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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131909
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20230914BHJP
   C11D 7/34 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 7/08 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 7/10 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 7/42 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20230914BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20230914BHJP
   C12N 9/50 20060101ALI20230914BHJP
   C12N 9/26 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D7/34
C11D7/08
C11D7/10
C11D7/42
C11D7/32
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/26
C11D3/20
C11D3/34
C11D3/386
C12N9/50
C12N9/26
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036921
(22)【出願日】2022-03-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 祐樹
【テーマコード(参考)】
4B050
4H003
【Fターム(参考)】
4B050CC08
4B050KK03
4B050LL04
4H003AC23
4H003BA12
4H003DA17
4H003DA19
4H003DB02
4H003DC02
4H003EA03
4H003EA07
4H003EA12
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB07
4H003EB12
4H003EB14
4H003EB22
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA28
4H003FA47
(57)【要約】
【課題】優れた洗浄性及び酵素安定性を発揮する液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、(A)成分として芳香族スルホン酸又はその塩、(B)成分としてチオ硫酸又はその塩、及び亜硫酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも一種、(C)成分として多価アルコール、(D)成分としてアミラーゼ、(E)成分してプロテアーゼ、(F)成分として水を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が4以上、1000以下であり、組成物の25℃におけるpHが6以上、8以下である液体洗浄剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として芳香族スルホン酸又はその塩、
(B)成分としてチオ硫酸又はその塩、及び亜硫酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも一種、
(C)成分として多価アルコール、
(D)成分としてアミラーゼ、
(E)成分としてプロテアーゼ、
(F)成分として水、
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が4以上、1000以下であり、組成物の25℃におけるpHが6以上、8以下である液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、キシレンスルホン酸又はその塩、トルエンスルホン酸又はその塩、及びクメンスルホン酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)成分の多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びソルビトールからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、(G)成分としてギ酸又はそのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一種の酵素安定化剤を含有する、請求項1から3の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに、(H)成分として下記の一般式(1)で表されるノニオン界面活性剤を含有する、請求項1から4の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【化1】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表し、m≧nである。)
【請求項6】
自動食器洗浄機用洗浄剤又は食器の浸漬用洗浄剤として用いられる、請求項1から5の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。具体的に本発明は、デンプン、タンパク質の汚れに対して優れた洗浄性を有し、かつ、原液、希釈液の何れにおいても酵素安定性に優れた液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校、病院、社員食堂、給食施設等の大規模な調理施設では、食器類の下膳から洗浄までに時間を要するため、デンプンやタンパク質などの汚れが固着して除去し辛くなる。このため、自動食器洗浄機を用いて洗浄を行う前に食器類を酵素を含有する浸漬用洗浄剤に浸漬して、前洗いを行うことが一般的である。
前洗い用の浸漬液や前洗い後の自動食器洗浄中の洗浄液は組成物の原液を水で希釈した希釈液を用いることが一般的であるが、希釈液中では短時間で酵素安定性が失われ、浸漬又は洗浄時に酵素活性が低下してしまうという問題があった。
【0003】
従来の酵素を含む組成物としては、特許文献1には水、タンパク質分解酵素、アニオン界面活性剤もしくはノニオン界面活性剤、水分散性酸化防止剤、及び有機親水性水溶性ポリオールからなる酵素含有液状洗剤組成物が記載されている。特許文献2にはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、デンプン分解酵素、酵素安定化剤、可溶化剤、及びpH調整剤を含有することを特徴とする前浸漬用洗浄剤組成物が記載されている。特許文献3には非イオン界面活性剤、芳香族スルホン酸又はその塩、多価アルコール、アミラーゼ、プロテアーゼを含有する中性洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55-027378号公報
【特許文献2】特開2016-011385号公報
【特許文献3】特開2018-115286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3に記載の洗浄剤組成物は何れも希釈液における酵素安定性が十分ではなかった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みなされたものである。即ち、本発明は、デンプン、タンパク質に対して優れた洗浄性を有し、原液、希釈液の何れにおいても優れた酵素安定性を示し、長期間酵素活性を維持できる液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、アミラーゼ及びプロテアーゼを含む液体洗浄剤組成物において、芳香族スルホン酸又はその塩並びにチオ硫酸又はその塩、及び亜硫酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも1種を、特定の割合で配合することにより、上記酵素の安定性が維持されることを見出した。
【0008】
即ち本発明は、
(1)(A)成分として芳香族スルホン酸又はその塩、
(B)成分としてチオ硫酸又はその塩、及び亜硫酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも一種、
(C)成分として多価アルコール、
(D)成分としてアミラーゼ、
(E)成分としてプロテアーゼ、
(F)成分として水、
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が4以上、1000以下であり、組成物の25℃におけるpHが6以上、8以下である液体洗浄剤組成物、
(2)(A)成分が、キシレンスルホン酸又はその塩、トルエンスルホン酸又はその塩、及びクメンスルホン酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、(1)の液体洗浄剤組成物、
(3)(C)成分の多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びソルビトールからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、(1)又は(2)の液体洗浄剤組成物、
(4)さらに、(G)成分としてギ酸又はそのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一種以上の酵素安定化剤を含有する、(1)から(3)の何れかの液体洗浄剤組成物、
(5)さらに、(H)成分として下記の一般式(1)で表されるノニオン界面活性剤を含有する、(1)から(4)の何れかの液体洗浄剤組成物、
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表し、m≧nである。)、及び
(6)自動食器洗浄機用洗浄剤又は食器の浸漬用洗浄剤として用いられる、(1)から(5)の何れかの液体洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体洗浄剤組成物は、デンプン、タンパク質に対する洗浄性に優れ、かつ、原液、希釈液の何れにおいても優れた酵素安定性を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分として芳香族スルホン酸又はその塩を含有する。ここでの芳香族スルホン酸としては、特に限定されないが、単環式又は二環式芳香族スルホン酸が好ましく、炭素数6以上、11以下の単環式芳香族スルホン酸がより好ましく、炭素数7以上、9以下の単環式単環式芳香族スルホン酸がさらに好ましい。具体的に、芳香族スルホン酸として、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0013】
これら芳香族スルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等が挙げられ、中でも酵素安定性の点からナトリウム塩、カリウム塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
(A)成分として、キシレンスルホン酸又はその塩、トルエンスルホン酸又はその塩、クメンスルホン酸又はその塩が好ましく、中でも貯蔵安定性の点からクメンスルホン酸塩がより好ましい。
なお、本発明の(A)成分は、洗浄剤に一般的に使用されるアニオン界面活性剤と区別される。
【0014】
これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(A)成分の配合量は特に制限されないが、貯蔵安定性、酵素安定性の点から、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、0.1質量%以上、8.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上、6.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上、4.5質量%以下がさらに好ましい。(A)成分の割合が0.1質量%未満であると貯蔵安定性が低下する場合があり、8.0質量%を超えると酵素安定性が低下する場合がある。
【0015】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)成分として、チオ硫酸又はその塩、及び亜硫酸又はその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。チオ硫酸の塩又は亜硫酸の塩として、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の液体洗浄剤組成物の(B)成分として、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸カリウムが好ましく、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸カリウムがより好ましい。
【0016】
これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(B)成分の配合量は特に制限されないが、貯蔵安定性、希釈時の酵素安定性の観点から、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、0.005質量%以上、0.9質量%以下が好ましく、0.01質量%以上、0.7質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上、0.5質量%以下がさらに好ましい。(B)成分の割合が0.005質量%未満であると希釈液の酵素の安定性が低下する場合があり、0.9質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0017】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(C)成分として多価アルコールを含有する。ここで使用する多価アルコールは、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、炭素数が2以上、44以下、水酸基の数が2以上、15以下である多価アルコールを使用することが好ましい。炭素数は、2以上、20以下がより好ましく、2以上、12以下がさらに好ましい。水酸基の数は、2以上、9以下がより好ましく、2以上、5以下がさらに好ましい。あるいは、(C)成分の多価アルコールとして、分子量が60以上、1000以下の化合物を使用することができ、分子量60以上、500以下が好ましく、60以上、300以下がより好ましい。
【0018】
(C)成分の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等が挙げられ、中でもエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ソルビトールが好ましく、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンがより好ましく、プロピレングリコールがさらに好ましい。
【0019】
これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(C)成分の配合量は特に制限されないが、酵素安定性及び貯蔵安定性の観点から、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、1.0質量%以上、50質量%以下が好ましく、15質量%以上、45質量%以下がより好ましく、25質量%以上、40質量%以下がさらに好ましい。(C)成分の割合が1質量%未満であると、原液及び希釈液の酵素の安定性が低下する場合があり、50質量%を超えるとその配合割合に見合う効果は期待できない場合がある。
【0020】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(D)成分として、アミラーゼを含有する。(D)成分として使用するアミラーゼの至適pHは、通常、6.0以上、8.0以下であり、好ましくは6.5以上、7.5以下である。また、至適温度は、通常、40℃以上、70℃以下、好ましくは55℃以上、65℃以下である。
【0021】
(D)成分のアミラーゼとしては、市販のアミラーゼ製剤を使用することができる。例えば、ノボザイムズ社製の商品名Amplify Prime 100L、Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 120T、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L、Stainzyme Plus Evity 12L、Dupont社製のPreferenz S110、Preferenz S210などが挙げられる。
【0022】
これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(D)成分の配合量は特に制限されないが、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、アミラーゼ純分で0.001質量%以上、5.0質量%以下であることが好ましく、0.003質量%以上、2.0質量%以下であることがより好ましく、0.005質量%以上、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。(D)成分の割合が、0.001質量%未満であるとデンプン汚れに対する洗浄性が低下する場合があり、5.0質量%より多く配合してもそれに見合う効果が得られない場合がある。
【0023】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(E)成分として、プロテアーゼを含有する。(E)成分として使用するプロテアーゼの至適pHは、通常、6.0以上、9.0以下であり、好ましくは6.5以上、8.0以下である。至適温度は、通常、40℃以上、70℃以下でで、好ましくは55℃以上、65℃以下である。
【0024】
(E)成分としては、市販のプロテアーゼ製剤を使用することができる。例えば、ノボザイムズ社製のSavinase 16L、Savinase Evity 16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Blaze Evity 16L、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8.0L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Liquanase Evity 3.5L、Coronase 48Lや、DuPont社製のExcellenz P1000、Excellenz P1250、Effectenz P100、Effectenz P150、Effectenz P200、Effectenz P3000、Preferenz P100、Preferenz P200、Preferenz P300などが挙げられる。
【0025】
これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(E)成分の配合量は特に制限されないが、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、プロテアーゼ純分で0.001質量%以上、5.0質量%以下であることが好ましく、0.003質量%以上、2.0質量%以下であることがより好ましく、0.005質量%以上、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。(E)成分の割合が、0.001質量%未満であるとタンパク質汚れに対する洗浄性が低下する場合があり、5.0質量%より大きくなると酵素安定性が低下する場合がある。
【0026】
本発明の液体洗浄剤組成物では、(F)成分として、水を配合する。(F)成分としての水として、水道水、軟水化処理水、純水、RO水、イオン交換水、蒸留水を用いることができる。経済性の点から、水道水が好ましい。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。水は、液体洗浄剤組成物全体が100質量%となるように配合(必要に応じて後述する(G)成分、(H)成分及び任意成分を配合する場合、これらを含めて全体が100質量%となるように配合)されるものである。
【0027】
本発明の液体洗浄剤組成物において、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が4以上、1000以下であることを要する。また、(A)/(B)の値は、4以上、300以下であることが好ましく、10以上、150以下であることがより好ましい。
(A)/(B)の値が4未満である場合は、貯蔵安定性が悪くなる場合がある。また、(A)/(B)の値が1000よりも大きいと、本発明の液体洗浄剤組成物の原液及び希釈液における酵素安定性が悪くなる場合がある。
【0028】
本発明の液体洗浄剤組成物では、さらに(G)成分として酵素安定化剤を含有することができる。(G)成分として、公知の酵素安定剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、ホウ酸又はそのアルカリ金属塩、ギ酸又はそのアルカリ金属塩、グリシン、リジン、ロイシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸が挙げられる。
これらの中でも、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、グリシン、アスパラギン酸が好ましく、酢酸カルシウム、グリシン、ギ酸ナトリウムがより好ましい。
【0029】
これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(G)成分の配合量は特に制限されないが、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、0.001質量%以上、5質量%以下であることが好ましく、0.003質量%以上、4質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上、2質量%以下であることが特に好ましい。(G)成分の濃度が0.001質量%未満であると、酵素安定化剤として十分に機能しない場合があり、5質量%より多く配合すると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0030】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(H)成分として、下記の一般式(1)で表されるノニオン界面活性剤を含有することができる。
【0031】
【化2】
【0032】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表し、m≧nである。)
【0033】
一般式(1)において、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表す。アルキル基としては、飽和、不飽和、直鎖、分岐の何れのアルキル基でもよく、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等の第1級アルキル基、第2級アルキル基が挙げられる。これらの中でも洗浄性と抑泡性の点から、Rは、炭素数12~14のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖1級アルキル基がより好ましい。
【0034】
一般式(1)において、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表す。mは、一般式(1)中のオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、3以上、8以下の数であることが好ましい。nは、一般式(1)中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、1~6の数であることが好ましい。
【0035】
本発明の液剤洗浄剤組成物は、(H)成分を単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(H)成分の配合量は特に制限されないが、油脂汚れに対する洗浄性と貯蔵安定性の観点から、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、0.1質量%以上、5.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上、4.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、3.0質量%以下であることがさらに好ましい。(H)成分の濃度が0.1質量%未満であると油脂汚れに対する洗浄性が低下する場合があり、5.0質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0036】
本発明の液体洗浄剤組成物のpHは、原液及び希釈液において、25℃で6.0~8.0である。pHが6未満もしくは8を超えると、原液及び希釈液において何れも酵素安定性が低下する。
【0037】
本発明の液体洗浄剤組成物のpHを調整するため、pH調整剤を使用することができる。pH調整剤としては、25℃のpHが6未満の場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。また、pHが8を超える場合、塩酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸、ホスホノブタントリカルボン酸、リン酸などが挙げられるが、好ましくは、塩酸である。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0038】
本発明の液体洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ当該技術分野で通常使用される他の成分を含有していてもよい。このような成分としては、高分子分散剤、増粘剤、殺菌剤、香料、色素等が挙げられる。
【0039】
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸型共重合体、マレイン酸型共重合体、メタクリル酸型共重合体、アクリル酸-スルホン酸型モノマー共重合体等が挙げられる。
高分子分散剤の配合量は特に限定されないが、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、0.01質量%~10質量%で配合させることが好ましい。
【0040】
増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
増粘剤の配合量は特に限定されないが、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、0.01質量%~10質量%で配合させることが好ましい。
【0041】
殺菌剤としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、N-n-ブチル-ベンズイソチアゾリン-3-オン等のチアゾリン類、1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、1又は3-モノメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、ジメチルヒダントイン、1、3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1、3-ジクロロエチルメチルヒダントイン等のヒダントイン類、アルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。
殺菌剤の配合量は特に限定されないが、液体洗浄剤組成物の原液全量に対し、0.001質量%~5質量%で配合させることが好ましい。
【0042】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。
また、色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
本発明の液体洗浄剤組成物は、食器類の洗浄に使用することができる。
食器類として、皿、椀、コップ等の食器、包丁、鍋、フライパン、やかん、まな板等の調理器具、瓶、タッパー等の保存容器等が挙げられるがこれらに限定されない。
食器類の材質として、プラスチック類(シリコーン樹脂等も含む)、ガラス、金属、木等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明の液体洗浄剤組成物を用いて食器類を洗浄する方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)前記液体洗浄剤組成物の原液をスポンジなどの可撓性道具に、任意に水と共に含ませて、食器類表面に前記洗浄剤組成物を接触させて洗浄する方法、(2)上記液体洗浄剤組成物を水で希釈して浸漬液を作成し、そこに食器を浸漬し、一定時間経過後に前記食器をスポンジなどの可撓性材料を用いて浸漬液を水で洗い流すか、又は自動食器洗浄機で再度洗浄する方法、(3)前記液体洗浄剤組成物の原液を自動食器洗浄機に投入し、さらに水で希釈して、自動食器洗浄機にて食器類を洗浄する方法などが挙げられる。
【0045】
上記(2)又は(3)のように、本発明の液体洗浄剤組成物を水で希釈して使用する場合、液体洗浄剤組成物の原液の濃度が希釈液全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下となるように調整する。
【0046】
本発明の液体洗浄剤組成物が原液であるとき、当該原液は、その全量に対して、(A)成分を好ましくは0.1質量%以上、8.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上、6.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上、4.5質量%以下で含有し、(B)成分を好ましくは0.005質量%以上、0.9質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、0.7質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上、0.5質量%以下で含有し、(C)成分を好ましくは1.0質量%以上、50質量%以下、より好ましくは15質量%以上、45質量%以下、さらに好ましくは、25質量%以上、40質量以下で含有し、(D)成分をアミラーゼ純分で好ましくは0.001質量%以上、5.0質量%、より好ましくは0.003質量%以上、2.0質量%、さらに好ましくは0.005質量%以上、1.0質量%以下で含有し、(E)成分をプロテアーゼ純分で好ましくは0.001質量%以上、5.0質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、2.0質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以上、1.0質量%以下で含有する。
【0047】
本発明の液体洗浄剤組成物が原液であるとき、当該原液は、その全量に対して、(G)成分を0.001質量%以上、5質量%以下、好ましくは0.003質量%以上、4質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、2質量%以下で含有してもよい。
本発明の液体洗浄剤組成物が原液であるとき、当該原液は、その全量に対して、(H)成分を0.1質量%以上、5.0質量%以下、好ましくは0.2質量%以上、4.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上、3.0質量%以下で含有することができる。
【0048】
上記(1)~(3)の方法で水は、本発明の液体洗浄剤組成物の(F)成分で使用する水と同様の水を用いることができ、水道水を用いることが好ましい。
上記(2)の方法における浸漬液の温度は、好ましくは65℃未満、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは55℃以下、そして、好ましくは25℃以上である。
食器類を浸漬させる時間は特に限定されないが、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、さらに好ましくは5分以上であり、好ましくは12時間以下、より好ましくは3時間以下、さらに好ましくは30分以下である。
【実施例0049】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示す。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載がない限り質量%を表し、表中における実施例及び比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。実施例、比較例において使用した化合物を以下に記す。
【0050】
(A)成分
A-1:クメンスルホン酸ナトリウム
A-2:キシレンスルホン酸ナトリウム
A-3:パラトルエンスルホン酸ナトリウム
【0051】
(B)成分
B-1:チオ硫酸ナトリウム
B-2:チオ硫酸カリウム
B-3:亜硫酸ナトリウム
【0052】
(B)成分の比較成分
B′-1:ピロ亜硫酸ナトリウム
【0053】
(C)成分
C-1:プロピレングリコール
C-2:ヘキシレングリコール
C-3:グリセリン
【0054】
(D)成分
D-1:アミラーゼ1(商品名:Amplify Prime 100L、ノボザイムズ社製)
D-2:アミラーゼ2(商品名:Preferenz S210、DuPont社製)
D-3:アミラーゼ3(商品名:Termamyl Ultra 300L、ノボザイムズ社製)
【0055】
(E)成分
E-1:プロテアーゼ1(商品名:SavinaseEvity 16L、ノボザイムズ社製)
E-2:プロテアーゼ2(商品名:Excellenz P1250、DuPont社製)
E-3:プロテアーゼ3(商品名:Excellenz P100、DuPont社製)
【0056】
(F)成分
F-1:イオン交換水
【0057】
(G)成分
G-1:ギ酸ナトリウム
G-2:グリシン
G-3:酢酸カルシウム
【0058】
(H)成分
H-1:ポリオキシエチレン(EO8モル)ポリオキシプロピレン(PO3モル)ラウリルエーテル
H-2:ポリオキシエチレン(EO5モル)ポリオキシプロピレン(PO3モル)トリデシルエーテル
H-3:ポリオキシエチレン(EO3モル)ポリオキシプロピレン(PO3モル)トリデシルエーテル
【0059】
(I)その他成分
I-1:グルコン酸ナトリウム
I-2:塩酸
I-3:トリエタノールアミン
【0060】
各実施例の組成物は、(F)成分の水を組成物の合計が100質量%となるように混合槽に加え、次いで(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分(必要に応じて(G)成分、(H)成分、(I)成分)を混合槽中に配合し、十分に混合撹拌して調製した。
【0061】
実施例1~40、比較例1~10
表1~表5に示す液体洗浄剤組成物を調製した。各液体洗浄剤組成物を用いて、pH、洗浄性、酵素安定性、貯蔵安定性を測定した。表1~4に実施例1~40の結果を、表5に比較例1~10の結果をそれぞれ示す。
【0062】
※1:pHの測定方法
pHメーター(HORIBA製;pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製;ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を入れる。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。
次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。
各液体洗浄剤組成物を100mLビーカーに充填し、恒温槽内にて25℃に調整した。恒温に調整された試料にpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
なお、下記の表は、液体洗浄剤組成物の原液のpHの値を示す。
【0063】
※2:洗浄性試験(デンプン汚れ)
<被洗浄物>
米デンプン汚れ(7.1%米デンプン水溶液を100℃で15分加熱したもの)を150×150mmのガラスパネルにコーティングロッドを用いて均一に塗布し、室温で乾燥させたものを試験片とした。
<試験方法>
上記の方法で調整した試験片を、0.05質量%に希釈した液体洗浄剤組成物の5L溶液中に5分間浸漬した。その後、以下の条件で自動食器洗浄機を用いた洗浄を行い、試験片を流水で軽くすすいだ後、室温にて乾燥させた。乾燥後、0.1質量%よう素液を試験片全体に振りかけ、よう素呈色した着色部分の割合を画像解析ソフトを用いて算出し、以下の基準で評価した。
【0064】
<洗浄機条件>
使用洗浄機:SANYO製自動食器洗浄機(DW-DR62)
洗浄温度:60℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤:ディッシュパワー(ADEKAクリーンエイド社製)
洗浄剤濃度:0.2質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
<評価基準>
◎:洗浄率100%~80%以上
○:洗浄率80%未満~60%以上
△:洗浄率60%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0065】
※3:洗浄性試験(タンパク質汚れ)
<被洗浄物>
5質量%の卵黄水溶液を150×150mmのガラスパネルにコーティングロットを用いて均一に塗布し、室温で乾燥後、100℃で30秒間加温し、変性させたものを浄試験片とした。
<試験方法>
上記の方法で調整した試験片を、0.05質量%に希釈した液体洗浄剤組成物の5L溶液中に5分間浸漬した。その後、以下の条件で自動食器洗浄機を用いた洗浄を行い、試験片を流水で軽くすすいだ後、室温にて乾燥させた。乾燥後、0.1質量%アミドブラック液を試験片全体に振りかけ、呈色した着色部分の割合を画像解析ソフトを用いて算出し、以下の基準で評価した。
【0066】
<洗浄機条件>
使用洗浄機:SANYO製自動食器洗浄機(DW-DR62)
洗浄温度:60℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤:ディッシュパワー(ADEKAクリーンエイド社製)
洗浄剤濃度:0.2質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
<評価基準>
◎:洗浄率100% ~70%以上
○:洗浄率70%未満~55%以上
△:洗浄率55%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0067】
※4:原液の酵素安定性試験(アミラーゼ)
<アミラーゼ活性測定>
本試験では各液体洗浄剤組成物原液の、調整時と40℃、30日間保存後のアミラーゼ活性を測定した。各液体洗浄剤組成物原液は測定時に蒸留水で0.1質量%に希釈し、その希釈液0.05mLと0.1質量%可溶性デンプン水溶液0.5mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、ヨウ素試薬0.5mLと蒸留水2mLを添加した。分光光度計(SHIMADZU UV-1800)を用いて、得られた反応液の620nmにおける吸光度を測定した。試料溶液1mLが60℃、1分間の反応でデンプンを分解する酵素の活力(アミラーゼ活性)を1単位として力価を求めた。液体洗浄剤組成物調整時のアミラーゼ活性を初期活性値として、40℃、30日間保存後の液体洗浄剤組成物のアミラーゼ活性の力価より、アミラーゼ活性の残存率を求めた。
<評価基準>
◎:初期活性値の90%以上、100%以下
○:初期活性値の75%以上、90%未満
△:初期活性値の50%以上、75%未満
×:初期活性値の0%以上、50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0068】
※5:希釈液の酵素安定性試験(アミラーゼ)
<アミラーゼ活性測定>
本試験では各液体洗浄剤組成物を0.1質量%に希釈した希釈液の、調整時と40℃、60分間保存後のアミラーゼ活性を測定した。各液体洗浄剤組成物の希釈液0.05mLと0.1質量%可溶性デンプン水溶液0.5mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、ヨウ素試薬0.5mLと蒸留水2mLを添加した。分光光度計(SHIMADZU UV-1800)を用いて、得られた反応液の620nmにおける吸光度を測定した。試料溶液1mLが60℃、1分間の反応でデンプンを分解する酵素の活力(アミラーゼ活性)を1単位として力価を求めた。希釈液調整時のアミラーゼ活性を初期活性値として、40℃、60分間保存後の希釈液のアミラーゼ活性の力価より、アミラーゼ活性の残存率を求めた。
<評価基準>
◎:初期活性値の90%以上、100%以下
○:初期活性値の75%以上、90%未満
△:初期活性値の50%以上、75%未満
×:初期活性値の0%以上、50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0069】
※6:原液の酵素安定性試験(プロテアーゼ)
<プロテアーゼ活性測定>
本試験では各液体洗浄剤組成物原液の、調整時と40℃、30日間保存後のプロテアーゼ活性を測定した。各液体洗浄剤組成物原液は測定時にpH7.0の酢酸緩衝液で0.1質量%に希釈し、その希釈液0.2mLと0.6質量%カゼイン水溶液1mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、タンパク質沈殿試薬(TCA混液)1mLを添加して30℃で30分間放置した。放置後、得られた水溶液をろ過し、このろ液1mLに0.55MのNaCO水溶液2.5mL、および蒸留水で3倍希釈したFolin試薬0.5mLを添加し30℃、30分間反応させた。分光光度計(SHIMADZU UV-1800)を用いて、得られた反応液の660nmにおける吸光度を測定し、60℃、1分間にこの反応液全体で1γのL-チロジンの呈するFolin呈色度を与えるプロテアーゼ活性を1単位として力価を求めた。液体洗浄剤組成物調整時のプロテアーゼ活性を初期活性値として、40℃、30日間保存後の液体洗浄剤組成物のプロテアーゼ活性の力価より、プロテアーゼ活性の残存率を求めた。
<評価基準>
◎:初期活性値の90%以上、100%以下
○:初期活性値の75%以上、90%未満
△:初期活性値の50%以上、75%未満
×:初期活性値の0%以上、50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0070】
※7:希釈液の酵素安定性試験(プロテアーゼ)
<プロテアーゼ活性測定>
本試験では各液体洗浄剤組成物を0.1質量%に希釈した希釈液の、調整時と40℃、60分間保存後のプロテアーゼ活性を測定した。各液体洗浄剤組成物の希釈液0.2mLと0.6質量%カゼイン水溶液1mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、タンパク質沈殿試薬(TCA混液)1mLを添加して30℃で30分間放置した。放置後、得られた水溶液をろ過し、このろ液1mLに0.55MのNaCO水溶液2.5mL、および蒸留水で3倍希釈したFolin試薬0.5mLを添加し30℃、30分間反応させた。分光光度計(SHIMADZU UV-1800)を用いて、得られた反応液の660nmにおける吸光度を測定し、60℃、1分間にこの反応液全体で1γのL-チロジンの呈するFolin呈色度を与えるプロテアーゼ活性を1単位として力価を求めた。希釈液調整時のプロテアーゼ活性を初期活性値として、40℃、60分間保存後の希釈液のプロテアーゼ活性の力価より、プロテアーゼ活性の残存率を求めた。
【0071】
※8:貯蔵安定性試験
試験方法:
各液体洗浄剤組成物100gをポリプロピレン製容器に入れ、-5℃、25℃、40℃で1ヶ月静置した後に外観を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準:
○:分離や濁りが見られず安定である
△:全体的な分離はないが、若干の濁りが見られる
×:分離もしくは濁りが見られる
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0072】
※9:洗浄性試験(油脂汚れ)
<被洗浄物>
米デンプン水溶液(20質量%米デンプン水溶液を80℃で3分加熱したもの)に、100℃で加熱し溶解した牛脂20gを加えよく攪拌し53℃まで冷ました後、卵黄10gを加えて攪拌したものを汚れとした。この汚れを15cm×15cmの塩化ビニル製の黒色プレートに、コーティングロッドを用いて均一に塗布し、室温で乾燥させて試験片とした。
<試験方法>
上記の方法で調整した試験片1枚を洗浄ラックに設置し、以下に記載の洗浄条件にて洗浄後、流水で軽くすすいだ。洗浄すすぎ後の試験片の汚れ残留部分を5mm四方の碁盤目上にスケッチし、清浄な碁盤目を数え、その清浄面積率を洗浄率とし、以下の基準で評価した。
【0073】
<洗浄条件>
使用洗浄機:ホシザキ製自動食器洗浄機(機種JWE-680)
洗浄温度:64℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤濃度:0.07質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
<評価基準>
◎:洗浄率が50%以上、100%以下
○:洗浄率が30%以上、50%未満
△:洗浄率が10%以上、30%未満
×:洗浄率が0%以上、10%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
即ち本発明は、
液体洗浄剤組成物であって、
(1)(A)成分として、クメンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム及びパラトルエンスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一種を液体洗浄剤組成物全量に対して0.1~7.5質量%
(B)成分として、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸カリウムからなる群より選択される少なくとも一種を液体洗浄剤組成物全量に対して0.008~0.8質量%
(C)成分として、プロピレングリコール、へキシレングリコール及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも一種
(D)成分としてアミラーゼ、
(E)成分としてプロテアーゼ、
(F)成分として水、
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が4以上、1000以下であり、組成物の25℃におけるpHが6以上、8以下であり、自動食器洗浄機用洗浄剤又は食器の浸漬用洗浄剤として用いられる液体洗浄剤組成物
)さらに、(G)成分としてギ酸又はそのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一種以上の酵素安定化剤を含有する、(1)の液体洗浄剤組成物、
)さらに、(H)成分として下記の一般式(1)で表されるノニオン界面活性剤を含有する、(1)又は(2)の液体洗浄剤組成物である
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表し、m≧nである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
実施例1~40、比較例1~10
表1~表5に示す液体洗浄剤組成物を調製した。各液体洗浄剤組成物を用いて、pH、洗浄性、酵素安定性、貯蔵安定性を測定した。表1~4に実施例1~40の結果を、表5に比較例1~10の結果をそれぞれ示す。
なお、実施例10は参考例である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗浄剤組成物であって、
(A)成分として、クメンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム及びパラトルエンスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一種を液体洗浄剤組成物全量に対して0.1~7.5質量%
(B)成分として、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸カリウムからなる群より選択される少なくとも一種を液体洗浄剤組成物全量に対して0.008~0.8質量%
(C)成分として、プロピレングリコール、へキシレングリコール及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも一種
(D)成分としてアミラーゼ、
(E)成分としてプロテアーゼ、
(F)成分として水、
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が4以上、1000以下であり、組成物の25℃におけるpHが6以上、8以下であり、自動食器洗浄機用洗浄剤又は食器の浸漬用洗浄剤として用いられる液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、(G)成分としてギ酸又はそのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一種の酵素安定化剤を含有する、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
さらに、(H)成分として下記の一般式(1)で表されるノニオン界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物。
【化1】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表し、m≧nである。)