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特開2023-129927加熱装置、定着装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129927
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】加熱装置、定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034288
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】山中 健太郎
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA31
2H033BB02
2H033BB04
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB12
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB17
2H033BB29
2H033BB30
2H033BE00
2H033BE03
2H033CA17
2H033CA45
(57)【要約】
【課題】熱源に用いる温度検知手段等の部品数が増えることを防止し、加熱効率を向上させた加熱装置。
【解決手段】ベルト部材21を内部から輻射加熱する熱源を備える。ベルト部材は当該ベルト部材と対向する加圧部材22によりニップ部Nを形成する。熱源は第一ガラス筒体23a及び第二ガラス筒体23bを有し、第一ガラス筒体及び第二ガラス筒体はともに、その内部に、記録媒体の最大通紙幅にわたってコイル部材を有する。第一ガラス筒体は記録媒体の幅方向にわたって発熱強度が一定になっているとともに、第二ガラス筒体よりも出力が高く、第二ガラス筒体よりも点灯の頻度が高く、前記第二ガラス筒体よりもガラス筒の熱容量が小さい。第二ガラス筒体は記録媒体の幅方向の一部で発熱強度が他の箇所に比べて大きくなっている箇所を有する。ベルト部材の回転方向において、第一ガラス筒体の方が第二ガラス筒体よりもニップ部の入口Neの近くに配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な無端状のベルト部材を内部から輻射加熱する熱源を備えた加熱装置であって、
前記ベルト部材は、当該ベルト部材と対向する加圧部材によりニップ部を形成し、
前記熱源は、第一ガラス筒体及び第二ガラス筒体を有し、
前記第一ガラス筒体及び前記第二ガラス筒体はともに、その内部に、記録媒体の最大通紙幅にわたってコイル部材を有し、
前記第一ガラス筒体は、記録媒体の幅方向にわたって発熱強度が一定になっているとともに、前記第二ガラス筒体よりも出力が高く、前記第二ガラス筒体よりも点灯の頻度が高く、前記第二ガラス筒体よりもガラス筒の熱容量が小さく、
前記第二ガラス筒体は、記録媒体の幅方向の一部で発熱強度が他の箇所に比べて大きくなっている箇所を有し、
前記ベルト部材の回転方向において、前記第一ガラス筒体の方が前記第二ガラス筒体よりも前記ニップ部の入口の近くに配置されていることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記第一ガラス筒体は、前記第二ガラス筒体よりもガラス筒の外径が小さいことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記第一ガラス筒体は、前記第二ガラス筒体よりもガラス筒の筒厚が薄いことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記第一ガラス筒体のコイル部材は、二重巻きになっていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項5】
前記第二ガラス筒体は、記録媒体の幅方向の両端部側が中央側よりも発熱強度が高いことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項6】
前記ベルト部材と、
前記ベルト部材と対向して配置され、前記ベルト部材を加圧する前記加圧部材と、
前記ベルト部材の内部に配置され、前記加圧部材からの加圧を受けてニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記ベルト部材の内部に配置され、前記ニップ形成部材を支持する支持部材と、
請求項1~5のいずれかに記載の加熱装置と、を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
前記ニップ形成部材は、熱伝導部材のみからなる、又は、熱伝導部材を含む複数の部材からなることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置における定着装置では、定着ベルト等の定着部材を加熱することが知られている。
【0003】
定着部材を加熱する熱源として、例えば特許文献1のように2本のハロゲンヒータが用いられている。一般に、定着を行うことにより記録媒体の通紙部と非通紙部とでニップ部の温度が相違してしまう。そこで、特許文献1では、熱源による定着部材の加熱領域を可変する加熱領域可変部材を熱源と定着部材の間に設け、ニップ形成部材が定着部材の熱を受けて軸方向に拡散させる均熱部材を用いることが開示されている。特許文献1によれば、記録媒体サイズに合わせた定着部材の加熱領域の変更、端部温度上昇の抑制及び軸方向の温度の平均化を実現できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1のように2本のハロゲンヒータを用いる場合、軸方向の中央部加熱用と端部加熱用とに分けたデュアルヒータを用いるのが一般的である。しかし、この場合、各々のヒータの加熱位置に温度制御センサや安全装置等の検知手段が必要となり、部品点数の観点から環境負荷の大きい装置構成になっていた。また、単位時間当たりの印刷枚数が少ない低速機の場合、ヒータ点灯の頻度が少なく、設定温度が低いことから軸方向の温度偏差が生じにくく、この点からも温度制御センサ等の温度検知手段が複数必要となっていた。また定着装置における加熱として、省エネルギー等を目的として加熱効率を向上させることが求められているが、特許文献1においても更なる向上が求められている。
【0005】
そこで本発明は、熱源に用いる温度検知手段等の部品数が増えることを防止し、加熱効率を向上させた加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の加熱装置は、回転可能な無端状のベルト部材を内部から輻射加熱する熱源を備えた加熱装置であって、前記ベルト部材は、当該ベルト部材と対向する加圧部材によりニップ部を形成し、前記熱源は、第一ガラス筒体及び第二ガラス筒体を有し、前記第一ガラス筒体及び前記第二ガラス筒体はともに、その内部に、記録媒体の最大通紙幅にわたってコイル部材を有し、前記第一ガラス筒体は、記録媒体の幅方向にわたって発熱強度が一定になっているとともに、前記第二ガラス筒体よりも出力が高く、前記第二ガラス筒体よりも点灯の頻度が高く、前記第二ガラス筒体よりもガラス筒の熱容量が小さく、前記第二ガラス筒体は、記録媒体の幅方向の一部で発熱強度が他の箇所に比べて大きくなっている箇所を有し、前記ベルト部材の回転方向において、前記第一ガラス筒体の方が前記第二ガラス筒体よりも前記ニップ部の入口の近くに配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱源に用いる温度検知手段等の部品数が増えることを防止し、加熱効率を向上させた加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る加熱装置及び定着装置の一例を示す断面概略図である。
図3】熱源の一例を説明するための図(A)及び(B)であり、(A)は本発明に含まれる図であり、(B)は本発明に含まれない図である。
図4】ヒータの発熱強度と点灯の一例を示す模式図(a)及び(b)である。
図5】本発明に係る加熱装置及び定着装置の他の例を示す断面概略図である。
図6】メインヒータとサブヒータのフィラメントコイルの一例を説明するための概略図である。
図7】本発明に係る加熱装置及び定着装置の他の例を示す断面概略図である。
図8】本発明に係る加熱装置及び定着装置の他の例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る加熱装置、定着装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
本発明の加熱装置は、回転可能な無端状のベルト部材を内部から輻射加熱する熱源を備えた加熱装置であって、前記ベルト部材は、当該ベルト部材と対向する加圧部材によりニップ部を形成し、前記熱源は、第一ガラス筒体及び第二ガラス筒体を有し、前記第一ガラス筒体及び前記第二ガラス筒体はともに、その内部に、記録媒体の最大通紙幅にわたってコイル部材を有し、前記第一ガラス筒体は、記録媒体の幅方向にわたって発熱強度が一定になっているとともに、前記第二ガラス筒体よりも出力が高く、前記第二ガラス筒体よりも点灯の頻度が高く、前記第二ガラス筒体よりもガラス筒の熱容量が小さく、前記第二ガラス筒体は、記録媒体の幅方向の一部で発熱強度が他の箇所に比べて大きくなっている箇所を有し、前記ベルト部材の回転方向において、前記第一ガラス筒体の方が前記第二ガラス筒体よりも前記ニップ部の入口の近くに配置されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明の定着装置は、記ベルト部材と、前記ベルト部材と対向して配置され、前記ベルト部材を加圧する前記加圧部材と、前記ベルト部材の内部に配置され、前記加圧部材からの加圧を受けてニップ部を形成するニップ形成部材と、前記ベルト部材の内部に配置され、前記ニップ形成部材を支持する支持部材と、本発明の加熱装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明の画像形成装置は、本発明の定着装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に使用される加熱装置、定着装置及びこれを備えた画像形成装置が提供される。
【0013】
図1は、本実施形態の画像形成装置の全体構成の一例を示す概略図である。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。
【0014】
なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
【0015】
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
【0016】
また、各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、中間転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34、ベルトクリーニング装置35を備える。
【0017】
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
【0018】
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
【0019】
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、上記一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
【0020】
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、図示しない廃トナー収容器の入り口部に接続されている。
【0021】
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には、補給用のトナーを収容する4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間には、図示しない補給路が設けてあり、この補給路を介して各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
【0022】
一方、プリンタ本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けてある。なお、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
【0023】
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、搬送タイミングを計って用紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ12が配設されている。
【0024】
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
【0025】
続いて、図1を参照して、本実施形態に係るプリンタの基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0026】
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
【0027】
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。そして、各感光体5の表面が図示しない除電装置によって除電され、表面電位が初期化される。
【0028】
プリンタの下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によって搬送が一旦停止される。
【0029】
その後、所定のタイミングでレジストローラ12の回転駆動を開始し、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pを二次転写ニップへ搬送する。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
【0030】
また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーは図示しない廃トナー収容器へと搬送され回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
【0031】
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0032】
図2は、本実施形態に係る加熱装置を備えた定着装置の断面概略図である。
図2に示す本実施形態の加熱装置は、回転可能な無端状のベルト部材(定着ベルト21)を内部から加熱する熱源(ハロゲンヒータ23)を備えており、熱源は、前記ベルト部材を内部から輻射加熱する第一ガラス筒体(メインヒータ23a)及び第二ガラス筒体(サブヒータ23b)を有している。
【0033】
また図2に示す本実施形態の定着装置20は、例えば、定着ベルト21、加圧ローラ22、ハロゲンヒータ23、ニップ形成部材24、支持部材25、反射部材26、温度センサ28等を備える。符号のNはニップ部を表し、符号のNeはニップ部の入口を表す。
【0034】
定着ベルト21は、定着部材の一例である。定着ベルト21は、回転可能な無端状のベルト部材(フィルムも含む)であり、薄肉で可撓性を有する。
定着ベルト21は、例えば、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材と、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層によって構成されている。
【0035】
また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上するが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。例えば厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。
【0036】
本実施形態では、定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21を薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20~50μm、100~300μm、10~50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。また、定着ベルト21の直径は、20~40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30mm以下とするのが望ましい。
【0037】
加圧ローラ22は、加圧部材の一例であり、定着ベルト21と対向して配置され、定着ベルト21を加圧する。加圧ローラ22は、定着ベルト21の外周面に当接しており、対向部材などと称されてもよい。
【0038】
加圧ローラ22は、例えば芯金22aと、弾性層22bと、離型層22cとによって構成される。弾性層22bは、例えば芯金22aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る。離型層22cは、例えば弾性層22bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る。
【0039】
加圧ローラ22は、図示しない加圧手段によって定着ベルト21側へ加圧され、定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。なお、定着部材と対向部材は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わず単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
【0040】
また、加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。
【0041】
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。また、弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
【0042】
温度センサ28は、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段の一例である。
【0043】
ハロゲンヒータ23は、ベルト部材(定着ベルト21)を内部から輻射加熱する熱源(加熱源などとも称する)の一例であり、第一ガラス筒体(メインヒータ23a)及び第二ガラス筒体(サブヒータ23b)を有する。
【0044】
ハロゲンヒータ23は、定着ベルト21の内周側で、かつ、ニップ部Nの用紙搬送方向の上流側に配設されている。ハロゲンヒータ23は、プリンタ本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱するように構成されており、その出力制御は、例えば温度センサ28による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このような出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定できる。
【0045】
なお、定着ベルト21の温度を検知する温度センサ28の代わりに、加圧ローラ22の温度を検知する温度センサ(図示省略)を設け、その温度センサで検知した温度により、定着ベルト21の温度を予測するようにしてもよい。このように予測した温度に基づいて上記の出力制御を行うようにしてもよい。
【0046】
本実施形態において、ハロゲンヒータ23として、メインヒータ23aとサブヒータ23bの2本が設けられている。詳細例は後述する。
【0047】
ニップ形成部材24は、定着ベルト21の内部に配置され、加圧ローラ22からの加圧を受けてニップ部Nを形成する。ニップ形成部材24は、支持部材25に支えられて定着ベルト21の内面と直接摺動するようになっており、定着ベルト21の内周側から加圧ローラ22に当接してニップ部Nを形成する。ニップ形成部材24が加圧ローラ22の加圧力を受けることで、ニップ部Nの形状が決まる。本実施形態では、ニップ部Nの形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状としてもよい。
【0048】
支持部材25は、ニップ形成部材24を支持する。また、支持部材25は、定着ベルト21の内部を区画する役割も有する。支持部材25の形状や材質等は、適宜選択することができる。
【0049】
反射部材26は、ハロゲンヒータ23と対向するように支持部材25に固定支持されており、ハロゲンヒータ23からの熱を定着ベルト21へ反射する。反射部材26によって、ハロゲンヒータ23から放射された熱(又は光)を定着ベルト21へ反射することで、熱が支持部材25等に伝達されることを抑制できる。また、反射部材26を用いることにより、定着ベルト21を効率良く加熱すると共に省エネルギー化を図ることができる。
【0050】
反射部材26の材料としては、例えばアルミニウムやステンレス等が用いられる。特に、アルミニウム製の基材に輻射率の低い(反射率の高い)銀を蒸着したものを用いた場合、定着ベルト21の加熱効率を向上させることが可能である。
【0051】
トナー画像が転写された記録媒体が定着装置20に搬送され、記録媒体がニップ部Nを通過することで、記録媒体上のトナー画像が記録媒体に定着される。
【0052】
次に、本実施形態の加熱装置、特にハロゲンヒータ23の詳細例について説明する。
本実施形態において、ハロゲンヒータ23は、定着ベルト21を内部から輻射加熱する熱源の一例であり、第一ガラス筒体(メインヒータ23a)及び第二ガラス筒体(サブヒータ23b)を有する。
【0053】
メインヒータ23aとサブヒータ23bは、ガラスの筒体と、その内部にコイル部材とを有し、それぞれ第一ガラス筒体と第二ガラス筒体の一例である。コイル部材は、記録媒体の最大通紙幅(対応用紙最大幅などと称してもよい)にわたって設けられている。メインヒータ23aとサブヒータ23bの長さは、ともに記録媒体の最大通紙幅以上である。本実施形態におけるコイル部材としては、例えばフィラメントコイル(フィラメントとも称することがある)を用いる。
【0054】
なお、記録媒体の幅方向は、記録媒体の搬送方向と直交する方向であり、定着ベルト21の回転軸方向に沿った方向である。図2において、定着ベルト21の回転方向を矢印で示している。また、記録媒体の幅方向を、軸方向、長手方向などと称することがある。
【0055】
上記のように、メインヒータ23aとサブヒータ23bのフィラメントコイルを記録媒体の最大通紙幅にわたって設けることで、熱源に用いる温度検知手段等の部品数が増えることを防止できる。これについて図3を用いて模式的に説明する。
図3(A)は、本実施形態におけるメインヒータ23aとサブヒータ23bを説明する図であり、図3(A)は、本発明に含まれない中央加熱用ヒータ44aと端部加熱用ヒータ44bを説明する図である。本実施形態におけるメインヒータ23aとサブヒータ23bは、記録媒体の最大通紙幅にわたってフィラメントコイルを設けているため、安全装置としてのNCセンサ41とサーモスタット42、温度制御を行うサーモパイル43がそれぞれ1つでよい。一方、中央加熱用ヒータ44aと端部加熱用ヒータ44bを設ける構成では、中央と端部とで、NCセンサ41、サーモスタット42及びサーモパイル43を設ける必要がある。従って本実施形態では、温度制御センサや安全装置等の検知手段の部品数が増えることを防止できる。
【0056】
また、本実施形態のように、ハロゲンヒータ23をメインヒータ23aとサブヒータ23bの2本にすることで、高出力化に伴う突入電流の軽減や同一電源下の危機に対するフリッカーを回避することができる。
【0057】
メインヒータ23aは、記録媒体の幅方向にわたって発熱強度が一定になっている。一方、サブヒータ23bは、記録媒体の幅方向の一部で発熱強度が他の箇所に比べて大きくなっている箇所を有している。例えば、サブヒータ23bの発熱強度は、両端部側が中央部側に対して高くなっている。サブヒータ23bにおいて、両端部側の発熱強度が中央部側の発熱強度に対して高くなっていることにより、例えば通紙領域と非通紙領域との温度偏差を低減することができる。このように、幅方向の一部で発熱強度を変えるには、例えば、幅方向でコイルの巻き方を変化させる。
【0058】
特に制限されるものではないが、本実施形態では例えば以下のように、ヒータの発熱強度や点灯を行うことが好ましい。例えば、小サイズ通紙時では、メインヒータ23aの発熱強度を、小サイズの非通紙部の最低限まで下げ、メインヒータ23aのみを点灯させる。本実施形態では、メインヒータ23aとサブヒータ23bの加熱領域を記録媒体の最大通紙幅にしているため、小サイズ通紙時に非通紙部の領域が大きくなる。このため、記録媒体が小サイズであると、端部温度の上昇が大きくなってしまうが、上記のように、小サイズ通紙時では、メインヒータ23aの発熱強度を、小サイズの非通紙部の最低限まで下げ、メインヒータ23aのみを点灯させることで、端部の温度上昇を抑制することができる。
【0059】
また、サブヒータ23bについて、中央の発熱強度よりも端部の発熱強度を高くするとともに、大サイズ通紙時はメインヒータ23aとサブヒータ23bの両方を点灯させるようにしてもよい。この場合、用紙端部の温度ダレを防止し、大サイズの端部定着性を確保することができる。
【0060】
用紙端部の温度ダレは通紙初期に発生するものであるため、上記のように、大サイズ通紙時にメインヒータ23aとサブヒータ23bの両方を点灯させて通紙させることを繰り返していくと、用紙端部の温度ダレが解消されていくことが考えられる。このため、大サイズ通紙時にメインヒータ23aとサブヒータ23bの両方を点灯し続けていると、端部を必要以上に加熱して高温となり、定着不良が生じることがある。そこで、用紙端部の温度ダレが解消された時点で、発熱強度が軸方向で一定であるメインヒータ23aのみを点灯させることで、用紙端部の高温化による定着不良を防止することができる。
【0061】
上記の例を模式的に図4に示す。図4(a)は小サイズ通紙時を示しており、図4(b)は大サイズ通紙時を示している。図示するように、小サイズ通紙時は、メインヒータ23aを点灯し、サブヒータ23bは点灯しない。一方、大サイズ通紙時は、メインヒータ23aとサブヒータ23bを点灯する。このようにすることで上記のような利点が得られる。また、発熱強度はヒータが点灯した際の発熱量を表しており、その発熱強度のヒータをどのくらいの割合で点灯(ON/OFF)するかを制御(Duty制御)することでベルト部材の温度を調整することができる。
【0062】
上述したように、特許文献1では、加熱効率の向上の他、温度検知手段等の部品数が増えるという問題がある。そこで我々は、このような問題を解決すべく、記録媒体の最大通紙幅内で幅方向均一な発熱強度を有するヒータと、幅方向の両側の発熱強度が中央部の発熱強度よりも高くなるヒータとを有する装置の検討を行い、特許出願を行った。このような装置によれば、温度検知手段等の部品数が増えるという問題に対して有効であると考えられる。しかしこの場合、どのような紙サイズ条件においても熱源が全幅発光することになるため、可能な限り加熱効率を上げておくことが好ましい。そこで本発明者は更に検討を行い、本実施形態のように、用いるヒータや部材の配置等を工夫することで本発明に至った。
【0063】
本実施形態におけるメインヒータ23aは、記録媒体の幅方向にわたって発熱強度が一定になっているとともに、サブヒータ23bよりも出力が高く、サブヒータ23bよりも点灯の頻度が高くなっている。また、定着ベルト21の回転方向において、メインヒータ23aの方がサブヒータ23bよりもニップ部入口Neの近くに配置されている。
【0064】
メインヒータ23aは、サブヒータ23bよりも出力が高く、点灯の頻度も高いため、よく点灯させるメインヒータ23aのガラス筒の熱容量をサブヒータ23bのガラス筒の熱容量よりも小さくすることで定着ベルト21への加熱効率を向上させることができる。またこれにより省エネルギーな加熱装置にすることができる。なお、上記のメインヒータ23aとサブヒータ23bの出力とあるのは、軸方向の全幅にわたる出力の総量であり、特に制限されるものではないが、例えば、本例におけるメインヒータの出力(発光強度)は約1000Wとすることができ、サブヒータの出力(発光強度)は約350Wとすることができる。
【0065】
メインヒータ23aのガラス筒(ガラス管とも称する)の熱容量を小さくできる理由としては、発光分布が軸方向の全幅でフラットであるため、通電によるフィラメント昇温中にガラス管も幅方向でフラットに温度上昇し、均一に膨張するためである。一方、サブヒータ23bは、軸方向の中央部と端部で発光偏差を有するため、昇温中は軸方向でガラス管の温度偏差が発生し、膨張差も生じる。この場合、ガラス管の強度が不十分であると、この膨張差でガラス管壁面にマイクロクラックが発生することがある。また、ハロゲンサイクル不良を引き起こすことがあり、寿命が短くなる等の不具合が発生する可能性がある。そのため、メインヒータ23aは、熱容量を小さくすること対象として適しており、ガラス管の外径を小さくしたり、ガラス管の厚みを小さくしたりすることに適している。
【0066】
効率の観点からすると、メインヒータ23aのガラス筒の熱容量とともにサブヒータ23bのガラス筒の熱容量も小さくすることが特に好ましい。一方で、上述したようにサブヒータ23bでは温度偏差や膨張差が生じるため、小径化や薄肉化などを行いにくく、熱容量を下げにくい。そのため、メインヒータ23aのガラス筒の熱容量とともにサブヒータ23bのガラス筒の熱容量も小さくする場合の目安として、メインヒータ23aのガラス筒の熱容量がサブヒータ23bのガラス筒の熱容量よりも小さいという規定を行うことが好ましい。このような場合、加熱効率を向上させることができ、高効率な装置を得ることができる。
【0067】
メインヒータ23aのガラス管の熱容量を小さくする方法としては、例えば、ガラス管の外径を小さくする方法が挙げられ、またメインヒータ23aのガラス管の厚さを維持したままガラス管の外径を小さくする方法が挙げられる。これらは、メインヒータの小径化などとも称される。
メインヒータ23aのガラス管の熱容量を小さくする方法としては、この他にも例えば、ガラス管の厚さを小さくする(内径を大きくする)方法が挙げられ、またガラス管の外径を維持したままガラス管の厚さを小さくする方法が挙げられる。これらは、メインヒータの薄肉化などとも称される。
この他にも例えば、メインヒータの薄肉化と小径化を両方行ってもよい。
【0068】
図2に示す例は、メインヒータ23aを小径化した場合の例であり、メインヒータ23aのガラス管の外径をメインヒータ23aのガラス管の外径よりも小さくした場合の例である。このようにすることでメインヒータ23aのガラス管の熱容量を小さくすることができ、メインヒータ23aのガラス筒の熱容量をサブヒータ23bのガラス筒の熱容量よりも小さくすることができる。
【0069】
また、メインヒータ23aを小径化することで、ニップ入り口付近の狭くなっているスペースにメインヒータ23aを詰めて配置することができ、レイアウトの観点からも利点がある。そのため、メインヒータ23aを小径化することで、支持部材25と定着ベルト21とで区画され、ニップ部入口Neの近くの狭いスペースにメインヒータ23aを詰めて配置することができ、装置の小型化を図ることができる。また、メインヒータ23aを小径化させることで、照射角度を広く取ることができるといった利点や、メインヒータ23aのフィラメントコイルと定着ベルトとの距離を近くすることが可能になり、更に加熱効率を向上させることができるといった利点が得られる。
【0070】
次に、本実施形態の他の例について説明する。
上記の例は、メインヒータ23aを小径化した場合の例であったが、本例は、メインヒータ23aを薄肉化した場合の例である。点灯頻度の高いメインヒータ23aのガラス筒の筒厚(厚み)を薄くすることで、ガラス管の熱容量を小さくすることができ、加熱効率を向上させることができる。
【0071】
図5は、本例を説明するための断面概略図である。図示するように、本例におけるメインヒータ23aのガラス筒の厚みが薄くなっている。メインヒータ23aのガラス管の熱容量を小さくできる理由としては、発光分布が全幅フラットのため、通電によるフィラメントの昇温中にガラス管も幅方向でフラットに温度上昇し、サブヒータ23bに比べて均一に膨張するためである。メインヒータ23aはガラス管が均一に膨張するため、サブヒータ23bよりもガラス管の強度を下げることができ、例えば外表面側からガラス管の厚みを減らすことが可能となる。
【0072】
上述したように、サブヒータ23bは、軸方向の中央部側と端部側とで発光偏差を有しているため、昇温中は軸方向でガラス管の温度偏差が発生し、膨張差も生じる。この場合、サブヒータ23bのガラス管の強度が不十分である場合、この膨張差によりガラス管の壁面にマイクロクラックが発生する場合がある。また、ハロゲンサイクルの不良が生じる場合があり、寿命が短くなる場合があるため、サブヒータ23bはガラス管の熱容量を小さくしにくい。一方、メインヒータ23aは薄肉化してガラス管の熱容量を小さくことに適している。
【0073】
また本例では、メインヒータ23aのガラス筒の筒厚は、サブヒータ23bのガラス筒の筒厚よりも小さくなっている。この場合、よく点灯させるメインヒータ23aのガラス筒の熱容量を十分に小さくすることができ、加熱効率を向上させることができる。
【0074】
次に、本実施形態の他の例について説明する。
本例におけるメインヒータ23aのフィラメントコイルは、二重巻きになっている。
図6は、本例を説明するための図であり、軸方向(記録媒体の幅方向)と垂直な方向から見た場合のメインヒータ23aとサブヒータ23bを模式的に示す図である。図示するように、メインヒータ23aのフィラメントコイル40aは、二重巻きになっている。メインヒータ23aのフィラメントコイル40aが二重巻きになっていることにより、ヒータの加熱効率を更に向上させることができる。本例では、メインヒータ23aのガラス管の熱容量を小さくするのにあわせて、ヒータのフィラメントコイルを二重巻きにすることで、更にヒータの加熱効率を向上させることができる。
【0075】
なお、図中のAはメインヒータ23aのガラス筒の外径を表し、図中のBはサブヒータ23bのガラス筒の外径を表している。図では、AとBが同じであるように見えるが、本実施形態では、AをBよりも小さくする。また、図5に示す例のように、メインヒータ23aのガラス筒の厚みをサブヒータ23bのガラス筒の厚みよりも小さくすることが好ましい。図中、サブヒータ23bのガラス筒の厚みが大きいことを太線で表現している。
【0076】
また、本例では、メインヒータ23aのフィラメントコイルの線径は、サブヒータ23bのフィラメントコイルの線径よりも細いことが好ましい。メインヒータ23aにおいて、線径の細いフィラメントを使用して二重巻きのコイル構成とすることで、フィラメントの昇温を早くすることができ、表面積も大きくなるため、加熱効率を向上させることができる。図中、メインヒータ23aのフィラメントコイルの線径が細いことを細線で表現している。
【0077】
また本例では、図6に示すように、サブヒータ23bのフィラメントコイルの巻き方を場所によって変えてもよい。例えばサブヒータ23bの両端部で発熱強度が高くなるようにすることが好ましい。
【0078】
次に、本実施形態の他の例について説明する。
本実施形態の定着装置において、ニップ形成部材の構成は適宜変更することができる。本実施形態において、ニップ形成部材には熱伝導部材を用いることが好ましい。熱伝導部材を用いることで、均熱効果が得られ、軸方向における定着ベルト21の温度偏差を低減することができる。
【0079】
また、ヒータの加熱効率が大きくなることにあわせて、ニップ形成部材の均熱効果を調整することで、軸方向における定着ベルト21の温度偏差を更に低減することができ、本実施形態を適用可能なCPM(Copies Per Minute)の範囲を広げることができる。高CPM機の場合、軸方向における定着ベルト21の温度偏差が大きくなりがちであるため、熱伝導部材を用いることで、高CPM機にも本実施形態を適用することができる。
【0080】
本実施形態において、ニップ形成部材に熱伝導部材を用いる場合、ニップ形成部材は熱伝導部材のみからなるものとしてもよいし、ニップ形成部材は熱伝導部材を含む複数の部材からなるものとしてもよい。例えば、図2図5に示すニップ形成部材24を熱伝導率の高い材料で構成し、図示するニップ形成部材24を熱伝導部材としてもよい。
【0081】
図7に、本実施形態の他の例を示す。図7では、ニップ形成部材24aとは別に、熱伝導部材27を用いている。図示するように、熱伝導部材27でニップ形成部材24aを覆う構成としており、熱伝導部材27は定着ベルト21に当接している。本例では、ニップ形成部材24aと熱伝導部材27をニップ形成部材24としており、本例におけるニップ形成部材24は、熱伝導部材27を含む複数の部材で構成されている。ニップ形成部材24aとしては、特に制限されるものではなく、任意の材料とすることができる。
【0082】
熱伝導部材の材料としては、適宜選択することができ、例えば、耐熱性で熱伝導率の高い下記のような材料(良熱伝導体)を用いることができる。
【0083】
(材料) (熱伝導率)
カーボンナノチューブ:3000~5500W/mK
グラファイトシート :700~1750W/mK
銀 :420W/mK
銅 :398W/mK
アルミニウム :236W/mK
【0084】
以上説明したように、本発明によれば、熱源に用いる温度検知手段等の部品数が増えることを防止し、加熱効率を向上させることができる。また、軸方向の全幅で発光するヒータを用いた場合でも、高効率で省エネルギーな加熱装置を提供することが可能になる。
【0085】
次に、本実施形態の他の例について説明する。上記と同様の事項については説明を省略する。
上記の図2図5に示す例は、メインヒータ23aを小径化した場合の例、又は、メインヒータ23aを薄肉化した場合の例であったが、小径化と薄肉化の両方を行ってもよい。
【0086】
図8は、本例を説明するための断面概略図である。図示するように、本例におけるメインヒータ23aのガラス筒の外径が小さくなっているとともに厚みが薄くなっている。このように小径化と薄肉化の両方を行うことで、メインヒータ23aのガラス筒の熱容量を更に小さくすることができ、加熱効率をより向上させることができる。このため、より高効率で省エネルギーな加熱装置とすることができる。
【0087】
また本例では、メインヒータ23aのガラス筒の外径及び厚みがサブヒータ23bの外径及び厚みよりも小さくなっており、これにより効果的に加熱効率を向上させることができる。
【0088】
また本例においても、メインヒータ23aを小径化することで、定着ベルト21の回転方向においてニップ部入口Neに近い位置に配置できるという利点が得られる。支持部材25と定着ベルト21とに区画され、ニップ部入口Neの近くの狭いスペースに詰めてメインヒータ23aを配置することが可能になる。更に、メインヒータ23aの照射角度を広く取ることができることに加え、フィラメントと定着ベルト21の距離を近づけることができ、加熱効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0089】
20 定着装置
21 定着ベルト
22 加圧ローラ
23 ハロゲンヒータ
23a メインヒータ
23b サブヒータ
24 ニップ形成部材
25 支持部材
26 反射部材
27 熱伝導部材
28 温度センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2016-99590号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8