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特開2023-129734電池構成要素、蓄電池、組電池及び電動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129734
(43)【公開日】2023-09-15
(54)【発明の名称】電池構成要素、蓄電池、組電池及び電動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/463 20210101AFI20230908BHJP
   H01M 10/12 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H01M2/18 R
H01M10/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127261
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】武部 智紀
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
【Fターム(参考)】
5H021BB11
5H021CC09
5H021HH03
5H021HH10
5H028AA05
5H028CC07
5H028HH05
(57)【要約】
【課題】セパレータの破損を良好に防止可能な電池構成要素、蓄電池、組電池及び電動車を提供する。
【解決手段】
電池構成要素は、第1方向にて互いに重なる第1極板及びセパレータを備える。第1極板は、本体部と、第1方向に直交する第2方向に沿って本体部から突出すると共にセパレータに覆われる足部とを有し、セパレータは、第1厚さを有する基部と、第1厚さよりも厚い第2厚さを有すると共に足部に当接する肉厚部とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向にて互いに重なる第1極板及びセパレータを備え、
前記第1極板は、本体部と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って前記本体部から突出すると共に前記セパレータに覆われる足部とを有し、
前記セパレータは、第1厚さを有する基部と、前記第1厚さよりも厚い第2厚さを有すると共に前記足部に当接する肉厚部とを備える、
電池構成要素。
【請求項2】
前記セパレータは、前記第1極板に対向する第1主面をさらに備え、
前記肉厚部は、前記第1主面から前記第1極板に向かって突出する第1リブを有し、
前記第1リブは、前記足部に当接する、請求項1に記載の電池構成要素。
【請求項3】
前記肉厚部は、前記第1リブを複数有し、
前記足部は、2つ以上の前記第1リブに当接する、請求項2に記載の電池構成要素。
【請求項4】
前記セパレータは、前記第1主面の反対側に位置する第2主面をさらに備え、
前記肉厚部は、前記第2主面から前記第1リブと反対側に突出する第2リブを有する、請求項2または3に記載の電池構成要素。
【請求項5】
前記セパレータの第1部分と第2部分とが互いに接合されており、
前記第1部分と前記第2部分とのそれぞれは、前記第2方向において前記足部に対向している、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池構成要素。
【請求項6】
前記第1部分と前記第2部分とは、互いに溶着されている、請求項5に記載の電池構成要素。
【請求項7】
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記第1部分及び前記第2部分の寸法は、前記第3方向における前記足部の寸法以上である、請求項5又は6に記載の電池構成要素。
【請求項8】
前記セパレータは、前記第2方向における前記第1極板の前記足部側にて折り返されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池構成要素。
【請求項9】
前記セパレータは、前記第2方向における前記第1極板の前記足部側に位置する開口部を有する、請求項5~8のいずれか一項に記載の電池構成要素。
【請求項10】
前記足部の角は、面取りされている、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池構成要素。
【請求項11】
前記第1方向における前記足部の厚さは、前記第1方向における前記第1極板の最大厚みの厚さよりも小さく、
前記足部は、前記第1方向における前記第1極板の一端と他端との間に位置する、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池構成要素。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池構成要素と、
前記電池構成要素が収容される電槽と、
を備え、
前記電池構成要素は、前記第1方向において前記セパレータを介して前記第1極板に積層される第2極板をさらに有し、
前記肉厚部は、前記足部と前記電槽の底部とに挟まれる、
蓄電池。
【請求項13】
前記電槽は、前記底部上に設けられると共に前記第2方向に沿って突出するクラを有し、
前記肉厚部は、前記足部と前記クラとによって挟まれる、請求項12に記載の蓄電池。
【請求項14】
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記足部の寸法は、前記第3方向における前記クラの寸法よりも大きい、請求項13に記載の蓄電池。
【請求項15】
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記足部の寸法は、前記第3方向における前記クラの寸法以下である、請求項13に記載の蓄電池。
【請求項16】
鉛蓄電池である、請求項12~15のいずれか一項に記載の蓄電池。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか一項に記載の蓄電池を備える組電池。
【請求項18】
請求項17に記載の組電池を備える電動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池構成要素、蓄電池、組電池及び電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
電池には、正極と負極との短絡を防止するためのセパレータが用いられる。例えば、下記特許文献1には、袋セパレータ入り電極板の製造方法が開示される。下記特許文献1においては、セパレータを折り曲げることによって、電極板が挟み込まれる。加えて、複数箇所の溶着部分がセパレータに形成されることによって、袋状のセパレータが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4661423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池に収容されるセパレータが破損することによって当該セパレータに開口が形成されると、当該開口を介して正極と負極とが短絡しやすくなる。このため、セパレータの破損を防止可能な態様が望まれている。
【0005】
本発明の一側面の目的は、セパレータの破損を良好に防止可能な電池構成要素、蓄電池、組電池及び電動車の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電池構成要素は、第1方向にて互いに重なる第1極板及びセパレータを備え、第1極板は、本体部と、第1方向に直交する第2方向に沿って本体部から突出すると共にセパレータに覆われる足部とを有し、セパレータは、第1厚さを有する基部と、第1厚さよりも厚い第2厚さを有すると共に足部に当接する肉厚部とを備える。
【0007】
この電池構成要素では、第1極板の足部はセパレータに覆われる。このため、例えば第1極板を電池の電槽に収容する場合等にて、セパレータのうち足部と当接する部分に荷重が集中する傾向にある。ここで上記電池構成要素では、セパレータの肉厚部が足部に当接する。これにより、セパレータのうち足部と当接する部分の耐荷重性能が良好に向上する。したがって上記一側面によれば、セパレータの破損を良好に防止可能である。
【0008】
セパレータは、第1極板に対向する第1主面をさらに備え、肉厚部は、第1主面から第1極板に向かって突出する第1リブを有し、第1リブは、足部に当接してもよい。この場合、セパレータの基部が足部に当接しにくくなる。
【0009】
肉厚部は、第1リブを複数有し、足部は、2つ以上の第1リブに当接してもよい。この場合、セパレータの基部が足部により当接しにくくなる。
【0010】
セパレータは、第1主面の反対側に位置する第2主面をさらに備え、肉厚部は、第2主面から第1リブと反対側に突出する第2リブを有してもよい。例えば、電池構成要素が電槽に収容される場合等にて、セパレータにおいて足部と電槽とに挟まれる部分の破損を良好に防止可能である。
【0011】
セパレータの第1部分と第2部分とが互いに接合されており、第1部分と第2部分とのそれぞれは、第2方向において足部に対向してもよい。この場合、足部がセパレータから露出しにくくなる。
【0012】
第1部分と第2部分とは、互いに溶着されてもよい。この場合、第1部分と第2部分とを強固に接合できる。
【0013】
第1方向及び第2方向に直交する第3方向における第1部分及び第2部分の寸法は、第3方向における足部の寸法以上でもよい。この場合、セパレータにおいて第1部分と第2部分とが接合している箇所以外にて、足部がより露出しにくくなる。
【0014】
セパレータは、第2方向における第1極板の足部側にて折り返されてもよい。この場合、セパレータの折り返された部分によって足部が良好に覆われ得る。
【0015】
セパレータは、第2方向における第1極板の足部側に位置する開口部を有してもよい。例えば、電池構成要素及び電解液が電槽に収容される場合、当該電解液が電池構成要素内を流動しやすくなる。
【0016】
足部の角は、面取りされてもよい。この場合、例えば足部に面取りされていない角が設けられる態様と比較して、肉厚部の特定箇所に対する足部からの荷重集中を抑制できる。
【0017】
第1方向における足部の厚さは、第1方向における第1極板の最大厚みの厚さよりも小さく、足部は、第1方向における第1極板の一端と他端との間に位置してもよい。例えば、電池構成要素を寝かせ、当該電池構成要素をベルトコンベア等の搬送装置を用いて搬送する場合、足部が搬送装置から離間する。このため、セパレータが足部と搬送装置に挟まれにくくなる。よって、電池構成要素の搬送時における足部に起因したセパレータの破損を抑制できる。
【0018】
本発明の一側面に係る蓄電池は、上記電池構成要素と、電池構成要素が収容される電槽と、を備え、電池構成要素は、第1方向においてセパレータを介して第1極板に積層される第2極板をさらに有し、肉厚部は、足部と電槽の底部とに挟まれる。この蓄電池は、セパレータの破損を良好に防止可能な電池構成要素を含む。加えて、肉厚部が足部と電槽の底部とに挟まれるので、電池構成要素を電槽に収容するときにセパレータが破損しにくくなる。このため、セパレータを介して互いに積層される第1極板と第2極板との短絡を良好に抑制可能である。
【0019】
電槽は、底部上に設けられると共に第2方向に沿って突出するクラを有し、肉厚部は、足部とクラとによって挟まれてもよい。この場合、足部とクラとの間に肉厚部が挟まれることによって、セパレータの破損が抑制される。
【0020】
第1方向及び第2方向に直交する第3方向における足部の寸法は、第3方向におけるクラの寸法よりも大きくてもよい。この場合、電池構成要素を電槽に収容するときに足部からクラの特定箇所に荷重が集中しにくくなるので、肉厚部が良好に破損しにくくなる。
【0021】
第1方向及び第2方向に直交する第3方向における足部の寸法は、第3方向におけるクラの寸法以下でもよい。この場合、電槽における電池構成要素の位置がずれた場合であっても、肉厚部が足部とクラとの間に挟まれやすくなる。
【0022】
上記蓄電池は、鉛蓄電池でもよい。
【0023】
本発明の一側面に係る組電池は、上記蓄電池を備える。この組電池は、セパレータの破損を良好に防止可能な電池構成要素を含む蓄電池を備える。このため、当該蓄電池において、セパレータを介して互いに積層される第1極板と第2極板との短絡を良好に抑制可能である。
【0024】
本発明の一側面に係る電動車は、上記組電池を備える。この電動車は、セパレータの破損を良好に防止可能な電池構成要素を含む蓄電池を備える。このため、当該蓄電池において、セパレータを介して互いに積層される第1極板と第2極板との短絡を良好に抑制可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一側面によれば、セパレータの破損を良好に防止可能な電池構成要素、蓄電池、組電池及び電動車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態に係る蓄電池の一部を破断して示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る負極を示す平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4(a)は、セパレータシートを示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb線に沿った概略断面図である。
図5図5(a)は、本体の底部を示す平面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb-Vb線に沿った概略断面図であり、図5(c)は、図5(a)のVc-Vc線に沿った概略断面図である。
図6図6は、セパレータに包まれる負極を示す平面図である。
図7図7(a)は、図6に示される一点鎖線にて囲んだ領域の拡大図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb-VIIb線に沿った断面図である。
図8図8(a)は、図7(a)のVIIIa-VIIIa線に沿った断面図であり、図8(b)は、図7(a)のVIIIb-VIIIb線に沿った断面図である。
図9図9は、蓄電池の要部拡大断面図である。
図10図10(a)は、第1変形例に係るセパレータ及び負極の要部拡大断面図であり、図10(b)は、第2変形例に係るセパレータ及び負極の要部拡大断面図である。
図11図11は、第3変形例に係るセパレータに包まれる負極を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る蓄電池の一部を破断して示す斜視図である。図1に示されるように、蓄電池1は、例えば、制御弁式の鉛蓄電池である。蓄電池1は、例えば自動車のバッテリー、停電時等に利用されるバックアップ用電源、及び、電動フォークリフト等の電動車(もしくは電気車)の主電源に用いられる。これらの場合、複数の蓄電池1によって構成される組電池が用いられることがある。例えば、上記電動車は、複数の蓄電池1を含む組電池を有することがある。本実施形態では、蓄電池1は、例えば、クラッド式電極を備えるクラッド式鉛蓄電池である。蓄電池1は、電極群3と、正極端子5Aと、負極端子5Bと、補水栓6と、ケース7とを備える。
【0029】
電極群3は、複数の正極10と、複数の負極12と、複数のセパレータ13とを有する。電極群3では、正極10と負極12とが交互に配置されている。隣り合う正極10と負極12との間には、セパレータ13が介在している。このため、正極10は、セパレータ13を介して負極12に積層される。本実施形態では、電極群3において、正極10、負極12及びセパレータ13の配列方向(以下、単に「配列方向」もしくは「積層方向」と称することもある)の端部には、負極12が配置されている。加えて、正極10と、負極12と、セパレータ13とのそれぞれは、電池構成要素とも呼称される。以下では、複数の正極10と、複数の負極12と、複数のセパレータ13とが互いに重なる方向(積層方向)を第1方向Xとする。また、第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとする。本実施形態では、第2方向Yは電極群3がケース7に収容される方向に相当する。第2方向Yと第3方向Zとは互いに直交しているが、これに限られない。第2方向Yと第3方向Zとは、互いに交差していればよい。
【0030】
正極10(第2極板)は、例えば、クラッド式正極板である。正極10は、管状電極群14を有している。管状電極群14は、複数の管状電極15を有する。複数の管状電極15は、一列に配列されている。複数の管状電極15のそれぞれは、例えば、クラッドチューブ、当該クラッドチューブ内に挿入された芯金、及び、クラッドチューブと芯金との間に充填された正極材を有する。クラッドチューブは、ガントレットとも呼称される筒状の多孔体チューブであり、例えば、ガラス、樹脂等によって形成される。正極材は、正極活物質と、添加剤とを含み得る。正極活物質は、例えば、鉛粉、鉛丹等である。添加剤としては、炭素材料、又は、補強用短繊維等が挙げられる。化成後の正極活物質は、例えば二酸化鉛等である。
【0031】
図2は、実施形態に係る負極を示す平面図である。負極12(第1極板)は、負極格子体12aと、耳部12bとを有する負極板である。負極格子体12aは、負極12における本体部であり、負極材12cを保持する。本実施形態では、負極12において負極材12cが保持される部分の厚さは、負極格子体12aの厚さよりも大きいが、これに限られない。負極材12cは、負極活物質と、添加剤とを含み得る。負極活物質は、例えば、海綿状鉛等である。添加剤としては、硫酸バリウム、炭素材料、又は、補強用短繊維等が挙げられる。耳部12bは、第2方向Yに沿って負極格子体12aから突出する端子部である。耳部12bと負極格子体12aとは、配列方向において互いに重なっていない。本実施形態では、負極格子体12aは、セパレータ13によって覆われている。負極格子体12aには、凸部12d,12eが設けられている。凸部12d,12eは、所定の間隔をあけて配置されており、負極格子体12aから外側に向かって突出している足部である。凸部12d,12eは、耳部12bの突出方向と反対側の方向に沿って突出している。本実施形態では、耳部12bの突出方向と、凸部12d,12eの突出方向とのそれぞれは、配列方向に対して直交している。また、耳部12bと負極格子体12aとは、配列方向において互いに重なっていない。
【0032】
図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。図3に示されるように、凸部12dは、第1方向Xにおける負極格子体12aの一端A1と他端A2との間に位置する。凸部12dは、先端面12fと、第1側面12gと、第2側面12hと、第1角12iと、第2角12jとを有する。第1側面12gは、第1方向Xにおける負極格子体12aの一端A1側に位置する。第2側面12hは、第1方向Xにおける負極格子体12aの他端A2側に位置する。第1角12iは先端面12fと第1側面12gとによってなされており、第2角12jは、先端面12fと第2側面12hとによってなされる。凸部12dに起因するセパレータ13の破損防止の観点から、第1角12iと第2角12jとのそれぞれは、面取りされている。本実施形態では、面取りされた第1角12iと第2角12jとのそれぞれは、丸面になっているが、これに限られない。第1角12iと第2角12jとのそれぞれは、例えば、凸部12dの形成後に面取りされるが、これに限られない。凸部12dの形成完了時に、面取りされた第1角12iと第2角12jとが形成されてもよい。換言すると、第1角12iと第2角12jとは、面取り工程をしなくとも丸面等の形状を有し得る。
【0033】
凸部12dの厚さT1は、負極格子体12aの厚さT2よりも小さい。第1方向Xにおいて、負極12のうち負極材12cが設けられる領域における最大厚さT3は、負極格子体12aの厚さT2よりも大きい。このため本実施形態では、負極12の最大厚みは、上記領域における最大厚さT3に相当する。なお、負極格子体12aの厚さは、負極12のうち負極材12cが設けられる領域における最大厚さ以上でもよい。この場合、負極12の最大厚みは、負極格子体12aの厚さに相当する。
【0034】
図示しないが、凸部12eは、凸部12dと同様に、第1方向Xにおいて負極格子体12aの一端A1と他端A2との間に位置する。また、凸部12eに起因するセパレータ13の破損防止の観点から、凸部12eにおける各角は、凸部12dと同様に面取りされている。凸部12eの厚さは、負極12の最大厚みよりも小さい。
【0035】
図1に戻って、各正極10は、正極端子5Aと電気的に接続されている。各正極10と正極端子5Aとは、正極ストラップ17によって電気的に接続されている。正極ストラップ17は、正極10の耳部10aに接続されている。各負極12は、負極端子5Bと電気的に接続されている。各負極12と負極端子5Bとは、負極ストラップ18によって電気的に接続されている。負極ストラップ18は、負極12の耳部12bに接続されている。
【0036】
セパレータ13は、正極10と負極12との短絡を防止するための電池用部材(電池用セパレータ)である。セパレータ13は、正極10と負極12との間を電子的には絶縁する一方でイオンを透過させ、且つ、正極10側における酸化性及び負極12側における還元性に対する耐性を備えるものであれば、特に制限されない。このようなセパレータ13の材料(材質)としては、ガラス繊維、樹脂、無機物等が挙げられる。本実施形態では、セパレータ13は負極12の負極格子体12a及び凸部12d,12eを覆っており、且つ、負極12の耳部12bはセパレータ13から露出している。
【0037】
ここで図4(a),(b)を参照しながら、セパレータ13の加工前製品であるセパレータシートの構造について説明する。図4(a)は、セパレータシートを示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb線に沿った概略断面図である。図4(a),(b)に示されるように、セパレータシート30は、基部31と、一対の縁部32,33と、複数のリブ34とを有する。
【0038】
基部31は、セパレータシート30の主要部となるシート状部分であり、可撓性を示す。基部31は、第1主面31aと、第1方向Xにおいて第1主面31aの反対側に位置する第2主面31bとを有する。本実施形態では、第1主面31a及び第2主面31bは、第1方向Xから見て矩形状を呈するが、これに限られない。
【0039】
一対の縁部32,33は、第3方向Zにおけるセパレータシート30の両端に設けられる部分である。縁部32,33のそれぞれは、第2方向Yにおけるセパレータシート30の一端(例えば、図4(a)における紙面上端側)から他端(例えば、図4(a)における紙面下端側)まで延在する。縁部32,33のそれぞれは、連続的に延在してもよいし、間欠的に延在してもよい。縁部32は第3方向Zにおけるセパレータシート30の一端(例えば、図4(a)における紙面左端側)に設けられ、縁部33は第3方向Zにおけるセパレータシート30の他端(例えば、図4(a)における紙面右端側)に設けられる。本実施形態では、一対の縁部32,33には、リブ34とは異なるリブが設けられる。例えば、一対の縁部32,33のそれぞれには、第2方向Yにおけるセパレータシート30の一端から他端まで延在するリブ等が一又は複数設けられてもよい。
【0040】
複数のリブ34は、例えば、セパレータシート30の耐久性向上、ケース7内における電解液の流動性向上等を図るために設けられる。複数のリブ34は、第1方向Xに沿って基部31から突出しており、互いに離間している。複数のリブ34のそれぞれは、第1方向Xから見て矩形状を呈する。複数のリブ34のそれぞれは、第2方向Yにおけるセパレータシート30の一端から他端まで延在しており、且つ、互いに平行に延在している。リブ34の延在方向に対して直交するリブ34の断面は、矩形状を呈するが、これに限られない。当該断面は、例えば、台形状でもよいし、逆台形状でもよい。第3方向Zに沿ったリブ34の寸法(幅)は、例えば、第3方向Zに沿ったセパレータシート30の寸法の0.30%以上2.5%以下である。第1方向Xに沿ったリブ34の寸法(高さ)は、例えば、第1方向Xに沿った基部31の寸法(厚さ)の100%より大きく1000%以下である。図4(b)に示されるように、リブ34は、第1主面31aに設けられる複数の第1リブ34aと、第2主面31bに設けられる複数の第2リブ34bとを有する。第1リブ34aは、第1方向Xに沿って第1主面31aから突出する。第2リブ34bは、第2主面31bから第1リブ34aと反対側に突出する。本実施形態では、第1リブ34aと第2リブ34bとは、互いに同一形状を有し、且つ、互いに完全に重なっている。
【0041】
以下では、セパレータシート30においてリブ34が設けられる部分は、セパレータシート30(及びセパレータ13)における肉厚部TP1とも呼称される。換言すると、セパレータシート30(及びセパレータ13)において、基部31とリブ34とが互いに重なる部分は、肉厚部TP1とも呼称される。このため、肉厚部TP1は、リブ34を有する。上述したように、第1リブ34aと第2リブ34bとは互いに完全に重なっていることから、本実施形態における肉厚部TP1の厚さは、基部31の厚さと、第1リブ34aの高さと、第2リブ34bの高さとの合計に相当する。基部31の厚さを第1厚さT4とし、肉厚部TP1の厚さを第2厚さT5としたとき、第2厚さT5は、例えば、第1厚さT4の100%より大きく2000%以下である。
【0042】
図1に戻って、ケース7は、本体20と、蓋22とを有する。本体20は、箱状を呈している電槽である。本体20は、例えばポリプロピレン等の材料で形成されている。本体20は、電極群3及び電解液を収容する。本体20は、4つの側面部と、底部(詳細は後述)とにより構成されている。蓋22は、本体20の開口部を覆う。蓋22には、正極端子5Aと、負極端子5Bと、補水栓6とが設けられる。正極端子5Aと負極端子5Bとの間には、補水栓6が設けられる。
【0043】
図5(a)は、本体20の底部を示す平面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb-Vb線に沿った概略断面図であり、図5(c)は、図5(a)のVc-Vc線に沿った概略断面図である。図5(a)~(c)に示されるように、本体20は、底部24上に設けられると共に第2方向Yに沿って突出するクラ25を有する。クラ25は、正極10及び負極12と、底部24とを離間させるための部材である。クラ25は、本体20に対して着脱可能に設けられてもよいし、本体20に一体化されてもよい。前者の場合、クラ25は、ケース7とは別部品となる。後者の場合、クラ25と本体20とは一体成型されてもよい。クラ25が設けられることによって、正極10及び/又は負極12から脱落した活物質の堆積物に起因した短絡を抑制できる。クラ25は、第2方向Yから見て略格子形状を有する。クラ25は、第1方向Xに沿って延在する複数の第1骨部26と、第3方向Zに沿って延在する第2骨部27とを有する。複数の第1骨部26は、例えば第3方向Zにおいて互いに離間して配置されており、第1方向Xにおける本体20の一側面から他側面まで延在する。第2方向Yにおいて、第1骨部26の一端26aは底部24に接し、第1骨部26の他端26bは第2骨部27よりも蓋22側に位置する。第3方向Zにおける第1骨部26の寸法S3は、第3方向Zに沿った凸部12dの寸法S1及び凸部12eの寸法S2(図2を参照)以下である。クラ25上における活物質の堆積を抑制する観点から、寸法S3は、例えば、寸法S1もしくは寸法S2の100%以下であるが、これに限られない。複数の第2骨部27は、例えば第1方向Xにおいて互いに離間して配置されており、第3方向Zにおける本体20の一側面から他側面まで延在する。第1骨部と第2骨部27とは、第2方向Yから見て互いに直交している。
【0044】
次に、図6を参照しながら、電池構成要素に含まれる、負極とセパレータとを組み合わせた構造について詳細に説明する。図6は、セパレータに包まれる負極を示す平面図である。図6に示されるように、セパレータ13は、セパレータシート30の袋状加工物に相当し、負極12を包んでいる。上述したように、負極12の耳部12bは、セパレータ13から露出しており、負極12の凸部12d,12eは、セパレータ13に覆われる。セパレータ13は、例えば、1枚のセパレータシート30を第2方向Yに沿って二つ折りした後、所望の箇所が封止されることによって形成される。このとき、負極12がセパレータシート30にて挟まれるように、第2方向Yにおける負極12の凸部12d,12e側にてセパレータシート30が折り返される。縁部32,33のそれぞれにおける少なくとも一部は、第3方向Zにおいて負極12の外側に位置する。作業性向上の観点から、負極12の移動に伴ってセパレータシート30が二つ折りされてもよい。セパレータ13は、主部41と、一対のシール部42,43と、屈曲部44と、接合部45とを有する。
【0045】
主部41は、負極12の負極格子体12aを収容する部分である。主部41は、セパレータシート30の基部31及び縁部32,33(図4(a)を参照)から構成される。このため、主部41は、第1リブ34aが設けられる第1主面31aと、第2リブ34bが設けられる第2主面31bとを有する(図4(b)を参照)。本実施形態では、第1主面31aが負極12に対向しており、第2主面31bが露出面となっている。このため、電極群3における正極10(図1を参照)は、セパレータシート30の第2主面31bに対向する。
【0046】
一対のシール部42,43は、セパレータシート30が二つ折りされる状態を維持するための部分である。シール部42は縁部32(図4(a)を参照)に形成され、シール部43は縁部33(図4(a)を参照)に形成される。シール部42,43のそれぞれは、第3方向Zにおいて負極12の外側に位置する。シール部42,43のそれぞれは、第2方向Yに延在している。これにより、第3方向Zに沿った負極12の移動が、シール部42,43によって抑制できる。シール部42,43では、完全に密封されなくてもよい。セパレータ13内における電解液の流動性の観点から、シール部42,43の少なくとも一方では、電解液が通過可能な領域が設けられてもよい。シール部42,43は、例えば、超音波溶着部、ヒートシール部、コールドシール部、ギアシール部等である。ギアシール部は、ギアを用いた加圧によって機械的に貼り合わされる部分である。本実施形態では、シール部42,43のそれぞれは、第2方向Yにおけるセパレータ13の一端から他端まで延在するギアシール部である。
【0047】
屈曲部44は、セパレータシート30において折り返される部分である。屈曲部44の少なくとも一部は、負極格子体12aに当接し得る。屈曲部44の一部には、開口部44aが設けられる。開口部44aは、例えば、セパレータ13内における電解液の流動性を向上するために設けられる部分である。開口部44aは、第2方向Yにおいて凸部12d,12eのいずれにも重ならない位置に設けられる。開口部44aは、例えば第3方向Zにおけるセパレータ13の中央部に設けられるが、これに限られない。例えば、屈曲部44の一部が切断されることによって、開口部44aが形成される。
【0048】
接合部45は、シール部42,43と同様に、二つ折りされたセパレータシート30の状態を維持するための部分である。接合部45は、セパレータシート30の第1主面31aの一部と別の一部とを接合する部分である。当該一部と当該別の一部とは、第1方向Xにおいて負極12に重ならない部分であり、第2方向Yにおいて屈曲部44の反対側に位置する。このため、接合部45は、第2方向Yにおけるセパレータ13の一端側であって、第1方向Xから見て負極12の外側に位置する。よって、ケース7内における接合部45は、負極12を介して本体20(電槽)の底部24(図5(a)を参照)の反対側に位置する。また、接合部45は、第2方向Yにて負極12の負極格子体12aに対向し、且つ、第3方向Zにおいて耳部12bに対向する。接合部45は、第3方向Zに沿って延在している。具体的には、接合部45は、第3方向Zにおけるセパレータ13の一端から他端に向かって延在しており、主部41及びシール部42に設けられる。すなわち、接合部45の一部は、シール部42に重なる。接合部45は、例えば、セパレータシート30自体が溶着された部分である。この場合、接合部45においては、第1主面31aの一部と別の一部とが溶着されている。溶着不良の防止の観点から、接合部45は、超音波溶着等によって形成されてもよい。接合部45は、シール部42,43の形成後に設けられてもよいし、シール部42,43の形成前に設けられてもよい。
【0049】
図7(a)は、図6に示される一点鎖線にて囲んだ領域の拡大図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb-VIIb線に沿った断面図である。図7(a),(b)に示されるように、肉厚部TP1に含まれる第1リブ34aは、第2方向Yにおいて凸部12dに重なっている。本実施形態では、少なくとも2つの第1リブ34aが、第2方向Yにおいて凸部12dに重なっている。このため、負極12とセパレータ13との位置がずれた場合であっても、少なくとも1つの第1リブ34aが、第2方向Yにおいて凸部12dに重なる状体を良好に維持できる。図示しないが、凸部12eもまた、第2方向Yにおいて少なくとも1つの第1リブ34aに重なっている。凸部12eは、2つ以上の第1リブ34aに重なってもよい。
【0050】
図8(a)は、図7(a)のVIIIa-VIIIa線に沿った断面図であり、図8(b)は、図7(a)のVIIIb-VIIIb線に沿った断面図である。図7(a)及び図8(a)に示されるように、セパレータ13の屈曲部44が、凸部12dに当接している。本実施形態では図7(b)及び図8(b)に示されるように、先端面12f、第1角12i及び第2角12jは、基部31に対して離間しているが、これに限られない。基部31の一部が先端面12f、第1角12i及び第2角12jの少なくとも一つに当接してもよい。図示しないが、凸部12eもまた、肉厚部TP1に当接している。
【0051】
図9は、蓄電池の要部拡大断面図である。図9においては、電解液及び正極は省略されている。図9に示されるように、電池構成要素に含まれ、且つ、セパレータ13に包まれる負極12が、ケース7の本体20に収容されるとき、負極12の凸部12d,12eが本体20の底部24に対向する。本実施形態では、凸部12dは、第2方向Yにおいて底部24上のクラ25に対向し、且つ、凸部12dとクラ25との間にはセパレータ13が位置する。よって、セパレータ13は、第2方向Yにおいて凸部12dとクラ25とによって挟まれる。本実施形態では、セパレータ13の肉厚部TP1が、第2方向Yにおいて凸部12dとクラ25の第1骨部26とによって挟まれる。このとき、凸部12dには第1リブ34aが接触し、クラ25には第2リブ34bが接触する。セパレータ13の基部31は、凸部12dとクラ25との少なくとも一方に接してもよいし、凸部12dとクラ25との両方に対して離間してもよい。なお図示しないが、凸部12eは、凸部12dと同様に、第2方向Yにおいてクラ25に対向しており、且つ、肉厚部TP1が第2方向Yにおいて凸部12eとクラ25の別の第1骨部26とによって挟まれる。セパレータ13の基部31は、凸部12eとクラ25との少なくとも一方に接してもよいし、凸部12eとクラ25との両方に対して離間してもよい。
【0052】
続いて、本実施形態における蓄電池1の製造方法の一例を簡潔に説明する。まず、セパレータシート30及び負極12を準備する。このとき、セパレータシート30の第1主面31aと負極12とを対向させる。続いて、セパレータシート30を二つ折りすることによって、屈曲部44を形成すると共にセパレータシート30によって負極12を挟み込む。このとき、負極12の負極格子体12aがセパレータシート30にて完全に覆われると共に、負極12の耳部12bの一部がセパレータシート30から露出する。続いて、セパレータシート30にシール部42,43及び接合部45を形成する。シール部42,43は、例えば、ギアシール等によって形成される。接合部45は、例えば、ホーンを含む超音波溶着装置を用いた超音波溶着等によって形成される。接合部45の形成時、少なくとも第2方向Yにてセパレータシート30が接合部45に引き寄せられる。セパレータシート30に屈曲部44が形成されていることから、セパレータシート30には少なくとも第2方向Yにおける張力が生じる。これにより、セパレータシート30の一部が負極12の凸部12d,12eに押し当てられる。続いて、屈曲部44に開口部44aを形成することによって、負極12を包むセパレータ13が形成される。セパレータ13に包まれる負極12は、例えば、ベルトコンベア等の搬送装置によって搬送される。このとき、セパレータ13に包まれる負極12は、当該搬送装置上にて寝かされる。換言すると、負極12の凸部12d,12eの突出方向が高さ方向に直交するように、セパレータ13に包まれる負極12は、上記搬送装置上に配置される。上述したように、凸部12d,12eのそれぞれは、負極格子体12aの一端A1と他端A2との間に位置することから、凸部12d,12eは、上記搬送装置から離間し得る。
【0053】
次に、正極10と、セパレータ13に包まれる負極12とのそれぞれを複数準備する。続いて、正極10と当該負極12とを交互に積層する。続いて、正極ストラップ17を介して正極10の耳部10a同士を電気的に接続させると共に、負極ストラップ18を介して負極12の耳部12b同士を電気的に接続させる。これにより、複数の正極10と、複数の負極12と、複数のセパレータ13が含まれる電極群3を形成する。続いて、電極群3を本体20に収容する。このとき、負極12の凸部12d,12eのそれぞれは、底部24上のクラ25上に配置される。続いて、本体20を蓋22によって封止する。このとき、各正極10を正極端子5Aと電気的に接続させると共に、各負極12を負極端子5Bと電気的に接続させる。続いて、補水栓6を介して電解液をケース7内に供給する。これにより、蓄電池1が製造される。
【0054】
以上に説明した本実施形態に係る蓄電池1に含まれる電池構成要素では、負極12の凸部12d,12eのそれぞれはセパレータ13に覆われる。蓄電池1を製造するために、当該電池構成要素をケース7の本体20に収容する場合等にて、本体20の底部24には負極12の凸部12d,12eが当接する。このため、セパレータ13のうち凸部12d,12eに当接する部分に荷重が集中する傾向にある。ここで本実施形態では、セパレータ13の肉厚部TP1が凸部12d,12eに当接する。これにより、セパレータ13のうち凸部12d,12eに当接する部分の耐荷重性能が良好に向上する。したがって本実施形態によれば、セパレータ13の破損を良好に防止可能である。
【0055】
加えて、本実施形態では、肉厚部TP1が負極12の凸部12d,12eに当接することによって、セパレータ13の基部31にて第1リブ34aが設けられない部分は、凸部12d,12eに当接しにくくなる。このため、セパレータ13のうち耐荷重性能が比較的低い部分(すなわち、セパレータ13のうちリブ34が設けられない部分)には、凸部12d,12eからの荷重が加わりにくい。したがって本実施形態では、上述した通り、セパレータ13の破損を良好に防止可能である。
【0056】
本実施形態では、セパレータ13は、負極12に対向する第1主面31aを備え、肉厚部TP1は、第1主面31aから負極12に向かって突出する第1リブ34aを有し、第1リブ34aは、凸部12dに当接する。この場合、セパレータ13の基部31が凸部12dに当接しにくくなる。加えて、凸部12dは、2つ以上の第1リブ34aに当接している。この場合、セパレータ13の基部31が凸部12dにより当接しにくくなる。
【0057】
本実施形態では、セパレータ13は、第1主面31aの反対側に位置する第2主面31bを備え、肉厚部TP1は、第2主面31bから第1リブ34aと反対側に突出する第2リブ34bを有する。例えば、電池構成要素がケース7の本体20に収容される場合等にて、セパレータ13において凸部12dと本体20の底部24とに挟まれる部分の破損を良好に防止可能である。加えて本実施形態では、セパレータ13において凸部12eと底部24とに挟まれる部分の破損も良好に防止可能である。
【0058】
本実施形態では、セパレータ13は、第2方向Yにおける負極12の凸部12d,12r側にて折り返される。このため、セパレータ13の屈曲部44及びその周囲によって凸部12d,12eが良好に覆われ得る。
【0059】
本実施形態では、セパレータ13は、第2方向Yにおける負極12の凸部12d,12e側に位置する開口部44aを有する。例えば、電池構成要素を含む電極群3及び電解液がケース7に収容される場合、当該電解液が電極群3内を流動しやすくなる。
【0060】
本実施形態では、凸部12dの第1角12i及び第2角12jは、面取りされている。この場合、例えば凸部12dに面取りされていない角が設けられる態様と比較して、肉厚部TP1の特定箇所に対する凸部12dからの荷重集中を抑制できる。図示しないが、本実施形態では、凸部12eの角もまた面取りされ得る。このため、肉厚部TP1の特定箇所に対する凸部12eからの荷重集中も抑制できる。
【0061】
本実施形態では、第1方向Xにおける凸部12dの厚さT1は、第1方向Xにおける負極12の最大厚さT3よりも小さく、凸部12dは、第1方向Xにおける負極12の負極格子体12aの一端A1と他端A2との間に位置する。例えば、セパレータ13に包まれる負極12を寝かせ、当該負極12をベルトコンベア等の搬送装置を用いて搬送する場合、凸部12dが搬送装置から離間する。このため、セパレータ13が凸部12dと搬送装置に挟まれにくくなる。よって、セパレータ13に包まれる負極12の搬送時における凸部12dに起因したセパレータ13の破損を抑制できる。加えて本実施形態では、上記搬送時における凸部12eに起因したセパレータ13の破損も抑制できる。
【0062】
本実施形態に係る正極10、負極12及びセパレータ13を含む電池構成要素が利用される蓄電池1を用いることによって、セパレータ13の破損を良好に防止可能である。このため、セパレータ13を介して互いに積層される正極10と負極12との短絡を良好に抑制可能である。加えて本実施形態では、ケース7は、底部24上に設けられると共に第2方向Yに沿って突出するクラ25を有し、肉厚部TP1は、凸部12dとクラ25とによって挟まれる。このため、凸部12dとクラ25との間に肉厚部TP1が挟まれることによって、セパレータ13の破損が抑制される。さらには本実施形態では、第3方向Zにおける凸部12dの寸法S1は、第3方向Zにおけるクラ25の寸法S3以下である。このため、セパレータ13に包まれる負極12をケース7に収容するときに凸部12dからクラ25の特定箇所に荷重が集中しにくくなる。このため、肉厚部TP1が良好に破損しにくくなる。
【0063】
以下では、図10及び図11を参照しながら、上記実施形態の変形例について説明する。以下の変形例において、上記実施形態と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、上記実施形態と異なる箇所を主に説明する。
【0064】
図10(a)は、第1変形例に係るセパレータ及び負極の要部拡大断面図である。図10(a)に示されるように、セパレータ13Aに設けられる第1リブ34aと第2リブ34bとは、基部31の厚さ方向において互いに重なっていない。第1変形例では、第2リブ34bは、第3方向Zにおいて隣り合う2つの第1リブ34aの間に位置する。セパレータ13Aは、第1リブ34aを含む肉厚部TP2と、第2リブ34bを含む肉厚部TP3とを有する。肉厚部TP2の厚さは、基部31の厚さと第1リブ34aの高さとの合計に相当する。肉厚部TP3の厚さは、基部31の厚さと第2リブ34bの高さとの合計に相当する。第1変形例では、電極群3がケース7の本体20に収容されるとき、肉厚部TP2は負極12(より具体的には、凸部12d,12e)に当接し、肉厚部TP3は本体20の底部24(より具体的には、クラ25)に当接する。このような第1変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏され得る。
【0065】
図10(b)は、第2変形例に係るセパレータ及び負極の要部拡大断面図である。図10(b)に示されるように、クラ25Aに含まれる第1骨部26Aの第3方向Zに沿った寸法S4は、凸部12dの寸法S1よりも大きい。換言すると、第3方向Zにおける凸部12dの寸法S1は、第3方向Zにおけるクラ25Aの寸法S4よりも小さい。また図示しないが、寸法S4は、凸部12eの寸法S2(図2を参照)よりも大きい。このような第2変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、ケース7における負極12の位置がずれた場合であっても、肉厚部TP1が凸部12dとクラ25Aとの間に挟まれやすい。同様に、第3方向Zにおける凸部12eの寸法S2は、第3方向Zにおけるクラ25Aの寸法S4よりも小さいので、肉厚部TP1が凸部12eとクラ25Aとの間に挟まれやすい。
【0066】
図11は、第3変形例に係るセパレータに包まれる負極を示す平面図である。図11に示されるように、セパレータ13Bは、上記実施形態及び上記変形例と異なり、第2方向Yにおいて負極12の凸部12d,12eに対向する屈曲部を有さない。このため第3変形例では、セパレータ13Bは、2枚のセパレータシート30から構成される。例えば、第1方向Xにおいて負極12の一端側に位置するセパレータシート30(以下では「第1セパレータシート」と称することがある)と、第1方向Xにおいて負極12の他端側に位置するセパレータシート30(以下では「第2セパレータシート」と称することがある)とが、シール部42,43等にて互いに接合されることによって、セパレータ13Bが形成される。
【0067】
セパレータ13Bは、上記屈曲部の代わりに、接合部45に加えて、第2方向Yにおいて負極12に対向する接合部51,52を有する。接合部51,52のそれぞれは、セパレータ13Bの一部(第1部分)と他の一部(第2部分)とが互いに接合する部分である。セパレータ13Bの一部は第1セパレータシートに含まれ、セパレータ13Bの他の一部は第2セパレータシートに含まれる。接合部51は第2方向Yにおいて凸部12dに対向し、接合部52は第2方向Yにおいて凸部12eに対向する。凸部12dの露出を防止する観点から、第3方向Zにおける接合部51の寸法S5は、凸部12dの寸法S1以上である。換言すると、接合部51に相当する上記第1部分ならびに上記第2部分の第3方向Zに沿った寸法は、凸部12dの寸法S1以上である。凸部12eの露出を防止する観点から、第3方向Zにおける接合部52の寸法S6は、凸部12eの寸法S2以上である。換言すると、換言すると、接合部52に相当する上記第1部分ならびに上記第2部分の第3方向Zに沿った寸法は、凸部12eの寸法S2以上である。
【0068】
接合部51,52のそれぞれは、第3方向Zに沿って延在している。接合部51は、接合部45と同様に、第3方向Zにおけるセパレータ13Bの一端から他端に向かって延在しており、主部41及びシール部42に設けられる。接合部52は、第3方向Zの他端から一端に向かって延在しており、主部41及びシール部42に設けられる。接合部51,52は、第3方向Zにおいて並んでおり、且つ、互いに離間している。第3方向Zにおける接合部51,52の間には、開口部53が設けられる。開口部53は、セパレータ13Bのうち第1セパレータシートと第2セパレータシートとが互いに接合していない部分であり、第2方向Yにおいて凸部12d,12e側に位置する。開口部53は、第2方向Yにおいて凸部12d,12eに重なっていない。
【0069】
接合部51,52によるセパレータシート同士の接合を強固にする観点から、接合部51,52のそれぞれは、例えば、第1セパレータシートと第2セパレータシートとが互いに溶着された部分である。溶着不良の防止の観点から、接合部51,52のそれぞれは、超音波溶着等によって形成されてもよい。接合部51,52のそれぞれは、シール部42,43の形成後に設けられてもよいし、シール部42,43の形成前に設けられてもよい。
【0070】
以上に説明した第3変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏され得る。なお第3変形例では、セパレータ13Bは2枚のセパレータシート30から構成されるが、これに限られない。例えば、第3方向Zに沿って二つ折りにされたセパレータシートが用いられてもよい。すなわち、1枚のセパレータシートから第3変形例に係るセパレータが形成されてもよい。
【0071】
本発明の一側面に係る電池構成要素は、上記実施形態及び上記変形例に限られない。上記実施形態及び上記変形例は、適宜組み合わされてもよい。例えば、第1変形例と第2変形例とが組み合わされてもよい。
【0072】
上記実施形態及び上記変形例では、第1方向から見たリブは直線状に延在しているが、これに限られない。例えば、第1方向から見て、リブは波線状に延在してもよいし、ジグザグ状に延在してもよい。また、リブは、第1方向から見て、点形状(ドット形状)でもよいし、円形状でもよいし、楕円形状でもよいし、多角形状でもよい。もしくは、リブは、多角錐形状でもよいし、多角錐台形状でもよいし、円錐形状でもよいし、円錐台形状でもよい。リブの断面は、半円形状でもよいし、多角形状でもよい。リブは、第2方向に沿って延在してもよいし、第3方向に沿って延在してもよい。第1方向から見て、複数のリブによってフィッシュボーン構造が形成されてもよい。
【0073】
上記実施形態及び上記変形例では、肉厚部はリブを含んでいるが、これに限られない。例えば、肉厚部は、セパレータのうち最も薄い部分よりも厚い部分であればよく、リブを含まなくてもよい。セパレータは、リブを有する肉厚部と、リブを有さない肉厚部との両方を有してもよい。
【0074】
上記実施形態、上記第1変形例及び上記第2変形例では、第2方向に沿ってセパレータシートが二つ折りされているが、これに限られない。例えば、電極群の寸法等によっては、第3方向に沿ってセパレータシートが二つ折りされてもよい。この場合、セパレータの屈曲部に開口部が設けられなくてもよい。
【0075】
上記実施形態、上記第1変形例及び上記第2変形例では、セパレータは1枚のセパレータシートから形成されるが、これに限られない。例えば、セパレータは、複数枚のセパレータシートから形成されてもよい。この場合、第3方向におけるセパレータの両端側にシール部が形成されてもよいし、第3方向における一方側のみにシール部が形成されてもよい。また、第2方向におけるセパレータの両側に接合部が形成されることが好ましいが、これに限られない。第2方向における一方側のみに接合部が形成されてもよい。よって、セパレータが複数枚のセパレータシートから形成される場合、当該セパレータは、袋状加工物でもよいし、筒状加工物でもよいし、袋状加工物及び筒状加工物とは異なる加工物でもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…蓄電池、3…電極群、5A…正極端子、5B…負極端子、7…ケース、10…正極(第2極板)、10a…耳部、12…負極(第1極板)、12a…負極格子体、12b…耳部、12c…負極材、12d,12e…凸部、12i…第1角(角)、12j…第2角(角)、13,13A,13B…セパレータ、20…本体、22…蓋、24…底部、25,25A…クラ、30…セパレータシート、31…基部、31a…第1主面、31b…第2主面、32,33…縁部、34…リブ、34a…第1リブ、34b…第2リブ、41…主部、42,43…シール部、44…屈曲部、44a…開口部、45,51,52…接合部、S1~S6…寸法、TP1,TP2,TP3…肉厚部。
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