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特開2023-13120プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013120
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230119BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20230119BHJP
【FI】
H01L21/302 101C
H05H1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117067
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 琢真
(72)【発明者】
【氏名】高妻 豊
(72)【発明者】
【氏名】廣實 一幸
(72)【発明者】
【氏名】花岡 裕子
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB12
2G084CC14
2G084DD38
2G084FF02
5F004AA16
5F004BA03
5F004BA20
5F004BB02
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004BC03
5F004BC06
5F004CA06
5F004CB12
(57)【要約】
【課題】被処理体であるウェハの温度測定処理の精度を向上させると共に、上記温度測定処理のスループットを向上させる。
【解決手段】静電チャック30は、絶縁層31と、絶縁層31の外周に沿って設けられ、且つ、絶縁層31の上面から突出した突出部31aとを含む。貫通孔25は、絶縁層31および試料台20を貫通する。貫通孔25の内部には支持棒40が設けられ、支持棒40の上端部から離れた位置において、支持棒40には温度センサ41が取り付けられている。ウェハWF1が、絶縁層31の上面から離れるように突出部31aに吸着された際に、支持棒40および温度センサ41は、ウェハWF1から離れるように貫通孔25の内部に位置する。ガスが、ガス供給管24から、突出部31aに囲まれた絶縁層31の上面とウェハWF1との間の空間50へ供給され、温度センサ41は、空間50から貫通孔25の内部へ流入したガスの温度を測定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器の内部に設けられた処理室と、
前記処理室に設けられた試料台と、
前記試料台の上部に設けられた絶縁層、前記絶縁層の外周に沿って設けられ、且つ、前記絶縁層の上面から突出した突出部、および、前記絶縁層の内部に設けられた複数の電極を含む静電チャックと、
前記真空容器の外部に設けられたガス供給源から前記絶縁層の上面へ第1ガスを供給するためのガス供給管と、
前記絶縁層の上面に到達するように、前記絶縁層および前記試料台を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に設けられた支持棒と、
前記支持棒を上下方向に移動可能させるための移動機構と、
を備え、
前記支持棒の上端部から離れた位置において、前記支持棒には、温度センサが取り付けられ、
ウェハが、前記絶縁層の上面から離れるように前記突出部に吸着された際に、前記支持棒および前記温度センサは、前記ウェハから離れるように前記貫通孔の内部に位置し、前記第1ガスが、前記ガス供給管から、前記突出部に囲まれた前記絶縁層の上面と前記ウェハとの間の第1空間へ供給され、前記温度センサは、前記第1空間から前記貫通孔の内部へ流入した前記第1ガスの温度を測定する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記試料台の内部には、冷媒が流れるための流路が設けられ、
前記貫通孔の内壁には、隔壁が設けられ、
前記隔壁は、前記試料台を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料で構成されている、プラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記ウェハを加熱するためのランプと、
前記ランプに電圧を印加するためのランプ用電源と、
を更に備え、
前記ランプは、前記処理室の上方に設けられ、且つ、前記真空容器の外部に設けられ、
前記ランプ用電源は、前記ランプに電気的に接続されている、プラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマ処理装置において、
前記温度センサ、前記ランプ用電源および前記ガス供給管に電気的に接続され、且つ、これらの駆動を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記温度センサによって測定された前記第1ガスの温度と、前記ガス供給管から前記第1空間へ供給される前記第1ガスの圧力とを基にして、前記ランプによる加熱温度が所望の加熱温度になるように、前記ランプ用電源の印加電圧を制御する、プラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプラズマ処理装置において、
前記制御部は、複数の印加電圧下における前記ランプによる加熱温度と、複数の圧力下における前記第1ガスの温度との対応関係をデータベースとして有し、
前記制御部は、前記温度センサによって測定された前記第1ガスの温度と、前記ガス供給管から前記第1空間へ供給される前記第1ガスの圧力とを前記データベースに照合することで、現在の前記ランプによる加熱温度と、現在の前記ランプ用電源の印加電圧とを推定し、前記ランプによる加熱温度が所望の加熱温度になるように、前記ランプ用電源の印加電圧を補正する、プラズマ処理装置。
【請求項6】
真空容器と、
前記真空容器の内部に設けられた処理室と、
前記処理室に設けられた試料台と、
前記試料台の上部に設けられた絶縁層、前記絶縁層の外周に沿って設けられ、且つ、前記絶縁層の上面から突出した突出部、および、前記絶縁層の内部に設けられた複数の電極を含む静電チャックと、
前記複数の電極に電気的に接続された電極用電源と、
前記真空容器の外部に設けられたガス供給源から前記絶縁層の上面へ第1ガスを供給するためのガス供給管と、
前記絶縁層の上面に到達するように、前記絶縁層および前記試料台を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内部に設けられた支持棒と、
前記支持棒を上下方向に移動可能させるための移動機構と、
を備えたプラズマ処理装置を用いて、ウェハに対して行われるプラズマ処理方法であって、
(a)前記支持棒の上端が前記突出部よりも上方に位置した状態で、前記ウェハを前記支持棒の上端に載置する工程、
(b)前記(a)工程後、前記移動機構によって前記支持棒を下方に移動することで、前記ウェハを前記突出部に載置し、前記ウェハから離れるように前記支持棒を前記貫通孔の内部に位置させる工程、
(c)前記(b)工程後、前記電極用電源から前記複数の電極へ電圧を印加することで、前記絶縁層の上面から離れるように前記ウェハを前記突出部に吸着させる工程、
(d)前記(c)工程後、前記ガス供給管から、前記突出部に囲まれた前記絶縁層の上面と前記ウェハとの間の第1空間へ前記第1ガスを供給し、前記第1空間から前記貫通孔の内部へ前記第1ガスを流入する工程、
(e)前記(d)工程後、前記貫通孔の内部において、前記第1ガスの温度を測定する工程、
を有し、
前記支持棒の上端部から離れた位置において、前記支持棒には、温度センサが取り付けられ、
前記(e)工程は、前記温度センサを用いて行われる、プラズマ処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載のプラズマ処理方法において、
(f)前記(c)工程後、前記試料台の内部に設けられた流路に冷媒を流す工程、
を更に有し、
前記貫通孔の内壁には、隔壁が設けられ、
前記隔壁は、前記試料台を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料で構成されている、プラズマ処理方法。
【請求項8】
請求項6に記載のプラズマ処理方法において、
(g)前記(d)工程後、前記ウェハを加熱する工程、
を更に有し、
前記プラズマ処理装置は、前記ウェハを加熱するためのランプと、前記ランプに電圧を印加するためのランプ用電源とを更に備え、
前記ランプは、前記処理室の上方に設けられ、且つ、前記真空容器の外部に設けられ、
前記ランプ用電源は、前記ランプに電気的に接続され、
前記(g)工程は、前記ランプ用電源から前記ランプに電圧を印加することで行われる、プラズマ処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載のプラズマ処理方法において、
前記温度センサ、前記ランプ用電源および前記ガス供給管に電気的に接続され、且つ、これらの駆動を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記温度センサによって測定された前記第1ガスの温度と、前記ガス供給管から前記第1空間へ供給される前記第1ガスの圧力とを基にして、前記ランプによる加熱温度が所望の加熱温度に補正されるように、前記ランプ用電源の印加電圧を制御する、プラズマ処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載のプラズマ処理方法において、
前記制御部は、複数の印加電圧下における前記ランプによる加熱温度と、複数の圧力下における前記第1ガスの温度との対応関係をデータベースとして有し、
前記制御部は、前記温度センサによって測定された前記第1ガスの温度と、前記ガス供給管から前記第1空間へ供給される前記第1ガスの圧力とを前記データベースに照合することで、現在の前記ランプによる加熱温度と、現在の前記ランプ用電源の印加電圧とを推定し、前記ランプによる加熱温度が所望の加熱温度に補正されるように、前記ランプ用電源の印加電圧を制御する、プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関し、特に、温度センサを備えたプラズマ処理装置と、そのプラズマ処理装置を用いて行われるプラズマ処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路では、回路性能の向上およびメモリ容量の増加などの市場要求に対応するために、集積回路の微細化および三次元化が進められている。集積回路をより微細化することに伴って、より高いアスペクト比を有する回路パターンを安定して形成することが求められる。そのため、半導体の製造プロセスでは、従来のウェットエッチング処理による洗浄技術および除去技術に代わって、ドライエッチング処理による洗浄技術および除去技術が求められている。
【0003】
上記ドライエッチング処理の1つとして、原子層レベルの制御性でパターンを形成する加工技術の開発が進められている。そのような加工技術として、ALE(Atomic Level Etching)法という技術が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、エッチャントガスを被処理体に吸着させた状態でマイクロ波を供給し、希ガス(Arガス)のような不活性ガスの低電子温度のプラズマを発生させることで、被処理体を原子層レベルでエッチング処理する技術が開示されている。上記エッチング処理では、希ガスの活性化によって発生する熱によって、エッチャントガスに結合している被処理体の構成原子が、上記結合を切断することなく被処理体から分離されている。
【0005】
また、特許文献2には、赤外光照射を用いた吸着離脱式のエッチング装置が開示されている。このエッチング装置は、減圧可能な真空容器と、活性種を生成するためのラジカル源と、基板を設置するための基板ステージと、基板を加熱するためのランプユニットと、活性種を下方に流すための流路と、を備えている。ラジカル源は、真空容器の処理室の内側に配置されている。基板ステージは、処理室の内部においてラジカル源の下方に配置されている。ランプユニットは、処理室の内部のラジカル源と基板ステージとの間に配置されている。流路は、ランプユニットの外周側および中央部に配置されている。
【0006】
また、特許文献2には、上記エッチング装置と、ラジカル源の中央部および外周側に処理用ガスを供給するための複数のガス供給手段と、複数のガス供給手段から供給されるガスを調節するための制御ユニットと、を備えたプラズマ処理装置が開示されている。
【0007】
ところで、上記ALE法によって被処理体を原子層レベルでエッチング処理するためには、被処理体(ウェハ)の温度を制御することが重要になる。このため、特許文献1では、試料台の内部に温度センサが設けられている。
【0008】
また、特許文献2では、基板の表面を加熱するために、赤外光を放射するランプを用いている。このランプに印加する電圧を制御することで、基板を比較的短時間で加熱することができる。また、基板を加熱する際に、比較的高エネルギーの荷電粒子などが基板の表面に入射することがないので、基板の表面にダメージを与えることなく、基板の表面にエッチャントガスを吸着させ、表面層を離脱させることができる。
【0009】
また、特許文献3では、基板の表面に、それまでに経てきた処理工程に応じて種々な膜が形成されている。同じ工程を経てきても、表面の反射率または熱容量が基板ごとに微妙に変化する問題がある。この問題を解決するために、基板が設置される試料台には、温度計測部が備えられている。照射部によって、試料台に載置された試料に赤外光を照射する際に、温度計測部で計測した温度に基づいて、照射部から試料へ照射される赤外光の強度が制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-161157号公報
【特許文献2】特開2016-178257号公報
【特許文献3】国際公開第2013/168509号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
原子層レベルでのエッチングを制御するためには、プラズマによる被処理体の表面へのダメージをできるだけ小さくする必要があり、エッチング量の制御の精度を高くする必要がある。これらを解決する方法として、特許文献1および特許文献2に記載されているように、エッチャントガスを被処理体の表面に化学吸着させ、これに熱エネルギーを加えて被処理体の表面層を離脱させる方法がある。
【0012】
しかし、特許文献1に記載されている方法は、マイクロ波で活性化した低電子温度の希ガスを用いて、被処理体の表面を加熱する方法である。それ故、被処理体の加熱時間を短くし、加熱処理のスループットを上げることができないという問題がある。
【0013】
また、特許文献2では、試料台の基材内部の穴内に配置された温度センサを用いて、試料台に設置した基板をIR加熱しながら、基板の温度を検出する。その場合、温度測定の応答性が損なわれるという問題がある。
【0014】
また、特許文献3でも同様に、試料台に温度計測部が備えられている構成では、基板と温度計測部との間に静電チャックが介在しているので、温度計測部が精度良く温度を検知することが困難となる。
【0015】
このように、従来の技術では、短時間で基板を加熱する際に、検出される基板の温度の精度が低下し、温度測定処理の歩留まりが低下するという問題がある。また、高い精度で基板の温度を検出しようとすると、長時間を要するので、温度測定処理のスループットが低下するという問題がある。
【0016】
本願の主な目的は、被処理体であるウェハ(基板)の温度測定処理の精度を向上させると共に、上記温度測定処理のスループットを向上させることにある。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施の形態おけるプラズマ処理装置は、真空容器と、前記真空容器の内部に設けられた処理室と、前記処理室に設けられた試料台と、前記試料台の上部に設けられた絶縁層、前記絶縁層の外周に沿って設けられ、且つ、前記絶縁層の上面から突出した突出部、および、前記絶縁層の内部に設けられた複数の電極を含む静電チャックと、前記真空容器の外部に設けられたガス供給源から前記絶縁層の上面へ第1ガスを供給するためのガス供給管と、前記絶縁層の上面に到達するように、前記絶縁層および前記試料台を貫通する貫通孔と、前記貫通孔の内部に設けられた支持棒と、前記支持棒を上下方向に移動可能させるための移動機構と、を備える。ここで、前記支持棒の上端部から離れた位置において、前記支持棒には、温度センサが取り付けられている。また、ウェハが、前記絶縁層の上面から離れるように前記突出部に吸着された際に、前記支持棒および前記温度センサは、前記ウェハから離れるように前記貫通孔の内部に位置し、前記第1ガスが、前記ガス供給管から、前記突出部に囲まれた前記絶縁層の上面と前記ウェハとの間の第1空間へ供給され、前記温度センサは、前記第1空間から前記貫通孔の内部へ流入した前記第1ガスの温度を測定する。
【0018】
一実施の形態おけるプラズマ処理方法は、真空容器と、前記真空容器の内部に設けられた処理室と、前記処理室に設けられた試料台と、前記試料台の上部に設けられた絶縁層、前記絶縁層の外周に沿って設けられ、且つ、前記絶縁層の上面から突出した突出部、および、前記絶縁層の内部に設けられた複数の電極を含む静電チャックと、前記複数の電極に電気的に接続された電極用電源と、前記真空容器の外部に設けられたガス供給源から前記絶縁層の上面へ第1ガスを供給するためのガス供給管と、前記絶縁層の上面に到達するように、前記絶縁層および前記試料台を貫通する貫通孔と、前記貫通孔の内部に設けられた支持棒と、前記支持棒を上下方向に移動可能させるための移動機構と、を備えたプラズマ処理装置を用いて、ウェハに対して行われる。また、プラズマ処理方法は、(a)前記支持棒の上端が前記突出部よりも上方に位置した状態で、前記ウェハを前記支持棒の上端に載置する工程、(b)前記(a)工程後、前記移動機構によって前記支持棒を下方に移動することで、前記ウェハを前記突出部に載置し、前記ウェハから離れるように前記支持棒を前記貫通孔の内部に位置させる工程、(c)前記(b)工程後、前記電極用電源から前記複数の電極へ電圧を印加することで、前記絶縁層の上面から離れるように前記ウェハを前記突出部に吸着させる工程、(d)前記(c)工程後、前記ガス供給管から、前記突出部に囲まれた前記絶縁層の上面と前記ウェハとの間の第1空間へ前記第1ガスを供給し、前記第1空間から前記貫通孔の内部へ前記第1ガスを流入する工程、(e)前記(d)工程後、前記貫通孔の内部において、前記第1ガスの温度を測定する工程、を有する。ここで、前記支持棒の上端部から離れた位置において、前記支持棒には、温度センサが取り付けられ、前記(e)工程は、前記温度センサを用いて行われる。
【発明の効果】
【0019】
一実施の形態によれば、被処理体である基板の温度測定処理の精度を向上でき、上記温度測定処理のスループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1におけるプラズマ処理装置の概要を示す模式図である。
図2】実施の形態1における試料台の周囲を示す模式図である。
図3】実施の形態1における試料台の周囲を示す模式図である。
図4】実施の形態1における温度センサの周囲を拡大した模式図である。
図5】実施の形態1における熱電対付きウェハの模式図である。
図6】実施の形態1における温度センサで測定された温度と、熱電対付きウェハで測定された温度との対応関係を示すデータベースの一例である。
図7】実施の形態1におけるランプによる加熱温度を補正する方法を示すブロック図である。
図8】実施の形態1におけるプラズマ処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
<プラズマ処理装置の構成>
以下に図1を用いて、実施の形態1におけるプラズマ処理装置1の概要について説明する。
【0023】
プラズマ処理装置1は、円筒形状の真空容器2と、真空容器2の内部に設けられたプラズマ発生室3および処理室4と、処理室4の内部に設けられた試料台20と、試料台20の上部に設けられた静電チャック30と、全体制御部C0と、ランプ制御部C1と、電極制御部C2と、冷媒制御部C3と、ガス流量制御部C4と、センサ制御部C5とを備える。
【0024】
試料台20の上方には、円板形状を成すプレート5が設けられている。プレート5は、例えば石英のような誘電体材料からなる。また、プレート5には、複数の孔6が設けられている。プレート5の上方の空間がプラズマ発生室3となり、プレート5の下方の空間が処理室4となっている。被処理体であるウェハ(基板)WF1は、静電チャック30上に載置される。
【0025】
また、プラズマ処理装置1は、導波管7と、高周波電源8と、ガス導入管9と、ガス供給装置10とを備える。導波管7は、プラズマ発生室3の上部に配置され、高周波電源8は、導波管7の端部に設けられている。高周波電源8は、マイクロ波の電界を発振して出力できる。導波管7は、マイクロ波の電界が伝播するための管路であり、マイクロ波の電界は、導波管7を介してプラズマ発生室3の内部に供給される。処理用のガスは、ガス導入管9を介して、ガス供給装置10からプラズマ発生室3の内部へ供給される。
【0026】
全体制御部C0は、高周波電源8およびガス供給装置10に電気的に接続されている。高周波電源8によるマイクロ波の出力と、ガス供給装置10から供給される処理用のガスの種類および流量などとは、全体制御部C0によって制御されている。
【0027】
高周波電源8からマイクロ波の電界が発振されると、マイクロ波の電界は、導波管7の内部を伝播し、プレート5を透過する。ガス供給装置10から供給された処理用のガスの原子または分子が励起、電離または解離することによって、プラズマ発生室3の内部にプラズマが発生する。プラズマ発生室3で発生したプラズマによって励起された処理用のガス(ラジカル)は、複数の孔6を介して、プラズマ発生室3から処理室4へ流れ出る。このラジカルの一部がウェハWF1の表面に吸着することで、ウェハWF1の表面に、反応層が形成される。
【0028】
また、プラズマ処理装置1は、ウェハWF1を加熱するためのランプ11と、ランプ11の周りを覆う防護板12と、ランプ11に電圧を印加するためのランプ用電源13とを備える。ランプ11は、処理室4の上方に設けられ、且つ、真空容器2の外部に設けられている。また、ランプ11は、真空容器2の外部において真空容器2を囲むように、リング状に設けられている。ランプ用電源13は、ランプ11に電気的に接続されている。また、真空容器2の一部には、ランプ11で発生した赤外線が透過できるように、石英製の窓部14が形成されている。
【0029】
静電チャック30を介して試料台20上にウェハWF1が載置された際に、このようなランプ11によって、ウェハWF1を加熱することができる。また、ランプ用電源13からランプ11へ印加される電圧を調整することで、ウェハWF1の加熱温度を制御することができる。
【0030】
ランプ制御部C1は、ランプ用電源13に電気的に接続され、ランプ用電源13の駆動を制御する。例えば、ランプ用電源13からランプ11へ印加する印加電圧の大小および印加電圧のON/OFFなどが、ランプ制御部C1によって制御される。
【0031】
プラズマ処理装置1は、真空容器2に設けられた開口部15と、真空容器2の内部を排気するための真空排気装置16とを備える。真空排気装置16は、開口部15を介して真空容器2の内部を排気し、真空容器2の内部を所定の圧力に維持する。
【0032】
図2および図3は、試料台20の周囲を示す模式図である。図4は、温度センサ41の周囲を拡大した模式図である。また、図2は、ウェハWF1が静電チャック30に載置される前の状態を示し、図3および図4は、ウェハWF1が静電チャック30に載置された後の状態を示している。
【0033】
図2および図3に示されるように、試料台20の内部には、冷媒が流れるための流路21が設けられている。流路21には、冷媒を供給するための冷媒供給管22と、冷媒を排出するための冷媒排出管23とが接続されている。冷媒が流路21を流れることで、試料台20が冷却され、ウェハWF1の温度が、プラズマ処理の開始に適切な範囲内の値に調整される。なお、試料台20を構成する材料は、低温靭性材料であり、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金である。
【0034】
冷媒制御部C3は、処理室4の外部で冷媒供給管22および冷媒排出管23に接続されている。冷媒供給管22から流路21へ流れる冷媒の流量および温度は、冷媒制御部C3によって調整される。
【0035】
なお、図示はしないが、試料台20には、インピーダンス整合器を介して高周波電源が電気的に接続されている。ウェハWF1のプラズマ処理中では、ウェハWF1の上面上に、プラズマ中の荷電粒子を誘引するための電界を形成するために、上記高周波電源から試料台20へ高周波電力が供給される。
【0036】
また、試料台20の上部には、静電チャック30が設けられている。静電チャック30は、絶縁層31と、絶縁層31の上面から突出した突出部31aと、絶縁層31の内部に設けられた複数の電極32とを含む。絶縁層31を構成する材料は、例えば酸化アルミニウムのような無機材料でもよいし、例えばポリイミドのような樹脂材料でもよい。突出部31aは、絶縁層31と同じ材料で構成されていてもよいし、絶縁層31と異なる材料で構成されていてもよい。
【0037】
突出部31aは、少なくとも絶縁層31の外周に沿って設けられている。すなわち、突出部31aは、円筒形状を成している。また、突出部31aは、ウェハWF1の外周よりも小さい形状を成している。このため、図3に示されるように、ウェハWF1を突出部31aに吸着した際には、ウェハWF1は絶縁層31の上面から離れており、突出部31aに囲まれた絶縁層31の上面とウェハWF1との間に、空間50が形成される。なお、空間50の形成を維持するために、絶縁層31の外周だけでなく、絶縁層31の外周の内部にも、突出部31aと同等の高さを有し、突出部31aと同じ材料からなる他の突出部(エンボス)が設けられていてもよい。
【0038】
絶縁層31および試料台20の内部には、絶縁層31の上面に到達するように、絶縁層31および試料台20を貫通するガス供給管24が設けられている。ガス供給管24は、真空容器2の外部に設けられたガス供給源から絶縁層31の上面へガスを供給するための管である。このガスは、ウェハWF1の裏面側からウェハWF1の温度を調整するために用いられ、熱伝達用ガスであり、例えばヘリウムガス(Heガス)である。
【0039】
ガス流量制御部C4は、処理室4の外部でガス供給管24に電気的に接続されている。ガス供給管24から空間50へ流れるガスの流量および圧力は、ガス流量制御部C4によって調整される。
【0040】
絶縁層31の内部には、複数の電極32が設けられている。ここでは、複数の電極32は、一対の薄膜電極である。また、複数の電極32は、電極用電源17に電気的に接続されている。電極用電源17から複数の電極32へ所定の電圧を印加することで、静電気力が生成され、この静電気力によって、絶縁層31の上面から離れるようにウェハWF1を突出部31aに吸着させることができる。
【0041】
電極制御部C2は、電極用電源17に電気的に接続され、電極用電源17の駆動を制御する。例えば、電極用電源17から複数の電極32へ印加する印加電圧の大小および印加電圧のON/OFFなどが、電極制御部C2によって制御される。
【0042】
絶縁層31および試料台20の内部には、絶縁層31の上面に到達するように、絶縁層31および試料台20を貫通する貫通孔25が設けられている。貫通孔25の内部には、支持棒40が設けられている。支持棒40の下端部は、支持棒40を上下方向に移動可能させるための移動機構42に接続されている。支持棒40を構成する材料は、熱伝導性の高い非金属材料であることが好ましく、例えばシリコンカーバイドである。
【0043】
また、支持棒40の上端部から離れた位置において、支持棒40には、温度センサ41が取り付けられている。温度センサ41は、例えば測温抵抗体型の温度センサである。ウェハWF1を突出部31aに吸着させる前に、ウェハWF1は、支持棒40の上端部に支持される。
【0044】
また、図3および図4に示されるように、ウェハWF1が突出部31aに吸着された際に、支持棒40および温度センサ41は、ウェハWF1から離れるように貫通孔25の内部に位置する。その際に、ガス供給管24の内部と、空間50と、貫通孔25の内部とは、連通された状態となる。そして、ガスは、ガス供給管24から空間50へ供給され、空間50でウェハWF1に接触し、ウェハWF1の裏面と絶縁層31との間で熱伝達が行われる。ウェハWF1に接触したガスは、更に貫通孔25に流入する。温度センサ41は、貫通孔25に流入したガスの温度を、ウェハWF1の温度として測定する。なお、詳細に図示はしないが、貫通孔25に流入したガスは、処理室4の内部へ流出され、真空排気装置16によって開口部15から排気される。
【0045】
センサ制御部C5は、導線44を介して処理室4の外部で温度センサ41に電気的に接続され、温度センサ41を制御する。また、温度センサ41で測定された温度は、センサ制御部C5によって演算され、演算された測定温度は、全体制御部C0へ送付される。
【0046】
ここで、流路21を流れる冷媒によって試料台20を冷却すると、ウェハWF1の熱は、空間50に充満しているガスおよび絶縁層31を介して、試料台20側に伝達される。これにより、ウェハWF1は冷却される。同時に、ウェハWF1に接触している空間50内のガスの温度も変化する。一方、ランプ11によってウェハWF1を加熱すると、ウェハWF1には熱が蓄積されて、ウェハWF1の温度が上昇する。同時に、ウェハWF1に接触している空間50内のガスの温度も変化する。温度センサ41は、空間50内のガスの温度を測定し、ウェハWF1の温度の測定を行う。
【0047】
また、貫通孔25の内壁には、隔壁43が設けられている。試料台20は、流路21を流れる冷媒の温度が反映され易くなるように、相対的に熱伝導率が高い材料で構成されていることが好ましい。一方で、試料台20の温度および放射熱が、温度センサ41によって測定される温度に影響を与える恐れがある。そのため、温度センサ41を試料台20から隔離するために、隔壁43が、断熱材として貫通孔25の内壁に設けられている。隔壁43は、試料台20を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料で構成され、例えばファインセラミックスで構成されている。
【0048】
また、ウェハWF1を安定して支持するために、3つ以上の貫通孔25および3つ以上の支持棒40が設けられていることが望ましい。また、温度センサ41は、3つ以上の支持棒40のうち少なくとも1つに設けられていればよいが、3つ以上の支持棒40のうち全部または一部に、設けられていてもよい。温度センサ41を複数設けることで、各温度センサ41で測定された温度の平均値を算出するなどの手段を用いて、ウェハWF1の温度をより精度良く測定することができる。
【0049】
全体制御部C0は、プラズマ処理装置1全体の動作を制御する。すなわち、全体制御部C0は、ランプ制御部C1、電極制御部C2、冷媒制御部C3、ガス流量制御部C4およびセンサ制御部C5に電気的に接続され、これらの駆動および動作を制御し、これらと互いに通信可能である。
【0050】
本願では説明を判り易くするため、各制御部C2~C5は、各々に関連する制御対象の近くに個別に図示されているが、各制御部C2~C5は、全体制御部C0の一部として一つの制御ユニットに纏められていてもよい。そのため、本願においては、各制御部C2~C5が行う動作を全体制御部C0が行うと説明する場合もあり、各制御部C2~C5を含む全体制御部C0を単に「制御部」と称する場合もある。
【0051】
<ランプによる加熱温度の補正方法>
実施の形態1では、温度センサ41によって測定されるガスの温度をウェハWF1の温度としている。ここで、ランプ11によってウェハWF1を加熱した場合、どのような条件でランプ用電源13の印加電圧を制御すれば、温度センサ41によって測定されるガスの温度(ウェハWF1の加熱温度)が、所望の温度になるのかを予め推定できれば、温度節制処理のスループットを向上させることができる。
【0052】
以下に図5図7を用いて、ランプ11による加熱温度の補正方法を説明する。この方法は、全体制御部C0が、温度センサ41によって測定されたガスの温度と、ガス供給管24から空間50へ供給されるガスの圧力とを基にして、ランプ11による加熱温度が所望の加熱温度に補正されるように、ランプ用電源13の印加電圧を制御する方法である。
【0053】
まず、ランプ11による加熱特性を測定するために、図5に示されるような、ウェハWF1と別のウェハ(基板)WF2を準備する。ウェハWF2の表面の複数の点60には、熱電対などの温度センサ61が貼り付けられている。
【0054】
温度センサ61のうち、点60に接触する箇所がセンサになっている。温度センサ61は、上記センサの信号を伝えるための配線部と、温度情報を表示するための温度計とを有する。上記配線は、上記センサに接続され、真空容器2の外部まで延在し、真空容器2の外部において上記温度計に接続されている。上記センサで得られた温度情報は、上記温度計において確認できる。
【0055】
なお、点60の位置は、支持棒40と同一の箇所になっていることが好ましく、支持棒40の口径の中心位置になっていることが好ましい。このように点60の位置を設定することで、支持棒40に取り付けられた温度センサ41が実際にウェハWF1の温度を測定する箇所と同じ箇所で、温度センサ61による温度測定を行うことができる。
【0056】
この温度センサ61を貼り付けたウェハWF2を、ウェハWF1の代わりに処理室4の内部に載置し、真空排気装置16によって、開口部15から処理室4の内部を高真空排気する。電極用電源17から複数の電極32へ電圧を印加し、静電気力を発生させる。これにより、ウェハWF1を突出部31aに吸着させる。その状態で、ランプ用電源13からランプ11へ電圧を印加し、ランプ11を発光させる。この発光したランプ11から発射された赤外光のうち、石英の窓部14を透過して処理室4に入射した赤外光によって、ウェハWF2を加熱する。
【0057】
加熱された状態のウェハWF2の温度を、複数の温度センサ61と、支持棒40に取り付けられた温度センサ41とによって測定し、それぞれの結果の比較を行う。図6は、測定して得られた各温度の対応関係を示すデータベースの一例である。図6には、複数の温度センサ61で測定された温度の平均値(TCウェハ温度)の時間変化と、温度センサ41で測定された温度(PTセンサ温度)の時間変化とが示されている。
【0058】
このような測定を、ランプ用電源13からランプ11へ印加する電圧(IR出力)と、ウェハWF2下の空間50へ供給される熱伝達用ガスの圧力(He圧力)とをパラメータとして、これらを種々に変化させて行う。その結果、それぞれの条件において図6に示したようなグラフがデータベースとして作成される。データベースは、図7に示される全体制御部C0の記憶部C0cに記録される。すなわち、全体制御部C0は、複数の印加電圧下におけるランプ11による加熱温度と、複数の圧力下におけるガスの温度との対応関係をデータベースとして有する。
【0059】
このようにして作成されたデータベースを用いて、温度センサ41で測定された温度から、複数の温度センサ61で測定されるであろうと期待される平均温度を求めることができる。
【0060】
以下に、ウェハWF1の処理中に、ランプ11による加熱温度を補正する方法について説明する。なお、図7に示されるように、全体制御部C0は、指令部C0aと、照合部C0bと、記憶部C0cとを有する。指令部C0aは、各制御部C1~C5に電気的に接続され、これらの駆動および動作を制御し、これらと互いに通信を行う機構である。
【0061】
温度センサ41によって測定されたガスの温度は、センサ制御部C5を介して指令部C0aに送られる。同時に、ガス供給管24から空間50へ供給されるガスの圧力も、ガス流量制御部C4を介して指令部C0aに送られる。指令部C0aは、これらの数値を照合部C0bへ送付する。上述のように、記憶部C0cには、ウェハWF2を用いて作成されたデータベースが記録されている。照合部C0bは、このデータベースを記憶部C0cから読み出す。
【0062】
照合部C0bは、指令部C0aから送付されたガスの温度とガスの圧力とをデータベースに照合することで、現在のランプ11による加熱温度と、現在のランプ用電源13の印加電圧とを推定する。すなわち、照合部C0bにおいて、現在の加熱温度が、所望の加熱温度とどの程度異なっているかを知ることができる。そして、照合部C0bは、所望の加熱温度に対応するランプ用電源13の印加電圧の情報を、指令部C0aへ送付する。
【0063】
指令部C0aは、照合部C0bから送付された情報に基づいて、ランプ11による加熱温度が所望の加熱温度に補正されるように、ランプ用電源13の印加電圧を制御する。これにより、温度センサ41によって測定されるガスの温度も、所望の温度に補正される。すなわち、ウェハWF1の温度を、所望の温度に迅速に変更することができる。
【0064】
このような全体制御部C0による制御を繰り返すことで、ウェハWF1の処理中に、ランプ11による加熱温度を適切な温度に制御でき、ウェハWF1の温度を適切な温度に制御することができる。
【0065】
<プラズマ処理方法>
以下に図8に示されるように、プラズマ処理装置1を用いて、ウェハWF1に対して行われるプラズマ処理方法について説明する。
【0066】
ステップS1では、ロボットアームのような真空搬送装置を用いて、プラズマ処理装置1の外部から真空容器2の内部へウェハWF1を搬送する。次に、図2のように、支持棒40の上端が突出部31aよりも上方に位置した状態で、ウェハWF1を支持棒の上端に載置する。次に、真空搬送装置を真空容器2から退室させ、真空容器2の内部を密封する。次に、真空排気装置16によって、開口部15から処理室4の内部を高真空排気する。これにより、処理室4の内部の圧力が、プラズマ処理に適した範囲内の値に調整される。
【0067】
ステップS2では、移動機構42によって支持棒40を下方に移動することで、図3のように、ウェハWF1を突出部31aに載置する。そして、ウェハWF1から離れるように、支持棒40を貫通孔25の内部に位置させる。
【0068】
ステップS3では、電極用電源17から複数の電極32へ電圧を印加し、静電気力を発生させる。これにより、絶縁層31の上面から離れるように、ウェハWF1を突出部31aに吸着させる。突出部31aに囲まれた絶縁層31の上面と、ウェハWF1との間に、空間50が形成される。そして、ガス供給管24の内部と、空間50と、貫通孔25の内部とは、連通された状態となる。
【0069】
ステップS4では、ガス供給管24から空間50へガスを供給し、空間50から貫通孔25の内部へガスを流入する。また、試料台20の内部に設けられた流路21に、冷媒制御部C3によって温度調整された冷媒を流す。これにより、ウェハWF1の熱の伝達が促進され、ウェハWF1の温度が、プラズマ処理の開始に適切な範囲内の値に調整される。
【0070】
ステップS5では、高周波電源8からマイクロ波を出力し、ガス供給装置10からプラズマ発生室3の内部へ処理用のガスを供給することで、プラズマ発生室3の内部にプラズマを発生させる。プラズマによって励起された処理用のガス(ラジカル)は、複数の孔6を介して、プラズマ発生室3から処理室4へ流れ出る。このラジカルの一部がウェハWF1の表面に吸着することで、ウェハWF1の表面に、反応層が形成される。
【0071】
ステップS6では、貫通孔25の内部において、温度センサ41を用いてガスの温度を測定する。測定されたガスの温度は、センサ制御部C5(全体制御部C0)へ伝達される。
【0072】
ステップS7では、ランプ11によってウェハWF1を加熱する。この加熱工程は、ランプ用電源13からランプ11に電圧を印加することで行われる。一定時間、ウェハWF1の表面に熱エネルギーが加えられることで、ウェハWF1の表面に形成されていた反応層は、ウェハWF1の表面から離脱する。
【0073】
ここで、図5図7を用いて説明したように、ランプ11による加熱温度を所望の加熱温度に補正する方法を用いることで、ウェハWF1の温度が所望の温度になるような制御が行われる。
【0074】
ステップS8では、ウェハWF1に対する所望の処理が終了した後、プラズマを停止する。そして、静電気力が除かれてウェハWF1の吸着が解除された後、真空搬送装置のアームが処理室4の内部へ進入し、処理済みのウェハWF1がプラズマ処理装置1の外部へ搬送される。
【0075】
このように、実施の形態1のプラズマ処理装置1によれば、空間50に供給されたガスの温度は、空間50に連通する貫通孔25の内部において、温度センサ41によって測定される。そして、上記ガスは、空間50でウェハWF1に直接接触したガスであり、ウェハWF1の温度が伝達されたガスである。そのため、被処理体であるウェハWF1の温度測定処理の精度を向上させることができる。また、温度センサ41による温度測定は短時間で行うことができるので、温度測定処理のスループットを向上させることができる。
【0076】
また、予め測定されたデータベースを用いることで、ランプ11による加熱温度が所望の加熱温度に補正されるように、ランプ用電源13の印加電圧を制御できる。これにより、ウェハWF1の温度を、所望の温度に迅速に変更することができる。従って、温度測定処理のスループットを更に向上させることができる。
【0077】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 プラズマ処理装置
2 真空容器
3 プラズマ発生室
4 処理室
5 プレート
6 孔
7 導波管
8 高周波電源
9 ガス導入管
10 ガス供給装置
11 ランプ
12 防護板
13 ランプ用電源
14 窓部
15 開口部
16 真空排気装置
17 電極用電源
20 試料台
21 流路
22 冷媒供給管
23 冷媒排出管
24 ガス供給管
25 貫通孔
30 静電チャック
31 絶縁層
31a 突出部
32 電極
40 支持棒
41 温度センサ
42 移動機構
43 隔壁
44 導線
50 空間
60 点
61 温度センサ
C0 全体制御部
C0a 指令部
C0b 照合部
C0c 記憶部
C1 ランプ制御部
C2 電極制御部
C3 冷媒制御部
C4 ガス流量制御部
C5 センサ制御部
WF1 ウェハ
WF2 ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8