(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132775
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/14 20060101AFI20230914BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20230914BHJP
B41J 25/308 20060101ALI20230914BHJP
B41J 11/06 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B41J11/14
B41J3/407
B41J25/308 K
B41J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038297
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 徳和
【テーマコード(参考)】
2C058
2C064
【Fターム(参考)】
2C058AB08
2C058AC07
2C058AC11
2C058AF31
2C058DC09
2C064CC04
2C064DD07
2C064EE05
(57)【要約】
【課題】布製のメディアに画像を形成する画像形成装置において、画像形成品質の維持と、スループットの向上とを両立する技術を提供する。
【解決手段】布製のメディアを支持するステージと、ステージに支持されたメディアに向けてインクを吐出する吐出ヘッドと、ステージを昇降させる昇降機構と、ステージに支持されたメディアが画像形成位置に到達したことを検知する高さ検知センサと、ステージに支持されたメディアに対して吐出ヘッドに画像を形成させるのに先立って、ステージを第1位置まで下降させ、高さ検知センサでメディアが検知されるまでステージを上昇させる第1制御モードと、ステージを第1位置より上方の第2位置まで下降させ、高さ検知センサでメディアが検知されるまでステージを上昇させる第2制御モードとを切り替え可能に構成されたコントローラとを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布製のメディアを支持するステージと、
前記ステージの上方に配置されて、前記ステージに支持された前記メディアに向けてインクを吐出することによって、前記メディアに画像を形成する吐出ヘッドと、
前記ステージを昇降させる昇降機構と、
前記ステージに支持された前記メディアが画像形成位置に到達したことを検知する高さ検知センサと、
前記高さ検知センサの検知結果に基づいて、前記昇降機構を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記ステージに支持された前記メディアに対して前記吐出ヘッドに画像を形成させるのに先立って、
前記ステージを第1位置まで下降させ、前記高さ検知センサで前記メディアが検知されるまで前記ステージを上昇させる第1制御モードと、
前記ステージを前記第1位置より上方の第2位置まで下降させ、前記高さ検知センサで前記メディアが検知されるまで前記ステージを上昇させる第2制御モードとを切り替え可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、複数の前記メディアに順番に画像を形成する場合において、
前記メディアの種類が前回と今回とで異なる場合に前記第1制御モードで動作し、
前記メディアの種類が前回と今回とで同一の場合に前記第2制御モードで動作することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザによる入力操作を受け付ける操作部を備え、
前記コントローラは、前記メディアの種類が前回と今回とで同一か否かを示す入力操作を、前記操作部を通じて受け付けることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前回の前記メディアに対して前記吐出ヘッドに画像を形成させた後で且つ今回の前記メディアが前記ステージに支持される前に、前記ステージを前記第2位置まで下降させることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記高さ検知センサは、前記吐出ヘッドとの間に上下方向の所定の隙間が形成される前記画像形成位置に、前記ステージに支持された前記メディアが到達したことを検知することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第2位置を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1制御モードにおいて、前記ステージの昇降範囲の下端の前記第1位置まで前記ステージを下降させることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、布製のメディアに画像を形成する装置として、メディアが載置されるステージと、ステージに載置されたメディアに対してインクを吐出する吐出ヘッドとを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
布製のメディアは種類によって厚みが大きく変わるので、ステージに載置されたメディアと吐出ヘッドとの上下方向の距離も変動して、画像形成品質が低下する。そこで、メディアと吐出ヘッドとの距離を一定に保つために、新たなメディアに画像を形成する度にステージを昇降させる技術がある(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、新たなメディアに画像を形成する度にステージを昇降すると、スループットが低下するという課題がある。一方、スループットを向上させるために、ステージの下降量を少なくすると、厚みの異なる多種多様なメディアに対して画像形成品質を維持できないという新たな課題を生じる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、布製のメディアに画像を形成する画像形成装置において、画像形成品質の維持と、スループットの向上とを両立する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、布製のメディアを支持するステージと、前記ステージの上方に配置されて、前記ステージに支持された前記メディアに向けてインクを吐出することによって、前記メディアに画像を形成する吐出ヘッドと、前記ステージを昇降させる昇降機構と、前記ステージに支持された前記メディアが画像形成位置に到達したことを検知する高さ検知センサと、前記高さ検知センサの検知結果に基づいて、前記昇降機構を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記ステージに支持された前記メディアに対して前記吐出ヘッドに画像を形成させるのに先立って、前記ステージを第1位置まで下降させ、前記高さ検知センサで前記メディアが検知されるまで前記ステージを上昇させる第1制御モードと、前記ステージを前記第1位置より上方の第2位置まで下降させ、前記高さ検知センサで前記メディアが検知されるまで前記ステージを上昇させる第2制御モードとを切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、布製のメディアに画像を形成する画像形成装置において、画像形成品質の維持と、スループットの向上とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】画像形成装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図7】本実施形態に係る画像形成処理のフローチャート。
【
図8】変形例に係る画像形成処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る画像形成装置1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成装置1の斜視図である。
図2は、画像形成装置1の正面図である。本実施形態に係る画像形成装置1は、布製のメディアM(
図6参照)に画像を形成する装置である。メディアMは、例えば、Tシャツなどでもよいし、縫製される前の生地でもよい。
【0010】
図1及び
図2に示すように、画像形成装置1は、ステージ10を備える。ステージ10は、上面でメディアMを支持する板状の部材である。ステージ10は、上下方向に昇降可能で、且つ上下方向及び主走査方向(左右方向)に直交する副走査方向(前後方向)にスライド可能に、画像形成装置1の筐体2に支持されている。
【0011】
より詳細には、ステージ10は、昇降機構11によって昇降可能に支持されている。昇降機構11は、昇降モータ12(
図3参照)の駆動力が伝達されることによって、ステージ10を昇降させる。また、ステージ10及び昇降機構11は、副走査方向に延設されたスライドレール13上をスライドするスライダ14に支持されている。スライダ14は、スライドモータ15(
図3参照)の駆動力がタイミングベルト16を通じて伝達されることによって、スライドレール13に沿って副走査方向にスライドする。
【0012】
画像形成装置1は、キャリッジ20を備える。キャリッジ20は、ステージ10より上方に配置されている。また、キャリッジ20は、インクを吐出する吐出ヘッド21を下面で支持している。吐出ヘッド21には、各色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のインクを吐出する複数のノズルが設けられている。さらに、キャリッジ20は、上下方向及び副走査方向(前後方向)に直交する主走査方向(左右方向)に往復動可能に、筐体2に支持されている。
【0013】
より詳細には、キャリッジ20は、主走査方向に延設されたガイドレール22、23に支持されている。そして、キャリッジ20は、キャリッジモータ24(
図3参照)の駆動力がタイミングベルト25を通じて伝達されることによって、ガイドレール22、23に沿って主走査方向に往復移動する。そして、キャリッジ20が主走査方向に往復移動する過程において、所定のタイミングで吐出ヘッド21からインクを吐出することによって、吐出ヘッド21の下方に位置するステージ10に支持されたメディアMに画像が形成される。
【0014】
画像形成装置1は、メンテナンスユニット26を備える。メンテナンスユニット26は、ステージ10より主走査方向の一方側において、キャリッジ20に対面し得る位置に配置されている。メンテナンスユニット26は、例えば、吐出ヘッド21のノズル面をキャッピングする吸引キャップと、吸引キャップによってキャッピングされた吐出ヘッド21からインクを吸引する吸引ポンプと、吐出ヘッド21のノズル面を払拭する払拭部材とを備える。
【0015】
画像形成装置1は、インク受け部27を備える。インク受け部27は、ステージ10より主走査方向の他方側において、吐出ヘッド21に対面し得る位置に配置されている。インク受け部27に向けて吐出ヘッド21がインクを吐出することによって、ノズル内にインクが詰まることが防止される。
【0016】
画像形成装置1は、高さ検知センサ30(
図3参照)を備える。高さ検知センサ30は、ステージ10に支持されたメディアMが画像形成位置に到達したことを検知して、検知結果を示す検知信号をコントローラ100に出力する。画像形成位置は、吐出ヘッド21との間に上下方向の所定の隙間(画像形成品質を維持できる隙間)が形成される位置である。ここで、メディアMは、種類によって厚みが異なると共に、ステージ10上に撓んだ状態で載置されている場合がある。そのため、メディアMが画像形成位置に到達したときのステージ10の上下方向の位置は、画像形成の度に異なる可能性がある。
【0017】
高さ検知センサ30は、例えば、発光部31と、受光部32とを備える。発光部31及び受光部32は、ステージ10を挟んで主走査方向に離間した位置に配置されている。発光部31は、受光部32に向けて光を出力する。ステージ10に支持されたメディアMが画像形成位置より下方に位置しているとき、受光部32は、発光部31から出力された光を受光する。一方、ステージ10に支持されたメディアMが画像形成位置に到達すると、発光部31及び受光部32の光路を遮断する。その結果、受光部32は、発光部31から出力された光を受光できない。そして、高さ検知センサ30は、受光部32で光を受光しないことに応じて、検知信号をコントローラ100に出力する。
【0018】
また、画像形成装置1は、ステージ10の上下方向の位置を検知する昇降センサ(例えば、昇降モータ12のロータリエンコーダ)と、ステージ10の副走査方向の位置を検知するスライドセンサ(例えば、スライドモータ15のロータリエンコーダ)と、キャリッジ20の主走査方向の位置を検知するキャリッジセンサ(例えば、キャリッジ20の移動経路上に取り付けられたエンコーダシートを読み取るセンサ)とを備える。
【0019】
図3は、画像形成装置1の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図3に示すように、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0020】
CPU101は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0021】
画像形成装置1は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、画像形成装置1の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、画像形成装置1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、画像形成装置1の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0022】
I/F105は、昇降モータ12、スライドモータ15、吐出ヘッド21、キャリッジモータ24、高さ検知センサ30、及び操作パネル40を、共通バス109に接続するインタフェースである。そして、コントローラ100は、I/F105を通じて、昇降モータ12、スライドモータ15、吐出ヘッド21、キャリッジモータ24、高さ検知センサ30、及び操作パネル40を制御する。
【0023】
操作パネル40は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイとを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル40は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。
【0024】
図4は、コントローラ100の機能ブロック図である。
図4に示すように、コントローラ100は、モード決定部111と、昇降処理部112と、スライド処理部113と、画像形成処理部114とを主に備える。各機能ブロック111~114が連動して処理を行うことによって、
図7に示す画像形成処理が実現される。
【0025】
モード決定部111は、ステージ10に支持されたメディアMに画像を形成するのに先立って行われるステージ10の昇降制御モード(第1制御モード、第2制御モード)を決定する。モード決定部111は、前回の画像形成処理と今回の画像形成処理とでメディアMの種類が異なる場合に、昇降処理部112を第1制御モードで動作させる。一方、モード決定部111は、前回の画像形成処理と今回の画像形成処理とでメディアMの種類が同一の場合に、昇降処理部112を第2制御モードで動作させる。
【0026】
図5は、画像形成指示画面の画面例である。モード決定部111は、操作パネル40のディスプレイに画像形成指示画面を表示させる。画像形成指示画面は、[厚手]ボタンと、[薄手]ボタンと、[画像形成開始]ボタンとを含む。[厚手]ボタンは、ステージ10に厚手のメディアMが載置されたことに対応する。[薄手]ボタンは、ステージ10に薄手のメディアMが載置されたことに対応する。すなわち、[厚手]ボタン及び[薄手]ボタンは、ステージ10に載置されたメディアMの種類に対応する。[画像形成開始]ボタンは、
図7に示す画像形成処理を開始することに対応する。
【0027】
そして、ユーザは、[厚手]ボタン及び[薄手]ボタンの一方を選択したうえで、[画像形成開始]ボタンを押下する。モード決定部111は、[厚手]ボタン及び[薄手]ボタンのうち、前回の画像形成処理の開始時に選択されたボタンと、今回の画像形成処理の開始時に選択されたボタンとが異なる場合に、メディアMの種類が異なると判定する。一方、モード決定部111は、[厚手]ボタン及び[薄手]ボタンのうち、前回の画像形成処理の開始時に選択されたボタンと、今回の画像形成処理の開始時に選択されたボタンとが同一の場合に、メディアMの種類が同一だと判定する。
【0028】
すなわち、モード決定部111は、メディアMの種類が前回と今回とで同一か否かを示す入力操作を、操作パネル40を通じて受け付ける。但し、メディアMの種類が前回と今回とで同一か否かを判定する方法は、前述の例に限定されない。
【0029】
昇降処理部112は、ステージ10に支持されたメディアMに対して吐出ヘッド21に画像を形成させるのに先立って、ステージ10を下降させた後に、メディアMが画像形成位置に達するまでステージ10を上昇させる。昇降処理部112は、モード決定部111によって設定された昇降制御モードに従って、ステージ10を昇降させる。より詳細には、昇降処理部112は、モード決定部111によって設定された昇降制御モードに応じて、ステージ10を下降させる位置を変更する。
【0030】
図6は、ステージ10の上下方向の位置を示す図である。より詳細には、
図6(A)は、ステージ10の第1位置を示す。また、
図6(B)は、ステージ10の第2位置を示す。さらに、
図6(C)は、メディアMが画像形成位置に到達したときのステージ10の位置を示す。第1位置(
図6(A))及び第2位置(
図6(B))は、メディアMが画像形成位置に達したときのステージ10の位置(
図6(C))より下方の位置である。また、第1位置は、例えば、ステージ10の昇降範囲の下端の位置である。また、第2位置は、第1位置より上方の位置である。
【0031】
昇降処理部112は、第1制御モードのときに、
図6(A)に示す第1位置までステージ10を下降させ、その後に
図6(C)の位置までステージ10を上昇させる。一方、昇降処理部112は、第2制御モードのときに、
図6(B)に示す第2位置までステージ10を下降させ、その後に
図6(C)の位置までステージ10を上昇させる。すなわち、第2制御モードは、第1制御モードと比較して、ステージ10の昇降量が少ない昇降制御モードである。
【0032】
スライド処理部113は、スライドモータ15を駆動することによって、ステージ10を副走査方向にスライドさせる。スライド処理部113は、画像形成処理が開始されたことに応じて、吐出ヘッド21に対面し得る位置までステージ10を後方にスライドさせる。また、スライド処理部113は、吐出ヘッド21による画像形成の過程において、メディアMの次に画像が形成される領域が吐出ヘッド21に対面するように、ステージ10を後方にスライドさせる。さらに、スライド処理部113は、メディアMに対する画像形成が終了したことに応じて、ステージ10からメディアMを取出し可能な位置までステージ10を前方にスライドさせる。
【0033】
画像形成処理部114は、キャリッジ20及び吐出ヘッド21を連動して動作させることによって、ステージ10に支持されたメディアMに画像を形成する。より詳細には、画像形成処理部114は、キャリッジモータ24を駆動することによって、キャリッジ20を主走査方向に移動させる。また、画像形成処理部114は、キャリッジ20が主走査方向に移動する過程において、吐出ヘッド21にインクを吐出させる。
【0034】
図7は、本実施形態に係る画像形成処理のフローチャートである。ユーザは、キャリッジ20より前方に引き出されたステージ10にメディアMを載置する。次に、ユーザは、
図5に示す画像形成指示画面において、[厚手]ボタン及び[薄手]ボタンの一方を選択し、[画像形成開始]ボタンを押下する。そして、コントローラ100は、[画像形成開始]ボタンが押下されたことに応じて、画像形成処理を開始する。なお、今回の画像形成処理の開始時点におけるステージ10の上下方向の位置は、前回の画像形成処理で画像を形成したときの位置である。
【0035】
まず、スライド処理部113は、スライドモータ15を駆動することによって、メディアMを支持したステージ10を、吐出ヘッド21に対面し得る位置まで後方にスライドさせる(S701)。
【0036】
次に、モード決定部111は、画像形成指示画面で選択されたボタンに基づいて、今回の画像形成処理で画像を形成するメディアMの種類が、前回の画像形成処理で画像を形成したメディアMと同一か否かを判定する(S702)。なお、前回の画像形成処理の開始時点でどのボタンが選択されたかは、HDD104に記憶されているものとする。そして、モード決定部111は、メディアMの種類が前回と今回とで同一か否かに基づいて、昇降制御モードを決定する。
【0037】
次に、昇降処理部112は、モード決定部111によって決定された昇降制御モードに従って、ステージ10を昇降させる(S703~S706)。
【0038】
モード決定部111によって第1制御モードに決定された場合(S702:Yes)、昇降処理部112は、昇降モータ12を駆動することによって、メディアMを支持したステージ10を、
図6(A)に示す第1位置まで下降させる(S703)。次に、昇降処理部112は、高さ検知センサ30によってメディアMが検知されるまで、換言すれば、ステージ10に支持されたメディアMが画像形成位置に到達するまで(S706:No)、昇降モータ12を逆向きに駆動することによって、ステージ10を上昇させる(S705)。そして、昇降処理部112は、ステージ10に支持されたメディアMが画像形成位置に到達したことに応じて(S706:Yes)、昇降モータ12を停止する。
【0039】
一方、モード決定部111によって第2制御モードに決定された場合(S702:No)、昇降処理部112は、昇降モータ12を駆動することによって、メディアMを支持したステージ10を、
図6(B)に示す第2位置まで下降させる(S704)。次に、昇降処理部112は、ステージ10に支持されたメディアMが画像形成位置に到達するまで(S706:No)、ステージ10を上昇させる(S705)。ステップS705-S706の処理は、第1制御モードの場合と共通する。
【0040】
次に、スライド処理部113及び画像形成処理部114は、ステージ10に支持されたメディアMに画像を形成する(S707)。より詳細には、画像形成処理部114は、キャリッジモータ24を駆動することによってキャリッジ20を主走査方向に移動させると共に、所定のタイミングで吐出ヘッド21にインクを吐出させる。また、スライド処理部113は、次に画像が形成されるメディアMの領域が吐出ヘッド21に対面するように、スライドモータ15を駆動してステージ10を所定の距離だけ後方にスライドさせる。この処理を繰り返すことによって、メディアMに画像が形成される。
【0041】
次に、スライド処理部113は、スライドモータ15を駆動することによって、吐出ヘッド21より前方(メディアMを取出し可能な位置)まで、ステージ10を前方にスライドさせる(S708)。なお、本実施形態では、メディアMに画像が形成された後に、ステージ10を下降させない。すなわち、本実施形態では、ステップS708において、ステージ10を下降させることなく、前方にスライドさせる。
【0042】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0043】
メディアMの種類が前回と今回とで異なる場合は(S702:Yes)、メディアMの厚みが大きく変化している可能性があるので、メディアMが画像形成位置に到達したときのステージ10の位置も大きく変化する可能性がある。このような場合には、ステージ10を大きく下降させてから(S703)、メディアMが画像形成位置に到達するまでステージ10を上昇させる(S705-S706)。これにより、厚みの異なる多種多様なメディアMに対して画像形成品質を維持することができる。
【0044】
一方、メディアMの種類が前回と今回とで同一の場合は(S702:No)、メディアMの厚みは大きく変化せず、メディアMの撓み量が多少変化する程度なので、メディアMが画像形成位置に到達したときのステージ10の位置も大きく変化しない。このような場合には、ステップS703と比較して、ステージ10の下降量を小さくする(S704)。これにより、画像形成処理のスループットが向上する。
【0045】
また、上記の実施形態によれば、メディアMの種類が前回と今回とで同一か否かを操作パネル40を通じてユーザに入力させるので、シンプルな構成で、画像形成品質の維持と、スループットの向上とを両立することができる。但し、メディアMの種類が前回と今回とで同一か否かを判定する方法は、前述の例に限定されない。他の例として、コントローラ100は、ステージ10に支持されたメディアMをカメラで撮影し、撮影した画像に基づいて判定してもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、第2位置を固定位置とした例を説明したが、第2位置は可変位置であってもよい。コントローラ100は、例えば、操作パネル40を通じたユーザの指示に従って、第2位置を変更可能に構成されていてもよい。そして、画像形成品質の維持を優先したい場合は第2位置を下方に変更し、スループットの向上を優先したい場合は第2位置を上方に変更すればよい。
【0047】
[変形例]
図8は、変形例に係る画像形成処理のフローチャートである。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図8に示す画像形成処理は、ステップS704を省略し、ステップS801を追加した点で、
図7に示す画像形成処理と相違する。
【0048】
変形例に係る昇降処理部112は、ステージ10に支持されたメディアMに画像が形成されたことに応じて(S707)、昇降モータ12を駆動してステージ10を第2位置に下降させる(S801)。そして、変形例に係るスライド処理部113は、スライドモータ15を駆動することによって、第2位置まで降下したステージ10を前方にスライドさせる(S708)。すなわち、次に画像形成処理を開始する時点において、ステージ10は第2位置に配置されている。
【0049】
また、変形例に係る昇降処理部112は、前回の画像形成処理で既にステージ10が第2位置まで下降されているので、今回の画像形成処理で第2制御モードの場合に、ステージ10を下降させる必要がない(すなわち、ステップS704が省略される)。また、変形例に係る昇降処理部112は、今回の画像形成処理で第1制御モードの場合に、ステージ10を第2位置から第1位置まで下降させればよい(S703)。すなわち、
図8のステップS703では、
図7のステップS703と比較して、ステージ10の下降量が少ない。
【0050】
変形例によれば、前回の画像形成処理の終了時にステージ10を第2位置まで下降させるので、今回の画像形成処理におけるステージ10の下降量が削減される。これにより、画像形成品質を維持したまま、画像形成処理のスループットが向上する。ステップS801の処理タイミングは、前回のメディアMに対して吐出ヘッド21に画像を形成させた後で且つ今回のメディアMがステージ10に支持される前であれば、
図8の例に限定されない。
【0051】
上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0052】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 :画像形成装置
2 :筐体
10 :ステージ
11 :昇降機構
12 :昇降モータ
13 :スライドレール
14 :スライダ
15 :スライドモータ
16,25 :タイミングベルト
20 :キャリッジ
21 :吐出ヘッド
22,23 :ガイドレール
24 :キャリッジモータ
26 :メンテナンスユニット
27 :インク受け部
30 :高さ検知センサ
31 :発光部
32 :受光部
40 :操作パネル
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
111 :モード決定部
112 :昇降処理部
113 :スライド処理部
114 :画像形成処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】