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特開2023-131427プロテクタ及びプロテクタ付ワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131427
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】プロテクタ及びプロテクタ付ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230914BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230914BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230914BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20230914BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230914BHJP
   F16L 3/137 20060101ALI20230914BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04 062
H02G3/30
H01B7/00 301
F16B2/08 S
F16L57/00 A
F16L3/137
B60R16/02 623U
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036182
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】尾張 純夫
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 雄基
(72)【発明者】
【氏名】富永 哲史
(72)【発明者】
【氏名】中飯 俊介
(72)【発明者】
【氏名】島津 勝一
【テーマコード(参考)】
3H023
3H024
3J022
5G309
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC22
3H023AD08
3H023AD19
3H024AA04
3H024AB07
3H024AC03
3J022DA15
3J022EA15
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
5G309AA11
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5G357DG05
5G363AA07
5G363AA12
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1bから突出する結束バンドB1のバンド先端B1dが支障することを防止できるプロテクタ及びプロテクタ付ワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】底部28,31と一対の側壁29,30,32とで構成され、側壁の先端側が開放されたベース20と、ベース20の開放部分を覆うカバー80とが備えられ、導出部34に、バンド部B1aとバックル部B1bとを有する結束バンドB1を枝線5に巻回して固定する枝線固定部68が設けられ、枝線固定部68は、ベース20に設けられ、枝線5に巻回したバンド部B1aを固定するバックル部B1bを配置するバックル配置部67と、カバー80に設けられ、バックル配置部67に配置されるバックル部B1bから突出するバンド部B1aのバンド突出部B1cのバンド先端B1dの側方を覆う側方壁部84とが設けられたことを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐する枝線を有するワイヤーハーネスを内部に挿通するとともに、前記枝線を導出する導出部を有するプロテクタであって、
底部と一対の側壁とで構成され、側壁の先端側が開放されたベースと、前記ベースの開放部分を覆うカバーとが備えられるとともに、
前記導出部に、バンド部とバックル部とを有する結束バンドを前記枝線に巻き回して固定する枝線固定部が設けられ、
前記枝線固定部は、
前記ベースに設けられ、前記枝線に巻き回した前記バンド部を固定する前記バックル部を配置するバックル配置部と、
前記カバーに設けられ、前記バックル配置部に配置される前記バックル部から突出する前記バンド部のバンド突出部における先端であるバンド先端の側方を覆う側方壁部とが設けられた
プロテクタ。
【請求項2】
前記側方壁部は、前記バンド突出部の延伸方向に沿うとともに、前記バンド先端を跨いで配置された
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記側方壁部の前記ベース側の端部における内面側に、前記バンド先端を前記側方壁部の内側に案内する案内面が設けられた
請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記カバーに設けられ、前記バンド突出部の延伸方向の先端側を覆う先端壁部が設けられた
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記先端壁部と前記側方壁部とが直接連結された
請求項4に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記先端壁部に、開口された確認窓が設けられた
請求項4又は請求項5に記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記先端壁部における前記確認窓の周縁部に沿ってリブが設けられた
請求項6に記載のプロテクタ。
【請求項8】
前記先端壁部及び前記側方壁部のそれぞれに対して交差する奥行き方向に沿って形成された奥行き壁が設けられた
請求項4乃至請求項7のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項9】
前記奥行き壁は、前記側方壁部と連続形成された
請求項8に記載のプロテクタ。
【請求項10】
前記バックル配置部に、前記バンド部を固定する前記バックル部の姿勢を保持する姿勢保持部が設けられた
請求項1乃至請求項9のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項11】
前記姿勢保持部と、前記側方壁部の先端との間隔が、前記バックル部の高さより広く設定された
請求項10に記載のプロテクタ。
【請求項12】
前記ワイヤーハーネスに巻き回す前記バンド部を案内するバンド案内部と、前記バンド案内部に前記バンド部を規制するバンド規制枠とが設けられ、
前記バンド案内部と前記バンド規制枠とが、前記姿勢保持部として機能する
請求項10又は請求項11に記載のプロテクタ。
【請求項13】
前記ベースと前記カバーとを固定するカバー固定部が、前記導出部に設けられた
請求項1乃至請求項12のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項14】
前記導出部において、前記枝線固定部が、前記カバー固定部より端部側に配置された
請求項13に記載のプロテクタ。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のうちいずれかに記載のプロテクタと、
分岐する枝線を有するワイヤーハーネスと、
前記ワイヤーハーネスを前記プロテクタに取り付ける結束バンドとが備えられ、
前記導出部に前記枝線が前記結束バンドで固定された
プロテクタ付ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電線を束ねたワイヤーハーネス等を外装するとともに経路を規制するプロテクタ及びプロテクタ付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転性能や安全性などを向上させるために様々な電子機器類が車両に搭載されている。これらの電子機器類を電気的に接続するワイヤーハーネスは、車両に対して三次元的に配索されており、配索経路に応じて所定の方向に曲げられた状態でプロテクタによって保護されている。
【0003】
このように三次元的に配索されるワイヤーハーネスを保護するプロテクタの一例として、ワイヤーハーネスの配索方向に合わせて屈曲させたプロテクタ本体に対して、プロテクタ本体の上面側開口を覆うようにカバーを係止させる構成が特許文献1に開示されている。
【0004】
近年、電子機器類の増加や、電子機器類を配置する配置空間の確保などにより、ワイヤーハーネスの配索経路がより複雑化にしている。具体的には、ワイヤーハーネスにおける幹線から分岐した枝線をプロテクタから導出し、所定の配索経路に沿って配索する。このとき、プロテクタ本体における導出部分に、配索方向に向けて導出する枝線を結束バンドで固定する。これにより、枝線を安定して配索することができる。
【0005】
前記枝線を結束バンドで固定する際、プロテクタ本体の導出部分に設けたバックル部に結束バンドを挿通し、バンドカッタなどの工具を用いて当該結束バンドを締付けるとともに、当該工具によりバックル部から突出したバンド部先端部のバックル部に近い部分を切断するが、この場合、結束バンドの切断されたバンド先端がバックル部から突出して支障をきたすという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-92638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出する結束バンドのバンド先端が支障することを防止できるプロテクタ及びプロテクタ付ワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、分岐する枝線を有するワイヤーハーネスを内部に挿通するとともに、前記枝線を導出する導出部を有するプロテクタであって、底部と一対の側壁とで構成され、側壁の先端側が開放されたベースと、前記ベースの開放部分を覆うカバーとが備えられるとともに、前記導出部に、バンド部とバックル部とを有する結束バンドを前記枝線に巻き回して固定する枝線固定部が設けられ、前記枝線固定部は、前記ベースに設けられ、前記枝線に巻き回した前記バンド部を固定する前記バックル部を配置するバックル配置部と、前記カバーに設けられ、前記バックル配置部に配置される前記バックル部から突出する前記バンド部のバンド突出部における先端であるバンド先端の側方を覆う側方壁部とが設けられたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、上述のプロテクタと、分岐する枝線を有するワイヤーハーネスと、前記ワイヤーハーネスを前記プロテクタに取り付ける結束バンドとが備えられ、前記導出部に前記枝線が前記結束バンドで固定されたプロテクタ付ワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0010】
この発明により、導出部に枝線を固定する結束バンドのバンド先端がバックル部から突出するが、側方壁部によってバンド先端の側方を覆うため、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出するバンド先端が支障することを防止できる。
【0011】
この発明の態様として、前記側方壁部は、前記バンド突出部の延伸方向に沿うとともに、前記バンド先端を跨いで配置されてもよい。
この発明により、前記バンド突出部の延伸方向に沿って配置された側方壁部がバンド先端を跨いで配置されているため、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出するバンド先端が支障することをより確実に防止できる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記側方壁部の前記ベース側の端部における内面側に、前記バンド先端を前記側方壁部の内側に案内する案内面が設けられてもよい。
この発明により、結束バンドの向きがズレていてもバンド先端を側方壁部の内側に案内できるため、確実にバンド先端の側方を側方壁部で覆うことができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記カバーに設けられ、前記バンド突出部の延伸方向の先端側を覆う先端壁部が設けられてもよい。
この発明により、バンド突出部の延伸方向の先端側を先端壁部で覆うため、バンド先端の側方と延伸方向の先端側とを覆うことができ、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出するバンド先端が支障することをさらに防止できる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記先端壁部と前記側方壁部とが直接連結されてもよい。
この発明により、先端壁部と側方壁部との隙間からバンド先端が露出して、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出するバンド先端が支障することをさらに防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記先端壁部に、開口された確認窓が設けられてもよい。
この発明により、先端壁部によって覆われた結束バンドを、確認窓を介して外部から目視で確認することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記先端壁部における前記確認窓の周縁部に沿ってリブが設けられてもよい。
この発明により、開口された確認窓を設けたことによる先端壁部の強度低下を抑制することができる。
また、リブによってバンド突出部の倒れを規制することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記先端壁部及び前記側方壁部のそれぞれに対して交差する奥行き方向に沿って形成された奥行き壁が設けられてもよい。
この発明により、バンド突出部の奥行き方向を奥行き壁で覆うため、バンド先端の側方と延伸方向の先端側とに加えて、奥行き方向も覆うことができ、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出するバンド先端が支障することをより確実に防止できる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記奥行き壁は、前記側方壁部と連続形成されてもよい。
この発明により、側方壁部と奥行き壁との隙間からバンド先端が露出して、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出するバンド先端が支障することをさらに防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記バックル配置部に、前記バンド部を固定する前記バックル部の姿勢を保持する姿勢保持部が設けられてもよい。
この発明により、結束バンドによってワイヤーハーネスを安定して固定することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記姿勢保持部と、前記側方壁部の先端との間隔が、前記バックル部の高さより広く設定されてもよい。
この発明により、姿勢保持部で姿勢が保持されたバンド突出部と、側方壁部とが干渉することを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記ワイヤーハーネスに巻き回す前記バンド部を案内するバンド案内部と、前記バンド案内部に前記バンド部を規制するバンド規制枠とが設けられ、前記バンド案内部と前記バンド規制枠とが、前記姿勢保持部として機能してもよい。
この発明により、バンド規制枠に規制されたバンド部がバンド案内部に案内された安定した巻き回し状態で枝線固定部にワイヤーハーネスを確実に固定することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記ベースと前記カバーとを固定するカバー固定部が、前記導出部に設けられてもよい。
この発明により、前記ベース及び前記カバーにおいてそれぞれ導出部を構成する部分同士を確実に固定することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記導出部において、前記枝線固定部が、前記カバー固定部より端部側に配置されてもよい。
この発明により、前記ベース及び前記カバーにおいてそれぞれ導出部を構成する部分同士を確実に固定しながら、前記カバー固定部が前記枝線固定部より端部側に配置される場合に比べ、導出部から導出される枝線の遊びを少なくしてしっかりと固定することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、ワイヤーハーネスの配索作業時においてバックル部から突出する結束バンドのバンド先端が支障することを防止できるプロテクタ及びプロテクタ付ワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】プロテクタの平面図。
図2】カバーを取外して示すベースの平面図。
図3】内部にワイヤーハーネスを挿通させた状態で示すベースの平面図。
図4】プロテクタの斜視図。
図5図4とは異なる方向から見たプロテクタの斜視図。
図6】プロテクタの分解斜視図。
図7図1のA-A線矢視断面図。
図8図1のB-B線矢視断面図。
図9図1のC-C線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施例を以下図面とともに説明する。
図面はプロテクタ2を示し、図1はカバー80を取付けた状態のプロテクタ2の平面図を示し、図2はカバー80を取外した状態のベース20の平面図を示し、図3は内部にワイヤーハーネス3を挿通させた状態のベース20の平面図を示す。
【0027】
また、図4はプロテクタ2の斜視図を示し、図5図4とは異なる方向から見たプロテクタ2の斜視図を示し、図6はプロテクタ2の分解斜視図を示す。さらに、図7図1のA-A線矢視断面図を示し、図8図1のB-B線矢視断面図を示し、図9図1のC-C線矢視断面図を示す。
【0028】
ここで、図面中、ワイヤーハーネス3における幹線4の挿通方向を長手方向Xとし、この長手方向Xに直交する方向を幅方向Yとしている。また、長手方向Xおよび幅方向Yと直交する方向を上下方向Zとする。
【0029】
また、長手方向Xのうち図4における右下側を一方側Xa、左上側を他方側Xbとし、幅方向Yのうち右上側を一方側Ya、左下側を他方側Ybとしている。さらに、上下方向Zのうち図4における上方を上方側Zaとし、下方側を下方側Zbとしている。
【0030】
図6に示すように、プロテクタ2は、プロテクタ本体としてのベース20と、ベース20の開放部分を覆うカバー80とを備えており、図3に示すように、幹線4と、幹線4から分岐する第1枝線5、第2枝線6、第3枝線7とを有するワイヤーハーネス3を内部に挿通してプロテクタ付ワイヤーハーネス1を構成している。
枝線5,6,7は、ワイヤーハーネス3において幹線4から分岐された分岐線であり、幹線4及び枝線5,6,7は内部の導体を絶縁被覆で囲繞した被覆電線を複数束ねて構成している。
【0031】
図2及び図3に示すように、ベース20の幅方向Yの他方側Ybには、長手方向Xの他端から一端にかけて幹線4を挿通させる幹線通路24が形成されている。
同図に示すように、ベース20の幅方向Yにおける一方側Yaで、かつ長手方向Xの他方側Xbには、第1枝線5を一方側Xaに向かって挿通させる第1枝線通路21が形成されている。
【0032】
同様に、ベース20の幅方向Yの一方側Yaで、かつ長手方向Xの一方側Xaには、第2枝線6を他方側Xbに向かって挿通させる第2枝線通路22が形成されている。この実施形態においては、枝線通路21,22は幹線通路24の一部に沿って形成されている。
【0033】
また、ベース20の幅方向Yの他方側Ybで、かつ長手方向Xの中間部には第3枝線7を他方側Ybに向かって挿通させる第3枝線通路23が形成されている。この第3枝線通路23は幹線通路24に対して直交するように形成されている。
さらに、ベース20には、幹線通路24の長手方向Xの中間部と、枝線通路21,22とを挿通させる連通部25が形成されている。
【0034】
図2に示すように、前述の幹線通路24は、長手方向Xの他方側Xbの端部に位置する挿通口26から長手方向Xの一方側Xaの端部に位置する挿通口27にわたるメイン底部28と、メイン底部28の幅方向Yの他方側Ybの端部から第3枝線通路23を除いて上方に立ち上がる側壁29と、メイン底部28の幅方向Yの一方側Ya端部から連通部25を除いて上方に立ち上がる内側壁30とで断面略凹形状(図7参照)に構成されている。
ここで、前述の側壁29及び内側壁30の先端側つまり上方側Zaは開放されている。
【0035】
第1枝線通路21は、図2に示すように、底部31と、底部31の幅方向Yの他方側Ybの端部から上方側Zaに向かって立ち上がる内側壁30と、底部31の幅方向Yの一方側Yaの端部から上方側Zaに向かって立ち上がる外側壁32とで断面略凹形状に構成されている。また、第1枝線通路21の長手方向Xの他方側Xbの端部には第1枝線出口33が形成されている。
【0036】
ここで、前述の内側壁30及び外側壁32の先端側つまり上方側Zaは開放されている。また、内側壁30の兼用部30aは幹線通路24の側壁と第1枝線通路21の側壁とを兼ねている。
すなわち、内側壁30の兼用部30aは、第1枝線出口33から長手方向Xの一方側Xaに所定長さ延びている。この内側壁30の兼用部30aと対応する第1枝線通路21の形成部位が、第1枝線5を他方側Xbに向かって外部に導出する導出部34に設定されている。
【0037】
第2枝線通路22は、図2に示すように、底部35と、底部35の幅方向Yの他方側Ybの端部から上方側Zaに向かって立ち上がる内側壁30と、底部35の幅方向Yの一方側Yaの端部から上方側Zaに向かって立ち上がる外側壁36とで断面略凹形状に構成されている。また、第2枝線通路22の長手方向Xの一方側Xaの端部には第2枝線出口37が形成されている。
【0038】
ここで、前述の内側壁30及び外側壁36の先端側つまり上方側Zaは開放されている。また、内側壁30の兼用部30bは幹線通路24の側壁と第2枝線通路22の側壁とを兼ねている。
すなわち、内側壁30の兼用部30bは、第2枝線出口37から長手方向Xの他方側Xbに所定長さ延びている。この内側壁30の兼用部30bと対応する第2枝線通路22の形成部位が、第2枝線6を外部に導出する導出部38に設定されている。
【0039】
図2に示すように、第1枝線通路21の底部31と、第2枝線通路22の底部35とは、連通底部39により長手方向Xに連結されており、同様に、第1枝線通路21の外側壁32と、第2枝線通路22の外側壁36とは、連通側壁40により長手方向Xに連結されている。
【0040】
第3枝線通路23は、図2に示すように、底部41と、底部41の長手方向Xの一方側Xaの端部から上方側Zaに向かって立ち上がる側壁42と、底部41の長手方向Xの他方側Xbの端部から上方側Zaに向かって立ち上がる側壁43とで断面略凹形状に構成されている。また、第3枝線通路23の幅方向Yの他方側Ybの端部には第3枝線出口44が形成されている。
【0041】
ここで、前述の各側壁42,43の先端側つまり上方側Zaは開放されている。また、一対の側壁42,43のうち長手方向Xの他方側Xbの側壁43の上端には、当該上端から長手方向Xの他方側Xbに延びる取付け壁45が形成されている。この取付け壁45には取付け孔45aが開口形成されており、例えば、エンジン冷却ホースを取付けるように構成している。
【0042】
図2に示すように、ベース20における幹線通路24の挿通口26及び挿通口27の内方には、幹線4の下半分を支持する略U字状のU字リブ46が長手方向Xに間隔を隔てて複数設けられている。
【0043】
また、図2に示すように、第1枝線出口33、第2枝線出口37、第3枝線出口44に隣接するそれぞれの底部31,35,41並びに、メイン底部28の複数箇所には、水抜き孔47が上下方向Zに貫通形成されている。
【0044】
さらに、図1図4図7及び図8に示すように、ベース20の長手方向Xの一方側Xaの下部には、下方に延びる脚部48(図4及び図8参照)と、脚部48の下端から幅方向Yの他方側Ybに延びる取付け座49とを備えた車体に対する取付け部50が設けられている。
【0045】
図1図8に示すように、側壁29と、兼用部30bを含む内側壁30と、連通側壁40と、これに対応するカバー80の所定位置とには、ベース20とカバー80とを固定する係止部としての係止枠51及び係止爪52の何れか一方が設けられている。
図4及び図6に示すように、カバー80に設けられた複数の係止爪52のそれぞれをベース20の係止枠51に係止することで、ベース20とカバー80とが固定される。
【0046】
図1及び図2に示すように、第1枝線5の導出部34を形成するベース20の外側壁32には、ベース20とカバー80とを固定するカバー固定部としてのカバー係止爪51aが設けられている。図6に示すように、当該カバー係止爪51aと対応するカバー80には、カバー係止爪51aと係合される係止枠52aが設けられている。
【0047】
同様に、図1及び図2に示すように、第2枝線6の導出部38を形成するベース20の外側壁36には、ベース20とカバー80とを固定するカバー固定部としてのカバー係止爪51bが設けられている。図6に示すように、当該カバー係止爪51bと対応するカバー80には、カバー係止爪51bと係合される係止枠52bが設けられている。
【0048】
図1図4図6に示すように、カバー80はベース20の開放部分を覆うものである。詳しくは、該カバー80は、第1枝線通路21の開放部分を覆う第1枝線通路カバー部81と、第2枝線通路22の開放部分を覆う第2枝線通路カバー部82と、幹線通路24の開放部分を覆う幹線通路カバー部83とを備えている。
【0049】
図7に示すように、第1枝線5の導出部34には、バンド部B1aとブロック形状のバックル部B1bとを有する結束バンドB1を第1枝線5に巻き回して固定する枝線固定部68が設けられている。
【0050】
枝線固定部68は、ベース20のバックル配置部67と、カバー80の側方壁部84とを備えている。
バックル配置部67は、ベース20に設けられ、第1枝線5に巻き回したバンド部B1aを固定するバックル部B1bを配置するものである。
【0051】
また、側方壁部84は、カバー80に設けられ、バックル配置部67に配置されるバックル部B1bから突出するバンド部B1aのバンド突出部B1cにおける先端であるバンド先端B1dの側方を覆うものである。
【0052】
図7に示すように、側方壁部84はバンド突出部B1cよりも幅方向Yの一方側Yaへ離間して上下方向Zに延びている。
図8に示すように、第2枝線6の導出部38には、バンド部B2aとブロック形状のバックル部B2bとを有する結束バンドB2を第2枝線6に巻き回して固定する枝線固定部70が設けられている。
【0053】
枝線固定部70は、ベース20のバックル配置部69と、カバー80の側方壁部85とを備えている。
バックル配置部69は、ベース20に設けられ、第2枝線6に巻き回したバンド部B2aを固定するバックル部B2bを配置するものである。
【0054】
また、側方壁部85は、カバー80に設けられ、バックル配置部69に配置されるバックル部B2bから突出するバンド部B2aのバンド突出部B2cにおける先端であるバンド先端B2dの側方を覆うものである。
【0055】
図8に示すように、側方壁部85は、バンド突出部B2cよりも幅方向Yの一方側Yaへ離間して上下方向Zに延びている。
図7及び図8に示すように、枝線5,6に巻き回したバンド部B1a,B2aをそれぞれのバックル部B1b,B2bで結束する際、結束バンドB1,B2のバンド先端B1d,B2dがバックル部B1b,B2bから突出するが、側方壁部84,85によってバンド先端B1d,B2dの側方を覆うことで、ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することを防止するように構成している。
【0056】
図7に示すように、導出部34においてバンド先端B1dの側方を覆う側方壁部84は、バンド突出部B1cの延伸方向(この実施形態では上下方向Z)に沿うとともに、バンド先端B1dを跨いで配置されている。
すなわち、側方壁部84の上端基部はバンド先端B1dよりも上方にオフセットしており、側方壁部84の先端部(つまり下端部)はバンド先端B1dよりも下方にオフセットしている。
【0057】
同様に、図8に示すように、導出部38においてバンド先端B2dの側方を覆う側方壁部85は、バンド突出部B2cの延伸方向(この実施形態では上下方向Z)に沿うとともに、バンド先端B2dを跨いで配置されている。
すなわち、側方壁部85の上端基部はバンド先端B2dよりも上方にオフセットしており、側方壁部85の先端部(つまり下端部)はバンド先端B2dよりも下方にオフセットしている。
【0058】
図7及び図8に示すように、バンド突出部B1c,B2cの延伸方向に沿って配置された各側方壁部84,85がそれぞれのバンド先端B1d,B2dを外側方から跨いで配置されることで、ワイヤーハーネス3の配索作業時において、バックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをより確実に防止するように構成している。
【0059】
図7に示すように、側方壁部84のベース20の側の端部(つまり、下端部)における内面側には、バンド先端B1dを側方壁部84の内側に案内するテーパ形状の案内面84aが設けられている。
同様に、図8に示すように、側方壁部85のベース20の側の端部(つまり、下端部)における内面側にも、バンド先端B2dを側方壁部85の内側に案内するテーパ形状の案内面85aが設けられている。
【0060】
これらの各テーパ形状の案内面84a,85aは先端側ほど外方に向くように形成されている。
これにより、結束バンドB1,B2の向きが外方にずれていても、案内面84a,85aにて、バンド先端B1d,B2dを側方壁部84,85の内側に案内でき、バンド先端B1d,B2dの外側方を側方壁部84,85で確実に覆うように構成している。
【0061】
図7に示すように、カバー80に設けられ、バンド突出部B1cの延伸方向(つまり上下方向Z)のバンド先端B1dの側を覆う先端壁部86が設けられている。
同様に、図8に示すように、カバー80に設けられ、バンド突出部B2cの延伸方向(つまり上下方向Z)のバンド先端B2dの側を覆う先端壁部87が設けられている。
【0062】
図7及び図8に示すように、これらの各先端壁部86,87はカバー80の幅方向Yに延びている。
これにより、バンド突出部B1c,B2cの延伸方向の先端側を先端壁部86,87で覆うことができる。すなわち、バンド先端B1d,B2dの側方を側方壁部84,85で覆い、バンド先端B1d,B2dの延伸方向の先端側を先端壁部86,87で覆うので、ワイヤーハーネス3の配索作業時において、バックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをさらに防止するように構成している。
【0063】
図7に示すように、先端壁部86と側方壁部84とが隙間なく直接連結されている。
詳しくは、上下方向Zに延びる側方壁部84と、幅方向Y方向に延びる先端壁部86とが、長手方向Xから見てL字状に直接連結されている。
【0064】
同様に、図8に示すように、先端壁部87と側方壁部85とが隙間なく直接連結されている。
詳しくは、上下方向Zに延びる側方壁部85と、幅方向Yに延びる先端壁部87とが、長手方向Xから見てL字状に直接連結されている。
【0065】
これにより、図7及び図8に示すように、先端壁部86,87と側方壁部84,85との間には隙間が形成されない。よって、先端壁部86,87と側方壁部84,85との隙間からバンド先端B1d,B2dが露出することはなく、ワイヤーハーネス3の配索作業時において、バックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをさらに防止するように構成している。
【0066】
図7に示すように、導出部34の先端壁部86は、幹線通路カバー部83に対して段下げ形成される一方で、導出部38の先端壁部87は、図8に示すように、幹線通路カバー部83に対して略面一状に形成されている。
【0067】
図1及び図7に示すように、先端壁部86には、開口された確認窓88が設けられている。図1に示すように、この確認窓88は先端壁部86の幅方向Yの中間において先端壁部86を上下方向Zに貫通して形成されている。
【0068】
同様に、図1及び図8に示すように、先端壁部87には、開口された確認窓89が設けられている。図1に示すように、この確認窓89は先端壁部87の幅方向Y中間において先端壁部87を上下方向Zに貫通して形成されている。
なお、上述の説明では、各確認窓88,89は図1に示すように、平面視で、方形状に形成されているが、各確認窓88,89の形状は方形状に限定されるものではない。
【0069】
図7及び図8に示すように、確認窓88,89を設けることで、先端壁部86,87によって覆われた結束バンドB1,B2を、確認窓88,89を介して外部から目視で確認するように構成している。
また、図7に示すように、先端壁部86における確認窓88の下方側Zbの周縁部に沿ってリブ90が設けられている。同様に、図8に示すように、先端壁部87における確認窓89の下方側Zbの周縁部に沿ってリブ91が設けられている。
【0070】
これらの各リブ90,91は、図7及び図8に示すように、先端壁部86,87の下面から下方側Zbに突出するように設けられるとともに、確認窓88,89の下方側Zbの全周縁部に沿って設けられた環状補強部である。なお、リブ90,91を確認窓88,89の全周縁部に沿って設ける構造に代えて、部分的、例えば方形状の確認窓88,89の下方側Zbの三辺に相当する周縁部にのみ設けてもよい。
【0071】
これにより、開口された確認窓88,89を設けたことによる先端壁部86,87の強度低下を抑制するとともに、リブ90,91によりバンド突出部B1c,B2cの倒れを規制するように構成している。
なお、リブ90,91を確認窓88,89の全周縁部に沿って設ける構造に代えて、部分的、例えば方形状の確認窓88,89の下方側Zbの三辺に相当する周縁部にのみ設けてもよい。
【0072】
図7に示すように、先端壁部86及び側方壁部84のそれぞれに対して交差する幅方向Yの他方側Ybに沿って形成された奥行き壁92が設けられている。同様に、図8に示すように、先端壁部87及び側方壁部85のそれぞれに対して交差する幅方向Yの他方側Ybに沿って形成された奥行き壁93が設けられているため、バンド突出部B1c,B2cの幅方向Yの他方側Ybを奥行き壁92,93で覆い、バンド先端B1d,B2dの側方と、延伸方向の先端側とに加えて、幅方向Yの他方側Ybも覆う。
【0073】
よって、ワイヤーハーネス3の配索作業時において、バックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをより確実に防止するように構成している。
ここで、図7に示す導出部34の奥行き壁92は先端壁部86の下面から側方壁部84の先端まで下方に延びるとともに、当該側方壁部84の内側面から、先端壁部86の幅方向Yの全幅にわたって幅方向Yの他方側Ybに延びている。
【0074】
図8に示す導出部38の奥行き壁93は、側方壁部85の内側面から結束バンドB2のバンド突出部B2cと対応する範囲においては、先端壁部87の下面から側方壁部85の先端まで下方に延びている。また、バンド突出部B2cと対応する位置から内側壁30に至る範囲においては、先端壁部87の下面からの延び量が小さく設定されて、上記範囲を幅方向Yの他方側Ybに延びている。
【0075】
また、図7及び図8に示すように、奥行き壁92,93は、側方壁部84,85と隙間なく連続形成されているため、奥行き壁92,93と側方壁部84,85との間には隙間が形成されない。
この結果、側方壁部84,85と奥行き壁92,93との隙間からバンド先端B1d,B2dが露出することはない。よって、ワイヤーハーネス3の配索作業時において、バックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをさらに防止するように構成している。
【0076】
さらに、図7に示すように、バックル配置部67には、バンド部B1aを固定するバックル部B1bの姿勢を保持する姿勢保持部71が設けられている。同様に、図8に示すように、バックル配置部69には、バンド部B2aを固定するバックル部B2bの姿勢を保持する姿勢保持部72が設けられている。
【0077】
図7に示す姿勢保持部71は、後述するバンド案内部73とバンド規制枠74との各上端フラット面により形成され、図8に示す姿勢保持部72は、後述するバンド案内部75とバンド規制枠76との各上端フラット面により形成されている。
【0078】
そのため、図7及び図8に示すように、姿勢保持部71,72により、結束バンドB1,B2の姿勢が安定に保持されるので、ワイヤーハーネス3、なかんずく、第1枝線5及び第2枝線6を安定して固定するように構成している。
【0079】
図7に示すように、姿勢保持部71と、側方壁部84の先端との上下方向Zの間隔が、結束バンドB1のバックル部B1bの高さより広く設定されている。同様に、図8に示すように、姿勢保持部72と、側方壁部85の先端との上下方向Zの間隔も、結束バンドB2のバックル部B2bの高さより広く設定されている。そのため、姿勢保持部71,72で姿勢が保持されたバンド突出部B1c,B2cと、側方壁部84,85とが干渉することを防止できる。
【0080】
図2及び図7に示すように、第1枝線通路21を形成する外側壁32は、当該外側壁32の上下方向Zの中間から下端部にかけて幅方向Yの他方側Yb(つまり外側壁32の内方)に湾曲する円弧状に形成されてワイヤーハーネス3の第1枝線5を巻き回すバンド部B1aを案内するバンド案内部73が設けられている。
【0081】
また、バンド案内部73の上部外側には、当該バンド案内部73にバンド部B1aを規制する平面視凹形状のバンド規制枠74が設けられている。さらに、バンド案内部73を含む外側壁32とバンド規制枠74との間には、バンド部B1aを上下方向Zに挿通させる挿通孔74aが形成されている。
そして、前述のバンド案内部73とバンド規制枠74との各上端フラット面が、姿勢保持部71として機能するように構成している。
【0082】
同様に、図2及び図8に示すように、第2枝線通路22を形成する外側壁36は、当該外側壁36の上下方向Zの中間から下端部にかけて幅方向Yの他方側Yb(つまり外側壁36の内方)に湾曲する円弧状に形成されてワイヤーハーネス3の第2枝線6を巻き回すバンド部B2aを案内するバンド案内部75が設けられている。
【0083】
また、バンド案内部75の上部外側には、当該バンド案内部75にバンド部B2aを規制する平面視凹形状のバンド規制枠76が設けられている。さらに、バンド案内部75を含む外側壁36とバンド規制枠76との間には、バンド部B2aを上下方向Zに挿通させる挿通孔76aが形成されている。
そして、前述のバンド案内部75とバンド規制枠76との各上端フラット面が、姿勢保持部72として機能するように構成している。
【0084】
図7及び図8に示すように、バンド案内部73,75とバンド規制枠74,76とを設けることで、バンド規制枠74,76に規制されたバンド部B1a,B2aがバンド案内部73,75に案内された安定した巻き回し状態で枝線固定部68,70に第1枝線5、第2枝線6を確実に固定するように構成している。
【0085】
図3及び図6に示すように、ベース20とカバー80とを固定するカバー固定部としてのカバー係止爪51aと、係止枠52aとが、長手方向Xの他方側Xbの導出部34に設けられている。
詳しくは、図6に示すように、カバー係止爪51aはベース20に形成されており、係止枠52aはカバー80に形成されていて、カバー係止爪51a及び係止枠52aが係合することで、ベース20とカバー80とを固定するように構成している。
【0086】
同様に、図3及び図6に示すように、ベース20とカバー80とを固定するカバー固定部としてのカバー係止爪51bと、係止枠52bとが、長手方向Xの一方側Xaの導出部38に設けられている。
詳しくは、図6に示すように、カバー係止爪51bはベース20に形成されており、係止枠52bはカバー80に形成されていて、これらカバー係止爪51b及び係止枠52bが係合することで、ベース20とカバー80とを固定するように構成している。
【0087】
このように、導出部34,38にベース20とカバー80とを固定するカバー固定部としてのカバー係止爪51a,51b及び係止枠52a,52bを設けることで、ベース20及びカバー80において、それぞれ導出部34,38を構成する部分同士を確実に固定するように構成している。
【0088】
図1及び図7に示すように、導出部34において、バックル配置部67と側方壁部84とを備えた枝線固定部68が、カバー係止爪51aと係止枠52aとを備えたカバー固定部より端部側に配置されている。
【0089】
同様に、図1及び図8に示すように、導出部38において、バックル配置部69と側方壁部85とを備えた枝線固定部70が、カバー係止爪51bと係止枠52bとを備えたカバー固定部より端部側に配置されている。
【0090】
これにより、ベース20及びカバー80において、それぞれ導出部34,38を構成する部分同士を確実に固定しながら、カバー固定部(カバー係止爪51a,51b及び係止枠52a,52b参照)が枝線固定部68,70より端部側に配置される構造と比較して、導出部34,38から外方へ導出される第1枝線5、第2枝線6の遊びを少なくして、しっかりと固定するように構成している。
【0091】
ところで、図1及び図3に示すように、第3枝線出口44を構成する側壁42,43及び底部41はカバー80で覆われていない。
図1のC-C線矢視断面図である図9に示すように、第3枝線通路23においてはバンド部B3aとブロック形状のバックル部B3bとを有する結束バンドB3を2本の第3枝線7に巻き回して固定するように構成している。
【0092】
図9に示すように、第3枝線通路23を形成する側壁42は、当該側壁42の上下方向Zの中間から下端部にかけて長手方向Xの他方側Xb(つまり側壁42の内方)に湾曲する円弧状に形成されてワイヤーハーネス3の第3枝線7を巻き回すバンド部B3aを案内するバンド案内部94が設けられている。
【0093】
また、バンド案内部94の外側には、当該バンド案内部94にバンド部B3aを規制する平面視凹形状のバンド規制枠95が設けられている。さらに、バンド案内部94を含む側壁42とバンド規制枠95との間には、バンド部B3aを上下方向Zに挿通させる挿通孔95aが形成されている。
【0094】
結束バンドB3のバックル部B3bはバンド規制枠95の上端部と、当該上端部よりも上方に位置する側壁42の外面との2方向で姿勢保持される。バックル部B3bから突出するバンド部B3aのバンド突出部B3cと、バンド突出部B3cにおける先端であるバンド先端B3dとは、長手方向Xの一方側Xaに向けて突出される。
【0095】
以上のように、本実施形態に係るプロテクタ2は、分岐する枝線5,6を有するワイヤーハーネス3を内部に挿通するとともに、枝線5,6を導出する導出部34,38を有するプロテクタ2であって、底部(28,31,35)と一対の側壁(29,30,32,36)とで構成されている。また、プロテクタ2は、側壁29,30,32,36の先端側が開放されたベース20と、ベース20の開放部分を覆うカバー80とが備えられるとともに、導出部34,38に、バンド部B1a,B2aとバックル部B1b,B2bとを有する結束バンドB1,B2を枝線5,6に巻き回して固定する枝線固定部68,70が設けられている。枝線固定部68,70は、ベース20に設けられ、枝線5,6に巻き回したバンド部B1a,B2aを固定するバックル部B1b,B2bを配置するバックル配置部67,69と、カバー80に設けられ、バックル配置部67,69に配置されるバックル部B1b,B2bから突出するバンド部B1a,B2aのバンド突出部B1c,B2cにおける先端であるバンド先端B1d,B2dの側方を覆う側方壁部84,85とが設けられている。
【0096】
そのため、導出部34,38に枝線5,6を固定する結束バンドB1,B2のバンド先端B1d,B2dがバックル部B1b,B2bから突出するが、側方壁部84,85によってバンド先端B1d,B2dの側方を覆うため、ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することを防止できる。
【0097】
また、側方壁部84,85は、バンド突出部B1c,B2cの延伸方向に沿うとともに、バンド先端B1d,B2dを跨いで配置されているため(図7及び図8参照)、ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをより確実に防止できる。
【0098】
さらに、側方壁部84,85のベース20の側の端部における内面側に、バンド先端B1d,B2dを側方壁部84,85の内側に案内する案内面84a,85aが設けられている(図7及び図8参照)、結束バンドB1,B2の向きがズレていてもバンド先端B1d,B2dを側方壁部84,85の内側に案内できるため、確実にバンド先端B1d,B2dの側方を側方壁部84,85で覆うことができる。
【0099】
さらにまた、カバー80に設けられ、バンド突出部B1c,B2cの延伸方向の先端側を覆う先端壁部86,87が設けられているため(図7及び図8参照)、バンド突出部B1c,B2cの延伸方向の先端側を先端壁部86,87で覆うこととなる。そのため、バンド先端B1d,B2dの側方と延伸方向の先端側とを覆うことができ、ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをさらに防止できる。
【0100】
加えて、先端壁部86,87と側方壁部84,85とが直接連結されているため(図7及び図8参照)、先端壁部86,87と側方壁部84,85との隙間からバンド先端B1d,B2dが露出して、ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをさらに防止できる。
【0101】
また、先端壁部86,87に、開口された確認窓88,89が設けられている(図1図7及び図8参照)。
そのため、先端壁部86,87によって覆われた結束バンドB1,B2を確認窓88,89を介して外部から目視で確認することができる。
【0102】
さらに、先端壁部86,87における確認窓88,89の周縁部に沿ってリブ90,91が設けられているため(図7及び図8参照)、開口された確認窓88,89を設けたことによる先端壁部86,87の強度低下を抑制することができる。
また、リブ90,91によってバンド突出部B1c,B2cの倒れを規制することができる。
【0103】
さらにまた、先端壁部86,87及び側方壁部84,85のそれぞれに対して交差する幅方向Yの他方側Ybに沿って形成された奥行き壁92,93が設けられているため(図7及び図8参照)、バンド突出部B1c,B2cの幅方向Yの他方側Ybを奥行き壁92,93で覆うことになる。そのため、バンド先端B1d,B2dの側方と延伸方向の先端側とに加えて、幅方向Yの他方側Ybも覆うことができ、ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをより確実に防止できる。
【0104】
加えて、奥行き壁92,93は、側方壁部84,85と連続形成されているため(図7及び図8参照)、側方壁部84,85と奥行き壁92,93との隙間からバンド先端B1d,B2dが露出して、ワイヤーハーネス3の配索作業時においてバックル部B1b,B2bから突出するバンド先端B1d,B2dが支障することをさらに防止できる。
【0105】
また、バックル配置部67,69に、バンド部B1a,B2aを固定するバックル部B1b,B2bの姿勢を保持する姿勢保持部71,72が設けられているため(図7及び図8参照)、結束バンドB1,B2によってワイヤーハーネス3を安定して固定することができる。
【0106】
さらに、姿勢保持部71,72と、側方壁部84,85の先端との間隔が、バックル部B1b,B2bの高さより広く設定されているため(図7及び図8参照)、姿勢保持部71,72で姿勢が保持されたバンド突出部B1c,B2cと、側方壁部84,85とが干渉することを防止できる。
【0107】
さらにまた、ワイヤーハーネス3(特に枝線5,6参照)に巻き回すバンド部B1a,B2aを案内するバンド案内部73,75と、バンド案内部73,75にバンド部B1a,B2aを規制するバンド規制枠74,76とが設けられ、バンド案内部73,75とバンド規制枠74,76とが、姿勢保持部71,72として機能する(図7及び図8参照)。
【0108】
そのため、バンド規制枠74,76に規制されたバンド部B1a,B2aがバンド案内部73,75に案内された安定した巻き回し状態で枝線固定部68,70にワイヤーハーネス3を確実に固定することができる。
【0109】
加えて、ベース20とカバー80とを固定するカバー固定部(カバー係止爪51a,51b、係止枠52a,52b参照)が、導出部34,38に設けられているため(図1及び図6参照)、ベース20及びカバー80においてそれぞれ導出部34,38を構成する部分同士を確実に固定することができる。
【0110】
さらに、導出部34,38において、枝線固定部68,70が、カバー固定部(カバー係止爪51a,51b、係止枠52a,52b)より端部側に配置されている。そのため、ベース20及びカバー80においてそれぞれ導出部34,38を構成する部分同士を確実に固定しながら、カバー固定部(カバー係止爪51a,51b、係止枠52a,52b)が枝線固定部68,70より端部側に配置される場合に比べ、導出部34,38から導出される枝線5,6の遊びを少なくしてしっかりと固定することができる。
【0111】
この発明の構成と、前述の実施例との対応において、この発明の枝線は、実施形態の第1枝線5、第2枝線6に対応し、
以下同様に、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス3に対応し、
プロテクタは、プロテクタ2に対応し、
ベースは、ベース20に対応し、
底部は、メイン底部28、底部31,35に対応し、
側壁は、側壁29、内側壁30、外側壁32に対応し、
導出部は、導出部34,38に対応し、
カバー固定部は、カバー係止爪51a,51b、係止枠52a,52bに対応し、
バックル配置部は、バックル配置部67,69に対応し、
枝線固定部は、枝線固定部68,70に対応し、
姿勢保持部は、姿勢保持部71,72に対応し、
バンド案内部は、バンド案内部73,75に対応し、
バンド規制枠は、バンド規制枠74,76に対応し、
カバーは、カバー80に対応し、
側方壁部は、側方壁部84,85に対応し、
案内面は、案内面84a,85aに対応し、
先端壁部は、先端壁部86,87に対応し、
確認窓は、確認窓88,89に対応し、
リブは、リブ90,91に対応し、
奥行き壁は、奥行き壁92,93に対応し、
結束バンドは、結束バンドB1,B2に対応し、
バンド部は、バンド部B1a,B2aに対応し、
バックル部は、バックル部B1b,B2bに対応し、
バンド突出部は、バンド突出部B1c,B2cに対応し、
バンド先端は、バンド先端B1d,B2dに対応し、
プロテクタ付ワイヤーハーネスはプロテクタ付ワイヤーハーネス1に対応するも、この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0112】
例えば、実施形態においては、第1枝線5と第2枝線6との2つの枝線を導出部34,38から外部に導出させたが、幹線4から分岐する枝線の分岐数量は単一であっても2以上の複数であってもよい。
【0113】
また、実施形態においては、各導出部34,38の延伸方向を及び図2に示すように、幹線通路24の延びる方向に沿わせたが、導出部34,38の延伸方向は、幹線通路24に対して、先端が幅方向Yの一方側Yaに向くように、角度を有する分岐方向に延ばしてもよい。
【0114】
さらに、実施形態においては、カバー固定部の構成として、ベース20にカバー係止爪51a,51bを設け、カバー80に係止枠52a,52bを設けたが、この逆の構成としてもよい。すなわち、ベース20にカバー係止枠を設け、カバー80に係止爪を設ける構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…プロテクタ付ワイヤーハーネス
2…プロテクタ
3…ワイヤーハーネス
5…第1枝線
6…第2枝線
20…ベース
28…メイン底部
29…側壁
30…内側壁
31,35…底部
32,36…外側壁
34,38…導出部
51a,51b…カバー係止爪
52a,52b…係止枠
67,69…バックル配置部
68,70…枝線固定部
71,72…姿勢保持部
73,75…バンド案内部
74,76…バンド規制枠
80…カバー
84,85…側方壁部
84a,85a…案内面
86,87…先端壁部
88.89…確認窓
90,91…リブ
92,93…奥行き壁
B1,B2…結束バンド
B1a,B2a…バンド部
B1b,B2b…バックル部
B1c,B2c…バンド突出部
B1d,B2d…バンド先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9