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特開2023-131631画像形成システム、画像形成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131631
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20230914BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230914BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230914BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20230914BHJP
【FI】
B41J29/38 501
B41J29/38 201
G06F3/12 339
G06F3/12 303
G06F3/12 344
G06F3/12 378
G06F3/12 387
G06T7/00 350C
G06V10/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036505
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕貴
【テーマコード(参考)】
2C061
5L096
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061HH03
2C061HJ06
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ01
5L096EA39
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】業務用でない画像データが業務用として印刷される可能性を低減すること。
【解決手段】画像形成システムは、印刷対象の画像データについて、学習済みのモデルを用いて業務用か否か又は判定できないかを判定する判定部と、前記判定部が業務用であるか否かを判定できない場合に、前記画像データが業務用か否かの判定結果の入力を受け付ける入力部と、前記判定部が業務用であると判定した画像データ、又は前記判定結果が業務用であると受け付けた画像データを画像形成装置に印刷させる印刷制御部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の画像データについて、学習済みのモデルを用いて業務用か否か又は判定できないかを判定する判定部と、
前記判定部が業務用であるか否かを判定できない場合に、前記画像データが業務用か否かの判定結果の入力を受け付ける入力部と、
前記判定部が業務用であると判定した画像データ、又は前記判定結果が業務用であると受け付けた画像データを画像形成装置に印刷させる印刷制御部と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記判定部が業務用であるか否かを判定できなかった画像データと、当該画像データに関する前記判定結果とに基づいて、前記モデルを学習する学習部、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記モデルは、ニューラルネットワークであり、
前記学習部は、前記ニューラルネットワークの結合荷重を更新する、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記判定部は、印刷対象の画像データを所定のサイズに変換し、変換後の画像データのピクセルごとにRGBのそれぞれの値を保持した三次元配列の情報を前記モデルに入力する、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の画像形成システム。
【請求項5】
印刷対象の画像データについて、学習済みのモデルを用いて業務用か否か又は判定できないかを判定する判定手順と、
前記判定手順が業務用であるか否かを判定できない場合に、前記画像データが業務用か否かの判定結果の入力を受け付ける入力手順と、
前記判定手順が業務用であると判定した画像データ、又は前記判定結果が業務用であると受け付けた画像データを画像形成装置に印刷させる印刷制御手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
印刷対象の画像データについて、学習済みのモデルを用いて業務用か否か又は判定できないかを判定する判定手順と、
前記判定手順が業務用であるか否かを判定できない場合に、前記画像データが業務用か否かの判定結果の入力を受け付ける入力手順と、
前記判定手順が業務用であると判定した画像データ、又は前記判定結果が業務用であると受け付けた画像データを画像形成装置に印刷させる印刷制御手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務用での使用が想定されているプリンタ等の画像形成装置が、正しく業務用に使用されているか否かについて人手で確認するのは困難である。
【0003】
従来、印刷要求された画像データが業務用であるか否かを判定する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、業務用であるか否かを判別できない画像についての印刷用途の判定を誤ってしまう可能性が有る。その結果、実際には業務用でない画像データが業務用として印刷されてしまう可能性が有る。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、業務用でない画像データが業務用として印刷される可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、画像形成システムは、印刷対象の画像データについて、学習済みのモデルを用いて業務用か否か又は判定できないかを判定する判定部と、前記判定部が業務用であるか否かを判定できない場合に、前記画像データが業務用か否かの判定結果の入力を受け付ける入力部と、前記判定部が業務用であると判定した画像データ、又は前記判定結果が業務用であると受け付けた画像データを画像形成装置に印刷させる印刷制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
業務用でない画像データが業務用として印刷される可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態における画像形成システム1の構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における中継器20のハードウェア構成例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における画像形成システム1の機能構成例を示す図である。
図5】分類器の初回学習時の処理手順の一例を説明するための図である。
図6】画像データの印刷要求に応じて実行される処理手順の一例を説明するための図である。
図7】分類器としてのニューラルネットワーク構成例を示す図である。
図8】管理者による判定結果に基づく分類器の更新処理の処理手順の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成システムの構成例を示す図である。図1に示されるように、画像形成システム1は、画像形成装置10、中継器20、クラウドサーバ30及び管理者端末40等を含む。画像形成装置10と中継器20は、LAN(Local Area Network)、通信用のケーブル、又は無線通信等を介して接続される。中継器20及び管理者端末40は、LAN又はインターネット等のネットワークを介してクラウドサーバ30に接続する。
【0010】
画像形成装置10は、印刷要求において指定された画像を印刷する機器である。例えば、プリンタ又は複合機等が画像形成装置10として用いられてもよい。
【0011】
中継器20は、任意のアプリケーションプログラムを実行でき、画面表示が可能なコンピュータである。本実施の形態において、中継器20は、予め学習されたモデル(以下、「分類器」という。)を用いた画像識別によって、印刷要求に係る画像の用途を判定する。画像の用途とは、業務用であるか否かである。なお、中継器20は、例えば、小型のPC(Personal Computer)等によって実現されてもよい。例えば、中継器20は、画像形成装置10の付近に設置される。この場合、中継器20は、対応する画像形成装置10の横に設置されてもよいし、当該画像形成装置10の外装に固定されてもよい。又は、中継器20の機能は、対応する画像形成装置10のハードウェアリソースを利用して実現されてもよい。すなわち、画像形成装置10の機能を内包してもよい。
【0012】
なお、一組の画像形成装置10及び中継器20は、一つのユーザ環境を構成する。ユーザ環境とは、印刷を指示するユーザによって操作対象とされる装置群をいう。
【0013】
管理者端末40は、画像形成システム1を管理する人(以下、「管理者」という。)が利用するPC(Personal Computer)、タブレット端末又はスマートフォン等の端末である。管理者端末40は、画像の用途を中継器20が判定できない場合に、当該用途についての管理者による判定結果(用途についての手動での判定結果)の入力を受け付ける。
【0014】
クラウドサーバ30は、中継器20が利用する分類器の学習処理を実行する1以上のコンピュータである。分類器の学習は、予め用意された学習データ群や、管理者による手動での判定結果に基づいて分類器を生成又は更新する。なお、クラウドサーバ30は、クラウド環境において実現されてもよい。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0016】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びNVRAM115等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM115には、各種の設定情報等が記憶される。
【0017】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段等を備えたハードウェアである。液晶パネルは、タッチパネル機能を有していてもよい。この場合、当該液晶パネルは、入力手段の機能をも兼ねる。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記憶されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記憶されたプログラムだけでなく、SDカード80に記憶されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD-ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード80が代替されてもよい。すなわち、SDカード80の位置付けに相当する記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット17は、記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態における中継器20のハードウェア構成例を示す図である。図3の中継器20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200、補助記憶装置202、メモリ装置203、CPU204、及びインタフェース装置205等を有する。
【0019】
中継器20での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0020】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従って中継器20に係る機能を実行する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態における画像形成システム1の機能構成例を示す図である。
【0022】
図4において、画像形成装置10は、印刷制御部121を有する。印刷制御部121は、画像形成装置10にインストールされた1以上のプログラムがCPU111に実行させる処理により実現される。印刷制御部121は、ユーザが印刷対象として指定した画像データに関する印刷処理を制御する。例えば、印刷制御部121は、当該画像データを中継器20へ送信することで、当該画像データが業務用であるか否かについて中継器20に判定させる。当該画像データが業務用である場合、印刷制御部121は、当該画像データの印刷を画像形成装置10に実行させる。
【0023】
中継器20は、表示制御部21、取得部22及び自動判別部23を有する。これら各部は、中継器20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU204に実行させる処理により実現される。中継器20は、また、モデル記憶部24を利用する。モデル記憶部24は、例えば、補助記憶装置202、又は中継器20にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0024】
表示制御部21は、画面等、ユーザに対して任意の情報を提示する。
【0025】
取得部22は、印刷制御部121から送信される、印刷対象の画像データを取得(受信)する。
【0026】
自動判別部23は、モデル記憶部24に記憶されている、学習済みの分類器の学習パラメータ(結合荷重)を分類器に設定して、印刷対象の画像データの用途を判定する。
【0027】
管理者端末40は、手動判別部41及び入力部42を有する。これら各部は、管理者端末40にインストールされた1以上のプログラムが、管理者端末40のCPUに実行させる処理により実現される。
【0028】
手動判別部41は、自動判別部23が用途を判定できない場合に、印刷対象の画像データの用途を管理者に照会する。
【0029】
入力部42は、印刷対象の画像データの用途について、管理者またはプログラムによる判定結果の入力を受け付ける。
【0030】
クラウドサーバ30は、分類器生成部31、監視部32及び通知部33を有する。これら各部は、クラウドサーバ30にインストールされた1以上のプログラムが、クラウドサーバ30のCPUに実行させる処理により実現される。クラウドサーバ30は、また、学習データ記憶部34を利用する。学習データ記憶部34は、例えば、クラウドサーバ30の補助記憶装置、又はクラウドサーバ30にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0031】
学習データ記憶部34は、分類器の学習データを記憶する。初期状態において、学習データ記憶部34には、業務用であるか否かについて予めラベリングされた複数の画像データが記憶されている。当該複数の画像データが用いられて、分類器の初回学習が実行される。その後、学習データ記憶部34には、分類器が判別できなかった画像データごとに、当該画像データと管理者による判定結果とが記憶される。当該画像データ及び当該判定結果の組は、分類器の追加学習に用いられる。
【0032】
分類器生成部31は、分類器の初回学習と追加学習とを実行する。
【0033】
監視部32は、学習データ記憶部34に、管理者による判定結果が一定数記憶されたか否かを監視する。
【0034】
通知部33は、各部から出力される情報をユーザ環境側へ通知する。
【0035】
なお、画像形成装置10及と、クラウドサーバ30の機能を実現するプログラム(クラウドアプリケーション)とについて、例えば、CloudGatewayクライアントアプリによって接続されたコネクタデバイス及びアプリケーションとして実現してもよい。この場合、既存のCloudGatwayが利用できる設備があれば、クラウドアプリケーションとコネクタデバイスのソフトウェアを更新するだけで上記の機能を実現することができる。CloudGatewayとは、クラウド環境(遠方にあるサーバコンピュータ上の環境)と画像形成装置10等のエッジデバイスを、コネクタデバイスと呼ばれる機器(小型の端末などにより実現される)により橋渡しする仕組みをいう。クライアントアプリとは、コネクタデバイス上で実行されるアプリケーションをいう。クラウドアプリケーションは、クラウド環境(サーバコンピュータ)で実行されるアプリケーションをいう。
【0036】
以下、画像形成システム1において実行される処理手順について説明する。図5は、分類器の初回学習時の処理手順の一例を説明するための図である。分類器の初回学習は、例えば、管理者による指示に応じて実行される。
【0037】
ステップS101において、分類器生成部31は、学習データ群を学習データ記憶部34から取得する。1つの学習データは、ラベリングされた画像データである。ラベリングされた画像データとは、当該画像データが業務用であるか否かを示すラベル(0=業務用でない or 1=業務用であるの数値情報)との組(ペア)である。ここでは、学習データ記憶部34に記憶されている複数の学習データの集合(学習データ群)が取得される。 続いて、分類器生成部31は、学習データ群を用いて分類器の学習処理を実行する(S102)。この際、分類器生成部31は、各学習データの画像データを所定のサイズに変換(リサイズ)し、変換後のサイズの二次元座標上の画像のピクセルごとにRGBのそれぞれの値を保持した三次元配列の情報に当該画像データを変換する。分類器生成部31は、当該情報を入力とし、ラベルを出力とするようなニューラルネットワークである分類器の各学習パラメータ(結合荷重)を、学習データ群に基づいて更新する。
【0038】
例えば、分類器が、三次元配列の情報x1,x2,x3を入力とし、出力がyとなるような関数であると仮定する。
y=w1*x1+w2*x2+w3*x3
ここで、x1、x2、x3が画像データであり、yがラベルである。w1、w2、w3がニューラルネットワークにおける学習パラメータ(結合荷重)に相当し、その算出が分類器の学習に相当する。実際には画像情報は、画像の横ピクセル数×縦ピクセル数×3(RGB3色)次元分の情報を持っており、また関数の形も線形とは限らない(ニューラルネットワークの場合、多層パーセプトロンで表される関数の形となる。)。
【0039】
続いて、分類器生成部31は、学習済みの分類器の各学習パラメータ(結合荷重)の値をモデル記憶部24に送信する(S103)。その結果、分類器の学習パラメータの値がモデル記憶部24に記憶される。
【0040】
図6は、画像データの印刷要求に応じて実行される処理手順の一例を説明するための図である。
【0041】
取得部22は、印刷要求に係る画像データを印刷制御部121から取得(受信)すると(S201)、当該画像データを自動判別部23へ入力する(S202)。
【0042】
自動判別部23は、画像データの入力に応じ、分類器の学習パラメータ(結合荷重)について学習済みの値をモデル記憶部24から取得する(S203)。続いて、自動判別部23は、当該画像データ(以下、「対象画像データ」という。)を上記した三次元配列の情報に変換し、取得した学習パラメータの値を分類器に設定して当該情報を分類器に入力することで、対象画像データが業務用であるか否かについて自動判定を行う。すなわち、分類器は、業務用である、業務用でない、又は判別不可(どちらともいえない)の判定結果を出力する。例えば、分類器が全結合ニューラルネットワークであれば、自動判別部23は、対象画像データの各ピクセルのRGBそれぞれの値を分類器へ入力する。自動判別部23は、分類器の出力層から出力された値(0-1の間の値となる)が0.9より大きい値であれば業務用であると判定し、0.1より小さい値であれば業務用でないと判定し、0.1~0.9であれば判別不可と判定する。
【0043】
図7は、分類器としてのニューラルネットワーク構成例を示す図である。図7に示されるニューラルネットワークにおいて、入力層L1は、画像データのピクセル数×3(RGB)個の値を入力し、それらの値をシグモイド関数に入力した結果を出力する。
【0044】
中間層L2において入力層L1と結合される各ノードと入力層L1の各ノードとのそれぞれの結合は重み(結合荷重)を有する。重みの数は、ピクセル数×3(RGBの色数)×3(中間層L2のユニット数)である。中間層L2を構成する各ノードは、当該ノードへの入力側の結合における前の層からの出力値×当該結合の重みの総和をシグモイド関数に入力した結果(0-1)を出力する。中間層L2におけるノード間の各結合は、重み(結合荷重)を有する。重みの数は、3(中間層L2のユニット数)×3(中間層L2のユニット数)である。中間層L2において出力層L3と接続される各ノードと出力層L3とのそれぞれの結合は、重み(結合荷重)を有する。重みの数は、3(中間層L2のユニット数)×1(出力層L3のユニット数)である。
【0045】
出力層L3は、前の層の出力値×結合の重みの総和をシグモイド関数に入力した結果(0-1)を出力する。その値の意味は上記した通りである。
【0046】
業務用であるとの判定結果が得られた場合、自動判別部23は、対象画像データの印刷指示を印刷制御部121へ送信する(S204-A)。印刷制御部121は、当該画像データの印刷を画像形成装置10に実行させる。
【0047】
業務用でないとの判定結果が得られた場合、自動判別部23は、印刷不可を表示制御部21へ通知する(S204-B)。表示制御部21は、自動判別部23からの通知に応じ、印刷不可を示す情報(メッセージ等)を表示する。
【0048】
判別不可の判定結果が得られた場合、自動判別部23は、対象画像データを手動判別部41へ送信する(S204-C)。手動判別部41は、例えば、対象画像データを管理者端末40に表示し、対象画像データの用途の判定を管理者に要求する。管理者が、対象画像データを参照して業務用であるか否かを判定し、判定結果を管理者端末40へ入力すると、入力部42は、当該判定結果を手動判別部41へ通知する(S205-C)。
【0049】
手動判別部41は、対象画像データと当該判定結果とをモデル記憶部24へ送信する(S206-C)。その結果、当該判定結果は、対象画像データに対するラベルとなる。したがって、対象画像データと当該判定結果との組は、新たな学習データとして学習データ記憶部34に記憶される。
【0050】
手動判別部41は、また、対象画像データと当該判定結果とを通知部33へ送信する(S207-C)。通知部33は、当該判定結果を表示制御部21へ通知する(S208-C)。表示制御部21は、当該判定結果を表示する。
【0051】
当該判定結果が業務用であれば、通知部33は、対象画像データを印刷制御部121へ送信する(S209-C)。印刷制御部121は、対象画像データの印刷を画像形成装置10に実行させる。
【0052】
図8は、管理者による判定結果に基づく分類器の更新処理の処理手順の一例を説明するための図である。
【0053】
例えば、監視部32は、新たに一定数以上の学習データが学習データ記憶部34に記憶されたか否かを定期的に監視する(S301)。一定数は、1でもよい。すなわち、新たに1つの学習データが発生するたびにステップS302以降が実行されてもよい。
【0054】
新たに一定数以上の学習データが学習データ記憶部34に記憶された場合、監視部32は、分類器の更新要求を分類器生成部31へ送信する(S302)。
【0055】
分類器生成部31は、当該更新要求に応じ、新たな学習データ群を学習データ記憶部34から取得する(S303)。続いて、分類器生成部31は、新たな学習データ群に基づいて、ステップS102と同様に、学習済みの分類器について追加学習を実行する(S304)。
【0056】
続いて、分類器生成部31は、追加学習された分類器の各学習パラメータ(結合荷重)の値をモデル記憶部24に送信する(S305)。その結果、分類器の学習パラメータの値がモデル記憶部24に記憶される。
【0057】
続いて、分類器生成部31は、分類器の更新を通知部33へ通知する(S306)。通知部33は、表示制御部21へ当該更新を通知する(S307)。表示制御部21は、当該更新が行われたことを中継装置に表示させる。
【0058】
なお、分類器の一例として、畳み込みニューラルネットワークが挙げられる。この場合、分類器は、三次元配列の情報(二次元座標上の各ピクセルのRGB値を保持)を入力とし、いくつかの畳み込み層を経由して、最終層で0から1の値を出力するような構成のニューラルネットワークを使って判別を行う。ニューラルネットワークの学習の際には、画像から変換した三次元配列の情報を入力とし、業務用であるか否かを示すラベル(業務用=1、業務用でない=0とする)を出力として、各結合の重みを誤差逆伝搬法により更新する。
【0059】
自動判別部23は、対象となる画像データを学習済みネットワークである分類器に入力し、分類器の出力値yを見て、
・y<0.1であれば業務用でない画像
・y>0.9であれば業務用の画像
・0.1<=y<=0.9であればどちらとも判別できない画像
であると判定する。
【0060】
分類器の更新の際には、分類器生成部31は、手動判別された画像データから変換された三次元配列の情報を入力とし、管理者による判定結果を出力として、上記ネットワークの結合荷重の更新を誤差逆伝搬法により行い、結合荷重をモデル記憶部24に保存する。
【0061】
上述したように、本実施の形態によれば、学習済みの分類器によって業務用であるか否かを判別できない画像データについては、管理者によって業務用であるか否かが判定される。その結果、業務用でない画像データが業務用として印刷される可能性を低減することができる。
【0062】
なお、画像形成装置10は、表示制御部21、取得部22、自動判別部23及びモデル記憶部24を含んでもよい。画像形成装置10は、更に、クラウドサーバ30の機能(分類器生成部31、監視部32、通知部33及び学習データ記憶部34)を有してもよい。画像形成装置10は、更に、管理者端末40の機能(手動判別部41及び入力部42)を含んでもよい。
【0063】
また、クラウドサーバ30が、自動判別部23及びモデル記憶部24を含んでもよい。
【0064】
なお、本実施の形態において、自動判別部23は、判定部の一例である。分類器生成部31は、学習部の一例である。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
20 中継器
21 表示制御部
22 取得部
23 自動判別部
24 モデル記憶部
30 クラウドサーバ
31 分類器生成部
32 監視部
33 通知部
34 学習データ記憶部
40 管理者端末
41 手動判別部
42 入力部
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
115 NVRAM
121 印刷制御部
200 ドライブ装置
201 記録媒体
202 補助記憶装置
203 メモリ装置
204 CPU
205 インタフェース装置
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2018-207344号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8