(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129708
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】黒色感光性樹脂組成物、その硬化物、およびリジッドフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230907BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/027 515
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123743
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2019044147の分割
【原出願日】2019-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2018069180
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】チャ ハヌル
(57)【要約】
【課題】分散性および得られた硬化塗膜の隠蔽性に優れた黒色感光性樹脂組成物の提供。また、低温保存性および現像性に優れ、最適露光量が少なく、得られた硬化塗膜が、表面状態、耐熱性、柔軟性に優れた黒色感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】本発明による黒色感光性樹脂組成物は、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、着色剤、および光重合開始剤を含み、前記着色剤が、赤色着色剤と青色着色剤と黒色着色剤とを含み、前記黒色着色剤の配合量が、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部未満であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、着色剤、および光重合開始剤を含み、前記着色剤が、赤色着色剤と青色着色剤と黒色着色剤とを含み、前記黒色着色剤の配合量が、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部未満であることを特徴とする、黒色感光性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色感光性樹脂組成物およびその硬化物に関し、特に、黒色ソルダーレジストとして好適に用いられる黒色感光性樹脂組成物およびその硬化物に関する。また、該硬化物からなる黒色ソルダーレジスト層を備えるプリント配線板にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンやパソコンに体表される電子機器には、種々の機能を有する電子素子を搭載したプリント配線板が使用されてきた。プリント配線板は、リジッド基板と呼ばれる材料を採用したプリント配線板がされてきたが、電子機器の小型化や多機能化により、電子機器中にプリント配線板を収納するスペースが狭小になってきた。
【0003】
その対策として、反り曲げることが可能なプリント配線板であるフレキシブル配線板であるフレキシブルプリント配線板(FPC)が採用されるようになってきた。従来のFPCはリジッド基板同士を接続する目的で使用されることが主であったが、さらなる電子機器の高機能化に伴いより多くの電子素子を搭載する必要が出てきた。そこで、部品実装可能なFPCとして、リジッドフレキシブルプリント配線板(RFPC)が考案された。
【0004】
また、部品を実装するには、プリント配線板がはんだリフローなどの工程を経るため、その際の熱などからプリント配線板を保護するためにソルダーレジスト(SR)を形成する必要がある。従来のリジッド基板用のSRは、耐熱性は高いがリジッド基板自体が剛直なため柔軟性は求められていなかった。また、FPCはリジッド基板同士の接続が主な目的のため、FPC用SRには柔軟性は必要だが、高い耐熱性は必要とされなかった。さらに、隠蔽性やデザイン性の観点から、黒色のSR層を形成することが行われてきた。上記のような黒色のソルダーレジストには、従来、着色剤としてカーボンブラックが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。さらに、近年では高い解像性の要求があり、カーボンブラックの代わりに、黒色以外の複数色の顔料を混合したコンポジットブラックを用いるものも注目されてきている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-257045号公報
【特許文献2】特開2010-091876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
RFPCに使用されるソルダーレジストには、リジッド基板用ソルダーレジストの耐熱性と、FPC用ソルダーレジストの柔軟性が要求されるが、従来のリジッド基板用SRは柔軟性に乏しく、一方FPC用ソルダーレジストは耐熱性に劣るものであった。さらに、硬化塗膜の外観が黒色でありながら高感度であって、さらに低温での変色や再結晶などの異物が発生させない黒色感光性樹脂組成物を開発することが困難であった。したがって、リジッド基板用ソルダーレジストの耐熱性とFPC用ソルダーレジストの柔軟性との両方の特性を備える黒色感光性樹脂組成物の開発が切望されている。
【0007】
また、一般的に使われているソルダーレジストインキをはじめとする樹脂組成物には樹脂成分および粉体成分が含まれるが、その中で着色剤やフィラーなど均一に分散させないとスクリーン印刷においてレベリング不良や硬化塗膜の表面不良などの可能性があり、困難である。さらに、下地との密着性が悪化し、硬化塗膜の特性が得られない場合も考えられる。特に赤色着色剤を用いた場合、かかる傾向は顕著であり、その後の塗膜の表面状態や塗膜特性を考慮すると改善が望まれていた。
【0008】
したがって、本発明の目的は、分散性および得られた硬化塗膜の隠蔽性に優れた黒色感光性樹脂組成物を提供することである。また、低温保存性および現像性に優れ、最適露光量が少なく、得られた硬化塗膜が、表面状態、耐熱性、柔軟性に優れた黒色感光性樹脂組成物を提供することである。また、本発明の別の目的は、前記感光性樹脂組成物を用いて形成された硬化物からなる黒色ソルダーレジスト層を備えるリジッドフレキシブルプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定の構造を有するカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、着色剤、および光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物において、着色剤として少なくとも赤色着色剤と青色着色剤と微量の黒色着色剤とを用いることで、上記課題を解決できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
【0010】
すなわち、本発明による黒色感光性樹脂組成物は、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、着色剤、および光重合開始剤を含み、前記着色剤が、赤色着色剤と青色着色剤と黒色着色剤とを含み、前記黒色着色剤の配合量が、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部未満であることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の態様においては、黄色着色剤を実質的に含まないことが好ましい。
【0012】
本発明の態様においては、前記黄色着色剤の配合量が、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、2質量部以下であることが好ましい。
【0013】
本発明の態様においては、前記黒色感光性樹脂組成物がリン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーをさらに含むことが好ましい。
【0014】
本発明の態様においては、前記黒色感光性樹脂組成物が黒色ソルダーレジスト形成用として用いられることが好ましい。
【0015】
本発明の別の態様による硬化物は、上記の黒色感光性樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする。
【0016】
本発明の別の態様によるリジットフレキシブルプリント配線板は、上記の硬化物を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、分散性に優れることによりスクリーン印刷においてレベリング性が向上でき、得られた硬化塗膜は隠蔽性に優れた黒色感光性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、上記以外の特性においても、低温保存性および現像性に優れ、最適露光量が少なく、得られた硬化塗膜は、表面状態、耐熱性、柔軟性に優れた黒色感光性樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明の別の形態によれば、前記黒色感光性樹脂組成物からなる硬化物からなる黒色ソルダーレジスト層を備えるプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の黒色感光性樹脂組成物について説明する。なお、特段の記載がない限り、本明細書において、記号「~」を用いて表される数値範囲は、その上限と下限の数値を含む範囲(即ち、その下限以上、その上限以下の範囲)を意味する。
【0019】
[黒色感光性樹脂組成物]
本発明による黒色感光性樹脂組成物は、少なくとも、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー(反応性希釈剤)、着色剤、および光重合開始剤を含み、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマー、硬化触媒、充填剤、および難燃剤等の他の成分をさらに含んでもよい。カルボキシル基含有樹脂と熱硬化性樹脂を併用することで、耐熱性、絶縁信頼性等の特性を向上させることができる。以下、本発明による黒色感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0020】
[ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂]
ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂としては、分子中に、ビスフェノールA構造と、カルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。カルボキシル基含有樹脂がビスフェノールA構造を有することで、柔軟性やはんだ耐熱性が向上する。黒色感光性樹脂組成物が、カルボキシル基を有する樹脂を含むことにより、黒色感光性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、後述する感光性モノマーを併用することによって、組成物を感光性とする。尚、本発明において、ビスフェノールAとは、水添ビスフェノールAも含むものである。ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0021】
(1)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0022】
(2)前記(1)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0023】
(3)前記(1)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0024】
(4)ビスフェノールA型エポキシ樹脂エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0025】
(5)ビスフェノールA型エポキシ樹脂エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0026】
(6)前記(1)~(5)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0027】
ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂の酸価は、40~150mgKOH/gであることが好ましい。ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、良好なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50~130mgKOH/gである。
【0028】
ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000以上とすることにより、タックフリー性能や解像度を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下とすることで、現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。より好ましくは、5,000~100,000である。
【0029】
ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂の配合量は、黒色感光性樹脂組成物中において、固形分換算で、20~60質量%であることが好ましい。20質量%以上とすることにより硬化塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり印刷性が向上する。より好ましくは、30~50質量%である。
【0030】
[その他の構造を有するカルボキシル基含有樹脂]
本発明による黒色感光性樹脂組成物は、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂を1種以上含んでいれば、さらに、その他の構造を有するカルボキシル基含有樹脂を含んでいてもよい。その他の構造としては、フェノールノボラック構造、クレゾールノボラック構造、ビスフェノールF構造等が挙げられる。
【0031】
[感光性モノマー]
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、感光性モノマーを含む。感光性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。感光性モノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のいずれか少なくとも1種から適宜選択して用いることができる。このような感光性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
【0032】
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを感光性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
【0033】
感光性モノマーの配合量は、黒色感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して好ましくは0.2~60質量部、より好ましくは0.2~50質量部である。感光性モノマーの配合量を0.2質量部以上とすることにより、黒色感光性樹脂組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を60質量部以下とすることにより、硬化塗膜硬度を向上させることができる。
【0034】
感光性モノマーは、特にエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有非感光性樹脂を使用した場合、組成物を光硬化性とするために感光性モノマーを併用する必要があるため、有効である。
【0035】
[熱硬化性樹脂]
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用のものが挙げられる。これらの中でも好ましい熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である。
【0036】
使用することができるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、YX8000、8034、834、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD-128、YDF-170、ZX-1059、ST-3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、835、840、850、N730A、N695および日本化薬株式会社製のRE-306等が挙げられる。
【0038】
黒色感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂のエポキシ基の当量は、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基の当量1に対して、0.3~3.0であることが好ましい。0.3当量以上とすることで、硬化被膜におけるカルボキシル基の残存を防止して、良好な耐熱性や耐アルカリ性、電気絶縁性等を得ることができる。一方、上記配合量を3.0当量以下とすることで、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することを防止して、硬化被膜の強度等を良好に確保することができる。
【0039】
[熱硬化触媒]
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。
【0040】
熱硬化触媒の配合量は、組成物中に、エポキシ樹脂等分子中に環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分を含む場合、固形分換算で、分子中に環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.5~15.0質量部である。
【0041】
[着色剤]
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、着色剤として、少なくとも赤色着色剤と青色着色剤と黒色着色剤とを含み、前記黒色着色剤の配合量が、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部未満であることを特徴とする。着色剤としては、顔料、染料、色素のいずれでも用いることができる。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0042】
本発明の黒色感光性樹脂組成物における赤色着色剤としては、公知慣用の着色剤を用いることができる。例えば、モノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ-インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
【0043】
赤色着色剤の配合量は、黒色感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.5~7質量部であり、さらに好ましくは1~5質量部である。
【0044】
本発明の黒色感光性樹脂組成物における青色着色剤としては、公知慣用の着色剤を用いることができり。例えば、フタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換若しくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0045】
青色着色剤の配合量は、黒色感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.5~7質量部であり、さらに好ましくは2~6質量部である。
【0046】
本発明における黒色感光性樹脂組成物は、黒色着色剤を含み、前記黒色着色剤の配合量が、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、黒色感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.01質量部以上1質量部未満であることを特徴とする。また、0.05~0.7質量部であることが好ましい。本発明者は鋭意研究した結果、赤色着色剤のような分散性の悪い着色剤を用いても、上記範囲にあるような微量の黒色着色剤を微量配合することにより、分散性が格段に向上することを見出した。その理由は明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、着色剤の材料となる染料を樹脂組成物の中に馴染ませるためにはある程度の流動性が必要となるが、粘度が低く微細な粒子の黒色着色剤が相応しい。しかしながら、あくまでも推測の域であり、これを超えるものではない。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、四三酸化鉄、黒酸化チタン、銅マンガンブラック、銅クロムブラックおよびコバルトブラック等の無機顔料や、シアニンブラックおよびアニリンブラック等の有機顔料が挙げられる。その中でも、取扱いの安全性や安定性によりカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0047】
本発明の黒色感光性樹脂組成物における黄色着色剤としては、例えば、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられる。例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
【0048】
本発明の黒色感光性樹脂組成物における黄色着色剤は実質的に含まないことが好ましい。本明細書において、「実質的に含まない」とは、配合量が、黒色感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して2質量部以下であることを意味する。黄色着色剤は結晶化し易く、黒色ソルダーレジスト層で黄色の斑点模様となって、外観に影響を及し、異物や不良品と判断される恐れがある。そのため、黒色感光性樹脂組成物中の黄色着色剤の配合量を低減させることで、外観への悪影響を抑制することができる。黄色着色剤の配合量は、好ましくは1質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以下である。
【0049】
その他、紫、オレンジ、茶色、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,酸化チタン等が挙げられる。
【0050】
[光重合開始剤]
本発明において、上記した黒色感光性樹脂組成物を光重合させるために使用される光重合開始剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。なかでも、チタノセン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましく、チタノセン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の組合せがより好ましい。光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0051】
チタノセン系光重合開始剤としては、具体的にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウムなどが挙げられる。市販品としては、岳陽市金茂泰科技有限公司株式会社製のJMT784などが挙げられる。
【0052】
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 369、369E、379、907などが挙げられる。
【0053】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、IGM Resins社製Omnirad TPO、819などが挙げられる。
【0054】
感光性樹脂組成物における光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましい。0.5質量部以上の場合、樹脂組成物の光硬化性が良好となり、被膜が剥離しにくく、耐薬品性等の被膜特性も良好となる。一方、10質量部以下の場合、アウトガスの低減効果が得られ、さらにソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。より好ましくは1~8質量部である。
【0055】
上記した光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
【0057】
[リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマー]
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、難燃性をより向上させるために、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことが好ましい。リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーは、リン元素含有ジカルボン酸およびその無水物の少なくとも1種と、アクリレート化合物とを反応して得られる、分子内に1以上の(メタ)アクリレートを含有する化合物である。
【0058】
リン元素含有ジカルボン酸およびその無水物の例としては、例えば、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイドとイタコン酸とを反応させて得られる化合物およびその無水物等が挙げられる。
【0059】
アクリレート化合物の例としては、上記ジカルボン酸またはその無水物の、カルボキシル基またはカルボン酸無水物と反応する官能基を有するアクリレート化合物が好ましい。かかる反応によってアクリレート残基を付加することができる。そのようなアクリレート化合物は、分子内に1つの(メタ)アクリレート基を含有する単官能アクリレートでも、分子内に2以上の(メタ)アクリレート基を含有する多官能アクリレートでもよい。上記官能基としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。エポキシ基を有するアクリレート化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチル-2,3-エポキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。水酸基を有するアクリレート化合物としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート等が挙げられる。アミノ基を有するアクリレート化合物としては、ジエチルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。上記官能基の中でも、エポキシ基、水酸基がより好ましい。上記官能基で付加する反応方法は、従来公知の反応方法を用いることができる。
【0060】
リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは1,500~4,500であり、より好ましくは2,000~4,000である。リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量が上記範囲内であれば、タック性現像性を向上させることができる。
【0061】
リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーの配合量は、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは10~100質量部であり、より好ましくは20~80質量部であり、より好ましくは30~70質量部である。リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーの配合量が上記範囲であれば、耐熱性や難燃性を向上させることができる。
【0062】
[難燃剤]
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、難燃性をさらに向上させるために、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマー以外に難燃剤も用いることができる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム等が挙げられる。難燃剤の配合量は、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは20~40質量部である。
【0063】
[他の成分]
黒色感光性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数などの特性を向上させる目的で、無機充填剤を配合することができる。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、雲母粉などの公知慣用の無機充填剤が使用できる。
【0064】
黒色感光性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、防錆剤、蛍光増白剤などのような公知慣用の添加剤類の少なくとも何れか一種を配合することができる。
【0065】
本発明においては、黒色感光性樹脂組成物の調製や粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。より具体的には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等である。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0066】
[用途]
本発明による黒色感光性樹脂組成物は、プリント配線板において、硬化物、特に硬化塗膜を形成するために好適に使用される。例えば、ソルダーレジスト形成用、層間絶縁材、マーキングインキ、カバーレイ、ソルダーダム、プリント配線板のスルーホールやビアホールの貫通孔や凹部の穴部を穴埋めするための充填材として好適に使用することができる。そのなかでも、黒色ソルダーレジスト形成用に好適に使用でき、特にリジッドフレキシブル配線板の黒色ソルダーレジスト層の形成に好適に使用できる。また、本発明による黒色感光性樹脂組成物は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0067】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、上記の黒色感光性樹脂組成物の硬化物からなる黒色ソルダーレジスト層を備えるものである。当該黒色ソルダーレジスト層は柔軟性を備えるため、リジッドフレキシブルプリント配線板(RFPC)として好適に使用することができる。
【0068】
本発明のプリント配線板の製造方法は、上記の黒色感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、光および熱のいずれか少なくとも1種によって硬化させて、硬化物からなるソルダーレジスト層を形成するものである。以下、ソルダーレジスト層の形成方法について一例を説明する。
【0069】
黒色ソルダーレジストは、黒色感光性樹脂組成物を塗布方法に適した粘度に調整し、回路形成された基板上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により全面塗布し、約60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの乾燥塗膜を形成できる。乾燥後の膜厚は30~50μmであることが好ましい。その後、接触式(または非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジストパターンが形成される。さらに、例えば約140~180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化塗膜を形成することができる。
【0070】
上記回路形成された基板に使用される基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR-4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0071】
また、活性エネルギー線照射に用いられる照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプなどが適当である。その他、レーザー光線なども活性エネルギー線として利用できる。
【0072】
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などの希アルカリ水溶液が使用できる。
【実施例0073】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0074】
(合成例1)
<カルボキシル基含有樹脂ワニス1の合成>
下記一般式(I)においてXがC(CH3)2、平均の重合度nが3.3であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量650g/eq、軟化点81.1℃)371部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH52.8部を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。反応終了後、水250部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量287g/eq、軟化点64.2℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールA型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基3.3個のうち約3.1個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部およびカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルフォスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、反応を行い、カルボキシル基含有樹脂ワニス2を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス1の固形分濃度は62質量%、固形分酸価(mgKOH/g)は100であった。
【0075】
(合成例2)
<カルボキシル基含有樹脂ワニス2の合成>
下記一般式(I)においてXがCH2、平均の重合度nが6.2であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量950g/eq、軟化点85℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH60.9部を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。反応終了後、水250部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールF型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部およびカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルフォスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、反応を行い、カルボキシル基含有樹脂ワニス1を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス2の固形分濃度は62質量%、固形分酸価(mgKOH/g)は100であった。
【0076】
【化1】
(式中、XはCH
2またはC(CH
3)
2を表し、nは1~12である。)
【0077】
<黒色感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
カルボキシル基含有樹脂と、熱硬化性樹脂と、感光性モノマー(反応性希釈剤)と、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーと、着色剤と、光重合開始剤と、難燃剤とを表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、黒色感光性樹脂組成物1を調製した。なお、表中の配合量の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部を示す。
【0078】
[実施例2~5]
各成分の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒色感光性樹脂組成物2~5を調製した。
【0079】
[比較例1~3]
各成分の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒色感光性樹脂組成物6~8を調製した。
【0080】
【0081】
表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
※1:カルボキシル基含有樹脂ワニス1
※2:カルボキシル基含有樹脂ワニス2
※3:カルボキシル基含有樹脂ワニス3(変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート、DIC株式会社製、UE-9210、固形分濃度60質量%)
※4:ビフェニルエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC-3000H、固形分濃度75質量%)
※5:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、N-770、固形分濃度75質量%)
※6:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亜合成株式会社製、アロニックスM350)
※7:エトキシ化ビスフェノールA型メタクリレート(2官能、新中村化学工業株式会社製、NKエステルBPE-900)
※8:リン元素含有感光性アクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3,000、2官能、ダイセル・サイテック株式会社製、RAYLOCK1722)
※9:赤色着色剤(ピグメントレッド149)
※10:青色着色剤(ピグメントブルー15)
※11:黄色着色剤(ピグメントイエロー147)
※12:黒色着色剤(カーボンブラック)
※13:α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad 369E)
※14:チタノセン系光重合開始剤(岳陽市金茂泰科技有限公司株式会社製、JMT784)
※15:水酸化アルミニウム
【0082】
<回路基板の作製>
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、基板上にスクリーン印刷で乾燥後の膜厚が20μmになるように全面塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉で80℃で30分乾燥し、室温まで放冷した。この基板に超高圧水銀ランプ搭載のORC社製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)を用いて、最適露光量でベタ露光し、30℃の1質量%Na2CO3をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行った。この基板を、熱風循環式乾燥炉にて150℃で60分の条件で硬化させた。得られた回路基板に対して下記の評価を行った。
【0083】
<表面状態評価>
上記の<回路基板の作製>で得られた回路基板の硬化塗膜について、光学顕微鏡を用いて変色や異物などの表面状態を観察した。
以下の基準にて表面状態を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:変色や異物などが全く無かった。
△:変色や異物などが多少あったが、実用上問題無かった。
×:変色や異物などが多かった。
【0084】
<低温保存性評価>
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を5℃で7日間低温保存した。その後、低温保存後の黒色感光性樹脂組成物1~8を用いて、上記の回路基板の作製と同様にして、回路基板を得た。得られた回路基板の硬化塗膜について、光学顕微鏡を用いて変色や異物などの表面状態を観察した。
以下の基準にて表面状態を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:変色や異物などが全く確認されなかった。
×:変色や異物などが確認された。
【0085】
<最適露光量>
銅厚18μmの銅ベタ基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥した。続いて、実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、乾燥後の当該基板上にスクリーン印刷法により乾燥後塗膜が20μmとなるように全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。次いで、超高圧水銀ランプ搭載の株式会社オーク製作所製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)を用いてStouffer 41段ステップタブレットを介して露光し、スプレー圧0.2MPa、液温30℃の1質量%Na2CO3水溶液で60秒現像を行った際に残存したステップタブレットのパターンが16となる露光量を最適露光量(mJ/cm2)とした。最適露光量を表2に示した。最適露光量は値が小さい方が好ましい。
【0086】
<現像性評価>
銅厚18μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥した。続いて、実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、乾燥後の当該基板上にスクリーン印刷法により乾燥後塗膜が20μmとなるように全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で40分、50分、および60分間乾燥させた。次いで、スプレー圧0.2MPa、液温30℃の1質量%Na2CO3水溶液で60秒現像を行い、乾燥させた。
以下の基準にて乾燥塗膜の現像性を目視で評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:乾燥塗膜が現像により完全に除去された。
△:乾燥塗膜が現像後も僅かに残ったが、実用上問題無かった。
×:乾燥塗膜が現像後も明らかに残った。
【0087】
<はんだ耐熱性評価>
上記の<回路基板の作製>で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8に関する回路基板の硬化塗膜に、ロジン系フラックスを塗布し、予め260℃に設定したはんだ槽に10秒間浸漬した。次いで、変性アルコールでフラックスを洗浄した。
以下の基準にて硬化塗膜の膨れ・剥がれを目視で評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
◎:硬化塗膜に膨れおよび剥がれがなかった。
○:硬化塗膜に膨れあるいは剥がれが僅かにあったが、実用上問題無かった。
×:硬化塗膜に膨れおよび剥がれが明らかにあった。
【0088】
<柔軟性評価>
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、25μm厚のポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製カプトン100H)にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥し、室温まで放冷した。得られた基板に超高圧水銀ランプ搭載の株式会社オーク製作所製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)用いて最適露光量でベタ露光し、30℃の1質量%Na2CO3水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、試験基板を得た。この基板を150℃で60分加熱して硬化した。
得られた基板に対してハゼ折りにより180°折り曲げを数回繰り返して行い、その際の塗膜におけるクラック発生状況を目視および200倍の光学顕微鏡で観察し、クラックが発生するまでに行った折り曲げ回数を測定した。
以下の基準にて柔軟性を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
◎:折り曲げ回数が6回以上であった。
○:折り曲げ回数が4回以上5回以下であった。
×:折り曲げ回数が3回以下であった。
【0089】
<外観評価>
上記の<回路基板の作製>で得られた回路基板の硬化塗膜の外観(色味)を、目視で評価し、評価結果を表2に示した。硬化塗膜が黒色であれば、隠蔽性に優れるものである。
【0090】
<燃焼性試験>
実施例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、25μm厚のポリイミドフィルム(東レポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、カプトン100H(25μm))にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥して室温まで放冷した。さらに裏面を同様にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥して室温まで放冷し両面塗布基板を得た。得られた両面基板に超高圧水銀ランプ搭載の株式会社オーク製作所製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)を用いて最適露光量でソルダーレジストを全面ベタ露光し、30℃の1質量%Na2CO3水溶液をスプレー圧2Kg/cm2の条件で60秒間現像を行い、150℃で60分間熱硬化を行い評価サンプルとした。この燃焼性試験用サンプルについて、UL94規格(UL94VTM)に準拠した薄材垂直燃焼試験を行った。
上記試験結果に基づいて燃焼性(VTM-0、VTM-1)を評価し、評価結果を表2に示した。
【0091】
<クロスセクション>
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、ポリイミド基材に銅厚18μmの回路パターン形成された基板に、上記基板作製条件で塗布し硬化した。L/S=100/100μm部をクロスセクションし、塗膜のトップ部と塗膜のボトム部との長さの差を測定した。
以下の基準にて評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:塗膜のトップ部と塗膜のボトム部との長さの差が0μm以上10μm以下であった。
×:塗膜のトップ部と塗膜のボトム部との長さの差が10μm超であった。
【0092】
<分散性評価>
各組成物約1グラムを金属グラインドゲージ(溝深さ25~50μm)上に載せ、金属スクレーパーでゲージの表面を均等な速度で溝の最低深さまで1~2秒かけて引く。引き終わってから3秒後観察し、顕著な班点が現れ始める点を読み、粒子の数が5個以上の溝を評価した。
○:25μm以下であった。
×:25μm超であった。
【0093】
【0094】
上記の実験結果から明らかなように、本発明による黒色感光性樹脂組成物は、分散性および得られた硬化塗膜の隠蔽性に優れることが分かった。また、低温保存性および現像性に優れ、最適露光量が少なく、得られた硬化塗膜は、表面状態、耐熱性、柔軟性にも優れることが分かった。さらに、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーを含むと、燃焼性試験結果から難燃性がより向上することが分かった。なお、分散性の結果が良好であった実施例1~5に用いられた黒色感光性樹脂組成物1~5を、基板上にスクリーン印刷で乾燥後の膜厚が20μmになるように全面塗布したところ、いずれも優れたレベリング性を示すことが分かった。