(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132041
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物、並びに集中力向上剤及び集中力向上用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20230914BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P25/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037136
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】吉野 進
【テーマコード(参考)】
4C206
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA22
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA05
(57)【要約】
【課題】優れた睡眠の質向上作用を有し、かつ安全性が高い睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物、優れた日中の生産性向上作用を有し、かつ安全性が高い日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物、並びに優れた集中力向上作用を有し、かつ安全性が高い集中力向上剤及び集中力向上用組成物の提供。
【解決手段】構造式(1)で表される化合物を含む睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、又は集中力向上剤、並びに、前記睡眠の質向上剤を含む睡眠の質向上用組成物、前記日中の生産性向上剤を含む日中の生産性向上用組成物、又は前記集中力向上剤を含む集中力向上用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする睡眠の質向上剤。
【化1】
【請求項2】
請求項1に記載の睡眠の質向上剤を含むことを特徴とする睡眠の質向上用組成物。
【請求項3】
下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする日中の生産性向上剤。
【化2】
【請求項4】
請求項3に記載の日中の生産性向上剤を含むことを特徴とする日中の生産性向上用組成物。
【請求項5】
下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする集中力向上剤。
【化3】
【請求項6】
請求項5に記載の集中力向上剤を含むことを特徴とする集中力向上用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物、並びに集中力向上剤及び集中力向上用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人間は人生の約3分の1を「睡眠」に費やしており、睡眠は人間にとって最も重要な行為と考えられる。しかしながら、現代社会では、生活リズムの乱れやストレス、運動不足等により睡眠不足、不眠の症状を訴える人が多く存在する。
また、睡眠の質は、加齢に伴い低下する。そのため、今後、高齢者数の増加に伴い、睡眠の質が低下した高齢者が増加すると予想される。
睡眠の質には、身体的要因の他、心理的要因、薬理学的要因、環境要因等の様々な要因が影響し、一般的に、寝つきが悪い入眠障害、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、朝早くに目が覚めてしまう早期覚醒、よく眠った感じがしない熟眠不全等を誘発する。睡眠の質の低下は、心筋梗塞や脳梗塞等の重大な疾患に繋がるだけでなく、日中の眠気や疲労から生産性や集中力が低下し、重大な事故に繋がることから、その改善は重要な課題である。
【0003】
これまでに、睡眠の質を改善する技術として、デルフィニジン-3-ルチノシド、シアニジン-3-ルチノシド又はその組み合わせを有効成分とする睡眠の質改善剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、睡眠の質向上作用、日中の生産性向上作用、及び集中力向上作用の少なくともいずれかの作用を有し、かつ安全性が高く、そのため、飲食品、医薬品、研究用試薬などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は依然として強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた睡眠の質向上作用を有し、かつ安全性が高い睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた日中の生産性向上作用を有し、かつ安全性が高い日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた集中力向上作用を有し、かつ安全性が高い集中力向上剤及び集中力向上用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、下記構造式(1)で表される化合物が、優れた睡眠の質向上作用、日中の生産性向上作用、及び集中力向上作用を有し、かつ安全性が高く、睡眠の質向上、日中の生産性向上、及び集中力向上に有用であることを知見した。
【化1】
【0008】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする睡眠の質向上剤である。
【化2】
<2> 前記<1>に記載の睡眠の質向上剤を含むことを特徴とする睡眠の質向上用組成物である。
<3> 下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする日中の生産性向上剤である。
【化3】
<4> 前記<3>に記載の日中の生産性向上剤を含むことを特徴とする日中の生産性向上用組成物である。
<5> 下記構造式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする集中力向上剤である。
【化4】
<6> 前記<5>に記載の集中力向上剤を含むことを特徴とする集中力向上用組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた睡眠の質向上作用を有し、かつ安全性が高い睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物を提供することができる。
本発明の日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた日中の生産性向上作用を有し、かつ安全性が高い日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物を提供することができる。
本発明の集中力向上剤及び集中力向上用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた集中力向上作用を有し、かつ安全性が高い集中力向上剤及び集中力向上用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、試験例1における中途覚醒時間を計測した結果を表す図である。
【
図2A】
図2Aは、試験例1において、構造式(1)で表される化合物を含む食品(被験食品)摂取群における自律神経機能全体の働きを計測した結果を表す図である。
【
図2B】
図2Bは、試験例1において、構造式(1)で表される化合物を含まない食品(対照食品)摂取群における自律神経機能全体の働きを計測した結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤)
本発明の睡眠の質向上剤は、下記構造式(1)で表される化合物を有効成分として含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の日中の生産性向上剤は、下記構造式(1)で表される化合物を有効成分として含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の集中力向上剤は、下記構造式(1)で表される化合物を有効成分として含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【化5】
【0012】
本明細書において、睡眠の質向上とは、寝起きが悪い(目覚めた直後の気分が悪い)状態を良い状態にする又は良い状態に近づけること、寝起きの熟眠感がない状態を寝起きの熟眠感がある状態又はある状態に近づけること、夜中に何度も目が覚める中途覚醒時間を短くすることをいう。
【0013】
本明細書において、日中の生産性の向上とは、日中の総合的なパフォーマンスを高めること、日中の集中力を持続することができない状態を長時間持続できる状態にする又はより長い時間持続できる状態にすること、日中の自律神経機能全体の働きを多くする又は自律神経活動を高めることをいう。
【0014】
本明細書において、集中力の向上とは、集中力を持続することができない状態を長時間持続できる状態にする又はより長い時間持続できる状態にすることをいう。
【0015】
前記構造式(1)で表される化合物が、睡眠の質向上作用、日中の生産性向上作用、及び集中力向上作用の少なくともいずれかの優れた作用を有し、睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、又は集中力向上剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0016】
<構造式(1)で表される化合物>
下記構造式(1)で表される化合物の名称は、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(英名:3-(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)propionic acid)(以下、「HMPA」と称することがある。)である。
【化6】
【0017】
前記構造式(1)で表される化合物は、公知の化合物であり、市販品を用いてもよいし、植物等から抽出したものを用いることもできる。
【0018】
本発明の睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤における前記構造式(1)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤は、前記構造式(1)で表される化合物のみからなるものであってもよい。
【0019】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記その他の成分の前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
<用途>
前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品などが挙げられる。
前記睡眠の質向上剤は、優れた睡眠の質向上作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する睡眠の質向上用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記日中の生産性向上剤は、優れた日中の生産性向上作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する日中の生産性向上用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
前記集中力向上剤は、優れた集中力向上作用を有し、安全性が高いので、例えば、後述する集中力向上用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
【0022】
本発明の睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0023】
前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
【0024】
前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤の使用部位、用法、及び剤型としては、その使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤型に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。
前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤は、他の組成物(例えば、後述する睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、集中力向上用組成物等)に配合して使用することができるほか、注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤や、軟膏剤、点眼剤、外用液剤、貼付剤などとして使用することもできる。
【0026】
前記睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤の使用量、使用期間、使用間隔等の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
また、本発明の睡眠の質向上剤は睡眠の質向上作用、本発明の日中の生産性向上剤は日中の生産性向上作用、本発明の集中力向上剤は集中力向上作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
【0028】
(睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物)
本発明の睡眠の質向上用組成物は、本発明の睡眠の質向上剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明の日中の生産性向上用組成物は、本発明の日中の生産性向上剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明の集中力向上用組成物は、本発明の集中力向上剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0029】
<睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤>
前記睡眠の質向上剤は、上述した本発明の睡眠の質向上剤である。
前記日中の生産性向上剤は、上述した本発明の日中の生産性向上剤である。
前記集中力向上剤は、上述した本発明の集中力向上剤である。
【0030】
前記睡眠の質向上用組成物における前記睡眠の質向上剤の含有量としては、特に制限はなく、前記睡眠の質向上用組成物の形態などによって適宜調整することができるが、前記構造式(1)で表される化合物の量に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記睡眠の質向上用組成物は、前記睡眠の質向上剤のみからなるものであってもよい。
【0031】
前記日中の生産性向上用組成物における前記日中の生産性向上剤の含有量としては、特に制限はなく、前記日中の生産性向上用組成物の形態などによって適宜調整することができるが、前記構造式(1)で表される化合物の量に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記日中の生産性向上用組成物は、前記日中の生産性向上剤のみからなるものであってもよい。
【0032】
前記集中力向上用組成物における前記集中力向上剤の含有量としては、特に制限はなく、前記集中力向上用組成物の形態などによって適宜調整することができるが、前記構造式(1)で表される化合物の量に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記集中力向上用組成物は、前記集中力向上剤のみからなるものであってもよい。
【0033】
<その他の成分>
前記睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、前記睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した睡眠の質向上剤、日中の生産性向上剤、及び集中力向上剤の項目に記載したその他の成分と同様のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記その他の成分の前記睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0035】
<態様>
前記睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品などが挙げられる。
本発明の睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である前記構造式(1)で表される化合物の働きによって、睡眠の質向上作用、日中の生産性向上作用、及び集中力向上作用をはじめとする様々な生理活性作用を極めて効果的に発揮させることができる。
【0036】
本発明の睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0037】
本発明の睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられるが、経口が好ましい。
【0038】
前記経口用の組成物としては、例えば、上述した経口投与剤や飲食品が挙げられる。ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではない。したがって、前記飲食品は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
【0039】
前記経口用の組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;サラダ、漬物等の惣菜;種々の形態の健康・美容・栄養補助食品;錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品;口中清涼剤、口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などが挙げられる。
【0040】
前記睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、前記睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0041】
前記睡眠の質向上用組成物、日中の生産性向上用組成物、及び集中力向上用組成物の使用量、使用期間、使用間隔等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
上述したように、本発明の睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物は、優れた睡眠の質向上作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記睡眠の質向上剤及び睡眠の質向上用組成物からなる群から選択される少なくとも1種を投与することを特徴とする睡眠の質向上方法にも関する。
【0043】
上述したように、本発明の日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物は、優れた日中の生産性向上作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記日中の生産性向上剤及び日中の生産性向上用組成物からなる群から選択される少なくとも1種を投与することを特徴とする日中の生産性向上方法にも関する。
【0044】
上述したように、本発明の集中力向上剤及び集中力向上用組成物は、優れた集中力向上作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記集中力向上剤及び集中力向上用組成物からなる群から選択される少なくとも1種を投与することを特徴とする集中力の向上方法にも関する。
【実施例0045】
以下、本発明の試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
【0046】
(試験例1)
以下のようにして、前記構造式(1)で表される化合物の臨床試験を行った。
・ 試験
ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験
・ 対象
40歳以上65歳未満の健常な成人男女 30名(1群15名×2群)
・ 方法
アクティボディTMRB 100mg配合カプセル(丸善製薬株式会社製、前記構造式(1)で表される化合物として23mg/日摂取)(以下、「被験食品摂取群」と称することがある。)、又はプラセボ(以下、「対照食品摂取群」と称することがある。)のいずれかを4週間摂取。
・ 評価項目
(A) アンケート調査(摂取前検査、摂取4週目検査)
(B) 腕時計型活動量計(SilmeeTMW22)による睡眠の質(中途覚醒時間)の評価(摂取期間中)
摂取開始時及び摂取4週目について1週間の平均値で評価
(C) 腕時計型活動量計(SilmeeTMW22)による自律神経活動評価(摂取期間中)
摂取開始時及び摂取4週目について1週間の平均値で評価
【0047】
<結果>
[(A) アンケート調査-1]
対象者に、「過去4週間のあなたの勤務日における、あなたの総合的なパフォーマンス」が良いか悪いかについて、「0点」を最も悪い評価、「10点」を最も良い評価として、0~10点の11段階で回答をしてもらった。
その結果、被験食品摂取群では、摂取前検査では「6.9±0.4」(「平均値±標準誤差」、以下同様)であり、摂取4週目検査では「7.3±0.4」であった。一方、対照食品摂取群では、摂取前検査では「6.5±0.4」であり、摂取4週目検査では「6.6±0.3」であった。被験食品摂取群では、摂取4週目検査において、対照食品摂取群と比較して、有意に評価点数が増加することが確認された(Mann-WhitneyのU検定)。
【0048】
[(A) アンケート調査-2]
対象者に、「集中力を持続することができない」に当てはまるか当てはまらないかについて、「7点」を最も悪い評価(当てはまる)、「1点」を最も良い評価(当てはまらない)として、1~7点の7段階で回答をしてもらった。
その結果、被験食品摂取群では、摂取前検査では「2.6±0.3」(「平均値±標準誤差」、以下同様)であり、摂取4週目検査では「2.3±0.4」であった。一方、対照食品摂取群では、摂取前検査では「2.6±0.3」であり、摂取4週目検査では「3.1±0.4」であった。被験食品摂取群では、摂取4週目検査における摂取前検査からの変化値において、対照食品摂取群と比較して、有意に評価点数が減少することが確認された(Mann-WhitneyのU検定)。
【0049】
[(A) アンケート調査-3]
対象者に、「寝起き(目覚めた直後の気分)が悪い」と感じるか感じないかについて、「7点」を最も悪い評価(感じる)、「1点」を最も良い評価(感じない)として、1~7点の7段階で回答をしてもらった。
その結果、被験食品摂取群では、摂取前検査では「3.0±0.4」(「平均値±標準誤差」、以下同様)であり、摂取4週目検査では「2.5±0.2」であった。一方、対照食品摂取群では、摂取前検査では「2.1±0.4」であり、摂取4週目検査では「2.7±0.3」であった。被験食品摂取群では、摂取4週目検査における摂取前検査からの変化値において、対照食品摂取群と比較して、有意に評価点数が減少することが確認された(Mann-WhitneyのU検定)。
【0050】
[(A) アンケート調査-4]
対象者に、「寝起きの熟眠感がない」と感じるか感じないかについて、「7点」を最も悪い評価(感じる)、「1点」を最も良い評価(感じない)として、1~7点の7段階で回答をしてもらった。
その結果、被験食品摂取群では、摂取前検査では「3.1±0.4」(「平均値±標準誤差」、以下同様)であり、摂取4週目検査では「2.8±0.3」であった。一方、対照食品摂取群では、摂取前検査では「3.4±0.4」であり、摂取4週目検査では「3.6±0.3」であった。被験食品摂取群では、摂取4週目検査において、対照食品摂取群と比較して、有意に評価点数が減少することが確認された(Mann-WhitneyのU検定)。
【0051】
[(B) 腕時計型活動量計による睡眠の質(中途覚醒時間)の評価]
腕時計型活動量計により睡眠の質に関わる中途覚醒時間を計測した結果を
図1に示す。
図1中、縦軸は摂取4週目における中途覚醒時間の摂取開始時からの変化値を表し、横軸は各食品摂取群を表す。また、「□」は被験食品摂取群、「■」は対照食品摂取群の結果を表す。
図1に示したように、摂取4週目において、被験食品摂取群では、対照食品摂取群と比べて、中途覚醒時間が短くなることが確認された。
【0052】
[(C) 腕時計型活動量計による自律神経活動評価]
腕時計型活動量計により自律神経機能全体の働きを計測した結果を
図2A(被験食品摂取群)及び
図2B(対照食品摂取群)に示す。
自律神経機能全体の働きは、腕時計型活動量計の加速度センサより取得したデータをもとに周波数解析を行い、スペクトルの低周波波動成分(LF)と高周波波動成分(HF)のパワー値の総計(トータルパワー;自律神経機能全体の働きの指標)を算出した。
図2A及び
図2B中、縦軸は自律神経機能全体の働きを計測した値(トータルパワー)を表し、横軸は時間帯(0-6:0~6時、6-12:6~12時、12-18:12~18時、18-24:18~24時)を表す。また、「●」は摂取開始時、「■」は摂取4週目の結果を表す。
図2A及び
図2Bに示したように、被験食品摂取群では、摂取4週目において、摂取開始時と比較して日中(6~18時)における自律神経全体の働きが高くなっていた。一方、対照食品摂取群では、摂取開始時と摂取4週目において、日中(6~18時)における自律神経活動には差が認められなかった。
【0053】
(配合例1)
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
・ 前記構造式(1)で表される化合物 5.0mg
・ ドロマイト 83.4mg
(カルシウム20%、マグネシウム10%含有)
・ カゼインホスホペプチド 16.7mg
・ ビタミンC 33.4mg
・ マルチトール 136.8mg
・ コラーゲン 12.7mg
・ ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
【0054】
(配合例2)
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
・ 前記構造式(1)で表される化合物 0.3質量%
・ ソルビット 12.0質量%
・ 安息香酸ナトリウム 0.1質量%
・ 香料 1.0質量%
・ 硫酸カルシウム 0.5質量%
・ 精製水 残部
【0055】
(配合例3)
常法により、以下の組成を有するコーヒー飲料を製造した。
・ 前記構造式(1)で表される化合物 0.1質量%
・ コーヒー抽出液(L(明度)=20、Brix=3) 40.0質量%
・ マルチトール 2.0質量%
・ 香料 適量
・ 水 残部
【0056】
(配合例4)
常法により、以下の組成を有するカプセル剤を製造した。なお、カプセルとしては、1号ハードゼラチンカプセルを使用した。
<1カプセル(1錠200mg)中の組成>
・ 前記構造式(1)で表される化合物 30.0mg
・ コーンスターチ 70.0mg
・ 乳糖 80.0mg
・ 乳酸カルシウム 10.0mg
・ ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L) 10.0mg