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特開2023-132009クランプ付プロテクタ、プロテクタ付ワイヤーハーネス及びクランプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132009
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】クランプ付プロテクタ、プロテクタ付ワイヤーハーネス及びクランプ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230914BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230914BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230914BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20230914BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20230914BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20230914BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230914BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04 062
H02G3/30
H01B7/00 301
F16B19/00 Q
F16B2/08 U
F16B19/00 C
F16B21/08
F16L57/00 A
B60R16/02 623V
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037083
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】加島 正隆
【テーマコード(参考)】
3H024
3J022
3J036
3J037
5G309
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB07
3H024AC03
3J022EA16
3J022EB02
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
3J036AA03
3J036DA06
3J036DA12
3J036DB03
3J037AA02
3J037BB01
3J037DA11
5G309AA11
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DE02
5G357DE06
5G357DG01
5G363AA05
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落を防止できるクランプ付プロテクタ3、プロテクタ付ワイヤーハーネス1及びクランプ20を提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤーハーネス2をプロテクタ10の内部S2の所定位置Kに取付けるクランプ20が備えられたクランプ付プロテクタ3であって、プロテクタ10は、所定位置Kにクランプ20が移動可能な長さで枝線配索方向X2に延びる長孔形状の貫通孔123が設けられ、クランプ20は、ワイヤーハーネス2を保持するハーネス保持部21と、貫通孔123に対して取付ける取付部とが備えられ、ハーネス保持部21に、幅方向Yの長さが貫通孔123より長い幅広部213が備えられ、取付部は、貫通孔123に配置される挿通部22と、幅方向Yの長さW2が貫通孔123より長く、かつ外部からプロテクタ10に接触する抜出防止部23とが備えられたことを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスを内部に配置するプロテクタと、
前記ワイヤーハーネスを前記内部の所定位置に取付けるクランプとが備えられたクランプ付プロテクタであって、
前記プロテクタは、
前記所定位置に前記クランプが移動可能な長さで所定方向に延びる長孔形状で、前記内部と前記プロテクタの外部とを貫通する貫通孔が設けられ、
前記クランプは、
前記内部に配置され、前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、
前記貫通孔に対してスライド移動可能に取付ける取付部とが備えられ、
長孔形状の前記貫通孔の長手方向に直交する方向を幅方向として、
前記ハーネス保持部は、
前記幅方向の長さが前記貫通孔より長く形成されるとともに、前記内部から前記プロテクタに接触する幅広部が備えられ、
前記取付部は、
前記貫通孔に配置され、前記幅方向の長さが前記貫通孔より短い挿通部と、
前記幅方向の長さが前記貫通孔より長く、かつ前記貫通孔の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されるとともに、前記外部から前記プロテクタに接触する抜出防止部とが備えられた
クランプ付プロテクタ。
【請求項2】
前記幅広部は、前記プロテクタを前記外部に向かって付勢する弾性幅広部である
請求項1に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項3】
少なくとも、前記ハーネス保持部と前記抜出防止部とが係合可能に別体構成された
請求項1または請求項2に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項4】
前記挿通部は前記ハーネス保持部と一体構成され、
前記ハーネス保持部と一体構成された前記挿通部が、前記外部で前記抜出防止部と係合する
請求項3に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項5】
前記抜出防止部に、前記貫通孔の貫通方向に沿って前記挿通部が係合する被係合孔が設けられ、
前記挿通部に、前記抜出防止部の前記被係合孔に対して係合する係合部分が設けられた
請求項4に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項6】
前記プロテクタは、前記外部に配置された前記抜出防止部を、前記貫通孔に対して位置規制する位置規制部が設けられた
請求項5に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項7】
前記抜出防止部に、前記貫通孔の貫通方向に対して交差する方向に沿って前記挿通部に係止する係止部分が設けられ、
前記挿通部に、前記抜出防止部の前記係止部分と係止する被係止部分が設けられた
請求項3に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項8】
前記抜出防止部の前記係止部分と前記挿通部の前記被係止部分とは、着脱自在に係止する構成である
請求項7に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項9】
前記貫通孔は、前記プロテクタの端縁部から前記所定位置を通る前記所定方向に沿って切り欠いて形成され、
前記貫通孔における前記所定方向の端縁部側の開放された端部を開放端部として、
前記取付部は、前記ハーネス保持部と一体構成されるとともに、前記開放端部から前記所定方向に沿って装着可能に形成された
請求項1または請求項2に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項10】
前記プロテクタは、前記貫通孔の前記開放端部を塞ぐ蓋部が設けられた
請求項9に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項11】
前記プロテクタは、前記蓋部を開閉自在に支持する枢動支持部が設けられた
請求項10に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項12】
前記プロテクタは、
前記ワイヤーハーネスの幹線を収容する幹線収容部と、
前記幹線から分岐した枝線を収容する枝線収容部とを有し、
前記貫通孔が前記枝線収容部に設けられた
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項13】
前記貫通孔が、前記ワイヤーハーネスの幹線から分岐した枝線を収容する前記プロテクタの枝線収容部に設けられ、
前記幹線から前記枝線が分岐する箇所を分岐部とし、
該分岐部から前記枝線における前記クランプが取り付けられた取付位置までの長さを基準長さとして、
前記貫通孔の前記開放端部が、前記分岐部から前記基準長さを半径とした領域の領域外に配置された
請求項9から請求項11のいずれか1つに記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項14】
前記枝線収容部の前記貫通孔は、前記枝線収容部における前記枝線の配索方向に対して、長手方向が沿うように形成された
請求項12または請求項13に記載のクランプ付プロテクタ。
【請求項15】
請求項1から請求項14のうちいずれかに記載のクランプ付プロテクタと、
該クランプ付プロテクタにおけるプロテクタの内部に配置され、前記内部の所定位置に前記クランプで取付けたワイヤーハーネスとが備えられた
プロテクタ付ワイヤーハーネス。
【請求項16】
ワイヤーハーネスを内部に配置するプロテクタに対して、前記内部の所定位置に前記ワイヤーハーネスを取付けるクランプであって、
前記内部に配置され、前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、
前記クランプの前記所定位置に設けられ、前記クランプが移動可能な長さで所定方向に延びる長孔形状で前記内部と外部とを貫通する貫通孔に対して、スライド移動可能に取付ける取付部とが備えられ、
前記ハーネス保持部は、
前記所定方向に直交する方向の長さが前記貫通孔より長く形成されるとともに、前記内部から前記プロテクタに接触する幅広部が備えられ、
前記取付部は、
前記貫通孔に配置され、前記所定方向に直交する方向の長さが前記貫通孔より短い挿通部と、
前記所定方向に直交する方向の長さが前記貫通孔より長く、かつ前記貫通孔の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されるとともに、前記外部から前記プロテクタに接触する抜出防止部とが備えられた
クランプ。
【請求項17】
前記幅広部は、前記プロテクタを前記外部に向かって付勢する弾性幅広部である
請求項16に記載のクランプ。
【請求項18】
少なくとも、前記ハーネス保持部と前記抜出防止部とが係合可能に別体構成された
請求項16または請求項17に記載のクランプ。
【請求項19】
前記挿通部は前記ハーネス保持部と一体構成され、
前記ハーネス保持部と一体構成された前記挿通部が、前記外部で前記抜出防止部と係合する
請求項18に記載のクランプ。
【請求項20】
前記抜出防止部に、前記貫通孔の貫通方向に沿って前記挿通部が係合する被係合孔が設けられ、
前記挿通部に、前記抜出防止部の前記被係合孔に対して係合する係合部分が設けられた
請求項19に記載のクランプ。
【請求項21】
前記抜出防止部に、前記貫通孔の貫通方向に対して交差する方向に沿って前記挿通部に係止する係止部分が設けられ、
前記挿通部に、前記抜出防止部の前記係止部分と係止する被係止部分が設けられた
請求項19に記載のクランプ。
【請求項22】
前記抜出防止部の前記係止部分と前記挿通部の前記被係止部分とは、着脱自在に係止する構成である
請求項21に記載のクランプ。
【請求項23】
前記取付部は、
前記ハーネス保持部と一体構成されるとともに、前記プロテクタの端縁部から前記所定位置を通る前記所定方向に沿って切り欠いて形成された貫通孔に対して、前記貫通孔における前記所定方向の端縁部側の開放された開放端部から前記所定方向に沿って装着可能に形成された
請求項16または請求項17に記載のクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ワイヤーハーネスを内部に配置するクランプ付プロテクタ、プロテクタの内部にワイヤーハーネスを配置したプロテクタ付ワイヤーハーネス、及びプロテクタの内部にワイヤーハーネスを取付けるクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車などの車両では、電源と電気機器類などとを、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスを用いて電気的に接続している。このワイヤーハーネスは、プロテクタの内部に配置して配索経路を規制するとともに、周辺部品との接触を防止して保護することがある(特許文献1参照)。
【0003】
さらに、ワイヤーハーネスを内部に配置するプロテクタには、特許文献1のように、その内部において、ワイヤーハーネスの位置を規制するために、ワイヤーハーネスを保持するバンドクランプなどのクランプを備えたものがある。
【0004】
具体的には、特許文献1のクランプ付プロテクタは、ワイヤーハーネスを保持したクランプを、プロテクタの内部における所定位置に設けた貫通孔に係止によって取付けることで、ワイヤーハーネスを所定位置に固定して位置規制している。
【0005】
ところで、ワイヤーハーネスが湾曲した配索経路に沿って配索され、クランプがワイヤーハーネスの湾曲部分に近い位置を保持する場合、ワイヤーハーネスに装着したクランプと貫通孔の位置とが位置ズレして、クランプを貫通孔に係止し難いことがある。
【0006】
そこで、貫通孔をワイヤーハーネスの配策方向に長い長孔形状にして、所定位置の範囲を拡大することで、貫通孔へのクランプの係止を容易にして、ワイヤーハーネスを所望される配策経路に配置することが考えられる。
【0007】
ところが、複数の電線を束ねて構成されたワイヤーハーネスでは、その剛性が高いため、湾曲に伴うワイヤーハーネスの反力が、長孔形状の貫通孔に係止されたクランプに作用することになる。
【0008】
そうすると、ワイヤーハーネスの反力によってクランプが捩れながら傾倒し、長孔形状の貫通孔に係止されたクランプの係止状態が解除されることで、ワイヤーハーネスが脱落するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006-246663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑み、プロテクタの内部に配置したワイヤーハーネスの脱落を防止できるクランプ付プロテクタ、プロテクタ付ワイヤーハーネス及びクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、ワイヤーハーネスを内部に配置するプロテクタと、前記ワイヤーハーネスを前記内部の所定位置に取付けるクランプとが備えられたクランプ付プロテクタであって、前記プロテクタは、前記所定位置に前記クランプが移動可能な長さで所定方向に延びる長孔形状で、前記内部と前記プロテクタの外部とを貫通する貫通孔が設けられ、前記クランプは、前記内部に配置され、前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、前記貫通孔に対してスライド移動可能に取付ける取付部とが備えられ、長孔形状の前記貫通孔の長手方向に直交する方向を幅方向として、前記ハーネス保持部は、前記幅方向の長さが前記貫通孔より長く形成されるとともに、前記内部から前記プロテクタに接触する幅広部が備えられ、前記取付部は、前記貫通孔に配置され、前記幅方向の長さが前記貫通孔より短い挿通部と、前記幅方向の長さが前記貫通孔より長く、かつ前記貫通孔の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されるとともに、前記外部から前記プロテクタに接触する抜出防止部とが備えられたことを特徴とする。
【0012】
またこの発明は、上述したクランプ付プロテクタと、該クランプ付プロテクタにおけるプロテクタの内部に配置され、前記内部の所定位置に前記クランプで取付けたワイヤーハーネスとが備えられたプロテクタ付ワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0013】
またこの発明は、ワイヤーハーネスを内部に配置するプロテクタに対して、前記内部の所定位置に前記ワイヤーハーネスを取付けるクランプであって、前記内部に配置され、前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、前記クランプの前記所定位置に設けられ、前記クランプが移動可能な長さで所定方向に延びる長孔形状で前記内部と外部とを貫通する貫通孔に対して、スライド移動可能に取付ける取付部とが備えられ、前記ハーネス保持部は、前記所定方向に直交する方向の長さが前記貫通孔より長く形成されるとともに、前記内部から前記プロテクタに接触する幅広部が備えられ、前記取付部は、前記貫通孔に配置され、前記所定方向に直交する方向の長さが前記貫通孔より短い挿通部と、前記所定方向に直交する方向の長さが前記貫通孔より長く、かつ前記貫通孔の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されるとともに、前記外部から前記プロテクタに接触する抜出防止部とが備えられたことを特徴とする。
【0014】
上記長孔形状とは、所定方向に長い長楕円形状、あるいは所定方向に長い略矩形などのことをいう。
上記貫通孔の貫通方向に厚みを有する略板状とは、挿通部が挿入される空間を有する略板状、あるいは平板形状のことをいう。
【0015】
この発明によれば、クランプ付プロテクタ、プロテクタ付ワイヤーハーネス及びクランプは、プロテクタの内部に配置したワイヤーハーネスの脱落を防止することができる。
【0016】
具体的には、貫通孔よりも幅広なハーネス保持部の幅広部、及び取付部の抜出防止部を備えたことにより、クランプは、所定位置に取付けられた状態において、貫通孔の貫通方向の両側からプロテクタを、ハーネス保持部の幅広部と取付部の抜出防止部とで挟み込むことができる。このため、クランプは、例えば湾曲させて配索するワイヤーハーネスの反力が作用した場合であっても、クランプの傾倒を抑えることができる。
【0017】
さらに、抜出防止部が貫通孔の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されているため、クランプは、係止によって所定位置に取付ける場合に比べて、プロテクタとの接触面積を大きく確保することができる。
このため、例えば貫通方向を中心に回転するように捩れた場合であっても、クランプは、少なくとも抜出防止部の主面における一部をプロテクタに接触させることができる。
【0018】
これにより、クランプは、例えば湾曲させて配索するワイヤーハーネスの反力によって、所定位置に取付けられた状態が意図せず解消されることを、ハーネス保持部の幅広部と取付部の抜出防止部との協働によって阻止することができる。
したがって、クランプ付プロテクタ、プロテクタ付ワイヤーハーネス及びクランプは、プロテクタの内部に配置したワイヤーハーネスの脱落を防止することができる。
【0019】
この発明の態様として、前記幅広部は、前記プロテクタを前記外部に向かって付勢する弾性幅広部であってもよい。
この構成によれば、クランプは、弾性幅広部である幅広部がプロテクタを外部に向かって付勢するため、保持したワイヤーハーネスの揺れ動きを幅広部によって吸収することができる。これにより、クランプは、ワイヤーハーネスの揺れ動きに伴う異音の発生を防止することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、少なくとも、前記ハーネス保持部と前記抜出防止部とが係合可能に別体構成されてもよい。
上述の少なくとも、ハーネス保持部と抜出防止部とが係合可能に別体構成されているとは、ハーネス保持部と挿通部とが一体構成され、抜出防止部が別体構成されている場合、挿通部と抜出防止部とが一体構成され、ハーネス保持部が別体構成されている場合、さらには、ハーネス保持部、挿通部及び抜出防止部が別体構成されている場合が含まれる。
【0021】
この構成によれば、少なくともプロテクタの外部に配置される抜出防止部が、ハーネス保持部に対して係合可能に別体構成されているため、クランプは、挿通部を貫通孔に容易に挿通できるとともに、挿通部を貫通孔に挿通後、抜出防止部をハーネス保持部に係合することができる。
【0022】
このため、クランプは、ハーネス保持部の幅広部と取付部の抜出防止部とで、プロテクタを容易に、かつ確実に挟み込むことができる。
よって、クランプは、プロテクタの所定位置に対するワイヤーハーネスの取付作業性を損なうことなく、プロテクタの内部に配置したワイヤーハーネスの脱落を防止することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記挿通部は前記ハーネス保持部と一体構成され、前記ハーネス保持部と一体構成された前記挿通部が、前記外部で前記抜出防止部と係合してもよい。
この構成によれば、クランプは、ハーネス保持部に一体構成された挿通部を、プロテクタの内部から外部へ向けて貫通孔に挿通し、ハーネス保持部とは別体の抜出防止部を、プロテクタの外部で挿通部に係合させることができる。
【0024】
これにより、クランプは、ハーネス保持部の幅広部と取付部の抜出防止部とでプロテクタを容易に挟み込むことができるため、プロテクタの所定位置に対するワイヤーハーネスの取付作業性を向上することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記抜出防止部に、前記貫通孔の貫通方向に沿って前記挿通部が係合する被係合孔が設けられ、前記挿通部に、前記抜出防止部の前記被係合孔に対して係合する係合部分が設けられてもよい。
【0026】
この構成によれば、ハーネス保持部に一体構成された挿通部をプロテクタの内部から外部へ向けて貫通孔に挿通する過程で、クランプは、挿通部を抜出防止部に係合させることができる。このため、クランプは、プロテクタの所定位置に対するワイヤーハーネスの取付作業性をさらに向上することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記プロテクタは、前記外部に配置された前記抜出防止部を、前記貫通孔に対して位置規制する位置規制部が設けられてもよい。
この構成によれば、抜出防止部が貫通孔に対して位置規制されているため、挿通部を抜出防止部に係合する際、クランプ付プロテクタは、抜出防止部が意図せず脱落して係合できないといった不具合の発生を防止することができる。
【0028】
このため、クランプ付プロテクタは、抜出防止部に対する挿通部の係合を容易にして、プロテクタに対するワイヤーハーネスの取付作業性をさらに向上することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記抜出防止部に、前記貫通孔の貫通方向に対して交差する方向に沿って前記挿通部に係止する係止部分が設けられ、前記挿通部に、前記抜出防止部の前記係止部分と係止する被係止部分が設けられてもよい。
【0030】
この構成によれば、クランプは、プロテクタの外部において、ハーネス保持部に一体構成された挿通部に、抜出防止部を貫通方向に対して交差する方向に沿って組付けるだけで、挿通部と抜出防止部とを係合することができる。
【0031】
これにより、クランプは、ハーネス保持部の幅広部と取付部の抜出防止部とでプロテクタを容易に挟み込むことができるため、プロテクタの所定位置に対するワイヤーハーネスの取付作業性を向上することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記抜出防止部の前記係止部分と前記挿通部の前記被係止部分とは、着脱自在に係止する構成であってもよい。
この構成によれば、クランプは、挿通部と前記抜出防止部との係止状態を解消できるため、プロテクタからのワイヤーハーネスの取外しを容易にすることができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記貫通孔は、前記プロテクタの端縁部から前記所定位置を通る前記所定方向に沿って切り欠いて形成され、前記貫通孔における前記所定方向の端縁部側の開放された端部を開放端部として、前記取付部は、前記ハーネス保持部と一体構成されるとともに、前記開放端部から前記所定方向に沿って装着可能に形成されてもよい。
【0034】
この構成によれば、プロテクタの端縁部から所定方向に沿って切り欠いた貫通孔に対して、挿通部を所定方向に沿って挿通できるため、クランプは、ハーネス保持部に一体構成された取付部を、プロテクタの貫通孔に容易に取付けることができる。
【0035】
さらに、取付部がハーネス保持部に一体構成されているため、クランプは、例えばプロテクタの外部から内部へ向けたワイヤーハーネスの反力によって、ハーネス保持部と取付部とが分離することがない。
【0036】
このため、クランプは、ハーネス保持部の幅広部と取付部の抜出防止部とで、プロテクタを容易に、かつ確実に挟み込むことができる。
よって、クランプは、プロテクタの所定位置に対するワイヤーハーネスの取付作業性を損なうことなく、プロテクタの内部に配置したワイヤーハーネスの脱落を防止することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記プロテクタは、前記貫通孔の前記開放端部を塞ぐ蓋部が設けられてもよい。
この構成によれば、クランプ付プロテクタは、貫通孔に装着されたクランプが、意図せず開放端部から脱落することを蓋部によって防止することができる。このため、クランプ付プロテクタは、プロテクタに対してワイヤーハーネスをより安定して取付けることができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記プロテクタは、前記蓋部を開閉自在に支持する枢動支持部が設けられてもよい。
この構成によれば、クランプ付プロテクタは、着脱自在な蓋部に比べて、貫通孔の開放端部を容易に塞ぐことができる。このため、クランプ付プロテクタは、プロテクタの所定位置に対するワイヤーハーネスの取付作業性を向上することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記プロテクタは、前記ワイヤーハーネスの幹線を収容する幹線収容部と、前記幹線から分岐した枝線を収容する枝線収容部とを有し、前記貫通孔が前記枝線収容部に設けられてもよい。
【0040】
この構成によれば、クランプ付プロテクタは、ワイヤーハーネスの枝線を枝線収容部の所定位置にクランプを介して取付けることができる。
さらに、枝線を所定位置に取付ける際、枝線を保持するクランプが枝線収容部の貫通孔の長手方向に沿って移動できるため、クランプ付プロテクタは、枝線を容易に所定位置に取付けることができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記貫通孔が、前記ワイヤーハーネスの幹線から分岐した枝線を収容する前記プロテクタの枝線収容部に設けられ、前記幹線から前記枝線が分岐する箇所を分岐部とし、該分岐部から前記枝線における前記クランプが取り付けられた取付位置までの長さを基準長さとして、前記貫通孔の前記開放端部が、前記分岐部から前記基準長さを半径とした領域の領域外に配置されてもよい。
【0042】
この構成によれば、貫通孔に装着したクランプのハーネス保持部で枝線を保持した際、クランプ付プロテクタは、分岐部から基準長さを半径とした領域の領域外に、貫通孔の開放端部が位置することになる。つまり、貫通孔の開放端部が、枝線を保持したクランプのスライド移動の範囲を超えた位置に位置することになる。
【0043】
これにより、クランプ付プロテクタは、枝線を保持したクランプが、貫通孔に沿ってスライド移動した際、開放端部に到達することを防止できる。このため、クランプ付プロテクタは、枝線を保持したクランプが、意図せず貫通孔から脱落することをより確実に防止できる。
【0044】
またこの発明の態様として、前記枝線収容部の前記貫通孔は、前記枝線収容部における前記枝線の配索方向に対して、長手方向が沿うように形成されてもよい。
この構成によれば、枝線収容部における枝線の配索方向と、貫通孔の長手方向が略一致するため、クランプ付プロテクタは、ワイヤーハーネスの枝線における長さ公差を吸収することができる。このため、クランプ付プロテクタは、枝線収容部の所定位置に枝線をより容易に取付けることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明により、プロテクタの内部に配置したワイヤーハーネスの脱落を防止できるクランプ付プロテクタ、プロテクタ付ワイヤーハーネス及びクランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】上方側から見たプロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
図2】プロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す平面図。
図3】上方側から見たクランプ付プロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図4】下方側から見たクランプ付プロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図5図2中のA-A矢視断面図。
図6図2中のB-B矢視断面図。
図7図1中のC-C矢視断面図。
図8】実施例2におけるプロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
図9】下方側から見たプロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
図10】プロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す平面図。
図11】上方側から見たクランプ付プロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図12】下方側から見たクランプ付プロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図13図10中のD-D矢視断面図。
図14図10中のE-E矢視断面図。
図15】実施例3におけるプロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
図16】プロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す平面図。
図17】上方側から見たクランプ付プロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図18】下方側から見たクランプ付プロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図19図15中のF-F矢視断面図。
図20】枝線収容部の底部の構成を説明する説明図。
図21図16中のG-G矢視断面図。
図22図16中のH-H矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0048】
実施例1では、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10の内部にクランプ20を介して取付けたプロテクタ付ワイヤーハーネス1について、図1から図7を用いて説明する。
なお、図1は上方側から見たプロテクタ付ワイヤーハーネス1の外観斜視図を示し、図2はプロテクタ付ワイヤーハーネス1の平面図を示し、図3は上方側から見たクランプ付プロテクタ3の分解斜視図を示し、図4は下方側から見たクランプ付プロテクタ3の分解斜視図を示している。
【0049】
さらに、図5図2中のA-A矢視断面図を示し、図6図2中のB-B矢視断面図を示し、図6図1中のC-C矢視断面図を示している。
また、図1中の上側を上方とし、図1中の下側を下方として、図中の矢印X1は、平面視におけるワイヤーハーネス2の幹線2aの配索方向(以下、幹線配索方向X1と呼ぶ)を示している。
【0050】
さらに、図中の矢印X2は、平面視におけるワイヤーハーネス2の枝線2bの配索方向(以下、枝線配索方向X2と呼ぶ)を示し、図中の矢印Yは、枝線配索方向X2に対して平面視略直交する幅方向(以下、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0051】
実施例1のプロテクタ付ワイヤーハーネス1は、図1及び図2に示すように、枝線2bを有するワイヤーハーネス2と、ワイヤーハーネス2を保護するクランプ付プロテクタ3とを備えている。
【0052】
まず、ワイヤーハーネス2は、複数の電線(図示省略)を束ねた幹線2aと、幹線2aから分岐した枝線2bとを備えている。
このワイヤーハーネス2は、図2に示すように、幹線2aが幹線配索方向X1に沿って僅かに屈曲した平面視略クランク状に配索され、幹線2aにおける所定の分岐位置から分岐した枝線2bが、幹線配索方向X1に平面視で交差する枝線配索方向X2に沿って配索されている。
【0053】
なお、ワイヤーハーネス2は、幹線2aにおける所定取付位置が図示を省略した結束バンドなどで保持され、枝線2bにおける所定取付位置が後述するクランプ付プロテクタ3のクランプ20で保持され、それぞれ後述するクランプ付プロテクタ3のプロテクタ10に取付けられている。
【0054】
一方、クランプ付プロテクタ3は、図1及び図2に示すように、ワイヤーハーネス2を内部に配置するプロテクタ10と、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10の内部の所定位置に取付けるクランプ20とを備えている。
【0055】
クランプ付プロテクタ3のプロテクタ10は、図1及び図2に示すように、ワイヤーハーネス2の幹線2aを内部に収容する断面凹形状の幹線収容部11と、ワイヤーハーネス2の枝線2bを内部に収容する断面凹形状の枝線収容部12とを備えている。
【0056】
さらに、プロテクタ10は、図1及び図3に示すように、枝線収容部12の下方側に、枝線収容部12に取付けるクランプ20の下部(後述する抜出防止部23)の位置を規制する位置規制部13と、位置規制部13を挟んで幅方向Yに対向配置された一対の下方壁部14とを備えている。
【0057】
詳述すると、プロテクタ10の幹線収容部11は、図2及び図3に示すように、上方が開口した断面略凹形状を幹線配索方向X1に沿って延設した形状に形成されている。
この幹線収容部11は、上下方向に厚みを有する平板状の底部111と、幹線配索方向X1に対して平面視略直交する方向で対向する平板状の一対の側壁部112とで、上方が開口した断面凹形状に形成されている。
【0058】
そして、幹線収容部11は、図2に示すように、底部111と一対の側壁部112とで囲われた空間を幹線収容部11の内部S1として、内部S1にワイヤーハーネス2の幹線2aを収容している。
【0059】
具体的には、幹線収容部11の底部111は、図2に示すように、ワイヤーハーネス2の幹線2aの配索経路に沿った平面視略クランク形状に形成されている。この底部111は、幹線配索方向X1に対して平面視略直交する方向の長さが、ワイヤーハーネス2の幹線2aの直径よりも僅かに長くなるように形成されている。
【0060】
また、幹線収容部11の一対の側壁部112は、図2及び図3に示すように、幹線配索方向X1に対して平面視略直交する方向における底部111の端部から上方へ向けて立設されている。
さらに、一対の側壁部112のうち、枝線収容部12側の一方の側壁部112には、ワイヤーハーネス2の枝線2bが導出される導出口11aが、幹線2aにおける枝線2bの分岐位置の近傍に開口形成されている。
【0061】
また、プロテクタ10の枝線収容部12は、図2から図4に示すように、幹線収容部11から分岐するとともに、上方が開口した断面略凹形状を枝線配索方向X2に沿って延設した形状に形成されている。
【0062】
この枝線収容部12は、図2から図4に示すように、上下方向に厚みを有する平板状の底部121と、枝線配索方向X2に対して平面視略直交する幅方向Yで対向する平板状の一対の側壁部122とで、上方が開口した断面凹形状に形成されている。
【0063】
そして、枝線収容部12は、図2に示すように、底部121と一対の側壁部122とで囲われた空間を枝線収容部12の内部S2として、内部S2にワイヤーハーネス2の枝線2bを収容している。
【0064】
具体的には、枝線収容部12の底部121は、図2に示すように、幹線収容部11の底部111から枝線配索方向X2へ向けて分岐するように、幹線収容部11の底部111から枝線配索方向X2へ向けて延設され、幹線収容部11の底部111とでプロテクタ10の底部を構成している。
なお、以降の説明を容易にするため、枝線配索方向X2において、枝線収容部12の底部121における幹線収容部11とは逆側の端部を、枝線収容部12の端縁部12aとする。
【0065】
また、枝線収容部12の一対の側壁部122は、図2及び図3に示すように、底部121における幅方向Yの端部から上方へ向けて立設されている。この一対の側壁部122は、幹線収容部11側の縁端が、導出口11aを形成する幹線収容部11の側壁部112の縁端に連結されている。
【0066】
このような枝線収容部12には、図3に示すように、クランプ20が取付けられる貫通孔123が、底部121の所定位置に開口形成されている。この貫通孔123は、図2及び図3に示すように、内部S2から下方の外部へ向けて底部121を貫通する開口であって、平面視略長楕円形状に開口形成されている。
なお、貫通孔123は、図2に示すように、平面視略長楕円形状の長軸方向が枝線配索方向X2に略一致するように開口形成されている。
【0067】
具体的には、貫通孔123は、図2及び図5に示すように、枝線収容部12の端縁部12aから枝線配索方向X2に所定間隔だけ離間した位置をクランプ20が取付けられる所定位置Kとして、所定位置Kから端縁部12aへ向けて延びる平面視略長楕円形状に形成されている。
【0068】
この貫通孔123のおける枝線配索方向X2の長さは、所定位置Kから枝線配索方向X2の端縁部12a側へ向けて、所定のスライド範囲Lだけクランプ20がスライド移動可能な長さに形成されている。
なお、スライド範囲Lは、例えば枝線2bにおける長手方向の長さ公差を、クランプ20のスライド移動によって吸収可能な範囲とする。
【0069】
また、プロテクタ10の位置規制部13は、図3及び図4に示すように、枝線収容部12の底部121の下面に設けられ、枝線配索方向X2における幹線収容部11側が閉口し、枝線配索方向X2の端縁部12a側が開口した略ボックス形状を、底部121とで形成している。
【0070】
そして、位置規制部13は、図5及び図6に示すように、端縁部12a側の開口を、後述するクランプ20の抜出防止部23が挿入される挿入口13aとして、その内部空間に抜出防止部23を収容するとともに、貫通孔123に対する抜出防止部23の位置を底部121とで規制している。
【0071】
この位置規制部13は、図5から図7に示すように、貫通孔123を挟んで幅方向Yに対向配置された略平板状の一対の第1規制壁部131と、第1規制壁部131における幹線収容部11側の端部を連結する略平板状の第2規制壁部132とを備えている。
【0072】
さらに、位置規制部13は、図5及び図6に示すように、一対の第1規制壁部131及び1つの第2規制壁部132で囲われた下方の開口を閉塞する略平板状の規制底部133を備えている。
加えて、位置規制部13は、図3及び図4に示すように、挿入口13aを閉塞する蓋部134と、蓋部134を枢動自在に支持する枢動支持部135とを備えている。
【0073】
具体的には、位置規制部13の一対の第1規制壁部131は、図6及び図7に示すように、後述するクランプ20の抜出防止部23における幅方向Yの長さと略同じ幅方向Yの間隔を隔てて対向配置されている。
【0074】
この第1規制壁部131は、図5及び図7に示すように、枝線収容部12の端縁部12aから、貫通孔123よりも幹線収容部11側の位置に至る枝線配索方向X2の長さと、後述するクランプ20の抜出防止部23における上下方向の長さと略同じ上下方向とを有する略平板状に形成されている。
【0075】
また、位置規制部13の第2規制壁部132は、図7に示すように、貫通孔123よりも幹線収容部11側で一対の第1規制壁部131を幅方向Yに連結している。この第2規制壁部132には、図7に示すように、後述する一対の下方壁部14が連結されている。
【0076】
また、位置規制部13の規制底部133は、図5及び図6に示すように、枝線収容部12の貫通孔123に対して下方に対向配置され、一対の第1規制壁部131の下端及び1つの第2規制壁部132の下端に連結されている。
【0077】
また、位置規制部13の蓋部134は、図3及び図4に示すように、位置規制部13の挿入口13aを閉塞可能な略平板状の蓋本体134aと、一方の下方壁部14に係止される一対の係止爪部134bとを備えている。
なお、蓋部134は、上下方向を回転軸として回動可能な状態で、他方の下方壁部14に連結されている。
【0078】
具体的には、蓋本体134aは、図5及び図7に示すように、位置規制部13の挿入口13aにおける上下方向の長さよりも長い上下方向の長さと、幅方向Yにおける下方壁部14の間隔に略同じ幅方向Yの長さとを有する略矩形の平板に形成されている。
【0079】
一方、係止爪部134bは、図4に示すように、蓋本体134aにおける幅方向Yの一端に、上下方向に所定間隔を隔てて突設されている。この係止爪部134bは、図7に示すように、蓋本体134aが挿入口13aを閉塞した状態において、一方の下方壁部14の湾曲した端部に係止可能に形成されている。
【0080】
また、位置規制部13の枢動支持部135は、図7に示すように、他方の下方壁部14に対して蓋部134における幅方向Yの他端を、上下方向を回転軸として枢動自在に連結している。
【0081】
この枢動支持部135は、蓋部134の肉厚よりも薄肉の可撓性を有する板状であって、下方壁部14から幅方向Yの一方へ延設したのち、幅方向Yの他方へ折り返した先端を蓋部134の蓋本体134aに連結した形状に形成されている。
【0082】
また、プロテクタ10の一対の下方壁部14は、図4図6及び図7に示すように、位置規制部13を挟んで幅方向Yに対向配置されるとともに、枝線収容部12の底部121を挟んで側壁部122に連続するように底部121の下面から下方へ向けて延設されている。
【0083】
この一対の下方壁部14のうち、一方の下方壁部14は、図4及び図7に示すように、幹線収容部11側の端部が湾曲して位置規制部13の第2規制壁部132に連結され、端縁部12a側の端部が、他方の下方壁部14へ向けて僅かに延設された形状に形成されている。
【0084】
一方、一対の下方壁部14のうち、他方の下方壁部14は、図4及び図7に示すように、幹線収容部11側の端部が湾曲して位置規制部13の第2規制壁部132に連結され、端縁部12a側の端部に枢動支持部135が連結されている。
【0085】
また、上述したプロテクタ10に取付けるクランプ20は、図1から図5に示すように、枝線収容部12の内部S2に配置されるハーネス保持部21と、貫通孔123に配置される挿通部22と、位置規制部13の内部に配置される抜出防止部23とが備えられている。
そして、クランプ20は、図3から図5に示すように、挿通部22がハーネス保持部21に一体形成され、抜出防止部23がハーネス保持部21とは別体で構成されている。
【0086】
より詳しくは、クランプ20のハーネス保持部21は、図1及び図2に示すように、枝線収容部12の内部S2において、ワイヤーハーネス2の枝線2bにおける所定取付位置を保持している。
【0087】
このハーネス保持部21は、図3及び図4に示すように、ワイヤーハーネス2の枝線2bに巻き回される結束バンド211と、結束バンド211が挿通される基部212と、基部212の下面に一体形成された幅広部213とを備えている。
【0088】
具体的には、ハーネス保持部21の結束バンド211は、図3及び図6に示すように、所定方向に延びる略帯状のバンド部211aと、バンド部211aの長手方向の基端に連設され、バンド部211aが固定されるロック部211bとを備えている。
【0089】
また、ハーネス保持部21の基部212は、図3及び図4に示すように、上下方向に延びる略円柱状に形成されている。この基部212には、図5及び図6に示すように、基部212の径方向に沿って貫通するとともに、結束バンド211のバンド部211aが挿通される挿着孔212aが開口形成されている。
【0090】
また、ハーネス保持部21の幅広部213は、図3及び図4に示すように、基部212から下方へ向けて広がる略傘状に形成されるとともに、枝線収容部12の内部S2から下方の外部へ向けて、枝線収容部12の底部121を付勢する弾性形状に形成されている。
【0091】
具体的には、幅広部213は、図2図5、及び図6に示すように、貫通孔123における幅方向Yの長さW1よりも長い直径の平面視略円形の傘状であって、基部212から先端へ向かうほど漸次、薄肉となるように形成されている。
【0092】
このため、幅広部213は、枝線収容部12に取付けた状態において、少なくとも幅方向Yの両端近傍が、底部121の上面に内部S2から接触するとともに、内部S2から下方の外部へ向けて枝線収容部12の底部121を付勢している。
【0093】
また、クランプ20の挿通部22は、抜出防止部23に係合可能に形成されている。さらに、挿通部22は、ハーネス保持部21を貫通孔123に対してスライド移動可能に取付ける取付部を抜出防止部23とで構成している。
この挿通部22は、図4及び図5に示すように、ハーネス保持部21の基部212と同軸上に配置され、ハーネス保持部21の幅広部213から下方へ向けて延設されている。
【0094】
具体的には、挿通部22は、図5及び図6に示すように、貫通孔123における幅方向Yの長さW1よりも僅かに短い外径で、上下方向に沿った縦断面における断面形状が断面逆ツリー形状の略円柱状体に形成されている。この挿通部22における周面の凹凸は、抜出防止部23に係合する係合部分22aとして形成されている。
【0095】
また、クランプ20の抜出防止部23は、図3から図5に示すように、貫通孔123の貫通方向である上下方向に厚みを有する平面視略矩形の略板状であって、挿通部22の係合部分22aが上方から下方に向けて係合する被係合孔23aが平面視略中央に形成されている。
なお、実施例1の抜出防止部23は、例えばインサートナットなどで構成され、上下方向に貫通するネジ孔を、挿通部22が係合する被係合孔23aとしている。
【0096】
具体的には、抜出防止部23は、図6に示すように、貫通孔123における幅方向Yの長さW1よりも長い幅方向Yの長さW2を有する平面視略矩形に形成されている。
なお、抜出防止部23は、枝線配索方向X2の長さが、幅方向Yの長さW2に略一致する平面視略矩形に形成されている。
【0097】
このような構成のため、抜出防止部23は、図6に示すように、位置規制部13に収容された状態において、少なくとも幅方向Yの両端近傍が、底部121の下面に対して枝線収容部12の外部から接触する。
【0098】
次に、上述した構成のプロテクタ付ワイヤーハーネス1における組付け工程について、一例を用いて簡単に説明する。
まず、作業者または組付け装置は、プロテクタ10の位置規制部13にクランプ20の抜出防止部23を収容するとともに、蓋部134を閉じて位置規制部13の挿入口13aを閉塞する。
【0099】
さらに、作業者または組付け装置は、ワイヤーハーネス2の幹線2aから分岐した枝線2bの所定取付位置に対してクランプ20のハーネス保持部21を装着する。この際、作業者または組付け装置は、ハーネス保持部21の基部212に挿通した結束バンド211を、枝線2bの所定取付位置に巻き回して枝線2bを保持する。
【0100】
その後、作業者または組付け装置は、プロテクタ10の幹線収容部11にワイヤーハーネス2の幹線2aに収容したのち、図示を省略した結束バンドなどで幹線収容部11に幹線2aを固定する。
【0101】
さらに、作業者または組付け装置は、枝線収容部12の内部S2から外部へ向けて、クランプ20の挿通部22を枝線収容部12の貫通孔123に挿通するとともに、クランプ20の挿通部22を抜出防止部23の被係合孔23aに係合しながら、枝線収容部12にワイヤーハーネス2の枝線2bを収容する。
【0102】
この際、作業者または組付け装置は、貫通孔123の長軸方向すなわち枝線配索方向X2に沿って抜出防止部23をスライド移動させながら、挿通部22を抜出防止部23に係合する。
【0103】
そして、作業者または組付け装置は、クランプ20の幅広部213が枝線収容部12の底部121に接触するまで、挿通部22を抜出防止部23に挿通する。このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ付ワイヤーハーネス1の組付け作業を完了する。
【0104】
以上のように、実施例1のクランプ20は、ワイヤーハーネス2を内部S2に配置するプロテクタ10に対して、内部S2の所定位置Kにワイヤーハーネス2を取付けるものである。
このプロテクタ10は、内部S2に配置され、ワイヤーハーネス2を保持するハーネス保持部21と、クランプ20の所定位置Kに設けられ、クランプ20が移動可能な長さで所定方向(枝線配索方向X2)に延びる長孔形状で内部S2と外部とを貫通する貫通孔123に対して、スライド移動可能に取付ける取付部とが備えられている。
【0105】
そして、ハーネス保持部21は、幅方向Yの長さが貫通孔123より長く形成されるとともに、内部S2からプロテクタ10に接触する幅広部213が備えられている。
一方、取付部は、貫通孔123に配置され、幅方向Yの長さが貫通孔123より短い挿通部22と、幅方向Yの長さW2が貫通孔123より長く、かつ貫通孔123の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されるとともに、外部からプロテクタ10に接触する抜出防止部23とが備えられている。
【0106】
また、実施例1のクランプ付プロテクタ3は、上述したクランプ20と、クランプ20が移動可能な長さで所定方向(枝線配索方向X2)に延びる長孔形状の貫通孔123が所定位置Kに設けられたプロテクタ10とを備えている。
【0107】
また、実施例1のプロテクタ付ワイヤーハーネス1は、上述したクランプ付プロテクタ3と、クランプ付プロテクタ3におけるプロテクタ10の内部S2に配置され、内部S2の所定位置Kにクランプ20で取付けたワイヤーハーネス2とが備えられている。
【0108】
この構成によれば、クランプ付プロテクタ3、プロテクタ付ワイヤーハーネス1及びクランプ20は、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落を防止することができる。
【0109】
具体的には、貫通孔123よりも幅広なハーネス保持部21の幅広部213、及び取付部の抜出防止部23を備えたことにより、クランプ20は、所定位置Kに取付けられた状態において、貫通孔123の貫通方向の両側からプロテクタ10を、ハーネス保持部21の幅広部213と取付部の抜出防止部23とで挟み込むことができる。このため、クランプ20は、例えば湾曲させて配索するワイヤーハーネス2の反力が作用した場合であっても、クランプ20の傾倒を抑えることができる。
【0110】
さらに、抜出防止部23が貫通孔123の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されているため、クランプ20は、係止によって所定位置Kに取付ける場合に比べて、プロテクタ10との接触面積を大きく確保することができる。
【0111】
このため、例えば貫通方向を中心に回転するように捩れた場合であっても、クランプ20は、少なくとも抜出防止部23の主面における一部をプロテクタに接触させることができる。
【0112】
これにより、クランプ20は、例えば湾曲させて配索するワイヤーハーネス2の反力によって、所定位置Kに取付けられた状態が意図せず解消されることを、ハーネス保持部21の幅広部213と取付部の抜出防止部23との協働によって阻止することができる。
【0113】
したがって、クランプ付プロテクタ3、プロテクタ付ワイヤーハーネス1及びクランプ20は、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落を防止することができる。
【0114】
加えて、所定方向(枝線配索方向X2)に長い長孔形状の貫通孔123にクランプ20が取付けられるため、クランプ20は、枝線配索方向X2に沿って容易に移動することができる。このため、クランプ付プロテクタ3は、ワイヤーハーネス2の長さ公差を、枝線配索方向X2に沿ったクランプ20のスライド移動によって吸収することができる。
【0115】
これにより、ハーネス保持部21が保持したワイヤーハーネス2を所定位置Kに取付ける場合、あるいは所定位置Kに取付けられたクランプ20にワイヤーハーネス2の所定取付位置を保持させる場合であっても、クランプ付プロテクタ3は、所定位置Kに対するワイヤーハーネス2の取付作業性を向上することができる。
【0116】
また、幅広部213がプロテクタ10を外部に向かって付勢する傘状であるため、クランプ20は、保持したワイヤーハーネス2の揺れ動きを幅広部213によって吸収することができる。これにより、クランプ20は、ワイヤーハーネス2の揺れ動きに伴う異音の発生を防止することができる。
【0117】
また、少なくともプロテクタ10の外部に配置される抜出防止部23が、ハーネス保持部21に対して係合可能に別体構成されているため、クランプ20は、挿通部22を貫通孔123に容易に挿通できるとともに、挿通部22を貫通孔123に挿通後、抜出防止部23をハーネス保持部21に係合することができる。
【0118】
このため、クランプ20は、ハーネス保持部21の幅広部213と取付部の抜出防止部23とで、プロテクタ10を容易に、かつ確実に挟み込むことができる。
よって、クランプ20は、プロテクタ10の所定位置Kに対するワイヤーハーネス2の取付作業性を損なうことなく、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落を防止することができる。
【0119】
また、挿通部22がハーネス保持部21と一体構成され、ハーネス保持部21と一体構成された挿通部22が、外部で抜出防止部23と係合しているため、クランプ20は、ハーネス保持部21に一体構成された挿通部22を、プロテクタ10の内部S2から外部へ向けて貫通孔123に挿通し、ハーネス保持部21とは別体の抜出防止部23を、プロテクタ10の外部で挿通部22に係合させることができる。
【0120】
これにより、クランプ20は、ハーネス保持部21の幅広部213と取付部の抜出防止部23とでプロテクタ10を容易に挟み込むことができるため、プロテクタ10の所定位置Kに対するワイヤーハーネス2の取付作業性を向上することができる。
【0121】
また、抜出防止部23は、貫通孔123の貫通方向に沿って挿通部22が係合する被係合孔23aが設けられ、挿通部22は、抜出防止部23の被係合孔23aに対して係合する係合部分22aが設けられている。
【0122】
この構成によれば、ハーネス保持部21に一体構成された挿通部22をプロテクタ10の内部S2から外部へ向けて貫通孔123に挿通する過程で、クランプ20は、挿通部22を抜出防止部23に係合させることができる。このため、クランプ20は、プロテクタ10の所定位置Kに対するワイヤーハーネス2の取付作業性をさらに向上することができる。
【0123】
また、プロテクタ10に、外部に配置された抜出防止部23を、貫通孔123に対して位置規制する位置規制部13が設けられているため、抜出防止部23が貫通孔123に対して位置規制され、挿通部22を抜出防止部23に係合する際、クランプ付プロテクタ3は、抜出防止部23が意図せず脱落して係合できないといった不具合の発生を防止することができる。
【0124】
よって、クランプ付プロテクタ3は、抜出防止部23に対する挿通部22の係合を容易にして、プロテクタ10に対するワイヤーハーネス2の取付作業性をさらに向上することができる。
【0125】
また、プロテクタ10が、ワイヤーハーネス2の幹線2aを収容する幹線収容部11と、幹線2aから分岐した枝線2bを収容する枝線収容部12とを有し、貫通孔123が枝線収容部12に設けられているため、クランプ付プロテクタ3は、ワイヤーハーネス2の枝線2bを枝線収容部12の所定位置Kにクランプ20を介して取付けることができる。
【0126】
さらに、枝線2bを所定位置Kに取付ける際、枝線2bを保持するクランプ20が枝線配索方向X2に沿って移動できるため、クランプ付プロテクタ3は、枝線2bを容易に所定位置Kに取付けることができる。
【0127】
また、枝線収容部12の貫通孔123が、枝線配索方向X2に対して、長手方向が沿うように形成されているため、クランプ付プロテクタ3は、ワイヤーハーネス2の枝線2bにおける長さ公差を吸収することができる。このため、クランプ付プロテクタ3は、枝線収容部12の所定位置Kに枝線2bをより容易に取付けることができる。
【0128】
また、抜出防止部23における枝線配索方向X2の長さ、及び幅方向Yの長さW2が、貫通孔123における幅方向Yの長さW1よりも長いため、仮に位置規制部13を設けていない場合でも、クランプ20は、上下方向を回転中心とした回動によって貫通孔123から離脱することがない。
【0129】
これにより、クランプ付プロテクタ3、プロテクタ付ワイヤーハーネス1及びクランプ20は、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落をさらに確実に防止することができる。
【0130】
また、ワイヤーハーネス2を保持したクランプ20を貫通孔123に装着するだけで、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10に取付けることができるため、クランプ付プロテクタ3は、ワイヤーハーネスをプロテクタの内部に配置したのち、プロテクタに挿通させた結束バンドをワイヤーハーネスに巻き回して固定する場合に比べて、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10に容易に取付けることができる。
【実施例0131】
実施例2のプロテクタ付ワイヤーハーネス4は、上述した実施例1に対してクランプ付プロテクタの構成が異なる。このような実施例2のプロテクタ付ワイヤーハーネス4について、図8から図14を用いて説明する。
【0132】
なお、図8は実施例2におけるプロテクタ付ワイヤーハーネス4の外観斜視図を示し、図9は下方側から見たプロテクタ付ワイヤーハーネス4の外観斜視図を示し、図10はプロテクタ付ワイヤーハーネス4の平面図を示している。
【0133】
さらに、図11は上方側から見たクランプ付プロテクタ5の分解斜視図を示し、図12は下方側から見たクランプ付プロテクタ5の分解斜視図を示し、図13図10中のD-D矢視断面図を示し、図14図10中のE-E矢視断面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0134】
実施例2のプロテクタ付ワイヤーハーネス4は、図8に示すように、枝線2bを有するワイヤーハーネス2と、ワイヤーハーネス2を保護するクランプ付プロテクタ5とを備えている。
【0135】
まず、クランプ付プロテクタ5は、図8から図10に示すように、ワイヤーハーネス2を内部に配置するプロテクタ10と、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10の内部の所定位置に取付けるクランプ30とを備えている。
【0136】
このプロテクタ10は、実施例1のプロテクタ10に対して、位置規制部13及び一対の下方壁部14が設けられていない点が異なるとともに、枝線収容部12の貫通孔の構成が異なる。
【0137】
詳述すると、プロテクタ10は、図8及び図10に示すように、ワイヤーハーネス2の幹線2aを内部に収容する断面凹形状の幹線収容部11と、ワイヤーハーネス2の枝線2bを内部に収容する断面凹形状の枝線収容部12とを備えている。
【0138】
さらに、プロテクタ10の枝線収容部12は、図10及び図11に示すように、上下方向に厚みを有する平板状の底部121と、幅方向Yで対向する平板状の一対の側壁部122とで、上方が開口した断面凹形状に形成されている。
【0139】
このような枝線収容部12には、図11に示すように、クランプ30が取付けられる貫通孔124が、底部121の所定位置に開口形成されている。この貫通孔124は、図10及び図11に示すように、内部S2から下方の外部へ向けて底部121を貫通する開口であって、所定方向に長い平面視略矩形に開口形成されている。
なお、貫通孔124は、図10に示すように、平面視略矩形の長手方向が枝線配索方向X2に略一致するように開口形成されている。
【0140】
具体的には、貫通孔124は、図10及び図13に示すように、枝線収容部12の端縁部12aから枝線配索方向X2に所定間隔だけ離間した位置をクランプ30が取付けられる所定位置Kとして、所定位置Kから端縁部12aへ向けて延びる平面視略矩形に形成されている。
【0141】
この貫通孔124のおける枝線配索方向X2の長さは、所定位置Kから枝線配索方向X2の端縁部12a側へ向けて、所定のスライド範囲Lだけクランプ30がスライド移動可能な長さに形成されている。
【0142】
また、上述したプロテクタ10に取付けるクランプ30は、図8から図13に示すように、プロテクタ10の内部S2に配置されるハーネス保持部31と、貫通孔124に配置される挿通部32と、枝線収容部12の外部に配置される抜出防止部33とが備えられている。
そして、クランプ30は、図12に示すように、挿通部32がハーネス保持部31に一体形成され、抜出防止部33がハーネス保持部31とは別体で構成されている。
【0143】
より詳しくは、クランプ30のハーネス保持部31は、図8及び図10に示すように、枝線収容部12の内部S2において、ワイヤーハーネス2の枝線2bにおける所定取付位置を保持している。
【0144】
このハーネス保持部31は、図11図12、及び図14に示すように、ワイヤーハーネス2の枝線2bに巻き回されるバンド部311と、バンド部311の基端に連接された平面視略矩形の基部312と、基部312の下面に一体形成された幅広部313とを備えている。
【0145】
具体的には、ハーネス保持部31のバンド部311及び基部312は、結束バンドと略同じ構成部分である。このハーネス保持部31の基部312には、枝線2bに巻き回されたバンド部311が、挿通されるとともに、係止されるロック部分(図示省略)が設けられている。
【0146】
また、ハーネス保持部31の幅広部313は、図12及び図13に示すように、基部312から下方へ向けて広がる一対の板状に形成されるとともに、枝線収容部12の内部S2から下方の外部へ向けて、枝線収容部12の底部121を付勢する弾性形状に形成されている。
【0147】
具体的には、幅広部313は、図12及び図13に示すように、枝線配索方向X2に所定間隔を隔てて対向配置され、基部312の下面から下方かつ枝線配索方向X2へ向けて延設された一対の板状体で構成されている。
【0148】
この幅広部313は、図13及び図14に示すように、幅方向Yの長さが貫通孔124における幅方向Yの長さW1よりも長く、基部312から先端へ向かうほど漸次、薄肉となるように形成されている。
【0149】
このため、幅広部313は、枝線収容部12に取付けた状態において、少なくとも幅方向Yの両端近傍が、底部121の上面に内部S2から接触するとともに、内部S2から下方の外部へ向けて枝線収容部12の底部121を付勢している。
【0150】
また、クランプ30の挿通部32は、抜出防止部33に係止可能に形成されている。さらに、挿通部32は、ハーネス保持部31を貫通孔124に対してスライド移動可能に取付ける取付部を抜出防止部33とで構成している。
【0151】
この挿通部32は、図13及び図14に示すように、ハーネス保持部31の幅広部313における枝線配索方向X2の略中央、かつ幅方向Yの略中央において、ハーネス保持部31の基部312から下方へ向けて延設されている。
【0152】
具体的には、挿通部32は、図12から図14に示すように、ハーネス保持部31の基部312の下面から下方へ向けて延びる略柱状の本体部分321と、本体部分321の下端から枝線配索方向X2へ突設された略平板状の嵌合部分322とを備えている。
挿通部32の本体部分321は、図12から図14に示すように、枝線配索方向X2に長い略矩形の柱状体であって、貫通孔124を貫通する上下方向の長さを有している。
【0153】
なお、挿通部32の本体部分321は、貫通孔124における幅方向Yの長さW1よりも僅かに短い幅方向Yの長さと、貫通孔124における枝線配索方向X2の長さよりも短い枝線配索方向X2の長さとを有する略柱状体に形成されている。
この本体部分321の下面には、図12及び図14に示すように、幅方向Yに沿って抜出防止部33が係止される被係止部分32aが幅方向Yの略中央に凹設されている。
【0154】
また、挿通部32の嵌合部分322は、図12及び図13に示すように、上下方向に厚みを有して、本体部分321の下端から枝線配索方向X2へ突設した一対の平板で構成されている。なお、嵌合部分322は、本体部分321と略同じ幅方向Yの長さで形成されている。
【0155】
また、クランプ30の抜出防止部33は、図9図12、及び図14に示すように、貫通孔124の貫通方向である上下方向に厚みを有する平面視略矩形の略板状であって、挿通部32の嵌合部分322が嵌合する内部空間を有するとともに、挿通部32の被係止部分32aに係止可能に形成されている。
【0156】
この抜出防止部33は、図14に示すように、貫通孔124における幅方向Yの長さW1よりも長い幅方向Yの長さW2を有する平面視略矩形に形成されている。
なお、抜出防止部33は、枝線配索方向X2の長さが、幅方向Yの長さW2よりも長く、かつスライド範囲Lをスライド移動可能な長さの平面視略矩形に形成されている。
【0157】
このような構成のため、抜出防止部33は、図14に示すように、枝線収容部12に取付けた状態において、少なくとも幅方向Yの両端近傍が、底部121の下面に対して枝線収容部12の外部から接触する。
【0158】
具体的には、抜出防止部33は、図11から図13に示すように、上下方向に厚みを有する略平板状の天板部分331と、天板部分331に対して下方に所定間隔を隔てて対向する底板部分332及び係止部分333と、天板部分331の連続する三辺から下方へ向けて延設された3つの側面部分334とで構成されている。
【0159】
この抜出防止部33の天板部分331には、図11及び図13に示すように、挿通部32の本体部分321が挿通される開口331aが、幅方向Yの略中央の端部から幅方向Yに沿って平面視略矩形に切り欠いて形成されている。
【0160】
また、抜出防止部33の底板部分332は、図12及び図13に示すように、挿通部32における嵌合部分322の厚みと略同じ上下方向の間隔を隔てて天板部分331に対向配置されるとともに、枝線配索方向X2に所定間隔を隔てて配置された一対の平板で構成されている。
【0161】
また、抜出防止部33の係止部分333は、図12及び図14に示すように、一対の底板部分332の間、かつ枝線配索方向X2の略中央に配置されている。換言すると、係止部分333は、天板部分331の開口331aに対向して配置されている。
【0162】
この係止部分333は、側面部分334の下端から幅方向Yの一方へ向けて延設されるとともに、その先端に、挿通部32の被係止部分32aに着脱自在に係止する係止爪が天板部分331へ向けて突設されている。
【0163】
また、抜出防止部33の3つの側面部分334は、図13及び図14に示すように、枝線配索方向X2に対向配置された2つの側面部分334と、幅方向Yの他方側に配置された1つの側面部分334とで構成されている。
【0164】
なお、枝線配索方向X2に対向配置された2つの側面部分334が、枝線配索方向X2における天板部分331の端部と底板部分332の端部とを連結し、幅方向Yの他方側に配置された1つの側面部分334が、幅方向Yの他方側における天板部分331の端部と、底板部分332の端部及び係止部分333の端部とを連結している。
【0165】
このような構成のため、抜出防止部33は、幅方向Yの一方側が開口した内部中空の略板状に形成されている。さらに、抜出防止部33は、天板部分331と底板部分332とで、挿通部32の嵌合部分322を挟持するとともに、係止部分333が挿通部32の被係止部分32aに係止される。
【0166】
次に、上述した構成のプロテクタ付ワイヤーハーネス4における組付け工程について、一例を用いて簡単に説明する。
まず、作業者または組付け装置は、ワイヤーハーネス2の幹線2aから分岐した枝線2bの所定取付位置にクランプ30のハーネス保持部31を装着する。この際、作業者または組付け装置は、ハーネス保持部31のバンド部311を、枝線2bの所定取付位置に巻き回して枝線2bを保持する。
【0167】
その後、作業者または組付け装置は、プロテクタ10の幹線収容部11にワイヤーハーネス2の幹線2aに収容したのち、図示を省略した結束バンドなどで幹線収容部11に幹線2aを固定する。
【0168】
さらに、作業者または組付け装置は、枝線収容部12の内部S2から外部へ向けて、クランプ30の挿通部32を枝線収容部12の貫通孔124に挿通しながら、枝線収容部12にワイヤーハーネス2の枝線2bを収容する。
【0169】
この際、作業者または組付け装置は、貫通孔124の長軸方向すなわち枝線配索方向X2に沿ってクランプ30のハーネス保持部31及び挿通部32をスライド移動させながら、枝線2bを所望される配索経路上に配置する。
【0170】
貫通孔124にクランプ30の挿通部32を挿通すると、作業者または組付け装置は、枝線収容部12の貫通孔124から突出したクランプ30の挿通部32に、抜出防止部33を幅方向Yに沿って装着する。
この際、作業者または組付け装置は、抜出防止部33の天板部分331の開口331aに、挿通部32の本体部分321を挿通し、天板部分331と底板部分332との間に挿通部32の嵌合部分322を嵌合する。
【0171】
さらに、作業者または組付け装置は、抜出防止部33の係止部分333を、挿通部32の被係止部分32aに係止する。このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ付ワイヤーハーネス4の組付け作業を完了する。
【0172】
以上のように、実施例2のクランプ30は、内部S2に配置され、ワイヤーハーネス2を保持するハーネス保持部31と、クランプ30の所定位置Kに設けられた貫通孔124に対して、スライド移動可能に取付ける取付部とが備えられている。
【0173】
そして、ハーネス保持部31は、幅方向Yの長さが貫通孔124より長く形成されるとともに、内部S2からプロテクタ10に接触する幅広部313が備えられている。
一方、取付部は、貫通孔124に配置され、幅方向Yの長さが貫通孔124より短い挿通部32と、幅方向Yの長さW2が貫通孔124より長く、かつ貫通孔124の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されるとともに、外部からプロテクタ10に接触する抜出防止部33とが備えられている。
【0174】
また、実施例2のクランプ付プロテクタ5は、上述したクランプ30と、クランプ30が移動可能な長さで所定方向(枝線配索方向X2)に延びる長孔形状の貫通孔124が所定位置Kに設けられたプロテクタ10とを備えている。
【0175】
また、実施例2のプロテクタ付ワイヤーハーネス4は、上述したクランプ付プロテクタ5と、クランプ付プロテクタ5におけるプロテクタ10の内部S2に配置され、内部S2の所定位置Kにクランプ30で取付けたワイヤーハーネス2とが備えられている。
【0176】
この構成によれば、実施例2のクランプ付プロテクタ5、プロテクタ付ワイヤーハーネス4及びクランプ30は、実施例1と同様に、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落を防止することができる。
【0177】
さらに、抜出防止部33は、幅方向Yに沿って挿通部32に係止する係止部分333が設けられ、挿通部32は、抜出防止部33の係止部分と係止する被係止部分32aが設けられている。
【0178】
この構成によれば、クランプ30は、プロテクタ10の外部において、ハーネス保持部31に一体構成された挿通部32に、幅方向Yに沿って組付けるだけで、挿通部32と抜出防止部33とを係合することができる。
【0179】
これにより、クランプ30は、ハーネス保持部31の幅広部313と取付部の抜出防止部33とでプロテクタ10を容易に挟み込むことができるため、プロテクタ10の所定位置Kに対するワイヤーハーネス2の取付作業性を向上することができる。
【0180】
また、抜出防止部33の係止部分333と挿通部32の被係止部分32aとが、着脱自在に係止する構成であることにより、クランプ30は、挿通部32と抜出防止部33との係止状態を解消できるため、プロテクタ10からのワイヤーハーネス2の取外しを容易にすることができる。
【実施例0181】
実施例3のプロテクタ付ワイヤーハーネス6は、上述した実施例1に対してクランプ付プロテクタの構成が異なる。このような実施例3のプロテクタ付ワイヤーハーネス6について、図15から図22を用いて説明する。
【0182】
なお、図15は実施例3におけるプロテクタ付ワイヤーハーネス6の外観斜視図を示し、図16はプロテクタ付ワイヤーハーネス6の平面図を示し、図17は上方側から見たクランプ付プロテクタ7の分解斜視図を示し、図18は下方側から見たクランプ付プロテクタ7の分解斜視図を示している。
【0183】
さらに、図19図15中のF-F矢視断面図を示し、図20は枝線収容部15の底部151の構成を説明する説明図を示し、図21図16中のG-G矢視断面図を示し、図22図16中のH-H矢視断面図を示している。
加えて、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0184】
実施例3のプロテクタ付ワイヤーハーネス6は、図15及び図16に示すように、枝線2bを有するワイヤーハーネス2と、ワイヤーハーネス2を内部に配置するクランプ付プロテクタ7とを備えている。
【0185】
まず、クランプ付プロテクタ7は、図15及び図16に示すように、ワイヤーハーネス2を内部に配置するプロテクタ10と、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10の内部の所定位置に取付けるクランプ40とを備えている。
このプロテクタ10は、実施例1のプロテクタ10に対して、枝線収容部12の構成が異なる。
【0186】
詳述すると、プロテクタ10は、図15及び図16に示すように、ワイヤーハーネス2の幹線2aを内部に収容する断面凹形状の幹線収容部11と、ワイヤーハーネス2の枝線2bを内部に収容する断面凹形状の枝線収容部15とを備えている。
【0187】
さらに、プロテクタ10は、図17から図19に示すように、枝線収容部15の下方に、枝線収容部15に取付けるクランプ40の下部(後述する抜出防止部43)の位置を規制する位置規制部16と、位置規制部16を挟んで幅方向Yに対向配置された一対の下方壁部14とを備えている。
【0188】
実施例3の枝線収容部15は、図15から図17に示すように、上下方向に厚みを有する平板状の底部151と、幅方向Yで対向する平板状の一対の側壁部152とで、上方が開口した断面凹形状に形成されている。
【0189】
この枝線収容部15の底部151は、図16に示すように、幹線収容部11の底部111から枝線配索方向X2へ向けて分岐するように、幹線収容部11の底部111から枝線配索方向X2へ向けて延設されている。
なお、以降の説明を容易にするため、枝線配索方向X2において、枝線収容部15の底部151における幹線収容部11とは逆側の端部を、枝線収容部15の端縁部15aとする。
【0190】
ここで、図20に示すように、ワイヤーハーネス2の幹線2aから枝線2bが分岐する箇所を分岐部Pとし、枝線2bにおけるクランプ40の所定取付位置を取付位置Qとし、平面視における分岐部Pから取付位置Qまでの直線長さを基準長さRとする。
【0191】
そして、枝線収容部15の底部151は、図20に示すように、分岐部Pを中心として、基準長さRを半径とする領域Uの領域外に端縁部15aが位置する枝線配索方向X2の長さで延設されている。
【0192】
このような枝線収容部15の底部151には、図17に示すように、クランプ40が取付けられる貫通孔153が、底部151の所定位置に開口形成されている。この貫通孔153は、図17及び図20に示すように、内部S2から下方の外部へ向けて底部151を貫通する開口であって、所定方向に長い平面視略矩形に開口形成されている。
なお、貫通孔153は、図20に示すように、平面視略矩形の長手方向が枝線配索方向X2に略一致するように開口形成されている。
【0193】
具体的には、貫通孔153は、図20及び図21に示すように、枝線収容部15の端縁部15aから枝線配索方向X2に所定間隔だけ離間した位置をクランプ40が取付けられる所定位置Kとして、所定位置Kから端縁部15aに至る平面視略矩形に形成されている。
【0194】
換言すると、貫通孔153は、枝線収容部15の端縁部15aから所定位置Kを通る枝線配索方向X2に沿って底部151を切り欠いて形成されている。このため、貫通孔153は、図21に示すように、所定位置Kから枝線配索方向X2の端縁部15a側へ向けて、スライド範囲Lの間をクランプ40がスライド移動可能に形成されている。
【0195】
なお、底部151が領域Uの領域外に位置しているため、貫通孔153は、図20中の二点鎖線で示すように、枝線配索方向X2における端縁部15a側の開放された開放端部153aが、基準長さRを半径とする領域Uの領域外に位置している。
【0196】
また、プロテクタ10の位置規制部16は、図17から図19に示すように、枝線収容部15の底部151の下面に設けられ、枝線配索方向X2における幹線収容部11側が閉口し、枝線配索方向X2の端縁部15a側が開口した略ボックス形状を、底部151とで形成している。
【0197】
そして、位置規制部16は、図17及び図18に示すように、端縁部15a側の開口を、後述するクランプ40の抜出防止部43が挿入される挿入口16aとして、その内部空間に抜出防止部43を収容するとともに、貫通孔153に対する抜出防止部43の位置を底部151とで規制している。
【0198】
この位置規制部16は、図19図21及び図22に示すように、貫通孔153を挟んで幅方向Yに対向配置された略平板状の一対の第1規制壁部161と、第1規制壁部161における幹線収容部11側の端部を連結する略平板状の第2規制壁部162とを備えている。
【0199】
さらに、位置規制部16は、図21及び図22に示すように、一対の第1規制壁部161及び1つの第2規制壁部162で囲われた下方の開口を閉塞する略平板状の規制底部163を備えている。
【0200】
加えて、位置規制部16は、図17から図19に示すように、位置規制部16の挿入口16a、及び貫通孔153の開放端部153aを閉塞する蓋部164と、蓋部164を枢動自在に支持する枢動支持部165とを備えている。
なお、実施例3の位置規制部16は、実施例1の位置規制部13と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0201】
また、上述したプロテクタ10に取付けるクランプ40は、図15から図18、及び図21に示すように、プロテクタ10の内部S2に配置されるハーネス保持部41と、貫通孔153に配置される挿通部42と、位置規制部16の内部に配置される抜出防止部43とが備えられている。
そして、クランプ40は、図21及び図22に示すように、挿通部42及び抜出防止部43がハーネス保持部41に一体形成されている。
【0202】
より詳しくは、クランプ40のハーネス保持部41は、図15及び図16に示すように、プロテクタ10の内部S2において、ワイヤーハーネス2の枝線2bにおける所定取付位置を保持している。
【0203】
このハーネス保持部41は、図17及び図22に示すように、ワイヤーハーネス2の枝線2bに巻き回されるバンド部411と、バンド部411の基端に連接された平面視略矩形の基部412と、基部412の下面に一体形成された幅広部413とを備えている。
【0204】
なお、ハーネス保持部41のバンド部411及び基部412は、上述した実施例2におけるクランプ30のバンド部311及び基部312と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0205】
また、ハーネス保持部31の幅広部313は、図18及び図21に示すように、基部412から下方へ向けて広がる一対の板状に形成されるとともに、枝線収容部15の内部S2から下方の外部へ向けて、枝線収容部15の底部151を付勢する弾性形状に形成されている。
【0206】
具体的には、幅広部413は、図18及び図21に示すように、枝線配索方向X2に所定間隔を隔てて対向配置され、基部412の下面から下方かつ枝線配索方向X2へ向けて延設された一対の板状体で構成されている。
【0207】
この幅広部413は、図21及び図22に示すように、幅方向Yの長さが貫通孔153における幅方向Yの長さW1よりも長く、基部412から先端へ向かうほど漸次、薄肉となるように形成されている。
【0208】
このため、幅広部413は、枝線収容部15に取付けた状態において、少なくとも幅方向Yの両端近傍が、底部151の上面に内部S2から接触するとともに、内部S2から下方の外部へ向けて枝線収容部15の底部151を付勢している。
【0209】
また、クランプ40の挿通部42は、ハーネス保持部41を貫通孔153に対してスライド移動可能に取付ける取付部を抜出防止部43とで構成している。
この挿通部42は、図21及び図22に示すように、ハーネス保持部41の幅広部413における枝線配索方向X2の略中央、かつ幅方向Yの略中央において、ハーネス保持部41の基部412の下面から下方へ向けて延設されている。
【0210】
具体的には、挿通部42は、図21及び図22に示すように、枝線配索方向X2に長い略矩形の柱状体であって、貫通孔153を貫通する上下方向の長さを有している。
【0211】
この挿通部42は、貫通孔153における幅方向Yの長さW1よりも僅かに短い幅方向Yの長さと、貫通孔153における枝線配索方向X2の長さよりも短い枝線配索方向X2の長さとを有する略柱状体に形成されている。
【0212】
また、クランプ40の抜出防止部43は、図18図21、及び図22に示すように、貫通孔153の貫通方向である上下方向に厚みを有する略板状であって、挿通部42の下端に一体形成されている。
【0213】
具体的には、抜出防止部43は、図22に示すように、貫通孔153における幅方向Yの長さW1よりも長い幅方向Yの長さW2を有する平面視略矩形に形成されている。
なお、抜出防止部43は、枝線配索方向X2の長さが、幅方向Yの長さW2よりも長く、かつ貫通孔153をスライド移動可能な長さの平面視略矩形に形成されている。
【0214】
そして、抜出防止部43は、図21に示すように、枝線配索方向X2の略中央よりも僅かに幹線収容部11側の位置が、挿通部42の下端に連結されている。
【0215】
このような構成のため、抜出防止部43は、図22に示すように、位置規制部16に収容された状態において、少なくとも幅方向Yの両端近傍が、底部151の下面に対して枝線収容部15の外部から接触する。
【0216】
次に、上述した構成のプロテクタ付ワイヤーハーネス6における組付け工程について、一例を用いて簡単に説明する。
まず、作業者または組付け装置は、貫通孔153の開放端部153aから枝線配索方向X2に沿って、貫通孔153にクランプ40の挿通部42を挿通するとともに、プロテクタ10の位置規制部16にクランプ40の抜出防止部43を収容する。
【0217】
さらに、作業者または組付け装置は、プロテクタ10の蓋部164を閉じて位置規制部16の挿入口16a、及び貫通孔153の開放端部153aを閉塞する。
その後、作業者または組付け装置は、プロテクタ10の幹線収容部11にワイヤーハーネス2の幹線2aに収容したのち、図示を省略した結束バンドなどで幹線収容部11に幹線2aを固定する。
【0218】
そして、作業者または組付け装置は、枝線収容部15にワイヤーハーネス2の枝線2bを収容したのち、枝線2bの所定取付位置にクランプ40のハーネス保持部41を装着する。
この際、作業者または組付け装置は、貫通孔153の長軸方向すなわち枝線配索方向X2に沿ってクランプ40をスライド移動させながら、ハーネス保持部41のバンド部411を、枝線2bの所定取付位置に巻き回して枝線2bを保持する。このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ付ワイヤーハーネス6の組付け作業を完了する。
【0219】
以上のように、実施例3のクランプ40は、内部S2に配置され、ワイヤーハーネス2を保持するハーネス保持部41と、クランプ40の所定位置Kに設けられた貫通孔153に対して、スライド移動可能に取付ける取付部とが備えられている。
【0220】
そして、ハーネス保持部41は、幅方向Yの長さが貫通孔153より長く形成されるとともに、内部S2からプロテクタ10に接触する幅広部413が備えられている。
一方、取付部は、貫通孔153に配置され、幅方向Yの長さが貫通孔153より短い挿通部42と、幅方向Yの長さW2が貫通孔153より長く、かつ貫通孔153の貫通方向に厚みを有する略板状に形成されるとともに、外部からプロテクタ10に接触する抜出防止部43とが備えられている。
【0221】
また、実施例3のクランプ付プロテクタ7は、上述したクランプ40と、クランプ40が移動可能な長さで所定方向(枝線配索方向X2)に延びる長孔形状の貫通孔153が所定位置Kに設けられたプロテクタ10とを備えている。
【0222】
また、実施例3のプロテクタ付ワイヤーハーネス6は、上述したクランプ付プロテクタ7と、クランプ付プロテクタ7におけるプロテクタ10の内部S2に配置され、内部S2の所定位置Kにクランプ40で取付けたワイヤーハーネス2とが備えられている。
【0223】
この構成によれば、クランプ付プロテクタ7、プロテクタ付ワイヤーハーネス6及びクランプ40は、実施例1と同様に、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落を防止することができる。
【0224】
さらに、幅広部413がプロテクタ10を外部に向かって付勢する板状であるため、クランプ40は、保持したワイヤーハーネス2の揺れ動きを幅広部413によって吸収することができる。これにより、クランプ40は、ワイヤーハーネス2の揺れ動きに伴う異音の発生を防止することができる。
【0225】
また、貫通孔153は、プロテクタ10の端縁部15aから所定位置Kを通る枝線配索方向X2に沿って切り欠いて形成されており、取付部(挿通部42及び抜出防止部43)は、ハーネス保持部41と一体構成されるとともに、貫通孔153の開放端部153aから枝線配索方向X2に沿って装着可能に形成されている。
【0226】
この構成によれば、プロテクタ10の端縁部15aから枝線配索方向X2に沿って切り欠いた貫通孔153に対して、挿通部42を枝線配索方向X2に沿って挿通できるため、クランプ40は、ハーネス保持部41に一体構成された取付部(挿通部42及び抜出防止部43)を、プロテクタ10の貫通孔153に容易に取付けることができる。
【0227】
さらに、取付部がハーネス保持部41に一体構成されているため、クランプ40は、例えばプロテクタ10の外部から内部S2へ向けたワイヤーハーネス2の反力によって、ハーネス保持部41と取付部とが分離することがない。
【0228】
このため、クランプ40は、ハーネス保持部41の幅広部413と取付部の抜出防止部43とで、プロテクタ10を容易に、かつ確実に挟み込むことができる。
よって、クランプ40は、プロテクタ10の所定位置Kに対するワイヤーハーネス2の取付作業性を損なうことなく、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落を防止することができる。
【0229】
また、プロテクタ10に貫通孔153の開放端部153aを塞ぐ蓋部164が設けられているため、クランプ付プロテクタ7は、貫通孔153に装着されたクランプ40が、意図せず開放端部153aから脱落することを蓋部164によって防止することができる。このため、クランプ付プロテクタ7は、プロテクタ10に対してワイヤーハーネス2をより安定して取付けることができる。
【0230】
また、プロテクタ10に蓋部164を開閉自在に支持する枢動支持部165が設けられているため、クランプ付プロテクタ7は、着脱自在な蓋部に比べて、貫通孔153の開放端部153aを容易に塞ぐことができる。このため、クランプ付プロテクタ7は、プロテクタ10の所定位置に対するワイヤーハーネス2の取付作業性を向上することができる。
【0231】
また、プロテクタ10が、ワイヤーハーネス2の幹線2aを収容する幹線収容部11と、幹線2aから分岐した枝線2bを収容する枝線収容部15とを有し、貫通孔153が枝線収容部15に設けられているため、クランプ付プロテクタ7は、ワイヤーハーネス2の枝線2bを枝線収容部15の所定位置にクランプ40を介して取付けることができる。
【0232】
さらに、枝線2bを所定位置に取付ける際、枝線2bを保持するクランプ40が枝線収容部15の貫通孔153の長手方向に沿って移動できるため、クランプ付プロテクタ7は、枝線2bを容易に所定位置に取付けることができる。
【0233】
また、幹線2aから枝線2bが分岐する箇所を分岐部Pとし、分岐部Pから枝線2bにおけるクランプ40が取り付けられた取付位置Qまでの長さを基準長さRとして、貫通孔153の開放端部153aが、分岐部Pから基準長さRを半径とした領域Uの領域外に配置されている。
【0234】
この構成によれば、貫通孔153に装着したクランプ40のハーネス保持部41で枝線2bを保持した際、クランプ付プロテクタ7は、分岐部Pから基準長さRを半径とした領域Uの領域外に、貫通孔153の開放端部153aが位置することになる。つまり、貫通孔153の開放端部153aが、枝線2bを保持したクランプ40のスライド移動の範囲を超えた位置に位置することになる。
【0235】
これにより、クランプ付プロテクタ7は、枝線2bを保持したクランプ40が、貫通孔153に沿ってスライド移動した際、開放端部153aに到達することを防止できる。このため、クランプ付プロテクタ7は、枝線2bを保持したクランプ40が、意図せず貫通孔153から脱落することをより確実に防止できる。
【0236】
また、枝線収容部15の貫通孔153が、枝線配索方向X2に対して長手方向が沿うように形成されているため、クランプ付プロテクタ7は、ワイヤーハーネス2の枝線2bにおける長さ公差を吸収することができる。このため、クランプ付プロテクタ7は、枝線収容部15の所定位置に枝線2bをより容易に取付けることができる。
【0237】
また、抜出防止部43における枝線配索方向X2の長さ、及び幅方向Yの長さが、貫通孔153における幅方向Yの長さW1よりも長いため、仮に位置規制部16を設けていない場合でも、クランプ40は、上下方向を回転中心とした回動によって貫通孔153から離脱することがない。
【0238】
これにより、クランプ付プロテクタ7、プロテクタ付ワイヤーハーネス6及びクランプ40は、プロテクタ10の内部S2に配置したワイヤーハーネス2の脱落をさらに確実に防止することができる。
【0239】
また、プロテクタ10に装着したクランプ40で、ワイヤーハーネス2を保持するだけで、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10に取付けることができるため、クランプ付プロテクタ7は、ワイヤーハーネスをプロテクタの内部に配置したのち、プロテクタに挿通させた結束バンドをワイヤーハーネスに巻き回して固定する場合に比べて、ワイヤーハーネス2をプロテクタ10に容易に取付けることができる。
【0240】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の所定方向、及び枝線収容部における枝線の配索方向は、実施形態の枝線配索方向X2に対応し、
以下同様に、
貫通孔の貫通方向は、上下方向に対応し、
貫通孔の貫通方向に対して交差する方向は、幅方向Yに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0241】
具体的には、上述した実施例1から実施例3において、上方が開口した断面凹形状のプロテクタ10としたが、これに限定せず、断面凹形状の本体部と、本体部の上方の開口を閉塞するカバーとを備えたプロテクタであってもよい。
【0242】
また、実施例1から実施例3において、幹線収容部11と枝線収容部12,15とを有するプロテクタ10としたが、これに限定せず、幹線収容部または枝線収容部で構成したプロテクタであってもよい。
【0243】
また、実施例1から実施例3において、枝線収容部12,15にクランプ20,30,40を取付ける構成としたが、これに限定せず、幹線収容部11にクランプ20,30,40を取付ける構成であってもよい。
【0244】
また、実施例1から実施例3において、貫通孔123,124,153を所定位置Kから端縁部12a,15aへ向けて延びる長孔形状としたが、これに限定せず、所定位置Kを略中央として枝線配索方向X2の両方向へ延びる長孔形状、あるいは、所定位置Kから幹線収容部11へ向かう枝線配索方向X2へ延びる長孔形状としてもよい。
【0245】
また、実施例1において、貫通孔123を平面視略長楕円形状としたが、これに限定せず、所定方向、好ましくは枝線配索方向X2に長い長孔形状であれば、例えば平面視略矩形の貫通孔であってもよい。
【0246】
また、実施例1において、第1規制壁部131、第2規制壁部132、規制底部133、及び蓋部134を有する位置規制部13としたが、これに限定せず、例えば第1規制壁部131だけで構成された位置規制部であってもよい。
【0247】
また、実施例1及び実施例3において、位置規制部13,16の蓋部134,164を下方壁部14に枢動自在に連結したが、これに限定せず、一対の下方壁部14に着脱自在な蓋部であってもよい。
【0248】
また、実施例1において、基部212とは別体の結束バンド211を有するハーネス保持部21としたが、これに限定せず、実施例2のように、基部にバンド部が一体形成されたハーネス保持部であってもよい。
また、実施例1において、幅広部213を平面視略円形状の傘状としたが、これに限定せず、枝線配索方向X2に長い平面視略長楕円形状の傘状であってもよい。
【0249】
また、実施例1において、抜出防止部23を例えばインサートナットとしたが、これに限定せず、クランプ20の挿通部22が係合する被係合孔23aを有するとともに、上下方向に厚みを有する略板状であれば、適宜の構成であってもよい。
なお、被係合孔23aは、クランプ20の挿通部22が係合可能であれば、ネジ孔を有していない貫通孔などであってもよい。
【0250】
また、実施例1において、挿通部22をハーネス保持部21に一体構成したが、これに限定せず、挿通部を抜出防止部に一体構成し、貫通孔123の貫通方向に沿って、抜出防止部に一体構成された挿通部が、ハーネス保持部に係合する構成であってもよい。
【0251】
また、実施例2において、貫通孔124を平面視略矩形としたが、これに限定せず、所定方向、好ましくは枝線配索方向X2に長い長孔形状であれば、例えば平面視略長楕円形状の貫通孔であってもよい。
【0252】
また、実施例2において、クランプ30の挿通部32に幅方向Yの一方から係止される抜出防止部33としたが、これに限定せず、貫通孔124の貫通方向(上下方向)に対して交差する方向から挿通部に係止可能であれば、適宜の構成の抜出防止部であってもよい。
【0253】
また、実施例3において、貫通孔153を平面視略長楕円形状としたが、これに限定せず、所定方向、好ましくは枝線配索方向X2に長い長孔形状であれば、例えば幹線収容部11側の端部が平面視略半円状の貫通孔であってもよい。
【0254】
また、実施例3において、プロテクタ10の位置規制部16が蓋部164を有する構成としたが、これに限定せず、第1規制壁部、第2規制壁部、及び規制底部を設けず、貫通孔153の開放端部153aを閉塞する蓋部164だけが設けられたプロテクタ10であってもよい。
【0255】
あるいは、位置規制部16に蓋部164が設けられていないプロテクタ10であってもよい。この場合であっても、貫通孔153の開放端部153aが領域Uの領域外に位置するため、クランプ付プロテクタ7は、枝線2bを保持したクランプ40が、意図せず貫通孔153から脱落することを防止できる。
【0256】
また、実施例3において、貫通孔153の開放端部153aを領域Uの領域外に設けたが、これに限定せず、開放端部153aが領域Uの領域内に位置する貫通孔153であってもよい。この場合であっても、クランプ付プロテクタ7は、枝線2bを保持したクランプ40が、意図せず貫通孔153から脱落することを蓋部164によって防止できる。
【符号の説明】
【0257】
1,4,6…プロテクタ付ワイヤーハーネス
2…ワイヤーハーネス
2a…幹線
2b…枝線
3,5,7…クランプ付プロテクタ
10…プロテクタ
11…幹線収容部
12…枝線収容部
12a,15a…端縁部
13…位置規制部
15…枝線収容部
20,30,40…クランプ
21,31,41…ハーネス保持部
22,32,42…挿通部
22a…係合部分
23,33,43…抜出防止部
23a…被係合孔
32a…被係止部分
123,124,153…貫通孔
213,313,413…幅広部
333…係止部分
153a…開放端部
164…蓋部
165…枢動支持部
K…所定位置
P…分岐部
Q…取付位置
R…基準長さ
S2…内部
U…領域
X2…枝線配索方向
Y…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22