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特開2023-132255免疫機能の維持又は改善のためのプログラム、情報処理装置及び情報処理方法
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  • 特開-免疫機能の維持又は改善のためのプログラム、情報処理装置及び情報処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132255
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】免疫機能の維持又は改善のためのプログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230914BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037476
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】517448489
【氏名又は名称】合同会社H.U.グループ中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 祐馬
(72)【発明者】
【氏名】村島 弘一郎
(72)【発明者】
【氏名】須藤 夏希
(72)【発明者】
【氏名】本山 千尋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡史
(72)【発明者】
【氏名】宇都野 勇児
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】対象者の状態に応じた生活習慣の行動改善内容を好適に把握可能なプログラム等を提供する。
【解決手段】プログラムは、対象者及び複数の非対象者それぞれについて、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値と、免疫機能の維持又は改善に関するアウトカム値とを取得し、取得した各生活習慣値及びアウトカム値に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における生活習慣値の分布データと、前記対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者及び複数の非対象者それぞれについて、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値と、免疫機能の維持又は改善に関するアウトカム値とを取得し、
取得した各生活習慣値及びアウトカム値に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における生活習慣値の分布データと、前記対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を出力する
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記分布データは、各生活習慣値に対応する非対象者数に応じて色分け表示されるバーを用いて出力される
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記バー上に、前記対象者における生活習慣値を示すオブジェクトを対応付けて出力する
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記対象者における生活習慣値から、前記分布データに基づく生活習慣項目の目標値までの経路を前記一覧情報に対応付けて出力する
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記対象者及び複数の非対象者の特性に基づいて、前記対象者と同一の特性グループに分類される非対象者における生活習慣値の分布データを出力する
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記一覧情報は、アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者における生活習慣値の分布データを含む
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記対象者における生活習慣値の時系列変化を示す情報を出力する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記アウトカム値は、発酵乳の摂取により改善可能な免疫項目の値を含む
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記一覧情報における複数の生活習慣項目の選択を受け付け、
受け付けた複数の生活習慣項目を軸として前記対象者及び複数の非対象者における生活習慣値を示すグラフをアウトカム毎に出力する
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記グラフ上における位置の指定を受け付け、
指定された位置に対応するアウトカム値及び各軸の生活習慣値を出力する
請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記対象者及び複数の非対象者における生活習慣値とアウトカム値との相関関係を示す相関図を出力する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
各生活習慣項目に対応付けて、免疫機能の維持又は改善のための推奨行動内容を出力する
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項13】
対象者及び複数の非対象者それぞれについて、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値と、免疫機能の維持又は改善に関するアウトカム値とを取得し、
取得した各生活習慣値及びアウトカム値に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における生活習慣値の分布データと、前記対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を出力する
処理を実行する制御部を備える
情報処理装置。
【請求項14】
対象者及び複数の非対象者それぞれについて、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値と、免疫機能の維持又は改善に関するアウトカム値とを取得し、
取得した各生活習慣値及びアウトカム値に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における生活習慣値の分布データと、前記対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫機能の維持又は改善のためのプログラム、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象者の免疫機能を維持又は改善するためには、食事や運動などの適切な生活習慣が重要であることが知られている。このような生活習慣などの行動改善に対するアウトカムを評価するための方法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、被検者の臨床転帰を特性化するために有用な方法が開示されている。特許文献1の技術によれば、新たな徴候の標識拡張、患者部分母集団、安全性に対する懸念の改善のために発表する適応臨床研究を通して、鍵となる薬物の標識化を改良することが可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011-523473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば生活習慣や免疫などの状態は、免疫機能の維持又は改善を目指す対象者毎に異なる。免疫機能の維持又は改善を目指す際には、対象者の状態に応じた生活習慣の行動改善内容を好適に把握できることが重要である。しかしながら、特許文献1に記載のような従来技術ではこのような観点については考慮されていない。
【0006】
本開示の目的は、対象者の状態に応じた生活習慣の行動改善内容を好適に把握可能なプログラム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、対象者及び複数の非対象者それぞれについて、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値と、免疫機能の維持又は改善に関するアウトカム値とを取得し、取得した各生活習慣値及びアウトカム値に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における生活習慣値の分布データと、前記対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、対象者及び複数の非対象者それぞれについて、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値と、免疫機能の維持又は改善に関するアウトカム値とを取得し、取得した各生活習慣値及びアウトカム値に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における生活習慣値の分布データと、前記対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を出力する処理を実行する制御部を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、対象者及び複数の非対象者それぞれについて、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値と、免疫機能の維持又は改善に関するアウトカム値とを取得し、取得した各生活習慣値及びアウトカム値に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における生活習慣値の分布データと、前記対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を出力する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、対象者の状態に応じた生活習慣の行動改善内容を好適に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの概要図である。
図2】解析DBに記憶される情報の内容例を示す図である。
図3】情報処理システムにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】入力受付用の画面の一例を示す模式図である。
図5】アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者の抽出方法の概念を示す図である。
図6】一覧表表示の解析画面の一例を示す模式図である。
図7】詳細表示への切り替えに関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】詳細表示の解析画面の一例を示す模式図である。
図9】第2実施形態における詳細表示の解析画面の例を示す模式図である。
図10】第2実施形態における詳細表示の解析画面の例を示す模式図である。
図11】第2実施形態における一覧表示の解析画面の例を示す模式図である。
図12】第2実施形態における一覧表示の解析画面の例を示す模式図である。
図13】第2実施形態の情報処理システムにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14】第3実施形態における詳細表示の解析画面の例を示す模式図である。
図15】第3実施形態の情報処理システムにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16】第4実施形態における詳細表示の解析画面の例を示す模式図である。
図17】第4実施形態の情報処理システムにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係るプログラム、情報処理装置及び情報処理方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
なお、以下に記載する各実施形態に示すシーケンスは限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各処理手順はその順序を変更して実行されてもよく、また並行して複数の処理が実行されてもよい。各処理の処理主体は限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各装置の処理を他の装置が実行してもよい。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る情報処理システム100の概要図である。情報処理システム100は、情報処理装置1と、複数の端末装置2とを備える。情報処理装置1と端末装置2とは、インターネット等のネットワークNに通信接続され、ネットワークNを介してデータの送受信が可能である。
【0014】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、量子コンピュータ等である。端末装置2は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報端末装置であり、通信により情報処理装置1とデータを送受信可能である。
【0015】
情報処理システム100は、免疫機能の維持又は改善を目指す対象者の生活習慣における行動改善を支援するために好適に使用される。情報処理装置1は、免疫機能の維持又は改善に関する複数のアウトカム指標を改善目標として、個々の対象者の状態に応じた行動改善を支援するための支援情報を提供する。支援情報は、複数の生活習慣項目に係る生活習慣値を一覧で示す一覧情報が含まれる。対象者は、端末装置2を用いて自身の生活習慣や免疫の状態に応じた支援情報を取得する。
【0016】
本実施形態において、生活習慣項目とは、行動改善の対象となり得る生活習慣の項目を意味する。生活習慣項目としては、例えば食事又は運動に関する項目を含み、具体的には、発酵乳を含む乳製品の摂取量又は摂取頻度、発酵食品の摂取量又は摂取頻度、筋肉トレーニングの量又は頻度、有酸素運動の量又は頻度、睡眠時間、BMI(Body Mass Index )、体脂肪量、体脂肪率、アルコールの摂取量又は摂取頻度、喫煙の量又は頻度などが例示される。生活習慣項目となり得るものは上記の例に限定されない。
【0017】
本実施形態において、免疫機能とは、上述の生活習慣により維持又は改善可能な免疫機能を意味し、例えば、乳製品や発酵食品を食べるといった食事や運動を行うことにより改善可能な免疫又は免疫機能の項目が含まれる。このような免疫機能に関するアウトカムとしては、例えば唾液中におけるIgA(以下、単に唾液IgAとも称する)量又は濃度、NK活性、疲労度などが挙げられる。アウトカムとなり得るものは上記の例に限定されず、改善目的に応じて適宜設定されてよい。
【0018】
図1に示すように、情報処理装置1は、制御部11、記憶部12及び通信部13を備える。情報処理装置1は、複数台のコンピュータで構成し分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよく、クラウドサーバを用いて実現されていてもよい。
【0019】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いたプロセッサを備える。制御部11は、内蔵するROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ、クロック、カウンタ等を用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0020】
記憶部12は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを備える。記憶部12は、情報処理装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。記憶部12は、制御部11が参照するプログラム及びデータを記憶する。記憶部12に記憶されるプログラムには、支援情報の出力に関する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム1Pが含まれる。
【0021】
記憶部12に記憶されるプログラム(プログラム製品)は、記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でもよい。記憶部12は、読出装置によって記録媒体1Aから読み出されたプログラムを記憶する。記録媒体1Aは、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等である。また、通信ネットワークに接続されている外部サーバからプログラムをダウンロードし、記憶部12に記憶させてもよい。プログラム1Pは、単一のコンピュータプログラムでも複数のコンピュータプログラムにより構成されるものでもよく、また、単一のコンピュータ上で実行されても通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0022】
記憶部12にはまた、解析DB(Data Base :データベース)121が記憶されている。解析DB121の詳細は後述する。
【0023】
通信部13は、ネットワークNを介して外部装置と通信するための通信モジュールを備える。制御部11は、通信部13を介して端末装置2との間でデータを送受信する。
【0024】
情報処理装置1の構成は上述の例に限定されず、例えばユーザの操作を受け付けるための操作部、各種情報を表示するための表示部等を備えてもよい。
【0025】
端末装置2は、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24及び操作部25を備える。
【0026】
制御部21は、一又は複数のCPU、GPU等を用いたプロセッサを備える。制御部21は、内蔵するROM又はRAM等のメモリ、クロック、カウンタ等を用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0027】
記憶部22は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD等の不揮発性メモリを備える。記憶部22は、制御部21が参照するプログラム及びデータを記憶する。記憶部22に記憶されるプログラムには、支援情報の取得に関する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム2Pが含まれる。記憶部22に記憶されるプログラム(プログラム製品)は、記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でもよい。記憶部22は、読出装置によって記録媒体2Aから読み出されたプログラムを記憶する。また、通信ネットワークに接続されている外部サーバからプログラムをダウンロードし、記憶部22に記憶させてもよい。プログラム2Pは、アプリケーションプログラムであってもよく、他のプログラムと協働するスクリプトプログラムであってもよい。
【0028】
通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールである。制御部21は、通信部23を介して情報処理装置1との間でデータを送受信する。
【0029】
表示部24は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence )ディスプレイ等のディスプレイ装置を備える。表示部24は、制御部21からの指示に従って各種の情報を表示する。操作部25は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースである。操作部25は、例えばキーボード、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を備える。操作部25は、ユーザからの操作入力を受け付け、操作内容に応じた制御信号を制御部21へ送出する。
【0030】
図2は、解析DB121に記憶される情報の内容例を示す図である。解析DB121は、生活習慣項目に関する情報の生成に使用するための解析情報であって、複数の非対象者における生活習慣値及びアウトカム値などを格納するデータベースである。
【0031】
解析DB121には、例えば解析情報を識別するための解析IDをキーに、複数の非対象者それぞれに関する非対象者情報、アウトカム値、及び生活習慣値等の情報を紐付けたレコードが格納されている。
【0032】
非対象者情報は、非対象者の属性情報を含み、例えば非対象者を識別するための非対象者ID、性別、年齢等を含む。アウトカム値は、非対象者におけるアウトカム値である。アウトカム値には、上述した複数アウトカムに係るアウトカム値が含まれる。生活習慣値は、非対象者における生活習慣値である。生活習慣値には、上述した複数の生活習慣項目に係る生活習慣値が含まれる。
【0033】
情報処理装置1は、例えば検査機関や医療施設などに設けられるサーバ装置との間で通信を行うことにより、複数の非対象者に関する解析情報を収集し、解析DB121に記憶する。これにより、例えば免疫機能の維持又は改善に取り組む被検者や患者などの、多数の非対象者に関する解析情報がビッグデータとして解析DB121に蓄積される。
【0034】
なお解析DB121には、同一非対象者に関する複数時点での解析情報が記憶されるものであってよい。例えば非対象者の生活習慣の特性が変化する度、解析DB121に新たなデータとして追加される。解析DB121には、非対象者のみならず、対象者における過去の解析情報が記憶されてもよい。情報処理装置1は、解析DB121に記憶する情報を用いて、対象者におけるアウトカムを維持又は改善するための行動改善項目(生活習慣項目)の目標値を対象者へ提示する。
【0035】
図3は、情報処理システム100における処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の各フローチャートにおける処理は、情報処理装置1の記憶部12に記憶するプログラム1Pに従って制御部11により実行されるとともに端末装置2の記憶部22に記憶するプログラム2Pに従って制御部21により実行されてもよく、制御部11及び制御部21それぞれに備えられた専用のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)により実現されてもよく、それらの組合せによって実現されてもよい。
【0036】
端末装置2の制御部21は、操作部25を介して対象者による生活習慣値の入力を受け付けることにより、対象者における生活習慣値を取得する(ステップS11)。ステップS11において制御部21は、例えば入力受付用の画面30を利用して対象者から入力を受け付ける。
【0037】
図4は、入力受付用の画面30の一例を示す模式図である。制御部21は、情報処理装置1から提供される画面情報に基づき、図4に示す如く入力受付用の画面30を表示部24に表示させる。入力受付用の画面30には、複数の生活習慣項目に対する対象者の現在の状態を入力するための複数の入力欄301が示されている。
【0038】
また図4に示す画面例では、対象者の属性情報を示すテキストが表示されている。対象者の属性情報は、例えば、予め対象者に対して発行されているアカウント情報に対応させて、対象者の属性情報の登録を受け付けることにより取得してもよく、生活習慣値の入力の都度、属性情報の入力を受け付けることにより取得してもよい。図4では、予め属性情報の登録が済んでいる状態で、対象者によりアカウント情報を用いてログインが行われた場合の画面例を示している。
【0039】
対象者は、入力受付用の画面30を用いて各生活習慣項目に対する生活習慣値を入力し、一覧表の表示を要求するための表示ボタン302をタップする。制御部21は、操作部25を介して生活習慣値の入力を受け付ける。
【0040】
図3に戻り説明を続ける。制御部21は、受け付けた各生活習慣項目に対する生活習慣値を情報処理装置1へ送信する(ステップS12)。ステップS12において制御部21は、対象者のアカウント情報又は端末装置2を識別するための識別情報(例えば機器ID等)を生活習慣値に対応付けて送信する。
【0041】
情報処理装置1の制御部11は、対象者の各生活習慣値を受信する(ステップS13)。次いで制御部11は、解析DB121を参照し、各非対象者における複数の生活習慣値及び複数のアウトカム値を取得する(ステップS14)。
【0042】
制御部11は、各非対象者を、非対象者の特性に応じて複数の特性グループに分類する(ステップS15)。特性とは、生活習慣項目の分布やアウトカムに大きな影響を及ぼし得る性質を意味する。制御部11は、解析DB121に記憶する所定項目のデータに基づいて非対象者を分類する。グループ分類としては、限定的ではないが、例えば乳製品高頻度摂取グループ及び乳製品低頻度摂取グループ、男性グループ及び女性グループ、運動強度高グループ及び運動強度低グループ、喫煙なしグループ及び喫煙ありグループ等が挙げられる。特性グループは、例えば、乳製品の摂取量及び性別など、複数項目に基づいて分類されてもよい。なお、非対象者の分類手法は限定されず、公知のクラスタリング手法を用いて分類してもよい。
【0043】
制御部11は、対象者の生活習慣値や属性情報に基づき対象者の属する特性グループを特定し、特定した特性グループと同一の特性グループに属する非対象者群の解析情報を抽出する(ステップS16)。食事パターンや運動量などの背景因子は対象者毎に異なる。本実施形態では、このような対象者毎の特性を考慮することで、より対象者の実態に即した情報の提供を可能とする。
【0044】
制御部11は、抽出した非対象者群における生活習慣値と、当該生活習慣値に対するアウトカム値との関係性に基づいて、対象者の生活習慣値に対するアウトカム値を取得する(ステップS17)。ステップS17において制御部11は、対象者における生活習慣値と、抽出した非対象者群における生活習慣値及びアウトカム値とに基づき、対象者のアウトカム値を推算する。具体的には、制御部11は、複数の生活習慣値の中から所定の生活習慣項目の組み合わせに係る生活習慣値を読み出す。一例として、制御部11は、対象者及び非対象者群における乳製品摂取量及び有酸素運動量を読み出す。
【0045】
制御部11は、対象者の乳製品摂取量及び有酸素運動量に近似する乳製品摂取量及び有酸素運動量を有する非対象者のアウトカム値を特定し、特定したアウトカム値を対象者のアウトカム値として取得する。制御部11は、生活習慣値の近似する複数非対象者のアウトカム値を用いて補間することにより、対象者のアウトカム値を算出するものであってよい。なお、アウトカム値は2つの生活習慣項目を用いて求めるものに限定されず、3つ以上の生活習慣項目を用いて求めてもよい。制御部11は、生活習慣項目の組み合わせそれぞれについて、アウトカム毎にアウトカム値を推算する。
【0046】
制御部11は、得られた対象者のアウトカム値と、各非対象者のアウトカム値とに基づいて、各非対象者をアウトカム値が対象者よりも優れる非対象者と、アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者とに分類する(ステップS18)。制御部11は、分類結果に基づき、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者群を抽出する(ステップS19)。アウトカム値が対象者よりも優れるとは、非対象者における複数のアウトカムのうちいずれかのアウトカムの値が対象者よりも優れるものであればよい。
【0047】
アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者の抽出方法は限定的ではないが、例えば非優越ソートを用いて、対象者に対し非劣解となる非対象者のデータを求めてもよい。非優越ソートとは、優越比較の定義に基づいて優越比較を行い、対象者に優越されない非対象者のデータのみを選別するものである。上記の非優越ソートには、典型的にはNSGA-II(Non-dominated Sorting Genetic Algorithms-II)を用いてもよいし、粒子群最適化やその他のいかなる探索アルゴリズムを用いてもよい。
【0048】
図5は、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者の抽出方法の概念を示す図である。制御部11は、図5の上側に示す如く、対象者及び各非対象者における2つの生活習慣値を縦軸(Y軸)及び横軸(X軸)とするグラフを生成する。グラフの各軸には、任意の組み合わせに係る異なる生活習慣項目が対応付けられている。なお、グラフは2つの生活習慣値を2軸で示すものに限定されず、3つ以上の生活習慣値を軸とするものであってもよい。図5に示す例にて、白丸のマーカーは対象者を示し、黒丸のマーカーは対象者以外の非対象者を示している。
【0049】
図5に示すグラフには表示されていないが、グラフはZ軸をいずれかのアウトカムに係るアウトカム値とするものである。制御部11は、グラフのZ軸方向に対象者及び各非対象者におけるアウトカム値をプロットしている。
【0050】
制御部11は、非優越ソートを用いて、対象者に対して劣解となる非対象者のデータを除外し、対象者に対して非劣解となる非対象者のデータのみを取り出す。これにより、図5の下側に示すように、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者のみが抽出される。制御部11は、各アウトカムの評価結果を総合的に評価することにより、非対象者と同一の特性グループに属する非対象者のうち、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者を特定する。
【0051】
図3に戻り説明を続ける。制御部11は、抽出した結果に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者群における生活習慣値の分布データと、対象者における生活習慣値とを生活習慣項目毎に示す一覧情報を生成する(ステップS20)。生活習慣値の分布データは、対象者に対する行動改善の指標となる。
【0052】
制御部11は、一覧情報を含む解析画面31を生成し、生成した解析画面31を端末装置2へ送信する(ステップS21)。ステップS21において制御部11は、アカウント情報又識別情報にて識別される対象者の端末装置2に対し、解析画面31を送信する。
【0053】
端末装置2の制御部21は、解析画面31を受信する(ステップS22)。制御部21は、受信した解析画面31を表示部24へ表示し(ステップS23)、一連の処理を終了する。
【0054】
図6は、一覧表表示の解析画面31の一例を示す模式図である。図6に示す解析画面31には、対象者に対する複数の生活習慣項目に係る改善目標を一覧で示す一覧表311、行動改善に関する推奨情報を表示する推奨情報欄315、及び画面の表示内容を切り替えるための切替ボタン317が含まれている。
【0055】
一覧表311には、生活習慣項目毎に、非対象者における生活習慣値の分布を示す複数の数値バー312が表示されている。数値バー312は、非対象者における生活習慣値の分布データに対応する。各数値バー312上に、対象者の生活習慣値を示すオブジェクト313が重畳表示されている。図6に示す例にて、対象者の各生活習慣値は、星マークのオブジェクト313を用いて示されている。
【0056】
情報処理装置1は、ステップS19の処理によりアウトカム値が対象者よりも優れる非対象者群を抽出し、抽出した非対象者群における生活習慣値を取得する。得られた生活習慣値は、多数の非対象者に係る生活習慣値から、アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者に係る生活習慣値を取り除いたものである。情報処理装置1は、取得した生活習慣値の分布を示す数値バー312を生成する。図6に示す例にて、情報処理装置1は、一覧表311に示される数値軸上の所定位置に数値バー312を配置することで、数値バー312による生活習慣項目の値を認識可能に示す。情報処理装置1は、数値バー312そのものに生活習慣項目の値を示す数字を対応付けて表示してもよい。
【0057】
情報処理装置1はさらに、各生活習慣値に対応する非対象者数の多寡を認識可能に表示する。情報処理装置1は、一例として、生活習慣値毎のデータ、すなわち各生活習慣値に対応する非対象者数に応じて、数値バー312を色分け表示する。
【0058】
色分け方法は限定されないが、例えば非対象者数に応じて単一色の濃淡又は明暗を変化させてもよく、非対象者数に応じて表示色を異ならせてもよい。図6では、数値バー312において、非対象者数の最も多い生活習慣値の領域を最も濃い色にて表示させている。非対象者数が最も多い生活習慣値は、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者における最も多い生活習慣値に対応する。この分布データにおける最頻値は、生活習慣項目の目標値を示している。対象者は、分布データの最頻値を目標に各生活習慣項目を改善することで、免疫機能を維持又は改善し得る。
【0059】
情報処理装置1は、数値バー312上における対象者の生活習慣値に対応する位置に、オブジェクト313を重畳表示させる。情報処理装置1はまた、対象者における生活習慣値から、非対象者数の最も多い生活習慣値、すなわち目標値までの経路情報314を数値バー312の近傍に表示させる。情報処理装置1は、経路情報314として、例えば対象者の生活習慣値を始点とし、目標値を終点とする矢印を生成する。情報処理装置1は、生成した矢印を数値バー312上に配置することにより、経路情報314を表示する。情報処理装置1は、数値バー312内に矢印を表示させてもよい。経路情報314の表示位置や表示態様は限定されない。なお情報処理装置1は、対象者の生活習慣値と目標値との差が所定値以上である場合に、経路情報314を表示させてもよい。
【0060】
また情報処理装置1は、対象者の生活習慣値を目標値に近づけるために推奨される情報を推奨情報欄315に表示する。情報処理装置1は、対象者の各生活習慣値と目標値との差分や、目標値までの経路情報314に基づいて、推奨情報欄315を生成する。
【0061】
情報処理装置1は、例えば対象者の乳製品摂取量が目標値よりも少ない場合、乳製品や発酵乳の摂取を促すコメントを推奨情報欄315に表示させる。情報処理装置1は、対象者の乳製品摂取量と目標値との差に応じて、乳製品や発酵乳の摂取量や摂取頻度を推定し、推定した情報を推奨情報欄315に表示させてもよい。推奨情報欄315には、例えば「ヨーグルトをたくさん食べましょう」等のコメントが表示される。情報処理装置1は、免疫機能の向上に適した乳製品などの情報に関するリンク情報をさらに表示させてもよい。情報処理装置1はまた、対象者の運動量が目標値よりも少ない場合、運動を促すコメントを推奨情報欄315に表示させる。情報処理装置1は、推奨情報を記憶した不図示のテーブルを参照し、取得した対象者の生活習慣値及び目標値に応じた推奨情報を読み出し、推奨情報欄315に表示させる。
【0062】
解析画面31は、切替ボタン317の選択に応じて、画面の表示内容を切り替え可能に構成されている。切替ボタン317は、例えば詳細表示に切り替える場合の詳細表示ボタン317aと、一覧表示に切り替える場合の一覧表示ボタン317b(図8参照)とを含む。情報処理装置1は、切替ボタン317の選択に応じて、解析画面31の表示内容を切り替える。
【0063】
図7は、詳細表示への切り替えに関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0064】
端末装置2の制御部21は、対象者の操作部25による操作を受け付けることにより、詳細表示の対象となる生活習慣の選択及び詳細表示の要求を受け付ける(ステップS31)。ステップS31において制御部21は、図6に示す解析画面31を利用して生活習慣の選択等を受け付ける。
【0065】
図6に示すように、一覧表を含む解析画面31には、複数のチェックボックス316が含まれている。チェックボックス316はそれぞれ、一覧表における各生活習慣項目に対応付けて表示されている。対象者は、詳細表示を希望する複数の生活習慣項目に対応付けられるチェックボックス316を選択した状態で、詳細表示ボタン317aをタップ操作する。制御部21は、操作部25を介して、選択された生活習慣項目及び詳細表示への切り替え要求を受け付ける。
【0066】
図7に戻り説明を続ける。制御部21は、受け付けた生活習慣の選択及び詳細表示の要求を情報処理装置1へ送信する(ステップS32)。
【0067】
情報処理装置1の制御部11は、生活習慣の選択及び詳細表示の要求を受信する(ステップS33)。制御部11は、選択された生活習慣の分布を示すグラフを生成する(ステップS34)。グラフは、図5で説明したものと同様であり、選択された複数の生活習慣を各軸とし、対象者及び当該対象者よりもアウトカム値が優れる非対象者群の生活習慣値をプロットしたグラフである。
【0068】
制御部11はさらに、Z軸方向にプロットされたアウトカム値の分布を示す等高線を生成し、グラフ上に重畳表示させる(ステップS35)。制御部11は、非対象者群の各生活習慣値のプロットに対応するアウトカム値に基づき、アウトカムの値、すなわちZ軸方向の位置を示す等高線を生成する。制御部11は、生成した等高線を生活習慣値のプロット位置に対応させるようグラフ上に重畳する。
【0069】
等高線は、アウトカムの最良値が等高線の中心となるよう生成される。アウトカムの最良値は、例えば非対象者群のアウトカム値の最良値に基づき決定されてもよく、ガイドラインの推奨値などに基づき決定されてもよい。等高線は、アウトカム値そのものの分布を示すものであってもよく、アウトカム値を所定ルールに従い変換させた変換値の分布を示すものであってもよい。等高線は、生活習慣値とアウトカム値との相関関係を示す相関図に対応する。
【0070】
アウトカム値の分布は等高線により表される例に限定されず、例えばヒートマップにより表わされてもよい。また、グラフは2次元で生成されるものに限定されず、例えばアウトカム値を3D等高線により示す3次元のグラフであってもよい。制御部11は、アウトカムの種類毎に上述のグラフを生成する。
【0071】
制御部11は、生成したグラフを含む詳細表示の解析画面31(図8参照)を生成し、生成した解析画面31を端末装置2へ送信する(ステップS36)。
【0072】
端末装置2の制御部21は、詳細表示の解析画面31を受信する(ステップS37)。制御部21は、画面を切り替え、受信した解析画面31を表示部24へ表示する(ステップS38)。
【0073】
図8は、詳細表示の解析画面31の一例を示す模式図である。詳細表示に係る解析画面31には、生活習慣値のグラフを表示するグラフ表示欄320、画面の表示内容を切り替えるための一覧表示ボタン317b(切替ボタン317)などが含まれている。
【0074】
グラフ表示欄320は、ステップS34の処理にて生成された複数のグラフ321を表示する。各グラフ321は、同一の生活習慣値の組み合わせに対し、アウトカムの種類毎にZ軸方向のアウトカム値を異ならせたものである。グラフ321には、対象者及び非対象者群の生活習慣値の分布データが含まれ、さらにアウトカム値の分布を示す等高線が示されている。情報処理装置1は、例えば生活習慣値のマーカーの形や表示色を対象者と非対象者とで異ならせることにより、対象者のデータを識別可能にグラフ321上に表示させる。図8に示す例では、対象者を星印のマーカー、非対象者を黒丸のマーカーにより表示している。
【0075】
情報処理装置1は、端末装置2を介して一覧表示ボタン317bの選択を受け付けた場合、再び図5に示す一覧表を含む解析画面31に切り替える。一覧表を含む解析画面31にて、新たな生活習慣の選択を受け付けると、受け付けた生活習慣を軸とする新たなグラフ321を含む詳細表示の解析画面31を生成し、生成した解析画面31を出力する。
【0076】
本実施形態によれば、対象者は、解析画面31により、対象者における免疫機能の維持又は改善に向けた行動改善の内容を明確に認識することができる。行動改善の対象となる生活習慣項目は、対象者よりも免疫状態の優れる非対象者の生活習慣値の分布を示す数値バー312を用いて、定量的に示される。対象者は、自身の生活習慣値と、他の非対象者における生活習慣値とを比較することにより、改善すべき生活習慣項目及びその値を容易に把握できる。
【0077】
対象者の改善目標の導出は、対象者よりも免疫状態の優れる非対象者群のデータを用いて行われる。これにより、個々の対象者の免疫状態を反映した改善目標を提示することができる。複数のアウトカム値に基づき対象者と非対象者との免疫状態の優劣を評価することで、複数のアウトカムを考慮した行動改善の提案が可能となる。一覧表を用いて生活習慣項目毎に目標値を表示することで、多数の生活習慣項目の中から、対象者の生活習慣の状態に応じた改善項目を適正に把握することができる。
【0078】
さらに解析画面31におけるグラフ321により、生活習慣値とアウトカム値との相関関係を視覚的に容易に把握することができる。
【0079】
(第2実施形態)
第2実施形態では、対象者の選択に応じて解析画面31の表示内容を切り替える構成について説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0080】
図9及び図10は、第2実施形態における詳細表示の解析画面31の例を示す模式図、図11及び図12は、第2実施形態における一覧表示の解析画面31の例を示す模式図である。
【0081】
図9から図12に示すように、第2実施形態の解析画面31には、設定受付欄318,322がさらに含まれている。設定受付欄318,322は、解析画面31における一覧表311やグラフ321の表示内容に対する各種設定を受け付け可能に構成されている。対象者は、設定受付欄318,322を用いて、例えば全ての非対象者データの表示有無、時系列データの表示有無、グラフの表示対象とする特性、及びアウトカムの種類に対する設定を選択、変更することができる。
【0082】
設定受付欄318において、「全てのデータを表示」に対応付けられたチェックボックスをオン/オフすることにより、一覧表311上で、アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者群の表示又は非表示を変更できる。上記チェックボックスがオンされると、図9に示すように、アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者における生活習慣値の分布を示す数値バー319が、一覧表311内に表示される。
【0083】
情報処理装置1は、図3のステップS15における非対象者の分類結果に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者群及び劣る非対象者群それぞれについて、生活習慣値の分布を示す数値バー312,319を生成する。アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者群に関する数値バー319の生成手法は、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者群に関する数値バー312と同様である。情報処理装置1は、例えば対象者よりも優れる非対象者群に係る数値バー312と、対象者よりも劣る非対象者群に係る数値バー319とを並べて一覧表311内に表示させる。
【0084】
この場合において情報処理装置1は、例えば数値バー312,319の表示色や太さをデータ種類(対象者よりも優れる非対象者又は劣る非対象者)に応じて変更するなど、数値バー312,319の表示態様をデータ種類に応じて異ならせるものであってよい。これにより、対象者よりも優れる非対象者と劣る非対象者とを明確に認識できる。例えば対象者のアウトカムの状態が他の非対象者と比較して非常に優れている場合には、対象者よりも優れる非対象者数が少なく、提示されるデータ数が限定的となる可能性がある。このような場合には、対象者よりも劣る非対象者のデータを表示することで、全体的な生活習慣値の分布を広く把握することができる。
【0085】
設定受付欄318において、「時系列データを表示」に対応付けられたチェックボックスをオン/オフすることにより、一覧表311上で、対象者における時系列データの表示又は非表示を変更できる。上記チェックボックスがオンされると、図10に示すように、対象者における生活習慣値の時系列変化を示す複数のオブジェクト313が数値バー312上に表示される。各オブジェクト313は、評価時点及び評価時点よりも過去の時点において取得した対象者の各生活習慣値を示している。
【0086】
情報処理装置1は、各時点において取得した対象者の各生活習慣値と、対象者の識別情報とを対応付けて、時系列順に記憶部12に記憶しておく。そして、情報処理装置1は、評価時点を含む複数時点における過去数回分のデータを読み出し、グラフ上に表示させる。情報処理装置1は、例えば各オブジェクト313の表示色や形状を時系列順に変更するなど、オブジェクト313の表示態様をデータの時点に応じて異ならせるものであってよい。
【0087】
情報処理装置1は、各オブジェクト313と、各オブジェクト313により示される時点の情報と紐付けすることにより、当該オブジェクト313により示される時点を画面上に表示させてもよい。情報処理装置1は、各オブジェクト313内に時点を表示させてもよく、又は、いずれかのオブジェクト313が選択された場合に、当該オブジェクト313により示される時点をポップアップ表示させてもよい。なお情報処理装置1は、非対象者における分布データの時系列変化、すなわち過去数回分における数値バー312をグラフ表示欄320に表示してもよい。
【0088】
設定受付欄322において、「全てのデータを表示」に対応付けられたチェックボックスをオン/オフすることにより、グラフ321上で、アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者群の表示又は非表示を変更できる。上記チェックボックスがオンされると、図11に示すように、アウトカム値が対象者よりも劣る非対象者における生活習慣値及びアウトカム値を含むグラフ321が、グラフ表示欄320に表示される。
【0089】
情報処理装置1は、図3のステップS15における非対象者の分類結果に基づいて、アウトカム値が対象者よりも優れる非対象者群及び劣る非対象者群それぞれについて、生活習慣値をグラフ321にプロットすると共にアウトカム値の分布を示す等高線を生成する。情報処理装置1は、例えば生活習慣値のマーカーの形や表示色、等高線の線種や表示色などの表示態様を、データ種類(対象者よりも優れる非対象者又は劣る非対象者)に応じて異ならせるものであってよい。図11に示す例では、対象者よりも優れる非対象者のデータが黒丸のマーカー及び実線の等高線により表示され、対象者よりも劣る非対象者のデータが黒下向き三角のマーカー及び二点鎖線の等高線により表示されている。
【0090】
設定受付欄322において、特性列に表示される各特性に対応付けられたチェックボックスをオン/オフすることにより、グラフ321の生成対象とする非対象者群の特性を変更又は追加できる。
【0091】
例えば、喫煙本数の生活習慣項目に対する対象者の回答が0本であった場合、対象者は喫煙なしの特性グループに分類され、喫煙なしの特性グループに属する非対象者群のデータに基づくグラフ321が表示される。情報処理装置1は、設定受付欄322における「喫煙あり」と表示されたチェックボックスがオンされた場合、図12に示すように、元の喫煙なしの特性グループに係るグラフとともに、喫煙ありの特性グループに係るグラフを重ねてグラフ表示欄320に表示させる。この場合において情報処理装置1は、例えば生活習慣値のマーカーや等高線の表示態様を特性グループに応じて異ならせるものであってよい。
【0092】
情報処理装置1は、詳細表示の解析画面31においても同様に、非対象者群の特性に対する設定の変更を受け付けるものであってよい。特性の変更が選択された場合、情報処理装置1は、対象者と異なる特性グループに属する非対象者群の生活習慣値に基づき、異なる特性グループに属する非対象者群の生活習慣値の分布を示す数値バーを生成し、一覧表311内に表示させる。
【0093】
設定受付欄322において「時系列データを表示」に対応付けられたチェックボックスをオン/オフすることにより、グラフ321上で、対象者における時系列データの表示又は非表示を変更できる。情報処理装置1は、上記チェックボックスがオンされた場合、対象者における生活習慣値の時系列変化を示す複数のマーカーをグラフ321上に表示する。情報処理装置1は、グラフの時系列変化、すなわち過去数回分におけるグラフ321をグラフ表示欄320に表示してもよい。
【0094】
設定受付欄322において、アウトカム列に表示される各アウトカムに対応付けられたチェックボックスをオン/オフすることにより、グラフ表示欄320に表示させるグラフ321のアウトカムの種類を変更できる。情報処理装置1は、設定受付欄322におけるアウトカムの種類に対応付けられたチェックボックスの選択を受け付けた場合、選択されたアウトカムそれぞれをZ軸方向にプロットしたグラフ321を生成し、グラフ表示欄320に表示させる。
【0095】
図13は、第2実施形態の情報処理システム100における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0096】
端末装置2の制御部21は、対象者が操作部25を操作することによる設定に対する選択を受け付ける(ステップS41)。ステップS41において制御部21は、図9から図12に示した設定受付欄318,322を利用して選択を受け付ける。制御部21は、受け付けた設定に対する選択に関する情報を情報処理装置1へ送信する(ステップS42)。
【0097】
情報処理装置1の制御部11は、設定に対する選択を受信する(ステップS43)。制御部11は、端末装置2を介して受け付けた設定に対する選択に対応するよう、解析画面31における表示内容を切り替える(ステップS44)。制御部11は、例えば一覧表311又はグラフ321の生成対象とする非対象者群の種類、特性グループ、グラフのアウトカム等を適宜変更し、新たな一覧表311やグラフ321を生成する。
【0098】
制御部11は、生成した新たな一覧表311やグラフ321を含む更新画面を端末装置2へ送信する(ステップS45)。
【0099】
端末装置2の制御部21は、更新画面を受信する(ステップS46)。制御部21は、受信した更新画面を表示部24に表示させ(ステップS47)、一連の処理を終了する。
【0100】
本実施形態によれば、一覧表やグラフの要素を任意に変更することができ、多様な状態を示す非対象者のデータに基づきより多くの情報を提示することができる。多様な観点から行動改善内容を検討することができ、情報処理システム100の活用性が向上する。
【0101】
(第3実施形態)
第3実施形態では、グラフ上にクロスバーを表示させる構成について説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0102】
図14は、第3実施形態における詳細表示の解析画面31の例を示す模式図である。図14に示すように、解析画面31は、各グラフ321上に示される複数のクロスバー323、及び評価情報表示欄324が含まれている。
【0103】
クロスバー323は、各グラフ321上においてその位置を任意に移動可能に構成されている。クロスバー323は、グラフ321上における位置の指定を受け付けるためのオブジェクトとして機能する。
【0104】
対象者は、クロスバー323を用いて各種指標の変化を確認することができる。具体的には、グラフ321上に表示されるクロスバー323を移動させることにより、生活習慣値の変化によるアウトカムの目標値の変化を認識することができる。
【0105】
対象者は、例えばグラフ表示欄320の左側における唾液IgAを示すグラフ321に対応付けられる実線のクロスバー323を操作することにより、クロスバー323の中心位置を等高線の中心方向(図14ではグラフの左上方向)へ移動させる。これにより、図14の破線にて示すように、グラフ321上のクロスバー323の位置が変化する。
【0106】
ここで、グラフ表示欄320に含まれる各グラフ321上に表示される全てのクロスバー323は、各クロスバー323の位置が連動するよう構成されるものであってよい。すなわち、各グラフ321に対応付けられる全てのクロスバー323おいて、クロスバー323の中心位置の座標が常に一致する。図14に示すように、例えば唾液IgAを示すグラフ321上のクロスバー323を移動させることにより、NK活性を示すグラフ321上のクロスバー323が連動して同じ位置へ移動される。
【0107】
評価情報表示欄324は、クロスバー323の中心位置に対応する縦軸及び横軸それぞれの生活習慣値と、アウトカム毎の評価値とを表示する。
【0108】
図15は、第3実施形態の情報処理システム100における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0109】
端末装置2の制御部21は、対象者が操作部25を操作することによる位置の指定を受け付ける(ステップS51)。詳細には制御部21は、対象者がクロスバー323を移動することによる位置の指定を受け付ける。ステップS51において制御部21は、各グラフ321上に表示される複数のクロスバー323のうちのいずれか1つのクロスバー323を利用して位置の指定を受け付ける。制御部21は、いずれか1つのクロスバー323に対する操作の受け付けに対応して、各グラフ321上における他のクロスバー323の位置を同期させる。
【0110】
制御部21は、受け付けたクロスバー323の中心位置の座標情報(X座標及びY座標)を特定し、特定した中心位置の座標情報を情報処理装置1へ送信する(ステップS52)。
【0111】
情報処理装置1の制御部11は、中心位置の座標情報を受信する(ステップS53)。制御部11は、端末装置2を介して受け付けた中心位置の座標情報に対応する生活習慣値及びアウトカム値を特定する(ステップS54)。具体的には、制御部11は、座標情報に対応する縦軸及び横軸それぞれの生活習慣値を特定する。さらに、情報処理装置1は、特定した縦軸及び横軸それぞれの生活習慣値に対するアウトカム毎の評価値を特定する。
【0112】
制御部11は、特定した生活習慣値及びアウトカム値を端末装置2へ送信する(ステップS55)。
【0113】
端末装置2の制御部21は、生活習慣値及びアウトカム値を受信する(ステップS56)。制御部21は、解析画面31の情報を更新し、受信した生活習慣値及び各アウトカム値を評価情報表示欄324に表示させる(ステップS57)。
【0114】
上記構成によれば、生活習慣指標の同じ値について、異なるアウトカム指標のグラフが連動して動作することにより、アウトカム毎の評価値が統合的に示される。対象者は、複数のアウトカムの変化を比較検討しながら、最適な生活習慣値の目標値を効率的に特定することができる。達成すべきアウトカムに至るための生活習慣指標を設定するための最適な経路(道筋)を、視覚的に容易に認識することができる。
【0115】
(第4実施形態)
第4実施形態では、グラフに関連付けて他の生活習慣値を表示する構成について説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0116】
図16は、第4実施形態における詳細表示の解析画面31の例を示す模式図である。図16に示すように、解析画面31には、非対象者における生活習慣値の詳細を表示する詳細表示欄325が含まれている。詳細表示欄325は、グラフ321上の各マーカーに対応する非対象者における生活習慣値のうち、グラフ321の各軸に対応する生活習慣項目とは異なる生活習慣項目の生活習慣値を表示する。
【0117】
図17は、第4実施形態の情報処理システム100における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0118】
端末装置2の制御部21は、対象者が操作部25を操作することによる非対象者の選択を受け付ける(ステップS61)。ステップS61において制御部21は、例えば詳細表示の解析画面31において、グラフ321に示すいずれかのマーカーのタップ操作を受け付けることにより、当該マーカーに対応する非対象者の選択を受け付ける。
【0119】
制御部21は、受け付けた非対象者の選択に関する情報を情報処理装置1へ送信する(ステップS62)。制御部21は、例えば選択されたマーカーの位置座標を情報処理装置1へ送信するものであってもよい。
【0120】
情報処理装置1の制御部11は、非対象者の選択に関する情報を受信する(ステップS63)。制御部11は、選択された非対象者に関する詳細を取得する(ステップS64)。具体的には、制御部11は、受信したマーカーの位置座標に基づいて、選択されたマーカーに対応する生活習慣値を有する解析IDを特定する。制御部11は、解析DB121に記憶する情報に基づき、特定した解析IDに対応付けられる生活習慣値であって、グラフ321により表示される生活習慣値以外の生活習慣値を取得する。制御部11は、取得した他の生活習慣値を端末装置2へ送信する(ステップS65)。
【0121】
端末装置2の制御部21は、他の生活習慣値を受信する(ステップS66)。制御部21は、解析画面31の情報を更新し、受信した他の生活習慣値を詳細表示欄325に表示させる(ステップS67)。
【0122】
本実施形態によれば、複数の生活習慣値とアウトカム値との関係性をより好適に把握することができ、情報処理システム100の利便性が向上する。
【0123】
上述の各フローチャートにおける処理の主体は限定されるものではない。例えば情報処理装置1が実行する処理の一部を端末装置2が実行してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
1P プログラム
1A 記録媒体
2 端末装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 表示部
25 操作部
2P プログラム
2A 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17