、フッ素含有ガスを含まないか、又は、フッ素含有ガスを第1の処理ガスにおける分圧よりも小さい分圧で含む。
【0015】
一つの例示的実施形態において、フッ素含有ガスは、NFガス及びSFガスの少なくともいずれかである。
【0016】
一つの例示的実施形態において、第2の処理ガスは、COガス及び塩素含有ガスの少なくともいずれかをさらに含む。
【0017】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程において、基板の温度が(b)の工程における基板の温度よりも高くなるように温度制御を行う。
【0018】
一つの例示的実施形態において、温度制御を行うことは、(I)チャンバに供給するソースRF信号又はバイアス信号のパワーを大きくすること、(II)基板を支持する基板支持部の吸着力を小さくすること、(III)基板と基板支持部との間に供給する伝熱ガスの圧力を小さくすること、及び、(IV)基板支持部の設定温度を(b)の工程における設定温度よりも高くすることの1つ以上を含む。
【0019】
一つの例示的実施形態において、温度制御を行うことは、基板の温度を(b)の工程における基板の温度よりも30℃以上高くする制御を行うことを含む。
【0020】
一つの例示的実施形態において、(c)の工程において、チャンバ内の圧力が(b)の工程におけるチャンバ内の圧力よりも低くなるように圧力制御を行う。
【0021】
一つの例示的実施形態において、圧力制御を行うことは、チャンバ内の圧力を(b)の工程におけるチャンバ内の圧力よりも30%以上低くする制御を行うことを含む。
【0022】
一つの例示的実施形態において、第1の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む。
【0023】
一つの例示的実施形態において、第1の処理ガスは、炭素含有ガス及び酸素含有ガスの少なくともいずれかを含む。
【0024】
一つの例示的実施形態において、(b)の工程において、基板を支持する基板支持部の温度は20℃以下に制御される。
【0025】
一つの例示的実施形態において、チャンバに供給するソースRF信号は、40MHz以上の周波数を有する。
【0026】
一つの例示的実施形態において、チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、(a)下地膜と下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板を、チャンバ内に提供する工程と、(b)HF種を含むプラズマを用いてシリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、エッチングは、下地膜が凹部において露出する前まで又は下地膜の一部が凹部において露出するまで行われる工程と、(c)(b)の工程とは異なる条件で、凹部においてシリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【0027】
一つの例示的実施形態において、HF種は、フッ化水素ガス又はハイドロフルオロカーボンガスの少なくとも1種のガスから生成される。
【0028】
一つの例示的実施形態において、HF種は、炭素数が2以上のハイドロフルオロカーボンガスから生成される。
【0029】
一つの例示的実施形態において、HF種は、水素源及びフッ素源を含む混合ガスから生成される。
【0030】
一つの例示的実施形態において、チャンバを有するプラズマ処理装置と制御部とを備え、制御部は、(a)下地膜と下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板をチャンバに提供する制御と、(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いてシリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、エッチングは、下地膜が凹部において露出する前まで又は下地膜の一部が凹部において露出するまで行われる制御と、(c)(b)の制御とは異なる条件で、凹部においてシリコン含有膜をさらにエッチングする制御と、を実行するプラズマ処理システムが提供される。
【0031】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0032】
<プラズマ処理システムの構成例>
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0033】
プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0034】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0035】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0036】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0037】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0038】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0039】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0040】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0041】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0042】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0043】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0044】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0045】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0046】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0047】
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態に係るエッチング方法を示すフローチャートである。図2に示すように、当該エッチング方法は、基板を提供する工程ST11と、第1のエッチング工程ST12と、第2のエッチング工程ST13とを含む。各工程における処理は、図1に示すプラズマ処理システムで実行されてよい。以下では、制御部2がプラズマ処理装置1の各部を制御して、基板Wに対してエッチングを行う場合を例に説明する。
【0048】
(工程ST11:基板の提供)
工程ST11において、基板Wは、プラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に提供される。基板Wは、基板支持部11の中央領域111aに提供される。そして、基板Wは、静電チャック1111により基板支持部11に保持される。
【0049】
図3は、工程ST11で提供される基板Wの断面構造の一例を示す図である。基板Wは、下地膜UF上に、シリコン含有膜SFが形成されている。基板Wは、シリコン含有膜SF上にマスクMFをさらに有してよい。基板Wは、半導体デバイスの製造に用いられてよい。半導体デバイスは、例えば、DRAM、3D-NANDフラッシュメモリ等の半導体メモリデバイスを含む。
【0050】
下地膜UFは、一例では、シリコンウェハやシリコンウェハ上に形成された有機膜、誘電体膜、金属膜、半導体膜等である。下地膜UFは、複数の膜が積層されて構成されてよい。下地膜UFは、シリコン又はタングステン等の金属を含有してよい。
【0051】
シリコン含有膜SFは、エッチングの対象となる膜である。シリコン含有膜SFは、一例では、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、多結晶シリコン膜、炭素含有シリコン膜である。シリコン含有膜SFは、複数の膜が積層されて構成されてよい。例えば、シリコン含有膜SFは、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に積層されて構成されてよい。また例えば、シリコン含有膜SFは、シリコン酸化膜と多結晶シリコン膜とが交互に積層されて構成されてよい。また例えば、シリコン含有膜SFは、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜及び多結晶シリコン膜を含む積層膜でもよい。
【0052】
マスクMFは、シリコン含有膜SFのエッチングにおいてマスクとして機能する膜である。マスクMFは、例えば、ハードマスクでよい。またマスクMFは、炭素含有マスク及び/又は金属含有マスクでよい。炭素含有マスクは、例えば、スピンオンカーボン、炭化タングステン、アモルファスカーボン及び炭化ホウ素からなる群から選択される少なくとも一種でよい。金属含有マスクは、例えば、窒化チタン、酸化チタン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも一種でよい。タングステン含有マスクは、例えば、タングステンシリサイド(WSi)及び/又はタングステンカーバイド(WC)でよい。マスクMFは、例えば、ホウ化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素のホウ素含有マスクであってもよい。
【0053】
図3に示すとおり、マスクMFは、シリコン含有膜SF上において少なくとも一つの開口OPを規定する。開口OPは、シリコン含有膜SF上の空間であって、マスクMFの側壁に囲まれている。すなわち、シリコン含有膜SFの上面は、マスクMFによって覆われた領域と、開口OPの底部において露出した領域とを有する。
【0054】
開口OPは、基板Wの平面視、すなわち、基板Wを図3の上から下に向かう方向に見た場合において、任意の形状を有してよい。当該形状は、例えば、円、楕円、矩形、線やこれらの1種類以上を組み合わせた形状であってよい。マスクMFは、複数の側壁を有し、複数の側壁が複数の開口OPを規定してもよい。複数の開口OPは、それぞれ線形状を有し、一定の間隔で並んでライン&スペースのパターンを構成してもよい。また、複数の開口OPは、それぞれ穴形状を有し、アレイパターンを構成してもよい。
【0055】
基板Wを構成する各膜(下地膜UF、シリコン含有膜SF、マスクMF)は、それぞれ、CVD法、ALD法、スピンコート法等により形成されてよい。開口OPは、マスクMFをエッチングすることで形成されてよい。またマスクMFは、リソグラフィによって形成されてもよい。なお、上記各膜は、平坦な膜であってよく、また、凹凸を有する膜であってもよい。また基板Wが下地膜UFの下に他の膜をさらに有し、シリコン含有膜SF及び下地膜UFの積層膜が多層マスクとして機能してもよい。すなわち、シリコン含有膜SF及び下地膜UFの積層膜を多層マスクとして、当該他の膜をエッチングしてもよい。
【0056】
基板Wの各膜を形成するプロセスの少なくとも一部は、プラズマ処理チャンバ10の空間内で行われてよい。一例では、マスクMFをエッチングして開口OPを形成する工程は、プラズマ処理チャンバ10で実行されてよい。すなわち、開口OP及び後述するシリコン含有膜SFのエッチングは、同一のチャンバ内で連続して実行されてよい。また、基板Wの各膜の全部又は一部がプラズマ処理装置1の外部の装置やチャンバで形成された後、基板Wがプラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に搬入され、基板支持部11の中央領域111aに配置されることで、基板が提供されてもよい。
【0057】
基板Wを基板支持部11の中央領域111aに提供後、基板支持部11の温度が温調モジュールにより設定温度に調整される。設定温度は、例えば、20℃以下、0℃以下、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下又は-70℃以下でよい。一例では、基板支持部11の温度を調整又は維持することは、流路1110aを流れる伝熱流体の温度やヒータ温度を設定温度にすること、又は、設定温度と異なる温度にすることを含む。なお、流路1110aに伝熱流体が流れ始めるタイミングは、基板Wが基板支持部11に載置される前でも後でもよく、また同時でもよい。また、基板支持部11の温度は、工程ST11の前に設定温度に調整されてよい。すなわち、基板支持部11の温度が設定温度に調整された後に、基板支持部11に基板Wを提供してよい。
【0058】
(工程ST12:第1のエッチング)
工程ST12において、第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて、シリコン含有膜SFがエッチングされる。まず、ガス供給部20から第1の処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。第1の処理ガスは、フッ化水素(HF)ガスを含む。HFガスは、エッチャントとして機能する。工程ST12における処理の間、基板支持部11の温度は、工程ST11で調整した設定温度に維持される。
【0059】
次に、基板支持部11の下部電極及び/又はシャワーヘッド13の上部電極にソースRF信号が供給される。これにより、シャワーヘッド13と基板支持部11との間で高周波電界が生成され、プラズマ処理空間10s内の第1の処理ガスから第1のプラズマが生成される。また、基板支持部11の下部電極にバイアス信号が供給されて、プラズマと基板Wとの間にバイアス電位が発生する。バイアス電位によって、プラズマ中のイオン、ラジカル等の活性種が基板Wに引きよせられる。これにより、シリコン含有膜SFがエッチングされ、マスクMFの開口OPの形状に基づいて凹部が形成される。第1のエッチングは、下地膜UFが露出する前(例えば直前)まで、又は、下地膜UFの一部が露出するまで行う。すなわち、工程ST12は、基板Wの下地膜UFが露出する前(例えば直前)、又は、下地膜UFが一部露出するタイミングで終了する。
【0060】
図4は、工程ST12の終了時の基板Wの断面構造の一例を示す図である。図4に示すように、工程ST12における処理により、シリコン含有膜SFのうち、開口OPにおいて露出した部分が深さ方向(図4で上から下に向かう方向)にエッチングされ、凹部RCが形成される。なお、図4は、工程ST12の終了時において下地膜UFは露出しない状態を示すが、工程ST12の終了時に下地膜UFの一部が露出してもよい。
【0061】
なお、工程ST12において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有してよい。一例では、ソースRF信号は、40MHz以上、60MHz以上の周波数を有してよい。また工程ST12において、バイアス信号は、第2のRF生成部31bから供給されるバイアスRF信号であってよい。またバイアス信号は、DC生成部32aから供給されるバイアスDC信号であってもよい。ソースRF信号及びバイアス信号は、双方が連続波又はパルス波でよく、また一方が連続波で他方がパルス波でもよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよい。またパルス波のデューティ比は適宜設定してよく、例えば、1~80%でよく、また5~50%でよい。なお、デューティ比は、パルス波の周期における、電力又は電圧レベルが高い期間が占める割合である。またバイアスDC信号を用いる場合、パルス波は、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせの波形を有してよい。バイアスDC信号の極性は、プラズマと基板との間に電位差を与えてイオンを引き込むように基板Wの電位が設定されれば、負であっても正であってもよい。
【0062】
工程ST12において、第1の処理ガスに含まれるHFガスは、処理ガス(処理ガスが不活性ガスを含む場合は当該不活性ガスを除く)中で最も流量(分圧)が大きくてよい。一例では、HFガスの流量は、処理ガスの総流量(処理ガスが不活性ガスを含む場合は当該不活性ガスを除く全てのガスの総流量)に対して、50体積%以上、60体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、90体積%以上又は95体積%以上でよい。HFガスの流量は、処理ガスの総流量に対して、100体積%未満、99.5体積%以下、98体積%以下又は96体積%以下でよい。一例では、HFガスの流量は、処理ガスの総流量に対して、70体積%以上96体積%以下に調整される。
【0063】
第1の処理ガスは、炭素含有ガス、酸素含有ガス及びリン含有ガスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでよい。
【0064】
炭素含有ガスは、例えば、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのいずれかまたは両方でよい。一例では、フルオロカーボンガスは、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス及びCガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。一例では、ハイドロフルオロカーボンガスは、CHFガス、CHガス、CHFガス、CHFガス、Cガス、Cガス、Cガス、CHFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、C10ガス及びCガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。また、炭素含有ガスは、不飽和結合を有する直鎖状のものであってよい。不飽和結合を有する直鎖状の炭素含有ガスは、例えば、C(ヘキサフルオロプロぺン)ガス、C(オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン)ガス、C(1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)ガス、C(トランス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)ガス、CO(ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル)ガス、CFCOFガス(1,2,2,2-テトラフルオロエタン-1-オン)、CHFCOF(ジフルオロ酢酸フルオライド)ガス及びCOF(フッ化カルボニル)ガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。なお、炭素含有ガスは、不飽和結合を有する直鎖状のものであってもよい。不飽和結合を有する直鎖状の炭素含有ガスは、例えば、C(ヘキサフルオロプロペン)ガス、C(オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン)ガス、C(1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)ガス、C(トランス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)ガス、CO(ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル)ガス、CFCOFガス(1,2,2,2-テトラフルオロエタン-1-オン)、CHFCOF(ジフルオロ酢酸フルオライド)ガス及びCOF(フッ化カルボニル)ガスからなる群から選択される少なくとも1種であってよい。
【0065】
酸素含有ガスは、例えば、O、CO、CO、HO及びHからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。一例では、酸素含有ガスは、HO以外の酸素含有ガス、例えばO、CO、CO及びHからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。酸素含有ガスの流量は、炭素含有ガスの流量に応じて調整してよい。
【0066】
リン含有ガスは、リン含有分子を含むガスである。リン含有分子は、十酸化四リン(P10)、八酸化四リン(P)、六酸化四リン(P)等の酸化物であってもよい。十酸化四リンは、五酸化二リン(P)と呼ばれることがある。リン含有分子は、三フッ化リン(PF)、五フッ化リン(PF)、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)、三臭化リン(PBr)、五臭化リン(PBr)、ヨウ化リン(PI)のようなハロゲン化物(ハロゲン化リン)であってもよい。すなわち、リン含有分子は、フッ化リン等、ハロゲン元素としてフッ素を含んでもよい。或いは、リン含有分子は、ハロゲン元素としてフッ素以外のハロゲン元素を含んでもよい。リン含有分子は、フッ化ホスホリル(POF)、塩化ホスホリル(POCl)、臭化ホスホリル(POBr)のようなハロゲン化ホスホリルであってよい。リン含有分子は、ホスフィン(PH)、リン化カルシウム(Ca等)、リン酸(HPO)、リン酸ナトリウム(NaPO)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)等であってよい。リン含有分子は、フルオロホスフィン類(HPF)であってよい。ここで、gとhの和は、3又は5である。フルオロホスフィン類としては、HPF、HPFが例示される。処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、上記のリン含有分子のうち一つ以上のリン含有分子を含み得る。例えば、処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、PF、PCl、PF、PCl、POCl、PH、PBr、又はPBrの少なくとも一つを含み得る。なお、処理ガスに含まれる各リン含有分子が液体又は固体である場合、各リン含有分子は、加熱等によって気化されてプラズマ処理空間10s内に供給され得る。
【0067】
リン含有ガスは、PCl(aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、a+bは5以下の整数である)ガス又はPC(d、eはそれぞれ1以上5以下の整数であり、cは0以上9以下の整数である)ガスであってよい。
【0068】
PClガスは、例えば、PClFガス、PClFガス及びPClガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。
【0069】
PCガスは、例えば、PFCHガス、PF(CHガス、PHCFガス、PH(CFガス、PCH(CFガス、PHFガス及びPF(CHガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。
【0070】
リン含有ガスは、PCl(c、d、e及びfはそれぞれ1以上の整数である)ガスであってよい。またリン含有ガスは、P(リン)、F(フッ素)及びF(フッ素)以外のハロゲン(例えば、Cl、Br又はI)を分子構造に含むガス、P(リン)、F(フッ素)、C(炭素)及びH(水素)を分子構造に含むガス、又は、P(リン)、F(フッ素)及びH(水素)を分子構造に含むガスであってもよい。
【0071】
リン含有ガスは、ホスフィン系ガスを用いてよい。ホスフィン系ガスとしては、ホスフィン(PH)、ホスフィンの少なくとも1つの水素原子を適当な置換基により置換した化合物、及びホスフィン酸誘導体が挙げられる。
【0072】
ホスフィンの水素原子を置換する置換基としては、特に限定されず、例えばフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;並びにヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、一例では、塩素原子、メチル基、及びヒドロキシメチル基が挙げられる。
【0073】
ホスフィン酸誘導体としては、ホスフィン酸(HP)、アルキルホスフィン酸(PHO(OH)R)、及びジアルキルホスフィン酸(PO(OH)R)が挙げられる。
【0074】
ホスフィン系ガスとしては、例えば、PCHCl(ジクロロ(メチル)ホスフィン)ガス、P(CHCl(クロロ(ジメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH)Cl(ジクロロ(ヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCHCl(クロロ(ジヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH)(CH(ジメチル(ヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH(CH)(メチル(ジヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH(トリス(ヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、HP(ホスフィン酸)ガス、PHO(OH)(CH)(メチルホスフィン酸)ガス及びPO(OH)(CH(ジメチルホスフィン酸)ガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスを用いてよい。
【0075】
第1の処理ガスに含まれるリン含有ガスの流量は、不活性ガスを除く総流量のうち、20体積%以下、10体積%以下、5体積%以下でよい。
【0076】
第1の処理ガスは、タングステン含有ガスをさらに含んでよい。タングステン含有ガスは、タングステンとハロゲンとを含有するガスでよく、一例では、WFClガスである(x及びyはそれぞれ0以上6以下の整数であり、xとyとの和は2以上6以下である)。具体的には、タングステン含有ガスとしては、2フッ化タングステン(WF)ガス、4フッ化タングステン(WF)ガス、5フッ化タングステン(WF)ガス、6フッ化タングステン(WF)ガス等のタングステンとフッ素とを含有するガス、2塩化タングステン(WCl)ガス、4塩化タングステン(WCl)ガス、5塩化タングステン(WCl)ガス、6塩化タングステン(WCl)ガス等のタングステンと塩素とを含有するガスであってよい。これらの中でも、WFガス及びWClガスの少なくともいずれかのガスであってよい。第1の処理ガスは、タングステン含有ガスに代えて又は加えて、チタン含有ガス又はモリブデン含有ガスを含んでよい。
【0077】
第1の処理ガスは、フッ素以外のハロゲン含有ガスをさらに含んでよい。フッ素以外のハロゲン含有ガスは、塩素含有ガス、臭素含有ガス及び/又はヨウ素含有ガスでよい。塩素含有ガスは、一例では、Cl、SiCl、SiCl、CCl、SiHCl、SiCl、CHCl、SOCl、BCl、PCl、PCl及びPOClからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。臭素含有ガスは、一例では、Br、HBr、CBr、CBr、PBr、PBr、POBr及びBBrからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。ヨウ素含有ガスは、一例では、HI、CFI、CI、CI、IF、IF、I、PIからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。一例では、フッ素以外のハロゲン含有ガスは、Clガス、Brガス及びHBrガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。一例では、フッ素以外のハロゲン含有ガスは、Clガス又はHBrガスである。
【0078】
第1の処理ガスは、不活性ガスをさらに含んでよい。不活性ガスは、一例では、Arガス、Heガス、Krガス等の貴ガス又は窒素ガスでよい。
【0079】
なお、第1の処理ガスは、HFガスの一部又は全部に代えて、第1のプラズマ中にフッ化水素種(HF種)を生成可能なガスを含んでよい。HF種は、フッ化水素のガス、ラジカル及びイオンの少なくともいずれかを含む。
【0080】
HF種を生成可能なガスは、例えば、ハイドロフルオロカーボンガスでよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、炭素数が2以上、3以上又は4以上でもよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、一例では、CHガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、C10ガス及びCガスからなる群から選択される少なくとも1種である。ハイドロフルオロカーボンガスは、一例では、CHガス、Cガス、Cガス及びCガスからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0081】
HF種を生成可能なガスは、例えば、水素源及びフッ素源を含む混合ガスでよい。水素源は、例えば、Hガス、NHガス、HOガス、Hガス及びハイドロカーボンガス(CHガス、Cガス等)からなる群から選択される少なくとも一種でよい。フッ素源は、例えば、NFガス、SFガス、WFガス又はXeFガスのように炭素を含まないフッ素含有ガスでよい。またフッ素源は、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのように炭素を含むフッ素含有ガスでもよい。フルオロカーボンガスは、一例では、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス及びCガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、一例では、CHFガス、CHガス、CHFガス、CHFガス及びCを3つ以上含むハイドロフルオロカーボンガス(Cガス、Cガス、Cガス等)からなる群から選択される少なくとも1種でよい。
【0082】
(工程ST13:第2のエッチング)
第2のエッチング工程ST13は、第1のエッチング工程ST12に続いて行われる。すなわち、凹部RCが下地膜UFに到達する前、又は、下地膜UFの一部が露出したときに、第2のエッチング工程ST13が開始される。工程ST12から工程ST13への切り換えは、凹部RCの深さ、凹部RCのアスペクト比、及び、エッチング時間の少なくともいずれか一つに基づいて行ってよい。
【0083】
まず、ガス供給部20から第2の処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。工程ST12と同様に、基板支持部11の下部電極及び/又はシャワーヘッド13の上部電極にソースRF信号が供給される。これにより、シャワーヘッド13と基板支持部11との間で高周波電界が生成され、プラズマ処理空間10s内の第2の処理ガスから第2のプラズマが生成される。また、基板支持部11の下部電極にバイアス信号が供給されて、プラズマと基板Wとの間にバイアス電位が発生する。バイアス電位によって、プラズマ中のイオン、ラジカル等の活性種が基板Wに引きよせられ、当該活性種によってシリコン含有膜SFがさらにエッチングされる。工程ST13は、下地膜UFが露出されるまで、又は、下地膜UFの一部が深さ方向にエッチングされるまで行われる。工程ST12における処理の間、基板支持部11の温度は、工程ST11で調整した設定温度に維持されてよく、また後述するように変更されてもよい。
【0084】
図5は、工程ST13処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。図5に示すように、工程ST13の処理後の基板Wにおいては、凹部RCの底部が下地膜UFに到達し、下地膜UFが露出する。このとき、下地膜UFの一部が深さ方向にエッチングされていてもよい。この状態における凹部RCのアスペクト比は、例えば、20以上でよく、30以上、40以上、50以上、又は100以上でもよい。
【0085】
工程ST13において、第2の処理ガスは、第1の処理ガスと同一種類のガスを含んでよく、また異なる種類のガスを含んでよい。第2の処理ガスは、例えば、HFガスを含んでよい。第2の処理ガスは、例えば、上述した炭素含有ガス、酸素含有ガス及びリン含有ガスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでよい。第2の処理ガスは、例えば、上述したタングステン含有ガス、チタン含有ガス及びモリブデン含有ガス、不活性ガス、フッ素以外のハロゲン含有ガスをさらに含んでよい。第2の処理ガスは、第1の処理ガスと同様に、HFガスの一部又は全部に代えて、第2のプラズマ中にHF種を生成可能なガスを含んでよい。
【0086】
工程ST13において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有してよい。一例では、ソースRF信号は、40MHz以上、60MHz以上の周波数を有してよい。また工程ST13において、バイアス信号は、第2のRF生成部31bから供給されるバイアスRF信号であってよい。またバイアス信号は、DC生成部32aから供給されるバイアスDC信号であってもよい。ソースRF信号及びバイアス信号は、双方が連続波又はパルス波でよく、また一方が連続波で他方がパルス波でもよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよい。またパルス波のデューティ比は適宜設定してよく、例えば、1~80%でよく、また5~50%でよい。なお、デューティ比は、パルス波の周期における、電力又は電圧レベルが高い期間が占める割合である。またバイアスDC信号を用いる場合、パルス波は、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせの波形を有してよい。バイアスDC信号の極性は、プラズマと基板との間に電位差を与えてイオンを引き込むように基板Wの電位が設定されれば、負であっても正であってもよい。なお、ソースRF信号及び/又はバイアスRF信号の供給は、工程ST12から連続して行われてよい。また工程ST12の終期で、ソースRF信号及び/又はバイアスRF信号の供給を止め、工程ST13の始期で再度供給を開始してもよい。
【0087】
工程ST13を開始する際に、エッチングの処理条件(レシピ2)は、工程ST12における処理条件(レシピ1)から変更される。すなわち、工程ST13において、シリコン含有膜SFのエッチングは、工程ST12とは異なるレシピで行われる。レシピの変更は、第2の処理ガスを第1の処理ガスと異ならせること、及び/又は、工程ST12に比べて基板Wの温度を上昇させる温度制御を行うことを含んでよい。
一例では、工程ST13における処理条件(レシピ2)は、工程ST12における処理条件(レシピ1)に比べて下地膜UFに対するシリコン含有膜SFの選択比を向上させる条件でよい。この場合、工程ST13における処理条件(レシピ2)は、下地膜UFの膜種に応じて選択されてよい。例えば、下地膜UFがシリコンを含有する場合と、金属を含有する場合とで処理条件を異ならせてよい。またレシピの変更は、プロセス圧力(処理時におけるチャンバ内の圧力)を低下させることを含んでよい。すなわち、工程ST13において、プラズマ処理空間10s内の圧力を工程ST12に比べて低下させてよい。例えば、工程ST13におけるプラズマ処理空間10sの圧力を工程ST12に比べて30%以上低下させてよい。
【0088】
図6は、下地膜UFがシリコンを含有する場合のタイミングチャートの一例である。図6は、工程ST12と工程ST13とで、処理ガスの構成が異なる場合である。図6において、横軸は時間を示す。縦軸は、処理ガス(第1の処理ガス又は第2の処理ガス)に含まれるHFガス、炭素含有ガス及び酸素含有ガスの流量、プラズマ(第1のプラズマ又は第2のプラズマ)中のフッ素種の密度を示す。「QL1」「QL2」及び「QL3」は、それぞれ、「QH1」、「QH2」及び「QH3」に比べて小さい流量又はゼロであることを示す。また「DL」は「DH」に比べてプラズマ中のフッ素種の密度が小さいことを示す。なお、図5において、「炭素含有ガス」は、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスの一方又は双方である(双方の場合は両者を合算した流量である)。また「フッ素種」は、処理ガス中のフッ素含有ガス(例えば、HFガス、フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、NFガス又はSFガス等)から乖離したフッ素の活性種である。
【0089】
図6に示すように、下地膜UFがシリコンを含有する場合、工程ST12から工程ST13の切り換え時に、HFガスの流量(分圧)を減少させ、炭素含有ガス(フルオロカーボンガス及び/又はハイドロフルオロカーボンガス)と酸素含有ガスの流量(分圧)を増加させてよい。一例では、工程ST12から工程ST13の切り換え時に、処理ガス(第2の処理ガス)が、炭素含有ガスと酸素含有ガスとを、不活性ガスを除く第2の処理ガスの総流量に対して50体積%以上含むようにしてよい。また第2の処理ガスに含まれるフルオロカーボンガス及び/又はハイドロフルオロカーボンガスの炭素数を2以上のものとしてよい。
【0090】
工程ST13におけるエッチングの進行に伴い下地膜UFが露出する。そして下地膜UFがシリコンを含有している場合、プラズマ中のフッ素種は、下地膜UFのエッチャントとしても機能する。図6に示すタイミングチャートの例では、工程ST13において生成される第2のプラズマ中のフッ素種の密度は、工程ST12において生成される第1のプラズマ中のフッ素種の密度よりも小さい。そのため下地膜UFがエッチングされることが抑制される。すなわち、下地膜UFに対するシリコン含有膜SFのエッチングの選択比が向上し得る。
【0091】
図7は、下地膜UFがシリコンを含有する場合のタイミングチャートの他の例である。図7は、工程ST13において基板Wの温度を工程ST12に比べて上昇させる制御を行う例である。図7において、横軸は時間を示す。縦軸は、ソースRF信号及び/又はバイアス信号のパワー(信号パワー)、静電チャック1111へ供給する直流電圧(ESC電圧)、静電チャック1111と基板Wの裏面との間の伝熱ガス(例えばHe)圧力、ヒータや流路1110aを流れる伝熱流体の温度(温調モジュール温度)及び基板W温度を示す。図7において、「WL」は「WH」よりも信号パワーが小さいことを示す。「VL」は「VH」よりもESC電圧が小さいことを示す。「PL」は「PH」よりも伝熱ガス圧力が小さいことを示す。「TL1」「TL2」は、それぞれ、「TH1」「TH2」よりも温度が低いことを示す。
【0092】
図7に示すように、下地膜UFがシリコンを含有する場合、工程ST12から工程ST13の切り換え時に、(I)ソースRF信号及び/又はバイアス信号(バイアスRF信号又はバイアスDC信号)の信号パワーを大きくしてよい。信号パワーを大きくすることは、信号の電力の実効値を高くすること、信号の供給時間を長くすること、及び、信号のデューティ比を大きくすることを含みうる。これにより、基板Wへの入熱が大きくなり、基板Wの温度が上昇する。
【0093】
図7に示すように、工程ST12から工程ST13の切り換え時に、(II)静電チャック1111へ供給する直流電圧(ESC電圧)を小さくし、静電チャック1111の吸着力を小さくしてよい。また(III)静電チャック1111と基板Wの裏面との間の伝熱ガス(例えばHe)圧力を小さくしてもよい。また(IV)ヒータや流路1110aを流れる伝熱流体の温度を高くしてもよい。いずれの場合でも基板Wの温度が上昇する。なお、上記(I)乃至(IV)の温度制御の1つ以上を組み合わせて行ってよい。工程ST12における基板Wの温度(TL2)と、工程ST13における基板Wの温度(TH2)との差は、例えば、30℃以上でよい。一例では、工程ST12における基板Wの温度(TL2)が-40℃で、工程ST13における基板Wの温度(TH2)が0℃であってよい。
【0094】
工程ST13におけるエッチングの進行に伴い下地膜UFが露出する。ここで、図7に示すタイミングチャートの例では、基板Wの温度は、工程ST12に比べて高い。そのため下地膜UFに対するエッチャント(例えば、プラズマ中のフッ素種)の吸着量が減少する。これにより、下地膜UFがエッチングされることが抑制され、下地膜UFに対するシリコン含有膜SFのエッチングの選択比が向上し得る。
【0095】
なお、工程ST12から工程ST13の切り換え時に、処理ガスの構成の変更(例えば図6)と、基板Wの温度を上昇させる制御(例えば図7)との両方を行ってよい。
【0096】
図8は、下地膜UFが金属を含有する場合のタイミングチャートの一例である。図8は、工程ST12と工程ST13とで、処理ガスの構成が異なる場合の例である。図8において、横軸は時間を示す。縦軸は、処理ガス(第1の処理ガス又は第2の処理ガス)に含まれるHFガス、炭素含有ガス及びNF/SFガスの流量、プラズマ(第1のプラズマ又は第2のプラズマ)中のフッ素種の密度を示す。「QH1」「QH2」は、それぞれ、0より大きい流量である。また「QL4」は、「QH4」に比べて流量が小さいかゼロであることを示す。また「DL」は「DH」に比べてプラズマ中のフッ素種の密度が小さいことを示す。なお、図8において、「炭素含有ガス」は、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスの一方又は双方である(双方の場合は両者を合算した流量である)。また「NF/SFガス」は、NFガス及びSFガスの一方又は双方である(双方の場合は両者を合算した流量である)。なお、NFガス及びSFガスは、上述した、HFガスに加えて用いることのできる炭素を含まないフッ素源の一例である。
【0097】
図8に示すように、下地膜UFが金属を含有する場合、工程ST12から工程ST13の切り換え時に、NFガス及び/又はSFガスの流量(分圧)を減少させてよい。なお、これに加えて、HFガスの流量(分圧)を減少させてもよい。
【0098】
工程ST13におけるエッチングの進行に伴い下地膜UFが露出する。そして下地膜UFが金属を含有している場合、プラズマ中のフッ素種は、当該金属と反応し、下地膜UFがエッチングされ得る。ここで、図8に示すタイミングチャートの例では、工程ST13において生成される第2のプラズマ中のフッ素種の密度は、工程ST12において生成される第1のプラズマ中のフッ素種の密度よりも小さい。そのため下地膜UFにおけるエッチングが抑制される。すなわち、下地膜UFに対するシリコン含有膜SFのエッチングの選択比が向上し得る。
【0099】
工程ST13において、下地膜UFが金属を含有する場合、基板Wの温度を上昇させる制御をさらに行ってよい。基板Wの温度を上昇させる制御は、図7を用いて説明した上記(I)乃至(IV)の温度制御の1つ以上を組み合わせて行ってよい。これにより、下地膜UFに含まれる金属を含む副生成物の揮発が促進され、当該金属を含む残渣が生じることが抑制される。これに加えて又は代えて、第2の処理ガスとして、下地膜UFの金属と反応性の高いガスを添加してよい。例えば、下地膜UFがタングステンを含有する場合、第2の処理ガスとして、COガスを添加してよい。COガスは、工程ST13中に下地膜UFから飛散されるWと反応して揮発性のW(CO)を生成する。これにより、下地膜UFの金属(W)を含む残渣が生じることが抑制される。第2の処理ガスは、COガスに加えて又は代えて、Clガス、SiClガス又はBClガス等の塩素含有ガスを含んでよい。
【0100】
第1の実施形態にかかるエッチング方法によれば、工程ST13では、シリコン含有膜SFのエッチングが工程ST12とは異なる処理条件(レシピ)で行われる。これにより、エッチングの進展、すなわち凹部RCの深さに応じて最適なレシピを選択することができる。例えば、凹部RCの深さが浅い領域では、シリコン含有膜SFのエッチングレートを高めるレシピを選択し、凹部RCが深くなり、下地膜UFが露出する領域では、下地膜UFに対する選択比を高めるレシピを選択することができる。
【0101】
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態に係るエッチング方法を示すフローチャートである。図9に示すように、当該エッチング方法は、基板を提供する工程ST21と、プラズマを生成する工程ST22と、エッチング工程ST23とを含む。各工程における処理は、図1に示すプラズマ処理システムで実行されてよい。以下では、制御部2がプラズマ処理装置1の各部を制御して、基板Wに対してエッチングを行う場合を例に説明する。
【0102】
(工程ST21:基板の提供)
工程ST21において、基板Wは、プラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に提供される。基板Wは、基板支持部11の中央領域111aに提供される。そして、基板Wは、静電チャック1111により基板支持部11に保持される。工程ST21で提供される基板Wは、第1の実施の形態で説明した基板W(図3参照)と同一の構成を有してよい。
【0103】
基板Wを基板支持部11の中央領域111aに提供後、第1の実施の形態と同様に、基板支持部11の温度が温調モジュールにより設定温度に調整される。設定温度は、例えば、20℃以下、0℃以下、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下又は-70℃以下でよい。基板支持部11の温度は、工程ST21の前に設定温度に調整されてよい。また工程ST22及び工程ST23における処理の間、基板支持部11の温度は、工程ST21で調整した設定温度に維持されてよい。
【0104】
(工程ST22:プラズマの生成)
工程ST22において、処理ガスからプラズマが生成される。まず、ガス供給部20から処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。処理ガスは、第1の実施の形態で説明した第1の処理ガス及び/又は第2の処理ガスと同一の構成であってよい。
【0105】
次に、基板支持部11の下部電極及び/又はシャワーヘッド13の上部電極にソースRF信号が供給される。これにより、シャワーヘッド13と基板支持部11との間で高周波電界が生成され、プラズマ処理空間10s内の処理ガスからプラズマが生成される。
【0106】
図10は、イオンフラックスとイオンエネルギーとの関係を示す図である。図10に示すとおり、ソースRF信号の周波数が大きいほどイオンエネルギーが低い。またソースRF信号の周波数が高いほど、イオンフラックスが多く、電子密度が高い。例えば、周波数が40MHzのソースRF信号(RF40)、60MHzのソースRF信号(RF60)、100MHzのソースRF信号(RF100)を用いた場合、次の関係が成り立つ。
イオンエネルギー:RF40>RF60>RF100
イオンフラックス:RF40<RF60<RF100
【0107】
工程ST22においては、低イオンエネルギーで高密度のプラズマが生成されるようにソースRF信号の周波数が選択される。このような周波数は、プラズマ処理装置のプラズマ生成方式等によって異なり得る。例えば、プラズマ処理装置1において、上部電極にソースRF信号を供給し、下部電極にバイアス信号を供給する場合は、ソースRF信号の周波数は、40MHz以上であってよい。また例えば、プラズマ処理装置1が、下部電極にソースRF信号とバイアス信号を供給する場合は、基板支持部11の下部電極に供給するソースRF信号の周波数は、60MHz以上であってよい。またソースRF信号の周波数は、150MHz以下、100MHz以下であってよい。
【0108】
また基板支持部11の下部電極にバイアス信号が供給される。これにより、プラズマと基板Wとの間にバイアス電位が発生する。バイアス電位によって、プラズマ中のイオン、ラジカル等の活性種が基板Wに引きよせられる。バイアス信号は、第2のRF生成部31bから供給されるバイアスRF信号であってよい。またバイアス信号は、DC生成部32aから供給されるバイアスDC信号であってもよい。
【0109】
工程ST22において、ソースRF信号及びバイアス信号は、双方が連続波又はパルス波でよく、また一方が連続波で他方がパルス波でもよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよい。またパルス波のデューティ比は適宜設定してよく、例えば、1~80%でよく、また5~50%でよい。なお、デューティ比は、パルス波の周期における、電力又は電圧レベルが高い期間が占める割合である。またバイアスDC信号を用いる場合、パルス波は、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせの波形を有してよい。バイアスDC信号の極性は、プラズマと基板との間に電位差を与えてイオンを引き込むように基板Wの電位が設定されれば、負であっても正であってもよい。
【0110】
図11は、ソースRF信号及びバイアスRF信号の一例を示すタイミングチャートである。図11は、ソースRF信号及びバイアスRF信号がいずれもパルス波である場合の一例である。図11の横軸は時間を示す。ソースRF信号は、一例では、40MHz以上100MHz以下の周波数を有する。ソースRF信号は、第1の期間と、第1の期間と交互の第2の期間において基板支持部11の下部電極及び/又はシャワーヘッド13の上部電極に供給される。図11において、第1のレベルは、第2のレベルより小さい電力レベルであるか又は0Wである。
【0111】
バイアスRF信号は、第3の期間と、第3の期間と交互の第4の期間において基板支持部11の下部電極に供給される。バイアスRF信号は、一例では、400kHz以上13.56MHz以下の周波数を有する。図11において、第3のレベルは、第4のレベルより小さい電力レベルであるか又は0Wである。図11に示すように、第2の期間と第4の期間とは一致(同期)してよい。なお、第2の期間と第4の期間とは、一部又は全部が重複してなくてもよい。
【0112】
図12は、ソースRF信号及びバイアスDC信号の一例を示すタイミングチャートである。図12は、ソースRF信号及びバイアスDC信号がいずれもパルス波である場合の一例である。図12の横軸は時間を示す。ソースRF信号は、図11で示した例と同一である。バイアスDC信号は、第5の期間と、第5の期間と交互の第6の期間において基板支持部11の下部電極に供給される。図12において、第5のレベルの絶対値は、第6のレベルの絶対値より小さいか0Vである。図12に示すように、第2の期間と第6の期間とは一致(同期)してよい。なお、第2の期間と第6の期間とは、一部又は全部が重複していなくてもよい。
【0113】
工程ST22において、上部電極に第2のバイアス信号を供給してよい。第2のバイアス信号は、第2のDC生成部32bから供給される第2のDC信号や、第2のRF生成部31bから供給されるバイアスRF信号であってよい。第2のバイアス信号は、連続波又はパルス波でよい。この場合、プラズマ処理空間10s内に存在する正イオンが上部電極に引き込まれて衝突し、上部電極から二次電子が放出される。放出される二次電子は、マスクMFを改質し、エッチング耐性を向上させうる。また二次電子の照射により、基板Wの帯電状態が中和されるため、エッチングにより形成されるシリコン含有膜SFの凹部内へのイオンの直進性が高められる。さらに、上部電極がシリコン含有材料により構成されている場合には、正イオンの衝突により、上部電極から二次電子とともにシリコンが放出される。放出されたシリコンはプラズマ中の酸素と結合して酸化シリコン化合物としてマスクMF上に堆積して保護膜として機能しうる。以上のとおり、上部電極への第2のバイアス信号の供給は、選択比の改善、エッチングの形状異常の抑制、エッチングレートの改善等の効果を生じうる。
【0114】
(工程ST23:エッチング)
工程ST23において、プラズマ処理空間10s内に生成されたプラズマにより、シリコン含有膜SFがエッチングされ、マスクMFの開口OPの形状に基づいて凹部が形成される。エッチングにより形成される凹部の深さが所与の深さに達すると、又は、エッチング時間が所与の時間に達すると、エッチングが終了される。
【0115】
第2の実施形態にかかるエッチング方法では、工程ST22において、ソースRF信号の周波数を40MHz以上とする。ソースRF信号の周波数が40MHz以上では、ソースRF信号及び/又はバイアス信号のパワーを増大させてプラズマの電子密度を増加させても、イオンエネルギーの増加は抑制されるようになる。すなわち、ソースRF信号の周波数を40MHz以上とすると、生成されるプラズマの電子密度をイオンエネルギーとは独立して制御可能になる。よって、工程ST22において、周波数が40MHzよりも低い場合に比べてより高密度のプラズマを生成しつつも、プラズマのイオンエネルギーの増加は抑制することができる。これにより、工程ST23のエッチングにおいては、エッチャント(HF種)の密度が増加し、また基板Wへの入熱が抑制されることでエッチャント(HF種)の吸着も促進され得る。またイオンエネルギーの増加が抑制されることで、マスクMFの損傷も低減され得る。以上により、第2の実施形態にかかるエッチング方法によれば、シリコン含有膜SFのエッチングレートが向上し、またマスクMFに対するシリコン含有膜SFの選択比が向上し得る。
【0116】
以上の各実施形態は、説明の目的で説明されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以上の各実施形態は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、第1の実施形態かかるエッチング方法は、第2の実施形態にかかるエッチング方法と組み合わされて用いられてよい。また例えば、各実施形態にかかるエッチング方法は、容量結合型のプラズマ処理装置1以外にも、誘導結合型プラズマやマイクロ波プラズマ等、任意のプラズマ源を用いたプラズマ処理装置を用いて実行してよい。
【0117】
本開示の実施形態は、以下の態様をさらに含む。
【0118】
(付記1)
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる工程と、
(c)前記(b)の工程とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含むエッチング方法。
【0119】
(付記2)
前記(c)の工程において、前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスを用いて第2のプラズマを生成する、付記1に記載のエッチング方法。
【0120】
(付記3)
前記第2のプラズマは、前記第1のプラズマよりもフッ素種の密度が小さい、付記2に記載のエッチング方法。
【0121】
(付記4)
前記下地膜は、シリコンを含有し、前記第2の処理ガスは、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスと酸素含有ガスとを、不活性ガスを除く前記第2の処理ガスの総流量に対して50体積%以上含む、付記2又は付記3に記載のエッチング方法。
【0122】
(付記5)
前記第2の処理ガスに含まれる前記フルオロカーボンガス又は前記ハイドロフルオロカーボンガスの炭素数が2以上である、付記4に記載のエッチング方法。
【0123】
(付記6)
前記下地膜は、金属を含有し、前記第1の処理ガスは、フッ化水素以外のフッ素含有ガスをさらに含み、前記第2の処理ガスは、前記フッ素含有ガスを含まないか、又は、前記フッ素含有ガスを前記第1の処理ガスにおける分圧よりも小さい分圧で含む、付記2又は付記3に記載のエッチング方法。
【0124】
(付記7)
前記フッ素含有ガスは、NFガス及びSFガスの少なくともいずれかである、付記6に記載のエッチング方法。
【0125】
(付記8)
前記第2の処理ガスは、COガス及び塩素含有ガスの少なくともいずれかをさらに含む、付記6又は付記7に記載のエッチング方法。
【0126】
(付記9)
前記(c)の工程において、前記基板の温度が前記(b)の工程における前記基板の温度よりも高くなるように温度制御を行う、付記1乃至付記8のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【0127】
(付記10)
前記温度制御を行うことは、(I)前記チャンバに供給するソースRF信号又はバイアス信号のパワーを大きくすること、(II)前記基板を支持する基板支持部の吸着力を小さくすること、(III)前記基板と前記基板支持部との間に供給する伝熱ガスの圧力を小さくすること、及び、(IV)前記基板支持部の設定温度を前記(b)の工程における設定温度よりも高くすることの1つ以上を含む、付記9に記載のエッチング方法。
【0128】
(付記11)
前記温度制御を行うことは、前記基板の温度を前記(b)の工程における前記基板の温度よりも30℃以上高くする制御を行うことを含む、付記9又は付記10に記載のエッチング方法。
【0129】
(付記12)
前記(c)の工程において、前記チャンバ内の圧力が前記(b)の工程における前記チャンバ内の圧力よりも低くなるように圧力制御を行う、付記1乃至付記11のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【0130】
(付記13)
前記圧力制御を行うことは、前記チャンバ内の圧力を前記(b)の工程における前記チャンバ内の圧力よりも30%以上低くする制御を行うことを含む、付記12に記載のエッチング方法。
【0131】
(付記14)
前記第1の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む、付記1乃至付記13のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【0132】
(付記15)
前記第1の処理ガスは、炭素含有ガス及び酸素含有ガスの少なくともいずれかを含む、付記1乃至付記14のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【0133】
(付記16)
前記(b)の工程において、前記基板を支持する基板支持部の温度は20℃以下に制御される、付記1乃至付記15のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【0134】
(付記17)
前記チャンバに供給するソースRF信号は、40MHz以上の周波数を有する、付記1乃至付記16のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【0135】
(付記18)
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板を、チャンバ内に提供する工程と、
(b)HF種を含むプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる工程と、
(c)前記(b)の工程とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を含むエッチング方法。
【0136】
(付記19)
前記HF種は、フッ化水素ガス又はハイドロフルオロカーボンガスの少なくとも1種のガスから生成される、付記18に記載のエッチング方法。
【0137】
(付記20)
前記HF種は、炭素数が2以上のハイドロフルオロカーボンガスから生成される、付記18又は付記19に記載のエッチング方法。
【0138】
(付記21)
前記HF種は、水素源及びフッ素源を含む混合ガスから生成される、付記18に記載のエッチング方法。
【0139】
(付記22)
チャンバを有するプラズマ処理装置と制御部とを備え、
前記制御部は、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板を前記チャンバに提供する制御と、
(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる制御と、
(c)前記(b)の制御とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする制御と、を実行するプラズマ処理システム。
【0140】
(付記23)
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるデバイス製造方法であって、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する工程であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる工程と、
(c)前記(b)の工程とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、を備えるデバイス製造方法。
【0141】
(付記24)
チャンバを有するプラズマ処理装置と制御部とを備えるプラズマ処理システムのコンピュータに、
(a)下地膜と前記下地膜上のシリコン含有膜とを有する基板を前記チャンバに提供する制御と、
(b)フッ化水素ガスを含む第1の処理ガスから生成した第1のプラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングして凹部を形成する制御であって、前記エッチングは、前記下地膜が前記凹部において露出する前まで又は前記下地膜の一部が前記凹部において露出するまで行われる制御と、
(c)前記(b)の制御とは異なる条件で、前記凹部において前記シリコン含有膜をさらにエッチングする制御と、を実行させるプログラム。
【0142】
(付記25)
付記2に記載のプログラムを格納した、記憶媒体。
【0143】
(付記26)
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、
(a)シリコン含有膜を有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)前記チャンバ内にフッ化水素ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記チャンバに40MHz以上の周波数を有するRF信号を供給して前記処理ガスからプラズマを生成する工程と、
(c)前記プラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする工程と、を備えるエッチング方法。
【0144】
(付記27)
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるエッチング方法であって、
(a)シリコン含有膜を有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)前記チャンバ内に処理ガスを供給するとともに、前記チャンバに40MHz以上の周波数を有するRF信号を供給して前記処理ガスからHF種を含むプラズマを生成する工程と、
(c)前記プラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする工程と、を備えるエッチング方法。
【0145】
(付記28)
チャンバを有するプラズマ処理装置と制御部と、を備え、
前記制御部は、
(a)シリコン含有膜を有する基板をチャンバ内に提供する制御と、
(b)前記チャンバ内にフッ化水素ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記チャンバに40MHz以上の周波数を有するRF信号を供給して前記処理ガスからプラズマを生成する制御と、
(c)前記プラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする制御と、を実行するプラズマ処理システム。
【0146】
(付記29)
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるデバイス製造方法であって、
(a)シリコン含有膜を有する基板をチャンバ内に提供する工程と、
(b)前記チャンバ内にフッ化水素ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記チャンバに40MHz以上の周波数を有するRF信号を供給して前記処理ガスからプラズマを生成する工程と、
(c)前記プラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする工程と、を備えるデバイス製造方法。
【0147】
(付記30)
チャンバを有するプラズマ処理装置と制御部とを備えるプラズマ処理システムのコンピュータに、
(a)シリコン含有膜を有する基板をチャンバ内に提供する制御と、
(b)前記チャンバ内にフッ化水素ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記チャンバに40MHz以上の周波数を有するRF信号を供給して前記処理ガスからプラズマを生成する制御と、
(c)前記プラズマを用いて前記シリコン含有膜をエッチングする制御と、を実行させるプログラム。
【0148】
(付記31)
付記30に記載のプログラムを格納した、記憶媒体。
【符号の説明】
【0149】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、10……プラズマ処理チャンバ、10s……プラズマ処理空間、11……基板支持部、13……シャワーヘッド、20……ガス供給部、31a……第1のRF生成部、31b……第2のRF生成部、32a……第1のDC生成部、SF……シリコン含有膜、MF……マスク、OP……開口、RC……凹部、UF……下地膜、W……基板
図1
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図12