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特開2023-130117半導体成型用離型フィルム及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130117
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】半導体成型用離型フィルム及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20230912BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20230912BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20230912BHJP
   B29C 33/68 20060101ALI20230912BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20230912BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C45/14
B29C45/26
B29C33/68
B29C33/12
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034606
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘司
(72)【発明者】
【氏名】瀬里 泰洋
【テーマコード(参考)】
4F100
4F202
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F100AK25A
4F100AK41B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100DE01A
4F100EJ38B
4F100GB41
4F100JK14A
4F100JL14A
4F100YY00A
4F202AA39
4F202AD03
4F202AD05
4F202AD19
4F202AG03
4F202AH33
4F202AH37
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB17
4F202CM73
4F202CM74
4F202CQ01
4F206AA39
4F206AD03
4F206AD05
4F206AD19
4F206AG03
4F206AH33
4F206AH37
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF06
4F206JL02
4F206JN41
4F206JQ81
5F061AA01
5F061CA21
5F061DA06
(57)【要約】
【課題】封止樹脂への離型性を有しつつ、成型した半導体パッケージ表面における封止樹脂のフロー跡を低減可能な半導体成型用離型フィルム、及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル樹脂粒子を含む離型層と、基材層と、を含み、前記(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径が1μm~7μmである半導体成型用離型フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル樹脂粒子を含む離型層と、基材層と、を含み、
前記(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径が1μm~7μmである半導体成型用離型フィルム。
【請求項2】
前記離型層の表面粗さSmが0.02mm~0.20mmである請求項1に記載の半導体成型用離型フィルム。
【請求項3】
前記離型層中の前記(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率が5体積%~50体積%である請求項1又は請求項2に記載の半導体成型用離型フィルム。
【請求項4】
前記離型層の平均厚みが3μm~25μmである請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径Dに対する前記離型層の平均厚みTの比率(T/D)が0.5~8.0である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
【請求項6】
前記基材層が、ポリエステルフィルムである請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
【請求項7】
トランスファー成型に用いられる請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルムを用いてトランスファー成型を行うことを含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体成型用離型フィルム及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップは通常、外気からの遮断及び保護のため樹脂で封止され、パッケージと呼ばれる成形品として基板上に実装され半導体装置が製造される。従来、成形品は封止樹脂の流路であるランナーを介して連結した1チップ毎のパッケージ成形品として成形されている。この場合、金型の構造、封止樹脂への離型剤の添加等により、成形品の金型からの離型性を得ている。
一方、パッケージの小型化、多ピン化等の要請から、Ball Grid Array(BGA)方式、Quad Flat Non-leaded(QFN)方式、ウエハレベルChip Size Package(WL-CSP)方式等のパッケージが増加している。QFN方式では、スタンドオフの確保及び端子部への封止材バリ発生を防止するため、またBGA方式及びWL-CSP方式では、金型からのパッケージの離型性向上のため、樹脂製離型フィルムが用いられる(例えば、特許文献1参照)。このように離型フィルムを使用する成型方法を、「フィルムアシスト成型」という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-158242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の離型フィルムを使用すると、半導体パッケージを樹脂成型する際に、半導体パッケージの封止樹脂と金型とを容易に離型することは可能である。しかし、成型したパッケージ表面に封止樹脂のフロー跡が残る場合がある。例えば、トランスファーモールド成型では、溶融した封止樹脂に対して局所的に圧力が強くかかることがあり、この部分においてフロー跡が発生しやすくなっていることが判明した。
【0005】
特に近年、半導体チップの積層化、複数の半導体チップを一つのパッケージに収納するSiP(System in Package)等により形状が複雑化しつつあり、局所的に封止樹脂に高い圧力がかかりやすくなっている。SiPを利用した半導体パッケージ構造には、基板の両面に半導体チップを配置した両面型パッケージも含まれ、両面型パッケージではバンプ接続面も樹脂成型される。この場合、バンプの高さに起因した凹凸がパッケージ表面に存在するため、封止樹脂のフロー跡がより発生しやすい状況にある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、封止樹脂への離型性を有しつつ、成型した半導体パッケージ表面における封止樹脂のフロー跡を低減可能な半導体成型用離型フィルム、及び半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、下記の態様を含む。
<1> (メタ)アクリル樹脂粒子を含む離型層と、基材層と、を含み、
前記(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径が1μm~7μmである半導体成型用離型フィルム。
<2> 前記離型層の表面粗さSmが0.02mm~0.20mmである<1>に記載の半導体成型用離型フィルム。
<3> 前記離型層中の前記(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率が5体積%~50体積%である<1>又は<2>に記載の半導体成型用離型フィルム。
<4> 前記離型層の平均厚みが3μm~25μmである<1>~<3>のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
<5> 前記(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径Dに対する前記離型層の平均厚みTの比率(T/D)が0.5~8.0である<1>~<4>のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
<6> 前記基材層が、ポリエステルフィルムである<1>~<5>のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
<7> トランスファー成型に用いられる<1>~<6>のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルム。
<8> <1>~<7>のいずれか1項に記載の半導体成型用離型フィルムを用いてトランスファー成型を行うことを含む半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、封止樹脂への離型性を有しつつ、成型した半導体パッケージ表面における封止樹脂のフロー跡を低減可能な半導体成型用離型フィルム、及び半導体装置の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
【0010】
本開示において、層又はフィルムの平均厚み(厚みの平均値ともいう)は、対象となる層又はフィルムの5点の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。
層又はフィルムの厚みは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。本開示において、層又はフィルムの厚みを直接測定可能な場合には、マイクロメーターを用いて測定する。一方、1つの層の厚み又は複数の層の総厚みを測定する場合には、電子顕微鏡を用いて、フィルムの断面を観察することで測定してもよい。
【0011】
<半導体成型用離型フィルム>
本開示の半導体成型用離型フィルム(以下、「本開示の離型フィルム」とも称する)は、(メタ)アクリル樹脂粒子を含む離型層と、基材層と、を含み、(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径が1μm~7μmである。
より詳細には、本開示の離型フィルムは、半導体パッケージの樹脂成型において使用される金型と接触させる基材層の片面に、成型される半導体パッケージと接触する離型層を少なくとも備える。
【0012】
本開示の離型フィルムは、上記構成を採ることにより、封止樹脂への離型性を有しつつ、成型した半導体パッケージ表面における封止樹脂のフロー跡が低減できる。この理由は明らかではないが、以下のように推察される。
本開示の離型フィルムでは、離型層に平均粒子径が1μm以上の(メタ)アクリル樹脂粒子を含ませることにより、離型層の外表面(半導体パッケージに対向する面)がある程度荒らされて、封止樹脂に対して離型性が発現されると推察される。また、離型層に含有される(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径を7μm以下とすることにより、封止樹脂のフロー跡が低減され、パッケージ表面外観の均一性を向上することができると推察される。さらには、アクリル樹脂粒子は離型層に含まれるその他の成分との密着性に優れるため、離型層から脱落し難く、半導体パッケージの汚染の抑制も図られると推察される。
【0013】
[離型層]
本開示の離型フィルムは、離型層を有する。離型層中のアクリル樹脂粒子の平均粒子径は1μm~7μmである。
【0014】
(樹脂粒子)
本発明における樹脂粒子は、(メタ)アクリル樹脂を含む。(メタ)アクリル樹脂とは、アクリロイル基を有する樹脂をいい、(メタ)アクリロイルオキシ基を有することが好ましい。アクリル樹脂は1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0015】
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体に由来する構成単位を主成分とする(共)重合体である。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体に由来する構成単位を50質量%超含み、60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましく、(メタ)アクリル単量体の単重合体であってもよい。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂)等が挙げられる。
【0016】
(メタ)アクリル単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2-クロロエチル、メタクリル酸2-クロロエチル、アクリル酸2-フルオロエチル、メタクリル酸2-フルオロエチル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0017】
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体以外の他の単量体に由来する構成単位を含んでもよく、他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、スチレン誘導体、ビニル化合物等が挙げられる。
スチレン誘導体としては、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4-フルオロスチレン、2,5-ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレンなどが挙げられる。
ビニル化合物としては、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
有機溶媒に対する(メタ)アクリル樹脂粒子の溶解性を抑制する観点からは、(メタ)アクリル樹脂粒子に含まれるアクリル樹脂は架橋樹脂であることが好ましい。
【0018】
(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径は1μm~7μmである。樹脂粒子の平均粒子径は、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよい。また、(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径は、6μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。
(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、封止樹脂に対して離型性が発現される。(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径が7μm以下であると、封止樹脂のフロー跡が低減され、パッケージ表面外観の均一性が向上する。また、(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径が7μm以下であると、離型層中に(メタ)アクリル樹脂粒子を固定するために離型層の厚みを過度に大きくする必要がなくコストの観点で好ましい。
【0019】
(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法、3D CT法、又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いる方法で測定することができる。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒子径は、体積累積の粒度分布曲線において、小粒子径側からの累積が50%となる粒子径(50%D)として求められる。例えば、レーザー光散乱法を利用した粒子径分布測定装置(例えば、(株)島津製作所、「SALD-3000」)を用いて測定することができる。
離型層から(メタ)アクリル樹脂粒子を取り出す方法は、いずれの方法であってもよく、例えば、適切な溶媒によって離型層に含まれるその他の成分を溶解して(メタ)アクリル樹脂粒子を取り出してもよい。その他の成分を溶解するのに用いる溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0020】
封止樹脂のフロー跡の低減の観点から、(メタ)アクリル樹脂粒子の最大粒子径は15μm以下であることが好ましく、12μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル樹脂粒子の最大粒子径は、上述のレーザー回折散乱式粒度分布測定法、3D CT法、又はSEMを用いる方法によって確認することができる。
【0021】
(メタ)アクリル樹脂粒子の形状は、特に限定はされず、球形、楕円形、不定形等のいずれであってもよい。
【0022】
(メタ)アクリル樹脂粒子の具体例としては、綜研化学(株)のMXシリーズが挙げられる。
【0023】
離型層中の(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率は、5体積%~50体積%であることが好ましく、5体積%~40体積%であることがより好ましく、5体積%~30体積%であってもよく、5体積%~20体積%であってもよく、5体積%~15体積%であってもよい。
離型層中の(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率が5体積%以上であると、離型層表面に充分に凹凸が形成されて、封止樹脂に対して離型性が発現されやすい傾向にある。離型層中の(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率が50体積%以下であると、封止樹脂のフロー跡が低減され、パッケージ表面外観の均一性が向上しやすい傾向にある。また、離型層中の(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率が50体積%以下であると、離型層中の後述する樹脂成分により(メタ)アクリル樹脂粒子が固定されやすくなり、(メタ)アクリル樹脂粒子の脱落の可能性が低下し、成型した半導体パッケージ表面への汚染を抑制でき、且つ経済的にも好ましい傾向にある。
【0024】
離型層中の(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率は、例えば、離型フィルムの離型層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、単位体積当たりの樹脂粒子の割合として算出することができる。詳細には、以下の方法により算出することができる。
まず、離型層の断面をSEMで観察し、この断面における任意の面積(以下、「特定面積」とも称する)に含まれる(メタ)アクリル樹脂粒子の数及び粒子径を測定する。更に、上記特定面積に基づいて任意の体積(以下、「特定体積」とも称する)を設定し、この特定体積中に含まれる(メタ)アクリル樹脂粒子の数を算出する。さらに、(メタ)アクリル樹脂粒子の粒子径に基づいて、(メタ)アクリル樹脂粒子1つ当たりの体積を算出する。そして、算出された(メタ)アクリル樹脂粒子の数及び(メタ)アクリル樹脂粒子1つ当たりの体積から、特定体積中に含まれる(メタ)アクリル樹脂粒子の総体積を算出し、この(メタ)アクリル樹脂粒子の総体積を特定体積で除することにより、離型層中に含まれる樹脂粒子の体積含有率を算出することができる。
【0025】
別の方法としては、25℃における離型層の質量(Wc)を測定し、その離型層をトルエン等の溶媒で溶解して、残存した(メタ)アクリル樹脂粒子の25℃における質量(Wf)を測定する。次いで、電子比重計又は比重瓶を用いて、25℃における樹脂粒子の比重(df)を求める。次いで、同様の方法で25℃における離型層の比重(dc)を測定する。次いで、離型層の体積(Vc)及び残存した(メタ)アクリル樹脂粒子の体積(Vf)を求め、(式1)に示すように残存した(メタ)アクリル樹脂粒子の体積を離型層の体積で除すことで、(メタ)アクリル樹脂粒子の体積比率(Vr)として求める。
(式1)
Vc=Wc/dc
Vf=Wf/df
Vr=Vf/Vc
【0026】
Vc:離型層の体積(cm
Wc:離型層の質量(g)
dc:離型層の比重(g/cm
Vf:(メタ)アクリル樹脂粒子の体積(cm
Wf:(メタ)アクリル樹脂粒子の質量(g)
df:(メタ)アクリル樹脂粒子の比重(g/cm
Vr:(メタ)アクリル樹脂粒子の体積比率
尚、この測定方法における離型層は、離型フィルムから剥離したものであってもよく、この測定方法用に別途作製したものであってもよい。
【0027】
(樹脂成分)
離型層はさらに樹脂成分を含んでいてよい。離型層の樹脂成分は特に限定されない。樹脂成分は、半導体パッケージとの離型性、耐熱性等の観点から、アクリル樹脂又はシリコーン樹脂であることが好ましく、架橋型アクリル樹脂(以下、「架橋型アクリル共重合体」とも称する)であることがより好ましい。
【0028】
アクリル樹脂は、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、2-エチルヘキシルアクリレート等の低ガラス転移温度(Tg)モノマーを主モノマーとし、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル等の官能基モノマーと共重合することで得られるアクリル共重合体であることが好ましい。また、架橋型アクリル共重合体は、上記モノマーを架橋剤によって架橋することにより製造することができる。
架橋型アクリル共重合体の製造に使用される架橋剤としては、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の公知の架橋剤が挙げられる。また、アクリル樹脂中に緩やかに広がった網目状構造を形成するために、架橋剤は3官能、4官能等の多官能架橋剤であることがより好ましい。
【0029】
上記のような架橋剤を使用して製造される架橋型アクリル共重合体は緩やかに広がった網目状構造を有するので、この架橋型アクリル重合体を離型層の樹脂成分として使用すると、離型層の延伸性が向上し、基材層の延伸性を阻害することが抑制されるため、離型フィルムの金型に対する追従性が向上する傾向にある。
この観点から、架橋型アクリル共重合体の製造において使用される架橋剤の量は、アクリル共重合体100質量部に対して、3質量部~100質量部であることが好ましく、5質量部~70質量部であることがより好ましい。架橋剤の量が3質量部以上であると樹脂成分の強度が確保されるため汚染を防ぐことができ、100質量部以下であると架橋型アクリル共重合体の柔軟性が向上し、離型層の延伸性が向上する。
【0030】
(その他の成分)
離型層は、本発明の効果が阻害されない限り、必要に応じて、溶媒、アンカリング向上剤、架橋促進剤、帯電防止剤、着色剤等を更に含んでいてもよい。
【0031】
(離型層の平均厚み)
離型層の平均厚みは特に限定されず、使用する樹脂粒子の平均粒子径との関係を考慮して適宜設定され、3μm~25μmであることが好ましい。離型層の平均厚みは、20μm以下であってもよく、15μm以下であってもよい。また、離型層の平均厚みは、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよい。
離型層の平均厚みが3μm以上であると、離型層における(メタ)アクリル樹脂粒子の保持性に優れる傾向がある。離型層の平均厚みが25μm以下であると、封止樹脂に対する離型性に優れる傾向がある。
【0032】
(離型層の平均厚みと(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径との関係)
(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径Dに対する離型層の平均厚みTの比率(T/D)は、0.5~8.0であることが好ましく、1.0~7.0であることがより好ましく、1.0~6.5であることがさらに好ましい。
比率(T/D)は6.5以下であると、封止樹脂に対する離型性に優れる傾向がある。比率(T/D)が6.5以下であると、離型層における(メタ)アクリル樹脂粒子の保持性に優れる傾向がある。
【0033】
(離型層の表面粗さSm)
離型層の表面粗さSmは、例えば、表面粗さ測定装置(例えば、(株)小坂研究所、型番SE-3500)を用いて、触針先端径2μm、送り速さ0.5mm/s及び走査距離8mmの条件で測定した結果を、JIS B0601(1994)又はISO 4287(1997)により解析して得ることができる。
【0034】
表面粗さSmは、凹凸の平均間隔を表し、粗さ曲線が平均点と交差する交点から求めた山谷-周期の間隔の平均値である。本開示の離型フィルムでは、他の表面粗さの指標Ra、Rz等よりもSmの指標において、フロー跡の低減に対する影響が大きいことが確認されている。この理由は明らかではないが以下のように推察される。Ra、Rz等は凹凸の高さのばらつきを表現する指標であるのに対して、Smは凹凸の間隔を表現する指標である。したがって、離型層に平均粒子径が1μm~7μmの(メタ)アクリル樹脂粒子を使用した場合には、フロー跡は凹凸の高さよりも凹凸の間隔に大きな影響を受けているものと推察される。
【0035】
封止樹脂への離型性を有しつつ、封止樹脂のフロー跡を低減する観点から、離型層の表面粗さSmは0.02mm~0.20mmであることが好ましく、0.03mm~0.18mmであることがより好ましく、0.03mm~0.15mmであることがさらに好ましい。離型層の表面粗さSmを上記範囲内とすることで、光がより散乱し、フロー跡が視認されにくくなっている可能性がある。
離型層Smの表面粗さを上記範囲内に調整する方法としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径と離型層の平均厚みとを調整する方法、その他成分の種類、添加量等を適宜選択して調整する方法等が挙げられる。
【0036】
[基材層]
本開示の離型フィルムは基材層を有する。基材層としては特に限定されず、当該技術分野で使用されている樹脂含有基材層から適宜選択することができる。金型の形状に対する追従性を向上する観点からは、延伸性に優れる樹脂含有基材層を使用することが好ましい。
基材層は、封止材の成形が高温(100℃~200℃程度)で行われることを考慮すると、この温度以上の耐熱性を有することが望ましい。また、離型フィルムを金型に装着する際及び成形中の樹脂が流動する際に封止樹脂のシワ、離型フィルムの破れ等の発生を抑制する観点からは、高温時の弾性率、伸び等を考慮して選択することが好ましい。
【0037】
基材層の材料は、耐熱性及び高温時の弾性率の観点から、ポリエステル樹脂であることが好ましい。ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂並びにこれらの共重合体及び変性樹脂が挙げられる。
基材層としては、ポリエステル樹脂をシート状に成型したものが好ましく、基材層がポリエステルフィルムであることがより好ましく、金型への追従性の観点からは、2軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。
【0038】
基材層の平均厚みは特に限定されず、5μm~300μmであることが好ましく、10μm~200μmであることがより好ましい。平均厚みが5μm以上であると、取扱い性に優れ、シワが生じ難い傾向にある。平均厚みが300μm以下であると、成型時の金型への追従性に優れるため、成型された半導体パッケージのシワ等の発生が抑制される傾向にある。
【0039】
[その他]
基材層は金型表面に接触する層であり、用いる材料によっては離型フィルムを金型から剥離するためにより大きな剥離力が必要となることがある。この様に金型から剥離しにくい材料を基材層に使用する場合には、金型から離型フィルムを剥離しやすくするように調整することが好ましい。例えば、基材層の離型層と接する反対の面、つまり基材層の金型側の面に、金型からの離型性を向上させるために梨地加工等の表面加工を施したり、新たに別の離型層(第2離型層)を設けたりしてもよい。第2離型層の材料としては、耐熱性、金型からの剥離性等を満たす材料であれば特に限定せず、離型層と同じ材料を使用してもよい。第2離型層の平均厚みは、特に限定されず、0.1μm~100μmであってもよい。
【0040】
また、必要に応じて、離型層と基材層との間、基材層と第2離型層との間等に、離型層又は第2離型層のアンカリング向上層、帯電防止層、着色層等の層を設けてもよい。好ましい層構成としては、基材層、帯電防止層及び離型層をこの順に設ける3層構造が挙げられる。帯電防止層は、第4級アンモニウム塩含有ポリマー、ポリチオフェン系ポリマー等の帯電防止ポリマーを含んでもよい。
【0041】
離型フィルムの総厚は、金型への追従性の観点から、350μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。また、離型フィルムの総厚は、取り扱い性の観点から、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。
【0042】
<離型フィルムの製造方法>
本開示の離型フィルムは、公知の方法により製造することができる。例えば、平均粒子径が1μm~7μmの(メタ)アクリル樹脂粒子を含む離型層形成用組成物を基材層の片面に付与し、乾燥することにより、本開示の離型フィルムを製造することができる。離型層形成用組成物は、樹脂成分及び所望により添加されるその他の成分を含んでいてもよい。
【0043】
[離型層形成用組成物の調製]
離型層形成用組成物の調整方法は特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル樹脂粒子を溶媒に分散する方法が挙げられ、公知の組成物調整方法を使用することができる。
離型層形成用組成物の調製に使用する溶媒は特に限定されず、(メタ)アクリル樹脂粒子を分散可能であり、樹脂成分を溶解可能である有機溶媒であることが好ましい。有機溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0044】
[付与及び乾燥]
離型層形成用組成物を基材層の片面に付与する方法は特に限定されず、ロールコート法、バーコート法、キスコート法等の公知の塗布方法を使用することができる。離型層形成用組成物を付与する際には、乾燥後の組成物層(離型層)の平均厚みが3μm~25μmとなるように付与することが好ましい。
付与された離型層形成用組成物を乾燥する方法は特に限定されず、公知の乾燥方法を使用することができる。例えば、50℃~150℃で0.1分~60分乾燥させる方法でもよい。
【0045】
<用途>
本開示の離型フィルムは、半導体パッケージの成型に使用することができ、トランスファー成型でも好適に使用することができる。トランスファー成型法は、コンプレッション成型法に比べて溶融した封止樹脂の移動距離が長いため、成型した半導体パッケージ表面における封止樹脂のフロー跡が残りやすい。また近年のトランスファー成型では、局所的に封止樹脂に圧力が高くかかりやすくなっているため、封止樹脂のフロー跡がより残りやすい傾向にある。しかしながら、本開示の離型フィルムは、上記構成とすることによって、封止樹脂への離型性を有しつつ、封止樹脂のフロー跡が低減可能となっているため、トランスファー成型にも好適に適用できる。なお、本開示の離型フィルムはフロー跡が発生しやすいトランスファー成型で好適に使用できる以上、コンプレッション成型等の他の成型法でも使用可能である。
【0046】
<半導体装置の製造方法>
本開示の半導体装置の製造方法は、本開示の半導体成型用離型フィルムを用いてトランスファー成型を行うことを含む。
例えば、半導体パッケージのトランスファー成型では、トランスファー成型装置の金型に半導体チップを配置し、他方の金型に離型フィルムを配置して真空吸着等により離型フィルムを金型の形状に追従させる。その後、金型を閉じ、加熱した金型内に溶融した封止樹脂(例えば、エポキシ樹脂)をトランスファー法で注入し、半導体パッケージを成型する。この際、使用した封止樹脂が熱硬化性の場合には、封止樹脂は硬化し硬化樹脂となる。その後、金型を開けて、成型された半導体パッケージを取り出し、半導体装置を得る。
【0047】
本開示の半導体成型用離型フィルムは、半導体パッケージを成型する際に、離型層面が封止樹脂に接するように装着することにより、封止樹脂又は硬化樹脂から離型フィルムが剥離しやすくなり、半導体装置にダメージを与えることなく封止樹脂又は硬化樹脂から金型を剥離することが可能である。また、本開示の半導体成型用離型フィルムを使用する半導体装置の製造方法では、成型した半導体パッケージ表面において封止樹脂のフロー跡が抑制され、得られる半導体装置は外観の均一性に優れる。
【実施例0048】
以下、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0049】
<実施例1>
アクリル樹脂(水酸基含有アクリル酸エステルポリマ-80質量部、水酸基含有アクリル酸/メタクリル酸エステルコポリマー20質量部)100質量部に対して、架橋剤としてのコロネートL(東ソー(株)、商品名)を10質量部と、(メタ)アクリル樹脂粒子としてMX-150(綜研化学(株)、商品名、平均粒子径1.5μm)を15質量部と、をトルエンに添加して離型層形成用組成物を調製した。
基材層としての、厚みが38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをコロナ処理した。その後、上記2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ロールコータを用いて、乾燥後の平均厚みが10μmになるように離型層形成用組成物を塗布及び乾燥して離型層を形成し、離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムの離型層中の(メタ)アクリル樹脂粒子の含有率をSEMによる断面観察により測定したところ、7体積%であった。
【0050】
[離型フィルムの特性評価]
トランスファー成型装置を用いて成型試験を実施した。トランスファー成型装置の金型の下型に、バンプ付きチップを取り付けた銅基板をバンプが上型に向くように配置した。付きバンプの高さは80μm、バンプ幅は110μmであった。金型の上型に上記離型フィルムを装着し真空で固定した後、型締めし、エポキシ樹脂封止材を用いてトランスファー成型し半導体パッケージを得た。金型温度は170℃、トランスファー圧力は8MPa、クランプ圧は500kN、成形時間は200秒とした。
【0051】
(離型性の評価)
離型フィルムの上に180℃、16MPaでエポキシ樹脂封止材を載せ、エポキシ樹脂封止材を成型した。5分経過後、封止材から離型フィルムを剥離し、剥離可否を下記の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
A:封止材に離型フィルム又は離型フィルムの離型層が残存しない。
B:封止材に離型フィルム又は離型フィルムの離型層が部分的に残存した。
【0052】
(フロー跡の有無の評価)
半導体パッケージ表面の封止材のフロー跡の有無を、目視及び光学顕微鏡(100倍)で観察し、下記の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
A:目視及び顕微鏡観察のいずれでもフロー跡が観察されない。
B:目視ではフロー跡が観察されず、顕微鏡観察ではわずかに観察される。
C:目視及び顕微鏡観察のいずれでもフロー跡が観察される。
【0053】
((メタ)アクリル樹脂粒子の脱落の有無の評価)
得られた半導体パッケージ表面への(メタ)アクリル樹脂粒子の脱落の有無を、目視及び光学顕微鏡(100倍)で観察し、下記の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
A:目視及び顕微鏡観察のいずれでも粒子(C)の脱落が観察されない。
B:目視では粒子(C)の脱落が観察されず、顕微鏡観察ではわずかに観察される。
C:目視及び顕微鏡観察のいずれでも粒子(C)の脱落が観察される。
【0054】
<実施例2~5及び比較例1~2>
(メタ)アクリル樹脂粒子の平均粒子径及び離型層中の含有率、離型層の平均厚みを下記表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5及び比較例1~2の離型フィルムを作製し評価した。評価結果を表1に示す。
【0055】
なお、実施例2~5、比較例1及び2で用いた(メタ)アクリル樹脂粒子は、以下のとおりである。
実施例2、3:MX-300(綜研化学(株)、商品名、平均粒子径3μm)
実施例4、5:MX-500(綜研化学(株)、商品名、平均粒子径5μm)
比較例1、2:MZ-10HN(綜研化学(株)、商品名、平均粒子径10μm)
【0056】
【表1】

【0057】
表1に示されるように、実施例1~5の離型フィルムは、成型後の封止材との離型性が良好であり、また成型した半導体パッケージ表面における封止樹脂のフロー跡が低減されていた。さらに、実施例1~5の離型フィルムは、成型したパッケージ表面への(メタ)アクリル樹脂粒子の脱落も抑制されていた。
【0058】
一方、平均粒子径が7μmを超える(メタ)アクリル樹脂粒子を用いた比較例1及び2では、成型した成型した半導体パッケージ表面で封止樹脂のフロー跡が見られた。また、比較例1及び2では(メタ)アクリル樹脂粒子の脱落が観察された。
【0059】
上記に示すように、本開示の離型フィルムを使用すると、封止樹脂への離型性を有しつつ、成型した半導体パッケージ表面における封止樹脂のフロー跡を低減することが可能となる。