(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130201
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】バーナ支持部材、ガラス溶解炉、燃焼バーナの交換方法、ガラス溶解方法及びガラス製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 5/235 20060101AFI20230912BHJP
C03B 5/435 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
C03B5/235
C03B5/435
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034734
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 真
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AF00
(57)【要約】
【課題】空気燃焼バーナから酸素燃焼バーナに交換する際に、空気燃焼バーナ用の設備の位置を変更することなく、酸素燃焼バーナを空気燃焼バーナの設置位置とズレが生じることを抑えながら設置できると共に、酸素燃焼バーナの交換作業の負担を軽減できるバーナ支持部材を提供する。
【解決手段】本発明に係るバーナ支持部材は、ガラス溶解炉の炉壁の開口部に設けられ、酸素燃焼バーナを支持する支持部を備え、前記支持部は、前記開口部の底部に設置される第1支持ブロックと、前記第1支持ブロックと前記開口部の内面との間に設置される第2支持ブロックと、前記第1支持ブロックと前記第2支持ブロックとの間に前記炉壁の内側と外側とに貫通した貫通孔を有し、前記貫通孔内で前記酸素燃焼バーナを支持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス溶解炉の炉壁の開口部に設けられ、酸素燃焼バーナを支持する支持部を備え、
前記支持部は、
前記開口部の底部に設置される第1支持ブロックと、
前記第1支持ブロックと前記開口部の内面との間に設置される第2支持ブロックと、
前記第1支持ブロックと前記第2支持ブロックとの間に前記炉壁の内側と外側とに貫通した貫通孔を有し、
前記貫通孔内で前記酸素燃焼バーナを支持するバーナ支持部材。
【請求項2】
前記開口部に前記支持部が設置されるバーナブロックを有する請求項1に記載のバーナ支持部材。
【請求項3】
前記第1支持ブロックの下面に前記バーナブロックに接する延設部を有する請求項2に記載のバーナ支持部材。
【請求項4】
前記貫通孔内に一部挿入可能に設けられ、筒状の形状を有する接合部材を備え、
前記接合部材は、前記酸素燃焼バーナが挿入可能な大きさの第2貫通孔を有する請求項1~3の何れか一項に記載のバーナ支持部材。
【請求項5】
前記接合部材が、前記第1支持ブロック及び前記第2支持ブロックの一方の端面に接する頭部を有する請求項4に記載のバーナ支持部材。
【請求項6】
前記第2貫通孔が、前記炉壁の外側から内側に向かって段階的に小さくなるように形成されている、又は前記炉壁の外側から内側に向かって縮径している請求項4又は5に記載のバーナ支持部材。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のバーナ支持部材と、
バーナと、
を備えるガラス溶解炉。
【請求項8】
前記炉壁に設けられ、前記バーナを前記バーナの軸方向に貫通した状態で保持するケーシングを備える請求項7に記載のガラス溶解炉。
【請求項9】
ガラス溶解炉の炉壁の開口部に設けられた空気燃焼バーナを取り出し、
前記開口部に請求項1~6の何れか一項に記載のバーナ支持部材を設置し、
前記バーナ支持部材で前記開口部に挿入される酸素燃焼バーナを支持する、
燃焼バーナの交換方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載のガラス溶解炉を用い、ガラス原料を前記バーナで加熱して溶融ガラスとするガラス溶解方法。
【請求項11】
請求項7又は8に記載のガラス溶解炉を用い、
ガラス原料を前記酸素燃焼バーナで加熱して溶融ガラスとし、
得られた前記溶融ガラスを板状に成形する、
ガラス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナ支持部材、ガラス溶解炉、燃焼バーナの交換方法、ガラス溶解方法及びガラス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス溶解炉の炉壁には、天然ガス等の気体燃料又は重油等の液体燃料と空気とを混合させて燃焼させる空気燃焼バーナが設けられている。空気燃焼バーナの火力により、ガラス溶解炉内(以下、炉内ともいう。)の温度を常温から上昇させて炉内の温度をガラス原料を溶解させ得る温度まで上昇させ、炉内に供給されるガラス原料を溶解させている。
【0003】
空気燃焼バーナとして、例えば、ガラス溶解炉の炉壁の外側に、バーナ本体と、バーナ本体を長手方向にスライド可能に収容したバーナ保持筒と、バーナ保持筒を収容したケーシングとを有し、バーナ本体の先端側に形成される空間の大きさを変更することで燃焼ガスと一次空気とを混合するための予混合空間を形成し、混合ガスの燃焼を維持するガスバーナが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のガスバーナのような空気燃焼バーナを、CO2削減等の目的で酸素燃焼バーナに交換するために空気燃焼バーナ用の設備を撤去して酸素燃焼バーナ用の設備を新たに設置すると、切り換え作業の負担が大きい、という問題があった。また、酸素燃焼バーナの設置位置が空気燃焼バーナの設置位置とずれると、製造されるガラス品質の変化が生じ易い、と問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、空気燃焼バーナから酸素燃焼バーナに交換する際に、空気燃焼バーナ用の設備の位置を変更することなく、酸素燃焼バーナを空気燃焼バーナの設置位置とズレが生じることを抑えながら設置できると共に、酸素燃焼バーナの交換作業の負担を軽減できるバーナ支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバーナ支持部材の一態様は、
ガラス溶解炉の炉壁の開口部に設けられ、酸素燃焼バーナを支持する支持部を備え、
前記支持部は、
前記開口部の底部に設置される第1支持ブロックと、
前記第1支持ブロックと前記開口部の内面との間に設置される第2支持ブロックと、
前記第1支持ブロックと前記第2支持ブロックとの間に前記炉壁の内側と外側とに貫通した貫通孔を有し、
前記貫通孔内で前記酸素燃焼バーナを支持する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るバーナ支持部材の一態様は、空気燃焼バーナから酸素燃焼バーナに交換する際に、空気燃焼バーナ用の設備の位置を変更することなく、酸素燃焼バーナを空気燃焼バーナの設置位置とズレが生じることを抑えながら設置できると共に、酸素燃焼バーナの交換作業の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るバーナ支持部材がガラス溶解炉に設置されている状態の一例を示す部分斜視図である。
【
図2】バーナ支持部材がガラス溶解炉の炉壁に設置されている状態の一例を示す断面図である。
【
図3】バーナ支持部材がガラス溶解炉の炉壁に設置されている状態をガラス溶解炉の壁内側から見た図である。
【
図4】耐火物がガラス溶解炉の炉壁に設置されている状態をガラス溶解炉の壁外側から見た図である。
【
図5】バーナ支持部材の構成を示す分解斜視図である。
【
図7】燃焼バーナの交換方法を示す他の説明図である。
【
図8】燃焼バーナの交換方法を示す他の説明図である。
【
図9】燃焼バーナの交換方法を示す他の説明図である。
【
図10】燃焼バーナの交換方法を示す他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0011】
<バーナ支持部材>
本発明の実施形態に係るバーナ支持部材について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るバーナ支持部材がガラス溶解炉の炉壁(壁面)に設置されている状態の一部を切り欠いて示す部分斜視図であり、
図2は、バーナ支持部材がガラス溶解炉の炉壁に設置されている状態の一例を示す断面図であり、
図3は、バーナ支持部材がガラス溶解炉の炉壁に設置されている状態をガラス溶解炉の炉壁の内(炉内)側から見た図であり、
図4は、バーナ支持部材がガラス溶解炉の炉壁に設置されている状態をガラス溶解炉の炉壁の外(炉外)側から見た図であり、
図5は、バーナ支持部材の構成を示す分解斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るバーナ支持部材1は、ガラス溶解炉100の炉壁101の開口部101aに設けられる。
【0013】
図2に示すように、ガラス溶解炉100は、炉壁101の開口部101aに筒状のバーナブロック110と、炉壁101の外側(炉外)に、炉壁101及びバーナブロック110に設けられたケーシング120とを備える。ガラス溶解炉100は、炉壁101の開口部101aに、炉壁101の内側(炉内)に酸素及び燃料を供給する酸素燃焼バーナ130を備える。
【0014】
なお、燃料は、天然ガス等の気体燃料又は重油等の液体燃料である。
【0015】
図3及び
図4に示すように、炉壁101の開口部101aは、正面視において、略矩形に形成されている。バーナブロック110の外形は、正面視において、開口部101aの形状に対応するように、略矩形に形成されている。バーナブロック110は、その正面視において、略中央部分に略円形に形成された開口部110aを有する。なお、炉壁101の開口部101aの形状は略矩形以外でもよく、バーナブロック110の開口部110aの形状は略円形以外でもよい。
【0016】
バーナブロック110は、一組のブロック111A及びブロック111Bで、開口部110aを有するように形成されてよい。なお、バーナブロック110は、1つのブロックのみで構成されてもよいし、3つ以上のブロックで構成されてもよい。
【0017】
ケーシング120は、軸方向両端を開口した主円筒部121と、主円筒部121の後方側開口部を閉塞する蓋部122とを有し、酸素燃焼バーナ130を主円筒部121の内側に主円筒部121の軸方向に貫通した状態で保持している。
【0018】
主円筒部121は、その炉壁に上方に開口した開口部123を有する。開口部123は蓋部124で固定して閉鎖されてよい。なお、蓋部124の固定方法は、特に限定されず、接着剤、溶接及びボルトによる固定等の一般的な固定方法を用いてよい。開口部123は、外部から二次空気を供給する供給口として用いる。ガラス溶解炉100は、酸素燃焼バーナ130を備えており、外部から二次空気を酸素燃焼バーナ130に供給する必要がないため、開口部123は蓋部124で閉鎖してよい。ガラス溶解炉100が不図示の空気燃焼バーナを備える場合には、二次空気を不図示の空気燃焼バーナに供給する必要があるため、開口部123を開放して外部から二次空気を主円筒部121の内部に供給して、不図示の空気燃焼バーナに供給する。
【0019】
また、主円筒部121は、前方端部(
図2では、左側の端部)と後方端部(
図2では、右側の端部)にフランジ部121a及び121bを備え、フランジ部121aに炉壁101が固定され、フランジ部121bに蓋部122が固定されている。なお、主円筒部121の固定方法は、特に限定されず、接着剤、溶接及びボルトによる固定等の一般的な固定方法を用いてよい。
【0020】
蓋部122は、その軸心に貫通孔を有し、その貫通孔に酸素燃焼バーナ130を貫通し、主円筒部121に固定されている。なお、蓋部122は、燃焼状態を確認できるように、不図示の覗き窓及び温度センサ等を備えてよい。
【0021】
酸素燃焼バーナ130は、ケーシング120を貫通してバーナブロック110の開口部110aの途中まで挿入された状態で設けられている。ガラス溶解炉100は、酸素燃焼バーナ130に代えて不図示の空気燃焼バーナを備えてもよい。
【0022】
図2に示すように、バーナ支持部材1は、炉壁101の開口部101aに設けたバーナブロック110の開口部110aに挿入された状態で設けられ、支持部10と、接合部材であるスリーブレンガ20を有する。
【0023】
図5に示すように、支持部10は、第1支持ブロック11と、第2支持ブロック12とを有する。支持部10は、第1支持ブロック11及び第2支持ブロック12により、略円筒状に形成され、貫通孔10aを有している。支持部10の貫通孔10aは、酸素燃焼バーナ130が固定されるスリーブレンガ20を挿入できるように、略円形に形成されていることが好ましい。なお、貫通孔10aの形状は略円形以外でもよい。
【0024】
図2に示すように、第1支持ブロック11は、その一部がバーナブロック110の開口部110aに挿入した状態で設置されている。第1支持ブロック11は、軸方向視において略半円状に形成され、上向きに凹となるように開口部110aに設置されている。
【0025】
第2支持ブロック12は、第1支持ブロック11と同様、その一部がバーナブロック110の開口部110aに挿入され、第1支持ブロック11と開口部101aの内面との間に設置されている。第2支持ブロック12は、軸方向視において視半円状に形成され、第1支持ブロック11の内周面と向き合うように、下向きに凹となるように開口部110aに設置されている。支持部10は、第1支持ブロック11と第2支持ブロック12とが組み合わされることで略円筒の形状を有する。
【0026】
なお、第1支持ブロック11及び第2支持ブロック12の軸方向視における外形は、略円形であるが、開口部110aの形状に対応するように形成されていれば特に限定されず、他の形状でもよい。
【0027】
支持部10は、第1支持ブロック11の一方の端部側の下面に炉壁101の開口部101aの底部に接触するように形成された延設部13を有してよい。第1支持ブロック11及び第2支持ブロック12がバーナブロック110の開口部110aに挿入されているため、第1支持ブロック11と開口部101aの底部との間に隙間が形成される。延設部13が第1支持ブロック11の下面を支持することで、第1支持ブロック11の一部のみがバーナブロック110の開口部110aに挿入された状態で設置されても、支持部10は、バーナブロック110の開口部110aに安定して固定できる。
【0028】
支持部10は、溶融ガラスとは直接接触しないが、溶融ガラスの蒸気や高温の燃焼ガス等と接触するため、耐熱性及び耐食性に優れた耐火物で形成されている。耐火物としては、一般に、耐熱性、耐食性、圧縮強度に優れた電鋳耐火物、焼成耐火物が用いられる。支持部10を形成する材質としては、例えば、一般的な電鋳耐火物、焼成耐火物及び煉瓦等を用いる。電鋳耐火物としては、例えば、アルミナ・シリカ質、アルミナ質、ジルコニア質、アルミナ・ジルコニア・シリカ質、マグネシア・クロム質、クロム・アルミナ質、アルミナ質・ジルコニア・シリカ・クロム質等が挙げられる。焼成耐火物としては、例えば、ジルコン質、アルミナ・ジルコニア・シリカ質等が挙げられる。なお、焼成耐火物とは、原料粉末を固めて窯で焼成することにより作られる耐火物である。焼結耐火物、結合耐火物ともいう。
【0029】
図2に示すように、スリーブレンガ20は、支持部10の貫通孔10a内に装入された状態で設けられている。スリーブレンガ20は、頭部21及び軸部22を有し、頭部21及び軸部22を軸方向に貫通した第2貫通孔20aを有する。第2貫通孔20aは、頭部21の第2貫通孔21aと、軸部22の第2貫通孔22aとにより構成される。
【0030】
頭部21は、円盤状の筒状部材であり、軸部22の一方の端面(
図2では、右側の端面)に設けられ、酸素燃焼バーナ130が挿入可能に形成された第2貫通孔21aを有する。頭部21は、軸部22よりも大径に形成されている。これにより、スリーブレンガ20が貫通孔10aから容易に挿脱できると共に、挿入される酸素燃焼バーナ130固定できる。
【0031】
頭部21は、平面視において略円形に形成されている。頭部21の平面視における形状は、特に限定されず、略三角形、略四角形、略六角形等の多角形でもよい。
【0032】
軸部22は、頭部21の裏面に対して略直角となるように、頭部21から延設され、支持部10の貫通孔10aに接している。軸部22は、略円筒状に形成されている。
【0033】
軸部22は、内部に、酸素燃焼バーナ130が挿入可能に形成された第2貫通孔22aを有する。第2貫通孔22aはその途中に、一つの段差を有してよい。これにより、酸素燃焼バーナ130が第2貫通孔22a内を貫通させず、所定の位置に挿入できる。第2貫通孔22aは、複数の段差を有し、頭部21側から軸部22の先端側(
図2中、左側)に向かって階段状に形成されていてもよいし、頭部21側から軸部22の先端側(
図2中、左側)にかけて縮径するように形成されてもよい。
【0034】
頭部21及び軸部22は、一体に形成されてもよいし、溶接、接着剤等により接合して形成されてもよい。
【0035】
スリーブレンガ20を形成する材質は、溶融ガラスとは直接接触しないが、溶融ガラスの蒸気や高温の燃焼ガス等と接触するため、耐熱性及び耐食性に優れた耐火物で形成されている。耐火物としては、一般に、耐熱性、耐食性、圧縮強度に優れた電鋳耐火物、焼成耐火物が用いられる。スリーブレンガ20を形成する材質としては、例えば、一般的な電鋳耐火物、焼成耐火物及び煉瓦等を用いる。電鋳耐火物としては、例えば、アルミナ・シリカ質、アルミナ質、ジルコニア質、アルミナ・ジルコニア・シリカ質、マグネシア・クロム質、クロム・アルミナ質、アルミナ質・ジルコニア・シリカ・クロム質等が挙げられる。焼成耐火物としては、例えば、ジルコン質、アルミナ・ジルコニア・シリカ質等が挙げられる。なお、焼成耐火物とは、原料粉末を固めて窯で焼成することにより作られる耐火物である。焼結耐火物、結合耐火物ともいう。
【0036】
なお、支持部10は、貫通孔10a内で、スリーブレンガ20を介して挿入される酸素燃焼バーナ130の先端の一部を保持している。なお、支持部10は、貫通孔10a内で酸素燃焼バーナ130の先端の一部を直接保持してもよいし、空気燃焼バーナ140(
図6参照)の使用時は、
図6に示すように、支持部10を撤去してもよい。
【0037】
本実施形態に係るバーナ支持部材1を用いた燃焼バーナの交換方法について説明する。本実施形態では、ガラス溶解炉100の炉壁101の開口部101aに設置されている空気燃焼バーナ140を酸素燃焼バーナ130に交換する場合について説明する。
【0038】
図6に示すように、ガラス溶解炉100の炉壁101の開口部101aに、空気燃焼バーナ140が設置され、蓋部124を取り外して開口部123を開口し、外部から二次空気を主円筒部121の内部に供給して空気燃焼バーナ140に供給可能な状態としている。
【0039】
まず、ガラス溶解炉100の炉壁101に設置してある空気燃焼バーナ140をガラス溶解炉100の外側に抜き出して取り出す(空気燃焼バーナの取出し工程)。
【0040】
次に、
図7に示すように、蓋部122を主円筒部121から外して、支持部10の第1支持ブロック11をガラス溶解炉100の外側から挿入して、バーナブロック110のブロック111Aの上に設置する(第1支持ブロックの設置工程)。
【0041】
次に、
図8に示すように、第2支持ブロック12をガラス溶解炉100の外側から挿入して、第1支持ブロック11の上に設置する(第2支持ブロックの設置工程)。
【0042】
次に、
図9に示すように、スリーブレンガ20をガラス溶解炉100の外側から挿入して、第1支持ブロック11および第2支持ブロックの内周面に設置する(接合部材の設置工程)。
【0043】
これにより、支持部10が、炉壁101の開口部101a内に設置されているバーナブロック110の開口部110aに挿入された状態で設けられる。
【0044】
次に、
図10に示すように、外した蓋部122を再び主円筒部121に設置して、酸素燃焼バーナ130をスリーブレンガ20の第2貫通孔20aに、軸部22内の第2貫通孔22aの段差部分まで挿入する(酸素燃焼バーナの設置工程)。なお、酸素燃焼バーナ130を支持する部材は、蓋部122に限定されず、酸素燃焼バーナ130を支持できる他の部材であってもよい。
【0045】
また、炉内が加熱されていないとき、第1支持ブロック11、第2支持ブロック12、及びスリーブレンガ20は、ガラス溶解炉100の内側から挿入してもよい。この場合には、蓋部122は主円筒部121から外してもよいし、外さなくてもよい。
【0046】
本実施形態に係る燃焼バーナの交換方法は、本実施形態に係るバーナ支持部材1を用いているため、空気燃焼バーナ140用の設備を維持したまま炉壁101の開口部101aに酸素燃焼バーナ130を挿し込むことで、空気燃焼バーナ140を設置した時と略同じ位置に酸素燃焼バーナ130の位置を合わせる。よって、本実施形態に係る酸素燃焼バーナの交換方法は、空気燃焼バーナ140用の設備の位置を変更することなく酸素燃焼バーナ130に交換できる。
【0047】
なお、本実施形態に係る燃焼バーナの交換方法では、空気燃焼バーナ140を酸素燃焼バーナ130に交換する場合について説明したが、本実施形態に係る燃焼バーナの交換方法は、酸素燃焼バーナ130を空気燃焼バーナ140に交換する場合でも用いられる。この場合には、
図6~
図10に示す各工程を逆の順番に行う。即ち、本実施形態に係る燃焼バーナの交換方法は、ガラス溶解炉100の炉壁101に設置してある酸素燃焼バーナ130をガラス溶解炉100の外側に抜き出して取り出す(酸素燃焼バーナの取出し工程)。次に、蓋部122を主円筒部121から外して、スリーブレンガ20をガラス溶解炉100の炉壁101及びケーシング120の外側に取り出す(接合部材の取出し工程)。次に、第2支持ブロック12をガラス溶解炉100の外側に取り出し(第2支持ブロックの取出し工程)、第1支持ブロック11をガラス溶解炉100の外側に取り出す(第1支持ブロックの取出し工程)。次に、外した蓋部122を再び主円筒部121に設置して、炉壁101の開口部101aにバーナブロック110が設置されている状態のまま、空気燃焼バーナ140をケーシング120内に挿入して、空気燃焼バーナ140の先端が炉壁101の開口部101a内に位置するように空気燃焼バーナ140を開口部101a内に挿入する(空気燃焼バーナの設置工程)。
【0048】
本実施形態に係るガラス溶解方法は、本実施形態に係るバーナ支持部材1を備えるガラス溶解炉100を用い、ガラス溶解炉100の炉壁101に備えられる酸素燃焼バーナ130でガラス溶解炉100内に供給されるガラス原料を加熱して溶融ガラスとする。本実施形態に係るガラス溶解方法は、炉壁101に備えられるバーナとして酸素燃焼バーナ130を用いるため、空気燃焼バーナ140と同様の品質の溶融ガラスが得られる。
【0049】
本実施形態に係るガラス製造方法は、本実施形態に係るバーナ支持部材1を備えるガラス溶解炉100を用い、ガラス溶解炉100の炉壁101に備えられる酸素燃焼バーナ130でガラス溶解炉100内のガラス原料を加熱して溶解し、溶融ガラスを得る溶解工程と、溶融ガラスの気泡を除去して溶融ガラスを清澄する清澄工程と、清澄後の溶融ガラスを所定形状に成形する成形工程とを含む。これらの工程のうち、溶解工程は、上記のガラス溶解方法を用い、ガラス溶解炉100の溶解槽に供給されたガラス原料を炉壁101に備えられる燃焼バーナとして酸素燃焼バーナ130を用いるため、空気燃焼バーナ140と同様の品質の溶融ガラスが得られる。
【0050】
溶解工程で得られた溶融ガラスは、溶解槽から取り出されて清澄工程に送られる。清澄工程は、溶解工程で得られた溶融ガラスを清澄槽に供給し、溶融ガラス内の気泡を浮上させて除去する。気泡の浮上を促進させる方法としては、例えば清澄槽内を減圧して脱泡する方法などがある。
【0051】
成形工程は、清澄後の溶融ガラスを所定の板厚の板状に成形する工程である。板状に成形する方法としては、例えば、一般的なフロート法及びフュージョン法等がある。
【0052】
このように、本実施形態に係るバーナ支持部材1は、ガラス溶解炉100の炉壁101に設けられた開口部101aに支持部10を備え、支持部10は、第1支持ブロック11、第2支持ブロック12及び貫通孔10aを有し、貫通孔10a内で挿入される酸素燃焼バーナ130を支持する。支持部10が炉壁101の開口部101aに設けられることで、貫通孔10a内で酸素燃焼バーナ130を保持できる。このため、炉壁101の開口部101aに設けられているバーナブロック110、炉壁101に取り付けられているケーシング120等、空気燃焼バーナ140用として用いられる設備は交換せずにそのままの状態で酸素燃焼バーナ130を炉壁101の開口部101aに酸素燃焼バーナ130の軸が空気燃焼バーナ140の軸と略同じ位置になるように設置できる。よって、バーナ支持部材1は、空気燃焼バーナ140から酸素燃焼バーナ130に交換する際に、空気燃焼バーナ140用の設備の位置を変更することなく、酸素燃焼バーナ130を空気燃焼バーナ140の設置位置とズレが生じることを抑えながら設置できる。
【0053】
また、バーナ支持部材1は、空気燃焼バーナ140を酸素燃焼バーナ130に交換する際に、炉壁101の開口部101aに設けられているバーナブロック110、炉壁101に取り付けられているケーシング120等、空気燃焼バーナ140用として用いられる設備を全て交換すると、交換作業に要する負荷が大きい。また、再度、酸素燃焼バーナ130を空気燃焼バーナ140に交換する際に、再度、空気燃焼バーナ140用として用いられる設備を全て取り付け直す場合も、同様に、交換作業に要する負荷が大きい。本実施形態では、バーナ支持部材1は、空気燃焼バーナ140用として用いられる設備を維持したまま空気燃焼バーナ140を酸素燃焼バーナ130に交換できるため、燃焼バーナの交換作業に要する負荷を軽減できる。
【0054】
さらに、バーナ支持部材1は、貫通孔10aの軸方向視における位置を空気燃焼バーナ140が設置される際の空気燃焼バーナ140の軸と略同じ位置にできる。このため、支持部10は、貫通孔10a内で酸素燃焼バーナ130を空気燃焼バーナ140が設置される際の空気燃焼バーナ140と略同じ位置で保持できる。バーナ支持部材1は、貫通孔10a内で空気燃焼バーナ140から空気及び燃料を供給する場所とほぼ同じ位置から酸素燃焼バーナ130より酸素及び燃料を炉内に供給できる。炉壁に空気燃焼バーナ140と酸素燃焼バーナ130とをそれぞれ異なる位置に設けると、空気燃焼バーナ140を用いた場合と酸素燃焼バーナ130を用いた場合とでガラスの加熱具合が変動するため、製造されるガラスの品質に変化が生じる可能性がある。本実施形態では、バーナ支持部材1は、支持部10を空気燃焼バーナ140から空気及び燃料を供給する場所とほぼ同じ位置から酸素燃焼バーナ130より酸素及び燃料を炉内に供給できるため、空気燃焼バーナ140を用いた場合と同じ品質を有するガラスを製造できる。
【0055】
バーナ支持部材1は、開口部101aにバーナブロック110を有し、バーナブロック110に支持部10を設置する。これにより、バーナ支持部材1は、バーナブロック110が開口部101aに残っていても、空気燃焼バーナ140用の設備の位置を変更することなく、酸素燃焼バーナ130の軸が空気燃焼バーナ140の軸と略同じ位置になるように、空気燃焼バーナ140を酸素燃焼バーナ130に容易に交換できる。
【0056】
バーナ支持部材1は、第1支持ブロック11の下面に延設部13を有する。これにより、バーナ支持部材1は、延設部13で第1支持ブロック11の下面を支持できるので、第1支持ブロック11の一部がバーナブロック110の開口部110aにはみ出している状態で設置されても、第1支持ブロック11をバーナブロック110の開口部110aに安定して設置できる。また、第1支持ブロック11の位置ずれが抑えられるため、第1支持ブロック11上に酸素燃焼バーナ130を設置する際、酸素燃焼バーナ130を安定して設置できる。よって、バーナ支持部材1は、酸素燃焼バーナ130への交換を容易に行うことでできる。
【0057】
バーナ支持部材1は、貫通孔10a内に一部挿入可能に設けられるスリーブレンガ20を有する。これにより、バーナ支持部材1は、スリーブレンガ20の第2貫通孔22aに酸素燃焼バーナ130を挿入して酸素燃焼バーナ130の位置を容易に固定できるため、酸素燃焼バーナ130の挿入及び位置の固定を容易かつ安定して行える。
【0058】
バーナ支持部材1は、スリーブレンガ20に頭部21を有する。これにより、バーナ支持部材1は、酸素燃焼バーナ130を支持部10により簡易に固定できる。
【0059】
バーナ支持部材1は、スリーブレンガ20の第2貫通孔30aを炉壁101の外側から内側に向かって段階的に小さくなるように形成できる。これにより、バーナ支持部材1は、酸素燃焼バーナ130の挿入及び位置の固定を容易かつ安定して行える。
【0060】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 バーナ支持部材
10 支持部
10a 貫通孔
11 第1支持ブロック
12 第2支持ブロック
13 延設部
20 スリーブレンガ(接合部材)
20a 第2貫通孔
21 頭部
22 軸部
100 ガラス溶解炉
101 炉壁
101a、110a 開口部
110 バーナブロック
130 酸素燃焼バーナ
140 空気燃焼バーナ