(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131514
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】シート積載装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/18 20060101AFI20230914BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20230914BHJP
B65H 7/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B65H31/18
B65H1/14 322A
B65H1/14 322D
B65H7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036327
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】風間 郁海
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA03
3F048BA04
3F048BA05
3F048BB02
3F048BB05
3F048CB06
3F048DA03
3F048DB09
3F048DC13
3F048EA02
3F048EB02
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BD02
3F054CA11
3F054CA12
3F054CA23
3F054CA32
3F054DA16
3F343FA02
3F343FB05
3F343FC27
3F343MA04
3F343MA12
3F343MA33
3F343MA54
3F343MB04
3F343MB12
3F343MC06
3F343MC17
3F343MC25
(57)【要約】
【課題】積載台の自動昇降動作区間と手動昇降動作区間とを区別して制御可能にし、積載台の昇降動作の利便性維持と、装置の破損防止を図るシート積載装置を提供する。
【解決手段】昇降機構を備え、複数のシートを積載可能なトレイと、トレイより上方に配置されて、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、昇降機構を介して、搬送部によって搬送されたシートを積載するトレイの高さ位置を制御する制御部と、を備え、トレイに積載されたシートの最上位が上昇限度位置に至ったことを検知するための上限検知センサと、トレイに積載されたシートの最上位が上昇限度位置よりも低い位置である上昇一時停止位置に至ったことを検知するための上昇一時停止センサと、トレイが下降限度位置に至ったことを検知するための下限検知センサと、下降限度位置よりも高い位置である下降一時停止位置にトレイが至ったことを検知するための下降一時停止センサと、をトレイが昇降可能な昇降空間に備える、シート積載装置による。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機構を備え、複数のシートを積載可能なトレイと、
前記トレイより上方に配置されて、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、
前記昇降機構を介して、前記搬送部によって搬送された前記シートを積載する前記トレイの高さ位置を制御する制御部と、
を備え、
前記トレイに積載された前記シートの最上位が上昇限度位置に至ったことを検知するための上限検知センサと、
前記トレイに積載された前記シートの最上位が前記上昇限度位置よりも低い位置である上昇一時停止位置に至ったことを検知するための上昇一時停止センサと、
前記トレイが下降限度位置に至ったことを検知するための下限検知センサと、
前記下降限度位置よりも高い位置である下降一時停止位置に前記トレイが至ったことを検知するための下降一時停止センサと、を前記トレイが昇降可能な昇降空間に備える、
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記上昇一時停止センサと、前記下降一時停止センサは、前記昇降空間における高さ位置を調整可能に保持されている、
請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記トレイの昇降を前記制御部に指示する昇降操作部を備え、
前記昇降操作部は、所定の操作に応じて前記制御部に対する動作指示を通知し、
前記動作指示には、前記トレイを上昇させる上昇指示と、当該トレイを下降させる下降指示と、当該トレイの昇降を停止させる停止指示を含み、
前記制御部は、前記動作指示に応じて前記トレイを上昇または下降をさせる、
請求項1又は2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記上昇指示又は前記下降指示が通知されている間は、当該動作指示に応じた前記トレイの上昇又は下降を継続させて、当該動作指示の通知がなければ当該トレイを停止する、
請求項3に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記昇降操作部に対する一度の操作に基づいて前記上昇指示又は前記下降指示が一度通知された後は、当該動作指示の通知がなくても前記トレイの上昇又は下降を継続し前記上昇一時停止センサ又は前記下降一時停止センサによって当該トレイが前記上昇一時停止位置又は前記下降一時停止位置に至ったことが検知されたときは当該トレイの上昇又は下降を停止させる、
請求項3のいずれか一項に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記動作指示に応じた前記トレイの上昇又は下降を継続させている間に、前記停止指示を受け付けたときに当該トレイを停止する、
請求項5に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記トレイが操作待機状態に至ったことを報知する報知部を備え、
前記制御部は、前記上昇一時停止センサ又は前記下降一時停止センサによって当該トレイが前記上昇一時停止位置又は前記下降一時停止位置に至ったことが検知されたときに、前記報知部を介してその旨を報知する、
請求項5又は6に記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記トレイが前記上昇一時停止センサ又は前記下降一時停止センサによって前記上昇一時停止位置又は前記下降一時停止位置に至ったことが検知された後、
前記制御部は、前記昇降操作部からの前記上昇指示又は前記下降指示が通知されている間のみ前記トレイを上昇又は下降させる、
請求項5乃至7のいずれか一項に記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記昇降操作部は、前記上昇指示又は前記下降指示が通知されている間は当該動作指示に応じた前記トレイの上昇又は下降を継続させて、当該動作指示の通知がなければ当該トレイを停止する第一制御モードと、前記昇降操作部に対する一度の操作に基づいて前記上昇指示又は前記下降指示が一度通知された後は、当該動作指示の通知がなくても前記トレイの上昇又は下降を継続し前記上昇一時停止センサ又は前記下降一時停止センサによって当該トレイが前記上昇一時停止位置又は前記下降一時停止位置に至ったことが検知されたときは当該トレイの上昇又は下降を停止させる第二制御モードを、選択可能にする前記動作指示を前記制御部に通知するモード選択操作部を備える、
請求項3乃至8のいずれか一項に記載のシート積載装置。
【請求項10】
前記モード選択操作部は、選択されている制御モードに応じた発光態様となる発光機能を備える、
請求項9に記載のシート積載装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを前記トレイに積載する請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート積載装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送する搬送部と、搬送されたシートを積載する積載台(パレット)を有する積載部と、を備え、パレットに対するシートの積載量の増加につれて、積載台が下降し続けることで比較的多量のシートを一括積載可能にする積載方式を備えるシート積載装置が知られている。また、搬送部によって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部を備え、画像形成部によって画像が形成されたシートを積載するシート積載装置を備える画像形成装置が知られている。
【0003】
シート積載装置は、画像が形成されたシートが排出されてくるとき(印刷時)には、パレットを上昇させて上方の位置でシートを受け取り、シートが排出されるに従ってパレットを下降させてシート積載面の最上位が高さ上限に達しないように制御する必要がある。このパレットの昇降動作を、オペレータがボタン操作をした後に自動的に行う方式と、オペレータがボタン押下中のみ昇降させる方式が既に知られている。
【0004】
シート積載装置は画像形成部の後段側に設置される。シート積載装置においてパレットを自動的に昇降するように制御した場合、画像形成部からシートを排出する構成(排紙部)に対してパレットが衝突して、画像形成装置の一部やシート積載装置の一部を破損することがある。
【0005】
上記のような部品の破損を防止することを主目的として、上昇限検知器を備え、パレットが上昇限検知器の手前まで上昇したことを検知して紙積台の上昇速度を減速させる機能を有する紙積装置の突上げ防止装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の技術では、パレットの設置状態や積載台上の物の積載状態(シートの不揃いなど)を正確に検知することが困難である。それ故に、装置の操作者(オペレータ)が装置近傍に不在の場合、自動上昇運転を行うとパレットと他の構成品(部品)との衝突などを防止することが困難である。すなわち、従来技術では、シート積載装置においてパレットの昇降動作の利便性と、装置の部品破損の防止を両立させる点で課題がある。
【0007】
本発明は、積載台の自動昇降動作区間とオペレータによる手動昇降動作区間とを区別して制御可能にし、積載台の昇降動作におけるオペレータの利便性維持と、装置の破損防止を図ることができるシート積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、シート積載装置に関し、昇降機構を備え、複数のシートを積載可能なトレイと、前記トレイより上方に配置されて、シートを搬送方向に搬送する搬送部と、前記昇降機構を介して、前記搬送部によって搬送された前記シートを積載する前記トレイの高さ位置を制御する制御部と、を備え、前記トレイに積載された前記シートの最上位が上昇限度位置に至ったことを検知するための上限検知センサと、前記トレイに積載された前記シートの最上位が前記上昇限度位置よりも低い位置である上昇一時停止位置に至ったことを検知するための上昇一時停止センサと、前記トレイが下降限度位置に至ったことを検知するための下限検知センサと、前記下降限度位置よりも高い位置である下降一時停止位置に前記トレイが至ったことを検知するための下降一時停止センサと、を前記トレイが昇降可能な昇降空間に備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、積載台の自動昇降動作区間とオペレータによる手動昇降動作区間とを区別して制御可能にし、積載台の昇降動作におけるオペレータの利便性維持と、装置の破損防止を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】案内部材が収容位置に位置するときのシート積載装置を示す図。
【
図3】案内部材が離脱位置に位置するときのシート積載装置を示す図。
【
図5】上記昇降機構を備える本実施形態に係るシート積載ユニットの正面図。
【
図7】上記シート積載ユニットを含む画像形成装置のハードウェア構成を示す図。
【
図8】上記シート積載ユニットにおける上昇制御処理のフローチャート。
【
図9】上記シート積載ユニットにおける下降制御処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る実施形態の説明をする。
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのプリンタ1の全体的な構成及び内部構造の例を示す概略図である。
【0012】
[プリンタ1の全体構成等]
図1に示すように、プリンタ1は、シート状の媒体としてのシートMに対して画像を形成して排出する装置であって、画像形成ユニット2と、シート積載ユニット3と、を備えて構成されている。ここで、シート積載ユニット3は、本発明に係るシート積載装置の実施形態に相当する。シート積載ユニット3の詳細は後述する。
【0013】
なお、本実施形態の説明において、搬送されて積載される媒体としてシート状の媒体であるシートMを想定する。シートMは、種々の種類のものを想定可能である。例えば、紙(用紙)、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチックなどが該当するものを想定され、また、これら列挙したものに限定されるものではない。シートMは、画像が形成可能なシート状の媒体であり、搬送可能な媒体であり、積載可能なものであれば、上記列挙したもの以外も当然に含まれる。以下の説明では、シートMは紙(用紙)を想定している。
【0014】
[画像形成ユニット2の構成]
図1に示す画像形成ユニット2は、給紙トレイ10と、搬送部20と、画像形成部30と、を主に備える。そして、シート積載ユニット3には、先端案内部40と排紙トレイ50(トレイ)とを主に備える。
【0015】
給紙トレイ10は、画像が形成される前のシートMを積層した状態で収容する。搬送部20は、給紙トレイ10に収容されたシートMを、画像形成部30に対面する位置を経由して、排紙トレイ50に排紙する。搬送部20は、給紙ローラ21と、複数のローラ対22、23、24、25、26、27とを備える。
【0016】
給紙ローラ21は、給紙トレイ10に積載されている一番上のシートMに当接して回転する。給紙ローラ21の回転に応じて、当該シートMを搬送路に供給する。複数のローラ対22~27は、搬送路に沿って配置されている。なお、
図1において、搬送路は破線で示されている。複数のローラ対22~27は、所定の間隔を隔てて配置される。そして、ローラ対22~27は、シートMを挟持して回転することによって、シートMを搬送する。
図1に示される搬送路は、給紙トレイ10から画像形成部30に対面する位置を経由して排紙トレイ50に至る空間において形成されている。
【0017】
ローラ対22~27によるシートMの搬送方向は、互いに異なる。ローラ対22~27のうち、最も排紙トレイ50に近いローラ対27によるシートMの搬送方向は、プリンタ1が設置される接地面(水平面になる)において、ローラ対26からローラ対27へ向かう方向である。本明細書において、単に「搬送方向」と表記したときは、ローラ対27による搬送方向を指すものとする。
【0018】
本実施形態に係る画像形成部30は、シートMにインクを吐出することによって、当該シートMに画像を形成するインクジェット方式を採用している。画像形成部30は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクを吐出する複数のヘッドモジュールを備える。そして、各ヘッドモジュールから所定のタイミングでインクを吐出することによって、画像形成部30に対面するシートMに画像が形成される。但し、画像形成部30は、シートMにトナーを定着させることによって画像を形成する電子写真方式であってもよい。
【0019】
[シート積載ユニット3]
図1に示すプリンタ1の構成要素のシート積載ユニット3は、ローラ対27(搬送部)と、先端案内部40と、排紙トレイ50と、を含む。シート積載ユニット3は、複数のシートMを積載するシート積載装置の一例を構成する。
【0020】
先端案内部40は、ローラ対27より搬送方向の下流側に配置されている。また、ローラ対27及び先端案内部40は、排紙トレイ50より上方に配置されている。そして、先端案内部40は、ローラ対27によって搬送されるシートMの先端を搬送方向の下流側に案内することによって、排紙トレイ50に向かって自由落下するシートMの先端が浮き上がるのを防止する。
【0021】
[シート積載ユニット3の動作の例]
図2は、画像形成ユニット2から搬送されてきたシートMを第一案内部材44が収容する位置(収容位置)に位置するときのシート積載装置を示す図である。
図3は、シートMを第一案内部材44が離脱する位置(離脱位置)に位置するときのシート積載装置を示す図である。
図2及び
図3に示すように、先端案内部40は、案内駆動ローラ41と、案内従動ローラ42と、無端環状ベルト43と、複数の第一案内部材44及び第二案内部材45とで構成される。
【0022】
案内駆動ローラ41及び案内従動ローラ42は、搬送方向に離間した位置において、各々がシート積載ユニット3の筐体に回転自在に支持されている。無端環状ベルト43は、案内駆動ローラ41及び案内従動ローラ42に掛け渡されている。そして、モータの駆動力が伝達されて案内駆動ローラ41が回転することによって、案内駆動ローラ41及び案内従動ローラ42の間を無端環状ベルト43が回転する。無端環状ベルト43は、
図2及び
図3の時計回りに回転する。換言すれば、無端環状ベルト43は、下面が搬送方向に移動し、上面が搬送方向と反対方向に移動する向きに回転する。
【0023】
第一案内部材44及び第二案内部材45は、無端環状ベルト43の外周面に等間隔に取り付けられている。そのため、第一案内部材44及び第二案内部材45は、無端環状ベルト43の回転に伴って、無端環状ベルト43の下面側において搬送方向に移動し、無端環状ベルト43の上面側において搬送方向と反対側に移動する。なお、第一案内部材44及び第二案内部材45の数は、二個に限定されない。
【0024】
第一案内部材44は、シートMの先端(搬送方向の下流側の端部)側の一部を収容する内部空間を有する。より詳細には、第一案内部材44は、第一開口部44aと、第一中間部44bと、第一奥部44cとで構成される。第二案内部材45は、第一案内部材44と同様に、第二開口部45aと、第二中間部45bと、第二奥部45cとで構成される。以下、第一案内部材44の構造を説明する。
【0025】
第一開口部44aは、第一案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、搬送方向の上流側(すなわち、ローラ対27に対面する側)に開口する。第一中間部44bは、第一案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、第一開口部44aより搬送方向の下流側に位置する。また、第一中間部44bは、上下方向の隙間が第一開口部44a及び第一奥部44cより小さい部分である。第一奥部44cは、第一案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、第一中間部44bより搬送方向の下流側に位置する。また、第一奥部44cは、第一開口部44aを通じて第一案内部材44の内部に進入したシートMの先端が当接する部分である。
【0026】
第一開口部44a、第一中間部44b、及び第一奥部44cの上下方向の隙間は、ローラ対27によって搬送可能なシートMの厚みより大きく設定されている。すなわち、第一案内部材44は、上壁及び下壁でシートMを挟持することなく、シートMの進退を妨げない程度に支持する。これにより、第一案内部材44に対して進退するシートMに傷がつくのを防止できる。但し、第一中間部44bの上下方向の隙間を第一開口部44a及び第一奥部44cより小さくすることに限定されず、第一開口部44a、第一中間部44b、及び第一奥部44cの上下方向の隙間を同一にしてもよい。また、第一奥部44cの上下方向の隙間を、第一中間部44bより小さくしてもよい。
【0027】
また、第一案内部材44が無端環状ベルト43の下面側に位置するときに、第一開口部44aの下壁の上面は、第一中間部44bに向かって上り傾斜となっている。また、第一開口部44aのシートMに接触し得る面は、突起などが形成されていない平滑な面である。これにより、第一案内部材44の内部空間にシートMが進入する際の抵抗を低減することができる。さらに、第一案内部材44のシートMに当接し得る部分を、金属や樹脂などの平滑性の高い部材で構成することによって、シートMがさらにスムーズに進入可能になる。
【0028】
第一案内部材44は、
図2に示す収容位置で停止している。収容位置は、無端環状ベルト43の下面側において、第一開口部44aがローラ対27に対面する位置である。換言すれば、収容位置は、ローラ対27を通過したシートMの先端を収容可能な位置である。すなわち、ローラ対27によって搬送されるシートMの先端は、第一開口部44aを通じて第一案内部材44の内部空間に進入し、第一奥部44cに到達する。
【0029】
第一案内部材44の内部空間にシートMの先端が進入すると、無端環状ベルト43は、回転を開始し、第二案内部材45が収容位置に到達した時点で再び停止する。このとき、搬送方向の下流側に移動する第一案内部材44の速度(最高速度)は、ローラ対27によるシートMの搬送速度より速く設定されている。そのため、第一案内部材44に収容されたシートMの先端は、ローラ対27によるシートMの搬送速度と、第二案内部材45の移動速度との速度差によって、第一案内部材44が
図3に示す離脱位置で、第一案内部材44から離脱する。
【0030】
離脱位置は、無端環状ベルト43の下面側で、収容位置より搬送方向の下流側の位置である。なお、シートMの先端が第一案内部材44から離脱したとき、シートMの後端(搬送方向の上流側の端部)は、未だローラ対27に挟持されている。すなわち、先端案内部40は、シートMの後端がローラ対27を通過する前に、当該シートMの先端を離脱させる。換言すれば、シートMは、先端が先端案内部40から離脱した後に、後端がローラ対27を通過する。
【0031】
これにより、シートMは、排紙トレイ50に向けて自由落下する。より詳細には、シートMは、離脱位置で先端が自由落下を開始し、その後にローラ対27を通過した後端が自由落下を開始する。すなわち、先端案内部40は、ローラ対27によって搬送されるシートMの先端を、収容位置で第一案内部材44及び第二案内部材45に収容し、離脱位置で第一案内部材44及び第二案内部材45から離脱させることによって、当該シートMを排紙トレイ50に案内する役割を担う。そして、無端環状ベルト43を間欠的に回転させることによって、複数のシートMを排紙トレイ50に排紙することができる。
【0032】
なお、無端環状ベルト43は、第一案内部材44の第一奥部44cにシートMの先端が当接したタイミングで回転を開始してもよいし、第一案内部材44の第一奥部44cにシートMの先端が当接する直前のタイミングで回転を開始してもよい。シートMを第一奥部44cに当接させないことによって、シートMの先端が折れるのを防止できる。ローラ対27によって搬送されるシートMの先端の位置は、周知の位置センサ(例えば、光学センサ、ロータリエンコーダ、またはこれらの組み合わせ等)によって特定することができる。
【0033】
排紙トレイ50は、画像形成部30によって画像が形成された後の複数のシートMを、積層した状態で収容する。排紙トレイ50は、ローラ対27より搬送方向の下流側で、ローラ対27及び先端案内部40より下方に配置される。換言すれば、排紙トレイ50は、ローラ対27によって搬送され、先端案内部40によって先端が案内されたシートMが自由落下した先に配置される。
【0034】
[昇降機構51の概略]
ここで、シート積載ユニット3が備える昇降機構の概略について
図4を用いて説明する。
図4に示すように、積載台としての排紙トレイ50は、昇降機構51によって、上下方向に昇降可能に構成されている。昇降機構51は、一対のプーリ52a、52bと、一対のチェーン53a、53bと、一対のウエイト54a、54bと、上限検知センサ55と、下限検知センサ56とを主に備える。但し、昇降機構51の具体的な構造は、
図4の例に限定されない。
【0035】
一対のプーリ52a、52bは、排紙トレイ50より上方で且つ互いに搬送方向に離間した位置において、プリンタ1の筐体に回転可能に支持されている。一対のチェーン53a、53bは、対応するプーリ52a、52bに掛け渡されている。一対のチェーン53a、53bは、一端が排紙トレイ50に接続され、他端が対応するウエイト54a、54bに接続されている。
【0036】
プーリ52a、52bが第一方向(
図4において、プーリ52aが時計回り、プーリ52bが反時計回り)に回転すると、排紙トレイ50が上昇し、ウエイト54a、54bが下降する。一方、プーリ52a、52bが第一方向と反対方向の第二方向(
図4において、プーリ52aが反時計回り、プーリ52bが時計回り)に回転すると、排紙トレイ50が下降し、ウエイト54a、54bが上昇する。
【0037】
上限検知センサ55は、排紙トレイ50に積載された一番上のシートMの位置が、昇降機構51において、上昇が許容される限度位置である上限限度位置に至っているか否かを検知するセンサである。上限検知センサ55は、排紙トレイ50より上方に配置されている。上限検知センサ55は、例えば、光を出力する発光部と、発光部から出力され且つシートMで反射された光を受光する受光部とを備える反射型の光学センサである。
【0038】
上限検知センサ55は、光路上にシートMが存在するとき、すなわち、排紙トレイ50に積載されたシートMの最上位が上限限度位置に達したときに、後述するコントローラ100(
図7参照)に検知信号を出力する。一方、上限検知センサ55は、光路上にシートMが存在しない場合に、検知信号の出力を停止する。但し、上限検知センサ55は、反射型の光学センサに限定されず、透過型の光学センサであってもよい。コントローラ100は、上限限度位置に達したことを記す検知信号を取得したとき(光路上にシートMが存在するとき)は、後述するボタン操作や動作モードに関わらず、排紙トレイ50の上昇を即時停止する。
【0039】
下限検知センサ56は、排紙トレイ50の最大量のシートMが積載されたことを検知するセンサであって、排紙トレイ50の下降が許容される限度位置である下降限度位置に至っているか否かを検知するセンサである。下限検知センサ56は、例えば、排紙トレイ50が満杯になったときのウエイト54bに対面する位置に配置されている。下限検知センサ56は、例えば、光を出力する発光部と、発光部から出力され且つウエイト54bで反射された光を受光する受光部とを備える反射型の光学センサである。
【0040】
下限検知センサ56は、光路上にウエイト54bが存在する(すなわち、排紙トレイ50が満杯になり、下降限度位置に至った)ときに、コントローラ100に検知信号を出力する。一方、下限検知センサ56は、光路上にウエイト54bが存在しない場合に、検知信号の出力を停止する。但し、下限検知センサ56は、反射型の光学センサに限定されず、透過型の光学センサであってもよい。コントローラ100は、下降限度位置に達したことを記す検知信号を取得したとき(光路上にシートMが存在するとき)は、後述するボタン操作や動作モードに関わらず、排紙トレイ50の下降を即時停止する。
【0041】
[シート積載装置の実施形態]
次に、本発明に係るシート積載装置の実施形態としてのシート積載ユニット3について詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係るシート積載ユニット3の正面図、
図6の内部構成の概略図を示している。
【0042】
前述した昇降機構51によって実行される排紙トレイ50の昇降動作は、シート積載ユニット3の筐体の正面側の壁面に配置された複数の操作ボタンの操作によって行われる。昇降操作部としての操作ボタンは、上昇ボタン62、停止ボタン63、下降ボタン64を含み、これらがオペレータにとって操作しやすい位置及び配置で設けられている。例えば
図5に例示するように、排紙トレイ50の昇降空間の近傍としてのシート積載ユニット3の正面壁面などに設けられている。
【0043】
上昇ボタン62は、オペレータが排紙トレイ50を上昇させたいときに操作(押下)するボタンである。上昇ボタン62が操作されると、後述するコントローラ100に対して上昇指示が通知される。コントローラ100は、上昇指示を受け取ることで、プーリ52a、52bを第一方向に回転させて排紙トレイ50を上昇させる。なお、自動昇降モードにおいてシート積載ユニット3が動作をしているときは、一度操作すれば後述する上昇一時停止センサ71の設置位置にシートMの最上位の高さが至るまでは、操作を止めても上昇する。
【0044】
停止ボタン63は、自動昇降モードにおいて、一旦オペレータが上昇又は下降の操作をした後に、排紙トレイ50の上昇又は下降を停止させたいときに操作(押下)するボタンである。停止ボタン63が操作されると、後述するコントローラ100に対して、先に行われている動作指示を解除するための停止指示が通知される。コントローラ100は、解除指示を受けてプーリ52a、52bの回転を停止する。
【0045】
下降ボタン64は、オペレータが排紙トレイ50を下降させたいときに操作(押下)するボタンである。下降ボタン64が操作されると、後述するコントローラ100に対して下降指示が通知される。コントローラ100は、下降指示を受け取ることで、プーリ52a、52bを第二方向に回転させて排紙トレイ50を下降させる。なお、自動昇降モードにおいてシート積載ユニット3が動作をしているときは、一度操作すれば後述する下降一時停止センサ72の設置位置に排紙トレイ50の高さが至るまでは、操作を止めても下降する。
【0046】
また、シート積載ユニット3の正面壁面には、シート積載ユニット3が備える複数の昇降制御モードをオペレータが任意に切り替えるときに操作するための、モード選択操作部としての昇降モード切替ボタン65も設けられている。
【0047】
昇降モード切替ボタン65は、選択されている制御モードに応じた発光態様を提供するための発光機能を備えている。例えば、ボタンにLEDを備え、選択されている昇降制御モードに対応するボタンのLEDを点灯させることで、選択されているモードをオペレータが容易に視認できる状態を提供する。なお、昇降モードとして選択可能なものは第一制御モードとしての「手動昇降モード」と、第二制御モードとしての「自動昇降モード」である。
【0048】
また、シート積載ユニット3は、シートMが積載されている排紙トレイ50へのアクセス路としての、昇降空間の開口からの不正な侵入(侵入物)を検知するための複数の侵入検知センサ61(61a、61b)を備える。侵入検知センサ61は、一対の発光素子と受光素子によって構成されていて、積載空間部の入口全体を検知可能な状態になるように設置されている。
図5の破線矢印は、侵入検知センサ61の発光素子から受光素子に向かう光を模式的に示している。この光のいずれかが遮られて、受光素子側で受光ができない状態になったときに、積載空間部に対して不正な侵入が検知される。後述するコントローラ100は、侵入検知センサ61が侵入物を検知したときは、排紙トレイ50の動作を停止させる。
【0049】
図6は、シート積載ユニット3の正面から内部構成を見た図である。
図6に示すように、シート積載ユニット3が備える積載空間部であって、積載台としての排紙トレイ50が昇降する空間には、上限検知センサ55と下限検知センサ56が、それぞれ配置されている。また、上限検知センサ55において、シートMの最上位の高さが検知される前に、シートMの高さを検知して、排紙トレイ50の上昇を一時的に停止させるための上昇一時停止センサ71(71a、71b)が設けられている。更に、下限検知センサ56において、排紙トレイ50の最上位の高さが検知される前に、排紙トレイ50の高さを検知して、排紙トレイ50の下降を一時的に停止させるための下降一時停止センサ72(72a、72b)が設けられている。
【0050】
上昇一時停止センサ71(71a、71b)と下降一時停止センサ72(72a、72b)は、いずれも、侵入検知センサ61と同様に、一対の発光素子と受光素子によって構成されている。したがって、各センサの発光素子から発した光をシートMまたは排紙トレイ50によって遮る状態になったときに、それを通知することができる状態に出力信号を変化させる。上昇一時停止センサ71(71a、71b)と下降一時停止センサ72の発光素子から発した光を受光素子が受光できないときの出力信号を取得したコントローラ100は、排紙トレイ50の昇降動作を一時的に停止する。
【0051】
上昇一時停止センサ71の設置位置は、上昇一時停止位置に相当し、上昇限度位置としての上限検知センサ55の設置位置よりも低い位置であって、上限検知センサ55よりも上昇可能任意量Aだけ低い位置に設置されている。
【0052】
なお、上昇一時停止センサ71は、排紙トレイ50の高さを検知するのではなく、排紙トレイ50を含み、排紙トレイ50の上方に積み上げられているシートMの最上位の位置を検知するセンサである。したがって、上昇一時停止センサ71の設置位置である「上昇一時停止位置」とは、排紙トレイ50の自動的な上昇を許容する限界点(限界位置)を意味するものではあるが、排紙トレイ50自体の位置と対比されるものではない。
【0053】
すなわち、「上昇一時停止位置」とは、シートMが積載された排紙トレイ50の上昇を一旦停止させる必要がある境界を示す位置であって、これ以上の位置への上昇は、積載されているシートMを含む排紙トレイ50が他の部品などと衝突する可能性が高く、自動的な上昇に不適である範囲に相当するものとして扱う区別された領域で有ることを示す。一方、この「上昇一時停止位置」までは、安全な上昇を期待できる範囲と考えられる。そこで、上昇一時停止位置に至るまでの区間を「昇降中間区間」として予め設定する。
【0054】
下降一時停止センサ72の設置位置は、下降一時停止位置に相当し、下降限度位置としての下限検知センサ56の設置位置よりも高い位置であって、下限検知センサ56よりも下降可能任意量Bだけ高い位置に設置されている。
【0055】
なお、下降一時停止センサ72は、上昇一時停止センサ71とは異なり、排紙トレイ50の高さを検知するものとなる。これは、排紙トレイ50の下方において排紙トレイ50の下降を阻害する可能性があるような、厚みを増すような構成は存在しないことが前提となる。すなわち、下降一時停止センサ72の設置位置である「下降一時停止位置」とは、排紙トレイ50自体の自動的な下降を許容する限界点(限界位置)を意味するものである。言い換えると、「下降一時停止位置」とは、シートMを積んだ排紙トレイ50の下降を一旦停止させる必要がある境界を示す位置であって、これ以下の位置への下降は、他の部品などと衝突する可能性が高く、自動的な下降は不適である範囲に相当するものとして扱う区別された領域であることを示す。一方、この「下降一時停止位置」までは、安全な下降を期待できる範囲と考えられる。そこで、下降一時停止位置に至るまでのクハンを「昇降中間区間」として予め設定する。
【0056】
上昇一時停止センサ71と下降一時停止センサ72は、いずれも、は任意の高さ位置に設置可能であって、例えば、ブラケットを高さ方向に長手寸法を有する長孔にブラケットを設けて設置することで、高さ調整を可能とする構成によって保持されている。したがって、上昇監視区間に相当する上昇可能任意量Aと下降監視区間に相当する下降可能任意量Bは、任意に設定することができるように構成されている。
【0057】
排紙トレイ50の昇降動作は、上昇一時停止センサ71と下降一時停止センサ72の間の高さ空間、すなわち自動昇降区間である昇降中間区間においては、上昇ボタン62や下降ボタン64の操作によって、自動的に又は手動で行われる。自動昇降モードが選択されているときは、例えば、上昇ボタン62を一旦押下して離したとしても、排紙トレイ50が上昇限界位置に至るまでは自動的に上昇する。同様に、下降ボタン64を一旦押下して離したとしても、排紙トレイ50が下降限界位置に至るまでは自動的に下降する。なお、昇降中間区間において自動的に昇降している最中において、停止ボタン63が押下されると、排紙トレイ50の昇降動作は停止する。
【0058】
一方、「手動昇降モード」が選択されているときは、例えば、上昇ボタン62を押下している間は上昇し、離したときには、排紙トレイ50が上昇限界位置に至っていなくても自動的に停止する。同様に、下降ボタン64を押下している間は下降し、離したときには、排紙トレイ50が下降限界位置に至っていなくても自動的に停止する。
【0059】
また、「自動昇降モード」及び「手動昇降モード」による昇降動作に関わらず、上昇一時停止センサ71と下降一時停止センサ72のいずれかにおいて排紙トレイ50が限度位置に至ったことを検知される状態になったときは、排紙トレイ50の昇降動作を必ず停止する。
【0060】
上昇一時停止センサ71によって検知されて一時停止をしたときは、操作待機状態に至る。この操作待機状態の後に、排紙トレイ50を更に上昇させたいときは、自動昇降モードが選択されていたとしても、オペレータが上昇ボタン62を操作し続ける間のみ、排紙トレイ50は上昇する。同様に、下降一時停止センサ72によって検知されて一時停止をしたときは、操作待機状態に至る。この操作待機状態の後に、排紙トレイ50を更に下降させたいときは、自動昇降モードが選択されていたとしても、オペレータが下降ボタン64を操作し続ける間のみ、排紙トレイ50は下降する。
【0061】
以上の構成により、昇降方式を特定区間で変更でき、昇降動作を自動的に行うと部品の破損などが生ずる可能性がある区間を、上昇可能任意量A及び下降可能任意量Bによって設定する。これによって、排紙トレイ50の昇降動作におけるオペレータの利便性維持をしつつ、装置の破損防止の観点で手動操作が望ましい区間を区別して制御することができる。
【0062】
[制御構成の実施形態]
次に、本実施形態に係るプリンタ1の制御構成について
図7を用いて説明する。
図7は、プリンタ1のハードウェア構成を示す図である。プリンタ1は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)101、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)102、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)103、記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)104、及びインタフェースとしてのI/F105が通信手段としての共通バス109を介して接続されている構成を備える。CPU101、RAM102、ROM103、HDD104は、コントローラ100の一例である。
【0063】
コントローラ100は、画像形成ユニット2とシート積載ユニット3の動作を合わせて、プリンタ1の全体を制御する。
【0064】
CPU101は演算手段であり、プリンタ1全体の動作を制御するための所定の制御プログラムに規定された演算処理を実行する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0065】
プリンタ1は、ROM103に格納された制御用プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、プリンタ1の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、プリンタ1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、プリンタ1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0066】
I/F105は、搬送部20、画像形成部30、先端案内部40、昇降機構51、及び一時停止検知部70を、共通バス109に接続するインタフェースである。すなわち、コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送部20、画像形成部30、先端案内部40、昇降機構51、一時停止検知部70、及び報知部としてのトレイ待機報知部80の動作を制御する。
【0067】
一時停止検知部70は、上昇一時停止センサ71(71a、71b)及び下降一時停止センサ72(72a、72b)の出力信号を取得する。一時停止検知部70が取得した出力信号の変化に基づいて、コントローラ100は、排紙トレイ50が上昇限度位置に至ったか否か、また、排紙トレイが下降限度位置に至ったか否かを判定する。そして、コントローラや、排紙トレイ50が上昇限界位置または下降限界位置に至ったと判定したときには、排紙トレイ50の昇降動作を、操作入力の内容に関わらず停止させる。
【0068】
また、一時停止検知部70は、複数の侵入検知センサ61の出力信号も取得する。そして、コントローラ100は、侵入検知センサ61の出力信号に基づいて積載空間部に対する不正な侵入を検知したときも、排紙トレイ50の昇降動作を停止する。
【0069】
[昇降制御処理]
次に、本実施形態に係るシート積載ユニット3において実行される昇降制御処理の流れについてフローチャートを用いて説明する。
図8は、排紙トレイ50を上昇制御するときの処理の流れを例示している。
図9は、排紙トレイ50を下降制御するときの処理の流れを例示している。以下において説明する昇降動作は、昇降モードが自動昇降モードである場合を例示している。
【0070】
[上昇制御処理]
排紙トレイ50を上昇させるとき、まず、オペレータは上昇ボタン62を押下する。したがって、コントローラ100は、上昇ボタン62が押下されたことが検知したとき、排紙トレイ50の上昇動作を開始する(S801)。排紙トレイ50が上昇を開始した後、コントローラ100は停止ボタン63の押下を検知したときは(S802:Yes)、排紙トレイ50の上昇を停止する(S809)。停止ボタン63の押下が検知されなければ(S802:No)、コントローラ100は、上昇一時停止センサ71がシートMの最上位を検知するまで排紙トレイ50の上昇を継続させる(S803:No)。
【0071】
コントローラ100は、上昇一時停止センサ71がシートMの最上位を検知したとき(S803:Yes)、排紙トレイ50が昇降中間区間の上限に至ったことになるので、排紙トレイ50の上昇を一時停止する(S804)。そして、コントローラ100は、上昇ボタン62の押下を再度検知するまで(S805:No)、排紙トレイ50の停止状態を継続する。S804において排紙トレイ50が一時停止したとき、コントローラ100は、トレイ待機報知部80を介して所定の音を発するか、上昇ボタン62などを点滅させるか、又はこれらを合わせて行うか、のいずれかまたは複数を選択的に制御して、所定の報知動作を実行する。これによって、オペレータに向けて、後続の操作を促すための報知を行うことができる。
【0072】
コントローラ100は、上昇ボタン62の再度の押下を検知すると(S805:Yes)、排紙トレイ50の上昇を再開させる(S806)。そして、コントローラ100は、上昇ボタン62の押下が解除されるまで、すなわち、上昇ボタン62の押下が継続されている間であり(S807:No)、かつ、上限検知センサ55がシートMの最上位を検知するまでは(S808:No)、排紙トレイ50の上昇を継続する。
【0073】
コントローラ100は、上昇ボタン62が再度押下されてから(S805:Yes)、排紙トレイ50が上昇を再開させたときに(S806)、上昇ボタン62の押下が解除されたときは(S807:Yes)、排紙トレイ50の上昇を一時停止する(S804)。この場合、再度、上昇ボタン62が押下されるまで停止を続ける(S805:No)。
【0074】
すなわち、上昇監視区間に至ったときに排紙トレイ50は必ず一時停止し、その後の上昇動作は、常に、オペレータが上昇ボタン62を操作(押下)しているときのみとなる。したがって、自動昇降モードであれば、オペレータは、上昇ボタン62を一度操作(押下)することで、昇降中間区間の上昇については、上昇ボタン62の操作を不要となる。一方、上昇監視区間における上昇動作は、上昇ボタン62が押下されている間のみであって、停止ボタン63の操作(押下)または、上昇ボタン62の押下が解除されたときは、排紙トレイ50の上昇は停止する。
【0075】
以上制御により、上昇ボタン62の操作を一度行うことで、昇降中間区間においては、排紙トレイ50の上昇を自動的に行うことができ、上昇監視区間に至ったときには、上昇を必ず一旦停止して、オペレータが操作するときのみ上昇を可能にする。これによって、排紙トレイ50の上昇動作におけるオペレータの利便性維持をしつつ、装置の破損防止の観点で手動操作が望ましい区間を区別して制御することができる。
【0076】
[下降制御処理]
排紙トレイ50を下降させるとき、まず、オペレータは下降ボタン64を押下する。したがって、下降ボタン64が押下されたことが検知されたときに排紙トレイ50の下降動作を開始する(S901)。下降を開始した後、停止ボタン63が押下されたときは(S902:Yes)、排紙トレイ50の下降を停止する(S909)。停止ボタン63が押下されなければ(S902:No)、下降一時停止センサ72が排紙トレイ50の最下位を検知するまで、排紙トレイ50は下降を継続する(S903:No)。
【0077】
コントローラ100は、下降一時停止センサ72が排紙トレイ50の最下位を検知したとき(S903:Yes)、排紙トレイが昇降中間区間の下限に至ったことになるので、排紙トレイ50の下降を一時停止する(S904)。そして、コントローラ100は、下降ボタン64の押下を検知するまで(S905:No)、排紙トレイ50は停止状態を継続する。S904において排紙トレイ50が一時停止したとき、コントローラ100は、トレイ待機報知部80を介して所定の音を発するか、下降ボタン64などを点滅させるか、又はこれらを合わせて行うか、のいずれかまたは複数を選択的に制御して、所定の報知動作を実行する。これによって、オペレータに向けて、後続の操作を促すための報知を行うことができる。
【0078】
コントローラ100は、下降ボタン64の押下を検知すると(S905:Yes)、排紙トレイ50の下降を再開させる(S906)。そして、コントローラ100は、下降ボタン64の押下が解除されるまで(S906:No)、かつ、下限検知センサ56が排紙トレイ50の最下位を検知するまで(S907:No)、排紙トレイ50の下降を継続する。
【0079】
コントローラ100は、下降ボタン64が再度押下されてから(S905:Yes)、排紙トレイ50が下降を再開させたときに(S906)、下降ボタン64の押下が解除されたときは(S907:Yes)、排紙トレイ50の下降を一時停止する(S904)。この場合、再度、下降ボタン64が押下されるまで停止を続ける(S905:No)。
【0080】
すなわち、下降監視区間に至ったときに排紙トレイ50は必ず一時停止し、その後の下降動作は、常に、オペレータが下降ボタン64を操作(押下)しているときのみとなる。したがって、自動昇降モードであればオペレータは、下降ボタン64の操作(押下)を不要となる。一方、下降監視区間における下降動作は、下降ボタン64が押下されている間のみであって、停止ボタン63の操作(押下)または、下降ボタン64の押下が解除されたときは、排紙トレイ50の降下を停止する。
【0081】
以上制御により、下降ボタン64の操作を一度行うことで、排紙トレイ50の下降を自動的に行うことができ、下限に接近したときには、一旦停止してオペレータの操作によって下降可能にする。これによって、排紙トレイ50の下降動作におけるオペレータの利便性維持をしつつ、装置の破損防止の観点で手動操作が望ましい区間を区別して制御することができる。
【0082】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 :プリンタ
2 :画像形成ユニット
3 :シート積載ユニット
30 :画像形成部
40 :先端案内部
50 :排紙トレイ
51 :昇降機構
55 :上限検知センサ
56 :下限検知センサ
61 :侵入検知センサ
62 :上昇ボタン
63 :停止ボタン
64 :下降ボタン
65 :昇降モード切替ボタン
70 :一時停止検知部
71 :上昇一時停止センサ
72 :下降一時停止センサ
80 :トレイ待機報知部
100 :コントローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】