(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013146
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】モータ装置およびモータ装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
H02P 25/22 20060101AFI20230119BHJP
H02P 27/08 20060101ALI20230119BHJP
H02K 3/28 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
H02P25/22
H02P27/08
H02K3/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117106
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】521210667
【氏名又は名称】株式会社A.H.MotorLab
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】新口 昇
(72)【発明者】
【氏名】平田 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛典
(72)【発明者】
【氏名】竹村 望
【テーマコード(参考)】
5H505
5H603
【Fターム(参考)】
5H505BB03
5H505DD03
5H505DD05
5H505DD08
5H505DD11
5H505EE41
5H505EE49
5H505GG04
5H505HA09
5H505HB01
5H505JJ24
5H505JJ29
5H505LL22
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CC03
5H603CC07
5H603CC17
(57)【要約】
【課題】一つの回転子に2系統の三相巻線を備えるモータの各相を個別に制御しながらも、スイッチ数を低減できるモータ装置およびモータ装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】回転子(10)と、ティース部(22)が形成された固定子(20)と、スイッチインバータ部と、各スイッチを制御するスイッチ制御部とを備え、複数のティース部(22)には、第1系統の三相巻線(U1,V1,W1)と第2系統の三相巻線(U2,V2,W2)とが巻回されており、第1系統と第2系統の三相巻線は、回転子(10)の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、U2相はU1相よりもV1相との位相差が小さく、第1系統の三相巻線はデルタ結線され、第2系統の三相巻線はスター結線されているモータ装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転可能に配置された回転子と、内周に複数のティース部が形成された固定子を有するモータ部と、
前記モータ部に電力を供給するスイッチインバータ部と、
前記スイッチインバータ部に含まれる各スイッチを制御するスイッチ制御部とを備えるモータ装置であって、
前記複数のティース部には、U1相、V1相およびW1相からなる第1系統の三相巻線と、U2相、V2相およびW2相からなる第2系統の三相巻線とが巻回されており、
前記第1系統と前記第2系統の三相巻線は、前記回転子の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、前記U2相は前記U1相よりも前記V1相との位相差が小さく、
前記スイッチインバータ部は、第1電位と第2電位の間にU列スイッチ群、V列スイッチ群およびW列スイッチ群が並列に接続され、
前記U列スイッチ群に前記U1相および前記U2相の一端が接続され、前記V列スイッチ群に前記V1相および前記V2相の一端が接続され、前記W列スイッチ群に前記W1相および前記W2相の一端が接続され、
前記U1相、前記V1相および前記W1相は、環状に直列接続されてデルタ結線されており、
前記U2相、前記V2相および前記W2相は、他端が中性点に接続されてスター結線されていることを特徴とするモータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ装置であって、
前記U列スイッチ群、前記V列スイッチ群および前記W列スイッチ群は、それぞれ前記第1電位から順に上段スイッチ、中段スイッチおよび下段スイッチが直列接続され、
前記第1系統および前記第2系統の一方の前記三相巻線が前記上段スイッチと前記中段スイッチの間に接続され、
前記第1系統および前記第2系統の他方の前記三相巻線が前記中段スイッチと前記下段スイッチの間に接続されていることを特徴とするモータ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータ装置であって、
前記スイッチ制御部は、信号波と搬送波の比較によりパルス信号を生成し、前記各スイッチをPWM(Pulth Width Modulation)変調制御することを特徴とするモータ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のモータ装置であって、
前記信号波は、前記第1系統と前記第2系統とで振幅および位相が同じであることを特徴とするモータ装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載のモータ装置であって、
前記三相巻線は、前記ティース部の複数にまとめて巻回された分布巻きとして構成されていることを特徴とするモータ装置。
【請求項6】
請求項1から4の何れか一つに記載のモータ装置であって、
前記三相巻線は、個々の前記ティース部に巻回された集中巻きとして構成されていることを特徴とするモータ装置。
【請求項7】
一つの回転子に対して第1系統および第2系統の三相巻線を備え、インバータスイッチ部からの出力により前記回転子が回転され、
前記第1系統と前記第2系統の三相巻線は、前記回転子の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、前記U2相は前記U1相よりも前記V1相との位相差が小さく、
前記第1系統の三相巻線がデルタ結線され、前記第2系統の三相巻線がスター結線されたモータ装置の駆動方法であって、
前記第1系統および前記第2系統の各相における電流値を取得する電流値取得工程と、
前記各相の前記電流値の平均値に基づいて、前記第1系統に対する第1指令電圧および前記第2系統に対する第2指令電圧を算出する指令電圧算出工程と、
搬送波の電圧と、前記第1指令電圧および前記第2指令電圧を比較して、前記第1系統と前記第2系統についてのゲート信号を決定するゲート信号決定工程と、
前記ゲート信号に基づいて前記インバータスイッチ部のオン信号/オフ信号を決定するインバータスイッチ制御工程とを備えることを特徴とするモータ装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置およびモータ装置の駆動方法に関し、特に2系統の三相巻線を備えるモータ装置およびモータ装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な技術分野において、交流の周波数を変化させることで回転数を制御でき、安定した回転数を得られる三相モータが動力源として用いられている。また、一つの回転子に対して2系統の三相巻線(コイル)を備えたモータ装置も提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
図10は、従来から提案されている三相巻線を2系統備えたモータ装置の駆動回路を簡略化して示す回路図である。
図10に示すようにモータ装置は、第1系統の三相巻線としてU相コイルU1、V相コイルV1、W相コイルW1を有し、第2系統の三相巻線としてU相コイルU2、V相コイルV2、W相コイルW2を有している。また、電源電圧(+V)と接地電圧(0V)の間に、上段スイッチと下段スイッチの直列接続が6列並列接続されており、各上段スイッチと下段スイッチの間が各相の巻線(コイル)の一端に接続されている。各相の巻線の他端は、中性点に接続されている。
【0004】
図10に示したモータ装置の駆動回路では、12個のスイッチを用いた6相インバータが構成されており、各相がHigh信号の場合には上段スイッチをオンにして下段スイッチをオフにし、各相がLow信号の場合には上段スイッチをオフにして下段スイッチをオンにする制御が行われる。ここで、High信号時には電源電圧から上段スイッチを経て各巻線および中性点に電流が供給される。また、Low信号時には中性点から各巻線および下段スイッチを経て接地電圧に電流が流れる。これにより、2系統の三相巻線でそれぞれ三相交流によるモータ装置の駆動制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図10に示した従来のモータ装置では、各インバータで2系統の三相巻線の各々を個別に制御できるため、複雑な回転制御を行うことができるが、6相のインバータを用いるため12個のスイッチが必要であり、回路に含まれるスイッチ数が増加してしまう。駆動回路に搭載されるスイッチ数が増加すると、回路の搭載面積の増大や、発熱量の増加、コストの増加などの問題が生じるうえに、回路全体でのスイッチ故障の発生確率が増加するという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、一つの回転子に2系統の三相巻線を備えるモータの各相を個別に制御しながらも、スイッチ数を低減できるモータ装置およびモータ装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のモータ装置は、回転軸を中心に回転可能に配置された回転子と、内周に複数のティース部が形成された固定子を有するモータ部と、前記モータ部に電力を供給するスイッチインバータ部と、前記スイッチインバータ部に含まれる各スイッチを制御するスイッチ制御部とを備えるモータ装置であって、前記複数のティース部には、U1相、V1相およびW1相からなる第1系統の三相巻線と、U2相、V2相およびW2相からなる第2系統の三相巻線とが巻回されており、前記第1系統と前記第2系統の三相巻線は、前記回転子の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、前記U2相は前記U1相よりも前記V1相との位相差が小さく、前記スイッチインバータ部は、第1電位と第2電位の間にU列スイッチ群、V列スイッチ群およびW列スイッチ群が並列に接続され、前記U列スイッチ群に前記U1相および前記U2相の一端が接続され、前記V列スイッチ群に前記V1相および前記V2相の一端が接続され、前記W列スイッチ群に前記W1相および前記W2相の一端が接続され、前記U1相、前記V1相および前記W1相は、環状に直列接続されてデルタ結線されており、前記U2相、前記V2相および前記W2相は、他端が中性点に接続されてスター結線されていることを特徴とする。
【0009】
このような本発明のモータ装置では、第1系統と第2系統の三相巻線は、回転子の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、U2相はU1相よりもV1相との位相差が小さく、第1系統の三相巻線がデルタ結線され、第2系統の三相巻線がスター結線されている。これにより、一つの回転子に2系統の三相巻線を備えるモータの各相を個別に制御しながらもスイッチ数を低減し、さらに第1系統と第2系統の位置による位相差と電流の位相差を適切に設定してトルクを向上させることができる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記U列スイッチ群、前記V列スイッチ群および前記W列スイッチ群は、それぞれ前記第1電位から順に上段スイッチ、中段スイッチおよび下段スイッチが直列接続され、前記第1系統および前記第2系統の一方の前記三相巻線が前記上段スイッチと前記中段スイッチの間に接続され、前記第1系統および前記第2系統の他方の前記三相巻線が前記中段スイッチと前記下段スイッチの間に接続されている。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記スイッチ制御部は、信号波と搬送波の比較によりパルス信号を生成し、前記各スイッチをPWM(Pulth Width Modulation)変調制御する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記信号波は、前記第1系統と前記第2系統とで振幅および位相が同じである。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記三相巻線は、前記ティース部の複数にまとめて巻回された分布巻きとして構成されている。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記三相巻線は、個々の前記ティース部に巻回された集中巻きとして構成されている。
【0015】
また上記課題を解決するために、本発明のモータ装置の駆動方法は、一つの回転子に対して第1系統および第2系統の三相巻線を備え、インバータスイッチ部からの出力により前記回転子が回転され、前記第1系統と前記第2系統の三相巻線は、前記回転子の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、前記U2相は前記U1相よりも前記V1相との位相差が小さく、前記第1系統の三相巻線がデルタ結線され、前記第2系統の三相巻線がスター結線されたモータ装置の駆動方法であって、前記第1系統および前記第2系統の各相における電流値を取得する電流値取得工程と、前記各相の前記電流値の平均値に基づいて、前記第1系統に対する第1指令電圧および前記第2系統に対する第2指令電圧を算出する指令電圧算出工程と、搬送波の電圧と、前記第1指令電圧および前記第2指令電圧を比較して、前記第1系統と前記第2系統についてのゲート信号を決定するゲート信号決定工程と、前記ゲート信号に基づいて前記インバータスイッチ部のオン信号/オフ信号を決定するインバータスイッチ制御工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、一つの回転子に2系統の三相巻線を備えるモータの各相を個別に制御しながらも、スイッチ数を低減できるモータ装置およびモータ装置の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係るモータ装置の概要を示す図であり、
図1(a)はスイッチインバータ部の構成を示す回路図であり、
図1(b)はモータ部の構造例を示す模式図である。
【
図2】モータ部におけるU相、V相、W相の位相差を説明する模式図である。
【
図3】第1実施形態におけるモータ装置の駆動を制御する方法について説明する模式図である。
【
図4】第1実施形態におけるU1相とU2相の信号波と搬送波について説明するグラフであり、
図4(a)はU1相を示し、
図4(b)はU2相を示し、
図4(c)はU1相とU2相を重ね合わせた結果を示している。
【
図5】第1実施形態における信号波と搬送波の比較結果を示すグラフであり、
図5(a)はU1相とU2相の信号波および搬送波の波形を示し、
図5(b)はU1相の比較結果を示し、
図5(c)はU2相の比較結果を示している。
【
図6】第1系統と第2系統の三相巻線に流れる電流について説明する模式図であり、
図6(a)はスター結線を示し、
図6(b)はデルタ結線を示している。
【
図7】第1系統と第2系統の三相巻線に流れる電流のシミュレーション結果を示すグラフであり、
図7(a)は
図10に示した比較例の構造での結果を示し、
図7(b)は
図1に示した構造での結果を示している。
【
図8】モータ装置のトルク波形をシミュレーションした結果を示すグラフである。
【
図9】第2実施形態に係るモータ部の構造例を示す模式図である。
【
図10】従来から提案されている三相巻線を2系統備えたモータ装置の駆動回路を簡略化して示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態に係るモータ装置の概要を示す図であり、
図1(a)はスイッチインバータ部の構成を示す回路図であり、
図1(b)はモータ部の構造例を示す模式図である。
【0019】
図1(a)に示すように、本実施形態のスイッチインバータ部は、電源電圧(+V)と接地電圧(0V)の間に3つのスイッチ群(U列スイッチ群、V列スイッチ群、W列スイッチ群)が並列に接続されている。各スイッチ群には、3つのスイッチが含まれて直列接続されており、合計9個のスイッチでスイッチインバータ部が構成されている。また、三相交流で駆動されるモータ部は、U1相、V1相、W1相の3つの巻線(コイル)で構成される第1系統の三相巻線と、U2相、V2相、W2相の3つの巻線で構成される第2系統の三相巻線を備えている。
【0020】
U列スイッチ群には、電源電圧側から順にU列上段スイッチUuと、U列中段スイッチUmと、U列下段スイッチUlとが直列接続されている。また、U列上段スイッチUuとU列中段スイッチUmの間がU2相の一端に接続され、U列中段スイッチUmとU列下段スイッチUlの間がU1相の一端に接続されている。
【0021】
V列スイッチ群には、電源電圧側から順にV列上段スイッチVuと、V列中段スイッチVmと、V列下段スイッチVlとが直列接続されている。また、V列上段スイッチVuとV列中段スイッチVmの間がV2相の一端に接続され、V列中段スイッチVmとV列下段スイッチVlの間がV1相の一端に接続されている。
【0022】
W列スイッチ群には,電源電圧側から順にW列上段スイッチWuと、W列中段スイッチWmと、W列下段スイッチWlとが直列接続されている。また、W列上段スイッチWuとW列中段スイッチWmの間がW2相の一端に接続され、W列中段スイッチWmとW列下段スイッチWlの間がW1相の一端に接続されている。
【0023】
また、第2系統の三相巻線であるU2相とV2相とW2相の他端は共通の中性点に接続されてスター結線されている。第1系統の三相巻線であるU1相とV1相とW1相は環状に直列接続されてデルタ結線されている。
図1(a)に示したように、スイッチインバータ部の各スイッチ間を2系統の三相巻線に接続することで、9個のスイッチでU1相、V1相、W1相、U2相、V2相およびW2相の合計6相を制御することができる。
【0024】
図1(a)では、上段スイッチと中段スイッチの間を第2系統の三相巻線に接続し、中段スイッチと下段スイッチの間を第1系統の三相巻線に接続した例を示したが、上段スイッチと中段スイッチの間を第1系統の三相巻線に接続し、中段スイッチと下段スイッチの間を第2系統の三相巻線に接続するとしてもよい。
【0025】
図1(b)に示すように、モータ部は回転子(ロータ)10と、回転子10の周囲に配置された固定子(ステータ)20を備えている。また、回転子10には、外周に沿って磁石のN極11NとS極11Sが複数交互に配置されている。また固定子20は、コアバック部21と複数のティース部22を備えている。
図1(b)は回転軸を中心にモータ部を4分割し、一部のみ構造を抽出して模式的に示すものであり、角度や長さは実際のモータとは一致していない。
【0026】
コアバック部21は、回転子10の外側に回転子10の外周を円周状に取り囲むように配置された部分であり、内周に複数のティース部22が等間隔に突出して形成されている。コアバック部21には公知のものを用いることができ、構成する材料や構造は限定されない。また、コアバック部21よりも外周には別途モータハウジング等の部材が設けられている。
【0027】
ティース部22は、コアバック部21の内周面から回転子10に向かって突出して形成された突起状部分であり、各ティース部22は同じ長さと形状で形成されるとともに等間隔に配置されており、各ティース部22の間には間隔が設けられてスロットを構成している。各ティース部22およびスロットには、巻線が巻回されてコイルが構成されて、巻線に電流が流れることでティース部22に磁界が発生する。
【0028】
図1(b)に示した例では、モータ部は8極48スロットの分布巻きとして構成されており、U1+からU1-まで、U2+からU2-まで、V1+からV1-まで、V2+からV2-まで、W1からW1-まで、およびW2+からW2-までの複数のティース部22が一括して巻線が巻回されており、それぞれの巻線がU1相、U2相、V1相、V2相、W1相およびW2相を構成している。
【0029】
図1(b)に示すように、U1相、V1相およびW1相は、それぞれ1/3周期の差で配置されており第1系統の三相巻線を構成している。同様に、U2相、V2相およびW2相も、それぞれ1/3周期の差で配置されており第2系統の三相巻線を構成している。また、第1系統と第2系統の三相巻線は、誘起電圧の位相が1/12周期だけ異なっており、第1系統よりも第2系統のほうが回転子10の反時計回りにおける下流に位置するように構成されている。
図1(b)では8極48スロットの例を示したが、極数およびスロット数は限定されない。また、ティース部22への各相の巻回方法も分布巻きに限定されず集中巻きであってもよい。
【0030】
図2は、モータ部におけるU相、V相、W相の位相差を説明する模式図である。上述したように、
図1(b)に示した分布巻きでは複数のティース部22が一括して巻線が巻回されている。したがって、巻線に電流が流れることで生じる各相の磁界の中心位置は、
図2に示したようにティース部22の間のスロットに位置している。また、U相、V相およびW相は、反時計回りに1/3周期ずつ異なって並んでいる。また、U1相とU2相、V1相とV2相、W1相とW2相はそれぞれ反時計回りに1/12周期ずつ異なって配置されている。したがって、U2相はU1相よりもV1相との位相差が小さく配置されている。
【0031】
この配置において、回転子10が反時計回りに回転すると、回転子10はU相、V相、W相の順に磁界から力を受ける。また、第1系統の三相巻線が第2系統の三相巻線よりも回転子10の回転方向において上流に位置することになる。それに対して、回転子10が時計回りに回転すると、回転子10はU相、W相、V相の順に磁界から力を受ける。また、第2系統の三相巻線が第1系統の三相巻線よりも回転子10の回転方向において上流に位置することになる。
【0032】
図3は、本実施形態におけるモータ装置の駆動を制御する方法について説明する模式図である。図中に示したように、モータ装置の駆動時には、モータ部のU1相、V1相、W1相、U2相、V2相およびW2相を流れる駆動電流i
u1,i
v1,i
w1,i
u2,i
v2およびi
w2をそれぞれモニターする(電流値取得工程)。得られた各駆動電流から第1系統と第2系統の平均の相電流i
u,i
v,i
wを求め、さらに三相dq変換を行って回転座標系に変換し電流i
d,i
qを求める。
【0033】
次に、得られた電流id,iqを入力値としてPI制御を行い、電流制御または回転速度制御のために電圧値vd
*,vq
*を得る。得られた電圧値vd
*,vq
*は回転座標系であるため、三相逆dq変換を行って、指令電圧vu
*,vv
*,vw
*を得る。また、第1系統の指令電圧vu1
*,vv1
*,vw1
*と第2系統の指令電圧vu2
*,vv2
*,vw2
*をvu
*,vv
*,vw
*に設定する。得られた第1系統の指令電圧vu1
*,vv1
*,vw1
*および第2系統の指令電圧vu2
*,vv2
*,vw2
*は、それぞれ周期的に変化するU1相、V1相、W1相、U2相、V2相およびW2相の信号波となる(指令電圧算出工程)。
【0034】
次に、得られた各相の信号波と搬送波との大小関係を比較し、信号波が搬送波よりも大きい場合をHigh信号とし、信号波が搬送波よりも小さい場合をLow信号として、第1系統と第2系統へのゲート信号を決定する(ゲート信号決定工程)。
【0035】
次に、決定されたゲート信号(High信号とLow信号)に基づいて、9スイッチインバータで構成されているスイッチインバータ部への入力信号を制御する(インバータスイッチ制御工程)。具体的には表1に示すように、第1系統と第2系統のHigh信号とLow信号の組み合わせに応じて、上段スイッチ、中段スイッチおよび下段スイッチのオンオフを制御する。表1および以下の図ではU相の場合のみを示して説明するが、V相とW相についても同様の制御を行う。
【0036】
【0037】
表1に示したように、U1相とU2相が共にHigh信号の場合(パターン1)には、U列上段スイッチUuのゲートにはオン信号を入力し、U列中段スイッチUmのゲートにはオン信号を入力し、U列下段スイッチUlのゲートにはオフ信号を入力する。U1相とU2相が共にLow信号の場合(パターン2)には、U列上段スイッチUuのゲートにはオフ信号を入力し、U列中段スイッチUmのゲートにはオン信号を入力し、U列下段スイッチUlのゲートにはオン信号を入力する。
図2に示したように、第1系統と第2系統の相電流を平均化して指令電圧を同じにした場合には、常にパターン1,2の制御がスイッチインバータ部に加えられる。
【0038】
パターン1では、U列上段スイッチUuがオン、U列中段スイッチUmがオン、U列下段スイッチUlがオフとされる。したがって、U列上段スイッチUuとU列中段スイッチUmの間の電位Uumは、U列上段スイッチUuの順方向電圧だけ電源電圧(+V)から電圧降下したものとなり、U1相の巻線に電位Uumが印加される。また、U列中段スイッチUmとU列下段スイッチUlの間の電位Umlは、U列上段スイッチUuおよびU列中段スイッチUmの順方向電圧だけ電源電圧(+V)から電圧降下したものとなり、U2相の巻線に電位Umlが印加される。
【0039】
パターン2では、U列上段スイッチUuがオフ、U列中段スイッチUmがオン、U列下段スイッチUlがオンとされる。したがって、電位Uumは、U列中段スイッチUmおよびU列下段スイッチUlの順方向電圧だけ接地電圧(0)から高い電圧となり、U1相の巻線に印加される。また電位Umlは、U列下段スイッチUlの順方向電圧だけ接地電圧(0)から高い電圧となり、U2相の巻線に印加される。
【0040】
U1相がHigh信号で、U2相がLow信号の場合(パターン3)、およびU1相がLow信号で、U2相がHigh信号の場合(パターン4)には、ともにU列上段スイッチUuのゲートにはオン信号を入力し、U列中段スイッチUmのゲートにはオフ信号を入力し、U列下段スイッチUlのゲートにはオン信号を入力する。
【0041】
パターン3,4では、U列上段スイッチUuがオン、U列中段スイッチUmがオフ、U列下段スイッチUlがオンとされる。したがって、電位Uumは、U列上段スイッチUuの順方向電圧だけ電源電圧(+V)から電圧降下したものとなり、U1相の巻線に電位Uumが印加される。また電位Umlは、U列下段スイッチUlの順方向電圧だけ接地電圧(0)から高い電圧となり、U2相の巻線に印加される。パターン3,4ではスイッチに印加される信号が同じになるが、各系統の電位差によって電流が発生するので、U1相がLow信号の場合にU列上段スイッチUuがオンであっても問題ない。
【0042】
図4は、本実施形態におけるU1相とU2相の信号波と搬送波について説明するグラフであり、
図4(a)はU1相を示し、
図4(b)はU2相を示し、
図4(c)はU1相とU2相を重ね合わせた結果を示している。
図4(a)~
図4(c)において横軸は位相角度を示し、縦軸は電圧を示している。ここで電圧の最大値および最小値として±1Vが示されているが、簡便のために規格化した表現を用いるものであり、現実の電圧値は限定されない。また、グラフ中の破線は搬送波の信号波形を示しており、ここでは三角波を用いている。
図4(a)中の一点鎖線はU1相の信号波の波形を示しており指令電圧v
u1
*の変化を示している。また、
図4(b)中の実線はU2相の信号波の波形を示しており指令電圧v
u2
*の変化を示している。
図4では簡便のために搬送波の周波数を小さくして周期を長くして示しているが、実際のモータ装置においては5kHz~15kHz程度の高周波な搬送波が用いられる。
【0043】
本実施形態では、
図3に示したように第1系統と第2系統の相電流を平均化して指令電圧を同じにしているため、
図4(a)(b)に示したU1相およびU2相の信号波は振幅および位相が同じであり、
図4(c)に示したように一致している。上述したように、
図4(c)に示した搬送波とU1相、U2相の大小関係に基づいて、表1に示したインバータスイッチ部の制御を行う。
【0044】
図5は、本実施形態における信号波と搬送波の比較結果を示すグラフであり、
図5(a)はU1相とU2相の信号波および搬送波の波形を示し、
図5(b)はU1相の比較結果を示し、
図5(c)はU2相の比較結果を示している。
図5(a)において横軸は位相角度を示し、縦軸は電圧を示している。
図5(b)(c)では、横軸は
図5(a)と同じ位相角度を示しており、横軸の軸上がLow信号を示し、横軸から離れた位置がHigh信号を示している。また、
図5(a)~
図5(c)にわたって垂直に引かれた薄い破線は、
図5(a)における搬送波と信号波の交点を示している。
【0045】
図5に示したように、本実施形態ではU1相とU2相の信号波が同じ振幅と同じ位相であるため、搬送波との交点も同じとなっており、U1相とU2相で同じタイミングでHigh信号とLow信号が切り替わっている。よって、本実施形態ではU1相とU2相が共にHigh信号か共にLow信号の場合のみ存在する。したがって、
図1に示したモータ装置では、図示しないスイッチ制御部から表1のパターン1,2に従ってインバータスイッチング部の各スイッチにパルス信号が加えられる。つまり、スイッチ制御部は、信号波と搬送波の比較によりパルス信号を生成し、各スイッチをPWM(Pulth Width Modulation)変調制御する。
【0046】
図6は、第1系統と第2系統の三相巻線に流れる電流について説明する模式図であり、
図6(a)はスター結線を示し、
図6(b)はデルタ結線を示している。
図6では、
図1に示したモータ部において、回転子10が反時計回りに回転する場合を示している。換言すると、U相がV相よりも回転子10の回転方向において上流に位置する場合である。また、第1系統の三相巻線が第2系統の三相巻線よりも回転子10の回転方向において上流に位置する場合である。
【0047】
図6(a)(b)に示したように、スター結線およびデルタ結線において、スイッチインバータ部からは、U相、V相、W相の順に1/3周期(2π/3)だけ異なる電流I
u,I
v,I
wが供給される。
図6(a)に示したように、スター結線では中性点に向かってU相のコイル、V相のコイルおよびW相のコイルに電流I
u,I
v,I
wが流れる。それに対してデルタ結線では、
図6(b)に示したように、各巻線に流れる電流I
u_coil,I
v_coil,I
w_coilは[数1]に示したものとなる。ここでR
Δは、各相の巻線における抵抗値を表している。
【数1】
【0048】
[数1]に示したようにデルタ結線の各巻線に流れる電流I
u_coil,I
v_coil,I
w_coilは、スター結線の各巻線を流れる電流I
u,I
v,I
wの3
-1/2倍となっている。したがって、デルタ結線における各巻線の巻き数をスター結線の3
1/2倍し、線径を3
1/4倍(断面積を3
1/2倍)することで、スター結線とデルタ結線で各巻線の起磁力を同じにすることができる。また、デルタ結線の位相はスター結線の位相よりもπ/6だけ進んでいる。したがって、反時計回りに第2系統が第1系統よりも下流側に位置する
図1の構成では、スター結線された第2系統の三相巻線には、デルタ結線された第1系統の三相巻線よりもπ/6だけ位相の遅れた電流が流れることになる。これにより、モータ部における各相のティース部22の位相ずれと、回転子10の回転と、各相のコイルに流れる電流が適切に同期したものとなり、トルク脈動を抑制した回転を実現できる。
【0049】
図6では、
図1において回転子10が反時計回りに回転する場合を説明したが、次に回転子が時計回りに回転する場合について説明する。換言すると、U相がV相よりも回転子10の回転方向において下流に位置する場合である。また、第1系統の三相巻線が第2系統の三相巻線よりも回転子10の回転方向において下流に位置する場合である。この場合には、U相、W相、V相の順に回転子10が力を受ける必要があるため、スイッチインバータ部からは、U相、W相、V相の順に1/3周期(2π/3)だけ異なる電流I
u,I
v,I
wが供給される。この場合においてデルタ結線では、各巻線に流れる電流I
u_coil,I
v_coil,I
w_coilは[数2]に示したものとなる。
【数2】
【0050】
[数2]に示したように時計回りにおいても、デルタ結線の各巻線に流れる電流I
u_coil,I
v_coil,I
w_coilは、スター結線の各巻線を流れる電流I
u,I
v,I
wの3
-1/2倍である。しかし、デルタ結線の位相はスター結線の位相よりもπ/6だけ遅れている。ここでは、回転子10が時計回りに回転する場合を示しているため、θが減少する方向が回転の進む方向であり、数2においてθ+π/6は回転方向に対して位相がπ/6遅れていることを示している。したがって、時計回りに第1系統が第2系統よりも下流側に位置する
図1の構成では、デルタ結線された第1系統の三相巻線には、スター結線された第2系統の三相巻線よりもπ/6だけ位相の遅れた電流が流れることになる。これにより、モータ部における各相のティース部22の位相ずれと、回転子10の回転と、各相のコイルに流れる電流が適切に同期したものとなり、トルク脈動を抑制した回転を実現できる。
【0051】
図7は、第1系統と第2系統の三相巻線に流れる電流のシミュレーション結果を示すグラフであり、
図7(a)は
図10に示した比較例の構造での結果を示し、
図7(b)は
図1に示した構造での結果を示している。
図7(a)(b)の横軸は回転子10の回転角度(deg)を示し、縦軸は電流値(A)を示している。シミュレーションには、有限要素法を用い、電気回路との連成解析を実施した。
図7(a)(b)におけるモータ部の構成は、回転子10の直径を92mmとし、回転子10の長さを25mmとし、10極12スロットの分布巻きとし、各相の相抵抗は0.02Ωと設定した。また
図7(a)では、U1相、V1相、W1相、U2相、V2相、W2相の巻き数を10とし、線径を同じに設定した。また
図7(b)では、U1相、V1相、W1相の巻き数を17.3とし、U2相、V2相、W2相の巻き数を10とした。また、U1相、V1相、W1相の線径d1と、U2相、V2相、W2相の線径d2の比は、d1:d2=1:1.32とした。
【0052】
図7(a)では、各相のコイルを流れる電流について、U1相を太い実線、V1相を太い破線、W1相を一点鎖線、U2相を二点鎖線、V2相を細い実線、W2相を細い破線で示している。
図7(a)に示したように、第1系統と第2系統の三相巻線を共にスター結線し、6相インバータを用いて個別に制御した比較例では、第1系統が第2系統よりも1/12周期だけ位相が早く、振幅が同じであることがわかる。
【0053】
図7(b)では、各相のコイルを流れる電流について、U1相(Delta U)を太い実線、V1相(Delta V)を太い破線、W1相(Delta W)を一点鎖線、U2相(Star U)を二点鎖線、V2相(Star V)を細い実線、W2相(Star W)を細い破線で示している。
図7(b)に示したように、第1系統をデルタ結線し、第2系統の三相巻線をスター結線した実施例では、第1系統が第2系統よりも1/12周期だけ位相が早く、第1系統の振幅が第2系統よりも小さいことがわかる。
【0054】
図8は、モータ装置のトルク波形をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図8)の横軸は回転子10の回転角度(deg)を示し、縦軸はトルク(Nm)を示している。
図8では、第1系統と第2系統を共にスター結線した比較例を(Double Star)として破線で示し、第1系統をデルタ結線して第2系統をスター結線した実施例を(Star Delta)として実線で示している。
図8に示したように、比較例と実施例では同等のトルクを得られており、トルク脈動もほぼ同等であり、位相も同じであることがわかる。
【0055】
上述したように本実施形態のモータ装置では、第1系統と第2系統の三相巻線は、回転子10の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、U2相はU1相よりもV1相との位相差が小さく、第1系統の三相巻線がデルタ結線され、第2系統の三相巻線がスター結線されている。これにより、一つの回転子10に2系統の三相巻線を備えるモータの各相を個別に制御しながらもスイッチ数を低減し、さらに第1系統と第2系統の位置による位相差と電流の位相差を適切に設定してトルクを向上させることができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図9を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。第1実施形態の
図1および
図2では、8極48スロットの分布巻きの例を示したが、本実施形態では10極12スロットの集中巻きの構造を説明する。
図9は、本実施形態に係るモータ部の構造例を示す模式図である。
【0057】
図9に示すように、モータ部は回転子10と、回転子10の周囲に配置された固定子20を備えている。また、回転子10には、外周に沿って磁石のN極11NとS極11Sが複数交互に配置されている。また固定子20は、コアバック部21と複数のティース部22を備えている。
図9は回転軸を中心にモータ部を2分割し、一部のみ構造を抽出して模式的に示すものであり、角度や長さは実際のモータとは一致していない。
【0058】
図9に示した例では、モータ部は10極12スロットの集中巻きとして構成されている。ここで、第1系統の、U1+とU1-、U2+とU2-、V1+とV1-、V2+とV2-、W1+とW1-およびW2+とW2-が対向した位置のティース部22に巻回されている。また、それぞれの+と-で対となる巻線は巻回方向が反対であり、U1相、U2相、V1相、V2相、W1相およびW2相を構成している。また本実施形態でも、
図1(a)に示したように、U1相、V1相、W1相はデルタ結線され、U2相、V2相、W2相はスター結線されている。
【0059】
本実施形態においても、U1相、V1相およびW1相は、それぞれ1/3周期の差で配置されており第1系統の三相巻線を構成している。同様に、U2相、V2相およびW2相も、それぞれ1/3周期の差で配置されており第2系統の三相巻線を構成している。また、第1系統と第2系統の三相巻線は、誘起電圧の位相が1/12周期だけ異なっており、第1系統よりも第2系統のほうが回転子10の反時計回りにおける下流に位置するように構成されている。したがって
図9に示した本実施形態のモータ装置でも、U2相はU1相よりもV1相との位相差が小さく配置されている。
【0060】
本実施形態のモータ装置でも、第1系統と第2系統の三相巻線は、回転子10の回転方向における位相が1/12周期だけ異なっており、U2相はU1相よりもV1相との位相差が小さく、第1系統の三相巻線がデルタ結線され、第2系統の三相巻線がスター結線されている。これにより、一つの回転子10に2系統の三相巻線を備えるモータの各相を個別に制御しながらもスイッチ数を低減し、さらに第1系統と第2系統の位置による位相差と電流の位相差を適切に設定してトルクを向上させることができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。モータ部の極数Pとスロット数Sは、第1実施形態および第2実施形態で示したものに限定されず、他の構成を採用することもできる。具体的には、分布巻きモータでは2極12スロットの整数倍であるP:S=2:12の比率のものを用いることができる。また、集中巻きモータでは10極12スロットの整数倍であるP:S=10:12の比率のものや、14極12スロットの整数倍であるP:S=14:12の比率のものを用いることができる。
【0062】
(第4実施形態)
第1実施形態から第3実施形態では、N極11NおよびS極11Sを構成する磁石として永久磁石を用いたものを示したが、一つの回転子に対して2系統の三相巻線が用いられるモータ装置であれば、モータ部の種類に依存せず誘導機やシンクロナスリラクタンスモータ等にも適用可能である。
【0063】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10…回転子
11N…N極
11S…S極
20…固定子
21…コアバック部
22…ティース部