(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131531
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】パッケージ基板の加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230914BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L21/56 R
H01L21/304 622S
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036353
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ガンヒ
【テーマコード(参考)】
5F057
5F061
【Fターム(参考)】
5F057AA02
5F057AA19
5F057BA11
5F057BA30
5F057BB40
5F057CA14
5F057DA11
5F057DA14
5F057EB20
5F057FA13
5F057GA13
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB13
5F057GB20
5F057GB31
5F061AA01
5F061BA03
5F061CB03
5F061CB13
5F061GA03
(57)【要約】
【課題】モールド樹脂等の封止材で封止されたチップを含むパッケージ基板の封止材を所望する仕上げ厚みに薄化できるパッケージ基板の加工方法を提供する事。
【解決手段】支持基板101の上に積層されたチップ102を封止材110で封止したパッケージ基板100の加工方法は、支持基板101の側を保持テーブル10に保持する保持ステップと、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の封止材110を仕上げ厚みまで薄化する薄化ステップと、を備える。パッケージ基板100は、支持基板101の上に積層され、仕上げ厚みよりも厚い柱材103をさらに有する。薄化ステップは、厚み測定器30で柱材103に光を照射し、柱材103の表面108からの反射光と裏面109からの反射光とで生成される分光干渉波によって柱材103の厚みを測定しながら、封止材110を仕上げ厚みまで薄化する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板の上に積層されたチップを封止材で封止したパッケージ基板の封止材を仕上げ厚みに薄化するパッケージ基板の加工方法であって、
該支持基板の側を保持テーブルに保持する保持ステップと、
該保持テーブルに保持された該パッケージ基板の該封止材を仕上げ厚みまで薄化する薄化ステップと、を備え、
該パッケージ基板は、支持基板の上に積層され、該仕上げ厚みよりも厚い柱材をさらに有し、
該薄化ステップは、
該パッケージ基板を該柱材が露出するまで研削する柱材露出ステップと、
該柱材露出ステップの実施後に、厚み測定器で該柱材の厚みを測定しながら、該封止材を該仕上げ厚みまで薄化する測定ステップと、
を有する事を特徴とするパッケージ基板の加工方法。
【請求項2】
配線基板の上に積層されたチップを封止材で封止したパッケージ基板の封止材を仕上げ厚みに薄化するパッケージ基板の加工方法であって、
該配線基板の側を保持テーブルに保持する保持ステップと、
該保持テーブルに保持された該パッケージ基板の該封止材を仕上げ厚みまで薄化する薄化ステップと、を備え、
該パッケージ基板は、該配線基板の上に積層され、該仕上げ厚みよりも厚い柱材をさらに有し、
該薄化ステップは、
該パッケージ基板を該柱材が露出するまで研削する柱材露出ステップと、
該柱材露出ステップの実施後に、厚み測定器で該柱材の厚みを測定しながら、該封止材を該仕上げ厚みまで薄化する測定ステップと、
を有する事を特徴とするパッケージ基板の加工方法。
【請求項3】
該厚み測定器は、該柱材に光を照射し、該柱材の表面からの反射光と裏面からの反射光とで生成される分光干渉波によって該柱材の厚みを測定する事を特徴とする請求項1または請求項2に記載のパッケージ基板の加工方法。
【請求項4】
該柱材は、該パッケージ基板の外周部に配設される事を特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のパッケージ基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップがモールド樹脂等で封止されたパッケージ基板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)とは、ウエーハの状態で配線基板上に積層したチップをモールド樹脂等で封止し、切削ブレード等で各デバイスパッケージに分割する技術であり、ウエーハを個片化したデバイスパッケージの大きさが半導体デバイスチップの大きさになるため、小型化及び軽量化の観点から広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、WL-CSPでは、配線基板を利用する先述のフリップチップBGA(Ball Grid Array)というプロセスの他にも、支持基板の上にチップを配置しモールド樹脂で封止した後、支持基板を除去して支持基板が貼着されていた方の面に再配線層を形成するファンアウト型パッケージ(Fan Out Wafer Level Package:FO-WLP)というプロセスも提案されている。また、さらに生産性を高めるために、ウエーハの代わりにウエーハより大きなサイズのパネルの配線基板を使用する(Panel Level Package:PLP)も開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常モールド樹脂等で封止されたパッケージ基板は仕上げ厚みまで薄化されるが、近年パッケージ基板の仕上げ厚みに求める精度が上がっている。仕上げ厚みの精度を上げるにはパッケージ基板の厚みを測定しながら薄化ステップを実施する事が好ましいが、保持テーブルの上面と、パッケージ基板の上面とに測定針を接触させ、差分からパッケージ基板の厚みを求める接触式の測定器では、支持基板と支持基板とチップとの間に介在する接着材の厚みが含まれてしまうため、パッケージ基板の厚みを正確に測定できないという問題があった。また、パッケージ基板に測定光を照射し、パッケージ基板の上面と下面からの反射光によってパッケージ基板の厚みを測定する方法は、モールド樹脂に含まれるフィラーが光を散乱させたり吸収したりしてしまうため、パッケージ基板の厚みを精度良く測定できないという問題があった。さらに、研削面にチップの上面を露出させ、チップの厚みを非接触型の厚み測定器で測定しながら研削する方法もとりうるが、チップを露出させない仕上げ厚みに薄化する場合は利用できず、さらにチップが積層される領域が厚み測定器の測定可能範囲外であると利用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、モールド樹脂等の封止材で封止されたチップを含むパッケージ基板の封止材を所望する仕上げ厚みに薄化できるパッケージ基板の加工方法を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のパッケージ基板の加工方法は、支持基板の上に積層されたチップを封止材で封止したパッケージ基板の封止材を仕上げ厚みに薄化するパッケージ基板の加工方法であって、該支持基板の側を保持テーブルに保持する保持ステップと、該保持テーブルに保持された該パッケージ基板の該封止材を仕上げ厚みまで薄化する薄化ステップと、を備え、該パッケージ基板は、支持基板の上に積層され、該仕上げ厚みよりも厚い柱材をさらに有し、該薄化ステップは、該パッケージ基板を該柱材が露出するまで研削する柱材露出ステップと、該柱材露出ステップの実施後に、厚み測定器で該柱材の厚みを測定しながら、該封止材を該仕上げ厚みまで薄化する測定ステップと、を有する事を特徴とする。
【0008】
本発明のパッケージ基板の加工方法は、配線基板の上に積層されたチップを封止材で封止したパッケージ基板の封止材を仕上げ厚みに薄化するパッケージ基板の加工方法であって、該配線基板の側を保持テーブルに保持する保持ステップと、該保持テーブルに保持された該パッケージ基板の該封止材を仕上げ厚みまで薄化する薄化ステップと、を備え、該パッケージ基板は、該配線基板の上に積層され、該仕上げ厚みよりも厚い柱材をさらに有し、該薄化ステップは、該パッケージ基板を該柱材が露出するまで研削する柱材露出ステップと、該柱材露出ステップの実施後に、厚み測定器で該柱材の厚みを測定しながら、該封止材を該仕上げ厚みまで薄化する測定ステップと、を有する事を特徴とする。
【0009】
該厚み測定器は、該柱材に光を照射し、該柱材の表面からの反射光と裏面からの反射光とで生成される分光干渉波によって該柱材の厚みを測定してもよい。
【0010】
該柱材は、該パッケージ基板の外周部に配設されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、支持基板の上にチップと、パッケージ基板の仕上げ厚みよりも厚い柱材が積層され、封止材で封止されたパッケージ基板を加工する加工方法であって、柱材露出ステップによって柱材を露出させ、測定ステップで露出させた柱材の厚みを厚み測定器で測定しながら仕上げ厚みまで薄化するため、支持基板や支持基板とパッケージ基板を接着する接着材の厚みを除外した封止材の厚みを測定しながら研削することができ、使用する支持基板や接着材の厚みがパッケージ基板毎にばらついていたとしても、モールド樹脂等で封止されたチップを含むパッケージ基板の封止材を所望する仕上げ厚みに薄化できる。
【0012】
また、配線基板の上にチップと柱材が積層される場合も、同様に柱材露出ステップと測定ステップとを有する薄化ステップを実施する事で、配線基板の厚みを除外した封止材の厚みを測定しながら研削することができ、配線基板の厚みが設計値よりばらついていたとしてもモールド樹脂等で封止されたチップを含むパッケージ基板の封止材を所望する仕上げ厚みに薄化できる。
【0013】
また、柱材を外周部に設置する事で、パッケージ基板内の封止材の割合の差を少なくする事ができ、パッケージ基板の反りを低減する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係るパッケージ基板の加工方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1の保持ステップ及び薄化ステップを説明する断面図である。
【
図6】
図6は、
図1の保持ステップ及び薄化ステップを説明する他の断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係るパッケージ基板の加工方法により加工されたパッケージ基板の構成を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るパッケージ基板の加工方法の変形例の一例を説明する上面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るパッケージ基板の加工方法の変形例の別の一例を説明する上面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るパッケージ基板の加工方法の変形例の別の一例を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法は、
図1に示すように、積層ステップ1001と、封止ステップ1002と、保持ステップ1003と、薄化ステップ1004と、を備える。実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法は、積層ステップ1001及び封止ステップ1002により得られる、支持基板101(
図2,3等参照)の上に積層されたチップ102(
図2,3等参照)を封止材110(
図4参照)で封止したパッケージ基板100(
図4参照)の封止材110を、保持ステップ1003及び薄化ステップ1004により仕上げ厚みに薄化する方法である。
【0017】
図2は、
図1の積層ステップ1001を説明する上面図である。
図3は、
図1の積層ステップ1001を説明する断面図である。積層ステップ1001は、
図2及び
図3に示すように、支持基板101の上に、チップ102と、パッケージ基板100の封止材110の仕上げ厚みよりも厚い柱材103とを積層するステップである。積層ステップ1001では、支持基板101の上面に厚みが均一なシート状の接着剤104を供給し、もしくは接着剤104を供給して厚みが均一な層状に形成し、接着剤104の上面にチップ102と柱材103とを配設して、接着剤104を介してチップ102と柱材103とを支持基板101の上面に立設した状態に固定する。
【0018】
ここで、パッケージ基板100の封止材110の厚み120(
図4,5参照)は、本明細書では、接着剤104の上面から上方の部分の厚みを指し、本実施形態では、具体的には、封止材110の下面すなわち接着剤104の上面から、追って実施する封止ステップ1002で供給されて薄化ステップ1004で薄化される封止材110の上面までの厚みを指す。すなわち、パッケージ基板100の封止材110の厚み120は、本明細書では、支持基板101及び接着剤104の厚みを含まない。また、パッケージ基板100の封止材110の仕上げ厚みは、本明細書では、パッケージ基板の加工方法の処理が薄化ステップ1004まで完了したときに得られるパッケージ基板100の封止材110の厚み120を指す。
【0019】
支持基板101は、本実施形態では、ウエーハ形状(円板状)のシリコン板やガラス板などであるが、本発明ではこれに限定されず、パネル形状(矩形状)でもよい。また、支持基板101は、薄化ステップ1004の実施後、パッケージ基板100から剥離され、パッケージ基板100の支持基板101が接着されていた面には再配線層が形成される(Fan Out:FO方式)。チップ102は、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする半導体チップやデバイスチップなどである。柱材103は、材質が一様の中実材であり、後述する厚み測定器30(
図5参照)が照射する光を一定の割合で透過するとともに、表面108(
図5参照)と裏面109(
図5参照)との両方で反射する。柱材103は、チップ102の母材と同様の材料と機械的物性が近い材料で形成される。柱材103は、チップ102の母材と同じ材料で形成されることが好ましく、この場合、追って実施する封止ステップ1002を経て得られるパッケージ基板100の反りを低減できる。柱材103は、例えば、チップ102の母材と同じ材料で形成され、柱状に形成されたダミーウエーハやダミーチップを使用することができる。柱材103の平面視の形状は、特に限定されない。接着剤104は、例えば、エポキシ系樹脂からなる接着剤を使用することができる。チップ102は、SiやSiCやGaAsなどの基板の表面にデバイスが形成されており、チップ102の母材とはデバイスが積層される基板の事を示す。
【0020】
積層ステップ1001では、本実施形態では、
図2に示すように、柱材103は、支持基板101のチップ102よりも外周側即ちパッケージ基板100の外周部に配設されることが好ましい。従来は、通常パッケージ基板100の外周部にはチップ102がなく中央部に比べて封止材110の割合が多いため、パッケージ基板100に含まれる材料に起因する収縮や膨張がパッケージ基板100の面内で均等に発生せずパッケージ基板100の反りの原因になる。しかし柱材103をチップ102がない外周部に設置することで、パッケージ基板100の面全体で封止材110とチップ102もしくは柱材103との割合の差が少なくなり、パッケージ基板100に含まれる材料の分布が均等に近づくため、特に封止材110の封止に起因してパッケージ基板100が反る事を防止できるとともに、追って実施する薄化ステップ1004で柱材103の厚みの測定を容易にできる。また、積層ステップ1001では、
図2に示すように、柱材103を周方向に沿って配設することが好ましく、この場合、薄化ステップ1004で、厚み測定器30の径方向の位置を一定にして好適に柱材103の厚みを測定できる。なお、積層ステップ1001で配設する柱材103の個数は、1個でも複数個でもよい。
【0021】
図4は、
図1の封止ステップ1002を説明する断面図である。封止ステップ1002は、
図4に示すように、積層ステップ1001で支持基板101の上に積層したチップ102及び柱材103を封止材110で封止して、パッケージ基板100を得るステップである。封止材110は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、又はポリイミド樹脂等により構成された所謂モールド樹脂である。また、封止材110は、フィラーが含まれていてもよい。封止材110に含まれるフィラーは、例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、ガラス、石英、雲母等の無機充填剤のうち1種類または2種類以上が使用される。封止材110は、フィラーにより光を散乱させたり吸収したりするものでもよい。
【0022】
図5は、
図1の保持ステップ1003及び薄化ステップ1004を説明する断面図である。
図6は、
図1の保持ステップ1003及び薄化ステップ1004を説明する他の断面図である。
図7は、
図1の薄化ステップ1004を説明する上面図である。保持ステップ1003及び薄化ステップ1004を実施する装置の一例である薄化装置1は、
図5に示すように、保持テーブル10と、薄化ユニット20と、厚み測定器30と、制御ユニット40と、を備える。薄化装置1は、本実施形態では、薄化ユニット20でパッケージ基板100の封止材110を研削加工する研削装置であるが、本発明ではこれに限定されず、その他の加工方法によりパッケージ基板100の封止材110を薄化する加工装置であってもよい。
【0023】
保持テーブル10は、パッケージ基板100を支持基板101の側から保持する。保持テーブル10は、本実施形態では、例えば、凹部が形成された円板状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円板状の吸着部と、を有する所謂チャックテーブルである。保持テーブル10の吸着部の上面は、水平面に平行に形成されており、吸着部に接続された不図示の吸引源から負圧が導入されることにより、支持基板101の側を下方に向けて載置されたパッケージ基板100を、支持基板101の側から吸引保持する保持面11である。保持テーブル10は、不図示の回転駆動源により保持面11に対して垂直で鉛直方向と平行な軸心周りに回転自在に設けられている。
【0024】
薄化ユニット20は、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の封止材110を仕上げ厚みまで薄化する。薄化ユニット20は、本実施形態ではパッケージ基板100の封止材110を研削加工して薄化する研削ユニットであるが、本発明ではこれに限定されず、その他の加工方法によりパッケージ基板100の封止材110を薄化する加工ユニットであってもよい。
【0025】
薄化ユニット20は、本実施形態では、スピンドル21と、研削砥石22を環状に配置した研削ホイール23と、研削送りユニット24とを備える。薄化ユニット20では、スピンドル21の下端に装着された研削ホイール23は、スピンドル21の回転動作により、鉛直方向と平行な軸心回りの回転動作が加えられる。研削送りユニット24は、スピンドル21及びスピンドル21に装着された研削ホイール23を、鉛直方向と平行な研削送り方向に沿って移動させる。薄化ユニット20は、スピンドル21により研削ホイール23を回転させながら、回転する保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の封止材110側に、研削送りユニット24により研削送り方向に沿って押圧することによって、研削ホイール23の研削砥石22でパッケージ基板100の封止材110を研削して薄化し、パッケージ基板100の封止材110の被加工面(被研削面)を水平方向と平行に形成する。
【0026】
薄化装置1は、本実施形態では、保持テーブル10の回転軸と、薄化ユニット20のスピンドル21及び研削ホイール23の回転軸とが、水平方向にずれて配設されており、薄化ユニット20で保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の封止材110を研削して薄化している際に、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の一部を上方に向けて露出させる。
【0027】
厚み測定器30は、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の上方に向けて露出した領域に鉛直方向に沿って対向して設けられている。厚み測定器30は、不図示の径方向移動ユニットが接続されており、径方向移動ユニットにより、保持テーブル10の径方向に沿って移動自在に設けられている。厚み測定器30は、不図示の径方向移動ユニットによりパッケージ基板100内の柱材103が配設された円周上に位置付けられ、保持テーブル10の回転に伴うパッケージ基板100内の柱材103の回転移動によりパッケージ基板100内の柱材103が直下を通過する際に、柱材103に光を照射し、柱材103の表面108からの反射光と、柱材103の裏面109からの反射光とで生成される分光干渉波によって、柱材103の厚みを測定する。厚み測定器30は、本実施形態では、保持テーブル10の外周部に設けられ、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の封止材110の外周部の厚みを測定するが、本発明ではこれに限定されず、前述した光を照射して前記反射光を受光する測定部を保持テーブル10及びパッケージ基板100の径方向に移動させる移動機構31(
図6に示す)を有し、移動機構31によって径方向に移動させてパッケージ基板100の封止材110の厚みを測定する機構が設けられていてもよい。移動機構31でパッケージ基板100の封止材110の厚みを測定する場合は、外周部だけで無くパッケージ基板100の径方向に柱材103が複数形成され、柱材103の上部でパッケージ基板100の封止材110の厚みを測定する。これによりパッケージ基板100の外周部ではなく、パッケージ基板100の封止材110の全体の厚み分布をより精度高く測定できるため、仕上げ厚みの精度を向上させる効果がある。
【0028】
制御ユニット40は、薄化装置1の各構成要素の動作を制御して、保持ステップ1003及び薄化ステップ1004を薄化装置1に実施させる。制御ユニット40は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット40が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット40の演算処理装置は、制御ユニット40の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、薄化装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット40の入出力インターフェース装置を介して薄化装置1の各構成要素に出力する。
【0029】
保持ステップ1003は、
図5に示すように、パッケージ基板100の支持基板101の側を薄化装置1の保持テーブル10に保持するステップである。薄化ステップ1004は、保持ステップ1003の後に実施され、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の封止材110を仕上げ厚みまで薄化するステップである。薄化ステップ1004は、本実施形態では、
図5に示すように、研削ホイール23に配置された研削砥石22により、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板100の封止材110を仕上げ厚みまで研削加工して薄化するが、本発明ではこれに限定されず、モーターで回転するスピンドルと、スピンドルの先端に固定されたマウンタと、マウンタに固定されバイト工具を備えるバイト切削装置で、バイト工具により封止材110を切削し薄化するなど、その他の加工方法によりパッケージ基板100の封止材110を薄化してもよい。
【0030】
薄化ステップ1004は、
図1に示すように、柱材露出ステップ1004-1と、測定ステップ1004-2とを有する。柱材露出ステップ1004-1は、パッケージ基板100を柱材103が露出するまで研削するステップである。柱材露出ステップ1004-1は、では、柱材103がパッケージ基板100の封止材110の仕上げ厚みよりも厚いため、薄化ステップ1004では、柱材露出ステップ1004-1において、パッケージ基板100の封止材110を研削加工して薄化していくと、
図7に示すように、パッケージ基板100の封止材110が仕上げ厚みまで薄化される前に、パッケージ基板100の封止材110の被加工面に柱材103の表面108を露出させる。そこで、薄化ステップ1004では、制御ユニット40は、まず、薄化ユニット20により、保持テーブル10に保持したパッケージ基板100の封止材110を薄化して、パッケージ基板100の封止材110の被加工面に柱材103の表面108を露出させる。
【0031】
薄化ステップ1004では、パッケージ基板100の封止材110の被加工面に柱材103の表面108を露出させた後、測定ステップ1004-2において、制御ユニット40は、引き続き薄化ユニット20でパッケージ基板100の封止材110を薄化しながら、不図示の径方向移動ユニットにより厚み測定器30を露出した柱材103が配設された円周上に位置付け、保持テーブル10の回転に伴い回転移動するパッケージ基板100内の柱材103が厚み測定器30の直下を通過する際に、厚み測定器30で柱材103に光を照射して、柱材103の表面108からの反射光と、柱材103の裏面109からの反射光とで生成される分光干渉波によって柱材103の厚みを測定する。なお、測定ステップ1004-2は、柱材露出ステップ1004-1の実施後に、厚み測定器30で柱材103の厚みを測定しながら、封止材110を仕上げ厚みまで薄化するステップである。
【0032】
薄化ステップ1004の測定ステップ1004-2でパッケージ基板100の封止材110を薄化している際には、厚み測定器30で測定する柱材103の厚みは、パッケージ基板100の封止材110の厚み120と等しいため、制御ユニット40は、柱材103の厚みを測定することによりパッケージ基板100の封止材110の厚み120を測定し、パッケージ基板100の封止材110の厚み120をリアルタイムで監視することができる。そこで、薄化ステップ1004の測定ステップ1004-2では、制御ユニット40は、厚み測定器30で測定した柱材103の厚みがパッケージ基板100の封止材110の仕上げ厚みとなるまで、薄化ユニット20でパッケージ基板100の封止材110を薄化し、厚み測定器30で測定した柱材103の厚みがパッケージ基板100の封止材110の仕上げ厚みに到達したときに、薄化ユニット20によるパッケージ基板100の封止材110の薄化を停止する。薄化ステップ1004の測定ステップ1004-2では、このように、厚み測定器30で柱材103に光を照射し、柱材103の表面108からの反射光と裏面109からの反射光とで生成される分光干渉波によって柱材103の厚みを測定して監視しながら、封止材110を仕上げ厚みまで薄化する。
【0033】
このように、薄化ステップ1004を実施することにより、パッケージ基板100の封止材110を所望の仕上げ厚みまで薄化することができる。さらに、薄化ステップ1004の実施後、支持基板101をパッケージ基板100から剥離して除去し、パッケージ基板100の支持基板101が接着されていた面に再配線層を形成することにより、チップ102と所望の仕上げ厚みの封止材110とを含むパッケージ基板100を得ることができる。なお、本実施形態では、ウエーハ形状(円板状)の支持基板101を用いてウエーハレベル(Wafer Level)のパッケージ基板100を得るが、本発明ではこれに限定されず、パネル形状(矩形状)の支持基板101を用いてパネルレベル(Panel Level)のパッケージ基板100を得てもよい。
【0034】
以上のような構成を有する実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法は、パッケージ基板100の封止材110の厚み120の測定結果が、接着剤104や支持基板101の厚みが含まれないので、接着剤104や支持基板101の厚みが設計値よりばらついていたとしてもその影響を受けて封止材110の厚み120がばらつくことがない。接着剤104は毎回同じ厚みにする様に制御してもパッケージ基板100毎に多少のばらつきは発生する。また支持基板101も同じロットで同じ厚みのものを使用しても個体差はどうしても生じる。よって本発明は接着剤104と支持基板101の厚みを除外して封止材110の厚み120を測定することで、仕上げ厚みの精度を向上させる。また、実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法は、パッケージ基板100の封止材110の厚み120を測定するために照射する光が柱材103の内部を通り、封止材110の内部を通ることはないので、パッケージ基板100の封止材110の厚み120の測定結果が、封止材110に含まれるフィラー等の影響を受けることがない。このように、実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法は、モールド樹脂等の封止材110で封止されたチップ102を含むパッケージ基板100の封止材110の厚み120を、接着剤104の厚みや封止材110に含まれるフィラー等の影響を受けることなく、柱材103の厚みを測定して監視しながら、パッケージ基板100の封止材110を薄化できるので、モールド樹脂等の封止材110で封止されたチップ102を含むパッケージ基板100の封止材110を所望する仕上げ厚みに薄化できるという作用効果を奏する。
【0035】
また、実施形態1に係るパッケージ基板の加工方法は、柱材103は、チップ102よりも外周に配設されるので、パッケージ基板100の面全体で封止材110とチップ102もしくは柱材103との割合の差が少なくなり、封止材110の割合が多い部分がより収縮するまたは膨張するなど封止に起因してパッケージ基板100が反る事を防止できるとともに、柱材103の厚みの測定を容易にできるという作用効果を奏する。さらにチップ102の母材(基板)と、柱材103と、が同じ素材を含んで形成されていると一層チップ102がある領域と柱材103がある領域とでパッケージ基板100内の材料の分布が均等に近づくため、パッケージ基板100の反りを防止する事ができる。
【0036】
〔実施形態2〕
実施形態2に係るパッケージ基板の加工方法を図面に基づいて説明する。
図8は、実施形態2に係るパッケージ基板の加工方法により加工されたパッケージ基板100-2の構成を模式的に示す断面図である。なお、
図8は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
実施形態2に係るパッケージ基板の加工方法は、パッケージ基板100-2が、支持基板101の代わりに配線基板121を備える事以外、実施形態1と同じである。実施形態2に係るパッケージ基板の加工方法は、保持ステップ1003において配線基板121の側を保持テーブル10に保持し、薄化ステップ1004において研削する。しかしながら、封止材110の上面に接触式の厚み測定器を接触させ、保持テーブル10の保持面にもう一つの接触式の厚み測定器を接触させ、差分を配線基板121と封止材110とを含んだ総厚とみなし、研削厚みを管理することが従来技術であるが、そうすると配線基板121も同じロットであっても厚みが多少ばらつくため、配線基板121の厚みがばらついた時に封止材110の厚みもばらついてしまうという問題がある。
【0038】
そこで、実施形態2に係るパッケージ基板の加工方法は、実施形態1と同様に柱材露出ステップ1004-1において柱材103を露出させ、測定ステップ1004-2において柱材103の厚みによって研削厚みを制御する事で、配線基板121の厚みばらつきによらず封止材110の厚み120を管理する事ができる。なお、実施形態2では、配線基板121を利用するので、配線基板121も含んでその後チップ化されるため、パッケージ基板100-2は、配線基板121とチップ102と封止材110とを含む。
【0039】
〔変形例〕
本発明の変形例1,2,3に係るパッケージ基板の加工方法を図面に基づいて説明する。
図9、
図10及び
図11は、それぞれ、実施形態1,2に係るパッケージ基板の加工方法の変形例の一例である変形例1,2,3を説明する上面図である。
図9、
図10及び
図11は、いずれも、変形例1,2,3の積層ステップ1001を説明する上面図である。
図9、
図10及び
図11は、実施形態1,2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
変形例1,2,3は、いずれも、上記した実施形態1,2において、積層ステップ1001における支持基板101上に配設する柱材103の形状もしくは配設する位置を変更したものである。
【0041】
変形例1は、
図9に示すように、実施形態1,2において、柱材103を平面視で円環状に変更したものである。このため、変形例1は、パッケージ基板100において柱材103が周方向に連続的に配設されたものとなり、厚み測定器30での柱材103の厚みを測定できる測定ポイントが多くなるので、実施形態1,2よりもさらに、薄化ステップ1004で、厚み測定器30で連続的により高い頻度で柱材103の厚みを測定して、パッケージ基板100の封止材110の厚み120をより精度よく監視できる。
【0042】
変形例2は、
図10に示すように、実施形態1,2において、柱材103を平面視で約1/4円弧状のものを4個に変更したものである。このため、変形例2は、パッケージ基板100において柱材103が周方向に非連続的ではあるがほぼ全周に配設されたものとなり、厚み測定器30での柱材103の厚みを測定できる測定ポイントが多くなるので、実施形態1,2よりもさらに、薄化ステップ1004で、厚み測定器30で非連続的ではあるがより高い頻度で柱材103の厚みを測定して、連続的にパッケージ基板100の封止材110の厚み120をより精度よく監視できる。
【0043】
変形例3は、
図11に示すように、実施形態1,2において、柱材103を平面視でチップ102と同じ形状及び同じ大きさのもの4個に変更し、柱材103をチップ102と並んで配列するように変更したものである。変形例3は、パッケージ基板100において、柱材103が、パッケージ基板100の面全体におけるチップ102と柱材103とのバランスを好適に維持できる最小限だけ配設されたものとなるので、実施形態1,2よりもさらに、パッケージ基板100の封止材110の薄化に与える影響を最小限に留めることができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 保持テーブル
30 厚み測定器
100,100-2 パッケージ基板
101 支持基板
102 チップ
103 柱材
108 表面
109 裏面
110 封止材
120 厚み
121 配線基板