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特開2023-132575液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132575
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20230914BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/14 611
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037977
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】村井 秀世
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 辰己
(72)【発明者】
【氏名】丸山 けい子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 智
(72)【発明者】
【氏名】梅原 弘泰
【テーマコード(参考)】
2C057
4F041
【Fターム(参考)】
2C057AG99
2C057AN07
2C057BF04
2C057DB07
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA23
4F041BA35
(57)【要約】
【課題】液体吐出ヘッドの接地状態を良好に維持する。
【解決手段】液体吐出ヘッド202は、液体を吐出するノズルが形成されたノズル形成部材と、ノズルを開閉する開閉部材と、駆動電圧により軸方向に伸縮してノズルを開閉するように開閉部材を作動させる圧電体9と、圧電体9を収容する筒状の第一の収容部材1と、第一の収容部材1の内側に接触する接地部材10と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルが形成されたノズル形成部材と、
前記ノズルを開閉する開閉部材と、
駆動電圧により軸方向に伸縮して前記ノズルを開閉するように前記開閉部材を作動させる圧電体と、
前記圧電体を収容する筒状の第一の収容部材と、
前記第一の収容部材の内側に接触する接地部材と、
を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第一の収容部材内に挿入される第二の収容部材を備え、
前記接地部材は前記第二の収容部材によって支持されている請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第二の収容部材と前記接地部材とが一体で前記第一の収容部材に対して着脱可能である請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記接地部材に接続される接地線と、
前記圧電体に駆動電圧を供給する供給線と、
前記第二の収容部材内に設けられ、前記第一の収容部材に対する前記第二の収容部材の挿入方向から見て前記接地線と前記供給線を互いに異なる位置で支持する支持部材と、
を備える請求項2又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記接地部材は弾性変形可能であり、
前記接地部材が弾性変形した状態で前記接地部材が前記第一の収容部材の内側に接触する請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを駆動させる駆動部と、
を備えることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する装置の一例として、紙などにインクを吐出して画像を形成するインクジェット式の画像形成装置が知られている。
【0003】
斯かる画像形成装置においては、インクを吐出する液体吐出ヘッドに静電気などの電荷が蓄積すると、印字品質に悪影響を及ぼす虞があることから、蓄積された電荷を除去するために液体吐出ヘッドに接地部材が設けられているものがある。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2013-151094号公報)においては、液体吐出ヘッドの外側に接地部材を接触させる構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような、液体吐出ヘッドの外側に接地部材を接触させる構成においては、液体吐出ヘッドに外部から衝撃又は振動が付与されると、接地部材が損傷したり、接地部材が液体吐出ヘッドから脱落したりする虞があり、液体吐出ヘッドの接地状態を良好に維持できなくなる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルが形成されたノズル形成部材と、前記ノズルを開閉する開閉部材と、駆動電圧により軸方向に伸縮して前記ノズルを開閉するように前記開閉部材を作動させる圧電体と、前記圧電体を収容する筒状の第一の収容部材と、前記第一の収容部材の内側に接触する接地部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体吐出ヘッドの接地状態を良好に維持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る液体吐出ヘッドが適用される液体を吐出する装置の一実施形態の構成を示す図である。
図2】プリント対象の自動車に対する塗装装置の配置例を示す図である。
図3】自動車に対する塗装装置の他の配置例を示す図である。
図4】本実施形態に係るプリントヘッドの全体構成を示す断面図である。
図5図4に示されるプリントヘッドの一部を拡大して示す断面図である。
図6】本発明に係る液体吐出ヘッドを備えるヘッドユニットの実施の一形態の構成を示す図である。
図7】本発明に係る液体吐出ヘッドが適用される他の塗装装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0010】
まず、図1図3を参照して、本発明に係る液体吐出ヘッドが適用される液体を吐出する装置の一実施形態である塗装装置201の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る塗装装置201の構成を示す図である。図2は、プリント対象の自動車Mに対する前記塗装装置201の配置例を示す図である。図3は、プリント対象の自動車Mに対する前記塗装装置201の他の配置例を示す図である。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態に係る塗装装置201は、プリントヘッド202と、X-Yテーブル203と、カメラ204と、制御部209と、駆動部211などを備えている。
【0012】
プリントヘッド202は、被塗装物Mの被塗装面に向けて塗料(液体)を吐出する液体吐出ヘッドである。プリントヘッド202は、複数の弁型ノズルを備え、塗料は各弁型ノズルからプリントヘッド202の吐出面とは垂直な方向に吐出される。すなわち、プリントヘッド202の塗料の吐出面は、X-Yテーブル203の移動によって形成されるX-Y平面と平行であり、各弁型ノズルから吐出される塗料ドットはX-Y平面に対して垂直な方向に吐出される。また、各弁型ノズルから吐出される塗料の吐出方向はそれぞれ平行に吐出される。各弁型ノズルは、それぞれ所定の色の塗料タンクと連結されている。また、塗料タンクが加圧装置によって加圧されていることにより、各弁型ノズルと被塗装物Mのプリント対象面との距離が50mm程度であれば、問題なく各弁型ノズルから塗料ドットをプリント対象面に吐出することができる。
【0013】
X-Yテーブル203は、プリントヘッド202及びカメラ204を互いに直交するX方向及びY方向に移動させる機構を備えている。具体的に、X-Yテーブル203は、プリントヘッド202及び後述のカメラ204を保持するスライダをX方向に移動させるX軸移動機構205と、X軸移動機構205を2つのアームで保持しつつY方向に移動させるY軸移動機構206とを備えている。また、Y軸移動機構206にはシャフト207が設けられており、このシャフト207をロボットアーム208が保持して駆動することにより、プリントヘッド202を被塗装物Mに対してプリントを行うべき所定位置に自由に配置できる。例えば、被塗装物Mが自動車である場合、ロボットアーム208は、プリントヘッド202を図2に示されるような自動車の上部あるいは図3に示されるような自動車の横位置などに配置できる。なお、ロボットアーム208の動作は、予め制御部209に格納されたプログラムに基づいて制御される。
【0014】
カメラ204は、被塗装物Mのプリント対象面を撮影するデジタルカメラなどの撮像手段である。カメラ204は、X軸移動機構205及びY軸移動機構206によってX方向及びY方向に移動しながら被塗装物Mのプリント対象面の所定の範囲を一定の微小な間隔で撮影する。カメラ204のレンズ及び解像度などの仕様は、プリント対象面の所定の範囲について複数の細分割画像の撮影が可能なように適宜選択される。カメラ204によるプリント対象面の複数の細分割画像の撮影は、後述の制御部209によって連続的、かつ、自動的に行われる。
【0015】
制御部209は、カメラ204によって撮影された画像を編集する画像編集ソフトウエアSと予め設定された制御プログラムに基づいてX-Yテーブル203を動作させてプリントヘッド202のプリント動作(塗料吐出動作)を制御する。制御部209は、いわゆるマイクロコンピュータによって構成され、各種のプログラム及び撮影済みの画像のデータのほかプリントすべき画像のデータなどを記録保存する記憶装置、プログラムに従って各種の処理を実行する中央処理装置、キーボードやマウスなどの入力装置、必要に応じてDVDプレイヤーなどを備えている。さらに、制御部209は、モニタ210を備えている。モニタ210は、制御部209への入力情報や制御部209による処理結果などを表示する。
【0016】
制御部209は、カメラ204によって撮影された複数の細分割画像データを、画像処理ソフトを用いて画像処理を行い、被塗装物Mの平面でないプリント対象面を平面に投影された合成プリント面として生成する。また、制御部209は、既にプリント対象面にプリントされた画像に対して連続するようにプリントされる描画対象画像Aを、合成プリント面に重ね、描画対象画像Aがプリント済み画像の縁端部と連続するように編集を行い、描画対象編集画像Bを生成する。そして、生成された描画対象編集画像Bに基づいてプリントヘッド202からプリント対象面に塗料が吐出されることにより、新しい画像がプリント済みの画像との間に隙間を生じることなくプリントされる。なお、カメラ204による複数の細分割画像の撮影及びプリントヘッド202の各ノズルからの塗料の吐出によるプリントの動作は、制御部209によって動作制御された駆動部211によって行われる。
【0017】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態に係るプリントヘッドの構成について説明する。図4は、本実施形態に係るプリントヘッドの全体構成を示す断面図、図5は、図4に示されるプリントヘッドの一部を拡大して示す断面図である。
【0018】
図4に示されるように、本実施形態に係るプリントヘッド202は、弁型の液体吐出ヘッドであり、塗料(液体)を吐出するノズル22a(吐出口)が形成されたノズル形成部材としてのノズル板22と、液室ハウジング23と、ノズル22aを開閉する開閉部材としてのニードル21と、圧電体としてのピエゾ9と、ピエゾ枠体8と、第一の収容部材としての外ハウジング1と、第二の収容部材としての内ハウジング2とを備えている。
【0019】
外ハウジング1は、内部にニードル21、ピエゾ9、ピエゾ枠体8及び内ハウジング2などを収容する筒状の部材である。外ハウジング1の図4における左端には、液室ハウジング23を介してノズル板22が設けられている。液室ハウジング23には液体流路27が設けられており、液体流路27を介して外部から液室ハウジング23内へ塗料が供給される。
【0020】
ピエゾ枠体8はピエゾ9の長手方向の両端を外側から挟み込むように保持し、ピエゾ枠体8の図4における右端は、内ハウジング2に位置決めされると共に固定されている。ピエゾ枠体8の図4における左端には、ニードル21が支持されている。また、ピエゾ枠体8の図4における左端近傍には、外ハウジング1の軸方向(図4における左右方向)に伸縮可能な蛇腹状の変形部8aが設けられており、ピエゾ9が駆動電圧の印加により軸方向に伸縮すると、これに伴って変形部8aも軸方向に伸縮する。これにより、ピエゾ枠体8に支持されるニードル21が軸方向へ動かされ、ニードル21によってノズル22aが開閉される。図4に示されるように、ニードル21が図の右側へ後退し、ノズル22aが開放された状態においては、液室ハウジング23内の塗料がノズル22aから吐出される。
【0021】
図5に示されるように、内ハウジング2は、筒状に形成されており、内ハウジング2内には ピエゾ9に駆動電圧を供給する供給線としてのリード線4が挿通されている。ピエゾ9は、リード線4を介して外部の電源と電気的に接続されており、電源からリード線4を介してピエゾ9に駆動電圧が印加される。
【0022】
また、内ハウジング2は、その内部(内壁)に、ピエゾ枠体8を位置決めする枠体位置決め部2bを有している。ピエゾ枠体8の図5における右端が、内ハウジング2内に挿入され、枠体位置決め部2bに突き当たることにより、ピエゾ枠体8が内ハウジング2に対して軸方向に位置決めされる。
【0023】
また、内ハウジング2内には、外部の接地箇所に電気的に接続される接地線(アース線)3が挿入されている。接地線3は、内ハウジング2内に収容される保持部材としての結束用熱収縮チューブ6によってリード線4と一緒に保持されている。さらに、接地線3とリード線4は、内ハウジング2内に収容される支持部材としての配線支持円盤11によって支持されている。配線支持円盤11は、その中心に接地線3が挿通される孔11aと、その孔11aよりも外径側にリード線4が挿通される孔11bを有している。内ハウジング2の内部空間のうち、図5における配線支持円盤11よりも右側の部分、すなわち結束用熱収縮チューブ6が含まれる部分には、樹脂5が充填されている。
【0024】
接地線3は、導線と、導線を被覆する絶縁部とから成り、図5における接地線3の左端は、導線が露出する接地線剥き出し部7となっている。接地線剥き出し部7は、接地部材としての板バネ10に電気的に接続されている。板バネ10は、内ハウジング2内に配置される接地線接続部10aを有しており、この接地線接続部10aに対して接地線剥き出し部7が電気的に接続される。
【0025】
また、板バネ10は、内ハウジング2に取り付けられて支持される。図5に示されるように、板バネ10が内ハウジング2に取り付けられた状態においては、板バネ10の当接部10bが内ハウジング2の外周面に設けられた溝部2aに配置される。また、板バネ10の当接部10bは、弾性変形した状態で内ハウジング2と外ハウジング1の間に介在し、当接部10bの弾発付勢によって板バネ10(当接部10b)は内ハウジング2の外周面(溝部2a)と外ハウジング1の内周面に対して弾発的に接触する。
【0026】
このように、本実施形態に係るプリントヘッドにおいては、接地部材としての板バネ10が外ハウジング1と内ハウジング2の両方に対して弾発的に接触することにより、外ハウジング1及び内ハウジング2が板バネ10と接地線3を介して外部の接地箇所に電気的に接続(接地)される。これにより、外ハウジング1と内ハウジング2に電荷が蓄積されたとしても、その蓄積された電荷を板バネ10及び接地線3を介して除去することができる。
【0027】
しかも、本実施形態に係るプリントヘッドにおいては、接地部材としての板バネ10が外ハウジング1内に収容されているため、プリントヘッドに外部から衝撃又は振動が付与されたとしても、板バネ10が損傷したり、板バネ10がプリントヘッドから脱落したりするのを抑制できる。このため、プリントヘッドの接地状態を良好に維持できるようになる。
【0028】
また、板バネ10は、内ハウジング2に取り付けられるため、内ハウジング2と一体に板バネ10を外ハウジング1内に装着したり、外ハウジング1から取り外したりすることができる。このように、本実施形態に係るプリントヘッドにおいては、板バネ10が内ハウジング2と一体に外ハウジング1に対して着脱可能であるため、板バネ10を含む収容部品の交換作業を容易に行うことができる。
【0029】
また、板バネ10が取り付けられる内ハウジング2は、ピエゾ9及びピエゾ枠体8を位置決めする部材でもあるため、外ハウジング1に対する内ハウジング2の装着作業に伴って、外ハウジング1及び内ハウジング2の接地と、ピエゾ9及びピエゾ枠体8の位置決めの両方を行える。本実施形態においては、まず、外ハウジング1内にピエゾ9とピエゾ枠体8を挿入し、次いで、板バネ10が取り付けられた内ハウジング2を図5における右側から左側へ向かって外ハウジング1内に挿入する。これにより、板バネ10を介する外ハウジング1及び内ハウジング2の接地と、ピエゾ9及びピエゾ枠体8の位置決めがなされる。このように、本実施形態に係る構成によれば、プリントヘッドの接地作業及び組立作業を簡素化できる。
【0030】
また、本実施形態に係るプリントヘッドにおいては、接地線3とリード線4が配線支持円盤11によって支持されていることにより、接地線3とリード線4が、内ハウジング2において変位したり、内ハウジング2などの周囲の部材に対して接触したりするのを防止できる。さらに、接地線3とリード線4は、外ハウジング1に対する内ハウジング2の挿入方向から見て(図5における右側から見て)、配線支持円盤11によって互いに異なる位置で(非接触に)支持されているため、接地線3とリード線4が互いに接触するのを確実に防止できる。
【0031】
このように、本実施形態に係るプリントヘッドにおいては、接地線3とリード線4が互いに接触したり周囲の部材に接触したりしないように支持されているため、接地線3(接地線剥き出し部7)が板バネ10の接地線接続部10aから脱落して接地不良が発生したり、ピエゾ9に対するリード線4の接続不良が生じたりするのを防止できる。従って、本実施形態に係るプリントヘッドにおいては、外ハウジング1及び内ハウジング2の接地状態と、電源に対するピエゾ9の導通状態を良好に確保できる。
【0032】
続いて、図6を参照して、本発明に係る液体吐出ヘッド(プリントヘッド)を備えるヘッドユニットの実施の一形態について説明する。図6は、本実施形態に係るヘッドユニットの構成を示す断面図である。
【0033】
図6に示されるように、本実施形態に係るヘッドユニット20は、複数(図6において示される例では8本)の液体吐出ヘッド30と、液体吐出ヘッド30に塗料(液体)を供給する液体供給路32と、液体供給路32に塗料を供給する液体供給口33と、液体供給路32から塗料を排出する液体排出口34と、を有している。
【0034】
複数の液体吐出ヘッド30の基本的な構成は、図4及び図5を参照して説明したものと同じであり、図6においても対応する要素について同一の符号を用いている。
【0035】
図6に示されるヘッドユニット20においては、8本の液体吐出ヘッド30が、それぞれのノズル22a(吐出口)が一方向(図6においては左右方向)に略等間隔で配列されるように設けられている。液体吐出ヘッド30のそれぞれは、図中下部のノズル22aから塗料を下方に吐出するように上下方向に延在して設けられている。図6に示される各液体吐出ヘッド30は、図4に示される状態からノズル22a側を中心として反時計回りに略90°回転されている。
【0036】
8本の液体吐出ヘッド30の配列方向の一方側(図6における左側)から他方側(図6における右側)に塗料が流れるように、液体供給路32が各液体吐出ヘッド30の液室ハウジング23を貫通するように設けられている。つまり、個々の液体吐出ヘッド30の液体供給路32には、塗料が注入される流体流路27のほか、流体流路27の反対側で塗料を排出する排出口28が設けられている。
【0037】
図6に示されるヘッドユニット20においては、通常時には、液体排出口34が弁などで閉じられている。このため、通常時には、液体供給口33から塗料が供給され、図6に示されるように、液体供給路32内に塗料が充填された状態となっている。この状態において、各液体吐出ヘッド30のニードル21がノズル22aを開放することにより、各液体吐出ヘッド30のノズル22aから塗料が吐出される。一方、クリーニング時においては、液体排出口34が開放され、ヘッドユニット内部のクリーニングをし易くできるよう構成されている。図6に示されるヘッドユニット20において、8本の液体吐出ヘッド30のうちのいずれか1本の内ハウジング2に接地部材としての板バネ10を設けても良いし、8本すべての内ハウジング2に板バネ10を設けても良い。
【0038】
本発明は、図1に示す塗装装置201に替えて、例えば図7に示すような自動車の車体を塗装する塗装装置8000への適用も可能である。液体を吐出する装置としての塗装装置8000は、複数の関節によって人間の腕のように自由な動きを可能としたロボットアーム810を備え、ロボットアーム810の先端に液体を吐出する8本の液体吐出ヘッド30を含むヘッドユニット820を備えている。また、ロボットアーム810は液体吐出ユニット820の近傍に3Dセンサ830を備えている。塗装装置8000としては、5軸、6軸、7軸など適宜の軸数を備えた多関節ロボットを用いることができる。塗装装置8000は、3Dセンサ830によって対象物(本実施形態では自動車)Mに対するヘッドユニット820の位置を検知し、その検知結果に基づきロボットアーム810を動かしながらヘッドユニット820に含まれる8本の液体吐出ヘッド30から対象物100へ塗料を吐出し、対象物Mを塗装する。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限らず、発明の内容を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【0040】
なお、本発明において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又はこの液体吐出ヘッドを有するヘッドユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0041】
また、「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0042】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0043】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形などの有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターンなどを形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0044】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0045】
また、「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0046】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒などの溶媒、染料や顔料などの着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤などの機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウムなどの生体適合材料、天然色素などの可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素、電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液などの用途として用いることができる。
【0047】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定されるものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させる要素(液体吐出ヘッド移動機構)を備えるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0048】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0049】
本発明において、「ヘッドユニット」は、少なくとも1つの液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給路と、液体供給路に液体を供給する液体供給口と、を有する装置である。
【符号の説明】
【0050】
1 外ハウジング(第一の収容部材)
2 内ハウジング(第二の収容部材)
3 接地線
4 リード線(供給線)
9 ピエゾ(圧電体)
10 板バネ(接地部材)
11 配線支持円盤(支持部材)
20 ヘッドユニット
21 ニードル(開閉部材)
22 ノズル板(ノズル形成部材)
22a ノズル
201 塗装装置(液体を吐出する装置)
202 プリントヘッド(液体吐出ヘッド)
211 駆動部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2013-151094号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7