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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131973
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液晶組成物及び液晶素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/52 20060101AFI20230914BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20230914BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20230914BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20230914BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20230914BHJP
   C09K 19/24 20060101ALI20230914BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20230914BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20230914BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20230914BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230914BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
C09K19/52
C09K19/30
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/24
C09K19/20
C09K19/32
C09K19/38
G02F1/13 500
G02F1/137
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037023
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】野呂 大樹
(72)【発明者】
【氏名】幡野 直美
(72)【発明者】
【氏名】間宮 純一
【テーマコード(参考)】
2H088
4H027
【Fターム(参考)】
2H088GA02
2H088GA13
2H088JA06
2H088KA26
2H088KA27
2H088MA02
2H088MA20
4H027BD02
4H027BD03
4H027BD07
4H027BD10
4H027BD24
4H027BE04
4H027CD04
4H027CG04
4H027CK05
4H027CL04
4H027CM01
4H027CM04
4H027CQ01
4H027CQ04
4H027CR04
4H027CS04
4H027CT02
4H027CT04
4H027CU01
4H027CU04
4H027CW01
4H027CW02
4H027DL02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大きな二色比、高いコントラスト、色素化合物と液晶組成物との高い溶解性、優れた耐光性、優れた耐熱性を示す色素化合物含有液晶組成物を提供する。
【解決手段】本願発明は下記の一般式(1)

で表される色素化合物、及び一般式(II)

で表される化合物を含有する液晶組成物からなる色素化合物含有液晶組成物及び当該色素化合物含有液晶組成物を使用した液晶表示素子又は調光素子を提供する。本発明により提供される色素化合物含有液晶組成物は、色素化合物の溶解性とその保持に優れ、さらに優れた二色比及び耐光性を併せ持つ。当該色素化合物含有液晶組成物を構成部材として用いる事により、高いコントラストを備えた液晶表示素子又は調光素子を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、Uは一般式(2)又は(3)
【化2】
で表される基から選択されるいずれか一つの基であり、
、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-NR-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRは水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-NR-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRは水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
、X及びXはそれぞれ独立して-S-又は-O-を表し、
、A、A、A、A及びAは各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表し、
、Z、Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-、-COO-、-OCO-、-CHCH-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表し、
i、j、a、b、c及びdはそれぞれ独立して0~4の整数を表し、
、A、A、A、A及びAが複数存在する場合は複数のA、A、A、A、A及びAは同一であっても異なっていても良く、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZが複数存在する場合は複数のZ、Z、Z、Z、Z、Z及びZは同一であっても異なっていても良く、複数のRが存在する場合は複数のRは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物の1種又は2種以上と、一般式(II)
【化3】
(一般式(II)中、
II1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
II1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
II1は単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
II1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、また、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
II1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数のAII1及び複数のZII1はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物の1種又は2種以上を含む液晶組成物とからなる、色素化合物含有液晶組成物。
【請求項2】
一般式(1)において、A、A、A、A、A及びAがそれぞれ独立して
(a)1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-又は-S-に置き換えられても良く、この基中に存在する1個のCH又は隣接していない2個以上のCHはNに置き換えられても良い。)
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4-シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基(これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、また、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基又はフェナントレン-2,7-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,4-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されていても良く、
は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基を表すが、酸素原子同士が直接結合することはなく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良い、請求項1に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項3】
一般式(II)で表される化合物として、一般式(L)
【化4】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
L1は0、1、2又は3を表し、
L1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
L1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
L1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。
ただし一般式(M)および(K)で表される化合物、並びに一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物を除く。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を含有する、請求項1又は2に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項4】
一般式(II)で表される化合物として、一般式(M)及び一般式(K)
【化5】
(式中、RM1及びRK1は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
M1及びnK1は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4を表し、
M1及びAM2並びにAK1及びAK2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-又は-S-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
M1及びZM2並びにZK1及びZK2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-OCF-、-CFO-、-COO-、-OCO-又は-C≡C-を表し、
一般式(M)においてnM1が2、3又は4であってAM2およびZM1がそれぞれ複数存在する場合は、複数のAM2およびZM1はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、
一般式(K)においてnK1が2、3又は4であってAK2およびZK1がそれぞれ複数存在する場合は、複数のAK2およびZK1はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、
M1及びXM3並びにXK1及びXK3は、それぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
M2及びXK2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエチル基を表す。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項5】
一般式(II)で表される化合物として、一般式(N-1)から一般式(N-3)
【化6】
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
N31は-CH-又は酸素原子を表し、
N11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0~3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、
N11からAN32、ZN11からZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。ただし、一般式(N-2)及び一般式(N-3)において一般式(N-1)で表される化合物は除き、また、一般式(N-3)において一般式(N-2)で表される化合物は除く。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項6】
一般式(L)で表される化合物として、一般式(L-1A)
【化7】
(上記一般式(L-1A)中、Ri1A及びRi2Aはそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよいが、Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方は、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-がそれぞれ独立して-CH=CH-に置換されている。)、
一般式(L-1B)
【化8】
(式中、RL11B及びRL12Bはそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)、
一般式(L-2)
【化9】
(式中、RL21及びRL22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)、
一般式(L-3)
【化10】
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)、
一般式(L-4)
【化11】
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)、
一般式(L-5)
【化12】
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)、
一般式(L-6)
【化13】
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。ただし一般式(N-1)で表される化合物は除く。)、及び
一般式(L-7)
【化14】
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。ただし一般式(N-1)から(N-3)で表される化合物は除く。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を含有する、請求項3から5のいずれか一項に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項7】
前記一般式(1)の含有量の総量が、前記液晶組成物の総量に対して0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項8】
光安定化剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項9】
重合性化合物を1種又は2種以上含有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の色素化合物含有液晶組成物。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の色素化合物含有液晶組成物を使用した液晶表示素子または調光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素化合物含有液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子または調光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に光の透過を調節する調光素子は、窓に設置することで二次電池で駆動する電気自動車やビルなどの建築物内装、外装向け等に利用が検討されている。このような窓はスマートウィンドウと呼ばれ、適用可能な調光素子としては二色性色素を添加した液晶(ゲストホスト液晶、以下GH液晶)方式、セル内にポリマーネットワークを有する液晶方式、エレクトロクロミズムを用いた方式などが知られている。この中でもGH液晶方式は高速に光の透過、不透過を切り替えることができると共に偏光板が不要になることから、低コストで透過率の高い調光素子が実現できるものとして期待されている。
【0003】
GH液晶組成物については古くから検討されており、有用な素子性能(例えば、大きな二色比、高いコントラスト、液晶組成物との高い溶解性、優れた耐光性、優れた耐熱性)を有する液晶表示素子や調光素子を開発する試みが行われてきた(特許文献1~4)。
【0004】
しかし、GH液晶組成物においては、その構成する成分によって、液晶表示素子や調光素子への使用に適さないものがあり、更なる性能の向上が求められている。例えば、大きな二色比を得るためには、二色性色素を多量に液晶組成物に含有させる必要があり、二色性色素や液晶化合物が析出してしまう組成物溶解性の問題がある。特に、調光素子として利用するためには、広い温度範囲でネマチック液晶相を呈しなければならないが、色素の分子量は液晶化合物と比べて大きいため、低温での溶解性に課題がある。
【0005】
上記のような課題を解決するためには、ホストとなる液晶組成物と二色性色素との組み合わせが重要となる。特に、高いコントラストを実現するためには二色性色素が大きな二色比を示すことに加え、ホスト液晶への高い溶解性を示す必要がある。
【0006】
これまでに多くの二色性色素が検討されてきたが、大きな二色比を示す化合物は概して大きなメソゲンを有することが多く、ホスト液晶への溶解性に乏しいものがほとんどであり、更なる改良が求められている。例えば、色素化合物として下記のような化合物が報告されているが(特許文献5)、これらの化合物も大きな二色比、高い溶解性と高い耐光性を併せ持つには至っていない。
【0007】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開2017/038616号パンフレット
【特許文献2】特開2019-85581号公報
【特許文献3】国際公開2018/078968号パンフレット
【特許文献4】特表2017-513975号公報
【特許文献5】中国特許出願公開第109369684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、大きな二色比、高いコントラスト、色素化合物と液晶組成物との高い溶解性、優れた耐光性、優れた耐熱性を示す色素化合物含有液晶組成物を提供することである。特に、色素化合物の溶解性とその保持に優れ、二色比及び耐光性が良好な色素化合物含有液晶組成物を提供し、併せて当該色素化合物含有液晶組成物を構成部材とする液晶表示素子又は調光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本願発明者らは種々の検討を行った結果、色素化合物として一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、Uは一般式(2)又は(3)
【0013】
【化3】
【0014】
で表される基から選択されるいずれか一つの基であり、
、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-NR-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRは水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-NR-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRは水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
、X及びXはそれぞれ独立して-S-又は-O-を表し、
、A、A、A、A及びAは各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表し、
、Z、Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-、-COO-、-OCO-、-CHCH-、-CFCF-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表し、
i、j、a、b、c及びdはそれぞれ独立して0~4の整数を表し、
、A、A、A、A及びAが複数存在する場合は複数のA、A、A、A、A及びAは同一であっても異なっていても良く、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZが複数存在する場合は複数のZ、Z、Z、Z、Z、Z及びZは同一であっても異なっていても良く、複数のRが存在する場合は複数のRは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物の1種又は2種以上と、一般式(II)
【0015】
【化4】
【0016】
(一般式(II)中、
II1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
II1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
II1は単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
II1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、また、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
II1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数のAII1及び複数のZII1はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物の1種又は2種以上を含む液晶組成物とからなる色素化合物含有液晶組成物を提供し、併せて当該色素化合物含有液晶組成物を用いた液晶表示素子又は調光素子を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により提供される、一般式(1)で表される色素化合物及び一般式(II)で表される化合物を含む色素化合物含有液晶組成物は、色素化合物の溶解性とその保持に優れ、さらに優れた二色比及び耐光性を併せ持つ。加えて、当該色素化合物含有液晶組成物を構成部材として用いる事により、高いコントラストを備えた液晶表示素子又は調光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<色素化合物>
色素化合物である一般式(1)において、Uは二色比を大きくするためには一般式(3)で表される構造であることが好ましく、耐光性及びホスト液晶への溶解性を重視する場合は一般式(2)で表される構造であることが好ましい。
一般式(1)において、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立してフッ素原子、シアノ基、炭素原子数2から20のアルキル基又は炭素原子数2から20のアルケニル基を表すことが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO--SO-、-SO-により置き換えられていることも好ましい。ホスト液晶への溶解性を高くするためにはそれぞれ独立して炭素原子数1から20のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1から20の非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数4から20の非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基であることがさらに好ましく、炭素原子数4から20の非置換の分岐アルキル基であることが特に好ましい。高い二色比を示すためには、Rは直鎖状の炭素原子数1から5のアルキル基又はフッ素化アルキル基であることが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-CO-、-COO-又は-OCO-により置き換えられていることが好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基であることが特に好ましい。吸収波長を長波長化するためには、Rはフッ素原子、シアノ基、チオエーテル基、アルキルスルホニル基、N,N-ジアルキルスルホンアミド基、アルキルアシル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアルキルオキシカルボニル基であることが好ましい。
一般式(1)において、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数2から20のアルキル基又は炭素原子数2から20のアルケニル基を表すことが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO-により置き換えられていることも好ましい。ホスト液晶への溶解性を高くするためにはそれぞれ独立して炭素原子数1から20のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1から20の非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数4から20の非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基であることがさらに好ましく、炭素原子数4から20の非置換の分岐アルキル基であることが特に好ましい。一方、高い二色比及び製造の容易さの観点からは水素原子であることが好ましい。吸収波長を長波長化するためには、アルキルスルホニル基、N,N-ジアルキルスルホンアミド基、アルキルアシル基であることが好ましい。
一般式(1)において、X、X及びXはそれぞれ独立して-S-又は-O-を表すが、溶解性及び吸収波長を長波長化する観点からは-S-であることが好ましく、二色比、耐光性及び製造の容易さの観点からは-O-であることが好ましい。
一般式(1)において、A、A、A、A、A及びAは各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環であることが好ましい。ここで、炭化水素環は脂肪族環でも芳香環でも良く、環上に置換基を有していても良い。また、複素環は脂肪族環でも芳香環でも良く、環構造を構成する元素に少なくとも1つのヘテロ元素を含み、環上に置換基を有していても良い。ここで、A、A、A、A、A及びAはそれぞれ独立して
(a)1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-又は-S-に置き換えられても良く、この基中に存在する1個のCH又は隣接していない2個以上のCHはNに置き換えられても良い。)
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4-シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基(これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、また、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基又はフェナントレン-2,7-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,4-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表すことが好ましく、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されていることも好ましい。
は各々独立して各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基であることが好ましく、各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、チオイソシアノ基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はアセチル基であることがさらに好ましい。
また、A、A、A、A、A及びAの好ましい構造として、
【0019】
【化5】
【0020】
から選ばれる基を表すことが好ましい。ここで、Rはそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、2-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子又は塩素原子を表すことが好ましい。具体的には、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、無置換の1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2-アルキル-1,4-フェニレン基、3-アルキル-1,4-フェニレン基、無置換のチオフェン-2,5-ジイル基、無置換のチオフェン-2,4-ジイル基、4-アルキル-チオフェン-2,5-ジイル基又は5-アルキル-チオフェン-2,4-ジイル基であることが好ましい。この時、A及びAがそれぞれ複数存在する時は、複数のA及びAがそれぞれ異なる構造を示すことが好ましい。二色比を大きくするためには、無置換の1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、無置換のチオフェン-2,5-ジイル基、無置換のチオフェン-2,4-ジイル基、無置換のナフタレン-2,6-ジイル基、無置換のナフタレン-1,4-ジイル基又は無置換のチエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基であることが好ましい。吸収波長を長波長化させるためには、電子供与性の環であることが好ましく、特にチオフェン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,4-ジイル基チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基又はピペリジン-1,4-ジイル基であることが好ましい。また、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、フッ素原子又は塩素原子を表すことが好ましく、メチル基、エチル基又はフッ素原子であることが更に好ましい。吸収波長を長波長化するためには、Rは電子供与性の置換基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が更に好ましく、メトキシ基、エトキシ基又はジメチルアミノ基であることが特に好ましい。
一般式(1)において、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して-CHCH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表すことが好ましい。また、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、-CHO-、-OCH-、-CHCH-又は単結合であることが好ましく、-CHCH-又は単結合であることがさらに好ましい。二色比を大きくするためには、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合であることが好ましく、-CH=CH-、-N=N-、-C≡C-又は単結合であることがさらに好ましい。高い耐光性を示すためには単結合であることが好ましい。
一般式(1)において、i、j、a、b、c及びdはそれぞれ独立して0~3の整数を表すことが好ましく、溶解性の観点からは1~2の整数を表すことがより好ましい。また、i、j、c及びdがそれぞれ独立して1~3の整数を表すことが、高い二色比及び吸収波長の長波長化の観点から好ましい。二色比を大きくするためには、a及びbはそれぞれ独立して0又は1であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
【0021】
なお、一般式(1)において、化合物の安定性の観点から、酸素原子同士、及び/又は酸素原子と硫黄原子とが直接結合することはないことが好ましい。
【0022】
一般式(1)で表される化合物は、構造中にUで表される骨格を有すると共に、その構造上にR、R、R、R及びRで表されるアルキル基等を有することで液晶組成物への高い溶解性を示す。特に、構造中にA、A、A、A、A及びAで表される環構造を有する場合、化合物全体が棒状構造に近づくため、液晶組成物への溶解性が向上すると共に、色素として用いた場合の二色性を高めることが出来る。とりわけ、これらの環が芳香環である場合、分子全体にπ電子の共役系が広がるため、光吸収波長の長波長化に対して有効である。
【0023】
一般式(1)で表される化合物は、以下の式(1-A)~(1-D)
【0024】
【化6】
【0025】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、i、j、a、b、c及びdはそれぞれ一般式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、i、j、a、b、c及びdと同じ意味を表す。)で表されることが好ましい。
【0026】
さらに一般式(1-A)から一般式(1-D)で表される化合物の中で、一般式(1-E)
【0027】
【化7】
【0028】
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ一般式(1)中のR、R、R及びRと同じ意味を表し、A11、A12及びA13はそれぞれ同じであっても異なっていても良い一般式(1)中のAと同じ意味か単結合を表し、A21、A22及びA23はそれぞれ同じであっても異なっていても良い一般式(1)中のAと同じ意味か単結合を表す。)で表される構造であることが好ましい。
【0029】
一般式(1)の中では以下の一般式(1-1)~一般式(1-28)及び一般式(1-51)~一般式(1-80)で表される各化合物が特に好ましい。
【0030】
【化8】
【0031】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0032】
【化9】
【0033】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0034】
【化10】
【0035】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0036】
【化11】
【0037】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0038】
【化12】
【0039】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0040】
【化13】
【0041】
(式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同じ意味を表す。)
【0042】
【化14】
(式中、R、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R、R及びRと同じ意味を表す。)
【0043】
【化15】
(式中、R、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R、R及びRと同じ意味を表す。)
【0044】
【化16】
(式中、R、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R、R及びRと同じ意味を表す。)
一般式(1)で表される化合物は、350~750nmの間に最大吸収波長を有することが好ましい。特に、一般式(1)で表される化合物が赤色色素である場合は500~600nm、黄色色素である場合は400~500nm、青色色素である場合は600~750nmの間にそれぞれ最大吸収を有することが好ましい。これらの最大吸収波長を示す化合物を併用することにより、所望の色味を示す色素化合物含有液晶組成物を調製することができ、特に黒色を得たい場合にはそれぞれ赤色・黄色・青色を示す色素を併用することが好ましい。また、一般式(1)で表される化合物と、それ以外の構造の二色性色素を併用することも好ましい。
【0045】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物の合計含有量の下限値は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましい。
【0046】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物の上限値は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。
【0047】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物の合計含有量は、0.1~20質量%であることが好ましく、0.2~15質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることが好ましく、0.5~12質量%であることが好ましく、0.8~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることが好ましく、1~6質量%であることが好ましい。
<液晶組成物>
本発明の液晶組成物は、一般式(II)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0048】
【化17】
【0049】
(一般式(II)中、RII1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
II1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
II1は単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
II1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、また、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
II1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数のAII1及び複数のZII1はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【0050】
本発明の液晶組成物は、上記一般式(II)で表される化合物を1種又は2種以上組み合わせることで、誘電率異方性の大きさを調整することができる。本発明の液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が負でありその絶対値(|Δε|)が2以上の負の液晶組成物であってもよく、誘電率異方性(Δε)が正であり、その絶対値(|Δε|)が1.5以上である正の液晶組成物であってもよい。具体的な誘電率異方性の値については、後述する。
【0051】
一般式(II)で表される化合物は、誘電率異方性に応じて、誘電率異方性(Δε)が負の液晶化合物であってもよく(第一態様)、誘電率異方性(Δε)が正の液晶化合物であってもよく(第一態様)、誘電率異方性(Δε)が0付近のノンポーラ液晶化合物であってもよい(第三態様)。なお、一般式(II)で表される化合物の誘電率異方性は、25℃における値とする。以下、一般式(II)で表される化合物について態様ごとに説明する。
【0052】
[1]一般式(II)で表される化合物の第一態様
一般式(II)で表される化合物の第一態様(以下、第一態様の化合物とする場合がある。)は、誘電率異方性(Δε)が負の液晶化合物である。第一態様の化合物は、Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きいことが好ましく、上記絶対値が3より大きいことがより好ましい。
【0053】
このような第一態様の化合物としては、下記一般式(N-1)から一般式(N-3)で表される化合物群から選ばれる化合物を挙げることができる。
【0054】
【化18】
【0055】
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
N31は-CH-又は酸素原子を表し、
N11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0~3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、
N11からAN32、ZN11からZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。ただし、一般式(N-2)及び一般式(N-3)において一般式(N-1)で表される化合物は除き、また、一般式(N-3)において一般式(N-2)で表される化合物は除く。)
【0056】
本発明の液晶組成物が、25℃における誘電率異方性(Δε)が負の値を有する場合、本発明の液晶組成物は、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物群から選択される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0057】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0058】
また、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32がそれぞれ結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。一方、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32がそれぞれ結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、N11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0059】
ネマチック相を安定化させるためには、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32は、それぞれ独立して炭素原子及び酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、また直鎖状であることが好ましい。
【0060】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。式(R1)から式(R5)中の黒点は、アルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。
【0061】
【化19】
【0062】
Δnを大きくすることが求められる場合には、AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32は、それぞれ独立して芳香族であることが好ましい。一方、応答速度を改善するためには、AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32は、それぞれ独立して脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましい。
【0063】
中でもAN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して、下記の構造のいずれかを表すことが好ましい。
【0064】
【化20】
【0065】
さらにAN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことが好ましい。
【0066】
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して-CHO-、-CFO-、-CHCH-、-CFCF-又は単結合を表すことが好ましく、-CHO-、-CHCH-又は単結合が更に好ましく、-CHO-又は単結合が特に好ましい。
【0067】
N21はフッ素原子が好ましい。
【0068】
N31は酸素原子が好ましい。
【0069】
N11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
【0070】
本発明の液晶組成物は、一般式(N-1)中のZN11およびZN12の少なくとも1つが-CHO-を表す化合物、一般式(N-2)中のZN21およびZN22の少なくとも1つが-CHO-を表す化合物、並びに一般式(N-3)中のZN31およびZN32の少なくとも1つが-CHO-を表す化合物からなる群から選択される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。これらの化合物は、その分子構造内において-CHO-で表される連結基を有しており、上述した-CHO-で表される連結基を有する化合物と一般式(H)で表される光安定化剤との併用による効果を奏することができるからである。
【0071】
式(N-1)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して0質量%であり、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。式(N-1)で表される化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
【0072】
式(N-2)で表される化合物の含有量の上限値および下限値、ならびに式(N-3)で表される化合物の含有量の上限値および下限値の好ましい値は、それぞれ式(N-1)で表される化合物の含有量の上限値および下限値の好ましい値と同様とすることができる。
【0073】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0074】
本発明の液晶組成物は、中でも一般式(N-1)で表される化合物を1種又は2種以上含むことが好ましい。一般式(N-1)で表される化合物として、下記の一般式(N-1a)から(N-1g)で表される化合物群を挙げることができる。中で-CHO-で表される連結基を有することから、一般式(N-1d)又は(N-1f)で表される化合物を1種又は2種以上含むことが好ましく、一般式(N-1d)で表される化合物を1種又は2種以上含むことがより好ましい。
【0075】
【化21】
【0076】
(式中、RN11及びRN12は一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は1又は2を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf12は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ANg11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、ZNe11は単結合又はエチレンを表すが分子内に存在する少なくとも1つはエチレンを表し、分子内に複数存在するANe11、ZNe11、及び/又はANg11は同一であっても異なっていても良い。)
【0077】
より具体的には、一般式(N-1)で表される化合物は一般式(N-1-1)から(N-1-21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0078】
一般式(N-1-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0079】
【化22】
【0080】
(式中、RN111及びRN112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0081】
N111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、プロピル基、ペンチル基又はビニル基が好ましい。RN112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0082】
一般式(N-1-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0083】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0084】
式(N-1-1)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0085】
一般式(N-1-1)で表される化合物は、式(N-1-1.1)から式(N-1-1.23)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)~(N-1-1.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)及び式(N-1-1.3)で表される化合物が好ましい。
【0086】
【化23】
【0087】
式(N-1-1.1)から(N-1-1.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。式(N-1-1.1)から(N-1-1.22)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0088】
一般式(N-1-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0089】
【化24】
【0090】
(式中、RN121及びRN122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0091】
N121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましい。RN122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
【0092】
一般式(N-1-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0093】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0094】
式(N-1-2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、37質量%であり、40質量%であり、42質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、48質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%である。
【0095】
一般式(N-1-2)で表される化合物は、式(N-1-2.1)から式(N-1-2.22)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)、式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)、式(N-1-2.13)及び式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましく、Δεの改良を重視する場合には式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)で表される化合物が好ましく、TNIの改良を重視する場合には式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)及び式(N-1-2.13)で表される化合物であることが好ましく、応答速度の改良を重視する場合には式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましい。
【0096】
【化25】
【0097】
式(N-1-2.1)から式(N-1-2.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0098】
一般式(N-1-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0099】
【化26】
【0100】
(式中、RN131及びRN132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0101】
N131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数3~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、1-プロペニル基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0102】
一般式(N-1-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0103】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0104】
一般式(N-1-3)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0105】
一般式(N-1-3)で表される化合物は、式(N-1-3.1)から式(N-1-3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)~(N-1-3.7)及び式(N-1-3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)、式(N-1-3.2)、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)で表される化合物群から選ばれる化合物が好ましい。
【0106】
【化27】
【0107】
式(N-1-3.1)から式(N-1-3.4)、式(N-1-3.6)及び式(N-1-3.21)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、式(N-1-3.1)及び式(N-1-3.2)の組み合わせ、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)から選ばれる2種又は3種の組み合わせが好ましい。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0108】
一般式(N-1-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0109】
【化28】
【0110】
(式中、RN141及びRN142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0111】
N141及びRN142はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0112】
一般式(N-1-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0113】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0114】
一般式(N-1-4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、11質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0115】
一般式(N-1-4)で表される化合物は、式(N-1-4.1)から式(N-1-4.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)~(N-1-4.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)、式(N-1-4.2)及び式(N-1-4.4)で表される化合物が好ましい。
【0116】
【化29】
【0117】
式(N-1-4.1)~(N-1-4.14)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、11質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0118】
一般式(N-1-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0119】
【化30】
【0120】
(式中、RN151及びRN152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0121】
N151及びRN152はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましくエチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0122】
一般式(N-1-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0123】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0124】
一般式(N-1-5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0125】
一般式(N-1-5)で表される化合物は、式(N-1-5.1)から式(N-1-5.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物が好ましい。
【0126】
【化31】
【0127】
式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0128】
一般式(N-1-10)で表される化合物は下記の化合物である。
【0129】
【化32】
【0130】
(式中、RN1101及びRN1102はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0131】
N1101は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。
【0132】
N1102は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、中でも炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。RN1102がアルコキシ基を表す場合、一般式(N-1-10)中の2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基はそれぞれ連結基(-CHO-)の酸素原子とRN1102が表すアルコキシ基の酸素原子と結合する構造を取る。このような構造を有する化合物は負の誘電率異方性(Δε)を示し、且つ誘電率異方性の絶対値が大きい値を示すことができる。このため、特に誘電率異方性が負の液晶組成物は、上記化合物を含むことでΔεを高めることができる。RN1102は、炭素原子数1~4のアルコキシ基の中でも、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基がより好ましい。
【0133】
一般式(N-1-10)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0134】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0135】
一般式(N-1-10)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0136】
一般式(N-1-10)で表される化合物は、式(N-1-10.1)から式(N-1-10.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)~(N-1-10.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物が好ましい。
【0137】
【化33】
【0138】
式(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これらの化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0139】
一般式(N-1-11)で表される化合物は下記の化合物である。
【0140】
【化34】
【0141】
(式中、RN1111及びRN1112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0142】
N1111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。
【0143】
N1112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、中でも炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。その理由については、上記一般式(N-1-10)中のRN1102がアルコキシ基を表すことが好ましい理由と同様である。RN1112は、炭素原子数1~4のアルコキシ基の中でも、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基がより好ましい。
【0144】
一般式(N-1-11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0145】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0146】
一般式(N-1-11)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0147】
一般式(N-1-11)で表される化合物は、式(N-1-11.1)から式(N-1-11.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-11.1)~(N-1-11.14)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-11.2及び式(N-1-11.4)で表される化合物が好ましい。
【0148】
【化35】
【0149】
式(N-1-11.2)及び式(N-1-11.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0150】
一般式(N-1-12)で表される化合物は下記の化合物である。
【0151】
【化36】
【0152】
(式中、RN1121及びRN1122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0153】
N1121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0154】
一般式(N-1-12)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0155】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0156】
一般式(N-1-12)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0157】
一般式(N-1-13)で表される化合物は下記の化合物である。
【0158】
【化37】
【0159】
(式中、RN1131及びRN1132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0160】
N1131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0161】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0162】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0163】
一般式(N-1-13)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0164】
一般式(N-1-14)で表される化合物は下記の化合物である。
【0165】
【化38】
【0166】
(式中、RN1141及びRN1142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0167】
N1141は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1142は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0168】
一般式(N-1-14)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0169】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0170】
一般式(N-1-14)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0171】
一般式(N-1-15)で表される化合物は下記の化合物である。
【0172】
【化39】
【0173】
(式中、RN1151及びRN1152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0174】
N1151は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1152は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0175】
一般式(N-1-15)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0176】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0177】
式(N-1-15)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0178】
一般式(N-1-16)で表される化合物は下記の化合物である。
【0179】
【化40】
【0180】
(式中、RN1161及びRN1162はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0181】
N1161は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1162は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0182】
一般式(N-1-16)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0183】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0184】
式(N-1-16)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0185】
一般式(N-1-17)で表される化合物は下記の化合物である。
【0186】
【化41】
【0187】
(式中、RN1171及びRN1172はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0188】
N1171は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1172は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0189】
一般式(N-1-17)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0190】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0191】
式(N-1-17)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0192】
一般式(N-1-18)で表される化合物は下記の化合物である。
【0193】
【化42】
【0194】
(式中、RN1181及びRN1182はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0195】
N1181は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1182は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0196】
一般式(N-1-18)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0197】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0198】
式(N-1-18)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0199】
一般式(N-1-18)で表される化合物は、式(N-1-18.1)から式(N-1-18.5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-18.1)~(N-1-18.3)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-18.2)及び式(N-1-18.3)で表される化合物が好ましい。
【0200】
【化43】
【0201】
一般式(N-1-20)で表される化合物は下記の化合物である。
【0202】
【化44】
【0203】
(式中、RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0204】
N1201及びRN1202はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0205】
一般式(N-1-20)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0206】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0207】
式(N-1-20)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0208】
一般式(N-1-21)で表される化合物は下記の化合物である。
【0209】
【化45】
【0210】
(式中、RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0211】
N1211及びRN1212はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0212】
一般式(N-1-21)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0213】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0214】
式(N-1-21)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0215】
一般式(N-1-22)で表される化合物は下記の化合物である。
【0216】
【化46】
【0217】
(式中、RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0218】
N1221及びRN1222はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0219】
一般式(N-1-22)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0220】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0221】
式(N-1-21)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0222】
一般式(N-1-22)で表される化合物は、式(N-1-22.1)から式(N-1-22.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.4)で表される化合物が好ましい。
【0223】
【化47】
【0224】
[2]一般式(II)で表される化合物の第二態様
一般式(II)で表される化合物の第二態様(以下、第二態様の化合物とする場合がある。)は、誘電率異方性(Δε)が正の液晶化合物である。第二態様の化合物は、Δεが2より大きいことが好ましい。
【0225】
このような第二態様の化合物としては、下記の一般式(M)及び一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物を挙げることができる。
【0226】
【化48】
【0227】
(式中、RM1及びRK1は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
M1及びnK1は、それぞれ独立して0、1、2、3又は4を表し、
M1及びAM2並びにAK1及びAK2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-又は-S-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
M1及びZM2並びにZK1及びZK2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-OCF-、-CFO-、-COO-、-OCO-又は-C≡C-を表し、
一般式(M)においてnM1が2、3又は4であってAM2およびZM1がそれぞれ複数存在する場合は、複数のAM2およびZM1はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、
一般式(K)においてnK1が2、3又は4であってAK2およびZK1がそれぞれ複数存在する場合は、複数のAK2およびZK1はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、
M1及びXM3並びにXK1及びXK3は、それぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
M2及びXK2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエチル基を表す。)
【0228】
本発明の液晶組成物が、25℃における誘電率異方性(Δε)が正の値を有する場合、本発明の液晶組成物は、一般式(M)及び一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0229】
本発明の液晶組成物は、一般式(M)中のZM1及びZM2の少なくとも1つが-CHO-を表す化合物、並びに一般式(K)中のZK1及びZK2少なくとも1つが-CHO-を表す化合物からなる群から選択される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。これらの化合物は、その分子構造内において、-CHO-で表される連結基を有しており、上述した-CHO-で表される連結基を有する化合物と一般式(H)で表される光安定化剤との併用による効果を奏することができるからである。
【0230】
本発明の液晶組成物において、一般式(M)および一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物の総含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整することができる。
【0231】
一般式(M)および一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物の総含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%であり、一方、上記総含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0232】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は、一般式(M)および一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物の総含有量は、下限値を低めにして上限値を低めにすることが好ましい。本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合、一般式(M)および一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物の総含有量は、下限値を低めにして上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、一般式(M)および一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物の総含有量は、下限値を高めにして上限値を高めにすることが好ましい。
【0233】
以下、一般式(M)及び一般式(K)で表される化合物について、それぞれ説明する。
【0234】
<一般式(M)で表される化合物>
一般式(M)中、RM1は、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0235】
また、RM1は、信頼性を重視する場合にはアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0236】
また、RM1が結合するAM1の環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、RM1は直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。一方、RM1が結合するAM1の環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、RM1は直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0237】
M1は、ネマチック相を安定化させるためには、炭素原子及び酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0238】
アルケニル基は、上記「[1]一般式(II)で表される化合物の第一態様」の項で説明した式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選択されることが好ましい。
【0239】
Δnを大きくすることが求められる場合には、AM1及びAM2はそれぞれ独立して芳香族であることが好ましい。また、応答速度を改善するためには、AM1及びAM2はそれぞれ独立して脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましい。
【0240】
中でもAM1及びAM2は、それぞれ独立して下記の構造のいずれかを表すことがより好ましい。
【0241】
【化49】
【0242】
さらにAM1及びAM2は、それぞれ独立して下記の構造のいずれかを表すことが好ましい。
【0243】
【化50】
【0244】
M1及びZM2はそれぞれ独立して-CHO-、-CFO-、-CHCH-、-CFCF-又は単結合を表すことが好ましく、-CFO-、-CHCH-又は単結合が更に好ましく、-CFO-又は単結合が特に好ましい。
【0245】
M1は、0、1、2又は3を表すことが好ましく、0、1又は2を表すことが好ましい。Δεの改善に重点を置く場合には、nM1は、0又は1を表すことが好ましく、Tniを重視する場合には、nM1は、1又は2を表すことが好ましい。
【0246】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0247】
本発明の液晶組成物において、一般式(M)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0248】
一般式(M)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して0質量%であり、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。一般式(M)で表される化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0249】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は、一般式(M)で表される化合物の含有量は、下限値を低めにし、上限値を低めにすることが好ましい。本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は、一般式(M)で表される化合物の含有量は、下限値を低めにし、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、一般式(M)で表される化合物の含有量は、下限値を高めにし、上限値を高めにすることが好ましい。
【0250】
一般式(M)で表される液晶化合物は、下記一般式(M-1)及び一般式(M-2)で表される化合物群から選択されることが好ましい。
【0251】
【化51】
【0252】
(式中、R31は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、
31及びX32はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、
31はフッ素原子又はOCFを表し、
31からM33はそれぞれ独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、該トランス-1,4-シクロへキシレン基中の1つ又は2つの-CH-は酸素原子が直接隣接しないように、-O-で置換されていてもよく、該フェニレン基中の1つ又は2つの水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
31及びn32はそれぞれ独立して0、1又は2を表し、
31+n32は、1、2又は3を表す。)
【0253】
中でも本発明の液晶組成物は、一般式(M-2)で表される化合物を1種類以上含むことが好ましい。一般式(M-2)で表される化合物は、その分子構造内において、-CHO-で表される連結基を介して隣接する2つの環構造が連結された構造を有しており、上述した-CHO-で表される連結基を有する化合物と一般式(H)で表される光安定化剤との併用による効果を奏することができるからである。
【0254】
一般式(M-1)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(M-1-a)から一般式(M-1-f)で表される化合物が好ましい。
【0255】
【化52】
【0256】
(式中、R31、X31、X32及びY31は、それぞれ一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34からX39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0257】
一般式(M-2)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(M-2-a)から一般式(M-2-n)で表される化合物が好ましい。
【0258】
【化53】
【0259】
【化54】
【0260】
(式中、R31、X31、X32及びY31は、それぞれ一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34からX39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0261】
また、一般式(M)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(M-3)から一般式(M-26)で表される化合物が好ましい。
【0262】
【化55】
【0263】
【化56】
【0264】
(式中、R31、X31、X32及びY31は、それぞれ一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34からX39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0265】
<2>一般式(K)で表される化合物
一般式(K)中、RK1は、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0266】
K1は、信頼性を重視する場合にはアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0267】
K1が結合するAK1の環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、RK1は直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。一方、RK1が結合するAK1の環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、RK1は直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0268】
ネマチック相を安定化させるためには、RK1は炭素原子及び酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、このときRK1は直鎖状であることが好ましい。
【0269】
K1がアルケニル基を表す場合、上記アルケニル基は、上記「[1]一般式(II)で表される化合物の第一態様」の項で説明した式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選択されることが好ましい。
【0270】
Δnを大きくすることが求められる場合には、AK1及びAK2はそれぞれ独立して芳香族であることが好ましい。また、応答速度を改善するためには、AK1及びAK2はそれぞれ独立して脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましい。
【0271】
中でもAK1及びAK2は、それぞれ独立して下記の構造のいずれかを表すことが好ましい。
【0272】
【化57】
【0273】
さらにAK1及びAK2は、それぞれ独立して下記の構造のいずれかを表すことが好ましい。
【0274】
【化58】
【0275】
K1及びZK2はそれぞれ独立して-CHO-、-CFO-、-CHCH-、-CFCF-又は単結合を表すことが好ましく、-CFO-、-CHCH-又は単結合が更に好ましく、-CFO-又は単結合が特に好ましい。
【0276】
K1は、0、1、2又は3を表すことが好ましく、0、1又は2を表すことが好ましい。Δεの改善に重点を置く場合には、nK1は0又は1を表すことが好ましく、Tniを重視する場合には、nK1は1又は2を表すことが好ましい。
【0277】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0278】
本発明の液晶組成物において、一般式(K)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0279】
一般式(K)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。一般式(K)で表される化合物の含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して好ましく95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0280】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は一般式(K)で表される化合物の含有量は、下限値を低めにし、上限値を低めにすることが好ましい。本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は、一般式(K)で表される化合物の含有量は、下限値を低めにし、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、一般式(K)で表される化合物の含有量は、下限値を高めにし、上限値を高めにすることが好ましい。
【0281】
一般式(K)で表される液晶化合物は、下記一般式(K-1)及び一般式(K-2)で表される化合物群から選択されることが好ましい。
【0282】
【化59】
【0283】
(式中、R41は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基を表し、
41及びX42はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、
41はフッ素原子又はOCFを表し、
41からM43はそれぞれ独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、該トランス-1,4-シクロへキシレン基中の1つ又は2つの-CH-は酸素原子が直接隣接しないように、-O-で置換されていてもよく、該フェニレン基中の1つ又は2つの水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
41及びn42はそれぞれ独立して0、1又は2を表し、n41+n42は、1、2又は3を表す。)
【0284】
中でも本発明の液晶組成物は、一般式(K-2)で表される化合物を1種類以上含むことが好ましい。一般式(K-2)で表される化合物は、その分子構造内において、-CHO-で表される連結基を介して隣接する2つの環構造が連結された構造を有しており、上述した-CHO-で表される連結基を有する化合物と一般式(H)で表される光安定化剤との併用による効果を奏することができるからである。
【0285】
一般式(K-1)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(K-1-a)から一般式(K-1-d)で表される化合物が好ましい。
【0286】
【化60】
【0287】
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44~X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0288】
一般式(K-2)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(K-2-a)から一般式(K-2-g)で表される化合物が好ましい。
【0289】
【化61】
【0290】
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44~X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0291】
また、一般式(K)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(K-3)から一般式(K-5)であることが好ましい。
【0292】
【化62】
【0293】
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44~X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0294】
[3]一般式(II)で表される化合物の第三態様
一般式(II)で表される化合物の第三態様(以下、第三態様の化合物とする。)は、誘電率異方性が0程度である化合物、いわゆる非極性液晶化合物である。第三態様の化合物は、25℃における誘電率異方性(Δε)の値が-2以上2以下であることが好ましい。
【0295】
第三態様の化合物は、下記一般式(L)で表される化合物とすることができる。すなわち本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0296】
【化63】
【0297】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
L1は0、1、2又は3を表し、
L1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
L1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
L1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。
ただし一般式(M)および(K)で表される化合物、並びに一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物を除く。)
【0298】
一般式(L)で表される化合物は、誘電的にほぼ中性の化合物(25℃におけるΔεの値が-2以上2以下)に該当する。このため、一般式(L)で表される化合物は、分子内に有するハロゲン等の極性基の個数が2個以下であることが好ましく、1個以下であることが好ましく、ハロゲン等の極性基を有さないことが好ましい。
【0299】
一般式(L)で表される化合物は、単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0300】
一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。一般式(L)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。一般式(L)で表される化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0301】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は、一般式(L)で表される化合物の含有量は、下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は、一般式(L)で表される化合物の含有量は、下限値が高く上限値が高いことが好ましい。駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、一般式(L)で表される化合物の含有量は、下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0302】
L1及びRL2は、信頼性を重視する場合には、ともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0303】
L1及びRL2は、それらが結合するAL1及びAL3の環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、それぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基又は炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。また、RL1及びRL2は、それらが結合するAL1及びAL3の環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、それぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基又は直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。また、ネマチック相を安定化させるためには、RL1及びRL2は、それぞれ独立して、炭素原子及び酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、このとき直鎖状であることが好ましい。
【0304】
アルケニル基は、上記「[1]一般式(II)で表される化合物の第一態様」の項で説明した式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選択されることが好ましい。
【0305】
L1は、応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、液晶組成物として求められる特性を満たすためには、nL1が異なる値の一般式(L)で表される化合物を組み合わせることが好ましい。
【0306】
L1、AL2及びAL3は、Δnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましい。
【0307】
中でもAL1、AL2及びAL3は、それぞれ独立して下記の構造を表すことがより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0308】
【化64】
【0309】
L1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0310】
一般式(L)で表される化合物は、分子内に存在するハロゲン原子が0、1、2又は3個であることが好ましく、0又は1個であることが好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1個が好ましい。
【0311】
本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L-1A)で表される化合物を1種または2種以上含むことが好ましい。
【0312】
【化65】
【0313】
(上記一般式(L-1A)中、Ri1A及びRi2Aはそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよいが、Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方は、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-がそれぞれ独立して-CH=CH-に置換されている。)
【0314】
一般式(L-1A)で表される化合物は、Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方が、アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-がそれぞれ独立して-CH=CH-に置換されている基を表す。すなわち、一般式(L-1A)で表される化合物は、Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方が、炭素原子数2~8アルケニル基を表す。
【0315】
中でもRi1A及びRi2Aの少なくとも一方は、上述した式(R1)から式(R5)のいずれかで表されることが好ましい。また、Ri1A及びRi2Aは、一方のみがアルケニル基であってもよく、Ri1A及びRi2Aの両方がアルケニル基であってもよい。Ri1A及びRi2Aが共にアルケニル基である場合、Ri1A及びRi2Aは同一であってもよく異なってもよい。
【0316】
i1A及びRi2Aの少なくとも一方は、中でも炭素原子数が2~5のアルケニル基を表すことが好ましい。
【0317】
本発明の液晶組成物は、一般式(L-1A)で表される化合物を少なくとも1種類含むことが好ましい。2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0318】
一般式(L-1A)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%であり、45質量%であり、50質量%であり、55質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して70質量%であり、65質量%であり、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%である。
【0319】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0320】
【化66】
【0321】
(式中RL12Aは一般式(L-1A)における意味と同じ意味を表す。)
【0322】
一般式(L-1A-1)で表される化合物は、式(L-1A-1.1)から式(L-1A-1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1A-1.2)又は式(L-1A-1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-1A-1.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0323】
【化67】
【0324】
式(L-1A-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。中でも式(L-1A-3)で表される化合物が、上記下限値および上記上限値の範囲内で含有されることが好ましい。
【0325】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0326】
【化68】
【0327】
(式中RL12Aは一般式(L-1A)における意味と同じ意味を表す。)
【0328】
式(L-1A-2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%である。
【0329】
一般式(L-1A-2)で表される化合物は、式(L-1A-2.1)から式(L-1A-2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1A-2.2)から式(L-1A-2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L-1A-2.2)で表される化合物は本発明の液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1A-2.3)又は式(L-1A-2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L-1A-2.3)及び式(L-1A-2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30質量%以上にすることは好ましくない。
【0330】
【化69】
【0331】
本発明の液晶組成物が式(L-1A-2.2)で表される化合物を含む場合、式(L-1A-2.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して10質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、38質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
【0332】
本発明の液晶組成物は、式(L-1A-1.3)で表される化合物及び式(L-1A-2.2)で表される化合物を同時に含むことが好ましい。式(L-1A-1.3)で表される化合物及び式(L-1A-2.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
【0333】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-4)及び(L-1A-5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0334】
【化70】
【0335】
(式中RL12Aは一般式(L-1A)における意味と同じ意味を表す。)
【0336】
一般式(L-1A-4)及び(L-1A-5)中、RL12Aは炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基又は炭素原子数2~8のアルケニル基が好ましく、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0337】
式(L-1A-4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0338】
式(L-1A-5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0339】
一般式(L-1A-4)及び(L-1A-5)で表される化合物は、式(L-1A-4.1)から式(L-1A-5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1A-4.2)又は式(L-1A-5.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0340】
【化71】
【0341】
本発明の液晶組成物が式(L-1A-4.2)で表される化合物を含む場合、式(L-1A-4.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
【0342】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0343】
【化72】
【0344】
(式中RL17及びRL18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
【0345】
式(L-1A-6)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%である。
【0346】
一般式(L-1A-6)で表される化合物は、式(L-1A-6.1)から式(L-1A-6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0347】
【化73】
【0348】
また、本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物として、上述した一般式(L-1A)で表される化合物に加えて、一般式(L-1B)および一般式(L-2)から(L-7)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種または2種以上含むことが好ましい。
【0349】
一般式(L-1B)で表される化合物は下記の化合物である。
【0350】
【化74】
【0351】
(式中、RL11B及びRL12Bはそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)
【0352】
一般式(L-1B)で表される化合物は、RL11B及びRL12Bの一方または両方がアルケニル基を表さない点で、一般式(L-1A)で表される化合物と区別される。
【0353】
L11B及びRL12Bは、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基又は直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0354】
本発明の液晶組成物は、一般式(L-1B)で表される化合物を1種類含んでいてもよく、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0355】
式(L-1B)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、30質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0356】
一般式(L-1B)で表される化合物は、式(L-1B-1)から式(L-1B-13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)及び式(L-1B-4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。特に、式(L-1B-1)で表される化合物は、本発明の液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1B-3)、式(L-B-4)、式(L-B-11)及び式(L-1B-12)で表される化合物群から選ばれる化合物を用いることが好ましい。式(L-1B-3)、式(L-1B-4)、式(L-1B-11)及び式(L-1B-13)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20質量%以上にすることは好ましくない。
【0357】
【化75】
【0358】
本発明の液晶組成物が式(L-1B-1)で表される化合物を含む場合、式(L-1B-1)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
【0359】
本発明の液晶組成物は、式(L-1A-1.3)、式(L-1A-2.2)、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)、式(L-1B-4)、式(L-1B-11)及び式(L-1B-12)で表される化合物群から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて含むことが好ましい。また、本発明の液晶組成物は、式(L-1A-1.3)、式(L-1A-2.2)、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)、式(L-B-4)及び式(L-1A-4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて含むことが好ましい。これら化合物の合計の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%であり、70質量%であり、60質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%である。
【0360】
液晶組成物の信頼性を重視する場合には、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)及び式(L-1B-4)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。また、液晶組成物の応答速度を重視する場合には、式(L-1A-1.3)、式(L-1A-2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0361】
本発明の液晶組成物は、一般式(L-1A)で表される化合物を1種類以上と、一般式(L-1B)で表される化合物を1種類以上と、を含むことが好ましい。一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%であり、45質量%であり、50質量%であり、55質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して、95質量%であり、90質量%であり、85質量%であり、80質量%であり、75質量%であり、70質量%であり、65質量%であり、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%である。
【0362】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は、一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は、一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0363】
一般式(L-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0364】
【化76】
【0365】
(式中、RL21及びRL22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0366】
L21は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。また、RL22は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0367】
一般式(L-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0368】
低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0369】
式(L-2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0370】
一般式(L-2)で表される化合物は、式(L-2.1)から式(L-2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-2.1)、式(L-2.3)、式(L-2.4)及び式(L-2.6)で表される化合物であることが好ましい。
【0371】
【化77】
【0372】
一般式(L-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0373】
【化78】
【0374】
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0375】
L31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。また、アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0376】
一般式(L-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0377】
式(L-3)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0378】
高い複屈折率を得る場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0379】
一般式(L-3)で表される化合物は、式(L-3.1)から式(L-3.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-3.2)から式(L-3.5)で表される化合物であることが好ましい。
【0380】
【化79】
【0381】
一般式(L-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0382】
【化80】
【0383】
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0384】
L41は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0385】
一般式(L-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0386】
本発明の液晶組成物において、一般式(L-4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0387】
式(L-4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0388】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0389】
【化81】
【0390】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.1)で表される化合物を含有していてもよく、式(L-4.2)で表される化合物を含有していてもよく、式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有していてもよく、式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物を全て含んでいてもよい。式(L-4.1)又は式(L-4.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、9質量%であり、11質量%であり、12質量%であり、13質量%であり、18質量%であり、21質量%であり、好ましい上限値は、45であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0391】
式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有する場合、両化合物の総含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して15質量%であり、19質量%であり、24質量%であり、30質量%であり、上記総含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して45であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0392】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.4)から式(L-4.6)で表される化合物であることが好ましく、式(L-4.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0393】
【化82】
【0394】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.4)で表される化合物を含有していても、式(L-4.5)で表される化合物を含有していても、式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有していても良い。
【0395】
式(L-4.4)又は式(L-4.5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、9質量%であり、11質量%であり、12質量%であり、13質量%であり、18質量%であり、21質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0396】
式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有する場合は、両化合物の総含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して15質量%であり、19質量%であり、24質量%であり、30質量%であり、好ましい上記総含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0397】
一般式(L-4)で表される化合物は、式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-4.9)で表される化合物が好ましい。
【0398】
【化83】
【0399】
一般式(L-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0400】
【化84】
【0401】
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0402】
L51は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0403】
一般式(L-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0404】
本発明の液晶組成物において、一般式(L-5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0405】
式(L-5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である
【0406】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.1)又は式(L-5.2)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-5.1)で表される化合物であることが好ましい。
【0407】
【化85】
【0408】
式(L-5.1)又は式(L-5.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0409】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.3)又は式(L-5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0410】
【化86】
【0411】
式(L-5.3)又は式(L-5.4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0412】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.5)から式(L-5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(L-5.7)で表される化合物であることが好ましい。
【0413】
【化87】
【0414】
これらの化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0415】
一般式(L-6)で表される化合物は下記の化合物である。
【0416】
【化88】
【0417】
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。ただし一般式(N-1)で表される化合物は除く。)
【0418】
L61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0419】
L61及びXL62は、一方がフッ素原子であり、他方が水素原子であることが好ましい。
【0420】
一般式(L-6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0421】
式(L-6)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
【0422】
一般式(L-6)で表される化合物は、式(L-6.1)から式(L-6.9)で表される化合物であることが好ましい。
【0423】
【化89】
【0424】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、これらの化合物の中から1種~3種類含有することが好ましく、1種~4種類含有することがさらに好ましい。また、選ぶ化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L-6.1)又は(L-6.2)で表される化合物から1種類、式(L-6.4)又は(L-6.5)で表される化合物から1種類、式(L-6.6)又は式(L-6.7)で表される化合物から1種類、式(L-6.8)又は(L-6.9)で表される化合物から1種類の化合物を選び、これらを適宜組み合わせることが好ましい。その中でも、式(L-6.1)、式(L-6.3)式(L-6.4)、式(L-6.6)及び式(L-6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0425】
一般式(L-6)で表される化合物は、例えば式(L-6.10)から式(L-6.17)で表される化合物であることが好ましく、その中でも、式(L-6.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0426】
【化90】
【0427】
これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。これら化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0428】
一般式(L-7)で表される化合物は下記の化合物である。
【0429】
【化91】
【0430】
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。ただし一般式(N-1)から(N-3)で表される化合物は除く。)
【0431】
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0432】
L71及びAL72は、それぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、
【0433】
L71は単結合又はCOO-が好ましく、単結合が好ましい。
【0434】
L71及びXL72は共に水素原子が好ましい。
【0435】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0436】
本発明の液晶組成物において、一般式(L-7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0437】
式(L-7)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%である。上記化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0438】
本発明の液晶組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(L-7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0439】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.1)から式(L-7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0440】
【化92】
【0441】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.11)から式(L-7.13)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0442】
【化93】
【0443】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.21)から式(L-7.23)で表される化合物である。式(L-7.21)で表される化合物であることが好ましい。
【0444】
【化94】
【0445】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.31)から式(L-7.34)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.31)又は/及び式(L-7.32)で表される化合物であることが好ましい。
【0446】
【化95】
【0447】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.41)から式(L-7.44)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.41)又は/及び式(L-7.42)で表される化合物であることが好ましい。
【0448】
【化96】
【0449】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.51)から式(L-7.53)で表される化合物であることが好ましい。
【0450】
【化97】
【0451】
[4]その他
本発明の液晶組成物において、一般式(II)で表される化合物の総含有量は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%以上であり、85質量%以上であり、88質量%以上であり、90質量%以上であり、92質量%以上であり、93質量%以上であり、94質量%以上であり、95質量%以上であり、96質量%であり、97質量%であり、98質量%以上であり、99質量%以上である。また、上記総含有量は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して99.99質量%未満であり、99.95質量以下%であり、99.5質量%以下であり、99.0質量%以下であり、98質量%以下であり、95質量%以下である。
【0452】
本発明の液晶組成物が25℃における誘電率異方性(Δε)が正の値を有する場合、一般式(M)及び一般式(K)で表される化合物群から選択される化合物および一般式(L)で表される化合物の総含有量が、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%以上であり、85質量%以上であり、88質量%以上であり、90質量%以上であり、92質量%以上であり、93質量%以上であり、94質量%以上であり、95質量%以上であり、96質量%以上であり、97質量%以上であり、98質量%以上であり、99質量%以上である。また、上記総含有量は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して99.99質量%未満であり、99.95質量以下%であり、99.5質量%以下であり、99.0質量%以下であり、98質量%以下であり、95質量%以下である。
【0453】
本発明の液晶組成物が25℃における誘電率異方性(Δε)が負の値を有する場合、一般式(N-1)から(N-3)で表される化合物群から選択される化合物および一般式(L)で表される化合物の総含有量が、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%以上であり、85質量%以上であり、88質量%以上であり、90質量%以上であり、92質量%以上であり、93質量%以上であり、94質量%以上であり、95質量%以上であり、96質量%以上であり、97質量%以上であり、98質量%以上であり、99質量%以上である。である。また、上記総含有量は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して99.99質量%未満であり、99.95質量以下%であり、99.5質量%以下であり、99.0質量%以下であり、98質量%以下であり、95質量%以下である。
【0454】
また、液晶組成物の高い耐光性と高い溶解性を両立させる観点から、一般式(II)で表される化合物を用いる場合において、一般式(L)で表される化合物と、一般式(M)及び一般式(K)で表される化合物の合計含有量が色素化合物含有液晶組成物100質量%中において95~100質量%であることが好ましく、97~100質量%であることが好ましい。また、一般式(L)で表される化合物と、一般式(N-1)から一般式(N-3) で表される化合物の合計含有量が、色素化合物含有液晶組成物100質量%中において95~100質量%であることが好ましく、97~100質量%であることが好ましい。
【0455】
ここで、一般式(L)で表される化合物は、一般式(L-1A)、一般式(L-1B)、一般式(L-2)、一般式(L-3)、一般式(L-4)、一般式(L-5)、一般式(L-6)及び一般式(L-7)からなる化合物群より選ばれる化合物であることが好ましい。また、一般式(L)で表される化合物の総含有量のうち、一般式(L-1A)、一般式(L-1B)、一般式(L-2)、一般式(L-3)、一般式(L-4)、一般式(L-5)、一般式(L-6)及び一般式(L-7)からなる化合物群より選ばれる化合物の合計含有量が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが好ましい。
【0456】
また、一般式(L)で表される化合物は、一般式(L-1A)、一般式(L-1B)、一般式(L-2)、一般式(L-3)からなる化合物群より選ばれる化合物を1種以上含み、かつ、一般式(L-4)、一般式(L-5)、一般式(L-6)及び一般式(L-7)からなる化合物群より選ばれる化合物を1種以上含むことが好ましい。
【0457】
なお、当該含有量の関係性は、一般式(II)で表される化合物、一般式(M)及び一般式(K)で表される化合物、並びに/又は一般式(N-1)から一般式(N-3)で表される化合物の任意の下位概念に対しても適用でき、下位概念を含む一般式(II)で表される化合物、一般式(M)及び一般式(K)で表される化合物、並びに/又は一般式(N-1)から一般式(N-3)で表される化合物の任意の組み合わせに対しても適用できる。
【0458】
本発明の液晶組成物は、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量が多いことが好ましい。分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量は、本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで本発明の液晶組成物を構成することが最も好ましい。
【0459】
液晶組成物の酸化による劣化を抑えるためには、本発明の液晶組成物は、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量が少ないことが好ましい。クロヘキセニレン基を有する化合物の含有量は、本発明の液晶組成物の総量に対して、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0460】
なお本明細書において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物(不可避的不純物)を除いて含有しないという意味である。
【0461】
本発明の液晶組成物が正の誘電率異方性(Δε)を有する場合、本発明の液晶組成物の25℃における誘電率異方性(Δε)が1.5から20.0の範囲内であることが好ましく、1.5から18.0の範囲内がより好ましく、1.5から15.0の範囲内がより好ましく、1.5から11の範囲内がさらに好ましく、1.5から8の範囲内が特に好ましい。
【0462】
また、本発明の液晶組成物が負の誘電率異方性(Δε)を有する場合、本発明の液晶組成物の25℃における誘電率異方性(Δε)が-2以下であることが好ましく、詳しくは-2.0から-8.0の範囲内であることが好ましく、-2.0から-6.0の範囲内が好ましく、-2.0から-5.0の範囲内がより好ましく、-2.5から-4.0の範囲内が特に好ましい。
【0463】
本発明の液晶組成物は、25℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14の範囲内であることが好ましく、0.09から0.13の範囲内がより好ましく、0.09から0.12の範囲内が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13の範囲内であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10の範囲内であることが好ましい。
【0464】
本発明の液晶組成物は、25℃における粘度(η)が10から50mPa・sであるが、10から40mPa・sであることがより好ましく、10から35mPa・sであることが特に好ましい。
【0465】
本発明の液晶組成物は、25℃における回転粘性(γ)が40から130mPa・sの範囲内であることが好ましく、50から110mPa・sの範囲内であることがより好ましく、60から100mPa・sの範囲内であることが特に好ましい。
【0466】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃の範囲内であることが好ましく、70℃から100℃の範囲内がより好ましく、70℃から85℃の範囲内が特に好ましい。
<色素化合物>
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物は、一般式(1)で表される色素化合物に加えて、更に色素化合物の1種又は2種以上を含むことが好ましく、一般式(1)で表される化合物及びそれ以外の色素化合物を合計で3種以上含むことが好ましい。複数の色素化合物を用いる場合には、複数の色素化合物が互いに異なる吸収波長を有していることが好ましく、これにより黒色など所望の色に調製することが可能になる。
【0467】
色素化合物は、350~750nmの間に最大吸収波長を有することが好ましい。特に、一般式(1)で表される化合物が赤色色素である場合は500~600nm、黄色色素である場合は400~500nm、青色色素である場合は600~750nmの間にそれぞれ最大吸収を有することが好ましい。
【0468】
最大吸収波長の測定方法は、次の通りである。
【0469】
まず、色素化合物を溶解することができる任意の液晶組成物100質量部に対して、色素化合物を1.0質量部添加して溶解させて、試料を調整する。
【0470】
次に、ITO電極を有し、当該ITO電極上に水平配向用配向膜を備えた2cm×2cmのガラス基板を2枚用いて、ITO電極層をセルの内側として、プラスチック粒子によりセル厚10μmに調整した注入口を備えたセルを作製する。
【0471】
当該セルに、試料を注入し、注入口を封止材で塞ぐことにより、素子を作製する。
【0472】
次に、スペクトルメーター(大塚電子社製、「LCD-5200」)を用いて、25℃、電圧無印加の条件下、作製した素子を用いて、350~750nmの間の吸収スペクトルを測定することにより、色素化合物の最大吸収波長を求めることができる。
【0473】
また、色素化合物は、二色性色素であることが好ましい。
【0474】
色素化合物として、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、メチン系化合物、アゾメチン系化合物、メロシアニン系化合物、キノン系化合物、ナフトキノン系化合物、テトラジン系化合物、ペリレン系化合物、テリレン系化合物、クアテリレン系化合物、高リレン系化合物、インジゴ系化合物、ジオキサジン系化合物、アズレン系化合物、ピロメテン系化合物、スピロピラン系化合物及びジアリールエテン系化合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0475】
アゾ系化合物としては、ジスアゾ系化合物及びトリスアゾ系化合物等が挙げられる。
【0476】
液晶組成物に用いる色素化合物の種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種である。
【0477】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物も含めた色素化合物の合計含有量の下限値は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましい。
【0478】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物も含めた色素化合物の上限値は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。
【0479】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物も含めた色素化合物の合計含有量は、0.1~20質量%であることが好ましく、0.2~15質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることが好ましく、0.5~12質量%であることが好ましく、0.8~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることが好ましく、1~6質量%であることが好ましい。
<添加剤>
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物は、必要に応じて上述のその他の化合物、添加物を混合することにより、製造することができる。添加物としては、安定剤、カイラル剤、帯電防止剤、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、キラル剤、重合性化合物等が挙げられる。
【0480】
安定剤としては、酸化防止剤、紫外線(UV)吸収剤、光安定剤又は赤外線吸収剤等が挙げられる。
【0481】
酸化防止剤としては、ヒドロキノン誘導体、ニトロソアミン系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0482】
より具体的には、tert-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、和光純薬工業株式会社製の「Q-1300」、「Q-1301」、BASF社の「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425」、「IRGANOX1520」、「IRGANOX1726」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」等が挙げられる。
【0483】
紫外線(UV)吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
【0484】
より具体的には、例えばヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
【0485】
ヒンダードフェノール系化合物としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレートが挙げられる。
【0486】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2-(2′-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、(2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、(2-(2′-ヒドロキシ-3’,5-ジ-tert-アミルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が挙げられる。
【0487】
より具体的には、BASFジャパン(株)製の「TINUVIN109」、「TINUVIN171」、「TINUVIN326」、「TINUVIN327」、「TINUVIN328」、「TINUVIN770」、「TINUVIN900」、「TINUVIN928」、ケミプロ化成(株)製の、「KEMISORB 71」、「KEMISORB 73」、「KEMISORB 74」等が挙げられる。
【0488】
色素化合物含有液晶組成物に用いる安定剤の種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種、好ましくは1~2種である。
【0489】
安定剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、安定剤の合計含有量の下限値は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが好ましい。
【0490】
安定剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、安定剤の合計含有量の上限値は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることが好ましい。
【0491】
安定剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、安定剤の合計含有量は、0.01~2.0質量%であることが好ましく、0.05~1.5質量%であることが好ましく、0.1~1.0質量%であることが好ましい。
【0492】
また、色素化合物含有液晶組成物にカイラル剤を用いることにより、液晶に捩じれを誘起することができる。カイラル剤は、右巻きであっても左巻きであっても良く、素子の構成によって適宜使い分ければ良い。また、カイラル剤として、TNモード又はSTNモードに用いられるカイラル剤を転用しても良い。
【0493】
例えば、カイラル剤としては、「Chiral S-811(下記構造式(CA-1)で表される化合物)」等が挙げられる。
【0494】
【化98】
【0495】
なお、構造式(CA-1)中、「*」は、不斉中心を表す。
【0496】
色素化合物含有液晶組成物に用いるカイラル剤の種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種、好ましくは1~2種、好ましくは1種である。
【0497】
カイラル剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、カイラル剤の合計含有量の下限値は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましい。
【0498】
カイラル剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、カイラル剤の合計含有量の上限値は、5質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることが好ましい。
【0499】
カイラル剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、カイラル剤の合計含有量は、0.05~5質量%であることが好ましく、0.1~3.0質量%であることが好ましく、0.3~2.0質量%であることが好ましく、0.5~1.5質量%であることが好ましい。
【0500】
液晶相上限温度(TNI)は、色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物がネマチック相から等方相へ相転移する温度である。本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の液晶相上限温度(TNI)は、TNIが高いほど高温でもネマチック相を維持することができ、駆動温度範囲を広く取ることができる観点から、95℃以上であることが好ましく、100~150℃であることが好ましく、100~130℃であることが好ましい。
【0501】
液晶相下限温度(T→N)は、色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物が他の相(ガラス、スメクチック相、結晶相)からネマチック相へ相転移する温度である。本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の液晶相下限温度(T→N)は、T→Nが低いほど低温でもネマチック相を維持することができるため、駆動温度範囲を広く取ることができる観点から、-15℃以下であることが好ましく、-78~-20℃であることが好ましく、-65~-25℃であることが好ましい。
【0502】
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃、589nmにおける屈折率異方性(Δn)は、0.05以上であることが好ましく、0.06~0.20であることが好ましく、0.07~0.15であることが好ましく、0.08~0.13であることが好ましい。
【0503】
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃、589nmにおける液晶分子の長軸方向の屈折率(n)は、1.4以上であることが好ましく、1.45~1.65であることが好ましく、1.50~1.63であることが好ましい。
【0504】
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃、589nmにおける液晶分子の短軸方向の屈折率(n)は、1.3以上であることが好ましく、1.35~1.55であることが好ましく、1.40~1.53であることが好ましい。
【0505】
なお、アッベ屈折計を用いて、色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物のne、noを測定し、Δnを算出する事が出来る。
【0506】
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における回転粘性(γ)は、100~180mPa・sであることが好ましく、105~175mPa・sであることが好ましく、110~170mPa・sであることが好ましく、115~165mPa・sであることが好ましい。
【0507】
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における弾性定数K11は、1.0~30.0pNであることが好ましく、5.0~25.0pNであることが好ましく、10.0~20.0pNであることが好ましい。
【0508】
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における弾性定数K22は、1.0~25.0pNであることが好ましく、3.0~20.0pNであることが好ましく、5.0~15.0pNであることが好ましい。
【0509】
本発明に係る色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における弾性定数K33は、1.0~35.0pNであることが好ましく、5.0~30.0pNであることが好ましく、10.0~25.0pNであることが好ましい。
<素子>
次に、上述の色素化合物含有液晶組成物を用いた素子について説明する。
【0510】
素子の用途としては、調光素子であることが好ましい。素子の構成としては、第一の透明電極層を有する基板と第二の透明電極層を有する基板が透明電極層が内側となるように対向して配置され,当該基板間に上述の液晶組成物が挟持されている構成が好ましい。
【0511】
透明電極層としては、ITO電極が好ましい。第一及び/又は第二の透明電極層を有する基板は、透明電極層上に、配向膜を備えていてもよい。配向膜としては、水平配向用配向膜が好ましい。
【0512】
また、カイラル剤を色素化合物含有液晶組成物に添加することにより、液晶をツイストして配向させることができる。カイラル剤を添加した場合における色素化合物含有液晶組成物における液晶分子のツイストは、吸光度を高める観点から、180°以上が好ましく、180~720°が好ましく、270~540°が好ましく、270~450°が好ましい。
【0513】
液晶分子のツイストは、第一の透明電極層を有する基板と第二の透明電極層を有する基板の配置によって、配向軸の角度を調整することでも調整することができる。
【0514】
カイラル剤を添加した場合における色素化合物含有液晶組成物における捩れピッチ(p)は、2~30μmであることが好ましく、5~20μmであることが好ましい。
【0515】
捩じれピッチ(p)は、二枚の基板を有し、セル厚が緩やかに変化するアンチパラレルにラビングされた楔型液晶セルに所定量のカイラル剤を含む液晶組成物を注入して、楔型液晶セルの傾きの角度θ(上面の基板の傾き)と測長器などで測定した楔型液晶セルのディスクリネーションラインの間隔Lから算出することができ、p=2×L×tanθとなる。
【0516】
捩れピッチ(p)とセル厚(d)との関係であるd/p値は、0.1~2.2であることが好ましく、0.5~1.5であることが好ましい。具体的には、ツイスト角に応じて捩れピッチ(p)とセル厚(d)の関係d/p値が最適となるように調節することが好ましい。最適なd/p値とは、リバースツイストドメインやストライプドメインなどの配向欠陥がでない領域である。目視や顕微鏡などでドメインを観察して配向欠陥が生じないよう調節することが好ましい。
【0517】
素子における色素化合物含有液晶組成物のプレチルト角は、0.1~10°であることが好ましく、0.5~5°であることが好ましい。プレチルト角は、シンテック製OPTIPROを用いて測定することができる。
【0518】
基板の間隔(セル厚)は、1~100μmが好ましく、1.5~30μmが好ましく、5~20μmが好ましい。基板の間隔はスペーサーを用いて調整してもよい。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。
【0519】
また、本発明に係る素子は、紫外線による劣化を防ぐ観点から、紫外線カットフィルムを備えていてもよい。例えば、400nm以下の波長の光をカットする、紫外線(UV)カットフィルムを素子上に積層させたり、貼り付けてもよい。
【0520】
また、本発明に係る素子は、単層として用いてもよいし、複数の素子を2層又は3層以上積層して用いてもよい。複数の素子を積層して用いる場合は、コントラストを向上させる観点から、アンチパラレルに配向処理された素子を、配向処理方向を90°直交させて積層させることが好ましい。
【0521】
素子は、次のようにして作製することができる。
【0522】
例えば、第一の透明電極層を有する基板にエポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を注入口を設けた形で描画し、第二の透明電極層を有する基板と当該基板同士を貼り合わせ、その後加熱してシール剤を熱硬化させることにより、空セルを作製できる。そして、当該セルにおける2枚の基板間に、通常の真空注入法などを用いて色素化合物含有液晶組成物を狭持させることにより、液晶素子を作製することができる。
【0523】
また、第一の透明電極層を有する基板にエポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を描画し、真空条件下でODF法又はインクジェット法などにより色素化合物含有液晶組成物を滴下した後に第二の透明電極層を有する基板と当該基板同士を貼り合わせ、その後加熱してシール剤を熱硬化させることにより、液晶素子を作製することもできる。
【0524】
また、よりコントラストを向上させたい場合には、本素子に所定の角度で偏光軸等の光学フィルムを更に配置しても良い。
【実施例0525】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0526】
以下の実施例及び比較例の組成物は各化合物を表中の割合で含有し、含有量は「質量%」で記載した。また、化合物の記載は、表1及び表2に示す通り以下の略号を用いる。なお、シス体とトランス体を取りうる化合物は、特に断りがない限りトランス体を表す。
【0527】
<環構造>
【0528】
【化99】
【0529】
<末端構造>
【0530】
【表1】
【0531】
(ただし、表中のnは自然数である。)

<連結構造>
【0532】
【表2】
【0533】

<色素化合物>
【0534】
【化100】
【0535】
【化101】
【0536】
【化102】
【0537】
【表3】
【0538】

なお、下記の色素は一般式(1)とは構造の異なる、市販のアゾ系色素である。
・AZO-1:青色を呈する二色性色素化合物(アゾ系)、最大吸収波長633nm
・AZO-2:赤色を呈する二色性色素化合物(アゾ系)、最大吸収波長517nm
・AZO-3:黄色を呈する二色性色素化合物(アゾ系)、最大吸収波長405nm

<酸化防止剤>
・IRGANOX1076:ヒンダードフェノール系酸化防止剤

<紫外線(UV)吸収剤>
・KEMISORB71:ベンゾトリアゾール系化合物

<色素化合物含有液晶組成物に用いた液晶組成物の物性>
色素化合物含有液晶組成物に用いた液晶組成物について物性値を測定した。各項目の意味は以下の通りである。
NI(℃):液晶組成物がネマチック相から等方相へ転移する温度(上限温度)
→N(℃):液晶組成物が他の相からネマチック相へ転移する温度(下限温度)
Δn:液晶組成物の25℃、589nmにおける屈折率異方性
Δε:液晶組成物の25℃における誘電率異方性
γ(mPa・s):25℃における回転粘性

(実施例1~19及び比較例1~4)
<色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物の調整>
各液晶化合物を各割合にて混合することにより、色素化合物含有液晶組成物に用いる液晶組成物LC-1~LC-9を調製し、その物性値を測定した。結果を表4~表7に示す。
【0539】
【表4】
【0540】
【表5】
【0541】
【表6】
【0542】
【表7】
【0543】

<素子の作製並びに二色性試験及び溶解性試験>
LC1~9に色素化合物、酸化防止剤、UV吸収剤を混合して溶解させることにより、色素化合物含有液晶組成物を調整した。次に、ITO電極を有し、当該ITO電極上に水平配向用配向膜(AL1051)を備えた2cm×2cmのガラス基板を2枚用いて、ITO電極層をセルの内側として、プラスチック粒子によりセル厚10μmに調整した注入口を備えたセルを作製した。当該セルに、色素化合物含有液晶組成物を注入し、注入口を封止材で塞ぐことにより、素子を作製した。そして、作成した素子を用いて、二色性試験及び溶解性試験を行った。結果を表5~7に示す。
【0544】
なお、表5~7において色素化合物、酸化防止剤、カイラル剤の添加量(質量部)は液晶組成物100質量部に対する添加量を表す。

(二色性試験)
二色比(R)は以下のようにして求めた。透過率計の光源として直線偏光を用い、テストパネルの配向方向が直線偏光と平行になるときの極大吸収波長における透過率をA0、テストパネルを回転させ配向方向が直線偏光と直交する時の極大吸収波長における透過率をA90とした時、R=A0/A90の式から二色比(R)を算出した。

(溶解性試験)
色素化合物含有液晶組成物を室温にて保存し、48時間ごとに500時間にわたって析出の有無を目視により観察した。
【0545】
評価基準は、下記の通りである。
A:500時間以後までに析出が確認されなかった。
B:48~500時間未満の間において、析出が確認された。
C:48時間未満の間において、析出が確認された。
【0546】
【表8】
【0547】
【表9】
【0548】

実施例1~15並びに比較例1~3より、一般式(1)で表される色素化合物、及び一般式(II)で表される化合物を含有する液晶組成物からなる色素化合物含有液晶組成物は、比較例1~3の色素化合物を用いた場合と比べて高い二色性と良好な溶解性とを両立できることが確認された。
【0549】
【表10】
実施例16~19並びに比較例4より、一般式(1)で表される色素化合物、及び一般式(II)で表される化合物を含有する液晶組成物からなる色素化合物含有液晶組成物は、比較例4の色素化合物を用いた場合と比べて高い二色性と良好な溶解性とを両立できることが確認された。
【0550】
また、一般式(1)で表される色素化合物1種類以上を含む二色性色素3種類を用いて調整した黒色液晶組成物は、二色比、溶解性共に優れていた。このことから、本願発明の色素化合物含有液晶組成物は二色比と溶解性を両立しながら色味の調節が可能であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0551】
本発明の色素化合物含有液晶組成物は、調光素子に利用することができる。